JP3832012B2 - 可変容量型圧縮機 - Google Patents
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- F04B27/1054—Actuating elements
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車両空調システムに適用され、カムプレートの傾角を調節することでピストンのストロークを変更して吐出容量を制御可能な可変容量型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の圧縮機としては、図5及び図6に示すようなものが存在する。すなわち、回転支持体101は駆動軸102上に固定されている。斜板103はその中央部に挿通孔103aが貫設され、同挿通孔103aには駆動軸102が所定のクリアランスを以って挿通されている。ピストン104は、ハウジング105に設けられたシリンダボア105aに収容されるとともに、斜板103の外周部にシュー106を介して係留されている。
【0003】
ヒンジ機構107は、回転支持体101と斜板103との間に介在されている。同ヒンジ機構107は、斜板103に設けられたガイドピン108と、同ガイドピン108に対応して回転支持体101に設けられた支持アーム109とからなる。球状部108aはガイドピン108の先端部に設けられている。ガイド孔109aは支持アーム109に設けられている。ガイド面109bはガイド孔109aの内面が構成し、同ガイド面109bは駆動軸102の軸線Lに対して外方から近づくように延在されている。ガイドピン108は、球状部108aを以って支持アーム109のガイド孔109aに挿入されている。
【0004】
さて、前記斜板103は、回転支持体101及びヒンジ機構107を介して駆動軸102と一体回転可能である。従って、同斜板103の回転運動がシュー106を介してピストン104の往復直線運動に変換され、シリンダボア105aにおける冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出の一連の圧縮サイクルが行われる。図面に示すように、同斜板103が上死点位置D1を以ってピストン104に対応すると、同ピストン104は上死点に位置される。斜板103が図面の状態から180°回転され、下死点位置D2を以ってピストン104に対応すると、同ピストン104は下死点に位置される。
【0005】
前記斜板103は、ヒンジ機構107の案内により、図5に示す自身の傾角を最大とする最大傾角位置と、図6に示す傾角を最小とする最小傾角位置との間で、駆動軸102上をスライド移動しつつ傾動可能である。同斜板103の傾動は、球状部108aとガイド孔109aのガイド面109bとの間のスライドガイド関係、駆動軸102のスライド支持作用により案内される。斜板103の傾角が変更されると、ピストン104の上死点の位置はそのままに下死点の位置が変更される。その結果、同ピストン104のストロークが変更され、吐出容量が調節される。なお、ピストン104の上死点の位置を、斜板103の傾角に関係なく一定とするのは、例えば、同ピストン104が上死点に位置した時のトップクリアランスを零付近に設定すれば、全吐出容量域において圧縮効率の向上を図り得るからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図5に示すように、斜板103の傾角が最大側に調節されるとピストン104のストロークが大きくなり、冷媒ガスの圧縮比が大きくなる。このため、大きな圧縮荷重Kが、ピストン104、斜板103及びガイドピン108の球状部108aを介してガイド孔109aのガイド面109bに作用され、同ガイドピン108はガイド面109bから圧縮荷重Kの大きな反力Fを受ける。同ガイド面109bは、駆動軸102の軸線Lに対して外方から近づくように延在されている。従って、ガイドピン108に作用する反力Fが、斜板103を上死点位置D1側へずらす方向の分力F1を生じる。その結果、斜板103の挿通孔103aは、その下死点位置D2に対応する内面が駆動軸102に押し付けられた状態となり、この両者102,103aの軸線L周りでの当接位置関係は、同斜板103がいずれの位置に回転変位されても変わることはない。
【0007】
ところが、図6に示すように、吐出容量が最小となると冷媒ガスの圧縮比が小さくなり、前述した反力Fに基づく分力F1が小さくなる。従って、斜板103はその自重により、常に駆動軸102に対して重力方向へずれ落ちようとする。その結果、同斜板103が駆動軸102に対して衝撃的に当接して騒音や振動を生じたり、挿通孔103aの内面と駆動軸102との軸線L周りでの当接位置関係が、斜板103の回転変位により変化してしまう等の問題を生じていた。
【0008】
例えば、図6においては、斜板103が自重により下死点位置D2側にずれ落ちており、その挿通孔103aは上死点位置D1に対応する内面が駆動軸102に当接された状態となっている。従って、図5に示す吐出容量が最大側の時と比較して、斜板103が下死点位置D2側にずれ落ちた分だけ、ピストン104がシリンダボア105aに押し込められる方向に変位され、同ピストン104の上死点の位置がシリンダボア105aの奥側に変位されていた。その結果、従来の圧縮機においては、ピストン104と、シリンダボア105aの奥側に配置される図示しない弁形成体との衝突を避けるために、トップクリアランスを零付近に設定することは困難であった。
