JP3813124B2 - 昆虫防除パウチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
関連出願への相互参照
適用せず。
【0002】
【従来の技術】
連邦政府委託調査に関する記載
適用せず。
【0003】
発明の背景
本発明は概して、作用成分を空気中に分散させることに関する。本発明は特に、防虫剤や殺虫剤等の昆虫防除作用成分を分散させて、室内にいる可能性のある飛翔昆虫を防除するのに適していると考えられる。
【0004】
建物内部で飛翔昆虫を防除することは、有益である。昆虫防除は、飛翔昆虫の侵入を受けやすいテント等の遮蔽された領域を含む他の領域においてもまた、有効である。
【0005】
このような環境において昆虫を防除するために殺虫剤のベーパを施与する装置はもともと、液体又は固体を加熱又は燃焼させて作用成分を施与する必要があった。熱源を使用する製品は、例えば蚊取り線香の場合に安全な燃焼場所を必要としたり、一般的な被加熱揮発製品に対し電流源を必要とすることがある。
【0006】
よって、受動的気化、即ち、加熱なしの気化を利用することによってこのような昆虫防除作用成分(及び芳香剤や脱臭剤等のその他の作用成分)を施与するための技術が考案されてきた。例えば、WO96/32843号には、飛翔昆虫を防除する防虫ストリップが記載され、このストリップは、受動的気化に利用できる作用成分を含浸させた基質を有する。この作用成分は、トランスフルスリン、プラレスリン、バポスリン、テフルスリン、エスビオスリン、ジクロボス(DDVP)、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0007】
本発明の出願人に譲渡された1999年6月4日出願の同時係続の米国特許出願第09/326,446号には、飛翔昆虫を防除するために非吸収性基質ストリップ(バレックス(登録済み)高分子フィルムから作られた非吸収性基質ストリップ等)から受動的に気化させ得る昆虫防除成分が開示されている。上記特許出願、ならびに本明細書で引用される他の特許出願、特許、及び出版物はすべて、ここで参照することにより、本明細書に全体が示されたものとして本明細書に組み込まれる。
【0008】
前述の昆虫防除装置の気化可能な作用成分は通常、出荷、販売、及び家庭での保管のために、独立した切り開くタイプのベーパ不浸透性パウチ又はその他の容器に保管される。パウチ又はその他の容器は、昆虫防除が必要とされる前に作用成分が時期尚早に気化することを防止するとともに、装置を取り扱う者がかかる不使用時に作用成分に誤って接触することを回避する方法を提供する。このように、これまでは作用成分が受動的に気化し得る基質と、密封バリアパウチ又は容器が共に必要とされていた。アメリカ特許第5,487,932号を参照されたい。
【0009】
しかしながら、この場合、材料と組み立てに余分な費用がかかる。このことは、こうした装置が多くの場合、平均所得が非常に低く且つマラリア他の飛翔昆虫が媒介する疾病の発生率が高い世界の諸地域での使用を意図されているので、重大な問題となる。したがって、このような受動的気化ストリップのコストを低減するための方法を開発する一方で、分散用基質としての機能ならびに使用上必要となる前の基質用密封パウチもしくは容器としての機能をさらに付与する必要がある。
【0010】
発明の概要
1つの実施の形態において、本発明は、昆虫防除成分及び芳香剤、脱臭剤、及びその他のエアー変性揮発性成分から成る群から選択される揮発性作用成分を施与する物品を提供する。この物品は、分離可能に互いにシール(封止)されてその間に内部空洞を画定する、互いに対向した単層でも積層体でもよい壁体を備えたパウチを含む。少なくとも1つの壁体の内側面には、揮発性作用成分が塗布されている。本明細書において「塗布される」という用語は、表面が塗布された材料を担持するような表面処理のすべての手段を含むべく定義される。パウチはここに含まれる作用成分に対し不浸透性であり、外側の露出面を有する。パウチ内部には分離可能な作用成分保持物品が含まれず、その代わり、パウチの内側面が、揮発性作用成分を塗布された(物品中)唯一の構造体であることが好ましい。
