JP3182955B2 - 片側ピストン式可変容量圧縮機におけるクラッチレス構造 - Google Patents

片側ピストン式可変容量圧縮機におけるクラッチレス構造

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JP3182955B2
JP3182955B2 JP00363693A JP363693A JP3182955B2 JP 3182955 B2 JP3182955 B2 JP 3182955B2 JP 00363693 A JP00363693 A JP 00363693A JP 363693 A JP363693 A JP 363693A JP 3182955 B2 JP3182955 B2 JP 3182955B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転軸に傾動可能に支
持された斜板の回転運動を片頭ピストンの往復直線運動
に変換すると共に、クランク室内の圧力と吸入圧との片
頭ピストンを介した差により斜板の傾角を制御する片側
ピストン式可変容量圧縮機におけるクラッチレス構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平3−143725号公報に開示さ
れる可変容量型揺動斜板式圧縮機では、外部駆動源と圧
縮機の回転軸との間の動力伝達の連結及び遮断を行なう
電磁クラッチを使用していない。電磁クラッチを無くせ
ば、特に車両搭載形態ではそのON−OFFのショック
による体感フィーリングの悪さの欠点を解消できると共
に、圧縮機全体の重量減、コスト減が可能となる。
【0003】前記従来公報に開示される可変容量型揺動
斜板式圧縮機では、斜板を収容するクランク室内の圧力
を急激に高めて斜板傾角を0°にもってゆき、吐出容量
を零に落とすようになっている。この吐出容量の急激な
低下により圧縮機における負荷が急激に低下する。圧縮
機を車両に搭載している場合には、車両の加速時、登坂
時に車両エンジン出力全てを車両の駆動に振り向けるの
が望ましく、このような場合に圧縮機における負荷の急
激な低減が行われる。
【0004】斜板傾角を零から増大して容量復帰する場
合には油圧アクチュエータによって斜板を傾角増大方向
へ押している。前記従来装置では、クランク室内の圧力
を急激に高めるために吐出室とクランク室とをガス通路
で結び、この通路上に第1の電磁開閉弁を介在してい
る。又、クランク室の底部の貯油部と油圧アクチュエー
タとを油通路で結び、この通路上に第2の電磁開閉弁を
介在している。従って、吐出容量を零にする場合には第
1の電磁開閉弁が開かれ、吐出容量を復帰する場合には
第2の電磁開閉弁が開かれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧縮機
内に2つの電磁開閉弁を組み込む構成は圧縮機の大型
化、重量増となって不利である。又、吐出容量が零の状
態が続けばクランク室の圧力が吸入圧領域へ抜けてゆ
き、圧縮機内の冷媒ガス圧が均一化する。そうすると、
斜板が勝手に傾き始め、容量復帰が勝手に行われるおそ
れがある。しかも、吐出容量が零でないときに圧縮機の
回転を止めた場合、次の圧縮機の起動時には圧縮作用の
ために起動ショックが大きくなる。
【0006】本発明は、圧縮機の大型化、重量増を抑制
し、勝手な容量復帰をもたらすことなく、かつ起動ショ
ックの少ないクラッチレス構造を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
クランク室、吸入室、吐出室及びこれら各室を接続する
シリンダボアを区画形成し、シリンダボア内に片頭ピス
トンを往復直線運動可能に収容するハウジング内の回転
軸上に斜板支持体をスライド可能に支持し、この斜板支
