以下、本発明のフェンス10の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態のフェンス10を水平な地面12に設置した場合を示す正面図である。図2は、第1実施形態のフェンス10において、所定の支柱11における取付構造を示す正面図である。図3は、図2のフェンス10における支柱11の上方側の取付構造を示す正面図である。図4は、図2のフェンス10における支柱11の上方側の取付構造を示す断面図である。図5は、図2のフェンス10における支柱11の下方側の取付構造を示す正面図である。図6は、図2のフェンス10における支柱11の下方側の取付構造を示す断面図である。図7は、第1実施形態のフェンス10を傾斜した地面12Aに設置した場合における所定の支柱11の取付構造を示す正面図である。図8は、図7のフェンス10における支柱11の上方側の取付構造を示す正面図である。
なお、本実施形態の説明においては、フェンス10において、支柱11及びフェンス本体20が並ぶ方向を前後方向といい、支柱11側を後側といい、フェンス本体20側を前側という。
本実施形態のフェンス10は、例えば、屋外に設置される間仕切りなどに用いられる。また、本実施形態のフェンス10は、様々な傾斜角度で傾斜した地面12,12Aに対応して設置可能である。まず、フェンス10を水平な地面12に設置した場合の構成について説明する。図1に示すように、第1実施形態のフェンス10の高さは、例えば、高さH1(地面12からフェンス本体20の上端部までの高さ)である。
フェンス10は、図1〜図6に示すように、複数の支柱11と、複数のフェンス本体20と、回転部材としての上部側取付部30と、ネジ部材310(回転軸部)と、スペーサ部材37と、下部側取付部40と、ネジ部材410と、スペーサ部材47と、を備える。
複数のフェンス本体20は、図1及び図2に示すように、それぞれ、上部側取付部30及び下部側取付部40を介して、複数の支柱11に取り付けられる。具体的には、フェンス本体20は、フェンス10の上部側において、上部側取付部30の上部フック部34(後述)に取り付けられ、フェンス10の下部側において、下部側取付部40の下部フック部44(後述)に取り付けられる。また、上部側取付部30は、ネジ部材310により、支柱11に固定され、下部側取付部40は、ネジ部材410により、支柱11に固定される。
複数のフェンス本体20は、複数の支柱11の前側に配置される。複数の支柱11は、鉛直方向に延びるように配置され、地面12に立設される。図1及び図2においては、地面12は、水平である。複数のフェンス本体20は、所定方向に連設されている。
フェンス本体20は、メッシュ状に形成される。フェンス本体20は、複数の縦線材21と複数の横線材22とを格子状に組み付けることで形成され、縦線材21と横線材22の交差部分は、溶接により接合される。フェンス本体20の上端部201及び下端部202は、複数の縦線材21が前方側に突出する円弧状に形成される(図4及び図6参照)。
上部側取付部30は、図3及び図4に示すように、ネジ部材310により、支柱11に対して回転可能な状態で、支柱11の上方側に取り付けられる。上部側取付部30は、上側筒状体31(回転部材本体)と、上部フック部34(フック部)と、を有する。
上側筒状体31は、上下方向に延びる方形筒状に形成され、支柱11側に配置される背面板32と、フェンス本体20側に配置される前面板33と、を有する。背面板32及び前面板33は、支柱11におけるフェンス本体20側の面に平行な方形板状に形成され、上下方向に延びる。背面板32及び前面板33は、互いに対向して、前後方向に離間して配置される。
背面板32には、移動用スリット321(長穴)が形成される。移動用スリット321は、背面板32を前後方向(水平方向)に貫通すると共に、背面板32の幅方向の中央において、上側筒状体31の長手方向に沿って延びる。移動用スリット321には、ネジ部材310が貫通して配置される。
ネジ部材310は、上側筒状体31を、支柱11に対して回転可能な状態で、支柱11に固定する。ネジ部材310の軸部310aは、上側筒状体31の背面板32及び支柱11を前後方向に貫通して配置される。ネジ部材310の頭部310bは、移動用スリット321におけるフェンス本体20側において上側筒状体31の背面板32を係止する。ネジ部材310の軸部310aの先端は、支柱11の背面において、ナット311により固定される。