【0011】
好ましい実施の形態において、パウチは高分子フィルムのストリップを折り重ねることにより作製され、折り目はパウチの第1の側面を構成する。残りの辺は分離可能に封止される。パウチはほぼ長方形であり、折り返された辺と残りの3つのシールされた辺を有することが好ましい。あるいは、このフィルムを2枚重ね合わせてすべての辺をシールしてもよく、この場合も4つの辺がシールされた長方形状であることが好ましい。説明を簡略化するため、前後関係において反対の意味が明らかに意図されるのでなければ、パウチ又はシート材料は、それらの形状が実際には丸かったり不規則であったり、あるいは実際5つ以上の辺を有するとしても、4つの「辺」を有するものと見なされる。つまり、4つの辺を有する形状への言及は、単に閉じられた形状を説明しようとしているにすぎない。よって、以下、円形、だ円形、四角形、三角形、五角形、及び他の閉じられた形状を、「4つの辺」を有する図形として平等に言及するものとする。
【0012】
シーリングは、ホットワイヤシーリングや、ヒートシーリングバーを用いたシーリング等のヒートシーリングであることが好ましく、シーリングバーの幅は、0.5乃至12.7mmであることが好ましい。ベーパが漏れないシールを作り出す上で、幅狭のホットシールが望ましい。液密なシールのみでよい場合は、以下で説明されるように、より低温のシーリング装置で作られた幅広のシールが好ましい。
【0013】
パウチは、その端部から延出する作用成分がない部分を有してよく、この部分はスルーホールを有するか、もしくはハンガーの形状をしている。これに加えて、あるいは別の例として、この延出部分が、パウチのシールされた辺において対向した壁体から延出し、シール地点を越えて延出するタブを形成してパウチの開放を容易にする1対のシールされていないフラップの形状であってもよい。これらのフラップは、必要に応じて異なる寸法にしてよく、フラップの一方がスルーホールを含んでいてもよい。
【0014】
パウチの内側面を、テクスチャー加工や波形成形、もしくはその他の方法でその表面積を増大させるように加工してもよく、これにより、そのように加工しない場合よりも多量の揮発性作用成分を保持する能力がもたらされ、開けられたパウチに揮発性物質が残って放出される時間が延びる。
【0015】
代替的な実施の形態において、パウチを中間シールによって2つのチャンバに分割し、両チャンバの残りの外側余白を、ベーパ形態のときでも揮発性作用成分の通過を防止すべく十分にシールしてよい。2つのチャンバの内、第1のチャンバの少なくとも1つの内側面には、分散されるべき揮発性作用成分が塗布される。
【0016】
中間シールから離れた第2のチャンバの端部は破断可能とされ、使用者は第2のチャンバを開放してその対向する壁体を把持し、それから脆弱な中間シールを引き離して第1のチャンバの内側面を露出させる。この構成により、使用者は揮発性作用成分の塗布面に触れることを実質的に回避しつつ第1のチャンバを切り開くことができることは、明白であろう。
【0017】
中間シールが、揮発性作用成分がベーパ形態であっても保持されるよう十分密に構成されている場合、中間シールが開く前に使用者がパウチの側壁を破断し、結果として開き方の幾分不確実な製品となる可能性がある。これを回避するために、中間シールを、揮発性作用成分が液体又は固体形状のときは作用成分が中間シールを通過するのを完全に阻止するが、作用成分がベーパ形態のときは作用成分が中間シールを通過するのを十分に防止しないように構成してもよい。このように中間シールに強力なシール機能が要求されない場合、中間シールを、対向した側壁を全く破断することなく開くように十分に外しやすく構成することができる。漏出したベーパは、残りの余白部の周囲のベーパ遮断シールによって第2のチャンバ内に閉じ込められる。この構成により、ベーパ遮断性を保ちつつ確実に開放できる製品がもたらされる。
【0018】
中間シールから離れた位置にある第2のチャンバのシールされた余白部の対向した壁体は、使用者が第2のチャンバの端部を切り開くのを更に容易にするための力学的に脆弱な地点を提供する切欠き部を含む。