持体上に斜板を傾動可能に支持すると共に、回転軸上の
回転支持体に斜板を傾動可能に連係し、クランク室内の
圧力と吸入圧との片頭ピストンを介した差により斜板の
傾角を制御する片側ピストン式可変容量圧縮機を対象と
し、斜板の傾角を零に強制変更する斜板傾角強制変更手
段と、前記回転軸上にて斜板傾角零となる位置に斜板支
持体を保持する零傾角保持手段と、斜板支持体を傾角減
少方向へ付勢する斜板傾角減少用付勢手段とを備え、斜
板の回転に伴って斜板支持体を中心にして斜板を傾角増
大方向へ付勢する遠心作用をもたらす位置に斜板の重心
を設定してクラッチレス構造を構成した。
【0008】
【作用】斜板傾角強制変更手段が作動されると、斜板傾
角が零へ移行する。斜板支持体は零傾角保持手段によっ
て斜板傾角が零となる位置に保持される。斜板傾角が零
でないときに斜板の回転が止まると、斜板傾角減少用付
勢手段の付勢力が斜板傾角零となる位置へ斜板支持体を
移動する。斜板が回転し始めると、斜板傾角増大方向へ
作用する遠心力が斜板に発生し、斜板が傾く。
【0009】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図1〜
図9に基づいて説明する。図1に示すように圧縮機全体
のハウジングの一部となるシリンダブロック1の前端に
はフロントハウジング2が接合されている。シリンダブ
ロック1の後端にはリヤハウジング3がバルブプレート
4、弁形成プレート5A,5B及びリテーナ形成プレー
ト6を介して接合固定されている。
【0010】フロントハウジング2には回転軸7がラジ
アルベアリング8を介して回転可能に支持されている。
回転軸7の前端はフロントハウジング2内のクランク室
2aから外部へ突出しており、この突出端部にはプーリ
9が螺着されている。プーリ9はベルト10を介して車
両エンジンに作動連結されている。回転軸7の前端部と
フロントハウジング2との間にはリップシール11が介
在されている。リップシール11はクランク室2a内の
圧力洩れを防止する。
【0011】回転軸7には回転支持体18が止着されて
おり、回転軸7の内端部には筒体12が圧入によって嵌
合連結されている。筒体12はラジアルベアリング13
を介してシリンダブロック1に回転可能に支持されてお
り、回転軸7と一体的に回転する。
【0012】回転軸7と一体的に回転する筒体12には
球面状の斜板支持体14がスライド可能に支持されてお
り、斜板支持体14には斜板15が筒体12の軸線方向
へ傾動可能に支持されている。ラジアルベアリング13
を収容するシリンダブロック1内の収容孔1a1 の周壁
と筒体12との間にはシールリング38が介在されてい
る。シールリング38はラジアルベアリング13をクラ
ンク室2aから隔絶する。シールリング38はサークリ
ップ39によってクランク室2aへの飛び出しを防止さ
れている。
【0013】筒体12の周面と斜板支持体14との間に
は引っ張りばね40が張設されている。引っ張りばね4
0は斜板支持体14を回転支持体18側へ付勢する斜板
傾角減少用付勢手段となる。引っ張りばね40の張設範
囲にて筒体12の外周面には位置規制リング52が止着
されている。
【0014】斜板15の最大傾角は回転支持体18の傾
角規制突部18bと斜板15との当接によって規制され
る。又、斜板15の最小傾角は斜板支持体14と位置規
制リング52との当接によって規制される。斜板支持体
14が位置規制リング52に当接しているときの斜板1
5の傾角は0°となる。
【0015】斜板15には連結片16A,16Bが止着
されている。図2に示すように連結片16A,16Bに
は一対のガイドピン17A,17Bが止着されている。
即ち、斜板15、連結片16A,16B及びガイドピン
17A,17Bが一体化されている。
【0016】回転支持体18には支持アーム18aが突
設されている。図2に示すように支持アーム18aには