【0009】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、最小吐出容量運転時において、カムプレートが駆動軸に対して重力方向にずれ落ちることがない可変容量型圧縮機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、前記カムプレートが最小傾角の状態で、同カムプレートを駆動軸の軸線を含む仮想平面によって上死点位置側と下死点位置側とに二分割した場合、その重心が上死点位置側の分割部分に存在するとともに、前記カムプレートの挿通孔と駆動軸との間には所定のクリアランスが存在し、前記カムプレートが最小傾角の状態では前記カムプレートの挿通孔における前記下死点位置側の内面は前記駆動軸に押し付けられ、前記上死点位置側の内面は駆動軸との間にクリアランスを有するように構成した可変容量型圧縮機である。
【0011】
請求項2の発明では、前記ヒンジ機構は、一方に設けられたガイドピンと、他方に設けられ、駆動軸の軸線に対して外方から近づくように延在されてガイドピンの相対移動を案内するガイド面とを備えたものである。
【0012】
請求項3の発明では、前記重心は、カムプレートの傾角が最小傾角から最大傾角側の所定傾角に変更される間において、仮想平面による上死点位置側の分割部分に存在するものである。
【0013】
請求項4の発明では、前記仮想平面を第1仮想平面とすると、前記重心は、駆動軸の軸線、上死点位置及び下死点位置を含み第1仮想平面と直交する第2仮想平面上に存在するものである。
【0014】
請求項5の発明では、外部冷媒回路上の冷媒循環を阻止することが可能な冷媒循環阻止手段を備えたものである。
請求項6の発明では、前記駆動軸は、外部駆動源に対してクラッチ機構を介することなく作動連結されている。
【0015】
(作用)
上記構成の請求項1の発明においては、最小傾角状態でのカムプレートの重心は、仮想平面による上死点位置側の分割部分に存在する。従って、吐出容量が最小の時、回転するカムプレートに作用される遠心力には上死点位置側が大となるアンバランスが生じ、同カムプレートは駆動軸に対して上死点位置側へ変位しようする。その結果、同カムプレートの挿通孔は、下死点位置側の内面が駆動軸に押し付けられた状態となり、同カムプレートはいずれに回転変位されても駆動軸に対して重力方向にずれ落ちることはない。
【0016】
請求項2の発明においては、カムプレートの傾角が最大側に調節されるとピストンのストロークが大きくなり、冷媒ガスの圧縮比が大きくなる。このため、大きな圧縮荷重が、ピストン及びカムプレートを介してヒンジ機構に作用され、カムプレートは同ヒンジ機構から圧縮荷重の大きな反力を受ける。同ヒンジ機構のガイド面は、駆動軸の軸線に対して外方から近づくように延在されてている。従って、同ガイド面は、反力に基づいてカムプレートを駆動軸に対して上死点位置側へずらす方向の分力を生じる。その結果、カムプレートの挿通孔は、下死点位置に対応する内面が駆動軸に押し付けられた状態となり、吐出容量が最大側の時においても、カムプレートの駆動軸に対する重力方向へのずれ落ちを確実に防止できる。
【0017】
請求項3の発明においては、カムプレートの傾角が最小傾角から最大傾角側の所定傾角に変更される間において、同カムプレートの重心は仮想平面による上死点位置側の分割部分に存在する。従って、圧縮荷重による分力をそれ程期待できない、最小以外の小吐出容量運転時においても(カムプレートの傾角が所定傾角以下の状態)、カムプレートの駆動軸に対する重力方向への落下を確実に防止できる。以上のように、請求項1〜3の構成を併せて採ることで、全吐出容量域において、カムプレートの駆動軸に対する重力方向へのずれ落ちを確実に防止できる。
【0018】
また、カムプレートの傾角にかかわらず、同カムプレートの挿通孔は常に下死点位置側の内面が駆動軸に押し付けられた状態となる。従って、吐出容量が変更されても、カムプレートの挿通孔の内面と駆動軸との同駆動軸の軸線周りでの当接位置関係にそれほどずれが生じることはなく、ピストンの上死点の位置の変位を少なく抑えることが可能となる。
【0019】
請求項4の発明においてカムプレートの重心は、駆動軸の軸線、上死点位置及び下死点位置を含み第1仮想平面と直交する第2仮想平面上に存在する。従って、遠心力のアンバランスが、前述した圧縮荷重に基づく分力と同じ方向に作用され、圧縮荷重による分力を期待できない小吐出容量運転時においても、吐出容量が最大側の時と同様に、カムプレートの挿通孔は下死点位置に対応する内面が駆動軸に押し付けられる。その結果、全吐出容量域において、カムプレートの挿通孔の内面と駆動軸との当接位置関係が一定に維持され、ピストンの上死点の位置が変位されることは殆どない。
【0020】
