JP4853154B2 - 湯切り機能を備えた蓋体 - Google Patents
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しかし、湯切り基材の規則性のある複数の湯切り口開口用ハーフカットは、規則性のある複数の切り目線で形成されているので、湯切りの際の内圧で切り目線が広がって、湯切りが可能になると記載されてはいるが、湯切りの際の内圧は、その取り扱い方法により必ずしも一定ではなく、内圧が低い場合は、切り目線の広がりが小さく湯切りに時間がかかる問題があり、内圧が高い場合は、切り目線の広がりが大きくなって湯切りを迅速に行えるが、その一方で、切り目線の両端が更に引き裂かれて湯切り口の開口が必要以上に大きくなり、熱湯と共に内容物が流出する問題があり、湯切り口の開口の安定性の面では問題があった。
更に、前記のような規則性のある多数のハーフカットの切り目線を設けるには、緻密で精巧な抜き型が必要であり、このような抜き型は製作に手間と時間を要し、費用も高くなるため、経済性の面でも不利となる問題があった。
従って、ガスバリヤー性の点では、確かに優れた蓋材にできるが、湯切り機能に関しては、例えば、実施例1に記載されているように、図1に示すような形状のV字状の切れ目線(a)を左右の切れ目線の間隔が約10mmで深さが約8mmとし、一本の切れ目線の長さが3mm程度で、切れ目と切れ目の間隔を約1mm程度とし、片側ずつ9本程度で形成し、このようなV字状の切れ目線(a)を図では3個並べて設けた構成としており、湯切りを迅速に行うためには、上記のように個々のV字状の切れ目線(a)は比較的大きな形状にする必要がある。しかし、排湯口をこのような大きさで設けると、内容物が比較的太い麺の場合は問題ないが、焼きそばなど麺が細く、且つ、麺と共に乾燥刻みネギなどの小さな具が添付されている場合は、湯切りの際に、麺がV字状の穴から突き出したり、特に刻みネギなどの小さな具は熱湯と共に排出されてしまう問題があった。
また、この発明の場合も、前記V字状の切れ目線(a)は、細かい切れ目線を緻密に配列して形成しているので、その抜き型の製作には手間と時間を要し、費用も高くなるため、経済性の面でも不利となる問題があった。
即ち、請求項1に記載した発明は、上部の開口部周縁にフランジ部が設けられた容器のフランジ部に熱接着して該容器を密封する蓋体において、該蓋体が、少なくとも裏面に印刷が施された二軸延伸ポリエステルフィルムとその印刷面に紙を貼り合わせてなる外側シートと、アルミニウム箔の一方の面にイージーピール性シーラント層を積層してなる内側シートとを、その紙面とアルミニウム箔面との間にポリオレフィン系熱接着性樹脂を使用して押し出しラミネート法で貼り合わせた積層シートで形成され、少なくとも該蓋体の外周縁の一端には、容器内に注入された熱湯を排出する湯切り口を開口するための湯切り口開口用摘み片が設けられると共に、該蓋体の該湯切り口開口用摘み片が設けられた端部寄りの領域には、湯切り口を開口させる開口構造として、該蓋体の積層シートの裏側に、最内層のイージーピール性シーラント層から紙層に入る深さの湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線と、該枠状のハーフカット線と前記摘み片との間に前記深さに両側が広角に広がる横長V字状のハーフカット線とが設けられ、また、前記積層シートの紙層の前記ポリオレフィン系熱接着性樹脂層と接する側の面には、少なくとも前記横長V字状のハーフカット線部から前記枠状のハーフカット線部までを含む該蓋体全幅の領域で、且つ、前記枠状のハーフカット線の内側には僅かに入り込んだ部分を残してその内側を取り除いた形状に、予めパターンコートされた易剥離性ニス層が設けられ、更に、該蓋体の内側のイージーピール性シーラント層面には、前記枠状のハーフカット線で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュが、前記枠状のハーフカット線の外側周縁部に熱接着されて取り付けられていることを特徴とする湯切り機能を備えた蓋体からなる。
(1)内容物が収納された容器に熱湯を注入して内容物の湯戻しをした後、余分な熱湯を湯切りする際には、蓋体の外周縁の一端に設けられた湯切り口開口用摘み片を摘んで蓋体を引き剥がすことにより、前記横長V字状のハーフカット線と紙面にパターン状に設けられた易剥離性ニス層と枠状のハーフカット線とにより容易に前記枠状の湯切り口を開口させることができる。
(2)そして、開口された湯切り口には、湯切り用のプラスチック製のメッシュが熱接着により取り付けられているので、内容物として麺と共に乾燥刻みネギなどの小さな具が添加されている場合でも、メッシュ寸法を適するサイズに選定しておくことにより、不要な熱湯と共にこれらの小さな具を流出させることを防止でき、安全に且つ迅速に湯切りを行うことができる。
