JP4168652B2 - 湯切り機能付き蓋材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼きそば、スパゲティなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材に関し、特に乾燥状態の即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切り機能を備えたバリア性に優れた湯切り機能付き蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湯切り機能を備えた蓋材としては、例えば、カップ状容器の開口を覆う蓋材の外周の一部に注湯口形成用つまみを設けて、この注湯口形成用つまみにより蓋材の一部を剥がして注湯口を形成すると共に、この注湯口形成用つまみの反対側に設けられた排湯口形成用つまみの両端縁からミシン目状の切れ目線を内方で交差するようにV字状に入れていた。
【0003】
そして、カップ状容器に蓋材を被せたまま該排湯口形成用つまみを剥がすことにより、ミシン目状の切れ目線に沿って蓋材が切断されて排湯口が形成され、この排湯口から湯の排出を行うことによって容器を相当傾けても中の麺などがこぼれないようにしたものであった(図6参照)。
【0004】
ところが、図6に示すように、ミシン目状の切れ目線(m)は排湯口形成用つまみ(12)の両端縁から内方にV字状に形成されているので、排湯口形成用つまみを剥がす際にかかる力の方向(M;直線)と排湯口形成用つまみを切り取りたい方向(N;斜め)とが一致しないため、切り取りたい方向に平行にミシン目状の切れ目線(m)が形成されていても、力のかかる方向と平行でないため隣り合った切れ目線同士がつながらないことが多く、きれいに排湯口を形成できないことが多かった。
【0005】
また、蓋材の材質構成は、例えば、〔容器外側〕ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/薄紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/イージーピールシーラント層〔容器内側〕のような層構成の積層シートからなるものであり、ミシン目状の切れ目線は、外側から薄紙までに達する深さで、また、内側からアルミニウム箔まで達する深さで、互いに重ならないように形成されている。このため、アルミニウム箔は破壊されていることになり、蓋材のガスバリア性や水蒸気バリア性は完全なものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、湯切り機能を備えた蓋材に関する以上のような問題点を解決するためになされたもので、排湯口形成用つまみを剥がした際、蓋材を材質破壊することなくきれいな排湯口が形成できると共に、ガスバリア性や水蒸気バリア性を有する湯切り機能付き蓋材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、カップ本体の開口部とほぼ同じ外形で、注湯口形成用つまみと、両端縁から内方に向けて先端部分は互いに重なるV字状の切れ目線が設けられた排湯口形成用つまみとを有し、カップ本体の開口部を密封シールする即席食品容器用蓋材において、前記V字状の切れ目線は、一つ一つを内方に向けて互いに近づくように重ねた切れ目の集合がV字状に設けられ、かつ、前記切れ目の集合から成る前記V字状の切れ目線は内方に行くにしたがい中央寄りに深くなり、V字部分の頂点では、左方の切れ目と右方の切れ目とは山型に重なるように形成されていることを特徴とする、湯切り機能付き蓋材である。
【0008】
このように請求項1記載の発明によれば、V字状の切れ目線方に行くにしたがい中央寄りに深くなり、V字部分の頂点では、左方の切れ目と右方の切れ目とは重なるように形成されているので、排湯口形成用つまみを容器から剥がす力の方向と排湯口形成用つまみを蓋材から切り取る力の方向が略一致するため、蓋材を材質破壊することなく排湯口がきれいに形成できる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記蓋材は、外側より少なくとも基材層/アルミニウム箔/シーラント層が順次積層された複合シートから構成されると共に、前記V字状の切れ目線は、外側より基材層を経てアルミニウム箔にまでは達しない深さに設けられていることを特徴とする、湯切り機能付き蓋材である。
