JP3324248B2 - クラッチレス片側ピストン式可変容量圧縮機 - Google Patents

クラッチレス片側ピストン式可変容量圧縮機

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JP3324248B2
JP3324248B2 JP33214093A JP33214093A JP3324248B2 JP 3324248 B2 JP3324248 B2 JP 3324248B2 JP 33214093 A JP33214093 A JP 33214093A JP 33214093 A JP33214093 A JP 33214093A JP 3324248 B2 JP3324248 B2 JP 3324248B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クランク室内の圧力と
吸入圧との片頭ピストンを介した差により斜板の傾角を
制御し、制御通路を介して吐出圧領域の圧力をクランク
室に供給すると共に、放圧通路を介してクランク室の圧
力を吸入圧領域に放出してクランク室内の調圧を行なう
クラッチレス片側ピストン式可変容量圧縮機に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】特開平3−37378号公報に開示され
る可変容量型揺動斜板式圧縮機では、外部駆動源と圧縮
機の回転軸との間の動力伝達の連結及び遮断を行なう電
磁クラッチを使用していない。電磁クラッチを無くせ
ば、特に車両搭載形態ではそのON−OFFのショック
による体感フィーリングの悪さの欠点を解消できると共
に、圧縮機全体の重量減、コスト減が可能となる。
【0003】このようなクラッチレス圧縮機では冷房不
要時の吐出容量の多少及び外部冷媒回路上の蒸発器にお
けるフロスト発生が問題になる。冷房不要の場合あるい
はフロスト発生のおそれがある場合には外部冷媒回路上
の冷媒循環を止めればよい。特開平3−37378号公
報の圧縮機では外部冷媒回路から吸入室への冷媒ガス流
入を止めることによって外部冷媒回路上の冷媒循環停止
を達成している
【0004】
【発明が解決しようとする課題】外部冷媒回路から圧縮
機内の吸入室への冷媒ガス流入が止められると、吸入室
の圧力が低下し、吸入室の圧力に感応する容量制御弁が
全開する。この全開により吐出室の吐出冷媒ガスがクラ
ンク室へ流入し、クランク室の圧力が上昇する。又、吸
入室の圧力低下のためにシリンダボア内の吸入圧も低下
する。そのため、クランク室内の圧力とシリンダボア内
の吸入圧との差が大きくなり、斜板傾角が最小傾角へ移
行して吐出容量が最低となる。吐出容量が最低になれば
圧縮機におけるトルクは最低となり、冷房不要時の動力
損失が避けられる。
【0005】容量制御弁は連続的な容量可変制御を行な
うために用いられる。しかし、容量制御弁の使用はクラ
ッチレス圧縮機のコスト上昇をもたらす。本発明は容量
制御弁を用いることなく斜板傾角を最小傾角に移行し得
るクラッチレス圧縮機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
回転軸の周囲に配列された複数のシリンダボア内に片頭
ピストンを往復直線運動可能に収容するハウジング内の
回転軸に回転支持体を止着し、この回転支持体に斜板を
傾動可能に支持し、クランク室内の圧力と吸入圧との片
頭ピストンを介した差に応じて斜板の傾角が変わるクラ
ッチレス片側ピストン式可変容量圧縮機を対象とし、請
求項1に記載の発明では、最小容量状態では外部冷媒回
路における冷媒循環を止める冷媒循環阻止手段と、前記
クランク室と吸入圧領域とを接続する放圧通路と、吐出
圧領域とクランク室とを接続する圧力供給通路と、前記
圧力供給通路上に介在され、斜板傾角強制減少指令信号
の発信に応答して、斜板傾角が最小傾角へ移行するよう
に前記圧力供給通路を開く斜板傾角強制減少手段とを備
