JP7345950B1 - 防護柵およびその補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】H形鋼製の支柱のねじれを効果的に抑制できて、防護柵の延命化を実現できる防護柵およびその補強方法を提供すること。【解決手段】天板31と支柱10の頭部とコンクリート基礎15に設けたアンカーボルト18との間に設置可能な全長を有する複数組のねじり防止杆35とを具備し、天板31を支柱10の頭部に対して回動不能に載置し、アンカーボルト18と天板31との間に縦向きに配置した複数のねじり防止杆35を配設し、天板31および複数のねじり防止杆35を通じて支柱10の頭部のねじりを拘束して、受撃時における支柱10の変位方向を谷側のみに規制する。【選択図】図2

Description

本発明は落石、雪崩、崩落土砂等を対象とした既設防護柵の補強技術に関し、特にH鋼製の自立式支柱を具備した防護柵およびその補強方法に関する。
特許文献1に開示されているようにH鋼製の自立式支柱を具備した落石防護柵や雪崩防護柵は広く知られている。
この種の防護柵は、間隔を隔てて立設したH形鋼製の支柱と、支柱の間に多段的に横架した複数のロープ材と、複数のロープ材による受撃面に沿って取り付けた金網とを具備していて、金網やロープ材に作用した落石等の衝撃力を、最終的には下部構造であるコンクリート基礎に埋め込んだ支柱の強度で分担する構造になっている。
道路や鉄道等の近傍に設置されたH鋼製の自立式支柱を具備した防護柵は、その総延長が数千kmに及ぶといわれているが、その大半は設置から50年以上を経過していることから、老朽化対策の必要性が指摘されている。
既設防護柵の老朽化の現況を検証したところ、支柱の根元部に大量の錆びが発生していたり、支柱下部が腐食して欠損していたりするケースが大半である。
支柱の錆びは、冬季に使用する融雪剤の塩分が直接的または間接的に付着することで生じる。
老朽化したH形鋼製の支柱の変形メカニズムについて検証すると、防護柵が受撃して支柱に谷側へ向けて曲げ変形力が加わる。
支柱は谷側へ向けて曲げ変形のみをするのではなく、支柱が谷側へ向けて曲げ変形を開始した直後に支柱にねじりが生じ、このねじり変形がきっかけとなって支柱の谷側へ向けた曲げ変形が促進される。
支柱を構成するH形鋼はねじり強度が比較的小さいため、H形鋼にねじり変形が生じると、支柱本来の曲げ耐力を発揮できずに小さな曲げ力で支柱が変形する。
老朽化した防護柵に対する補修方法または補強方法が種々提案されている。
防護柵の老朽化対策として、例えば、既設防護柵の斜面上流側に大型の防護柵を増設することが提案されている(特許文献2)。
特開平11-336025号公報 特開2006-183326号公報(図4)
従来の老朽化した防護柵の対策技術はつぎの問題点を有している。
<1>降雪地域での降雪時の交通を確保するために、機械的な除雪が行われるが、路側や路肩の降雪の消滅を促進するために、各種の塩化物を吹き付ける場合がある。
これが原因で路側のコンクリート擁壁に設置した鋼製の防護柵の下部の腐食が著しい。
しかしながら、腐食した防護柵を補修または補強する好適な技術が提案されていないのが現状である。
<2>特許文献2に記載の防護柵の老朽化対策は、大型防護柵の増設に多くの時間とコストを要するだけでなく、既設防護柵そのものを補強できない、という問題点を有している。
<3>既設防護柵の強度に最も重要な支柱の裾部の錆を放置すると、錆が進行して鋼材の肉厚を著しく薄くしたり穴空きができたりする。
支柱の上部は健全であるにもかかわらず、最も強度が要求される支柱の裾部が腐食すると断面欠損を生じ、既設防護柵の弱体化が増々進んでいく。
<4>このような現状において、老朽化した支柱を交換せずに低コストで補強できて、防護柵の延命化を実現できる改修技術の提案が望まれている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、既設の防護柵のH形鋼製の支柱を低コストで補強できて、防護柵の延命化を実現できる防護柵およびその補強方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、ねじり強度が比較的弱いH形鋼製の支柱のねじりを効果的に抑制できる防護柵およびその補強方法を提案することにある。