請求項5の発明においては、例えば、冷房不要時や外部冷媒回路上の蒸発器においてフロストが発生しそうな場合には、冷媒循環阻止手段により外部冷媒回路上の冷媒循環が阻止される。従って、圧縮機の運転、つまり、駆動軸の回転は継続されても良く、請求項6の発明においては、同駆動軸を外部駆動源に対してクラッチ機構を介することなく連結している。例えば、クラッチレスタイプの可変容量型圧縮機は、クラッチ付きのタイプと比較して最小吐出容量運転の頻度が高い。つまり、最小吐出容量運転時における振動・騒音対策が特に重要視される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車両空調システムに適用されるクラッチレスタイプの可変容量型圧縮機に具体化した一実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、フロントハウジング11はシリンダブロック12の前端に接合固定されている。リヤハウジング13は、シリンダブロック12の後端に弁形成体14を介して接合固定されている。クランク室15は、フロントハウジング11とシリンダブロック12とに囲まれて区画形成されている。駆動軸16は、クランク室15を通るようにフロントハウジング11とシリンダブロック12との間に回転可能に架設支持されている。プーリ17は、フロントハウジング11の外壁面にアンギュラベアリング18を介して回転可能に支持されている。同プーリ17は、駆動軸16のフロントハウジング11からの突出端部に連結されており、その外周部に巻き掛けられたベルト19を介して、外部駆動源としての車両エンジン20に電磁クラッチ等のクラッチ機構を介することなく作動連結されている。
【0023】
リップシール21は、駆動軸16の前端側とフロントハウジング11との間に介在され、同駆動軸16を封止している。
回転支持体22は、クランク室15において駆動軸16に止着されている。カムプレートとしての斜板23はクランク室15に収容され、その中央部に貫設された挿通孔23aを挿通される駆動軸16により、同駆動軸16の軸線L方向へスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。同挿通孔23aと駆動軸16との間には、斜板23のスムーズな移動を達成するために所定のクリアランスが存在する。ヒンジ機構71は、回転支持体22と斜板23との間に介在されている。カウンタウエイト59は、斜板23においてヒンジ機構71とは軸線Lを介した反対側に配設されている。
【0024】
前記ヒンジ機構71について詳述すると、図3及び図4に示すように、一対のガイドピン25は、斜板23の前面外周部において上死点位置D1を中心とした対称位置に突設されている。同ガイドピン25は回転支持体22に向かって延在され、その先端部には球状部25aが形成されている。一対の支持アーム24は、回転支持体22の裏面外周部において斜板23の上死点位置D1を中心とした対称位置に突設されている。同支持アーム24は斜板23に向かって延在され、その先端部にはガイド孔24aが貫設されている。ガイド面24bはガイド孔24aの内面が構成し、同ガイド面24bは軸線Lに対して外方から近づくように延在されている。ガイドピン25は、球状部25aを以って支持アーム24のガイド孔24aに挿入されている。
【0025】
斜板23は、支持アーム24とガイドピン25との連係により、駆動軸16の軸線L方向へ傾動可能でかつ同駆動軸16と一体的に回転可能となっている。同斜板23の傾動は、ガイド孔24aと球状部25aとの間のスライドガイド関係、駆動軸16のスライド支持作用により案内される。斜板23の半径中心部がシリンダブロック12側にスライド移動されると、同斜板23の傾角が減少される。傾角減少バネ26はコイルスプリングよりなり、回転支持体22と斜板23との間において駆動軸16に巻装されている。同傾角減少バネ26は、斜板23を傾角の減少方向に付勢する。傾角規制突部22aは回転支持体22の後面に形成され、斜板23の最大傾角を当接規制する。
【0026】
吸入圧領域を構成する収容孔27は、シリンダブロック12の中心部に貫設されている。遮断体28は筒状をなし、収容孔27にスライド可能に収容されている。吸入通路開放バネ29は、収容孔27の端面と遮断体28との間に介在され、同遮断体28を斜板23側へ付勢している。
【0027】
前記駆動軸16は、その後端部を以て遮断体28の内部に挿入されている。ラジアルベアリング30は、駆動軸16の後端部と遮断体28の内周面との間に介在されている。同ラジアルベリング30は、サークリップ31によって遮断体28からの抜けが阻止されており、同遮断体28とともに駆動軸16に対して軸線L方向へスライド移動可能である。従って、駆動軸16の後端部は、ラジアルベアリング30及び遮断体28を介して収容孔27の内周面で回転可能に支持されている。
【0028】
吸入圧領域を構成する吸入通路32は、リヤハウジング13の中心部に形成されている。同吸入通路32は収容孔27に連通されており、その弁形成体14に表れる収容孔27側の開口周囲には、位置決め面33が形成されている。遮断面34は遮断体28の先端面が形成し、同遮断体28の移動により位置決め面33に接離される。同遮断面34が位置決め面33に対して環状領域で当接されることにより、両者間33,34のシール作用で吸入通路32と収容孔27の内空間との連通が遮断される。
【0029】
スラストベアリング35は斜板23と遮断体28との間に介在され、駆動軸16上にスライド移動可能に支持されている。同スラストベアリング35は、吸入通路開放バネ29に付勢されて、常には斜板23と遮断体28との間で挟持されている。
【0030】
