JP3811096B2 - フェンス構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積雪地において雪圧が大きい場合でも変形や損壊等を発生せずに保全を図ることができるフェンス構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば高速道路内への動物の侵入防止のためや、歩道と車道を区画するための境界、あるいは建築現場や工場等の防護壁として各種フェンス構造体が使用されている。この種のフェンス構造体の施工方法としては、施工現場に所要の間隔で立設してある支柱部材にフェンスの両端部を固定して張設していくのが一般的である。
【0003】
フェンス構造体は、従来ではたとえば菱形状の金網フェンスの縁部にフレームを設けてこのフレームを支柱に固定連結したり、金網の上端と下端に胴縁を設けてこの胴縁を支柱に連結したりするタイプが主である。フレームを備えるものでは、このフレームの間口方向の両端部を支柱にボルト・ナットにより連結する施工が可能であり、胴縁を備えるものでも同様にこの胴縁の間口方向の両端を支柱に固定連結する施工が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、菱形状の金網を用いるものでは、たとえば冠雪時の雪に対する抵抗が大きいので、雪圧によって金網が変形したり破れたりすることがある。特に、菱形状の金網では自立できないので、上下の両端に太い胴縁を備えることが必要であり、積雪が沈降するときに発生する沈降力により胴縁,金網にかかる荷重が上部の胴縁に影響することになる。また、胴縁が大きくなればなるほどその影響力も大きくなる。したがって、金網や胴縁あるいは支柱の損壊や倒壊を招くことになり耐用性が低くなる。また、横メンバーと縦メンバーとからなる柵状の網の場合では、比較的抵抗が小さいため柵の変形はある程度は防止できるものの、上下に太い胴縁を備える場合ではやはり変形を生じてしまう。
【0005】
このように従来のフェンス構造体では、菱形状の金網や太い胴縁を用いる構成なので、雪圧による損壊の恐れがあるほか、雪圧による沈降力の影響も無視できない。
【0006】
また、高速道路内等への動物の侵入を防止できずに、動物が走行中の車の運転を妨害したり、交通事故へと巻き込んでしまうという危険性があった。
【0007】
本発明は、雪圧等が作用しても変形や損壊を生じることがなくしかも沈降力の影響もなく良好に保全を保ち得るフェンス構造体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく、本発明では、縦メンバーと横メンバーとから構成されたフェンス体を、基礎上に立設した複数の支柱間に配設したフェンス構造体において、前記支柱どうしの少なくとも上側部間で、前記支柱の道路斜面または法面等、雪圧が多くかかる側に沿ってワイヤロープを連接し、前記フェンス体を前記支柱と前記ワイヤロープに連接して固定し、隣接するフェンス体の端部同士を重複させた状態で支柱に固定させる中間固定具を備え、同中間固定具は、重複したフェンス体の各縦メンバーをそれぞれ前後から挟み込み可能とし、前記重複したフェンス体の前記各縦メンバーを一本ずつ隔離して挟み込むように挟み込み面に多数の略山形状の突起を形成した一対の拘束プレートと、同拘束プレートを前記支柱に連結固定する連結具とを具備した。
【0009】
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)前記フェンス体の下部を地中に埋設したこと。
(2)前記フェンス体の上部に、動物等の手掛かり防止となる所定長の縦幅を有する縦長の格子目を形成したこと。
(3)前記支柱は、左右両端に位置する端部支柱と、両端部支柱間に所定間隔をあけて配設された中間支柱とからなり、中間支柱の一面に固定される固定座と、前記ワイヤロープを抱き込む円弧部を形成した緊締具と、中間支柱を貫通するとともに前記固定座及び緊締具を貫通するボルトとこれに螺合するナットとを備え、前記ボルト及びナットによる螺合により前記ワイヤロープを前記中間支柱に固定したこと。
(4)前記固定座と緊締具とが一体形成されたこと。
(5)前記支柱間に、ワイヤロープとフェンス体の横メンバーとを抱持する略U字状断面の固定具を配置したこと。
( )前記端部支柱と前記ワイヤロープとを緊張力調節自在に連結したこと。
( )隣接する前記端部支柱間に、ブレースを緊張力調節自在に配設した。
( )前記支柱を上部方向に伸延させて伸延部を形成し、同伸延部に乗り越え防止体を配設したこと。
( )前記ワイヤロープを貫挿保持する筒状のワイヤガイドを前記中間支柱に取り付けたこと。
( 10 )前記支柱を筒状に形成するとともに、支柱内部に断面十字状の補強体を収納配設したこと。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、縦メンバーと横メンバーとから構成されたフェンス体を、基礎上に立設した複数の支柱間に配設したフェンス構造体において、前記支柱どうしの少なくとも上側部間で、前記支柱の道路斜面または法面等に対峙する側等、すなわち雪圧が多くかかる側に沿ってワイヤロープを連接し、前記フェンス体を前記支柱と前記ワイヤロープに連接して固定したものである。すなわち、支柱が道路の斜面または法面等に対峙する側等のように雪圧が多くかかる側に沿って、上段に一本又は上下段にわたって複数本のワイヤロープを張設し、同ワイヤロープと支柱とにフェンス体を固定保持している。
【0011】
ワイヤロープは緊張状態にして支柱間に配置することにより、フェンス体を安定して保持することができる。そして、ワイヤロープによってフェンス体の上下やその中間位置を保持することによって太い胴縁を必要とすることなく、積雪地帯で雪の堆積を減らすと同時に積雪による沈降力を大きく抑えることができる。