本発明は、コンクリート基礎に立設したH形鋼製の支柱を具備する既設の防護柵であって、支柱頭部に載置する天板と、コンクリート基礎と支柱頭部の間に設置可能な全長を有する複数組のねじり防止杆とを具備し、前記天板を支柱の頭部に対して回動を拘束可能に載置し、縦向きに配置した前記複数のねじり防止杆の上下部を前記コンクリート基礎と前記天板に連結し、前記天板および複数のねじり防止杆を通じて支柱の頭部のねじりを拘束して、受撃時における支柱の変位方向を谷側方向に規制するように構成した。
本発明の他の形態において、前記支柱と複数のねじり防止杆の中間部との間に複数の横向き補強材を追加配置して剛結してもよい。
本発明の他の形態において、前記複数の横向き補強材を多段的に設けてもよい。
本発明の他の形態において、隣り合う前記ねじり防止杆の間に複数のブレースを多段的に設置して補強すると共に、各ねじり防止杆と支柱の間を横向きに配置した複数の横材で連結してもよい。
本発明の他の形態において、前記コンクリート基礎の天端面に支柱の裾部の周囲を囲繞する型枠を設け、前記アンカーボルトに長ナットを螺着し、前記型枠内に固結材を充填して層状に形成した保護層で支柱の裾部を保護してもよい。
本発明の他の形態において、前記ねじり防止杆は、前記天板と前記コンクリート基礎の天端面に植設されたアンカーボルトとの間に配設可能な全長を有する連接材と、該連接材に外装した耐荷材とを具備する。
本発明は、コンクリート基礎に立設したH形鋼製の支柱を具備する既設の防護柵の補強方法であって、支柱頭部に支柱の回動を拘束可能に載置する天板と、支柱の頭部とコンクリート基礎に設けたアンカーボルトとの間に設置可能な全長を有する複数組のねじり防止杆とを具備した支柱補強装置を使用し、縦向きに配置した前記複数のねじり防止杆の上下部を前記コンクリート基礎と前記天板に連結し、前記天板および複数のねじり防止杆を通じて支柱の頭部のねじりを拘束して、受撃時における支柱の変位方向を谷側方向に規制するようにした。
本発明の他の形態において、隣り合う前記支柱と複数のねじり防止杆の中間部に複数の横向き補強材を設けてもよい。
本発明の他の形態において、隣り合う前記ねじり防止杆の間に複数のブレースを多段的に設置して補強すると共に、各ねじり防止杆と支柱の間を横向きに配置した複数の横材で連結してもよい。
本発明の他の形態において、前記コンクリート基礎の天端面に支柱の裾部の周囲を囲繞する型枠を設け、前記型枠内に固結材を充填して層状に形成した保護層で支柱の裾部を保護してもよい。
本発明は少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>H形鋼製の支柱の頭部に天板を設置すると共に、支柱の周囲に配置した複数組のねじり防止杆を介して支柱の初期のねじり変形を効果的に拘束し得るように構成した。
そのため、ねじり強度が比較的弱いH形鋼製の支柱を補強できて、老朽化した支柱の変形耐力を高めることができる。
<2>支柱のねじりが拘束されるので、支柱は谷側へ向けた曲げ力に対抗するだけでよくなり、H形鋼製の支柱が有する本来の強度を発揮することができる。。
<3>支柱の谷側に配置したねじり防止杆が圧縮抵抗部材として機能しつつ、支柱の山側に配置したねじり防止杆が引張抵抗部材として機能するので、谷側へ向けた支柱の曲げ強度を高めることができる。
<4>このように老朽化した防護柵であっても、既設の支柱を活かして低コストで実効性の高い延命化を図ることができる。
<5>複数のねじり防止杆の中間部に複数の横向き補強材を追加設置して支柱に剛結すると、受撃時における支柱の補強効果をさらに高めることができる。
<6>支柱の裾部を場所打ちにより形成した保護層で被覆することで、長期間に亘る支柱の裾部の補強保証と天端面の保護が可能となる。