そして、斜板23が遮断体28側へ傾動するのに伴い、同斜板23の傾動がスラストベアリング35を介して遮断体28に伝達される。従って、同遮断体28が、吸入通路開放バネ29の付勢力に抗して位置決め面33側に移動され、同遮断体28は遮断面34を以て位置決め面33に当接される。同遮断面34が位置決め面33に当接された状態にて、斜板23のそれ以上の傾動が規制され、この規制された状態にて同斜板23は、0°よりも僅かに大きな最小傾角となる。
【0031】
シリンダボア12aはシリンダブロック12に貫設形成され、片頭型のピストン36は同シリンダボア12aに収容されている。同ピストン36はシュー37を介して斜板23の外周部に係留されており、同斜板23の回転運動がシュー37を介してピストン36の往復直線運動に変換される。図面に示すように、斜板23が上死点位置D1を以ってピストン36に対応すると、同ピストン36は上死点に位置される。斜板23が図面の状態から180°回転され、下死点位置D2を以ってピストン36に対応すると、同ピストン36は下死点に位置される。ピストン36が上死点に位置した時のトップクリアランスは、極力零に近く設定されている。
【0032】
斜板23の傾角が変更されると、ピストン36の上死点の位置はそのままに下死点の位置が変更される。その結果、同ピストン36のストロークが変更され、吐出容量が調節される。このように、ピストン36の上死点を、斜板23の傾角にかかわらす一定とすることで、前述したトップクリアランスは全吐出容量域において零付近で維持される。
【0033】
吸入圧領域を構成する吸入室38及び吐出圧領域を構成する吐出室39は、リヤハウジング13内にぞれぞれ区画形成されている。吸入ポート40、同吸入ポート40を開閉する吸入弁41、吐出ポート42、同吐出ポート42を開閉する吐出弁43は、それぞれ前記弁形成体14に形成されている。そして、吸入室38の冷媒ガスは、ピストン36の上死点側から下死点側への移動により、吸入ポート40及び吸入弁41を介してシリンダボア12aへ吸入される。同シリンダボア12aに流入された冷媒ガスは、ピストン36の下死点側から上死点側への移動により、吐出ポート42及び吐出弁43を介して吐出室39へ吐出される。
【0034】
スラストベアリング44は、回転支持体22とフロントハウジング11との間に介在されている。同スラストベアリング44は、ピストン36を介して回転支持体22に作用される、冷媒圧縮時の圧縮反力を受け止める。
【0035】
吸入室38は、通口45を介して収容孔27に連通されている。そして、前記遮断体28がその遮断面34を以て位置決め面33に当接されると、通口45は吸入通路32から遮断される。
【0036】
通路46は駆動軸16の軸心に形成され、その入口46aは駆動軸16の前端側においてリップシール21付近で、出口46bは遮断体28の内部でそれぞれ開口されている。放圧通口47は遮断体28の周面に貫設され、同放圧通口47を介して遮断体28の内部と収容孔27とが連通されている。これら通路46、放圧通口47及び収容孔27の内空間が抽気通路を構成する。
【0037】
給気通路48は吐出室39とクランク室15とを接続し、同通路48上には容量制御弁49が介在されている。感圧通路50は、容量制御弁49と吸入通路32とを接続する。
【0038】
前記容量制御弁49は、バルブハウジング51とソレノイド部52とが中央付近において接合されている。弁室53は、バルブハウジング51とソレノイド部52との間に区画形成されている。弁体54は同弁室53に収容されている。弁孔55は、弁室53においてバルブハウジング51の軸線上に形成され、弁体54と対向するように開口されている。強制開放バネ56は、弁体54と弁室53の内壁との間に介在され、弁孔55を開放する方向に弁体54を付勢している。弁室53は、給気通路48を介して吐出室39に連通されている。
【0039】
感圧通路50が接続される感圧室58は、バルブハウジング51の上部に区画形成されている。感圧部材としてのベローズ60は、感圧室58に収容されている。感圧ロッド挿通孔61は、感圧室58と弁室53とを区画するバルブハウジング51の隔壁部57に貫設され、両室58,53を接続する。同感圧ロッド挿通孔61の弁体54側部分が、前記弁孔55を兼ねる。感圧ロッド62は、感圧ロッド挿通孔61に摺動可能に挿通されている。弁体54とベローズ60は、感圧ロッド62によって作動連結されている。また、同感圧ロッド62の弁体54側部分は、弁孔55内の冷媒ガスの通路を確保するために小径となっている。
【0040】
ポート63は、バルブハウジング51において弁室53と感圧室58との間に形成され、弁孔55と直交されている。同ポート63は、給気通路48を介してクランク室15に連通されている。つまり、弁室53、弁孔55及びポート63は給気通路48の一部を構成している。
【0041】
固定鉄芯64は、ソレノイド部52の収容室65の上方開口部に嵌合され、同固定鉄芯64によってソレノイド室66が区画形成されている。略有蓋円筒状をなす可動鉄芯67は、同ソレノイド室66に往復動可能に収容されている。追従バネ68は、可動鉄芯67と収容室65の底面との間に介装されている。なお、同追従バネ68は、強制開放バネ56よりも弾性係数が小さいものが使用されている。ソレノイドロッド挿通孔69は固定鉄芯64に形成され、ソレノイド室66と弁室53とを接続している。ソレノイドロッド70は弁体54と一体形成されており、ソレノイドロッド挿通孔69に摺動可能に挿通されている。ソレノイドロッド70の可動鉄芯67側端は、強制開放バネ56及び追従バネ68の付勢力によって可動鉄芯67に当接される。可動鉄芯67と弁体54とは、ソレノイドロッド70を介して作動連結されている。円筒状をなすソレノイド74は、固定鉄芯64及び可動鉄芯67の外側において、両鉄芯64,67を跨ぐようにして配置されている。