移動用スリット321は、ネジ部材310の軸部310aの径よりも広い幅であって、ネジ部材310の頭部310bの径よりも狭い幅で形成される。移動用スリット321には、ネジ部材310の軸部310aが前後方向に貫通して配置される。ネジ部材310は、支柱11に対して上側筒状体31を回転させることが可能且つ移動用スリット321に沿って移動させることが可能な状態で、支柱11と上側筒状体31とを連結する。ネジ部材310が移動用スリット321に配置されることで、上側筒状体31は、移動用スリット321に沿って支柱11に対して移動可能である。
前面板33には、前面開口部331が形成される。前面開口部331は、移動用スリット321に対応して、移動用スリット321からフェンス本体20側(支柱11とは反対側)に離間して配置される。前面開口部331は、頭部挿入用開口部332と、長尺スリット開口部333と、を有する。
頭部挿入用開口部332は、前面板33を前後方向に貫通すると共に、前面板33の上方側における背面板32の移動用スリット321の上端部に対応する位置において円形状に形成される。頭部挿入用開口部332は、ネジ部材310の頭部310bの径よりも大きく形成される。
頭部挿入用開口部332には、移動用スリット321にネジ部材310の軸部310aを挿入する際に、フェンス本体20側から、ネジ部材310及びドライバー(工具)(図示せず)の先端が挿入される。頭部挿入用開口部332にネジ部材310が挿入されることで、ネジ部材310は、軸部310aが、頭部挿入用開口部332及び移動用スリット321を通過して移動され、頭部310bが、頭部挿入用開口部332を通過して、移動用スリット321におけるフェンス本体20側において背面板32を係止する。
なお、本実施形態においては、頭部挿入用開口部332は開放された状態である。しかし、これに限定されず、頭部挿入用開口部332を覆うカバー部材(図示せず)を取り付けてもよい。ネジ部材310により上側筒状体31を支柱に固定した後に、カバー部材(図示せず)により頭部挿入用開口部332を覆うようにカバー部材を取り付けることにより、頭部挿入用開口部332に指が入ることを抑制することができる。
長尺スリット開口部333は、前面板33を前後方向に貫通する。長尺スリット開口部333は、頭部挿入用開口部332の下部に連続して形成され、前面板33の幅方向の中央における移動用スリット321に対応した位置において、移動用スリット321(上側筒状体31の長手方向)に沿って延びる。長尺スリット開口部333は、移動用スリット321に対してフェンス本体20側に形成される。長尺スリット開口部333は、移動用スリット321の幅よりも僅かに広い幅であって、かつ、ネジ部材310(回転軸部)の頭部310bの径よりも狭い幅で形成される。
支柱11と上側筒状体31との間には、スペーサ部材37が配置される。スペーサ部材37は、ネジ部材310の軸部310aの外周面に沿って配置される筒状に形成される。スペーサ部材37は、支柱11と上側筒状体31とを離間させる。
以上のように構成される上部側取付部30においては、ネジ部材310の軸部310aが背面板32の移動用スリット321(後述)に貫通して配置した状態で、ネジ部材310を完全に締め込まずに、支柱11に仮固定する。このネジ部材310の仮固定の状態においては、上側筒状体31は、ネジ部材310により、支柱11に対して回転可能であり、かつ、支柱11に対して移動用スリット321に沿って移動可能な状態で、仮固定状態で支柱11に取り付けられる。
上部フック部34は、図4に示すように、上側筒状体31の上方側において、上側筒状体31を前後方向に貫通して配置される。上部フック部34は、一端に形成される引っ掛け部341と、引っ掛け部341の後端に接続される棒状の棒状部342と、を有する。
引っ掛け部341は、支柱11側が開放した略C字形状に形成される。引っ掛け部341は、前面板33よりも前方側に突出するように配置される。引っ掛け部341のC字形状の内側の部分には、フェンス本体20の横線材22が配置される。