支持ピン19が回動可能かつ回転軸7に対して直角を成
す方向へ貫通支持されている。一対のガイドピン17
A,17Bは支持ピン19の両端部にスライド可能に嵌
入されている。支持アーム18a上の支持ピン19と一
対のガイドピン17A,17Bとの連係により斜板15
が斜板支持体14を中心に回転軸7及び筒体12の軸線
L方向へ傾動可能かつ回転軸7及び筒体12と一体的に
回転可能である。即ち、斜板15、連結片16A,16
B及びガイドピン17A,17Bは、一体となって斜板
支持体14の球面中心Pを中心に前後に傾動可能であ
り、回転軸7及び筒体12と一体となって回転可能であ
る。斜板支持体14の球面中心Pは回転軸7の回転軸線
L上に一致させてある。
【0017】斜板15の傾動は、支持ピン15とガイド
ピン17A,17Bとのスライドガイド関係、斜板支持
体14のスライド作用及び斜板支持体14の支持作用に
より案内される。
【0018】一体化された斜板15、連結片16A,1
6B及びガイドピン17A,17Bの全体の重心Cは、
斜板支持体14の球面中心Pよりも回転支持体18側、
かつ回転軸線Lよりも支持アーム18a側に設定されて
いる。このような重心設定構成のため、斜板15が回転
すると、図1及び図6に矢印Qで示す遠心力が斜板15
に作用し、斜板支持体14が斜板支持体14が斜板傾角
増大方向へ付勢される。車両エンジンのアイドル回転時
の回転軸7の回転数をNとする。引っ張りばね40のば
ね力は、回転数Nのときに斜板15、連結片16A,1
6B及びガイドピン17A,17Bに発生する遠心力に
よって斜板支持体14を傾角増大方向へ付勢する力より
も小さくしてある。即ち、斜板15の回転が止まると、
斜板支持体14は引っ張りばね40のばね力によって位
置規制リング52側へ移動する。
【0019】クランク室2aに接続するようにシリンダ
ブロック1に貫設されたシリンダボア1b内には片頭ピ
ストン20が収容されている。片頭ピストン20の首部
20aには一対のシュー21が嵌入されている。斜板1
5の周縁部は両シュー21間に入り込み、斜板15の両
面には両シュー21の端面が接する。従って、斜板15
の回転運動がシュー21を介して片頭ピストン20の前
後往復揺動に変換され、片頭ピストン20がシリンダボ
ア1b内を前後動する。
【0020】図1及び図4に示すようにリヤハウジング
3内には吸入室3a及び吐出室3bが区画形成されてい
る。バルブプレート4上には吸入ポート4a及び吐出ポ
ート4bが形成されている。弁形成プレート5A上には
吸入弁5aが形成されており、弁形成フレート5B上に
は吐出弁5bが形成されている。吸入室3a内の冷媒ガ
スは片頭ピストン20の復動動作により吸入ポート4a
から吸入弁5aを押し退けてシリンダボア1b内へ流入
する。シリンダボア1b内へ流入した冷媒ガスは片頭ピ
ストン20の往動動作により吐出ポート4bから吐出弁
5bを押し退けて吐出室3bへ吐出される。吐出弁5b
はリテーナ形成プレート6上のリテーナ6aに当接して
開度規制される。
【0021】図1及び図5に示すようにシリンダブロッ
ク1の上面には吐出フランジ22が形成されており、吐
出フランジ22内には排出口1cが設けられている。吸
入室3a内へ冷媒ガスを導入する導入口1dと、吐出室
3bから冷媒ガスを排出する排出口1cとは外部冷媒回
路(図示略)で接続されている。
【0022】排出口1c内には断面円形の油分離孔22
aが凹設されている。油分離孔22aは吐出通路23を
介して吐出室3bに連通しており、吐出室3b内の冷媒
ガスが油分離孔22a内へ吐出吹付される。冷媒ガス中
にはミスト状油が混入しており、この油が油分離孔22
aに対する冷媒ガスの吹付によって冷媒ガスから分離す
る。油分離孔22aの底部は油通路24を介してリップ
シール11の潤滑通路11aに連通している。油通路2