【0010】
このように請求項2記載の発明によれば、蓋材は外側より少なくとも基材層/アルミニウム箔/シーラント層が順次積層された複合シートから構成されると共に、前記V字状の切れ目線は、外側より基材層を経てアルミニウム箔にまでは達しない深さに設けられているので、ガスバリア性や水蒸気バリア性を有する蓋材である。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記V字状の切れ目線の少なくとも一部は、カップ本体開口部にシールする際のシール部に重なるように形成されていることを特徴とする、湯切り機能付き蓋材である。
【0012】
このように請求項3記載の発明によれば、V字状の切れ目線の少なくとも一部は、カップ本体開口部にシールする際のシール部に重なるように形成されているので、排湯口形成用つまみを引き剥がせば必ずつまみはV字状の切れ目線に沿って切り離すことができる。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記蓋材の注湯口形成用つまみと排湯口形成用つまみとは、略180°の角度を隔てて形成されていることを特徴とする、湯切り機能付き蓋材である。
【0014】
このように請求項4記載の発明によれば、注湯口形成用つまみと排湯口形成用つまみとは、略180°の角度を隔てて形成されているので、容器を傾けて排湯口から湯を排出させる際、注湯口から麺等の内容物がこぼれ出ることがない。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の発明において、前記排湯口形成用つまみは1個乃至複数個形成され、かつ、注湯口形成用つまみよりも小さく形成されていることを特徴とする、湯切り機能付き蓋材である。
【0016】
このように請求項5記載の発明によれば、排湯口形成用つまみは1個乃至複数個形成され、かつ、注湯口形成用つまみよりも小さく形成されているので、短時間で容器中の湯を排出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の湯切り機能付き蓋材を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。図1は、本発明の湯切り機能付き蓋材の一実施例を示す説明図であり、図2は本発明の湯切り機能付き蓋材のV字状の切れ目線の別の実施例を示す説明図である。
【0018】
本発明の湯切り機能付き蓋材は、例えば図1、図2に示すように、カップ本体の開口部とほぼ同じ外形で、注湯口形成用つまみ(11)と、両端縁から内方に向けて先端部分は互いに重なるV字状の切れ目線(a)が設けられた排湯口形成用つまみ(12)とを有し、カップ本体の開口部を密封シールする即席食品容器用蓋材(10)である。
【0019】
排湯口形成用つまみ(12)は図においては、3か所設けてあるが、3か所に限定されず、1か所でも良いが、複数か所設けた方が、湯の排出が容易に、かつ、迅速に行え有利である。
また、蓋材の形状は、丸型だけでなく角型としても構わない。
【0020】
V字状の切れ目線(a)は、一つ一つの切れ目方に行くにしたがい中央寄りに深くなり、V字部分の頂点(b)では、左方の切れ目と右方の切れ目とは重なるように形成されていることを特徴としている。このため、排湯口形成用つまみ(12)を剥がす際に発生する力の方向を排湯口形成用つまみ(12)を切り取りたい方向に変更することで排湯口形成用つまみ(12)はV字状の切れ目線(a)に沿ってきれいに切り取られ、排湯口(13)が露出する。
【0021】
V字状の切れ目線(a)は、図2(a)、(b)に示すように、一つ一つの切れ目をくの字状、あるいは逆くの字状にして、V字部分の頂点(b)では、山型に重ねたり、また、図2(c)、(d)に示すように、一つ一つの平行な切れ目を内方に向けて互いに近づけてV字状に形成させ、V字部分の頂点では山型に重ねる形状、一つ一つの平行な切れ目をくの字状に形成させた形状としても排湯口形成用つまみ(12)は、V字状の切れ目線(a)に沿ってきれいに切り取ることができる。
さらに、図2(e)に示すように、一つ一つの切れ目をY字状にして、V字部分の頂点(b)では、山型に重ねる形状としても良い。
【0022】
この蓋材に使用する複合シート(1)は、例えば、図3(a)に示すように、外側より基材層(1)/アルミニウム箔(2)/シーラント層(3)が順次積層された構成からなる。