【0042】
上記構成の圧縮機は、その吸入室38に冷媒ガスを導入する通路となる吸入通路32と、吐出室39から冷媒ガスを排出する吐出フランジ75とが外部冷媒回路76により接続されている。凝縮器77、膨張弁78及び蒸発器79は、同外部冷媒回路76上に介在されている。そして、図示しないが、圧縮機、凝縮器77、膨張弁78及び蒸発器79は車両に搭載されて、車両空調システムが構築されている。
【0043】
蒸発器温度センサ81、車室温度センサ82、エアコンスイッチ83、車室温度設定器84及び前記容量制御弁49のソレノイド74は、制御コンピュータ85に接続されている。同制御コンピュータ85は、各センサ81,82による検出値、エアコンスイッチ83のオン・オフ信号、車室温度設定器84による設定温度信号等に基づいて入力電流値を決定し、ソレノイド74へ出力する。
【0044】
次に、前記構成の圧縮機の作用について説明する。
制御コンピュータ85は、エアコンスイッチ83がオン状態の下で、車室温度センサ82の検出値が車室温度設定器84の設定温度以上である場合に、ソレノイド74の励磁を指令する。そして、ソレノイド74に所定の電流が供給され、図1に示すように、両鉄芯64,67間に入力電流値に応じた吸引力が生じる。この吸引力は、強制開放バネ56の付勢力に抗して、弁開度が減少する方向の力としてソレノイドロッド70を介して弁体54に伝達される。一方、ベローズ60は、吸入通路32から感圧通路50を介して感圧室58に導入される吸入圧の変動に応じて変位する。そして、同ベローズ60はソレノイド74の励磁状態において吸入圧に感応し、その変位が感圧ロッド62を介して弁体54に伝達される。容量制御弁49の弁開度は、ソレノイド部52からの付勢力、ベローズ60からの付勢力及び強制開放バネ56の付勢力のバランスにより決定される。
【0045】
冷房負荷が大きい場合には、例えば、車室温度センサ82によって検出された車室温度と、車室温度設定器84の設定温度との差が大きい。制御コンピュータ85は、車室温度と設定温度とに基づいて設定吸入圧を変更するようにソレノイド74への入力電流値を制御する。制御コンピュータ85は車室温度と設定温度との差が大きいほど入力電流値を大きくする。従って、固定鉄芯64と可動鉄芯67との間の吸引力が強くなり、弁体54の弁開度が小さくなる方向の付勢力が増大する。そして、より低い吸入圧にて、弁体54の開閉が行われる。従って、容量制御弁49は、入力電流値が増大されることにより、より低い吸入圧を保持するように作動される。
【0046】
弁体54の弁開度が小さくなれば、吐出室39から給気通路48を経由してクランク室15へ流入する冷媒ガス量が少なくなる。この一方で、クランク室15の冷媒ガスは、通路46及び放圧通口47を経由して吸入室38へ流出している。このため、クランク室15の圧力が低下する。また、冷房負荷が大きい状態では、シリンダボア12aの吸入圧も高く、クランク室15の圧力とシリンダボア12aの吸入圧との差が小さくなる。従って、斜板23の傾角が大きくなる。
【0047】
給気通路48における通過断面積が零、つまり容量制御弁49の弁体54が弁孔55を完全に閉止した状態となると、吐出室39からクランク室15への高圧冷媒ガスの供給は行われない。そして、クランク室15の圧力は、吸入室38の圧力と略同一になり、斜板23の傾角は最大となる。
【0048】
逆に、冷房負荷が小さい場合には、例えば、車室温度と設定温度との差は小さい。制御コンピュータ85は車室温度が低いほど入力電流値を小さくするように指令する。このため、固定鉄芯64と可動鉄芯67との間の吸引力は弱く、弁体54の弁開度が小さくなる方向の付勢力が減少する。そして、より高い吸入圧にて、弁体54の開閉が行われる。従って、容量制御弁49は、入力電流値が減少されることにより、より高い吸入圧を保持するように作動する。
【0049】
弁体54の弁開度が大きくなれば、吐出室39からクランク室15へ流入する冷媒ガス量が多くなり、クランク室15の圧力が上昇する。また、この冷房負荷が小さい状態では、シリンダボア12aの吸入圧が低く、クランク室15の圧力とシリンダボア12aの吸入圧との差が大きくなる。従って、斜板23の傾角が小さくなる。
【0050】
冷房負荷がない状態に近づいてゆくと、蒸発器79における温度がフロスト発生をもたらす温度に近づいてゆく。同フロスト判定温度は、蒸発器79においてフロストが発生しそうな状況を反映する。制御コンピュータ85は、蒸発器温度がフロスト判定温度以下になるとソレノイド74の消磁を指令する。また、同制御コンピュータ85は、エアコンスイッチ83がオフとなるとソレノイド74を消磁の消磁を指令する。
【0051】
従って、ソレノイド74は電流供給の停止により消磁され、固定鉄芯64と可動鉄芯67との吸引力が消失する。このため、図2に示すように、弁体54は、強制開放バネ56の付勢力により、可動鉄芯67及びソレノイド74を介して作用する追従バネ68の付勢力に抗して下方に移動される。そして、弁体54が弁孔55を最大に開いた弁開度位置に移行する。このため、吐出室39の高圧冷媒ガスが多量に給気通路48を介してクランク室15へ供給され、同クランク室15の圧力が高くなる。クランク室15の圧力上昇により、斜板23が最小傾角へ移行する。