4の途中には絞り24aが設けられている。潤滑通路1
1aはラジアルベアリング8の間隙を経由してクランク
室2aに通じている。
【0023】片頭ピストン20のストロークはクランク
室2a内の圧力とシリンダボア1b内の吸入圧との片頭
ピストン20を介した差圧に応じて変わる。即ち、圧縮
容量を左右する斜板15の傾角が変化する。クランク室
2a内の圧力はリヤハウジング3の下部に取り付けられ
た制御弁25により制御される。制御弁25は冷房負荷
を反映する吸入圧の変動に基づいて弁開度を変え、吐出
室3bからクランク室2aへの吐出冷媒ガス流入量を制
御する。
【0024】筒体12内には切り換え体34A,34B
がスライド可能に収容されており、切り換え体34A,
34B間にはボール35が介在されている。回転軸7の
小径内端部7aは筒体12内に嵌入しており、ガス抜き
通路7bが回転軸7の周面から小径内端部7aの端面7
1 にかけて貫設されている。切り換え体34Aの前端
の小径部34aは小径内端部7a内のガス抜き通路7b
に突入しており、その先端はさらに回転軸7に嵌入して
いる。回転軸7と小径部34aの先端とは相対回転不能
であり、切り換え体34Aは回転軸7と一体的に回転す
る。一方、切り換え体34Bは筒体12に対して相対回
転可能である。
【0025】切り換え体34Aの段差34bとガス抜き
通路7bの段差7b1 との間には切り換え復帰ばね36
が介在されており、切り換え体34A,34Bがリヤハ
ウジング3側に付勢されている。
【0026】図3及び図7に示すように切り換え体34
Aの大径部には環状の退避溝34cが凹設されている。
筒体12には複数の出没孔12a(本実施例では3つ)
が周方向に配列されている。出没孔12aは筒体12の
内周面から外周面に向かうにつれて縮径となるテーパ形
状であり、これら各出没孔12内には保持ボール37が
収容されている。保持ボール37の径Dは筒体12の厚
みTよりも大きく、筒体12の厚みTと退避溝34cの
深さHとの和(T+H)よりも小さい。そして、出没孔
12aの筒体12外周面上の最小径は保持ボール37の
径Dよりも小さく、保持ボール37は出没孔12aから
(D−T)だけ突出可能である。出没孔12aの配列位
置は斜板15の傾角が零となる位置にある斜板支持体1
4の前端面14aよりも前側となる。
【0027】筒体12を収容するシリンダブロック1内
の収容孔1a2 はリヤハウジング2側に貫通しており、
収容孔1a2 にはバルブハウジング41が嵌入固定され
ている。バルブハウジング41内には弁座42及びボー
ル弁43が収容されている。バルブハウジング41に止
着されたばね受け44と弁座42との間には閉塞ばね4
5が介在されている。ボール弁43はバルブハウジング
41上の弁孔41aを閉塞する方向へ閉塞ばね45のば
ね作用を受けている。
【0028】切り換え体34Bの小径端部34dは切り
換え復帰ばね36のばね作用によって弁座42の背部に
押接している。収容孔1a2 は圧力通路46を介してク
ランク室2aに連通している。
【0029】図4に示すようにリヤハウジング3のラジ
アル中心部には吐出圧領域3b1 が吐出室3bから延出
して形成されており、バルブハウジング41の一部が収
容孔1a2 から吐出圧領域3b1 へ突出している。弁孔
41aは圧力通路41bを介して吐出圧領域3b1 へ通
じている。
【0030】リヤハウジング3のラジアル中心部には傾
角強制変更手段を構成する電磁ソレノイド47が配設さ
れている。コイル47aへの通電によって励磁される固
定鉄芯47bと可動鉄芯47cとの間には傾角強制変更
ばね48が介在されている。電磁ソレノイド47が励磁
されると可動鉄芯47cが傾角強制変更ばね48のばね
力に打ち勝って固定鉄芯47bに吸着される。可動鉄芯
47cの可動範囲は固定鉄芯47bに当接する位置とソ