、前記冷媒循環阻止手段を、外部冷媒回路から前記吸
入圧領域へ冷媒ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開
位置とに切り換えられる遮断体を斜板の傾動の少なくと
も一部に連動させて構成した。
【0007】
【0008】請求項に記載の発明では、回転軸の中心
軸線に関して回転支持体によって支持される斜板の被支
持部位とは反対側にカウンタウェイトを取り付けた。
【0009】
【作用】斜板傾角強制減少指令信号が発信されると斜板
傾角強制減少手段が圧力供給通路を開き、吐出圧領域の
高圧冷媒ガスがクランク室へ供給される。この高圧冷媒
ガス供給によりクランク室の圧力が急激上昇し、斜板傾
角が最小傾角へ移行する。斜板傾角強制減少指令信号の
発信が停止すると、斜板傾角強制減少手段が圧力供給通
路を閉じる。クランク室内の圧力は放圧通路を介して吸
入圧領域に放圧されており、圧力供給通路からの冷媒ガ
ス供給が停止するとクランク室内の圧力が低下する。こ
の圧力低下により斜板傾角最大傾角へ移行する。
【0010】また、クランク室内の昇圧により斜板が最
小傾角側へ移行するに伴い、遮断体が外部冷媒回路から
吸入圧領域へ流入する冷媒ガスの通過断面積を徐々に絞
る。この絞り作用が外部冷媒回路から吸入圧領域への冷
媒ガス流入量の減少を緩和し、吸入圧領域からシリンダ
ボア内への冷媒ガス吸入量もゆっくりと減少してゆく。
そのため、吐出容量が最低容量側へ急激変動することは
なく、圧縮機におけるトルクが短時間で急激に変動する
ことはない。クランク室内の圧力低下により斜板傾角が
最小傾角から増大するに伴い、遮断体が斜板の傾動に連
動して離間する。この離間に伴い、外部冷媒回路から吸
入圧領域への冷媒ガスの通過断面積が徐々に拡大してゆ
く。この徐々に行われる通過断面積拡大が外部冷媒回路
から吸入冷媒供給通路への冷媒ガス流入量の増大を緩和
し、吸入冷媒供給通路からシリンダボア内への冷媒ガス
吸入量もゆっくりと増大してゆく。そのため、吐出容量
が最大容量側へ急激変動することはなく、圧縮機におけ
るトルクが短時間で急激に変動することはない。圧縮機
における急激なトルク変動の抑制はクラッチレス圧縮機
の主目的であるON−OFFショックの解消をもたら
す。
【0011】請求項に記載の発明では、クランク室の
圧力が吸入圧領域の圧力に近ければ斜板傾角が最大側に
移行しようとする。しかし、斜板の高回転時にはカウン
タウェイトの慣性力が大きくなり、斜板傾角が最大傾角
になることはない。
【0012】
【実施例】以下、本発明を具体化した第1実施例を図1
〜図6に基づいて説明する。図1に示すように圧縮機全
体のハウジングの一部となるシリンダブロック1の前端
にはフロントハウジング2が接合されている。シリンダ
ブロック1の後端にはリヤハウジング3がバルブプレー
ト4、弁形成プレート5A,5B及びリテーナ形成プレ
ート6を介して接合固定されている。ハウジングの一部
となってクランク室2aを形成するフロントハウジング
2とシリンダブロック1との間には回転軸9が回転可能
に架設支持されている。回転軸9の前端はクランク室2
aから外部へ突出しており、この突出端部には被動プー
リ10が止着されている。被動プーリ10はベルト11
を介して車両エンジンに作動連結されている。
【0013】フロントハウジング2の前端には支持筒2
bが回転軸9の前記突出端部の周囲を包囲するように突
設されている。被動プーリ10はアンギュラベアリング
7を介して支持筒2bに支持されている。支持筒2bは
被動プーリ10に作用するスラスト方向の荷重及びラジ
アル方向の荷重の両方をアンギュラベアリング7を介し
て受け止める。
【0014】回転軸9の前端部とフロントハウジング2
との間にはリップシール12が介在されている。リップ
シール12はクランク室2a内の圧力洩れを防止する。
回転軸9には回転支持体8が止着されていると共に、球
面状の斜板支持体14がスライド可能に支持されてい