棒状部342は、フェンス本体20側から支柱11側に前後方向に延びる棒状に形成される。棒状部342は、その軸を中心に上側筒状体31に対して回転可能な状態で、上側筒状体31を前後方向に貫通して配置される。棒状部342は、前端側が、引っ掛け部341のC字形状の部分の下端部に接続され、後端部が、上側筒状体31の背面板32の支柱11側の面において、ナット343により固定される。
下部側取付部40は、図5及び図6に示すように、上下方向に離間して配置される2つのネジ部材410により、支柱11に対して回転不能な状態で、支柱11の下方側に固定される。下部側取付部40は、下側筒状体41と、下部フック部44と、を有する。下側筒状体41は、上下方向に延びる方形筒状に形成され、支柱11側に配置される背面板42と、フェンス本体20側に配置される前面板43と、を有する。背面板42及び前面板43は、互いに対向して、前後方向に離間して配置される。
背面板42には、上下方向に離間して配置される2つのネジ穴421が形成される。ネジ穴421は、円形状に形成され、前後方向に貫通する。ネジ穴421には、ネジ部材410が貫通して配置される。
ネジ部材410は、下側筒状体41を、支柱11に対して回転不能な状態で、支柱11に固定する。ネジ部材410の軸部410aは、下側筒状体41の背面板42及び支柱11を前後方向に貫通して配置される。ネジ部材410の頭部410bは、ネジ穴421におけるフェンス本体20側において下側筒状体41の背面板42を係止する。ネジ部材410の軸部410aの先端は、支柱11の背面において、ナット411により固定される。
ネジ穴421は、ネジ部材410の軸部432aの径よりも大きく形成され、ネジ部材410の頭部432bの径よりも小さく形成される。
前面板43には、上下方向に離間して配置されると共にネジ穴421に対応する2つのネジ挿入用開口431が形成される。ネジ挿入用開口431は、ネジ部材410の頭部432bの径よりも大きく形成される。ネジ挿入用開口431には、ネジ穴421にネジ部材410を挿入する際に、ネジ部材410及びドライバー(工具)(図示せず)の先端が挿入される。
支柱11と下側筒状体41との間には、スペーサ部材47が配置される。スペーサ部材47は、ネジ部材410の軸部410aの外周面に沿って配置される筒状に形成される。スペーサ部材47は、支柱11と下側筒状体41とを離間させる。
下部フック部44は、図6に示すように、下側筒状体41におけるネジ部材410が支柱11に固定される位置よりも下方側において、下側筒状体41を前後方向に貫通して配置される。下部フック部44は、一端に形成される引っ掛け部441と、引っ掛け部441の後端に接続される棒状の棒状部442と、を有する。
引っ掛け部441は、支柱11側が開放した略C字形状に形成される。引っ掛け部441は、前面板43よりも前方側に突出するように配置される。引っ掛け部441のC字形状の内側の部分には、フェンス本体20の横線材22が配置される。
棒状部442は、フェンス本体20側から支柱11側に前後方向に延びる棒状に形成される。棒状部442は、その軸を中心に下側筒状体41に対して回転可能な状態で、下側筒状体41を前後方向に貫通して配置される。棒状部442は、前端側が、引っ掛け部441のC字形状の部分の下端部に接続され、後端部が、下側筒状体41の背面板42の支柱11側の面において、ナット443により固定される。
以上のように構成されるフェンス10を、図2に示すように、水平な地面12に設置する場合には、支柱11に上部側取付部30を仮固定した状態で、例えば、最も左側の支柱11において、下部側取付部40の下部フック部44に、左から2番目であって下から4本目の横線材22(x2、y4)を引っ掛け、上部側取付部30の上部フック部34に、左から2番目であって下から9本目の横線材22(x2、y9)を引っ掛けることで、フェンス本体20を上部側取付部30及び下部側取付部40に配置する。
また、フェンス10を、図7に示すように、傾斜角度αで傾斜した地面12Aに設置する場合には、支柱11に上部側取付部30を仮固定した状態で、例えば、最も左側の支柱11において、下部側取付部40の下部フック部44に、左から2番目であって下から4本目の横線材22(x2、y4)を引っ掛け、上部側取付部30を移動用スリット321に沿って移動させ且つ回転させることで上部側取付部30の配置位置を調整して、上部側取付部30の上部フック部34に、左から8番目であって下から9本目の横線材22(x8、y9)を引っ掛けることで、フェンス本体20を上部側取付部30及び下部側取付部40に配置する。
