JP4629806B1 - 防護柵及びその嵩上げ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度を減少させることなく、防護柵の防護高さを増加させ、支柱の変位方向と捩れを制御できて、低コストで、かつ、支柱の補強効果の高い防護柵の補強技術を提案すること。
【解決手段】H形鋼製の支柱を嵩上げした防護柵において、隣り合う嵩上げ支柱の上部間に一対のねじれ拘束杆を張設し、前記一対のねじれ拘束杆により受撃時における支柱の変位方向を斜面谷側のみに規制する。
【選択図】図3

Description

本発明は落石、雪崩、崩落土砂等を対象とした防護柵の補強及び嵩上げ技術に関し、特にH形鋼製の支柱を具備した防護柵及びその嵩上げ方法に関する。
特許文献1に記載の如く、間隔を隔てて立設したH形鋼製の支柱間に複数のロープ材を多段的に横架し、複数のロープ材の間に金網を敷設して構成し、金網やロープ材の一部に作用した落石の衝撃を最終的に支柱の強度で受け止める構造の防護柵は周知であり、道路、鉄道等の近傍に多数設置されている。
図16は特許文献1に記載の防護柵に衝撃が作用したときの支柱a1,a2と多段的に配設したロープ材b1〜b5の変位をモデル化した図である。
各ロープ材b1〜b5の両端部は夫々端末支柱a1に固定され、各ロープ材b1〜b5の端部間の区間は中間支柱a2に摺動可能に取り付けられている。
この防護柵では落石等の衝撃cが作用すると、支柱a1,a2の下段から上段へ向かうにしたがって各ロープ材b1〜b5の変位量が大きくなり、各支柱a1,a2に対しては曲げだけでなく捩れ(回転モーメント)も同時に加わることが実験や事故現場で確認されている。
又、老朽化した防護柵の補強方法として、斜面上流側の既設防護柵と接近した位置に大型の防護柵を増築する方法が特許文献2に開示されている。
落石対策便覧(社)日本道路協会、平成12年6月p.15)では、落石の跳躍量を2m以下として取り扱っている関係から、既存の防護柵の防護高さ(柵高)は2.0mのものが大半を占めている。
特開平7−197423号公報(段落0002,図6,7) 特開2006−183326号公報(図4)
従来の防護柵にあってはつぎのような問題点がある。
<1>特許文献1に記載された防護柵にあっては、H形鋼製の支柱a1,a2の強度設計が斜面谷側(防護柵の延長方向に対し直角方向)への曲げに対してのみ設計され、防護柵の延長方向の曲げに対しては設計がされていなかった。
そのため、当初設計したより小さな衝撃で防護柵が破壊されてしまい、防護性能を十分に発揮することができないといった重大な欠陥を有している。
<2>特許文献2に開示された補強技術は、大型防護柵の増築コストが嵩むことと工期も長くかかる問題があるうえに、既設の防護柵そのものを補強することができないという問題点がある。
<3>既設の防護柵の防護高さが、2.0mと低いために、斜面勾配が斜面の途中で変化している場合や、斜面の凹凸が大きい場合等には、落石が防護柵を飛び越える事故が多発している。
<4>特許文献1に代表されるH形鋼製の支柱を具備した防護柵は、構造的な欠陥を有したまま放置され、老朽化が益々すすんでいる。
このような現状において、既設の防護柵を低コストで補強及び嵩上げできる改修技術の提案が望まれている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、低コストで増強及び嵩上げできる防護柵の改修技術を提案することにある。
さらに本発明の目的は、H形鋼製の支柱の変位方向と捩れを制御できる防護柵の補強技術を提案することにある。
本願の第1発明は、H形鋼製の既設支柱の上部に嵩上げ支柱を一体に連結して柵を嵩上げした防護柵であって、前記一体化した前記既設支柱及び嵩上げ支柱の一部と斜面山側のアンカーとの間を控えロープで連結して補強し、受撃時における隣り合う既設支柱及び嵩上げ支柱の捩れを拘束し得るように、隣り合う嵩上げ支柱の上部間の斜面山側と斜面谷側に互いに平行に一対のねじれ拘束杆を架設したことを特徴とする防護柵を提供する。