る。斜板支持体14には斜板15が回転軸9の軸線方向
へ傾動可能に支持されている。図2に示すように斜板1
5には連結片16,17が止着されている。連結片1
6,17には一対のガイドピン18,19が止着されて
いる。回転支持体8には支持アーム8aが突設されてい
る。支持アーム8aには支持ピン20が回動可能かつ回
転軸9に対して直角を成す方向へ貫通支持されている。
一対のガイドピン18,19は支持ピン20の両端部に
スライド可能に嵌入されている。支持アーム8a上の支
持ピン20と一対のガイドピン18,19との連係によ
り斜板15が斜板支持体14を中心に回転軸9の軸線方
向へ傾動可能かつ回転軸9と一体的に回転可能である。
斜板15の傾動は、支持ピン20とガイドピン18,1
9とのスライドガイド関係、斜板支持体14のスライド
作用及び斜板支持体14の支持作用により案内される。
【0015】図1、図4及び図5に示すようにシリンダ
ブロック1の中心部には収容孔13が回転軸9の軸線方
向に貫設されており、収容孔13内には筒状の遮断体2
1がスライド可能に収容されている。遮断体21は大径
部21aと小径部21bとからなり、大径部21aと小
径部21bとの段差部と収容孔13の内周面上のフラン
ジ部13aとの間には吸入通路開放ばね24が介在され
ている。吸入通路開放ばね24は遮断体21を斜板支持
体14側へ付勢している。
【0016】遮断体21の大径部21aには回転軸9の
後端部が挿入されている。回転軸9の後端部と大径部2
1aの内周面との間には深溝玉軸受け部材25が介在さ
れている。回転軸9の後端部は深溝玉軸受け部材25及
び遮断体21を介して収容孔13の内周面で支持され
る。深溝玉軸受け部材25の外輪25aは大径部21a
の内周面に止着されており、内輪25bは回転軸9の周
面をスライド可能である。図5に示すように回転軸9の
後端部の周面には段差部9aが形成されており、内輪2
5bが段差部9aにより斜板支持体14側への移動を規
制される。即ち、深溝玉軸受け部材25は段差部9aに
より斜板支持体14側への移動を阻止される。従って、
深溝玉軸受け部材25が段差部9aに当接することによ
って遮断体21が斜板支持体14側への移動を阻止され
る。
【0017】リヤハウジング3の中心部には吸入通路2
6が形成されている。吸入通路26は収容孔13に連通
しており、収容孔13側の吸入通路26の開口の周囲に
は位置決め面27が形成されている。遮断体21の小径
部21bの先端は位置決め面27に当接可能である。小
径部21bの先端が位置決め面27に当接することによ
り遮断体21が斜板支持体14から離間する方向への移
動を規制されると共に、吸入通路26と収容孔13との
連通が遮断される。
【0018】斜板支持体14と深溝玉軸受け部材25と
の間には伝達筒28が回転軸9上をスライド可能に介在
されている。伝達筒28の一端は斜板支持体14の端面
に当接可能であり、伝達筒28の他端は深溝玉軸受け部
材25の外輪25aに当接することなく内輪25bにの
み当接可能である。
【0019】斜板支持体14が遮断体21側へ移動する
に伴い、遮断体21が伝達筒28に当接し、伝達筒28
を深溝玉軸受け部材25の内輪25bに押接する。深溝
玉軸受け部材25は回転軸9のラジアル方向のみならず
スラスト方向の荷重も受け止める。そのため、遮断体2
1は伝達筒28の押接作用により吸入通路開放ばね24
のばね力に抗して位置決め面27側へ付勢され、小径部
21bの先端が位置決め面27に当接する。従って、斜
板15の最小傾角は遮断体21の小径部21bの先端と
位置決め面27との当接によって規制される。即ち、遮
断体21、深溝玉軸受け部材25、位置決め面27及び
伝達筒28が最小傾角規定手段を構成する。
【0020】斜板15の最小傾角は0°よりも僅かに大
きい。この最小傾角状態は遮断体21が吸入通路26と
収容孔13との連通を遮断する閉位置に配置されたとき
にもたらされ、遮断体21は前記閉位置とこの位置から