【0019】
さらに必要に応じて、(パウチを開いた後のハンガーホールを提供すべく)第2のチャンバの対向した側壁を貫いてスルーホールを設けてよい。しかしながら、中間シールが脆弱な実施の形態においては、ハンガーホールの周囲を完全にシーリングすべきである。
【0020】
このようなホールをこれに隣接した脆弱な開封点とともに用いる場合、消費者が第2のチャンバを切り開きながらこのホールも破断してしまい、ハンガーとしての特徴を失ってしまう可能性がある。ハンガーとしての機能を完全に失う危険を低減するために、ホールを中心から外れた位置に設けることが望ましく、また、このようなスルーホールを多数使用することがさらに望ましい。
【0021】
広範囲にわたる揮発性殺虫剤、防虫剤、及び昆虫成長調整剤が好適な昆虫駆除成分であるが、一方、昆虫防除の目的からは、防虫剤が、トランスフルスリン、テフルスリン、プラレスリン、バポスリン、エスビオスリン、ジクロボス、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることが非常に望ましい。
【0022】
パウチを作製するための好ましい材料は、アクリロニトリルメタクリレートコポリマー、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、延伸ポリエチレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、延伸ポリプロピレン、及びエチレンビニルアルコール等の厚さ0.0127乃至0.1524mmのフィルムである。これらの材料はすべてベーパに対し不浸透性を有し、ヒートシーリングが可能であり、作用成分を塗布可能な相対的に非吸収性の好適な表面をもたらす。また、これらの材料の表面は、殺虫剤溶液が容易に浸潤し放散するのに十分な高い表面エネルギーを有する。
【0023】
あるいはまた、積層又は層状フィルムを使用してもよく、そのようなフィルムには、個々の層がバリア強度、シーリング能力、吸収又は化学反応を起こすことなく作用成分を塗布することのできる作用成分放出表面などの特徴の全てでなく一部のみをもたらす多層フィルムが含まれる。例えば、良好な作用成分放出表面とはならない強いフィルムを金属で被覆するか、又は金属箔と組み合わせ、放出表面をもたらしてもよい。シール材層は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、及びエチルビニルアルコール等の材料を含んでよい。
【0024】
昆虫防除成分はトランスフルスリン、壁体は、バレックス(登録商標)210又はバレックス(登録商標)218(ともにBP Chemicals/Amocoより入手可能)として販売されている材料等の変性アクリロニトリルメタクリレートコポリマーから形成されることが、最も好ましい。
【0025】
積層品が使用される場合、好ましい内側積層材料はポリ塩化ビニリデン層(例えば厚さ約0.0076mm)であり、これに外側ナイロン層(例えば厚さ約0.025mm)が結合される。このような積層品は米国ウィスコンシン州グリーンベイに所在のSpecialized Packaging, Inc. (スペシャライズド・パッケージング・インク)から購入することができる。その他の積層品材料が使用される場合、内側層が外側層よりも多少低い融点を有し、シール熱が外側層に加えられと内側層も良好なシールを形成するように積層材料を選択することが好ましい。
【0026】
内側層に関しては、その材料が空気に触れると容易にベーパを放出するものであり、また、シールの一部であるその層の隣接部分を必要な場合に容易に引き離せなくてはならない。
【0027】
本発明の別の態様は、このようなパウチを作製する方法であり、高分子フィルムから成るポケットを得、当該ポケットに選択された作用成分を注入し、ポケットにヒートシーリング処理を行なって作用成分が放出可能に内部に封じ込められた密閉パウチを形成する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は飛翔昆虫を防除する方法を提供する。上記物品の1つを得て、パウチを開放してストリップを形成し、昆虫防除成分が選択された環境で揮発可能であるようにその環境内にストリップを吊り下げる。