本願の第発明は、前記第発明において、ねじれ拘束杆を通じた荷重伝達を局所的に留めるように、ねじれ拘束杆の中間部、又は端部近くに緩衝金具を設けたことを特徴とする防護柵を提供する。
本願の第発明は、前記第明又は第2発明において、前記支柱と嵩上げ支柱との連結手段が支柱補強拘束枠体であり、該支柱補強拘束枠体を両支柱の連結部に外装して相互の捩れを防止して連結したことを特徴とする防護柵を提供する。
本願の第発明は、前記第1乃至第発明の何れかにおいて、前記支柱、又は嵩上げ支柱の高さ方向の中間に、ねじれを防止する中間補強拘束枠体を外装して補強したことを特徴とする防護柵を提供する。
本願の第発明は、前記第1乃至第発明の何れかにおいて、支柱の裾部に下部補強拘束枠体を外装して補強したことを特徴とする防護柵を提供する。
本願の第発明は、H形鋼製の既設支柱の上部に嵩上げ支柱を一体に連結して柵を嵩上げする防護柵の嵩上げ方法であって、前記一体化した前記既設支柱及び嵩上げ支柱の一部と斜面山側のアンカーとの間を控えロープで連結して補強し、前記一対のねじれ拘束杆により受撃時における隣り合う嵩上げ支柱間の力を伝達して、既設支柱の捩れを拘束することを特徴とする防護柵の嵩上げ方法を提供する。
本願の第発明は、前記第発明において、ねじれ拘束杆の中間部、又は端部近くに緩衝金具を設けて前記ねじれ拘束杆を通じた荷重伝達を局所的に留めるようにしたことを特徴とする防護柵の嵩上げ方法を提供する。
本発明は少なくとも次のひとつの効果を得ることができる。
<1>既設支柱及び嵩上げ支柱を、控えロープを介して斜面山側のアンカーで支持することにより、防護柵の既設支柱の強度を減少させることなく嵩上げができる。
したがって、落下高さの高い落石の防護が可能となる。
<2>隣り合う嵩上げ支柱の上部間に一対のねじれ拘束杆を架設するだけで、隣接する多数の支柱により既設支柱の捩れに対する強度を増強することができるとともに、ねじれ拘束杆を通じて衝撃力を広範囲に分散できるので、防護柵としての受撃性能が格段に向上する。
<3>隣り合う嵩上げ支柱の上部間に一対のねじれ拘束杆を架設するだけで、受撃時において、ねじれを発生させることなく、既設支柱の変位方向を斜面谷側のみに規制することができる。
<4>支柱連結金具を使用して嵩上げ支柱を連結すると、既設支柱に一切の加工を施す必要がなく、嵩上げ支柱の連結作業を簡単で短時間に行なえる。
<5>ねじれ拘束杆の中間部、又は端部近くに緩衝金具を設けることで、受撃時においてねじれ拘束杆が摺動してねじれ拘束杆を通じた荷重伝達を局所的に留めることができる。
したがって、防護柵に大きな衝撃が作用しても、捩れ拘束杆の破断を回避しつつ、各既設支柱の捩れを拘束することができる。
<6>既設支柱のねじれ座屈を防止するために、既設支柱の中間部に中間補強拘束枠体を外装して、ねじれに対する強度の減少を阻止することができる。
<7>既設支柱の斜面谷側の裾部に補強拘束枠体を外装すると、既設支柱の局部的な座屈変形を拘束できて、既設支柱の曲げ変形抵抗を増強することができる。
本発明に係る防護柵を斜面山側から見た背面図 図1におけるII−IIの断面図 防護柵の平面図 防護柵の既設支柱の上部に嵩上げ支柱を連結する組立図 図2におけるV−Vの断面図 ねじれ拘束杆の補強作用の説明図で、(A)は衝撃が作用する前における防護柵のモデル図、(B)は衝撃が作用したときの防護柵のモデル図 実施例3に係る説明図で、衝撃の作用前における防護柵の平面図 図7におけるVIII−VIIIの断面図 図7におけるIX−IXの断面図 シングル用の緩衝金具の斜視図 ダブル用の緩衝金具の斜視図 実施例4に係る説明図で、支柱の裾部の側面図 図12におけるXIII−XIIIの断面図 実施例5に係る説明図で、中間補強拘束枠体の斜視図 図2におけるXV−XVの断面図 従来の防護柵の説明図で、衝撃が作用したときの支柱と多段的に配設したロープ材の変位をモデル化した図
図面を参照しながら発明を実施するための好適な形態について説明する。
<1>防護柵の概要