次に、フェンス10を傾斜した地面12Aに施工する場合におけるフェンス10の施工方法について説明する。図9は、第1実施形態のフェンス10の施工方法であって、フェンス10を傾斜した地面12Aに設置する場合において、上部側取付部30及び下部側取付部40を支柱11に取り付けた状態を示す図である。図10は、第1実施形態のフェンス10を施工方法であって、フェンス本体20を上部側取付部30及び下部側取付部40に取り付けた状態を示す図である。
傾斜角度αで傾斜した地面12Aにフェンス10を設置する場合について説明する。
まず、図9に示すように、フェンス10を傾斜した地面12Aに施工する場合には、傾斜した地面12Aにおいて、支柱11を鉛直方向(重力方向)に沿うように設置し、下部側取付部40をネジ部材410により支柱11の下部側に固定する。また、上部側取付部30をネジ部材310により支柱11の上部側において仮止めすることで、支柱11に上部側取付部30を仮固定する(仮固定工程)。
次に、図10及び図11に示すように、支柱11に上部側取付部30を仮固定した状態で、下部側取付部40の下部フック部44にフェンス本体20の所定部分の横線材22を引っ掛けた状態で、上部側取付部30の上部フック部34にフェンス本体20の所定部分の横線材22(予め設定された取付部分)を引っ掛けるように、上部側取付部30を移動用スリット321に沿って移動させ且つ回転させることで上部側取付部30の配置位置を調整して、フェンス本体20を上部側取付部30に取り付ける(取付工程)。これにより、上部側取付部30の支柱11に対する位置が調整される。
その後、フェンス本体20の位置が決定した後に、ネジ部材310を締め付けることで、上部側取付部30を支柱11に本固定する。
ここで、フェンス本体20における下部フック部44及び上部フック部34に引っ掛ける横線材22の取付部分は、事前の試験などに基づいて予め設定されており、施工説明書などに記載される。本実施形態においては、図7に示すフェンス10の最も左側の支柱11においては、例えば、フェンス10の高さH1(地面12からフェンス本体20の上端部までの高さ)(例えば、H1=800mm)である場合に、地面12,12Aの傾斜角度αが様々な場合に対応して、下部フック部44及び上部フック部34を引っ掛ける横線材22を、事前の試験などにより予め確認して、この内容を施工説明書などに記載しておく。
例えば、下部フック部44及び上部フック部34に引っ掛ける横線材22における取付部分は、[上部フック部34(横線材22のx方向位置、横線材22のy方向位置)、下部フック部44(横線材22のx方向位置、横線材22のy方向位置)]とした場合に、地面12の傾斜角度αが0°である場合、[上部フック部34(x2、y9)、下部フック部44(x2、y4)]であり、地面12Aの傾斜角度αが15°である場合、[上部フック部34(x5、y9)、下部フック部44(x2、y4)]であり、地面12Aの傾斜角度αが30°である場合、[上部フック部34(x8、y9)、下部フック部44(x2、y4)]であり、地面12Aの傾斜角度αが35°である場合、[上部フック部34(x9、y9)、下部フック部44(x2、y4)]であることが予め確認されており、この内容を施工説明書などに記載しておく。
例えば、地面12Aの傾斜角度αが30°である場合には、図10に示すように、引っ掛ける横線材22における取付部分(x方向位置、y方向位置)は、[上部フック部34(x8、y9)、下部フック部44(x2、y4)]である。そのため、下部フック部44に、左から2番目であって下から4本目の横線材22(x2、y4)を引っ掛け、上部フック部34に、左から8番目であって下から9本目の横線材22(x8、y9)を引っ掛けることで、フェンス本体20を、上部側取付部30及び下部側取付部40に配置する。
フェンス本体20を傾けて配置する際に、下部側取付部40における下部フック部44に縦線材21を引っ掛けた状態で、上部側取付部30を移動用スリット321に沿って移動させ且つ回転させることで上部側取付部30の配置位置を調整しながら、上部側取付部30の上部フック部34に横線材22を引っ掛ける。これにより、フェンス本体20を、上部側取付部30及び下部側取付部40に容易に取り付けることができる。