レノイドハウジング47dの端壁に当接する位置との間
に規制され、ボール弁43は弁孔41aから距離L1
け離間できる。
【0031】可動鉄芯47cには押圧ロッド49が止着
されている。押圧ロッド49はスライド可能にバルブハ
ウジング41を貫通し、押圧ロッド49の前端は弁孔4
1aを通ってバルブハウジング41内に入りこんでい
る。
【0032】切り換え体34A,34B、ボール35、
弁座42、ボール弁43及び押圧ロッド49は、回転軸
7及び筒体12の軸線方向の移動に関して切り換え復帰
ばね36及び傾角強制変更ばね48のばね作用によって
一体化される。この一体化状態において電磁ソレノイド
47が励磁しているときには切り換え体34Aが切り換
え復帰ばね36のばね作用によってリヤハウジング3側
へ移動する。この移動により段差34bが回転軸7の端
面7a1 から離間し、退避溝34cが出没孔12aの配
列位置に一致する。
【0033】電磁ソレノイド47が消磁しているときに
は切り換え体34Aが傾角強制変更ばね48のばね作用
によって回転軸7側へ移動する。この移動により段差3
4bが端面7a1 に当接し、退避溝34cが出没孔12
aの配列位置から外れる。
【0034】切り換え体34Aの周面には線状のガス抜
き通路34eが軸線方向に形成されている。切り換え体
34Bの周面には線状のガス抜き通路34fが軸線方向
に形成されており、環状のガス抜き通路34gが周方向
に形成されている。ガス抜き通路34eは段差34bか
ら始まり、切り換え体34A,34B間の間隙50に通
じている。従って、段差34bと端面7a1 とが当接し
ている状態ではガス抜き通路7bとガス抜き通路34e
との連通が断たれる。ガス抜き通路34fは間隙50及
びガス抜き通路34gを繋いでおり、ガス抜き通路34
gは収容孔1a 1 及びガス抜き通路51を経由して吸入
室3aに連通している。
【0035】図1の状態では電磁ソレノイド47は励磁
状態にある。電磁ソレノイド47の励磁状態では図7に
示すようにボール弁43が弁孔41aを閉じており、吐
出圧領域3b1 の高圧冷媒ガスがクランク室2aへ供給
されることはない。又、切り換え体34Aの段差34b
が回転軸7の端面7a1 から離間し、クランク室2aと
吸入室3aとがガス抜き通路7b,34e,34f,3
4g,51によって連通する。さらに保持ボール37が
退避溝34cに落ち込んで筒体12の外周面から退避し
ており、斜板支持体14のスライドが保持ボール37に
よって阻害されることはない。従って、クランク室2a
の圧力は制御弁25によって制御され、斜板傾角が冷房
負荷を反映する吸入圧に応じて可変制御される。
【0036】電磁ソレノイド47は、空調装置停止スイ
ッチからのON信号、アクセルスイッチからのON信号
あるいは外気温センサからの所定温度以下の検出信号に
基づいて消磁される。電磁ソレノイド47が消磁すると
可動鉄芯47cが傾角強制変更ばね48のばね作用によ
り固定鉄芯47bから離間してソレノイドハウジング4
7dの端壁に当接する。この可動鉄芯47cの移動によ
りボール弁43、弁座42及び切り換え体43B,43
Aが一体的に回転支持体18側へ押し動かされる。斜板
支持体14が斜板傾角零となる位置に来ていないときに
は保持ボール37は筒体12の外周面から突出できな
い。即ち、退避溝34c内の保持ボール37の位置は斜
板支持体14のスライドを許容する位置となる。
【0037】退避溝34cと切り換え体34Aの大径周
面との小段差34c1 が保持ボール37を押さえ付ける
までには切り換え体34A,34B及びボール弁43は
図7の状態から図8の状態へ距離L2 (<L1 )だけ移
動できる。従って、ボール弁43が弁孔41aから距離
2 だけ離間し、ボール弁43が弁孔41aを開く。こ
の弁開により、吐出圧領域3b1 の高圧冷媒ガスが圧力