【0012】
支柱の一面に固定される固定座と、ワイヤロープを抱き込む円弧部を形成した緊締具と、支柱を貫通するとともに固定具及び緊締具を貫通するボルトと、これに螺合するナットとを備えると、ボルトとナットによる螺合によりワイヤロープを支柱に容易に固定することができ、現場施工を簡略化することができる。この時、固定座と緊締具とが一体形成された緊締具、すなわち、固定具と緊締具の代わりに長板を折り返すとともに同折り返し部に前記ワイヤロープを挿通する挿通部を形成したものを用いることもできる。
【0013】
また、前記支柱間に、ワイヤロープとフェンス体の横メンバーとを抱持する略U字状断面の固定具を配置することができる。すなわち、ワイヤロープとフェンス体の横メンバーとを、略U字状断面の固定具の中に差し込むとともに固定具を収縮させるボルト・ナットにより互いに拘束可能とするものであり、かかる固定具を用いることによって、ワイヤロープの任意の位置で横メンバーを拘束固定することができるとともに固定具の数も任意にすることができる。
【0014】
したがって、現場での施工条件に合わせたワイヤロープとフェンス体の固定構造が得られる。
【0015】
また、隣接するフェンス体の端部同士を重複させた状態で支柱に固定させる中間固定具を備えさせることができる。
【0016】
すなわち、前記中間固定具は、一面側に多数の略山形状の突起を形成するとともに、重複したフェンス体の各縦メンバーを向き合う形でそれぞれ前後から挟み込み可能な一対の拘束プレートと、同拘束プレートを前記支柱に連結固定する連結具とを具備するものとすることができる。連結具としては、前記支柱を抱き込みながら前記一対の拘束プレートの左右端部に貫通するUボルトと、同Uボルトの両端にそれぞれ螺合するナットとを備えるものなどを用いることができ、前記Uボルト及びナットによる螺合により前記フェンス体の端部同士を前記支柱に拘束可能とすると、2枚のフェンス体の端部を確実に拘束して連結することができる。
【0017】
特に、前記拘束プレートに多数形成した略山形状の突起どうし間に形成される断面視略V字形の切り込み部分を、同切り込み部分においてフェンス体の縦メンバーを一本ずつ隔離した形で挟み込めるような大きさ及び形状とすることにより、前記フェンス体にかかる引張力に耐えうる強固な固定が得られる。
【0018】
また、前記拘束プレートに同一形状、かつ同一大きさの四角垂体を多数隣接して縦方向にも横方向にも略山型形状の突起を形成し、同略山形状の突起どうし間に形成される断面視略V字形の切り込み部分においてフェンス体の縦メンバーを一本ずつ隔離した形で挟み込めるような大きさ及び形状とすることにより、フェンス体の縦メンバーを最適な位置で固定して前記フェンス体にかかる引張力に耐えうる強固な固定が得られる。
【0019】
また、端部支柱と前記ワイヤロープとを緊張力調節自在に連結するとよい。
【0020】
例えば、端部支柱にメガネボルトを配設して同メガネボルトと、両端部をループ状としたワイヤロープの端部との間に、フック状の連結部を両端に形成した緊張力を調節可能とする調節具ターンバックルを介して、端部支柱とワイヤロープとを連設することができる。したがって、ワイヤロープの緊張力をターンバックルによって調節可能とすることができる。
【0021】
さらに、隣接する前記端部支柱間に、緊張力調節自在のブレースを配設することが好ましい。
【0022】
すなわち、フェンス構造体の全長が長い場合には、左右の端部支柱間にワイヤロープを調節したフェンス構造体を二つ隣接して配設し、隣接する二つのフェンス構造体間において、右端部の端部支柱と左端部の端部支柱の上下部にそれぞれ固定金具を配設し、同固定金具に、中途部に緊張力を調節可能とする調節具を有するとともに両端部にフック状の連結部を有するブレースを筋交い状に配設することによって、二つのフェンス構造体を連設して一つのフェンス構造体とすることができる。さらにフェンス構造体の全長が長い場合には、同様にして複数のフェンス構造体を連設して所定長のフェンス構造体とすることができる。
【0023】
このように、ワイヤロープが存在しない隣接する右端部の端部支柱と左端部の端部支柱間において、ブレースを筋交い状に配設することによって、それぞれの端部支柱にかかる一方向からのワイヤロープの張力を打消してフェンスの耐久性を向上することができる。
【0024】
また、施工後ブレースの緊張力が緩んだ場合は、随時調節具で容易に緊張力を調節することができる。
【0025】
かかる構成により、フェンス構造体の全長がどんなに長くても耐久性に富むフェンス構造体とすることができる。
【0026】
また、ワイヤロープを貫挿保持する筒状のワイヤガイドを前記中間支柱に取り付けることもできる。すなわち、ワイヤロープを左右の端部支柱間に張設する際の中間支柱に対するワイヤロープの当接構造を、左右の端部支柱間に存在する中間支柱とワイヤロープとの当接部分において、中間支柱の側面にワイヤロープを貫挿する筒状のワイヤガイドを固定して、同ワイヤガイドにワイヤロープを貫挿保持するように構成するものである。
【0027】
かかるワイヤガイドを用いることにより、ワイヤロープが中間支柱とフェンス体の縦メンバーとに挟み込まれて拘束されることを防止して、フェンス施工後ワイヤロープに緩みが発生した際に再度の緊張作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、H型鋼である端部支柱、あるいは中実状とした円形パイプからなる中間支柱の代わりに、支柱を筒状に形成するとともに、支柱内部に断面十字状の補強体を収納配設することができる。