以上のように構成されるフェンス10は、様々な傾斜角度の地面12Aに対応できる。また、様々な傾斜角度の地面12Aに、フェンス10を、簡単に施工することができる。
以上説明した本実施形態のフェンス10によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のフェンス10は、支柱11と、上側筒状体31と上部フック部34とを有する上部側取付部30と、支柱11に対して上側筒状体31を回転可能な状態で、支柱11と上側筒状体31とを連結するネジ部材310と、上部フック部34に取り付けられるフェンス本体20と、を備える。そのため、上部側取付部30を回転させることにより、フェンス本体20の支柱11への取り付け角度を変更できる。これにより、様々な傾斜角度の地面12Aに対応して、フェンス10を支柱11に容易に設置できる。
また、本実施形態においては、上部側取付部30は、ネジ部材310が貫通して配置される移動用スリット321を有し、移動用スリット321に沿って支柱11に対して移動可能に構成される。これにより、上部側取付部30を回転させると共に移動用スリット321に沿って移動させることにより、フェンス本体20の支柱11への取り付け角度に柔軟に対応して、フェンス本体20を支柱11に取り付けることができる。よって、様々な傾斜角度の地面12Aに対応して、フェンス10を支柱11に一層容易に設置できる。
また、本実施形態においては、上部側取付部30は、移動用スリット321に対応して移動用スリット321から支柱11とは反対側に離間して配置される前面開口部331を有し、前面開口部331は、ネジ部材310の頭部310bよりも大きい頭部挿入用開口部332と、頭部挿入用開口部332に連続して形成され移動用スリット321に沿って延びると共にネジ部材310の頭部よりも幅の狭い長尺スリット開口部333と、を有する。そのため、ネジ部材310を頭部挿入用開口部332から挿入して移動用スリット321に配置できる。また、移動用スリット321に配置されるネジ部材310の頭部310bの位置を、長尺スリット開口部333を介して、外部から視認して確認でき、かつ、ネジ部材310の頭部よりも幅の狭い長尺スリット開口部333により、ネジ部材310の頭部310bの縁部を、外部から視認しにくいように覆うことができる。よって、ネジ部材310の頭部310bの縁部を覆うことで意匠性を維持しつつ、上部側取付部30を移動用スリット321に対して移動させる際のネジ部材310の位置を外部から確認できることができる。
また、本実施形態においては、支柱11と上部側取付部30との間に配置されるスペーサ部材37を備える。そのため、上部側取付部30をネジ部材310を中心に回転させる場合に、上部側取付部30が他の部材に当接することを抑制できるため、上部側取付部30の回転を妨げることを抑制できる。
また、本実施形態のフェンスの施工方法は、支柱11に上部側取付部30を仮固定する仮定工程と、支柱11に上部側取付部30が仮固定された状態で、フェンス本体20における予め設定された取付部分を上部フック部34に取り付ける取付工程と、を備え、取付工程において、上部側取付部30の位置が調整される。そのため、フェンス本体20における予め設定された取付部分に上部フック部34に取り付けるだけで、様々な傾斜角度の地面12Aに応じて、フェンス10を支柱11に容易に設置できる。
第1実施形態の変形形態について説明する。図11は、第1実施形態の変形形態を示す図であって、フェンス10Aの施工時にフェンス本体20Aを仮置きできる仮置き片334を上部側取付部30Aに設けた場合を示す図である。
第1実施形態の変形形態は、上部側取付部30Aの前側の表面に、仮置き片334(仮置き部)を配置した構成である。上部側取付部30Aは、第1実施形態の上部側取付部30よりも上方側に延在して構成される。
仮置き片334は、固定板334aと、引っ掛け片334bと、を有する。