<7>本発明で使用する資材のうち、支柱の裾部の周囲を囲繞する型枠は、内部の固結材が硬化した後に取り外して再利用することもできる。
本発明が前提とする防護柵の説明図で、(A)は防護柵の側面図、(B)は(A)におけるB-Bの断面図 支柱に支柱補強装置を設置した防護柵の側面の拡大図 一部を破断した支柱補強装置の分解組立図 支柱の裾部に設置する型枠の分解組立図 支柱補強装置の取付け方法の説明図で、コンクリート基礎の天端面にアンカーボルトを設ける工程の説明図 支柱補強装置の取付け方法の説明図で、アンカーボルトに長ナットを介して連接材を連結する工程の説明図 支柱補強装置の取付け方法の説明図で、連接材に耐荷材を外装して取り付ける工程の説明図 支柱補強装置の取付け方法の説明図で、支柱の裾部に型枠を設置して保護層を形成する工程の説明図 支柱補強装置の取付け方法の説明図で、コンクリート基礎に開設したガイド孔にねじり防止杆の下端を収容した他の形態の説明図 図2におけるVI-VIの断面図 支柱補強装置の取付け方法の説明図で、ねじり防止杆を設置する工程と天板の設置工程の説明図 図2におけるVIII-VIIIの断面図 支柱の中間に横向き補強材を追加設置した実施例2に係る支柱補強装置のモデル図 図9におけるX-Xの断面図 複数のブレースを追加設置した実施例3に係る支柱補強装置のモデル図
図面を参照しながら本発明について説明する。
<1>前提とする防護柵の構造
図1を参照しながら本発明が前提とする既設の防護柵について説明する。
この防護柵は、間隔を隔ててコンクリート基礎15に立設した自立式の支柱10(端末支柱と中間支柱を含む)と、これらの支柱10間に多段的に横架した複数のロープ材20と、複数のロープ材20に付設した菱形金網製のネット21とを具備する。
支柱10は一対のフランジ11とウェブ12とからなるH形鋼で、その下部をコンクリート基礎15に埋設している。
各ロープ材20の両端部は夫々図示しない端末支柱に固定され、各ロープ材20の端部間の区間は中間の支柱10の斜面山側に配置され、Uボルト等の固定具22を介して取り付けられている。
<2>支柱補強装置
本発明では、支柱10の頭部と支柱10の周囲を取り囲むように、門型を呈する支柱補強装置30を配置し、支柱補強装置30の下端をコンクリート基礎15に固定することで、支柱補強装置30の補強作用により、受撃時における支柱10に発生するねじりの発生を抑制して、支柱10の曲げ方向を斜面谷側に規制するようにした。
図2~3を参照して説明する。本発明で使用する支柱補強装置30は、支柱10の頭部に載置する天板31と、支柱10の周囲に立設し、天板31とコンクリート基礎15との間に配設した複数のねじり防止杆35とを具備する。
<2.1>天板
天板31の下面には、H形鋼製の支柱10の頭部と係合可能な支柱係合溝31aを有し、支柱10の頭部を支柱係合溝31aに嵌入することで、天板31と支柱10との間で互いに回転力を伝達可能に連結することができ、H形鋼の支柱10と天板31が全体として一体に挙動する。
天板31の四隅には複数のボルト孔31bを有する。
天板31は支柱10の頭部の端面と当接しつつ、天板31と支柱10との間で互いに回転力を伝達し合える係合構造であればよく、その係合手段は支柱係合溝31aに限定されるものではない。
<2.2>ねじり防止杆
ねじり防止杆35は天板31を介して支柱10のねじりを防止するための剛性材であり、支柱10とほぼ平行に縦向きに配置する。
ねじり防止杆35は、天板31とコンクリート基礎15との間に配設可能な全長を有する耐力に優れた連接材36と、連接材36に外装する耐荷材37とを具備する。
<2.2.1>連接材
連接材36はコンクリート基礎15に埋設したアンカーボルト18と天板31との間を連結可能な全長を有する剛性部材であり、例えば鋼棒、PC鋼棒等の緊張材を使用できる。
連接材36の両端部にはおねじ36a,36aを形成する。
<2.2.2>耐荷材