【0029】
このように、パイプ内部に断面十字状の補強体を収納配設した他の端部支柱、すなわち補強型角支柱や補強型丸支柱を用いれば、支柱の曲げに対する強度を著しく向上して支柱の外径を細く構成したり支柱の肉厚を薄く構成することができるのでコストを削減することができる。
【0030】
また、フェンス体を支柱とワイヤロープに配設する際、フェンス体の下部を地中に埋設することが好ましい。
【0031】
かかる構成とすることにより、フェンス体の下端縁と地面の間に生起する隙間から小動物が侵入するのを防止することができる。また、仮に動物が地面に穴を掘ってそこから侵入しようとしても、フェンス体の下部が地中に存在することにより不可能とし侵入を防止することができる。さらに、フェンス体の縦メンバーを地盤中に突き刺した状態とすることができるので沈降力を受け難くしフェンス体の損傷等を防止することができる。
【0032】
また、フェンス体の上部に、動物等の手掛かり防止となる所定長の縦幅を有する縦長の格子目を形成するとよい。
【0033】
すなわち、フェンス体の上部に横メンバーどうしの上下間隔をあけて動物等の手掛かり防止となる所定の縦幅を有する縦長の格子目を形成して手掛かり防止部を設けたフェンス体を使用すれば、フェンス体をよじ登ってきた動物がフェンスを乗り越えようとして最後に手を掛けようとしてもフェンスの上部には横メンバーは存在しないので手掛かりとすることが不可能となり、動物がフェンス内に侵入することを阻止することができる。したがって、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくすことができる。
【0034】
また、支柱を上部方向に伸延させて伸延部を形成し、同伸延部に乗り越え防止体を配設することもできる。すなわち鉄条網による乗り越え防止体や鉄線による乗り越え防止体や格子網による乗り越え防止体を配設することによっても、動物がフェンス上部から乗り越えてフェンス内に進入することを防止することができる。この場合でも、前述同様に、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくすことができる。
【0035】
なお、本実施の形態では支柱の雪圧のかかる例として道路斜面側または法面と対峙する側として説明したが、フェンス設置場所によっては雪圧のかかる面は変わる場合もある。
【0036】
従って、フェンス設置場所に応じてワイヤロープを設置する面は適宜設定することが望ましい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1は本発明のフェンス構造体の左端部を示す正面図、図2は図1の右側面図である。
【0039】
図において、H型鋼を利用した端部支柱1と円形のパイプを利用した中間支柱2が基礎1a,2a上に鉛直姿勢に立設されている。なお、前記中間支柱2は略矩形のパイプを利用した中間支柱2'でもよい(図7,図18,図19参照)。中間支柱2は一定のピッチで図1において右側に順に配列されるもので、右端部には端部支柱1と同様の構成の端部支柱1(図示せず)が配置される。端部支柱1と中間支柱2及び図示しない右側配列の中間支柱及び右端に位置する端部支柱1の間には上下に間隔をおいた3本のワイヤロープ3a,3b,3cが緊張状態に張られている。これらのワイヤロープ3a,3b,3cの外径は8mm程度である。なお、ワイヤロープ3a,3b,3cは歩道または側道と反対側の面となるように端部支柱1及び中間支柱2に固定され、例えば前記歩道または側道と反対側の面が急斜面などの場合、斜面に積雪した雪圧を端部支柱1と中間支柱2及びワイヤロープ3a,3b,3cが受ける構成となっている。
【0040】
ワイヤロープ3a,3b,3cによって連結される端部支柱1と中間支柱2との間には図3に示すようにフェンス体4が固定される。このフェンス体4は端部支柱1及び中間支柱2が斜面側を向く面であって、歩道または側道とは逆向きの面に取付けられる。フェンス体4は外径を4〜6mm程度とした縦メンバー4aとこれに直交するように配列してスポット溶接した外径が6〜10mm程度の横メンバー4bとから構成されたもので、縦メンバー4aどうしの間隔は約50mm程度である。なお、図示の例では端部支柱1と中間支柱2との間にフェンス体4を配置しているが、中間支柱2どうしの間及び中間支柱と右端配置の端部支柱1(図示せず)との間にも同様にフェンス体4が取り付けられる。
【0041】
図4はワイヤロープ3aの中間支柱2への固定構造を示す分解斜視図、図5はワイヤロープ3aを中間支柱2に固定したときの要部を示す側面図、図6は図1の破線で囲んだC部分を示す拡大図である。なお、図5は図1の破線で囲んだB部の詳細である。
【0042】
ワイヤロープ3aを中間支柱2に固定する固定具は、図4に示すように中間支柱2に取り付けた固定座5a,この固定座5aに被さりワイヤロープ3aを抱き込む円弧部5b−1を形成した緊締具5b、中間支柱2を貫通して正面側から差し込まれるとともに固定座5aと緊締具5bを貫通するボルト5c、このボルト5cに螺合するナット5dとから構成されたものである。ワイヤロープ3aは図6に示すように端部支柱1の上端に設けたアイガード1bに一端を連結され他端側の端部支柱1との間で緊張状態に張設されたものである。そして、ワイヤロープ3aは図5に示すように緊締具5bと固定座5aとの間に差し込まれて中間支柱2に固定される。なお、ワイヤロープ3b,3cについても同様の取付け構造によって端部支柱1及び中間支柱2に連結固定される。(図3参照)