固定板334aは、上下方向に延びる板状に形成される。固定板334aは、上部側取付部30にフェンス本体20が取り付けられた場合のフェンス本体20の上端部よりも上方側において、上部側取付部30の前側の表面に固定される。引っ掛け片334bは、固定板334aの上端から前側に突出する水平突出片334cと、水平突出片334cの先端から上方に突出する垂直片334dと、を有する。
第1実施形態の変形形態のフェンス10においては、上部側取付部30にフェンス本体20を取り付ける際に、フェンス本体20の上端部201の円弧状部を、仮置き片334に引っ掛けて、仮置きすることができる。これにより、例えば、一人での作業が容易となるため、施工性を向上できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本発明の第2実施形態のフェンス10Bを水平な地面12に設置した場合を示す正面図である。図13は、第2実施形態のフェンス10Bにおいて、所定の支柱11における取付構造を示す正面図である。図14は、図13のフェンス10Bにおける支柱11の上方側の取付構造を示す正面図である。図15は、図13のフェンス10Bにおける支柱11の上方側の取付構造を示す断面図である。図16は、図13のフェンス10Bにおける支柱11の下方側の取付構造を示す正面図である。図17は、図13のフェンス10Bにおける支柱11の下方側の取付構造を示す断面図である。図18は、第2実施形態のフェンス10Bを傾斜した地面12Aに設置した場合における所定の支柱11の取付構造を示す正面図である。図19は、図18のフェンス10Bにおける支柱11の上方側の取付構造を示す正面図である。図20は、図18のフェンス10Bにおける支柱11の下方側の取付構造を示す正面図である。
図12に示すように、第2実施形態のフェンス10Bは、第1実施形態のフェンス10に比べて、主に、フェンス本体20Bの高さが異なる。第2実施形態のフェンス本体20Bの高さH2(地面12の表面からフェンス本体20の上端部までの高さ)は、第1実施形態のフェンス本体20が高さH1(例えば、H1=800mm)であるのに対して、図12に示すように、高さH1よりも高い高さH2(例えば、H2=1800mm)である(高さH2>高さH1)。
また、第2実施形態のフェンス10Bは、第1実施形態のフェンス10よりも高さが高いことから、フック部の数が、第1実施形態では、2つ(上部フック部34及び下部フック部44)であるのに対して、第2実施形態では、4つ(第1上部フック部38、第2上部フック部39、第1下部フック部58及び第2下部フック部59)である。また、第2実施形態では、第1実施形態の下部側取付部40に代えて、下部側取付部50とした点において、第1実施形態と異なる。第2実施形態の下部側取付部50は、第1実施形態の下部側取付部40のように回転及び移動しない構成ではなく、第1実施形態の上部側取付部30のように、フェンス本体20Bの取付位置の調整の際に、回転及び移動する構成である。第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態の構成と同一の構成については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態のフェンス10Bは、図12〜図17に示すように、複数の支柱11と、複数のフェンス本体20Bと、回転部材としての上部側取付部30Bと、ネジ部材310(回転軸部)と、スペーサ部材37と、回転部材としての下部側取付部50と、ネジ部材510(回転軸部)と、スペーサ部材57と、を備える。上部側取付部30B及び下部側取付部50は、上下方向に離間して設けられる。
上部側取付部30Bは、図13に示すように、ネジ部材310により、支柱11の上方側に取り付けられる。上部側取付部30Bは、図14及び図15に示すように、上下方向に延びる上側筒状体31B(回転部材本体)と、第1上部フック部38と、第2上部フック部39と、を有する。
上側筒状体31Bは、第1実施形態の上側筒状体31と比べて、長手方向の長さが長く形成される。同様に、第2実施形態の背面板32、前面板33、移動用スリット321及び長尺スリット開口部333は、第1実施形態の背面板32、前面板33、移動用スリット321及び長尺スリット開口部333と比べて、長手方向の長さが長く形成される。