【0023】
基材層(1)は、薄紙で、少なくとも表面が白色で多色印刷適性を有するものが好ましく、坪量が40〜150g/m2 程度の片アート紙、両面コート紙などが好適に使用できる。
また、基材層(1)には必要に応じて印刷層(図示せず)を設けることができる。
【0024】
アルミニウム箔(2)は、蓋材に遮光性、ガスバリア性を付与させると共に、デッドホールド性(紙カップ等の容器本体から蓋材を剥がした際、剥がしたままの状態を維持できる性質)を担い、5〜30μm程度の厚さのものが好適に使用できる。
【0025】
シーラント層(3)は、カップ本体とヒートシール可能とする層であると共に、カップ本体を開封する際に、紙カップ本体の口縁部から蓋材を破壊させることなく容易に剥離させるための層である。
【0026】
シーラント層(3)を構成する樹脂(あるいはフィルム)としては、エチレン・メタアクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、EMAAとエステル樹脂の混合樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、EVAとエステル樹脂の混合樹脂、ポリエチレン樹脂とポリブテン樹脂の混合樹脂などの10〜80μm程度の厚さのものが好適に使用できる。
【0027】
ドライラミネート法、溶融押し出しラミネート法等の公知のラミネート法により、基材層(1)、アルミニウム箔(2)、シーラント層(3)の各層を積層して複合シートとする。
【0028】
基材層(1)の外側にポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロンなどのプラスチックフィルム(4)をドライラミネート法などのラミネート法により設けても良い(図3(b)参照)。
【0029】
このようにして作製した複合シートから所定の大きさの蓋材を作製し、該蓋材を即席やきそばなどを充填した紙カップ本体(20)の開口部に被せ、ヒートシール等の手段により密封シールし、内容物入りのカップとする。
【0030】
注湯口形成用つまみ(11)をもって、注湯口を露出させ、熱湯を必要量注ぎ、再び注湯口を塞ぎ、内容物が柔らかくほぐされてきたら、V字状の切れ目線(a)に沿って排湯口形成用つまみ(12)を蓋材から切り離し、排湯口(13)を露出させてカップを傾け、熱湯を排出する(図4参照)。
ついで、注湯口形成用つまみ(11)を大きく開けて内容物を食する。
【0031】
また、例えば、排湯口形成用つまみ(12)は、一つとして一度に3つの排湯口を形成できるようにしても良い。
具体的には、図5に示すように、排湯口形成用つまみ(12)をつなげて一つにし、隣り合うV字状の切れ目線(a)の先端同士をつまみ内に切れ目線(s)を形成させてつなぐ。
【0032】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
〈実施例1〉
厚さ12μmのPETフィルム(4)に印刷を施し、印刷層(図示せず)を設けた。
この印刷層を設けた厚さ12μmのPETフィルムと坪量58.1g/m2 の片アート紙(1)を印刷層を内側にしてドライラミネート法により貼り合わせ、PETフィルム(4)/片アート紙(1)からなる複合紙を作製した。
【0033】
この複合紙の所定位置に、複合紙の表面から裏面まで貫通する図1に示すような形状のV字状の切れ目線(a)を穿設した。
左側の切れ目線と右側の切れ目線の間隔は約10mm、深さは約8mmとした。
なお、一本の切れ目の長さは3mm程度、切れ目と切れ目の間隔は約1mm程度とし、片側ずつ9本程度設けた。
【0034】
V字状の切れ目線(a)を穿設した複合紙の片アート紙側に厚さ9μmのアルミニウム箔(2)をポリエチレンを介して溶融押し出しラミネート法により貼りあわせた(ポリエチレンの厚さは15μm)。
【0035】
最後にアルミニウム箔(2)をラミネートした複合紙のアルミニウム箔面にEMAA樹脂からなるシーラント層(3)を40μmの厚さに溶融押し出しラミネート法により設け、PETフィルム(12μm)(4)/片アート紙(58.1g/m2 )(1)/ポリエチレン(15μm)(図示せず)/アルミニウム箔(9μm)(2)/シーラント層(40μm)(3)の層構成を有する実施例1の蓋材用複合シートを作製した。