なお、ワイヤロープ3aを中間支柱2に固定する固定具の他の例として、図7に示すように、前記固定座と緊締具とが一体形成された物を用いることができる。具体的には、中間支柱に取り付けた長板を折り返すとともに同折り返し部にワイヤロープ3aを挿通する挿通部を形成した緊締具5b'とするものである。この場合のワイヤロープ3aを中間支柱2に固定する固定構造は、緊締具5b'、前記中間支柱2'を貫通して正面側から差し込まれるとともに緊締具5b'を貫通するボルト5c、このボルト5cに螺合するナット5dとから構成されることになる。
【0043】
なお、ワイヤロープ3a,3b,3cは中間支柱2に連結固定せず、フェンス体4と固定することもできる。
【0044】
図8は図1の破線で囲んだA部の詳細であり、中間支柱2に対するフェンス体4の固定構造を示すものであって、(a)は正面図、(b)は同図(a)のA−A線矢視による断面図である。
【0045】
中間支柱2には隣接するフェンス体4の端部どうしが重複した状態で固定されるもので、2枚のフェンス体4をそれぞれ挟み込むように配置される一対の拘束プレート6a,6aとUボルト6d及びこのUボルト6dに螺合するナット6eによって中間固定具が構成されている。すなわち、中間支柱2を抱き込むようにしてUボルト6dを配置し、拘束プレート6a,6aで2枚のフェンス体4の端部を挟み込み、Uボルト6dとナット6eを螺合することによって中間支柱2に2枚のフェンス体4が固定される。なお、拘束プレート6a、6aの一面側には、図8(b)の丸枠で囲んだ拡大図に示すように多数の略山形状の突起が形成され、2枚のフェンス体4の端部どうしを確実に拘束して連結できるようにしている。
【0046】
この時、拘束プレート6a,6aの代わりに、図9及び図10に示すような拘束プレート6b,6b、または、図11に示すような拘束プレート6c,6cを使用することができる。
【0047】
まず、第1の変形例である拘束プレート6b,6bの使用例を図9に示す。
【0048】
この拘束プレート6b,6bは、前記した拘束プレート6a,6a(図8)の多数形成した略山形状の突起同士間に形成される断面視略V字形の切り込み部分を拡張して、フェンス体4の縦メンバー4aを一本ずつ隔離した形で挟み込めるような大きさ及び形状としたものである。
【0049】
かかる構成の拘束プレート6b,6bによって、フェンス体4の縦メンバー4aを一本ずつ隔離した形で挟み込むことができ、フェンス体4にかかる引張力に耐えうるより強固な固定が得られる。
【0050】
次に、第2の変形例である拘束プレート6cについて説明すると、図11に示すように、同拘束プレート6c,6cは、前記拘束プレート6a,6aの多数形成した略山形状の突起の代わりに、同一形状、かつ同一大きさの四角垂体を多数隣接して縦方向にも横方向にも略山型形状の突起を形成している。
【0051】
かかる構成の拘束プレート6c,6cでは、略山形状の突起どうし間に形成される断面視略V字形の切り込み部分を、フェンス体の縦メンバーを一本ずつ隔離した形で挟み込めるような大きさ及び形状としているので、フェンス体の縦メンバーを最適な位置で固定して前記フェンス体にかかる引張力に耐えうる強固な固定が得られる。
【0052】
図12はワイヤロープ3aに対するフェンス体4の固定構造であって、(a)は要部の斜視図、(b)は要部の断面図である。
【0053】
フェンス体4は、図8で示した固定構造によって中間支柱2に固定されるとともに、ワイヤロープ3aにも固定具7によって固定される。固定具7は、図12に示すように略逆U字状の断面形状を持つもので、ワイヤロープ3aに沿って走る横メンバー4bをワイヤロープ3aとともに抱き込み可能としたものである。そして、固定具7には孔7a,7bを開けておき、これらの孔7a,7bにボルト8を通してナット8aをこのボルト8に螺合することによって前記固定具7を強く緊締し、同図の(b)に示すようにワイヤロープ3aに横メンバー4bを一体に固定することができる。なお、下段のワイヤロープ3b,3cとフェンス体4の横メンバー4bとの連結構造も同様である。
【0054】
以上の構成において、フェンス構造体の施工は次の手順による。
【0055】
まず、基礎1a,2aを地盤中に形成してこれらのそれぞれに端部支柱1及び中間支柱2を立設する。中間支柱2は図1に示した端部支柱1との間に間隔をもって複数配列されるもので、右端部には端部支柱1と同様の構成のものが立設される。
【0056】
端部支柱1及び中間支柱2の立設作業の後には、ワイヤロープ3a,3b,3cを各端部支柱1及び中間支柱2に張設する。このとき、図6に示したワイヤロープ3aの例と同様に、右側端部に配置する端部支柱1には巻き付けグリップとアイガード1bでワイヤロープ3aの一端を接続して緊張状態に張り巡らす。下段配置のワイヤロープ3b,3cの施工も同様に行う。そして、中間支柱2に対しては図4及び図5に示したように固定座5a,緊締具5b,ボルト5c,ナット5dによりワイヤロープ3aを中間支柱2に固定する。なお、ワイヤロープ3b,3cについても同様の施工をすることにより、端部支柱1と中間支柱2の配列に対して3本のワイヤロープ3a,3b,3cを張設することができる。
【0057】
この時、ワイヤロープ3aを中間支柱2に固定するための前記固定座5a,前記緊締具5bの代わりに、図7に示す緊締具5b’を使用して、緊締具5b’,ボルト5c,ナット5dによりワイヤロープ3aを中間支柱2に固定することもできる。なお、ワイヤロープ3b,3cについても同様の施工をすることにより、端部支柱1と中間支柱2の配列に対して3本のワイヤロープ3a,3b,3cを張設することができる。
【0058】
ワイヤロープ3a,3b,3cを施工した後には、2枚のフェンス体4がオーバーラップするように中間支柱2の前面に取り付けられる。この取り付け作業は、図8に示したように、微小な凹凸を形成した拘束プレート6a,6a,Uボルト6d,ナット6eを用いて行う。