第1上部フック部38は、上側筒状体31Bの長手方向の上部側に配置され、第2上部フック部39は、上側筒状体31Bの長手方向の下部側に配置される。第1上部フック部38及び第2上部フック部39の構成は、前述の第1実施形態の上部フック部34と同様の構成である。対応する構成については、対応する符号を付けて、その説明を省略もしくは簡略化する。
下部側取付部50は、図13に示すように、ネジ部材510により、支柱11の下方側に取り付けられる。下部側取付部50は、図16及び図17に示すように、上下方向に延びる下側筒状体51(回転部材本体)と、第1下部フック部58と、第2下部フック部59と、を有する。
下部側取付部50は、上部側取付部30Bの構成とほぼ同様の構成を有し、支柱11の下方側に配置される。下部側取付部50の説明にあたって、説明しない点については上部側取付部30Bと同様の構成であり、上部側取付部30Bの構成に対応する構成については、対応する符号を付けて、その説明を省略もしくは簡略化する。
下部側取付部50と上部側取付部30Bとは、配置される位置の違いの他に次のような違いがある。下部側取付部50における下側筒状体51の移動用スリット521及び前面開口部531は、上部側取付部30Aにおける上側筒状体31Aの移動用スリット321及び長尺スリット開口部333と比べて、配置される位置及び長さが異なる。具体的には、下部側取付部50における下側筒状体51の移動用スリット521及び前面開口部531は、下側筒状体51における長手方向の中央よりも下方の位置に形成され、上部側取付部30Aにおける上側筒状体31Aの移動用スリット321及び長尺スリット開口部333の長さよりも短く形成される。
また、下側筒状体51のネジ部材510は、上側筒状体31のネジ部材310と比べて、配置される位置が異なる。下側筒状体51のネジ部材510の固定位置は、下側筒状体51の長手方向の中央よりも下方に配置される。
次に、図18に示すように、傾斜角度αで傾斜した地面12Aにフェンス10Bを設置する場合について説明する。
フェンス10Bを傾斜した地面12Aに施工する場合には、傾斜した地面12Aにおいて、支柱11を鉛直方向(重力方向)に沿うように設置し、下部側取付部50をネジ部材510により支柱11の下部側において仮止めすることで、支柱11に下部側取付部50を仮固定する(仮固定工程)。また、上部側取付部30Bをネジ部材310により支柱11の上部側において仮止めすることで、支柱11に上部側取付部30Bを仮固定する(仮固定工程)。
次に、図18〜図20に示すように、支柱11に下部側取付部50及び上部側取付部30Bを仮固定した状態で、下部側取付部50の第1下部フック部58及び第2下部フック部59に、フェンス本体20Bの所定部分の横線材22(予め設定された取付部分)を引っ掛けると共に、上部側取付部30Bの第1上部フック部38及び第2上部フック部39に、フェンス本体20Bの所定部分の横線材22(予め設定された取付部分)を引っ掛けるように、上部側取付部30Bを移動用スリット321に沿って移動させ且つ回転させることで上部側取付部30Bの配置位置を調整し、かつ、下部側取付部50を移動用スリット521に沿って移動させ且つ回転させることで下部側取付部50の配置位置を調整して、フェンス本体20Bを上部側取付部30B及び下部側取付部50に取り付ける(取付工程)。これにより、下部側取付部50及び上部側取付部30Bの支柱11に対する位置が調整される。
その後、フェンス本体20Bの位置が決定した後に、ネジ部材310,510を締め付けることで、上部側取付部30A及び下部側取付部50を支柱11に本固定する。
ここで、フェンス本体20Bにおける第1下部フック部58、第2下部フック部59、第1上部フック部38及び第2上部フック部39に引っ掛ける横線材22は、第1下部フック部58、第2下部フック部59、第1上部フック部38及び第2上部フック部39を取り付けるための取付部分として予め設定されており、施工説明書などに記載される。本実施形態においては、図18に示すフェンス10Bの最も左側の支柱11においては、例えば、フェンス10Bの高さH2(地面12からフェンス本体20の上端部までの高さ)(例えば、H2=1800mm)である場合に、地面12,12Aの傾斜角度αが様々な場合に対応して、第1上部フック部38、第2上部フック部39、第1下部フック部58及び第2下部フック部59を引っ掛ける横線材22(取付部分)を、事前の試験などにより予め確認して、この内容を施工説明書などに記載しておく。