図1に本発明を適用した防護柵の斜面山側から見た背面図を示し、図2に防護柵の縦断面図を示し、図3は防護柵の平面図を示し、図4は既設の防護柵の既設支柱10aの上部に嵩上げ支柱10bを連結する組立図を示す。
図1,2において、本発明が前提とする防護柵は、既設の防護柵で、間隔を隔てて立設したH形鋼製の既設支柱10a(端末支柱と中間支柱を含む)と、これらの既設支柱10a間に多段的に横架した複数のロープ材20aと、複数のロープ材20aに付設した金網等のネット21aとにより構成されていて、落石に対する防護高さ(柵高)H1は概ね2.0mである。
既設支柱10aはフランジ11とウェブ12とからなる断面H形を呈する鋼材で、その下部をコンクリート基礎15、又は斜面に直接埋設されている。
各ロープ材20aの両端部は夫々図示しない端末支柱に固定され、各ロープ材20aの端部間の区間は中間の既設支柱10aの斜面山側に配置され、Uボルト等の固定具22を介して摺動可能に取り付けられている。
本発明は上記した既設の防護柵において、既設支柱10aの上部に嵩上げ支柱10bを一体に連結し、嵩上げ支柱10bを基に柵を嵩上げして落石に対する防護高さ(柵高)を増加したものである。
さらに本発明は、一体化した支柱10a,10bの一部を、控えロープを介して斜面山側に設けたアンカーに支持させることで、一体化した支柱10a,10bを増強した。
さらに本発明は、隣り合う嵩上げ支柱10b,10bの上部間に複数のねじれ拘束杆40を張設し、これらのねじれ拘束杆40によって受撃時における一体化した支柱10a,10bの変位方向を斜面谷側のみに規制するとともに、一体化した支柱10a,10bのねじれを拘束するように構成したものである。
以下に主要な構成部材について詳述する。
<2>嵩上げ支柱
嵩上げ支柱10bは既設支柱10aの上部に連結して落石に対する防護高さを増加するための支柱であり、既設支柱10aと同一断面の例えばフランジ11とウェブ12とからなる断面H形を呈する鋼材で構成し、その全長H2は嵩上げ予定の落石に対する防護高さ(柵高)に応じて適宜選択する。
嵩上げ支柱10bのウェブ12には、多段的に横架させて複数のロープ材20bを固定できるように、Uボルト等の固定具22の取付用の孔を開設し、さらに控えロープと接続可能なフック13が設けてある。
嵩上げ支柱10bの最上部には拡張板14が一体に固着されていて、拡張板14を介して嵩上げ支柱10bの上部にねじれ拘束杆40を張設し得るようになっている。
以上の嵩上げ支柱10bは予め工場等で製作しておく。
<2.1>嵩上げ支柱の連結手段
嵩上げ支柱10bを既設支柱10aの上部に連結するには、既設支柱10aの上部を穴開けする等の加工をして連結する公知の連結方法、又は既設支柱10aの上部をまったく加工せずに連結金具を嵌着して連結する方法がある。
本例では図4,5に示す支柱連結金具30を用いて嵩上げ支柱10bを連結する場合について説明する。
支柱連結金具30は両支柱10a,10bの連結部に外装して相互の捩れを防止して連結するための金具であり、両支柱10a,10bに跨って外装可能な断面H形の収容空間31を有する拘束筒32と、拘束筒32に螺着した複数の締付ボルト33と、控えロープを接続するためのフック34とを具備している。
拘束筒32内に両支柱10a,10bの連結端部を収容した後に締付ボルト33を締付けることで両支柱10a,10bを一体に連結することができる。
支柱連結金具30は、必ずしも頑丈なものでなくてもよく、機能としては、嵩上げ支柱10bの下端のせん断力を既設支柱10aの頭部に伝達できればよく、必ずしも曲げモーメントを伝達できる機能を有していなくてもよい。
その理由は次記するように、アンカー16からの控えロープ17,18が嵩上げ支柱10bの頭部と支柱連結金具30に接続して支持されるからである。
<2.2>支柱の補強手段
既設支柱10aの断面は、既設の防護柵の低い柵高に基づいて設計されているので、単に嵩上げ支柱10bを連結して衝突高さを高く嵩上げしただけでは一体化した支柱10a,10bの強度が不足する。