耐荷材37はコンクリート基礎15と天板31との間に設置可能な全長を有する剛性材であり、例えば円形鋼管や角形鋼管等の管体を使用できる。
耐荷材37はねじり抵抗の大きい閉断面の構造体であればよい。
耐荷材37を閉断面とするのは、耐荷材37のねじりおよび座屈に対する耐力を高めるためである。
すなわち、耐荷材37は連接材36と協働して、支柱10に作用する軸力とねじり力に対する抵抗部材として機能する。
耐荷材37は中空のまま使用してもよいが、内部にモルタル等の固結材を充填した充填鋼管として使用してもよい。

<2.3>ねじり防止杆の設置数
支柱10を間に挟んで、山側と谷側には、複数組のねじり防止杆35を設置する。
ねじり防止杆35の設置組数は適宜選択する。
本例では、支柱10を間に挟んで、山側と谷側の天端面16にそれぞれ2組単位でねじり防止杆35を立設し、合計4組のねじり防止杆35を設置した形態について説明する。
<3>型枠
本発明では、支柱10周りの天端面16に現場でモルタル製の保護層50を形成するために、支柱10の周囲に後付けできる分割組立式の型枠40を使用する。
図4を参照して、鋼製または樹脂製等の帯板を屈曲して形成した支柱10の周囲を包囲可能な型枠40の一例についてについて説明する。
型枠40はコ字形を呈する一対の分割型枠41,41と、分割型枠41,41の突合せ端部を連結するためのボルト、ナット製の固定具42とを具備する。
<3.1>分割型枠
分割型枠41はコ字形を呈する帯板であり、その両端部には内向きまたは外向きのフランジ43を形成している。フランジ43はボルト孔44を有している。
一対の分割型枠41a,41bのフランジ43,43を突合せ、ボルト孔43にボルト式の固定具42を挿し込むことで型枠40の組立てが可能である。
支柱10の裾部に型枠40を組み付ける際に、ネット21の下辺が型枠40と干渉する場合がある。
このような場合には、一方(山側)の分割型枠41bの側面に縦向きに切欠45を開設しておけば、型枠40を組み付ける際に切欠45内にネット21の下辺部を挿し込んで対応することができる。
ネット21の下辺と型枠40が干渉しない場合は、切欠45は不要である。
<3.2>分割型枠の寸法例
分割型枠41の高さは、保護層50の層厚に応じて適宜選択する。
分割型枠41の一辺の長さは、保護層50の周長に応じて適宜選択し、実用上は支柱10のウェブ幅の2倍程度の長さがあれば十分である。
[支柱補強装置の設置方法]
つぎに支柱補強装置30の設置方法について説明する。
<1>準備工(図5A)
支柱10の裾部の周囲のコンクリート基礎15の天端面16には長年に亘って各種付着物(コケ類、融雪剤等の塩分)が付着して場合が多い。
そこで、公知のケレン工具やブラシ等を用いて支柱10の裾部の周囲に位置する天端面16を綺麗に掃除する。
天端面16を掃除するのは、天端面16に現場で構築する図2に示した保護層50との付着性を高めるためでもある。
また支柱10の裾部に錆びや腐食が生じているときは、錆等を取り除いた後に防錆塗料を塗布する等して防錆処理を施しておく。
<2>アンカー工(図5A,図5B)
支柱10周りのコンクリート基礎15の天端面16に複数のアンカーボルト18を植設する。
支柱10を間に挟んで天端面16の山側と谷側に所定の間隔を隔てて複数のボルト孔17を穿孔し、各ボルト孔17にアンカーボルト18を挿入して固着する。
本例では天端面16の支柱を間に挟んで山側と谷側に2本ずつ、合計4本のアンカーボルト18を立設した形態を示すが、アンカーボルト18の設置数は適宜選択が可能である。
天端面16から真上に突出する各アンカーボルト18の頭部に長ナット(ロングナット)19の中点位置まで螺着する。
長ナット19はアンカーボルト18と連接材36との間を連結するための連結ナットである。
<3>連接材と耐荷材の立設(図5B,図5C)
各長ナット19に連接材36の下端をねじ込んで、アンカーボルト18の上部に連接材36を連結して延長する。
連接材36に耐荷材37を外装して、耐荷材37の下端をコンクリート基礎15の天端面16に着床する。