例えば、第1上部フック部38、第2上部フック部39、第1下部フック部58及び第2下部フック部59に引っ掛ける横線材22における取付部分は、[第1上部フック部38(横線材22のx方向位置、横線材22のy方向位置)、第2上部フック部39(横線材22のx方向位置、横線材22のy方向位置)、第1下部フック部58(横線材22のx方向位置、横線材22のy方向位置)、第2下部フック部59(横線材22のx方向位置、横線材22のy方向位置)]とした場合に、地面12Aの傾斜角度αが0°である場合、[第1上部フック部38(x2、y16)、第2上部フック部39(x2、y12)、第1下部フック部58(x2、y8)、第2下部フック部59(x2、y4)]であり、地面12Aの傾斜角度αが15°である場合、[第1上部フック部38(x10、y16)、第2上部フック部39(x10、y12)、第1下部フック部58(x3、y8)、第2下部フック部59(x3、y4)]であり、地面12Aの傾斜角度αが30°である場合、[第1上部フック部38(x18、y16)、第2上部フック部39(x18、y12)、第1下部フック部58(x5、y8)、第2下部フック部59(x5、y4)]であり、地面12Aの傾斜角度αが35°である場合、[第1上部フック部38(x20、y16)、第2上部フック部39(x20、y12)、第1下部フック部58(x5、y8)、第2下部フック部59(x5、y4)]であることが予め確認されており、この内容を施工説明書などに記載しておく。
例えば、地面12Aの傾斜角度αが30°である場合には、図18に示すように、引っ掛ける横線材22における取付部分(x方向位置、y方向位置)は、[第1上部フック部38(x18、y16)、第2上部フック部39(x18、y12)、第1下部フック部58(x5、y8)、第2下部フック部59(x5、y4)]である。そのため、第1上部フック部38に、左から18番目であって下から16本目の横線材22(x18、y16)を引っ掛けると共に、第2上部フック部39に、左から18番目の横線材22(x18)であって下から12本目の横線材22(y12)を引っ掛かけ、かつ、第1下部フック部58に、左から5番目であって下から8本目の横線材22(x5、y8)を引っ掛けると共に、第2下部フック部59に、左から5番目であって下から2本目の横線材22(x5、y2)を引っ掛けて配置することで、フェンス本体20Bを上部側取付部30B及び下部側取付部50に配置する。
フェンス本体20Bを傾けて配置する際に、上部側取付部30を移動用スリット321に沿って移動させ且つ回転させることで上部側取付部30の配置位置を調整し、かつ、下部側取付部50を移動用スリット521に沿って移動させ且つ回転させることで下部側取付部50の配置位置を調整しながら、下部側取付部50における第1下部フック部58及び第2下部フック部59に横線材22に引っ掛けると共に、上部側取付部30Bにおける第1上部フック部38及び第2上部フック部39に横線材22に引っ掛ける。これにより、フェンス本体20を、上部側取付部30B及び下部側取付部50に容易に取り付けることができる。
以上のように構成されるフェンス10Bは、様々な傾斜角度の地面12Aに対応できる。また、様々な傾斜角度の地面12Aに、フェンス10Bを、簡単に施工することができる。
第2実施形態のフェンス10Bは、第1実施形態のフェンス10と同様の効果を奏する。
また、第2実施形態においては、上部側取付部30B及び下部側取付部50は、支柱11の上下方向に離間して2つ設けられる。そのため、フェンス10Bの角度の調整を上部側取付部30B及び下部側取付部50の両方で行うことができるため、フェンス10Bの角度調整をより広範囲で行うことができ、様々な傾斜角度に傾斜した地面12Aの傾斜角度の範囲で適用できる。
以上、本発明のフェンスの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、上側筒状体31,31A,31B、下側筒状体51、移動用スリット321,521の長さを、様々な長さに設定しているが、これに限定されず、フェンスを設置する地面12Aの傾斜角度やフェンスの大きさなどにより、適宜設定できる。