【0052】
このように、容量制御弁49の開閉動作は、ソレノイド74に対する入力電流値の大小に応じて変化される。入力電流値が大きくなると低い吸入圧にて開閉が実行され、入力電流値が小さくなると高い吸入圧にて開閉動作が行われる。圧縮機は設定された吸入圧を維持すべく、斜板23の傾角を変更し、その吐出容量を変更する。つまり、容量制御弁49は、入力電流値を変えて設定吸入圧を変更する役割、及び、吸入圧に関係なく最小容量運転を行う役割を担っている。このような容量制御弁49を具備することにより、圧縮機は冷凍回路の冷凍能力を変更する役割を担っている。
【0053】
斜板23の傾角が最小となると、遮断体28はその遮断面34を以て位置決め面33に当接され、吸入通路32と収容孔27との連通が遮断される。この状態では、吸入通路32における通過断面積が零となり、外部冷媒回路76から吸入室38への冷媒ガスの流入が阻止される。同斜板23の最小傾角は、0°よりも僅かに大きくなるように設定されている。この最小傾角状態は、遮断体28が吸入通路32と収容孔27とを遮断する閉位置に配置されたときにもたらされる。遮断体28は斜板23の傾動に連動して、閉位置と同閉位置から離間されて吸入通路32と収容孔27とを接続する開位置とに切り換え配置される。
【0054】
斜板23の最小傾角は0°ではないため、最小傾角状態においても、シリンダボア12aから吐出室39への冷媒ガスの吐出は行われている。シリンダボア12aから吐出室39へ吐出された冷媒ガスは、給気通路48を通ってクランク室15へ流入する。クランク室15の冷媒ガスは、通路46及び放圧通口47を通って吸入室38へ流入する。吸入室38の冷媒ガスは、シリンダボア12aに吸入されて、再度吐出室39へ吐出される。すなわち、最小傾角状態では、吐出圧領域である吐出室39、給気通路48、クランク室15、通路46、放圧通口47、収容孔27、吸入圧領域である吸入室38、シリンダボア12aを経由する循環通路が圧縮機内部に形成されている。そして、吐出室39、クランク室15及び吸入室38の間では、圧力差が生じている。従って、冷媒ガスが前記循環通路を循環し、冷媒ガスとともに流動する潤滑油が圧縮機内の各摺動部を循環する。
【0055】
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
図3は、斜板23の回転が停止してなおかつ同斜板23が最小傾角の状態を示している。第1仮想平面H1は駆動軸16の軸線Lを含み、斜板23を上死点位置D1側と下死点位置D2側とに仮想的に二分割する。第2仮想平面H2は、駆動軸16の軸線L、上死点位置D1及び下死点位置D2を含み、従って、同第2仮想平面H2は第1仮想平面H1に直交されている。そして、斜板23の重心Gは、第1仮想平面H1による上死点位置D1側の分割部分において、第2仮想平面H2上に設定されている。また、同重心Gは、第2仮想平面H2において斜板23の前面寄りに設定されており、図4において矢印Aで示すように、斜板23が最小傾角から最大傾角側に傾動されると第1仮想平面H1から離れて行き、同斜板23が最大傾角の状態では第1仮想平面H1から最も離間される。同重心Gの設定は、例えば、カウンタウエイト59の重量や、同カウンタウエイト59とヒンジ機構71との位置関係を調節すること等により行われる。
【0056】
さて、図4に示すように、前記斜板23が最小傾角の状態で回転を開始すると、同斜板23の上死点位置D1側に作用される遠心力R1と下死点位置D2側に作用される遠心力R2との間に、R1>R2となるアンバランスが生じる。従って、同斜板23は、駆動軸16に対して上死点位置D1側へずれようとし、その挿通孔23aは下死点位置D2に対応する内面が駆動軸16に押し付けられた状態となる。この挿通孔23aの内面と駆動軸16との軸線L周りでの当接位置関係は、従来技術において詳述した、吐出容量が最大側の時と同じ状態であって、しかも、同関係は斜板23がいずれの位置に回転変位されても変わることはない。
【0057】
前記重心Gは、斜板23が最小傾角から最大傾角側の所定傾角に傾動されても、常に、第1仮想平面H1による上死点位置D1側の分割部分において、第2仮想平面H2上に存在する。従って、挿通孔23aの内面と駆動軸16との軸線L周りでの当接位置関係は、圧縮荷重Kに基づく分力F1をそれ程期待できない最小以外の小吐出容量運転時においても、吐出容量が最大側の時と同じ状態に維持される。つまり、本実施形態では、圧縮機の運転中において、挿通孔23aの内面と駆動軸16との軸線L周りでの当接位置関係が、斜板23の回転変位及び同斜板23の傾角(吐出容量)の増減によって変化することがないように構成されている。
【0058】
上記構成の本実施形態においては、次のような効果を奏する。
(1)斜板23の重心Gは、第1仮想平面H1による上死点位置D1側の分割部分に存在する。従って、同斜板23に作用される遠心力にはアンバランス(R1>R2)が生じる。その結果、吐出容量が最小となった場合でも、斜板23の挿通孔23aの内面が駆動軸16に押し付けられ、同斜板23はいずれの位置に回転変位されても、駆動軸16に対して重力方向にずれ落ちることがない。その結果、同斜板23が、圧縮機の最小吐出容量運転中に、駆動軸16に対して衝撃的に当接されるような状況を避けることができ、振動や騒音の発生を防止できる。