【0059】
すなわち、2枚のフェンス体4の間口方向の端部を重ね合わせて中間支柱2の正面側に配置して拘束プレート6a,6aにより2枚のフェンス体4を狭持し、Uボルト6dとナット6eによる締め付けによりフェンス体4の端部を中間支柱2に固定する。
【0060】
この時、上記構成の拘束プレート6a,6aの代わりに、前述した拘束プレート6b,6b(図10参照)、または、拘束プレート6c,6c(図11参照)を使用することができる。その場合の施工は、図8において2枚のフェンス体4を中間支柱2に取り付ける施工において、拘束プレート6a,6aをそれぞれ拘束プレート6b,6b、拘束プレート6c,6cに代えるだけで良く、代表例として拘束プレート6b,6bを用いた施工例を図9に示す。
【0061】
このような施工により、ワイヤロープ3a,3b,3cが端部支柱1と中間支柱2に固定されるとともに、フェンス体4はUボルト6dと拘束プレート6a,6a及びナット6eによって中間支柱に固定され、更にワイヤロープ3a,3b,3cに固定具7を介してフェンス体4の横メンバー4bが固定される(図12参照)。
【0062】
このようにして端部支柱1及び中間支柱2にフェンス体4が固定され、図2において左側のフェンス体4を高速道路等の傾斜面側に向けて現場施工される。
【0063】
このようにして施工されたフェンス構造体では、ワイヤロープ3a,3b,3cによってフェンス体4が支持されるので、斜面雪圧及び受動雪圧等をフェンス体4の全体と端部支柱1及び中間支柱2の全体で受け止めることができる。すなわち、フェンス体4は端部支柱1及び中間支柱2よりも傾斜面側に位置しているので、雪圧を受けたときフェンス体4からワイヤロープ3a,3b,3cを介して端部支柱1及び中間支柱2に伝えて分散支持することができる。したがって、従来のように太い胴縁を備える必要がなくなるほか、従来の菱形金網を用いる場合に比べて強度を大きくできるので、端部支柱1と中間支柱2及び中間支柱どうしの間の間隔を広くすることができ、低コスト化が可能となる。
【0064】
また、太い胴縁を必要としないので、フェンス体4の断面積を従来に比べて半分以下に減らすことができる。このため、雪の堆積による沈降力の影響を最小限とすることができる。
【0065】
更に、縦メンバー4aは50mm間隔で並んでいるので、雪の通り抜けを促すことができ、菱形網の場合に比べると雪圧によるフェンス体4の変形や損壊を防止することができる。すなわち、積雪地に設置した場合でも、縦メンバー4aどうしの間のスリットから雪が抜けやすくて雪の詰まりが少なくなり、積雪による斜面雪圧及び受動雪圧からなる雪圧と積もった雪がもたらす沈降力を受け難く、また、すべての雪圧を受けたとしてもフェンス体4全体で分散して受け止めるため、フェンス体4が変形してしまうことがない。
【0066】
また、立設した端部支柱1及び中間支柱2にフェンス体4の間口を重ねて調節するため、端部支柱1及び中間支柱2に多少のズレがあっても簡単に取り付けることができ施工性を向上することができる。
【0067】
なお、以上の実施の形態では道路等の斜面に沿ってフェンス構造体を設置する例について述べたが、飛行場、工場等の防護柵等にも適用することができる。
【0068】
上記してきた端部支柱1、中間支柱2の他実施例について説明する。
【0069】
上述してきた実施例でH型鋼とした端部支柱1、また中実若しくは単に丸パイプ状とした中間支柱2の代わりに、補強体11を設けた補強型角支柱10や補強型丸支柱12を使用することができる。
【0070】
すなわち、補強型角支柱10は、図13に示すように略矩形のパイプ内部に断面十字状の補強体11を収納配設したものであり、補強型丸支柱12は、図14に示すように円形のパイプ内部に、これも同様な断面十字状の補強体13を収納配設したものである。
【0071】
前記十字状の補強体11,13は、鉄、アルミ等の金属で構成されており、初めから十字形状に成形した補強体11,13を用いてもよいし、図15に示すように、「L」字状のアングル材を二つ用いて、互いの折曲部の稜線同士を溶接して十字状に形成した補強体14を用いても良い。
【0072】
かかる構成としたことにより、支柱の断面係数を大きくして支柱の曲げに対する強度を著しく向上することができる。
【0073】
したがって、支柱の外径を細く構成したり支柱の肉厚を薄く構成することができるのでコストを削減することができる。
【0074】
次に、上述したワイヤロープ3aを端部支柱1に固定する場合の他の実施例について説明する。
【0075】
この実施例では、前記端部支柱1と前記ワイヤロープ3aとを緊張力調節自在に連結しており、具体的に説明すると、図16に示すように、端部支柱1にメガネボルト15を貫通固定し、同メガネボルト15とワイヤロープ3aとの間に緊張力を調節可能とするターンバックル18を介設している。図中、16は前記メガネボルト15を端部支柱1に固定するためのナット、17は同ナット16と端部支柱1との間に介設した座金である。なお、図示したものは、ワイヤロープ3aの左端部側であるが、右端部も同様である。
【0076】
このような構成としたことにより、ワイヤロープ3aの緊張力をターンバックル18によって調節可能とすることができ、ワイヤロープ3aを張設する際に、適度な緊張をもって張設することが容易となる。また、施工後ワイヤロープ3aに緩みが発生した際には、随時、ターンバックル18によって容易に緊張状態に戻すことができる。
【0077】