通路41b,46を経由してクランク室2aへ流入す
る。
【0038】切り換え体34A,34B及びボール弁4
3は図8の状態から図9の状態へさらに移動可能であ
る。切り換え体34A,34B及びボール弁43が図9
の状態へ切り換え配置されると、段差7a1 ,34bが
当接し、ガス抜き通路34eが遮断される。この遮断に
よりクランク室2aと吸入室3aとのガス抜き通路7
b,34e,34f,34g,51を介した連通が遮断
される。
【0039】ガス抜き通路7b,34e,34f,34
g,51の遮断及び高圧冷媒ガスの流入によりクランク
室2a内の圧力が吐出圧まで急激に上昇する。斜板1
5、連結片16A,16B及びガイドピン17A,17
Bの全体の重心Cの配置構成により、回転する斜板15
には傾角増大方向への遠心力が作用する。即ち、この遠
心力は斜板支持体14を回転支持体18側へ付勢する。
クランク室2a内の急激な昇圧は回転支持体18側へ付
勢する遠心力に抗して斜板支持体14を位置規制リング
52側へ移動する。図6に示すように斜板支持体14が
位置規制リング52に当接すると、斜板15の傾角が0
°となる。従って、吐出容量は零となり、クラッチ装着
式の圧縮機においてクラッチを遮断したときの圧縮機無
負荷状態と同じような状態が得られる。圧縮機負荷が零
状態になれば車両用エンジンの全出力が車両駆動に向け
られる。
【0040】即ち、バルブハウジング41、弁座42及
びボール弁43からなる開閉弁、圧力通路41b,5
1、電磁ソレノイド47が斜板傾角を零に強制変更する
斜板傾角強制変更手段を構成する。
【0041】斜板傾角が零となる位置に斜板支持体14
が来ると、保持ボール37は斜板支持体14の被覆作用
から解放され、出没孔12aから突出可能となる。切り
換え体34Aは傾角強制変更ばね48のばね作用によっ
て回転支持体18側へさらに付勢されている。そのた
め、図9に示すように保持ボール37が退避溝34cか
ら切り換え体34Aの大径周面に乗り上げ、出没孔12
aから突出する。斜板傾角零となる位置の斜板支持体1
4は出没孔12aから突出する保持ボール37によって
回転支持体18側への移動を阻止される。即ち、出没孔
12aから突出した保持ボール37の位置は斜板傾角零
となる位置に斜板支持体14を保持する零傾角保持位置
となる。即ち、保持ボール37、切り換え体34A,3
4B及びボール35が斜板傾角零となる位置に斜板支持
体14を保持する零傾角保持手段となる。
【0042】吐出容量零となる斜板傾角零の状態が続け
ば、圧縮機内の圧力が均一化してしまい、クランク室2
a内の圧力のみによって斜板15の傾角を零に保持して
おくことはできない。しかし、斜板支持体14は出没孔
12aから突出する保持ボール37によって回転支持体
18側への移動を阻止されており、斜板傾角が勝手に復
帰することはない。
【0043】斜板15の傾角が0°となった状態で圧縮
機を運転しても吐出容量が零となるため、圧縮機内及び
外部冷媒回路内の冷媒ガス圧は均一になる。そのため、
クランク室2a内の圧力を低下させて斜板15を傾ける
ことはできない。本実施例では電磁ソレノイド47を励
磁することによって斜板15が傾けられる。
【0044】電磁ソレノイド47の励磁により可動鉄芯
47cが傾角強制変更ばね48のばね作用に抗して固定
鉄芯47bに吸着される。この吸着により切り換え体3
4A,34B及びボール弁43が切り換え復帰ばね36
のばね作用によってリヤハウジング3側へ移動し、退避
溝34cが出没孔12aの配列位置に一致する。従っ
て、保持ボール37が退避溝34cへ落ち込み可能とな
り、斜板支持体14が保持ボール37の移動阻止作用か
ら解放される。保持ボール37の移動阻止作用から解放
された斜板支持体14は、斜板15、連結片16A,1
6B及びガイドピン17A,17B全体の重心Cの配置