又、既設支柱10aの上部を加工して嵩上げ支柱10bを連結する方法や、支柱連結金具30を用いて連結する方法の何れにあっても、嵩上げ支柱10bの下端の曲げモーメントを既設支柱10aへ完全に伝達し得るように、剛結することも困難である。
そこで、図2に示すように、一体化した支柱10a,10bの強度不足を補強するために、防護柵の斜面山側にアンカー16を設置し、曲げに弱いことが想定される上下の支柱10a,10bの連結部とアンカー16を控えロープ17で連結し、さらに、嵩上げ支柱10bの上部とアンカー16を別の控えロープ18で連結して、斜面谷側への変形を拘束する。
この際、一体化した支柱10a,10bと設計落石エネルギーとのバランスを考慮して、アンカー16と一体化した支柱10a,10bの間を結ぶ控えロープ17,18に公知の緩衝金具19を介装する場合もある。
防護柵の斜面山側に設置するアンカー16の設置位置は、支柱の直角山側でもよいが、図3に示すように隣り合う一体化した支柱10a,10bの中間位置が好ましい。
これは、防護柵に、防護柵面内の荷重が作用した場合に抵抗できるからである。
又、図示を省略するが、アンカー16を支柱の直角山側に設置した場合には、アンカー16と一体化した支柱10a,10bの間に控えロープ17,18をたすき状に配設することが好ましい。
又、両控えロープ17,18を同一のアンカー16に連結する形態の他に、各控えロープ17,18を個別のアンカー16に連結してもよい。
<3>拡張板
図3,4に示すように、拡張板14は、一体化した支柱10a,10bとねじれ拘束杆40間のトルク伝達長さを拡大する機能を有する治具で、その四隅に開設した取付孔14aにねじれ拘束杆40の接続部41を嵌合し、ボルトやピン等の連結要素42を貫挿して一体に連結可能な構造になっている。
本例では嵩上げ支柱10bの最上部に拡張板14を溶接等により一体に固着した形態について示すが、既述した支柱連結金具30と同様の連結金具の一端に拡張板14を固着し、連結金具を介して嵩上げ支柱10bの最上部に拡張板14を組付けてもよい。
<4>ねじれ拘束杆
ねじれ拘束杆40は支柱10a,10bのスパンと略同じ長さを有する引張耐力に優れた引張材で、例えば、鋼製、高強度繊維製のロープ材、又は鉄筋、PC鋼棒等の棒材、又は鋼管等のパイプ材を使用可能である。
ねじれ拘束杆40の両端部には拡張板14と連結可能な接続部41を形成している。
図示を省略するが、ねじれ拘束杆40の一部にターンバックル等の長さ調整用金具を介装したり、ねじれ拘束杆40の端部と接続部41を螺合させて、ねじれ拘束杆40の全長を調整可能に構成してもよい。
[防護柵の嵩上げ方法]
つぎに既設の防護柵の嵩上げ方法について説明する。
<1>嵩上げ資材の現場搬入
図1,2において、嵩上げ資材を構成する嵩上げ支柱10b、ロープ材20b、ネット21b、ねじれ拘束杆40等を既設の防護柵の設置現場へ搬入する。
何れの嵩上げ資材も小型で軽量であるから、現場への搬入が容易である。
<2>嵩上げ支柱の取付け
防護柵の各既設支柱10の上部に嵩上げ支柱10bを一体に連結して支柱の全長を高くする。
以下に支柱連結金具30を使用した嵩上げ支柱10bの連結方法を説明する。 図4に示すように、既設支柱10aの上部に拘束筒32の下半を外装し、複数の締付ボルト33を締め付けて支柱連結金具30を既設支柱10aに一体に固定する。
つぎに拘束筒32の上半に嵩上げ支柱10bの下部を差し込み、締付ボルト33を締め付けて嵩上げ支柱10bの下部を支柱連結金具30の上部に一体に固定する。
支柱連結金具30を使用することで、既設支柱10aの上部を何ら加工せずに嵩上げ支柱10bを連結できる。
又、予め支柱連結金具30を嵩上げ支柱10bの下部に一体に固着して製作しておき、支柱連結金具30付きの嵩上げ支柱10bを既設支柱10aの上部に連結する場合もある。
又、必要に応じて、既設支柱10aの斜面山側のフランジ11の片面に固定してある最上位のUクリップ製の固定具22とロープ材20aを一時的に取り外すことで、支柱連結金具30の下半を既設支柱10aの上部に深く差し込むことができる。