【0059】
(2)ガイド面24bは、軸線Lに対して外方から近づくように延在されている。従って、斜板23の傾角が最大側に調節されると、圧縮荷重Kに基づく分力F1により、斜板23の挿通孔23aは下死点位置D2に対応する内面が駆動軸16に押し付けられた状態となる。その結果、吐出容量が最大側の時においても、斜板23の駆動軸16に対する重力方向へのずれ落ちを防止できる。
【0060】
(3)重心Gは、斜板23が最小傾角から最大傾角側の所定傾角に傾動されても、常に、第1仮想平面H1による上死点位置D1側の分割部分に存在する。従って、圧縮荷重Kに基づく分力F1をそれ程期待できない最小以外の小吐出容量運転時においても、斜板23が駆動軸16に対して重力方向に落下することを防止できる。その結果、前記(1)及び(2)と併せて、全吐出容量域において、斜板23が駆動軸16に対して重力方向にずれ落ちることを防止できる。
【0061】
(4)前記(1)〜(3)で述べたように、斜板23の傾角にかかわらず、同斜板23の挿通孔23aは、常に下死点位置D2側の内面が駆動軸16に押し付けられた状態となる。従って、吐出容量が変更されても、斜板23の挿通孔23aの内面と駆動軸16との当接位置関係にそれほどずれが生じることはない。その結果、ピストン36の上死点の位置のシリンダボア12aに対する変位を少なく抑えることができ、同ピストン36と弁形成体14との衝突を危惧することなく、トップクリアランスを零付近に設定することが可能となる。よって、全吐出容量域において圧縮効率が向上される。
【0062】
(5)前記(4)に加え、重心Gは、第1仮想平面H1による上死点位置D1側の分割部分において第2仮想平面H2上に存在する。従って、遠心力のアンバランス(R1>R2)が、前述した圧縮荷重Kに基づく分力F1と同じ方向に作用され、吐出容量が最小側において斜板23の挿通孔23aは、最大側の時と同様に、下死点位置D2に対応する内面が駆動軸16に押し付けられる。つまり、圧縮機の運転中において、挿通孔23aの内面と駆動軸16との軸線L周りでの当接位置関係が、斜板23の回転変位及び同斜板23の傾角(吐出容量)の増減によって変化することが殆どない。その結果、ピストン36の上死点の位置がシリンダボア12aに対して変位されることを防止でき、トップクリアランスをより零付近に設定することが可能となる。よって、全吐出容量域において、圧縮効率のさらなる向上を図り得る。
【0063】
(6)外部冷媒回路76からの冷媒ガスの吸入を遮断体28により遮断することで、同外部冷媒回路76上の冷媒循環を阻止することが可能である。従って、冷房不要時等においても圧縮機の運転は継続されて良く、駆動軸16と車両エンジン20との間には、高価かつ重量物である電磁クラッチ等のクラッチ機構が介在されていない。その結果、圧縮機全体の軽量化及び低コスト化を図り得るし、同電磁クラッチのオン・オフショックによる体感フィーリングの悪さを解消できる。
【0064】
(7)遮断体28は、斜板23の最小傾角位置に連動して外部冷媒回路76上の冷媒循環を阻止する。従って、圧縮機は最小吐出容量となってその駆動トルクも少なくてすみ、冷房不要時の動力損失を低減できる。
【0065】
(8)クラッチレスタイプの可変容量型圧縮機は、車両エンジン20が運転される限り、冷房不要時等においても吐出容量を最小として運転し続ける。従って、クラッチ付きの圧縮機と比較して最小吐出容量運転の頻度が高く、同最小吐出容量運転時における振動や騒音の発生は特に問題となる。つまり、クラッチレスタイプの可変容量型圧縮機において具体化した本実施形態においては、その効果を奏するのに特に有効である。
【0066】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
(1)上記実施形態において斜板23の重心Gは、同斜板23の傾角にかかわりなく、常に、第1仮想平面H1による上死点位置D1側の分割部分に存在する。しかし、斜板23の傾角が最大側に変更されて所定傾角を越え、圧縮荷重Kに基づく分力F1を期待できるようになれば、前記重心Gは第1仮想平面H1による下死点位置D2側の分割部分に移動していても良い。
【0067】
(2)上記実施形態において斜板23の重心Gは、同斜板23が最小傾角から最大傾角側に傾動されると第1仮想平面H1から離れて行き、最大傾角の状態で第1仮想平面H1から最も離間される。従って、斜板23に作用する遠心力のアンバランス(R1>R2)は、同斜板23が最小傾角で最も小さく、最大傾角で最も大きくなる。これを変更し、斜板23の重心Gが、同斜板23が最小傾角から最大傾角側に傾動されると第1仮想平面H1に近づいて行き、最大傾角の状態で第1仮想平面H1に最も近接されるように構成しても良い。この場合、斜板23に作用する遠心力のアンバランス(R1>R2)は、同斜板23が最小傾角で最も大きく、最大傾角で最も小さくなる。
【0068】
(3)クラッチ付きの可変容量型圧縮機において具体化すること。
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記カムプレート23の傾角が最小傾角から最大傾角側に変更されるにつれて、同カムプレート23の重心Gが仮想平面H1から離れて行くように構成された請求項1〜6のいずれかに記載の可変容量型圧縮機。