ところで、フェンス構造体の全長が著しく長い場合などには、これまで説明してきたような左端部の端部支柱1と右端部の端部支柱1との間にワイヤロープ3aを張設したフェンス構造体を、二つ隣接して配設すればよい。このとき、図17に示すように、隣接する一方のフェンス構造体の右端部の端部支柱1と、他方のフェンス構造体の左端部の端部支柱1の上下部に、それぞれ固定金具9を配設し、同固定金具9に、中途部に緊張力を調節可能とする調節具19を有し、かつ両端部にフック状の連結部を有するブレース20を筋交い状に配設して、二つのフェンス構造体を連結し連続させるのである。
【0078】
さらに、図示するように、左右の端部支柱1,1の中途部より斜め下方向へ補強用のサポート支柱21,21をそれぞれ配設し、同サポート支柱21の下端部は埋設して固定するとよい。
【0079】
かかる構成としたことにより、右端部の端部支柱1と左端部の端部支柱1は、ワイヤロープ3a,3b,3cの張力によって一方向へのみ引っ張られる力を打消され、安定した構造を保持することができる。
【0080】
したがって、ワイヤロープ3a,3b,3cの張力に加えて、雪圧がかかり更に大きな力が支柱に作用しても、フェンスは立設した状態を保持してフェンスの耐久性を向上させることができる。
【0081】
ここで、図18に示すワイヤガイド22について説明する。
【0082】
これは、ワイヤロープ3b,3cが中間支柱2とフェンスとの間に強く挟まれた状態で時間が経つと、固く結着されてメンテナンスが難しくなるのを防止するもので、図示するように筒状に形成されており、中間支柱2とワイヤロープ3bとの当接部分に配置して、中間支柱2の側面及びフェンス(縦メンバー4a)とワイヤロープ3bとが直接接触しないようにしている。
【0083】
すなわち、中間支柱2の側面に、本ワイヤガイド22を溶接などで取付固定し、ワイヤロープ3bを同ワイヤガイド22に挿通している。なお、ワイヤロープ3cについても同様の施工を行う。
【0084】
かかる構成により、中間支柱2とフェンス体4の縦メンバー4aとの間に配設されるワイヤロープ3b,3cが中間支柱2とフェンス体4の縦メンバー4aとに挟み込まれて長期にわたって拘束され、固く結着されることを防止することができる。
【0085】
したがって、例えば、フェンス施工後ワイヤロープ3b,3cに緩みが発生した場合でも、ワイヤロープ3b,3cを再度緊張状態に戻す作業も容易に行うことができる。
【0086】
また、上記ワイヤガイド22と同様な機能を、前述した拘束プレート6a,6aに付与することも可能である。
【0087】
すなわち、図8に示した中間支柱2に対するフェンス体4の固定構造において、2枚のフェンス体4をそれぞれ挟み込むように配置される一対の拘束プレート6a,6aの代わりに、図19に示すような一対の拘束プレート6a',6aを用いるのである。
【0088】
これは、図8に示した中間支柱側に位置する拘束プレート6aの上下部を伸延させるとともに、それぞれ中間支柱2側へ直角に折り曲げて、両折り曲げ部間にワイヤロープ挿通用空間Sを形成したものである。
【0089】
そして、同ワイヤロープ挿通用空間Sにワイヤロープ3bを挿通し、拘束プレート6a',6aとUボルト6d'及びこのUボルト6d'に螺合するナット6eによって中間固定具を構成し、中間支柱2'を抱き込むようにしてUボルト6d'を配置し、拘束プレート6a',6aで2枚のフェンス体4の端部を挟み込み、Uボルト6d'のナット6eを螺合することによって中間支柱2に2枚のフェンス体4が固定するのである。
【0090】
かかる構成により、中間支柱2とフェンス体4の縦メンバー4aとの間に配設されるワイヤロープ3b,3cが中間支柱2とフェンス体4の縦メンバー4aとに挟み込まれて拘束されることを防止でき、やはり、フェンス施工後ワイヤロープ3b,3cに緩みが発生した場合に、再度の緊張作業を容易に行える。
【0091】
次に、上述したフェンス構造体に防獣効果を付加したものついて説明する。
【0092】
これは、図20に示すように、フェンス体4の縦メンバー4aを地盤中に突き刺した構成としたものである。
【0093】
すなわち、フェンス体4の縦メンバー4aを地盤中に突き刺して施工すれば、動物がフェンス下端縁と地面との間に生起した隙間から侵入することを防止することができ、しかも、動物がフェンス体4の近傍に地面を掘ったとしても、縦メンバー4aの下端部が地面中に残っているので、動物の侵入を防止することができる。
【0094】
したがって、動物がフェンス内に侵入することを阻止して、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり交通事故に巻き込んだりする危険性をなくすことができる。しかも、フェンス体4の縦メンバー4aを地中に埋設しているので、従来の菱形網の場合に比べて沈降力を受け難くなり、フェンス体4の損壊等を防止できる。
【0095】
また、さらなる防獣機能を備えるフェンス体として、図20に示すように、動物等の手掛かり防止となる所定長の縦幅を有する縦長の格子目を形成した手掛かり防止部23を設けたものを使用することができる。
【0096】
かかる構成の手掛かり防止用フェンス体4'では、動物がよじ登ってフェンスを乗り越えようとして、最後に手(前足)を掛けようとしても、上部には横メンバー4aは存在しないので手掛かりとすることが不可能なので、動物の侵入を防止することができる。
【0097】
したがって、動物がフェンス内に侵入することを阻止して、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくすことができる。
【0098】
また、防獣機能を付加したフェンスの他の例として、図21〜図23に示すような構成とすることもできる。
【0099】