取り外したロープ材20aと固定具22は、嵩上げ支柱10bの連結作業の後に、既設支柱10aのフランジ11又は支柱連結金具30の一部に組付ければよい。支柱連結金具30にロープ材20aを固定する場合は、固定具22を固定できるように予め拘束筒32に穴あけ加工を施しておく必要がある。
<3>控えロープの取付け
図2,3に示すように、防護柵の斜面山側にアンカー16を設置し、アンカー16と支柱10a,10bの連結部に位置させた支柱連結金具30の間を控えロープ17で連結し、さらに、嵩上げ支柱10bの上部とアンカー16との間を控えロープ18で連結して、一体化した支柱10a,10bが斜面谷側へ変形するのを拘束する。
控えロープの設置本数や、一体化した支柱10a,10bに対する控えロープの接続位置は、現場状況等に応じて適宜変更可能である。
<4>ねじれ拘束杆の張設
図3,4に示すように、隣り合う嵩上げ支柱10bの上部に取付けた拡張板14間にねじれ拘束杆40を架け渡し、ねじれ拘束杆40の端部の接続部41と、拡張板14に形成した取付孔14aと位置合せを行い、ボルトやピン等の連結要素42を縦方向に貫挿して連結要素42を中心に回動自在に連結する。
最終的に隣り合う嵩上げ支柱10bの上部間に2本のねじれ拘束杆40が互いに平行となるように張設する。
<5>柵の嵩上げ
最後に、図1に示すように隣り合う嵩上げ支柱10bの間にUボルト等の固定具22を介して多段的に複数のロープ材20bを横架するとともに、複数のロープ材20bに金網等のネット21bを付設して既設の防護柵の嵩上げ作業を完了する。
以上は基本的な作業工程について説明したが、既設支柱10aに嵩上げ支柱10bを連結した以降の作業工程は適宜変更が可能である。
[嵩上げした防護柵の特性]
<1>防護柵の防護高さ
図1,2に嵩上げを完了した防護柵を示す。
嵩上げする前の防護柵における落石に対する防護高さ(柵高)H1は、概ね2.0mであるが、本発明では既設支柱10aの上部に連結した嵩上げ支柱10bの全長H2分だけ防護柵を嵩上げして落石に対する防護高さ(柵高)が増加した。
したがって、斜面勾配が斜面の途中で変化している場合や、斜面の凹凸が大きい場合等であっても、落石が防護柵を飛び越える事故を確実に防止できる。
<2>控えロープによる支柱の補強作用
単に既設支柱10aに嵩上げ支柱10bを連結しただけでは一体化した支柱10a,10bの強度が不足するが、曲げに弱いことが想定される上下の支柱10a,10bの連結部と嵩上げ支柱10bの上部にそれぞれ控えロープ17,18を接続して一体化した支柱10a,10bを増強した。
したがって、防護柵に落石等の衝撃が作用しても、控えロープ17,18は、一体化した支柱10a,10bの強度不足を補強しつつ、一体化した支柱10a,10bが斜面谷側へ変形するのを拘束する。
このように、嵩上げ支柱10bと控えロープ17,18を組合せることで、防護柵の既設支柱10aの強度を減少させることなく防護柵の嵩上げを実現できる。
<3>ねじれ拘束杆による作用
図6に基づいて、ねじれ拘束杆40の補強作用について説明する。
図6(A)は落石等の衝撃Fの作用前における防護柵モデルの平面図であり、図6(B)は衝撃Fの作用後における防護柵モデルの平面図であり、両図共に図面上方が斜面山側、図面下方が斜面谷側を示している。
嵩上げした防護柵に衝撃Fが作用すると、受撃区間に位置する一体化した支柱10a,10bには、斜面谷側へ向けた力と、防護柵の延長方向へ向けた力が作用する。
本発明では隣り合う一体化した支柱10a,10bの上部間に一対のねじれ拘束杆40,40を張設して支柱の補強を図っている。
そのため、防護柵の延長方向へ向けた力は各一体化した支柱10a,10bの上部間に張設した一対のねじれ拘束杆40,40により、隣り合う一体化した支柱10a,10bで支持されるから、受撃区間に位置する一体化した支柱10a,10bは捩れることなく斜面谷側へ向けて変位するだけである。