【0029】
さらに別の態様において、本発明はこのようなパウチを形成する方法の別の実施の形態を提供する。高分子フィルムを得て、このフィルムの表面に作用成分を塗布し、塗布面が内側になるようにこのフィルムを折り返し、結果として得られる構造体の少なくとも3つの周囲辺にヒートシーリング処理を施して、作用成分が内部に放出可能に封じ込められる密閉パウチを形成する。
【0030】
なおまた別の態様において、本発明はこのようなパウチを形成する方法の更なる別の実施の形態を提供する。2枚の高分子フィルムを得て、そのうち少なくとも1枚のフィルムの表面に作用成分を塗布し、前記塗布面が別のフィルムと向き合うように2枚のフィルムを重ね合わせ、結果としての構造体の周囲側面に対しヒートシーリング処理を施して、作用成分が放出可能に封じ込められた密閉パウチを形成する。
【0031】
本件の発明者らが、有効な昆虫防除成分用の基質としても好適である、ベーパ不浸透性を有すると共に分離可能にシールできる材料を特定したことは、本明細書中の説明から理解されよう。従って、本発明によれば、作用成分を塗布された基質を収容するためのパウチを別途準備する必要がなくなる。
【0032】
ホットナイフ及びバーを使用したヒートシーリングプロセスを用いて、パウチを分離可能にシールする。このようにして、パウチは保管中に昆虫防除成分が漏出しないように気密にシールされるが、使用の際は容易に剥離することができる。
【0033】
もう1つの利点は、ストリップ基質にパウチの一端から延出する自由端を形成できることであり、この自由端には昆虫防除成分が(実質的に)塗布されていないので、使用者はこの自由端を利用して、昆虫防除成分に触れることなくパウチを開封したりストリップ基質を吊り下げることができる。従って、本発明は、ストリップ基質が揮発性作用成分用のベースとして機能すると共にベーパ不浸透性パウチの側面を形成する、非常に低コストのベーパ拡散物品を提供する。
【0034】
本発明の上述の及び更なる他の利点は、以下の説明から明らかになるだろう。以下の記載において添付図面を参照するが、該図面は本発明の好ましい実施の形態の一部を形成すると共に、これらを例証として示すものである。しかしながら、本件請求項の範囲は発明の範囲全体を判断するために考慮すべきものとする。
【0035】
好ましい実施の形態の詳細な説明
図面の最初のページを参照すると、本発明のパウチ10は、一つの側面(対向した壁体26及び28の一方又は両方の内側面)を、溶剤に溶解した昆虫防除成分14で塗布した高分子フィルム基質12から形成される。
【0036】
好ましい昆虫防除作用成分14は、トランスフルスリン((1R−トランス)−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)メチル 3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸であって、バヨスリンもしくはNAK4455とも称される)である。トランスフルスリンは、特に蚊、ハエ、ゴキブリや蛾などの飛翔昆虫に対して低濃度で有効であり、また、通常の室温において低濃度ではあるが有効な濃度を得るのに十分な揮発性を有する。非常に低い濃度及び非常にゆっくりした散布速度であっても極めて急速なノックダウン特性を発揮するため、この化学物質は受動的気化式昆虫防除装置に対し特に好適である。
【0037】
作用成分14は、例えば、蚊取り線香で一般に使用されるピレスラム及びピレスロイド系の物質などの他の好適な作用成分でもよい。上記で指摘したように、これらの作用成分は、d−アレスリン、アレスリン、プラレスリン、ビオアレスリン、s−ビオアレスリン、エスビオスリン、ジクロボス、トランスフルスリン、テフルスリン、バポスリン及びこれらの組み合わせを有する。その他の好適な昆虫防除物質は、ヒドロプレン等の昆虫生長調節剤、ならびにDEET、シトロネラ、レモングラス油、ラベンダー油、シナモン油、インドセンダン油、丁子油、ビャクダン油、及びゲラニオール等の防虫剤を含む。これらの成分の組み合わせを用いてもよい。