図21に示したものは、左側部の端部支柱1、右側部の端部支柱1、中間支柱2を上部方向に伸延させて伸延部25とし、同伸延部25に乗り越え防止体、すなわち鉄条網による乗り越え防止体26を配設したものである。
【0100】
図22に示したものは、鉄条網に代えて鉄線による乗り越え防止体27を配設したものであり、図23に示したものは、格子網による乗り越え防止体28を配設したものである。
【0101】
このような構成としたことにより、動物がフェンス上部から乗り越えてフェンス内に侵入することを防止することができ、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくすことができる。
【0102】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、フェンス体は支柱とワイヤロープとによって固定保持されるので、フェンス体を安定して保持することができる。そして、ワイヤロープによってフェンス体の上下やその中間位置を保持することによって太い胴縁を必要とすることがなく、積雪地帯で雪の堆積を減らすと同時に沈降力を軽減し積雪による損壊を防止する効果がある。フェンス体の縦メンバーが引張力を受けても、拘束プレートの一面側に形成された多数の略山形状の突起が縦メンバーを強く拘束することによって移動を阻止し、縦メンバー同士が重なり合って拘束プレート間に余分な隙間が生じることを避けることができ、より強固な固定とすることができる効果がある。フェンス体の縦メンバーを最適な位置で固定してフェンス体にかかる引張力に耐えうる強固な固定が得られる効果がある。
【0103】
請求項2記載の発明によれば、フェンス体の縦メンバーの下端縁を地盤中に突き刺しているため沈降力を受け難くなるのでフェンス体の損傷等を防止する効果がある。
【0104】
また、動物がフェンスの下部より侵入することを防止する効果がある。
【0105】
また、仮に動物がフェンス近傍の地面を掘ったとしてもフェンス下部が地面中に残っているので動物の侵入を防止することができる。したがって、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくす効果がある。
【0106】
請求項3記載の発明によれば、フェンス体の上部に動物の手掛かり防止となる所定長の縦幅を有する縦長の格子目を形成したことにより、フェンスをよじ登ってきた動物がフェンスを乗り越えようとして最後に手を掛けようとしても、フェンスの上部には手掛かりとなる横メンバーが存在しないので、動物がフェンスを乗り越えてフェンス内に侵入することを阻止して、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくす効果がある。
【0107】
請求項4記載の発明によれば、支柱の一面に固定される固定座と、ワイヤロープを抱き込む円弧部を形成した緊締具と、支柱を貫通するとともに固定具及び緊締具を貫通するボルトとこれに螺合するナットとを備えているので、ボルトとナットによる螺合によりワイヤロープを支柱に容易に固定することができ、現場施工を簡略化する効果がある。
【0108】
請求項5記載の発明によれば、長板を折り返すとともに同折り返し部に前記ワイヤロープを挿通する挿通部を形成した緊締具と、中間支柱を貫通するとともに前記緊締具を貫通するボルトとこれに螺合するナットとを備えているので、ボルトとナットによる螺合によりワイヤロープを支柱に容易に固定することができ、現場施工を簡略化する効果がある。
【0109】
請求項6記載の発明によれば、ワイヤロープとフェンス体の横メンバーとを、略U字状断面の固定具の中に差し込むとともに固定具を収縮させるボルト・ナットにより互いに拘束可能としているので、ワイヤロープの任意の位置で横メンバーを拘束固定することができるとともに固定具の数も任意にすることができ、現場での施工条件に合わせたワイヤロープとフェンス体の固定構造とする効果がある。
【0111】
請求項記載の発明によれば、端部支柱とワイヤロープとを緊張力調節自在に連結したので、ワイヤロープの緊張力をターンバックルによって調節可能とすることができ、ワイヤロープを張設する際、適度な緊張をもって張設することを容易とするとともに、施工後ワイヤロープに緩みが発生した際には、随時ターンバックルによって再度の緊張作業を容易とする効果がある。
【0112】
請求項記載の発明によれば、隣接する端部支柱間に緊張力調節自在のブレースを設けたことにより、ワイヤロープの存在しない隣接する端部支柱間の耐久力を向上するとともに、施工後ブレースに緩みが発生した際には、随時調節具によって再度の緊張作業を容易とする効果がある。
【0113】
請求項記載の発明によれば、支柱を上部方向に伸延させて伸延部とし、同伸延部に乗り越え防止体を配設したことにより、動物がフェンスの上部を乗り越えてフェンス内に侵入することを防止して、例えば高速道路内に動物が侵入して走行中の車の妨害をしたり、交通事故に巻き込んだりする危険性をなくす効果がある。
【0114】
請求項10記載の発明によれば、ワイヤロープを貫挿保持する筒状のワイヤガイドを中間支柱の側面に取り付けたので、中間支柱とフェンス体の縦メンバーとの間に配設されるワイヤロープが中間支柱とフェンス体の縦メンバーとに挟み込まれて長期にわたって拘束され、固く結着されることを防止して、フェンス施工後、ワイヤロープに緩みが発生した際には再度の緊張作業を容易とする効果がある。
【0115】
請求項11記載の発明によれば、支柱を筒状に形成するとともに支柱内部に断面十字状の補強体を収納配設したことにより、支柱の断面係数を大きくして支柱の曲げに対する強度を著しく向上できるため、支柱の外径を細く構成したり支柱の肉厚を薄く構成することができコストを削減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフェンス構造体の正面図である。