構成による遠心力によって回転支持体18側へ移動し、
斜板15が傾く。従って、片頭ピストン20が往復動を
開始し、吐出作用が行われる。
【0045】斜板15の傾角を零に強制変更するのは電
磁ソレノイド47の消磁によるクランク室2aへの高圧
供給である。斜板15の傾角を復帰させるのは、電磁ソ
レノイド47の励磁によるクランク室2aへの高圧供給
停止、及び斜板15、連結片16A,16B、ガイドピ
ン17A,17B全体の重心Cの配置構成による遠心力
の作用による。又、斜板15の傾角が零となる位置に斜
板支持体14を保持するための保持ボール37は電磁ソ
レノイド47の励消磁に伴う切り換え体34Aの切り換
え動作による。即ち、斜板傾角を零に強制変更するため
の電磁ソレノイド47の励消磁のみによって斜板傾角零
保持及び斜板傾角復帰も行われる。従って、斜板傾角を
零にするための電磁弁及び斜板傾角を復帰するための電
磁弁をそれぞれ必要とする特開平3−143725号公
報に開示されるクラッチレス圧縮機の場合とは異なり、
圧縮機の大型化及び重量増がもたらされることはない。
【0046】クラッチレス圧縮機では車両エンジンを止
めれば圧縮機の回転も止まる。吐出容量が零でないとき
に車両エンジンを止めると斜板15の回転が止まる。斜
板15の回転が止まると、斜板15、連結片16A,1
6B及びガイドピン17A,17B全体の重心Cの配置
構成による遠心力が無くなる。そのため、斜板支持体1
4が引っ張りばね40のばね力によって位置規制リング
52側へ移動し、位置規制リング52に当接する。斜板
支持体14が位置規制リング52に当接すると斜板傾角
が零になる。従って、車両エンジンが停止すると、圧縮
機の吐出容量は零になる。
【0047】電磁ソレノイド47が励磁状態のとき、即
ち吐出容量が零でないときに車両エンジンを止めた場
合、斜板傾角が零へ移行しなければ次の車両エンジンの
起動時には圧縮作用のために起動ショックが大きくな
る。本実施例では、引っ張りばね40が圧縮機の回転を
止めた場合に斜板傾角を零へ移行する。従って、車両エ
ンジンの起動時には斜板傾角は零から始まり、起動ショ
ックは無くなる。
【0048】電磁ソレノイド47が消磁状態のとき、即
ち吐出容量が零のときに車両エンジンを止めた場合に
は、斜板傾角が零となっているために車両エンジンの起
動時には起動ショックは生じない。
【0049】電磁ソレノイド47が励磁状態のときに車
両エンジンを止め、圧縮機内の冷媒ガス圧が均一化した
後に車両エンジンを起動する場合がある。引っ張りばね
40が無いとすると、この起動直後に電磁ソレノイド4
7を消磁しても斜板傾角は零へ直ちに移行しない。クラ
ンク室2a内の圧力を上昇できないからである。クラン
ク室2a内の圧力を高めるには吐出冷媒ガス圧が高くな
っていなければならず、それまでの間吐出容量零へ移行
できない。本実施例の引っ張りばね40の存在はこのよ
うな不都合も解消する。
【0050】本発明は勿論前記実施例にのみ限定される
ものではなく、例えば図10に示す実施例も可能であ
る。この実施例では回転支持体18と斜板支持体14と
の間に押圧ばね53が介在されている。斜板15、連結
片16A,16B及びガイドピン17A,17Bの全体
の重心Cは、前記実施例と同様に、斜板支持体14の球
面中心Pよりも回転支持体18側、かつ回転軸線Lより
も支持アーム18a側にある。押圧ばね53のばね力
は、圧縮機の回転数Nのときに斜板15、連結片16
A,16B及びガイドピン17A,17Bに発生する遠
心力によって斜板支持体14を傾角増大方向へ付勢する
力よりも小さくしてある。即ち、斜板15の回転が止ま
ると、斜板支持体14は押圧ばね53のばね力によって
位置規制リング52側へ移動する。
【0051】又、本発明では、斜板支持体14の球面中
心Pよりもリヤハウジング3側、かつ支持アーム18a