離間した開位置とへ斜板支持体14に連動して切り換え
配置される。
【0021】斜板15の最大傾角は回転支持体8の傾角
規制突部8bと斜板15との当接によって規制される。
クランク室2aに接続するようにシリンダブロック1に
貫設されたシリンダボア1a内には片頭ピストン22が
収容されている。斜板15の回転運動はシュー23を介
して片頭ピストン22の前後往復揺動に変換され、片頭
ピストン22がシリンダボア1a内を前後動する。
【0022】図1及び図3に示すようにリヤハウジング
3内には吸入室3a及び吐出室3bが区画形成されてい
る。バルブプレート4上には吸入ポート4a及び吐出ポ
ート4bが形成されている。弁形成プレート5A上には
吸入弁5aが形成されており、弁形成プレート5B上に
は吐出弁5bが形成されている。吸入室3a内の冷媒ガ
スは片頭ピストン22の復動動作により吸入ポート4a
から吸入弁5aを押し退けてシリンダボア1a内へ流入
する。シリンダボア1a内へ流入した冷媒ガスは片頭ピ
ストン22の往動動作により吐出ポート4bから吐出弁
5bを押し退けて吐出室3bへ吐出される。吐出弁5b
はリテーナ形成プレート6上のリテーナ6aに当接して
開度規制される。
【0023】回転支持体8とフロントハウジング2との
間にはスラストベアリング29が介在されている。スラ
ストベアリング29はシリンダボア1aから片頭ピスト
ン22、シュー23、斜板15、連結片16,17、ガ
イドピン18,19及び支持ピン20を介して回転支持
体8に作用する圧縮反力を受け止める。
【0024】吸入室3aは通口4cを介して収容孔13
に連通している。遮断体21が前記閉位置に配置される
と、通口4cは吸入通路26から遮断される。吸入通路
26は圧縮機内へ冷媒ガスを導入する入口であり、遮断
体21が吸入通路26から吸入室3aに到る通路上で遮
断する位置は吸入通路26の下流側である。
【0025】回転軸9内には放圧通路30が形成されて
いる。放圧通路30の入口30aはクランク室2aに開
口しており、放圧通路30の出口30bは筒状の遮断体
21の内部空間に開口している。図1、図4及び図5に
示すように遮断体21の周面には放圧通口21cが貫設
されており、フランジ部13aには通路13bが切り欠
き形成されている。図1に示すように斜板傾角が最大傾
角の場合には放圧通口21cは収容孔13と遮断体21
の内部空間とを連通する。図4に示すように斜板傾角が
最小傾角側にある場合には放圧通口21cは遮断体21
の内部と通口4cとを連通する。即ち、斜板傾角が最大
傾角の場合にはクランク室2aは放圧通路30、遮断体
21の内部空間、放圧通口21c、収容孔13及び通路
13bを介して吸入室3aに連通する。斜板傾角が最小
傾角側にある場合にはクランク室2aは放圧通路30、
遮断体21内部及び放圧通口21cを介して吸入室3a
に連通する。いずれの場合にもクランク室2aから吸入
室3aへ流れる冷媒ガスは放圧通口21cで絞り作用を
受ける。
【0026】図1及び図4に示すように吐出室3bとク
ランク室2aとは圧力供給通路31で接続されており、
圧力供給通路31上には斜板傾角強制減少手段となる電
磁開閉弁32が介在されている。リヤハウジング3内に
収容された電磁開閉弁32のソレノイド33の励磁によ
り弁体34が弁孔32aを閉鎖する。ソレノイド33が
消磁すれば弁体34が弁孔32aを開放する。即ち、電
磁開閉弁32は吐出室3bとクランク室2aとを接続す
る圧力供給通路31を開閉する。
【0027】吸入室3aへ冷媒ガスを導入する吸入通路
29と、吐出室3bから冷媒ガスを排出する排出口1b
とは外部冷媒回路35で接続されている。外部冷媒回路
35上には凝縮器36、膨張弁37及び蒸発器38が介
在されている。膨張弁37は蒸発器38の出口側のガス
圧の変動に応じて冷媒流量を制御する。蒸発器38の近
傍には温度センサ39が設置されている。温度センサ3
9は蒸発器38における温度を検出し、この検出温度情