【0038】
溶剤としてはイソパー等の炭化水素溶剤が好ましいが、これは、このような溶剤が作用成分を溶解すると共に、基質に悪影響を及ぼすことなく基質上に作用成分を均等に分散させ得る能力があるからである。こうした溶剤は、また、作用成分を実質的に揮発させることなく急速に揮発する。このような揮発剤と共に使用するための、他の既知の溶剤を利用してもよい。
【0039】
基質12は、作用成分を受容および保持すると共に、受動的気化により作用成分を容易に放出することが可能な材料で作製する必要がある。この基質12は、また、作用成分の外気への拡散に対する抵抗を小さくすべく、不活性であり且つ基本的に非吸収性である(溶解度が40μg/cm2未満であることが好ましい)ことが好ましい。基質12は、また、ベーパ不浸透性を有すると共に、気密にシールされる必要がある。
【0040】
好ましい基質材料はアクリロニトリルメタクリレート共重合体フィルムであり、例えば、BP Chemicals/Amocoより入手可能なバレックス(登録商標)210及び218である。その他の好適な非吸収性高分子フィルムには、ポリエステル、サラン等のポリ塩化ビニリデン、延伸高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、延伸ポリプロピレン、及びエチレンビニルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
基質12は、フラップ16及び18を有する薄いストリップであり、フラップ16,18の端部には作用成分14が塗布されておらず、また、フラップ16及び18の寸法が異なるようにフラップ18は先端が切り取られていることが好ましい。また、フラップ16及び18は、図4に示されるように、ハンガー20を取り付けるための位置を提供するスルーホール22及び24を有する。所望であれば、このようなホールを1つだけ形成してもよい。好適なハンガー20及びその他の取り付け手段の例には、フック、ひも、磁気クリップ、クランプ、フック−ループ式ファスナー、機械式クリップとファスナー、接着剤等が含まれる。好ましいファスナー構成には、フラップの片方もしくは両方に取り付けられた接着ストリップが含まれ、接着ストリップには、取付け用の穴部又は結び材が設けられる。基質に設けられるこのような手段は、いずれも、基質上の空気の通過を遮断してはならない。
【0042】
図1及び図2に最もよく示されるように、パウチ10は前面26と裏面28を有し、これらの対向する面には作用成分14が塗布され、対向した壁体の間に空洞を画定する。基質12は、裏面フラップ18が前面フラップ16を超えて延出するように、その中心点からわずかに外れた折り目30に沿って二つに折り曲げられることが好ましい。前面26及び裏面28はそれぞれ、底部32と上部34を共有し、側面エッジ36、38は当初、封止(シール)される前は開いた状態にある。
【0043】
その後、側面エッジ36及び38は、好ましくは分離可能なシーリング方法、例えば、圧力シーリング、ヒートシーリング、又は超音波溶接を用いて封止することができる。いずれの場合も、シールはベーパ不浸透性シールである必要がある。圧感接着剤等を用いた、その他のシーリング技術を使用することができる。
【0044】
さらに、前面26と裏面28が、最初は基質の二つの別々の断片であってもよいことに留意されたい。この場合、フィルムを重ね合わせると共に、底部も封止する必要がある。
【0045】
図5を参照すると、この時点で基質12は、上部34に開口部を有するポケットの形をしている。任意の効果的な従来の方法を用いて、基質12に作用成分14を塗布することができる。適量の作用成分を炭化水素溶媒に溶解し、例えば、アプリケータのチップ40を介してこの溶媒をポケットに注入してパウチ10の内部を十分に湿潤させることにより、基質12に作用成分を塗布することが好ましい。このようにすれば、作用成分14がフラップ16及び18に接触することはない。この時点でポケットの上部は熱封止され、パウチが形成される。
【0046】