なお、コンクリート基礎15の表層の老朽化が激しい現場では、天端面16の表層を部分的に削孔したガイド孔13内にアンカーボルト18を設置すると共に、耐荷材37の下端をガイド孔13の底面に着床するとよい(図5E)。
<4>保護層の形成工
つぎに支柱10の裾部を一対の分割型枠41a,41bで囲み、分割型枠41a,41bの突合せ部に固定具42を取り付けて型枠40を組み立てる(図6)。
コンクリート基礎15の天端面16に起伏があって、型枠40の下端面とコンクリート基礎15の天端面16との間に隙間が生じているときは、隙間にモルタル等を間詰めして封止する。
型枠40内にモルタルや樹脂等の固結材を充填して保護層50を形成する(図5C,図6)。
固結材が型枠40内の隅々まで流動することで、保護層50は支柱10の裾部の外周面に密着しつつ、コンクリート基礎15の天端面16とも密着して形成される。
なお、型枠40は本例のように埋め殺しにしてもよいし、保護層50の硬化後に型枠40を撤去してもよい。
既述したように、支柱10の裾部に防錆処理を施すと共に、支柱10の裾部の天端面16を保護層50で被覆することで、長期間に亘る支柱10の裾部の補強保証と天端面16の保護が可能となる。
<5>天板の取付け(図2,図7)
コンクリート基礎15の天端面16に4組のねじり防止杆35を立設したら、支柱10の頭部に天板31を載置すると共に、4本の連接材36の上部を天板31に挿し込み、連接材36の上端のおねじ36aにナット36bを取り付けて、天板31とねじり防止杆35と間を固定する。
支柱10の頭部に天板31を載置する際、図8に示すように、天板31の下面に形成した支柱係合溝31aにH形を呈する支柱10の頭部を嵌合して、支柱10の回動を拘束する。
本例では、支柱10に一切の加工を施さずに、各支柱10の周囲に複数組のねじり防止杆35を取り付けるだけの簡単な作業で以て短時間のうちに支柱10を補強することができる。
[支柱補強装置による作用]
支柱補強装置30による作用について説明する。
<1>支柱補強装置の設置がない場合
図1(B)を参照して説明すると、支柱10に支柱補強装置30を設置していない場合、防護柵の強度はH形鋼製の支柱10によって決定される。
落石や雪崩により支柱10に作用する荷重には、支柱10に直接作用する荷重と、水平に張られたロープ材20や金網等のネット21を通じて作用する荷重がある。
これらの荷重によって支柱10に曲げモーメントとせん断力が作用する。
これらの外力によって、支柱10は防護柵に対して直角方向Yへ向けた変形力fが作用するが、この直角方向Yへ向けた変形力fは微小である。
さらに支柱10には、変形力fと直角方向Xへ向けた変形力fも生じる。
このように支柱10には、二方向へ向けた変形力fと変形力fが作用する。
そのため、支柱10には曲げ変形だけでなく、ねじれ変形も生じることになり、H形鋼製の支柱10が有する本来の強度を十分に発揮することができなかった。
<2>支柱に支柱補強装置を追加設置した場合
図2,8を参照して老朽化した支柱10に支柱補強装置30を追加設置した場合について説明する。
本発明では、H形鋼製の支柱10の頭部に天板31を載置して支柱10と一体化すると共に、支柱10の周囲に配置した複数組のねじり防止杆35の剛性を利用して支柱10を中心とした支柱10の回動(ねじり)を拘束し得るように構成した。
そのため、受撃時に支柱10の頭部にねじり力(回転モーメント)が作用しても、図2に示した複数のねじり防止杆35がコンクリート基礎15に埋設したアンカーボルト18から反力を得て支柱10の頭部のねじりを効果的に拘束することができる。
図8を参照して説明すると、支柱補強装置30が支柱10のねじりを効果的に拘束し得ることで、支柱10に対して谷側へ向けた変形力f1のみが作用することになり、H形鋼製の支柱10が有する本来の強度を発揮することが可能となる。
特に、支柱10が谷側へ向けて変形する際、山側に配置した2組のねじり防止杆35,35が引張抵抗となりつつ、谷側に配置した2組のねじり防止杆35,35が圧縮抵抗となりって支柱10の曲げ耐力が高められる。