報が制御コンピュータCに送られる。
【0028】電磁開閉弁32のソレノイド33は制御コ
ンピュータCの励消磁制御を受ける。制御コンピュータ
Cは温度センサ39から得られる検出温度情報に基づい
てソレノイド33を励消磁制御する。制御コンピュータ
Cは検出温度が設定温度以下になるとソレノイド33の
消磁を指令する。この設定温度以下の温度は蒸発器38
においてフロストが発生しそうな状況を反映する。
【0029】又、制御コンピュータCは空調装置作動ス
イッチ40のONあるいはアクセルスイッチ41のOF
Fによってソレノイド33を励磁し、空調装置作動スイ
ッチ40のOFFあるいはアクセルスイッチ41のON
によってソレノイド33を消磁する。
【0030】即ち、温度センサ33による設定温度以下
の検出温度情報、空調装置作動スイッチ40のOFF信
号及びアクセルスイッチ41のON信号は、圧力供給通
路31を開くための斜板傾角強制減少指令信号となる。
【0031】図1及び図5の状態ではソレノイド33は
励磁状態にあり、圧力供給通路31は閉じられている。
従って、吐出室3bからクランク室2aへの高圧冷媒ガ
スの供給は行われない。この状態ではクランク室2a内
の冷媒ガスが放圧通路30を介して吸入室3aに流出す
るばかりであり、クランク室2a内の圧力は吸入室3a
内の低圧力、即ち吸入圧に近づいていく。そのため、斜
板15の傾角は最大傾角に保持され、吐出容量は最大と
なる。
【0032】冷房負荷が小さくなった状態で斜板15が
最大傾角を維持して吐出作用が行われると、蒸発器38
における温度がフロスト発生をもたらす温度に近づくよ
うに低下してゆく。温度センサ39は蒸発器38におけ
る検出温度情報を制御コンピュータCに送っており、検
出温度が設定温度以下になると制御コンピュータCはソ
レノイド33の消磁を指令する。ソレノイド33が消磁
されると圧力供給通路31が開かれ、吐出室3bとクラ
ンク室2aとが連通する。従って、吐出室3b内の高圧
冷媒ガスが圧力供給通路31を介してクランク室2aへ
供給され、クランク室2a内の圧力が高くなる。クラン
ク室2a内の圧力上昇により斜板15の傾角が最小傾角
側へ移行する。
【0033】斜板15の傾角が最小傾角側に移行するに
伴い、斜板支持体14が遮断体21側へ移動し、伝達筒
28に当接する。遮断体21側へ移動する斜板支持体1
4は伝達筒28を深溝玉軸受け部材25の内輪25bに
押接する。伝達筒28は斜板支持体14と内輪25bと
の間に挟みこまれるため、伝達筒28は回転軸9と共に
回転することになる。伝達筒28は深溝玉軸受け部材2
5に対して内輪25bにのみ当接しているため、回転軸
9、斜板支持体14、伝達筒28及び内輪25bは一体
的に回転し、斜板支持体14、伝達筒28及び内輪25
bの間で摺接は生じない。
【0034】伝達筒28が深溝玉軸受け部材25に押接
された状態で斜板支持体14がさらに遮断体21側へ移
動すると、遮断体21が位置決め面27側へ押されてゆ
き、遮断体21の小径部21bの先端が位置決め面27
へ接近してゆく。この接近動作により吸入通路26から
吸入室3aに到る間の冷媒ガス通過断面積が徐々に絞ら
れてゆく。この絞り作用が吸入通路26から吸入室3a
への冷媒ガス流入量を徐々に減らしてゆく。そのため、
吸入室3aからシリンダボア1a内へ吸入される冷媒ガ
ス量も徐々に減少してゆき、吐出容量が徐々に減少して
ゆく。その結果、吐出圧が徐々に低下してゆき、圧縮機
におけるトルクが短時間で大きく変動することはない。
【0035】図4及び図6に示すように遮断体21の小
径部21bの先端が位置決め面27に当接すると、斜板
傾角は最小となる。斜板最小傾角は0°ではないため、
斜板傾角が最小の状態においても吐出シリンダボア1a
から吐出室3bへの吐出は行われている。シリンダボア
1aから吐出室3bへ吐出された冷媒ガスは圧力供給通
路31を通ってクランク室2aへ流入する。クランク室