このようなパウチ10は、高速自動装置を用いて作製することができる。多数の防虫ストリップを、基質12の折り曲げ前の長さに等しい幅で、基質が巻かれたリールから切り出すことができる。これらの多数のストリップを、同時に長さ方向に折り曲げることができる。
【0047】
代わりの方法として、また好ましくは、ホットナイフ又はワイヤシーリング技術を用いて最初の折り曲げ後に切り込みを入れることができる。この場合、折り曲げられた基質の熱封止と側面エッジの切り込みを同時に行なうことができる。上述のように、また図5に示されるように、上部の開口部を介して各外被(envelope)に作用成分を加え、その後、上部の開口部をバーヒートで封止することができる。ハンガーホールが設けられて、フラップの角部は美観のために切断される。あるいは、基質をリールから切り出す前に、基質の折り曲げ前もしくは折り曲げ後の長さの内表面に作用成分を塗布しておき、それから切断及び封止工程を行ってもよい。
【0048】
いずれの場合も、トランスフルスリンを塗布可能なバレックス(登録商標)フィルムにとっては、封止圧力80psi、封止温度150乃至175℃、滞留時間1.3秒が好ましい封止条件である。
【0049】
図3を参照すると、パウチ10は、フラップ16及び18を把持し、上部34と側面エッジ36、38のシールが破断されて基質12が図4に示されるように広げられるまで、一般に反対方向に引っ張ることによって活性化される。ハンガー20をスルーホール22及び24のいずれかに挿入してよい。結果として得られるストリップを、適切なフック、バー、又は棚(例えば、クローゼットの衣服掛けバー)に懸架することができる。
【0050】
本発明のストリップは、空気が基質12の塗布面上をある程度通り抜け、これにより作用成分14が長期間にわたり大気中に連続して受動的に気化する環境であれば、任意の環境に配置できる。好適な環境として、パティオ等の広い開放空間、ならびに閉じられた空間が挙げられる。好ましくは、本発明は蚊を防除するために使用されるが、殺虫剤又は防虫剤を適切に選択することにより他の様々な飛翔昆虫を防除するために使用することもできる。
【0051】
図6を参照すると、基質102がハンガー部分104を画定するように切断された別の実施の形態100が示されている。パウチの前面と一体の小さいほうのフラップ106は、上部シール108から延出する。パウチは、上述のように、ハンガー104とフラップ106を把持して反対方向に引っ張ることによって開かれる。開かれると直ちに、防虫ストリップをハンガー104によって吊るすことができる。
【0052】
次に図7を参照すると、さらに別の実施の形態200の基質202は、パウチ作製時に、パウチを広げるための一対のグリップタブ204、206がパウチの前面及び裏面の上部シール208から重なり合わずに延出するように切断又は拡大されている。グリップタブ204及び206は、基質202と一体的に構成されてよい。あるいは、グリップタブ204及び206は、基質202の上部208にシールもしくは接着されてもよい。図示を省略しているが、ハンガー取り付け位置、例えば、スルーホールを、一方の又は双方のグリップタブに設けてもよい。
【0053】
図8はさらに別の実施の形態300を示し、この実施の形態において、基質302は二つの別個のフィルムシートを重ね合わせて形成される。4つのエッジ(底部303を含む)のすべては封止方法を用いて封止される。二つのグリップタブ304(1つだけ図示)が、上部306及び側部シール308、310を分離するために前面及び裏面に接着される。これらのグリップの取り付けに使用される接着剤は、パウチの上部及び側部に沿った熱シールよりも強力な接着状態を与える必要がある。図7の実施の形態のように、ハンガー取り付け位置、例えば、スルーホールを、グリップタブ304の一方又は両方に設けてよい。
【0054】