(3)また、前記プラスチック製のメッシュの湯切り口への取り付けは、熱接着により行えるので、多数の規則的な切れ目などを精密に設ける必要がなく、容易に且つ低コストで製造することができる。
尚、前記熱湯注入口開口用摘み片は、内容物の湯戻しと、湯切りを行った後、蓋体全体を引き剥がして取り除く際にも利用できることはいうまでもないことである。
本発明の湯切り機能を備えた蓋体は、例えば、図1〜図3に示すように構成することができる。
即ち、図1は、本発明の湯切り機能を備えた蓋体の一実施例の構成を示す裏面図である。
また、図2は、図1に示した本発明の湯切り機能を備えた蓋体の裏面図において、横長V字状のハーフカット線および枠状のハーフカット線と、蓋体の紙層に設けられるパターン状の易剥離性ニス層の形状および位置関係を示す図である。従って、プラスチック製のメッシュ13およびメッシュ熱接着部14は省略して示した。
そして、図3は、図1のA−A線模式断面図であり、本発明の湯切り機能を備えた蓋体の積層構成の一例を示す模式断面図である。但し、蓋体は、表面が上で裏面が下になるように上下を逆転して示した。
また、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの図面に限定されるものではない。
そして、蓋体100の湯切り口開口用摘み片9が設けられた端部寄りの領域の裏面には、蓋体100の外側から内部方向に、両側が広角に広がる横長V字状のハーフカット線11と湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線12とが、それぞれ適宜の間隔をおいて順に設けられ、更にその上に、該枠状のハーフカット線12で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュ13が、該枠状のハーフカット線12の外側周縁部にメッシュ熱接着部14で熱接着されて取り付けられている。
次いで、上記蓋体用の積層シートの裏面側に、表面側の印刷層2と位置合わせして、前記横長V字状のハーフカット線11と枠状のハーフカット線12とを、イージーピール性シーラント層7から紙4層に入る深さに、所定の形状に設けると共に、蓋体を個々の形状に打ち抜いて枚葉の蓋体を作製する。
続いて、上記枚葉の蓋体の裏面側に、前記枠状のハーフカット線12で囲まれる部分を覆うように、プラスチック製のメッシュ13を枠状のハーフカット線12の外周縁部に熱接着することにより容易に製造することができる。
積層シートに使用する紙としては、上質紙、アート紙、コート紙、純白ロール紙、特殊両更クラフト紙、晒クラフト紙などのほか、耐水性を高めたラベル用紙などを使用することができる。
また、積層シートの紙面にパターンコートして設ける易剥離性ニス層に使用する易剥離性ニスとしては、押し出しラミネートに使用される前記ポリオレフィン系熱接着性樹脂に対して易剥離性を有することが必要であり、例えば、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコールなどの単独もしくは混合樹脂、またはこれらの樹脂にシリコーン樹脂を添加した樹脂を使用することができる。これらの樹脂を揮発性溶剤に溶解して塗布液を作製し、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段でパターン状に塗布、乾燥して易剥離性ニス層を形成することができる。また、易剥離性ニスには、その塗布形状を見やすくするため着色剤を添加することができる。
(1)蓋体100の積層シートの構成(図3参照)
(a)二軸延伸ポリエステルフィルム1には、厚みが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載する)を使用し、その裏面にグラビア印刷により絵柄、文字、バーコードなどの印刷層2を設けた。
上記印刷層2は、個々の蓋体の外形寸法(但し、熱湯注入口開口用摘み片9の突出部を含む縦・横寸法)を、図1において、縦が169.5mm、横が189.5mmとして、その中に納まる寸法で設けたものである。
(b)紙4には、米坪量81.4g/m2 の上質紙を使用し、上記PETフィルムの印刷層2面と上記上質紙とを接着剤層3として二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法で貼り合わせて外側シートを作製し、その上質紙面に、グラビア印刷により易剥離性ニス層8を、反対側の印刷層2と位置合わせして、図2の易剥離性ニス層8に示した形状に印刷して形成した。