2a内の冷媒ガスは放圧通路30を通って吸入室3aへ
流入し、吸入室3a内の冷媒ガスはシリンダボア1a内
へ吸入されて吐出室3bへ吐出される。即ち、斜板傾角
が最小状態では、吐出室3b、圧力供給通路31、クラ
ンク室2a、放圧通路30、吸入室3a、シリンダボア
1aという循環通路が圧縮機内にできており、吐出室3
b、クランク室2a及び吸入室3aの間では圧力差が生
じている。
【0036】図6の状態から冷房負荷が増大した場合、
この冷房負荷の増大が蒸発器38における温度上昇とし
て表れ、蒸発器38における検出温度が前記設定温度を
越える。制御コンピュータCはこの検出温度変移に基づ
いてソレノイド33の励磁を指令する。ソレノイド33
の励磁により吐出室3bとクランク室2aとの圧力供給
通路31を介した連通が遮断され、クランク室2aの圧
力が放圧通路30を介した放圧に基づいて減圧してゆ
く。この減圧により斜板15の傾角が最小傾角から最大
傾角へ移行する。
【0037】斜板15の傾角増大によって斜板支持体1
4が遮断体21から離間する方向へ移動するが、遮断体
21は吸入通路開放ばね24のばね力によって斜板支持
体14の移動に追随し、小径部21bの先端が位置決め
面27から離間する。この離間動作により吸入通路26
から吸入室3aに到る間の冷媒ガス通過断面積が徐々に
拡大してゆく。この徐々に行われる通過断面積拡大が吸
入通路26から吸入室3aへの冷媒ガス流入量を徐々に
増やしてゆく。そのため、吸入室3aからシリンダボア
1a内へ吸入される冷媒ガス量も徐々に増大してゆき、
吐出容量が徐々に増大してゆく。その結果、吐出圧が徐
々に増大してゆき、圧縮機におけるトルクが短時間で大
きく変動することはない。
【0038】図5の状態から空調装置作動スイッチ40
のOFFあるいはアクセルスイッチ41のONによって
ソレノイド33が消磁した場合にも、斜板傾角が最大傾
角から最小傾角へ移行する。図6の状態から空調装置作
動スイッチ40がON又はアクセルスイッチ41がOF
Fすると、ソレノイド33が励磁し、冷房負荷がある場
合には斜板傾角が最小傾角から最大傾角へ移行する。
【0039】車両エンジンが停止すれば圧縮機の運転も
停止し、圧縮機内の圧力が均一化する。この状態では回
転軸9と斜板支持体14との間に介在された初期傾角規
定ばね42のばね作用が斜板15の傾角を最小傾角に保
持する。
【0040】本実施例では、外部冷媒回路35から吸入
圧領域となる吸入室3aへ冷媒ガスを導入不能な閉位置
と導入可能な開位置とに切り換えられる遮断体21を斜
板15の傾動に連動させて冷媒循環阻止手段を構成して
いる。このような冷媒循環阻止手段の採用により冷房負
荷がない場合の蒸発器38におけるフロスト発生が防止
されると共に、斜板15の最大傾角と最小傾角との間の
切換におけるトルク変動の抑制効果が非常に高くなる。
圧力供給通路31の開閉は冷房負荷の増減状況によって
は頻繁に繰り返されることになるが、本実施例の冷媒循
環阻止手段のトル変動抑制効果の高さ故にON−OFF
ショックがない。しかも、従来採用されていた容量制御
弁がないためにクラッチレス圧縮機のコストが下がる。
【0041】本発明は勿論前記実施例にのみ限定される
ものではなく、例えば図7及び図8に示す実施例も可能
である。この実施例では前記実施例の初期傾角規定ばね
42がなくなり、吸入通路開放ばね24のばね長が自由
長になったときの伝達筒28に接する斜板支持体14の
位置は、図8に示すように斜板傾角が最小傾角と最大傾
角の略中間傾角となる初期位置に配置される。斜板15
にはカウンタウェイト43が止着されている。カウンタ
ウェイト43の取り付け位置は、回転軸9の中心軸線に
関して回転支持体8によって支持される斜板15の被支
持部位、即ち支持ピン20によってスライド支持される
ガイドピン18,19とは反対側である。斜板15の回
転時のカウンタウェイト43の遠心力は斜板15の傾角
を減少する方向に作用し、初期傾角規定ばね42のばね