【0069】
このようにすれば、カムプレート23に作用する遠心力のアンバランス(R1>R2)は、同カムプレート23が最小傾角で最も小さく、最大傾角で最も大きくなる。
【0070】
(2)前記カムプレート23の傾角が最小傾角から最大傾角側に変更されるにつれて、同カムプレート23の重心Gが仮想平面H1に近づくように構成された請求項1〜6に記載のいずれか可変容量型圧縮機。
【0071】
このようにすれば、カムプレート23に作用する遠心力のアンバランス(R1>R2)は、同カムプレート23が最小傾角で最も大きく、最大傾角側に近づくにつれて小さくなる。
【0072】
【発明の効果】
上記構成の請求項1の発明によれば、最小傾角状態でカムプレートは、いずれに回転変位されても駆動軸に対して重力方向にずれ落ちることはない。従って、最小吐出容量運転時における、振動や騒音の発生を防止できる。
【0073】
請求項2の発明によれば、吐出容量が最大側の時においても、カムプレートの駆動軸に対する重力方向へのずれ落ちを確実に防止でき、振動や騒音の発生を防止できる。
【0074】
請求項3の発明によれば、全吐出容量域において、カムプレートの駆動軸に対する重力方向へのずれ落ちを確実に防止でき、振動や騒音の発生を防止できる。また、吐出容量が変更されても、カムプレートの挿通孔の内面と駆動軸との当接位置関係にそれほどずれが生じることはなく、ピストンの上死点の位置の変位を少なく抑えることが可能となる。従って、トップクリアランスを零付近に設定することが可能となり、全吐出容量域において圧縮効率を向上し得る。
【0075】
請求項4の発明によれば、全吐出容量域において、カムプレートの挿通孔の内面と駆動軸との当接位置関係が一定に維持され、ピストンの上死点の位置が変位されることは殆どない。従って、トップクリアランスをより零付近に設定することが可能となり、全吐出容量域において圧縮効率をさらに向上し得る。
【0076】
請求項5の発明によれば、外部冷媒回路上の冷媒循環を阻止することができ、請求項6の発明によれば、駆動軸と外部駆動源との間に高価かつ重量物である電磁クラッチ等のクラッチ機構を介在させない。その結果、圧縮機全体の軽量化及び低コスト化を図り得るし、同電磁クラッチのオン・オフショックによる体感フィーリングの悪さを解消できる。
【0077】
例えば、クラッチレスタイプの可変容量型圧縮機は、クラッチ付きのタイプと比較して最小吐出容量運転の頻度が高い。つまり、最小吐出容量運転時における振動・騒音対策が特に重要視され、同圧縮機に請求項1の発明を適用することで、その効果がより有効に奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クラッチレスタイプの可変容量型圧縮機の縦断面図。
【図2】 圧縮機の最小吐出容量状態を示す説明図。
【図3】 斜板の部分破断斜視図。
【図4】 圧縮機の要部拡大断面図。
【図5】 従来の可変容量型圧縮機を示す要部拡大断面図。
【図6】 圧縮機の最小吐出容量状態を示す説明図。
【符号の説明】
16…駆動軸、22…回転支持体、23…カムプレートとしての斜板、23a…挿通孔、36…ピストン、71…ヒンジ機構、D1…上死点位置、D2…下死点位置、G…斜板の重心、H1…仮想平面としての第1仮想平面、L…駆動軸の軸線。
Claims (6)
- 駆動軸には回転支持体が固定され、同じく駆動軸にはカムプレートが、その中央部に貫設された挿通孔を以って同駆動軸の軸線方向へスライド移動可能でかつ傾動可能に支持され、同カムプレートにはピストンが連結され、回転支持体とカムプレートとの間にはヒンジ機構が介在されており、同ヒンジ機構の案内により、カムプレートの傾角を最大傾角と最小傾角との間で変更することでピストンのストロークを変更して吐出容量を制御する構成の可変容量型圧縮機において、
前記カムプレートが最小傾角の状態で、同カムプレートを駆動軸の軸線を含む仮想平面によって上死点位置側と下死点位置側とに二分割した場合、その重心が上死点位置側の分割部分に存在するとともに、前記カムプレートの挿通孔と駆動軸との間には所定のクリアランスが存在し、前記カムプレートが最小傾角の状態では前記カムプレートの挿通孔における前記下死点位置側の内面は前記駆動軸に押し付けられ、前記上死点位置側の内面は駆動軸との間にクリアランスを有するように構成した可変容量型圧縮機。 - 前記ヒンジ機構は、一方に設けられたガイドピンと、他方に設けられ、駆動軸の軸線に対して外方から近づくように延在されてガイドピンの相対移動を案内するガイド面とを備えた請求項1に記載の可変容量型圧縮機。
- 前記重心は、カムプレートの傾角が最小傾角から最大傾角側の所定傾角に変更される間において、仮想平面による上死点位置側の分割部分に存在する請求項2に記載の可変容量型圧縮機。
- 前記仮想平面を第1仮想平面とすると、前記重心は、駆動軸の軸線、上死点位置及び下死点位置を含み第1仮想平面と直交する第2仮想平面上に存在する請求項3に記載の可変容量型圧縮機。
- 外部冷媒回路上の冷媒循環を阻止することが可能な冷媒循環阻止手段を備えた請求項1〜4のいずれかに記載の可変容量型圧縮機。
- 前記駆動軸は、外部駆動源に対してクラッチ機構を介することなく作動連結されている請求項5に記載の可変容量型圧縮機。
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