換言すれば、一対のねじれ拘束杆40,40は一体化した支柱10a,10bの捩れ(回転モーメント)を拘束する。
この一体化した支柱10a,10bの変位は、ねじれ拘束杆40を経由して受撃区間以外の一体化した支柱10a,10bに伝達されるので、力の伝達されたすべての一体化した支柱10a,10bが同様に斜面谷側へ向けて変位して、防護柵の延長方向へ向けた変位が拘束される。
したがって、ねじれの作用しない一体化した支柱10a,10bについては、斜面谷側へ向けて力が作用することとなり、ねじれ拘束杆40を張設して補強しない場合と比べて、一体化した支柱10a,10bは曲げ変形に対する強度を十分に発揮することができる。
このように隣り合う嵩上げ支柱10bの上部間に一対のねじれ拘束杆40,40を張設するだけで、防護柵としての受撃性能が格段に向上する。
<4>ねじれ拘束杆による支柱の変位方向の制御
一対のねじれ拘束杆40,40による一体化した支柱10a,10bの変位方向の制御について詳しく説明する。
図6(A)に示す衝撃Fの作用前において、斜面山側と斜面谷側に配置した前後一対のねじれ拘束杆40,40の全長L1は共に等しく、両ねじれ拘束杆40,40の端部間の対向距離L2も共に等しく、前後2本のねじれ拘束杆40,40は平面正四角形の長辺を構成している。
図6(B)に示すように嵩上げした防護柵に衝撃Fが作用しても、前後のねじれ拘束杆40,40の全長L1及び端部間の対向距離L2は変化しない。
すなわち、衝撃Fが作用しても、前後2本のねじれ拘束杆40,40は平面正四角形の長辺、又は平面平行四辺形の長辺を構成し続ける。
そのため、一体化した支柱10a,10bの捩れ(回転モーメント)を効果的に拘束することができる。
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
実施例1では、拡張板14を介してねじれ拘束杆40を張設した場合について説明したが、拡張板14を省略し、嵩上げ支柱10bのフランジ11に直接ねじれ拘束杆40を張設してもよい。
又、ねじれ拘束杆40の張設位置は、嵩上げ支柱10bの最上部間に限定されず、嵩上げ支柱10b又は既設支柱10aの中間部の間に張設してもよい。
一体化した支柱10a,10bに対し、高さ方向に複数組のねじれ拘束杆40を張設すれば、一体化した支柱10a,10bのねじれ拘束効果がさらに高くなる。
図7〜11に基づいて、ねじれ拘束杆40の中間部、又は端部近くに緩衝金具を介装して、ねじれ拘束杆40を通じた荷重伝達を局所的に留めるようにした実施例について説明する。
図7は衝撃の作用前における防護柵の平面図を示し、図8は拡張板14の断面図を示し、図9はねじれ拘束杆40,40の重合部を把持したダブル用の緩衝金具63の断面図を示している。
<1>ねじれ拘束杆の張設方法
図7に示すように、各ねじれ拘束杆40の中央部はシングル用の緩衝金具60を介して拡張板14に対して摺動可能に取付けられる。
隣り合う嵩上げ支柱10b,10bの間に位置する各ねじれ拘束杆40は、重合した端部近くがダブル用の緩衝金具63を介して摺動可能に把持されている。
すなわち、隣り合う拡張板14,14の間に弛みのない状態でねじれ拘束杆40,40が平行に張設されている。
本実施例では捩れ拘束杆40の中間部、および端部の両方に緩衝金具60,63を配備した形態を示すが、捩れ拘束杆40の中間部、又は端部の何れか一方に緩衝金具60,63が配備してあればよい。
緩衝金具60,63を介したねじれ拘束杆40の架設範囲は、防護柵の一部に部分的に適用するか、或いは防護柵の全長に亘って適用することができる。
<2>シングル用の緩衝金具
図10に例示したシングル用の緩衝金具60は、一枚の矩形を呈する鋼板の中央部を1本のねじれ拘束杆40を把持可能に略U字形に屈曲した拘束板61と、拘束板61の両端部を締結可能な締付けボルト62とを具備したもので、例えば公知の特許第382836号公報に記載の緩衝金具を使用できる。
シングル用の緩衝金具60はその両端部を拡張板14に重合配置し、その重合部を固定する締付けボルト62の定着力で以って、1本のねじれ拘束杆40を把持し、この把持力を超える張力(荷重)が作用したときにねじれ拘束杆40の摺動を許容する。