力の排除がカウンタウェイト43の遠心力によって補償
される。
【0042】図8は圧縮機の運転停止状態を表す。圧縮
機が運転停止状態になれば圧縮機内の圧力が均一化し、
吸入室3a、吐出室3b及びクランク室2aにおける圧
力に差が無くなる。そのため、斜板支持体14は吸入通
路開放ばね24のばね作用によって図8に示す初期位置
から最小傾角をもたらす位置側への配置を阻止され、斜
板15は図8に示す中間傾角位置と最大傾角位置とに配
置される。斜板15の傾角が中間傾角と最大傾角との範
囲にある場合には遮断体21が位置決め面27から離間
しており、吸入通路26と吸入室3aとが連通してい
る。即ち、圧縮機の運転が開始されると、斜板15は図
8に示す中間傾角位置と最大傾角位置との範囲の傾角状
態から回転開始し、外部冷媒回路35から冷媒ガスを吸
入して外部冷媒回路35へ吐出するという実質的な圧縮
作用が迅速に開始される。
【0043】実質的な圧縮作用が運転開始後に直ちに行
われるために外部冷媒回路35内の潤滑油も冷媒ガスの
吸入に伴って圧縮機内へ流入する。外部冷媒回路35内
では蒸発器38が潤滑油の最も溜まり易い所であり、圧
縮機の運転開始後には蒸発器38内に溜まっている潤滑
油が直ちに圧縮機内に流入する。
【0044】圧縮機の運転開始時に空調装置作動スイッ
チ40がOFF状態、あるいは冷房負荷が殆どないよう
な場合にはソレノイド33は消磁状態にあり、圧力供給
通路31が吐出室3bとクランク室2aとを連通してい
る。そして、実質的な圧縮作用の迅速な開始により吐出
圧が直ちに上昇する。そのため、クランク室2aの圧力
が運転開始後に上昇し、斜板傾角が最小傾角へ移行す
る。あるいは圧縮機の運転停止中にクランク室2a内に
液冷媒が溜まった場合には圧縮機の運転開始により液冷
媒がフォーミング現象を起こし、斜板傾角が最小傾角へ
移行する。
【0045】圧縮機の運転開始後に斜板傾角が最小傾角
へ移行しても起動時の実質的な圧縮作用の遂行により圧
縮機内へ導入される潤滑油量は外部冷媒回路35におけ
る冷媒循環のない状態が比較的長時間続いても潤滑不足
にならない程度である。従って、圧縮機内の摺接部位の
早期劣化が防止される。
【0046】空調装置作動スイッチ40がON状態にあ
って冷房負荷が大きい場合には運転開始後に斜板傾角は
最大傾角へ移行し、外部冷媒回路35における冷媒循環
が継続する。このようなときには圧縮機内の潤滑油不足
のおそれはない。
【0047】圧縮機内の潤滑油不足を解消する効果を有
する本実施例では、斜板15に止着されたカウンタウェ
イト43の遠心力が斜板傾角を減少する方向に作用す
る。そのため、高速回転時にはカウンタウェイト43の
遠心力が大きくなり、クランク室2a内の圧力が吸入圧
に非常に近づいた場合にも斜板15が図7に鎖線で示す
ように中間傾角位置に配置され、斜板傾角が最大になる
ことはない。即ち、回転速度が高くなるにつれて斜板傾
角が減少し、従来の容量制御弁を用いた容量可変制御と
似たような容量制御がカウンタウェイト43の慣性力に
よってもたらされる。
【0048】なお、斜板15全体の厚みを大きくして重
量アップを図った場合にも、斜板15の傾角を減少させ
る方向に作用する斜板15の遠心力が増大し、カウンタ
ウェイト43の遠心力作用と同様の効果が得られる。
【0049】さらに本発明は、特開平3−37378号
公報に開示されるように電磁開閉弁によって外部冷媒回
路から吸入室への冷媒ガス流入を止める冷媒循環阻止手
段の構成の採用も可能である。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、斜板傾角
強制減少指令信号の発信に応答して、斜板傾角が最小傾
角へ移行するように圧力供給通路を開く斜板傾角強制減
少手段を採用したので、容量制御弁を用いることなく吐
出容量の増減を行ない得るという優れた効果を奏する。
【0051】また、外部冷媒回路から吸入圧領域へ冷媒