さらに、ねじり防止杆35による支柱10の補強作用により、支柱10が座屈がし難くなって圧縮抵抗も大きくなるので、既設の防護柵の捕捉機能を長期間に亘って持続できる。
[ねじり防止杆とコンクリート基礎の連結手段について]
本例では、ねじり防止杆35とコンクリート基礎15の連結手段が、アンカーボルト18と長ナット19の組み合わせである形態について説明したが、ねじり防止杆35の下部の連結手段はこの形態に限定されるものではない。
例えば、ねじり拘束杆35の下部を、直接、コンクリート基礎15に埋設して固着してもよい。
或いは、管状の耐荷材37の下端に直交方向に4個の孔を開け、これらの孔に鉄筋を横向きに挿通すると共に、耐荷材37の周りに同心円状に別途の鉄筋を配筋し、これらの複数種類の鉄筋を交差させて保護層50内に埋設して固定することも可能である。
さらに耐荷材37の下端に別途のプレートを溶接し、プレートの四隅を短いアンカーボルトでコンクリート基礎15に固定することも可能である。
要は、各ねじり防止杆35の下部がコンクリート基礎15に固着してあればよい。
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
<1>支柱の中間部に拘束手段を追加設置した形態
図9,10を参照して支柱10の高さ方向の中間に拘束手段である複数の横向き補強材33を追加設置した他の実施例について説明する。
本例では、支柱10の周囲に配置した複数組のねじり防止杆35と支柱10の上下端の間(中間部)に複数の横向き補強材33を設置することで、支柱10のねじれ防止効果を高めるようにした。
<2>横向き補強材
横向き補強材33はねじり防止杆35と支柱10の間に取り付けた補強材であり、公知の鋼材等を使用できる。
横向き補強材33の取り付けにあたっては、ねじり防止杆35の耐荷材37の外周面に予めリブ37aを設け、支柱10側にはリブ32c付きの固定金具32を外装して設ける。
本例では複数のリブ32cを突設した2枚の拘束板32a,32aと連結ボルト32bとを組み合わせて固定金具32を構成する形態について示すが、固定金具32は支柱10の側方から外装して組み付け可能な構造であれば、その構造は問わない。
相対向する一対のリブ37a,32cの間に鋼材製の横向き補強材33を掛け渡し、ボルト等で固定することで、ねじり防止杆35と支柱10の間に横向き補強材33を取り付けできる。
複数の横向き補強材33を取り付けることで、各ねじり防止杆35と支柱10との間での荷重の伝達が可能となる。
<3>同一平面における横向き補強材の設置数
横向き補強材33は少なくとも拘束杆36の数と同数を使用し、同一の高さに取り付ける。
<4>支柱の高さ方向における横向き補強材の設置数
本例では、支柱10の中間の高さに複数組の横向き補強材33を配置した形態を示すが、支柱10の上下端の間(中間部)に高さ方向に間隔を隔てて2組以上の横向き補強材33を多段的に設置してもよい。
<5>本実施例の効果
本例にあっては支柱10の中間部においても複数のねじり防止杆35から反力が得られるので、先の実施例1と比べて支柱10の補強効果とねじり拘束効果が高くなる。
本実施例は、既設防護柵の支柱10の全長が長い場合に有効である。
図11を参照して隣り合うねじり防止杆35の間に複数のブレース34を多段的に設置して補強した他の実施例について説明する。
各ブレース34の両端部はボルト止めまたは溶接等によりねじり防止杆35の耐荷材37に外周面に固着する。
本例は、複数のブレース34を単独で設置する形態でもよいが、先の実施例2と組み合わせた形態でもよい。
本例では、隣り合うねじり防止杆35の間に複数のブレース34を追加設置することで、高さ方向に亘る剛結効果がさらに高くなるので、先の実施例2と比べて、支柱10の補強効果とねじり拘束効果がさらに高くなる。
10・・・・・支柱
11・・・・・フランジ
12・・・・・ウェブ
13・・・・・ガイド孔
15・・・・・コンクリート基礎