側とは反対側の領域に斜板15、連結片16A,16B
及びガイドピン17A,17Bの全体の重心を設定して
もよい。このような重心構成によっても斜板15はその
回転によって傾角増大方向への遠心作用を受ける。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、斜板の傾
角を零に強制変更する斜板傾角強制変更手段と、前記回
転軸上にて斜板傾角零となる位置に斜板支持体を保持す
る零傾角保持手段と、斜板支持体を傾角減少方向へ付勢
する斜板傾角減少用付勢手段とを備え、斜板の回転に伴
って斜板支持体を中心にして斜板を傾角増大方向へ付勢
する遠心作用をもたらす位置に斜板の重心を設定したの
で、斜板傾角を零に強制変更するための傾角強制変更手
段の作動のみによって斜板傾角零保持及び斜板傾角復帰
が行われると共に、圧縮機の回転停止時には斜板傾角が
零に移行し、圧縮機の大型化及び重量増がもたらされる
ことなく、かつ勝手な容量復帰をもたらすことなく起動
ショックを解消し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具体化した一実施例の圧縮機全体の
側断面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 図1のB−B線断面図である。
【図4】 図1のC−C線断面図である。
【図5】 図1のD−D線断面図である。
【図6】 吐出容量零の状態を示す側断面図である。
【図7】 ボール弁が閉じている状態を示す要部拡大側
断面図である。
【図8】 ボール弁が弁孔から距離L2 だけ離間してい
る状態を示す要部拡大側断面図である。
【図9】 ボール弁が弁孔から最大に離間している状態
を示す要部拡大側断面図である。
【図10】 別例を示す圧縮機全体の側断面図である。
【符号の説明】
2a…クランク室、7…回転軸、14…斜板支持体、1
5…斜板、34A,34B…零傾角保持手段を構成する
切り換え体、37…零傾角保持手段を構成する保持ボー
ル、40…斜板傾角減少用付勢手段となる引っ張りば
ね、41b,46…傾角強制変更手段を構成する圧力通
路、43…傾角強制変更手段を構成するボール弁、47
…傾角強制変更手段を構成する電磁ソレノイド、C…重
心。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 園部 正法 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 27/08 F04B 27/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランク室、吸入室、吐出室及びこれら各
    室を接続するシリンダボアを区画形成し、シリンダボア
    内に片頭ピストンを往復直線運動可能に収容するハウジ
    ング内の回転軸上に斜板支持体をスライド可能に支持
    し、この斜板支持体上に斜板を傾動可能に支持すると共
    に、回転軸上の回転支持体に斜板を傾動可能に連係し、
    クランク室内の圧力と吸入圧との片頭ピストンを介した
    差により斜板の傾角を制御する片側ピストン式可変容量
    圧縮機において、 斜板の傾角を零に強制変更する斜板傾角強制変更手段
    と、 前記回転軸上にて斜板傾角零となる位置に斜板支持体を
    保持する零傾角保持手段と、 斜板支持体を傾角減少方向へ付勢する斜板傾角減少用付
    勢手段とを備え、 斜板の回転に伴って斜板支持体を中心にして斜板を傾角
    増大方向へ付勢する遠心作用をもたらす位置に斜板の重
    心を設定した片側ピストン式可変容量圧縮機におけるク
    ラッチレス構造。
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