ガスを導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換
えられる遮断体を斜板の傾動の少なくとも一部に連動さ
せて冷媒循環阻止手段を構成したので、吐出容量の増減
に伴うトルク変動を抑制してON−OFFショックを解
消し得るという優れた効果を奏する。
【0052】請求項に記載の発明では、回転軸の中心
軸線に関して回転支持体によって支持される斜板の被支
持部位とは反対側にカウンタウェイトを取り付けたの
で、容量制御弁を用いることなく連続的な容量可変制御
を達成し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具体化した一実施例の圧縮機全体の
側断面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 図1のB−B線断面図である。
【図4】 斜板傾角が最小状態にある圧縮機全体の側断
面図である。
【図5】 斜板傾角が最大状態にある要部拡大断面図で
ある。
【図6】 斜板傾角が最小状態にある要部拡大断面図で
ある。
【図7】 別例を示す圧縮機全体の側断面図である。
【図8】 運転停止状態にある圧縮機全体の側断面図で
ある。
【符号の説明】
2a…クランク室、3a…吸入圧領域となる吸入室、1
5…斜板、21…冷媒循環阻止手段及び最小傾角規定手
段を構成する遮断体、27…最小傾角規定手段を構成す
る位置決め面、30…放圧通路、31…圧力供給通路、
32…斜板傾角強制減少手段となる電磁開閉弁、39…
斜板傾角強制減少指令信号を出力する温度センサ、40
…斜板傾角強制減少指令信号を出力する空調装置作動ス
イッチ、41……斜板傾角強制減少指令信号を出力する
アクセルスイッチ、43…カウンタウェイト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水藤 健 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (56)参考文献 特開 平3−37378(JP,A) 特開 平5−52181(JP,A) 特開 平5−52183(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 27/14 - 27/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸の周囲に配列された複数のシリン
    ダボア内に片頭ピストンを往復直線運動可能に収容する
    ハウジング内の回転軸に回転支持体を止着し、この回転
    支持体に斜板を傾動可能に支持し、クランク室内の圧力
    と吸入圧との片頭ピストンを介した差に応じて斜板の傾
    角が変わるクラッチレス片側ピストン式可変容量圧縮機
    において、 最小容量状態では外部冷媒回路における冷媒循環を止め
    る冷媒循環阻止手段と、 前記クランク室と吸入圧領域とを接続する放圧通路と、 吐出圧領域とクランク室とを接続する圧力供給通路と、 前記圧力供給通路上に介在され、斜板傾角強制減少指令
    信号の発信に応答して、斜板傾角が最小傾角へ移行する
    ように前記圧力供給通路を開く斜板傾角強制減少手段と
    を備え、外部冷媒回路から前記吸入圧領域へ冷媒ガスを
    導入不能な閉位置と導入可能な開位置とに切り換えられ
    る遮断体を斜板の傾動の少なくとも一部に連動させて前
    記冷媒循環阻止手段を構成したクラッチレス片側ピスト
    ン式可変容量圧縮機。
  2. 【請求項2】 回転支持体によって支持される斜板は、
    回転軸の中心軸線に関して回転支持体によって支持され
    る被支持部位とは反対側にカウンタウェイトを有する請
    求項1に記載のクラッチレス片側ピストン式可変容量圧
    縮機
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