【図2】 図1の右側面図である。
【図3】 ワイヤロープを備えた支柱へのフェンス体の取り付けを示す概略分解斜視図である。
【図4】 支柱へのワイヤロープの取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図5】 支柱へのワイヤロープの取り付けをフェンス体の一部とともに示す右側面図である。
【図6】 端部支柱へのワイヤロープの連結を示す要部の正面図である。
【図7】 図4において他の緊締具を使用した場合を示す分解斜視図である。
【図8】 (a)は支柱へのフェンス体の固定を示す正面図、(b)は同図(a)のA−A線矢視による断面図である。
【図9】 図8(b)において他の拘束プレートを使用した場合を示す説明図である。
【図10】 拘束プレートの変形例を示す斜視図である。
【図11】 拘束プレートの変形例を示す斜視図である。
【図12】 ワイヤロープへのフェンス体の取り付け構造であって、(a)は要部の分解斜視図、(b)は要部の縦断面図。
【図13】 補強型角支柱の説明図である。
【図14】 補強型丸支柱の説明図である。
【図15】 補強体の施工例を示す説明図である。
【図16】 ターンバックルを用いた端部支柱へのワイヤロープの連結を示す要部の斜視図である。
【図17】 隣接するフェンス構造体の連結構造を示す説明図である。
【図18】 ワイヤガイドの施工例を示す斜視図である。
【図19】 ワイヤガイドの変形例を用いた施工例を示す分解斜視図である。
【図20】 手掛かり防止用フェンス体を用いたフェンス構造体の正面図である。
【図21】 鉄条網による乗り越え防止体を配設したフェンス構造体の正面図である。
【図22】 鉄線による乗り越え防止体を配設したフェンス構造体の正面図である。
【図23】 格子網による乗り越え防止体を配設したフェンス構造体の正面図である。
【符号の説明】
1 端部支柱
1a 基礎
1b アイガード
2 中間支柱
2a 基礎
3a,3b,3c ワイヤロープ
4 フェンス体
4a 縦メンバー
4b 横メンバー
5a 固定座
5b 緊締具
5b−1 円弧部
5c ボルト
5d ナット
6a,6a 拘束プレート
6d Uボルト
6e ナット
7 固定具
7a,7b 孔
8 ボルト
8a ナット

Claims (11)

  1. 縦メンバーと横メンバーとから構成されたフェンス体を、基礎上に立設した複数の支柱間に配設したフェンス構造体において、前記支柱同士の少なくとも上側部間で、前記支柱の道路斜面または法面等、雪圧が多くかかる側に沿ってワイヤロープを連接し、前記フェンス体を前記支柱と前記ワイヤロープに連接して固定し
    隣接するフェンス体の端部同士を重複させた状態で支柱に固定させる中間固定具を備え、同中間固定具は、重複したフェンス体の各縦メンバーをそれぞれ前後から挟み込み可能とし、前記重複したフェンス体の前記各縦メンバーを一本ずつ隔離して挟み込むように挟み込み面に多数の略山形状の突起を形成した一対の拘束プレートと、同拘束プレートを前記支柱に連結固定する連結具とを具備したことを特徴とするフェンス構造体。
  2. 前記フェンス体の下部を、地中に埋設したことを特徴とする請求項1記載のフェンス構造体。
  3. 前記フェンス体の上部に、動物等の手掛かり防止となる所定長の縦幅を有する縦長の格子目を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のフェンス構造体。
  4. 前記支柱は、左右両端に位置する端部支柱と、両端部支柱間に所定間隔をあけて配設された中間支柱とからなり、中間支柱の一面に固定される固定座と、前記ワイヤロープを抱き込む円弧部を形成した緊締具と、中間支柱を貫通するとともに前記固定座及び緊締具を貫通するボルトとこれに螺合するナットとを備え、前記ボルト及びナットによる螺合により前記ワイヤロープを前記中間支柱に固定したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
  5. 前記固定座と緊締具とが一体形成されたことを特徴とする請求項4記載のフェンス構造体。
  6. 前記支柱間に、ワイヤロープとフェンス体の横メンバーとを抱持する略U字状断面の固定具を配置したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
  7. 前記端部支柱と前記ワイヤロープとを緊張力調節自在に連結したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
  8. 隣接する前記端部支柱間に、緊張力調節自在のブレースを配設したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
  9. 前記支柱を上部方向に伸延させて伸延部を形成し、同伸延部に乗り越え防止体を配設したことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
  10. 前記ワイヤロープを貫挿保持する筒状のワイヤガイドを前記中間支柱に取り付けたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
  11. 前記支柱を筒状に形成するとともに、支柱内部に断面十字状の補強体を収納配設したことを特長とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のフェンス構造体。
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