図9及び図10は、さらにもう1つの実施の形態によるパウチ400を示し、他の実施の形態において発生し得る破れの問題がなく、容易に開放することができるので好ましいとされる。前の実施の形態に対応して、パウチ400は、対向した壁体401、403を有するが、中間シール402によって、さらに第1及び第2のチャンバ406、408に分割される。両チャンバの残りの余白部は、ベーパの状態にあるときも揮発性作用成分の通過を阻止するように十分に封止される。既述された実施の形態と同様に、二つのチャンバのうちの第1のチャンバ404の少なくとも1つの内表面には、施与されるべき揮発性作用成分が塗布される。一方、第2のチャンバ406の内表面には、このような揮発性作用成分は塗布されていない。
【0055】
中間シール402から離れた第2のチャンバ406の端部408は破断可能であり、使用者は第2のチャンバを開き、その対向した壁体をつかんで中間シール402を引き離し、第1のチャンバ404の内側面を露出させることができる。この構成の場合、使用者が、揮発性作用成分が塗布された表面への接触を回避しながら第1のチャンバ404を開けることができるのは明白であろう。
【0056】
中間シールが、揮発性作用成分がベーパ形態であっても保持されるよう十分密に構成されている場合、中間シールが力学的に頑丈過ぎて、中間シールが開く前に使用者がパウチの側壁を破断し、結果として開き方の幾分不確実な製品となる可能性がある。これを回避するために、最適な実施の形態においては、中間シール402を、揮発性作用成分が液体又は固体形状のときは作用成分が中間シールを通過するのを完全に阻止するが、作用成分がベーパ形態のときは中間シールを通過するのを十分に防止しないように構成してもよい。このように中間シールに強力なシール機能が要求されない場合、中間シールを、対向した側壁401,403を全く破断することなく開けられるように、力学的に十分に外しやすく構成することができる。ベーパは、第1および第2のチャンバ404,406の残りの余白部の周囲のベーパ遮断性シールによって、第2のチャンバ内およびパウチ400の内部に閉じ込められる。この構成により、ベーパ遮断性を保ちつつ確実に開放できる製品がもたらされる。中間シール402から離れた位置にある第2のチャンバ406のシールされた余白部の対向した壁体は、使用者が第2のチャンバの端部を切り開くのを更に容易にするための力学的に脆弱な地点を提供する切欠き部410を含む。
【0057】
図11及び図12はさらに別の実施の形態を示している。パウチは、層506および別の層507から成る一枚の積層体シートを折り返して形成される。図12から理解されるように、このシートは層507が内側になるように折り返される。外側のシール505/508がパウチを囲み、下側チャンバ504に殺虫剤520を封入する。
【0058】
図9の実施の形態と同様に、中間シール502が設けられるが、本実施の形態においては、2つの対向した開封点凹み部分510及び511が設けられる。
【0059】
2つのスルーホール513及び514は、それぞれの周囲全体がシール領域516で取り巻かれるように設けられる。これらスルーホールはパウチの中心軸から離れて配置されるので、開封点510又は511からパウチを切り開いても当該スルーホールを引き裂くことはあり得ない。シールの施されたホールの上記の位置決めを積層構造でない場合でも行えることを認識されたい。
【0060】
(パウチが切り開かれた後に容易に分離され得るように)シール502が比較的脆弱なシールである場合、殺虫剤のベーパの一部は保管中にシール502から漏出することがある。しかし、付加的なシール領域516があるので、ベーパは保管中は内部に封じ込められる。このように、本実施の形態では、ハンガーがパウチの開封によって損傷を受けない可能性が、保管中のベーパ封入特性を犠牲にすることなく最大限に高められる。
【0061】
図9の実施の形態と同様に、開封点のあるパウチの端部は破断可能であるので、使用者は第2のチャンバを開放し、その対向した壁体を把持して中間シール502を引き離し、第1のチャンバ504の内側面を露出させることができる。
【0062】
広範囲にわたる揮発性殺虫剤、防虫剤、及び昆虫生長調整剤が好適な昆虫防除成分であるが、一方、昆虫防除の目的からは、防虫剤がトランスフルスリン、テフルスリン、プラレスリン、バポスリン、エスビオスリン、ジクロボス、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることが非常に好ましい。