尚、易剥離性ニス層8の易剥離性ニスには、ニトロセルロース樹脂にシリコーン樹脂を添加し、更にピンク色の着色剤を添加して作製したニスを使用した。
(c)また、アルミニウム箔6には、厚み7μmのアルミニウム箔を使用し、その一方の面に、イージーピール性シーラント層7を、線状低密度ポリエチレン30質量部、ハイインパクトポリスチレン30質量部、スチレン−ブタジエンブロック共重合体30質量部、スチレン−ブタジエンエラストマー10質量部をブレンドしてなるブレンド樹脂を厚み25μmに押し出しコートして形成し内側シートを作製した。
(d)前記外側シートの紙4側の面と内側シートのアルミニウム箔6側の面とを、ポリオレフィン系熱接着性樹脂層5として、低密度ポリエチレンを用いて押し出しラミネート法で貼り合わせて蓋体用積層シートを作製した。
(3) 次いで、上記積層シートを、表面側の印刷層2と位置合わせして個々の蓋体の形状に打ち抜いた後、プラスチック製のメッシュ13として、網目が、一辺の長さが各2mmの四辺形で、太さが0.4mmのポリエチレン製のメッシュを使用して、それをイージーピール性シーラント層7面に、前記枠状のハーフカット線12で囲まれる部分を覆うように、枠状のハーフカット線12の外側周縁部にメッシュ熱接着部14で示されるように熱接着して実施例1の湯切り機能を備えた蓋体とした。
尚、上記湯切り機能を備えた蓋体の各部の寸法は、以下の通りとした。
蓋体の外形で、熱湯注入口開口用摘み片9の突出部を除いた部分の縦・横寸法は、縦が165mm、横が185mmである。
また、枠状のハーフカット線12で囲まれる湯切り口の形状は図示した通りで、その寸法は、湯切り口開口用摘み片9側から蓋体100の中心部側に向かって、その最大部の長さが33mmで、それと直交する幅方向の長さは35mmとした。
また、湯切りを終了した後は、蓋体の熱湯注入口開口用摘み片10を再度摘んで蓋体全体を容易に引き剥がして容器を開封することができた。
2 印刷層
3 接着剤層
4 紙
5 ポリオレフィン系熱接着性樹脂層
6 アルミニウム箔
7 イージーピール性シーラント層
8 易剥離性ニス層
9 湯切り口開口用摘み片
10 熱湯注入口開口用摘み片
11 横長V字状のハーフカット線
12 枠状のハーフカット線
13 プラスチック製のメッシュ
14 メッシュ熱接着部
15 熱接着予定部
100 湯切り機能を備えた蓋体
Claims (3)
- 上部の開口部周縁にフランジ部が設けられた容器のフランジ部に熱接着して該容器を密封する蓋体において、該蓋体が、少なくとも裏面に印刷が施された二軸延伸ポリエステルフィルムとその印刷面に紙を貼り合わせてなる外側シートと、アルミニウム箔の一方の面にイージーピール性シーラント層を積層してなる内側シートとを、その紙面とアルミニウム箔面との間にポリオレフィン系熱接着性樹脂を使用して押し出しラミネート法で貼り合わせた積層シートで形成され、少なくとも該蓋体の外周縁の一端には、容器内に注入された熱湯を排出する湯切り口を開口するための湯切り口開口用摘み片が設けられると共に、該蓋体の該湯切り口開口用摘み片が設けられた端部寄りの領域には、湯切り口を開口させる開口構造として、該蓋体の積層シートの裏側に、最内層のイージーピール性シーラント層から紙層に入る深さの湯切り口切り取り用の枠状のハーフカット線と、該枠状のハーフカット線と前記摘み片との間に前記深さに両側が広角に広がる横長V字状のハーフカット線とが設けられ、また、前記積層シートの紙層の前記ポリオレフィン系熱接着性樹脂層と接する側の面には、少なくとも前記横長V字状のハーフカット線部から前記枠状のハーフカット線部までを含む該蓋体全幅の領域で、且つ、前記枠状のハーフカット線の内側には僅かに入り込んだ部分を残してその内側を取り除いた形状に、予めパターンコートされた易剥離性ニス層が設けられ、更に、該蓋体の内側のイージーピール性シーラント層面には、前記枠状のハーフカット線で囲まれる部分を覆うようにプラスチック製のメッシュが、前記枠状のハーフカット線の外側周縁部に熱接着されて取り付けられていることを特徴とする湯切り機能を備えた蓋体。
- 前記プラスチック製のメッシュが、一辺の長さが1〜4mmの範囲の正方形または菱形を含む四辺形の網目であることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能を備えた蓋体。
- 前記蓋体の湯切り口開口用摘み片が設けらた端部と反対側の端部に、容器内に熱湯を注入する熱湯注入口を開口させるための熱湯注入口開口用摘み片が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の湯切り機能を備えた蓋体。
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