16・・・・・天端面
17・・・・・ボルト孔
18・・・・・アンカーボルト
19・・・・・長ナット
20・・・・・ロープ材
21・・・・・ネット
22・・・・・固定具
30・・・・・支柱補強装置
31・・・・・天板
31a・・・・支柱係合溝
31b・・・・ボルト孔
32・・・・・固定金具
32a・・・・拘束板
32b・・・・連結ボルト
32c・・・・リブ
33・・・・・横向き補強材
34・・・・・ブレース
35・・・・・ねじり防止杆
36・・・・・連接材
37・・・・・耐荷材
40・・・・・型枠
41・・・・・分割型枠
42・・・・・固定具
43・・・・・フランジ
45・・・・・切欠
50・・・・・保護層

Claims (10)

  1. コンクリート基礎に立設したH形鋼製の支柱を具備する既設の防護柵であって、
    支柱頭部に載置する天板と、コンクリート基礎と支柱頭部の間に設置可能な全長を有する複数組のねじり防止杆とを具備し、
    前記天板を支柱の頭部に対して回動を拘束可能に載置し、
    縦向きに配置した前記複数のねじり防止杆の上下部を前記コンクリート基礎と前記天板に連結し、
    前記天板および複数のねじり防止杆を通じて支柱の頭部のねじりを拘束して、受撃時における支柱の変位方向を谷側方向に規制することを特徴とする、
    防護柵。
  2. 前記支柱と複数のねじり防止杆の中間部との間に複数の横向き補強材を追加配置して剛結したことを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
  3. 前記複数の横向き補強材を多段的に設けたことを特徴とする、請求項2に記載の防護柵。
  4. 隣り合う前記ねじり防止杆の間に複数のブレースを多段的に設置して補強すると共に、各ねじり防止杆と支柱の間を横向きに配置した複数の横材で連結したとこを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
  5. 前記コンクリート基礎の天端面に支柱の裾部の周囲を囲繞する型枠を設け、前記型枠内に固結材を充填して層状に形成した保護層で支柱の裾部を保護したことを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
  6. 前記ねじり防止杆は、前記天板と前記コンクリート基礎の天端面に植設されたアンカーボルトとの間に配設可能な全長を有する連接材と、該連接材に外装した耐荷材とを具備することを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
  7. コンクリート基礎に立設したH形鋼製の支柱を具備する既設の防護柵の補強方法であって、
    支柱頭部に支柱の回動を拘束可能に載置する天板と、
    支柱の頭部とコンクリート基礎に設けたアンカーボルトとの間に設置可能な全長を有する複数組のねじり防止杆とを具備した支柱補強装置を使用し、
    縦向きに配置した前記複数のねじり防止杆の上下部を前記コンクリート基礎と前記天板に連結し、
    前記天板および複数のねじり防止杆を通じて支柱の頭部のねじりを拘束して、受撃時における支柱の変位方向を谷側方向に規制することを特徴とする、
    防護柵の補強方法。
  8. 隣り合う前記支柱と複数のねじり防止杆の中間部に複数の横向き補強材を設けたことを特徴とする、請求項7に記載の防護柵の補強方法。
  9. 隣り合う前記ねじり防止杆の間に複数のブレースを多段的に設置して補強すると共に、各ねじり防止杆と支柱の間を横向きに配置した複数の横材で連結したとこを特徴とする、請求項7に記載の防護柵の補強方法。
  10. 前記コンクリート基礎の天端面に支柱の裾部の周囲を囲繞する型枠を設け、前記型枠内に固結材を充填して層状に形成した保護層で支柱の裾部を保護したことを特徴とする、請求項7に記載の防護柵の補強方法。
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