【0063】
本発明の作用成分施与製品を、さらに別の実施の形態において作製可能であることを理解されたい。そうした実施の形態もまた、本発明の範囲内に含まれると意図される。例えば、作用成分は、防虫剤の代わりに(あるいは防虫剤に加えて)従来から知られている広範囲の揮発剤(例えば、シトロネラ、リモネン、ユーカリ)のいずれかを用いた、芳香剤/脱臭剤であってもよい。したがって、本発明の範囲全体を決定する上で、請求の範囲を参照すべきである。
【0064】
産業上の利用可能性
本発明は、別個の外側層又は外被を必要としない、作用成分の受動的気化を可能とする懸架式ストリップを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましいパウチの正面図である。
【図2】 図1のパウチの側断面図である。
【図3】 使用に際し剥離して開かれる工程にある図1のパウチを示す端面図である。
【図4】 図1のパウチの上端にハンガーが挿入され、開放した状態を示す正面図である。
【図5】 パウチの封止を完了する前に昆虫防除成分が投入されている外被(envelope)を示す図である。
【図6】 図1に示す実施の形態の上部延出部がハンガーに置き換えられた第2の実施の形態を示す図である。
【図7】 各パウチ壁体から延出する一体式グリップタブを有する第3の実施の形態を示す図である。
【図8】 パウチの前後各側面に別個に取り付けられたグリップタブを有する第4の実施の形態を示す図である。
【図9】 中間シールを有する第5の実施の形態を示す図である。
【図10】 図9に示した実施の形態の、図9の断線10−10に沿った断面図である。
【図11】 積層型の製品例である第6の実施の形態を示す図である。
【図12】 図11に示した実施の形態の、図11の線12−12に沿った断面図である。

Claims (7)

  1. 揮発性作用成分を施与する物品であって、対向した壁体を有するパウチを含み、該壁体が分離可能に互いに封止されてその間に内部空洞が画定され、前記壁体はパウチ内部の内側面と、外側の露出面とを有し、前記壁体およびシールは前記作用成分に対し不浸透性を有し、前記壁体のうち少なくとも1つの壁体の内側面に揮発可能な作用成分が塗布される、揮発性作用成分を施与する物品であって、
    前記パウチを中間シールによって二つのチャンバに分割し、両チャンバの残りの余白を、揮発性作用成分がベーパ形態のときもその通過を防止するよう十分にシールし、施与されるべき揮発性作用成分が前記二つのチャンバのうちの第1のチャンバの少なくとも1つの内側面に塗布され、前記中間シールから離れた第2のチャンバの端部は破断可能とされ、これにより使用者は第2のチャンバを開いてその対向する壁体を把持し、中間シールを引き離して前記第1のチャンバの前記内側面を露出させ、また、前記中間シールは、揮発性作用成分が液体又は固体形状のときは該作用成分が中間シールを通過するのを完全に防止し且つ前記対向した壁体を全く破断することなく開くように十分に外しやすく構成される、揮発性作用成分を施与する物品。
  2. 前記中間シールから離れた位置にある前記第2のチャンバの封止された余白部にある対向した壁体は、使用者が前記第2のチャンバの端部を容易に切り開けられるようにするための力学的に脆弱な地点を提供する切欠き部を含む、請求項1に記載の物品。
  3. 前記中間シールから離れた二つの対向した位置にある第2のチャンバの封止された余白部にある対向した壁体は、使用者が第2のチャンバの端部を容易に切り開けられるようにするための力学的に脆弱な地点を提供する切欠き部を含む、請求項1に記載の物品。
  4. 前記第2のチャンバの対向した壁体を貫いて延出するスルーホールが設けられる、請求項1に記載の物品。
  5. 前記スルーホールの周方向エッジは第2のチャンバからシールされる、請求項4に記載の物品。
  6. 前記スルーホールは前記物品の中心軸からずれて位置される、請求項5に記載の物品。
  7. 前記スルーホールが二つ設けられる、請求項6に記載の物品。
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