【0036】
〈比較例1〉
V字状の切れ目線の代わりにミシン目状の切れ目線にした以外は、実施例1と同じ複合シートを使用して実施例1と同様の蓋材用複合シートを作製し、比較例1の蓋材用複合シートとした。
【0037】
〈比較例2〉
段落番号5で述べたような両面ハーフカット仕様の蓋材用複合シートを作製し、比較例2の蓋材用複合シートとした。
【0038】
こうして作製した実施例1種類、比較例2種類、合計3種類の蓋材用複合シートを所望の大きさの蓋材に打ち抜き、該蓋材を即席やきそばを充填したカップ本体に被せて所定条件で密封シールし、実施例1と比較例1、2のカップやきそばを作製した。
そして、バリア性、開封性、耐油性を下記する条件で測定、観察した。その結果を表1に示す。
Figure 0004168652
【0039】
【表1】
Figure 0004168652
【0040】
このように本発明の湯切り機能付き蓋材は、開封性やバリア性に優れていると同時に、遮光性や耐油性についても問題ないことが判った。
【0041】
【発明の効果】
上記のように、本発明の湯切り機能付き蓋材は、排湯口形成用つまみの両端から内方に向けて先端部分は互いに重なるV字状の切れ目線に特徴を持たせたことにより、蓋材を材質破壊することなく、きれいな排湯口が形成できると同時に、ガスバリア性や水蒸気バリア性に優れた蓋材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湯切り機能付き蓋材の一実施例を示す、説明図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の湯切り機能付き蓋材のV字状切れ目線の別の実施例を示す、説明図である。
【図3】(a)は本発明の湯切り機能付き蓋材の層構成の一実施例を示す、断面説明図であり、(b)は本発明の湯切り機能付き蓋材の層構成の別の実施例を示す、断面説明図である。
【図4】湯切り機能付き蓋材の使用状態を示す、斜視説明図である。
【図5】本発明の湯切り機能付き蓋材の別の実施例を示す、説明図である。
【図6】カップ本体から排湯口形成用つまみを引き剥がす際にかかる力の方向と、排湯口形成用つまみを切り取りたい方向との関係を示す、模式説明図である。
【符号の説明】
1‥‥基材層
2‥‥アルミニウム箔
3‥‥シーラント層
4‥‥ポリエステルフィルム
10‥‥蓋材
11‥‥注湯口形成用つまみ
12‥‥排湯口形成用つまみ
13‥‥排湯口
20‥‥カップ本体
a‥‥V字状の切れ目線
b‥‥V字部分の頂点
m‥‥ミシン目状の切れ目線
s‥‥切れ目線

Claims (5)

  1. カップ本体の開口部とほぼ同じ外形で、注湯口形成用つまみと、両端縁から内方に向けて先端部分は互いに重なるV字状の切れ目線が設けられた排湯口形成用つまみとを有し、カップ本体の開口部を密封シールする即席食品容器用蓋材において、前記V字状の切れ目線は、一つ一つを内方に向けて互いに近づくように重ねた切れ目の集合がV字状に設けられ、かつ、前記切れ目の集合から成る前記V字状の切れ目線は内方に行くにしたがい中央寄りに深くなり、V字部分の頂点では、左方の切れ目と右方の切れ目とは山型に重なるように形成されていることを特徴とする、湯切り機能付き蓋材。
  2. 前記蓋材は、外側より少なくとも基材層/アルミニウム箔/シーラント層が順次積層された複合シートから構成されると共に、前記V字状の切れ目線は、外側より基材層を経てアルミニウム箔にまでは達しない深さに設けられていることを特徴とする、請求項1記載の湯切り機能付き蓋材。
  3. 前記V字状の切れ目線の少なくとも一部は、カップ本体開口部にシールする際のシール部に重なるように形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の湯切り機能付き蓋材。
  4. 前記蓋材の注湯口形成用つまみと排湯口形成用つまみとは、略180°の角度を隔てて形成されていることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の湯切り機能付き蓋材。
  5. 前記排湯口形成用つまみは1個乃至複数個形成され、かつ、注湯口形成用つまみよりも小さく形成されていることを特徴とする、請求項1、2、3又は4記載の湯切り機能付き蓋材。
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