JP5080373B2 - 透過型堰堤 - Google Patents
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Description
しかし、土石流の衝突エネルギーは大きく、鋼製支柱と鋼製梁の剛性でエネルギーを吸収するには大掛かりな装置となる。
しかし、現場によっては大型機材の持ち込みが困難な場所があり、とくに土石流発生の多い山間部には既存の道路がない場合さえあり、そもそも大型建設機を山間の渓谷等に持ち込むための道路の確保など、移動手段に問題が発生する。また、大掛かりな基礎部およびその周辺部の土木工事による環境の破壊も避けられず、また、大きなコンクリートの基礎およびそこに建て込まれた杭体の構築物により景観が悪化する。
また、本発明は、主要部材がロープおよび連結金具等からなり、縦ロープおよび横ロープの交差部が結合されて防護ネットとなっているので、ネットの一箇所に衝突した岩石の衝突エネルギーは交差部を経由して他の縦横ロープに伝達され、すべてのアンカーに分散される。したがって個々のロープに加わるエネルギーが大きく緩和され、個々の縦横ロープのアンカーも小型、軽量化が可能である。このため工事用の部材は小型で現場への搬入がきわめて容易である。したがって、大型土木機材の搬入の必要もなく、工事による環境の変化も最小限に抑えられ、自然景観を維持できる。
通常、前記余長形成手段は、末端に抜止めストッパーが固定され、互いに反対方向から平行状に延在させた2本のロープと、それらロープを抜止めストッパーとの当接を限度としてスライド可能に結束する金具からなる。
金具は結束力を調整することで可能な構造となっており、たとえばロープ破断応力の60%以上の張力、好適には75%以上の張力が加わった場合に2本のロープがスライドするように設定される。
図1ないし図6は本発明による透過型堰堤の第1実施例を示しており、図1(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は図1(a)のX−X線に沿う断面図を示したものである。
1は土石流防護ネットであり、2は河川の流れを遮るように張設され、端部を両岸の側壁にアンカーした主索である。
6は左右に間隔をおいて配された複数の縦ロープであり、各縦ロープ6の上端部は主索2に連結され、下端部は川床にアンカーされている。
7は複数の横ロープであり、主索2の下方に、上下に間隔をおいて配されるとともに、端部が両岸の側壁にアンカーされている。前記各横ロープ7と縦ロープ6の交差部は結合されネット状に一体化している。
本実施例では、部材の軽量化を図るため主索を2本の構成にしているので、主索アンカーボルト41、主索アンカープレート42の小型軽量化も図れている。
また、岸部が強固な岩盤の場合は直接岩部を穿孔し主索アンカーボルト41を挿入しモルタルを注入してアンカープレート42を取り付け主索アンカー体とすることもできる。
2本のロープの端部にはスライドのストッパーとしてシングルロック102が取り付けてある。シングルロック102は金属パイプにロープ端部を挿入し、スエージング加工(圧縮加工)によりロープ端部に圧定されたものである。
余長形成金具10は金属の平板をU字溝が形成されるように曲げ加工したもので、余長形成金具10の左右にロープ端末のシングルロックが配置されるように2本のロープ101を平行に束ねてU字溝に配置しU字の上端部2箇所をボルトナットでスライド可能に結束したものである。
本発明では、余長形成金具10の結束力は、ロープ破断荷重の70%以上の衝撃荷重がロープに加わると2本のロープがスライドするように調整してある。
本発明では直径18mmの亜鉛めっきロープ101を使用した。余長形成金具10は平板をU字状に曲げ加工し亜鉛めっきしたものである。余長形成金具10の結束力はナットの締め付けトルクにより調整した。余長形成金具10は亜鉛めっきしたものにさらに塗装などの防錆処理をしてもよい。
縦ロープ6の端部には巻きつけグリップ33が取り付けてある。巻きつけグリップ33の頭部を主索連結金具3の窓31に配置し、ピンボルト32を挿通しナットで固定することで取り付けられる。
図5(a)はロープアンカーボルト20で、鋼棒からなり頭部はロープ連結用のシャックル21が形成され、土中に埋設される鋼棒の表面には凹凸の模様が付けられている。この凹凸はモルタルとアンカーボルトの付着力を強化し、アンカー力を高めるためである。
本発明では、川床にコンクリートを打ちロープアンカーボルト20を埋設している。主索に連結し垂下した2本のロープを余長形成金具10で結束した縦ロープ6の端部をアンカー体25のシャックル21と連結するためトヨロック105加工されている。シャックル21とトヨロック105はボルトナットで連結されている。
横ロープも側壁にロープアンカーボルト20を打ち込んだアンカー体25に縦ロープと同様に連結されている。
側壁または川床が岩盤の場合は、岩盤を穿孔しロープアンカーボルト20を穴に挿入しモルタルを注入してアンカー体25としてもよい。
川床に垂下した縦ロープ6はアンカー体25に連結される。側壁bに垂下した縦ロープ6は適宜アンカー体25に連結すればよい。
また、縦ロープ6の長さを主索2と川床aとの距離より長くすることで、図1(c)に示すアコーデオン状を形成する。アコーデオン状にすることで土石流の岩石によりネットは、はらむ状態となり川床と堆積した岩石の摩擦が土石流の流下エネルギーを緩和する役割を果たす。図7は土石流防護ネットが岩石ではらんだ状態を模式図的に示したものである。
a 川床
b 側壁
2 主索
3 主索連結金具
4 主索アンカー体
6 縦ロープ
7 横ロープ
8 縦ロープアンカー
9 横ロープアンカー
10 余長形成金具
11 交差クリップ
25 アンカー体
Claims (5)
- 山間の渓谷や河川に設置する透過型堰堤において、河川の流れを遮るように張設した主索の端部を両岸の側壁にアンカーし、左右に間隔をおいて複数の縦ロープを配し、各縦ロープの上端部を前記主索に連結するとともに下端部を川床にアンカーし、前記主索の下方には、上下に間隔をおいて複数の横ロープを張設するとともに、それら横ロープの端部を両岸の側壁にアンカーし、それら横ロープと縦ロープの交差部を結合しネット状にし、 前記主索が2本であって、前記2本の主索は、河川の流れる方向において互いに間隔をおいて配置されており、前記2本の主索の各々の端部は両岸の側壁にアンカーされ、前記複数の縦ロープの各々の上端部は、前記2本の主索の双方に連結されている、ことを特徴とする透過型堰堤。
- 横ロープおよび縦ロープは、一定以上の張力が加わったときに余長形成手段により長さが可変となっている請求項1に記載の透過型堰堤。
- 余長形成手段が、末端に抜止めストッパーが固定され、互いに反対方向から平行状に延在させた2本のロープと、それらロープを抜止めストッパーとの当接を限度としてスライド可能に結束する金具からなる請求項2に記載の透過型堰堤。
- 川床に設置されるアンカーが、平面から見て、主索のアンカーよりも下流側に配置されている請求項1に記載の透過型堰堤。
- 縦ロープがアコーデオン状に折り重ねられているものを含む請求項1に記載の透過型堰堤。
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