<3>ダブル用の緩衝金具
図11に例示したダブル用の緩衝金具63は、一枚の矩形を呈する鋼板の中央部を2本のねじれ拘束杆40を把持可能に略U字形に屈曲した拘束板61と、拘束板61内に収容した単数、又は複数の仕切板64と、拘束板61の両端部を締結可能な締付けボルト62とを具備したもので、例えば公知の特許第4024070号公報に記載の緩衝金具を使用できる。
ダブル用の緩衝金具63を構成する拘束板61内の空間内に仕切板64を間に挟んで2本のねじれ拘束杆40の重合箇所を収容し、拘束板61の両端部を締付けボルト62で締付けることで各ねじれ拘束杆40を把持し、この把持力を超える張力(荷重)が作用したときに2本のねじれ拘束杆40が互いに摺動してねじれ拘束杆40の全長を伸長できる。
重合させた2本の拘束杆40の伸長を許容するためには、2本のねじれ拘束杆40の重合箇所に予め摺動代としての余長部を形成しておく。
尚、緩衝金具は上記したシングル用、又はダブル用の緩衝金具60、63の構成に限定されるものではなく、一定以上の張力が作用したときにねじれ拘束杆40の摺動を許容する構造であれば公知の各種の緩衝金具を適用することができる。
<4>ねじれ拘束杆の作用
図6(b)において、前後2本のねじれ拘束杆40,40の全長L1及び端部間の対向距離L2で形成される長方形が、衝撃Fの作用に伴い平行四辺形に変形することは既述したとおりである。
より大きな衝撃Fが作用すると、平行四辺形に変形する際に、隣り合う一体化した支柱10a,10bの間隔が狭められ、隣接する一体化した支柱10a,10bのさらに外方側の一体化した支柱10a,10b全部が強制的に変位させられる結果、捩れ拘束杆40に大きい応力が発生して破断することが想定される。
本実施例にあっては、上記した場合に緩衝金具60,63を介して、ねじれ拘束杆40が摺動して、又はねじれ拘束杆40,40の全長が伸長することにより、ねじれ拘束杆40を通じた荷重の伝達を阻止することができる。
したがって、より大きな衝撃Fが作用しても、ねじれ拘束杆40の中間部、又は端部近くに設けた緩衝金具60,63との間でねじれ拘束杆40が摺動することで、捩れ拘束杆40の破断を回避しつつ、各嵩上げ支柱10b及び既設支柱10aの捩れ(回転モーメント)を拘束することができる。
図2及び図12,13に既設支柱10aの裾部に下部補強拘束枠体70を取付けて既設支柱10aのさらなる補強を図った他の実施例を示す。
図12に下部補強拘束枠体70を設けた既設支柱10aの裾部の側面図を示し、図13に既設支柱10aの裾部の横断面図を示す。
<1>下部補強拘束枠体
下部補強拘束枠体70は既設支柱10aの斜面谷側の裾部を補強する部材で、コ字形を呈し、一方(斜面谷側)のフランジ11の外側面を外装可能な背板71と、L字形を呈し、フランジ11の内側面とウェブ12の側面に跨って外装可能な2枚の側板72,72とで構成され、内部に平面T字形の空間74を形成している。
側板72,72の板面には補強拘束枠体70を既設支柱10aへ固定するために複数の固定ボルト73が螺着されている。
本例では背板71及び側板72,72を溶接して製作した形態を示すが、一枚の帯状金属板を平面T字形の空間74を形成するように折曲加工して製作してもよい。
<2>下部補強拘束枠体の設置方法
下部補強拘束枠体70の設置方法について説明すると、既設支柱10aの裾部に斜面谷側のフランジ11とウェブ12に対し、既設支柱10aの上方から下部補強拘束枠体70を落とし込む。
下部補強拘束枠体70の空間74の平面形状は既設支柱10aの断面形状に合わせて略T字形に形成してあるため、下部補強拘束枠体70は既設支柱10aの裾部の斜面谷側のフランジ11およびウェブ12の外周面を被覆することができる。
最後に固定ボルト73を締め付けることで、下部補強拘束枠体70を既設支柱10aの斜面谷側の裾部へ固定して下部補強拘束枠体70の取付けを完了する。
<3>下部補強拘束枠体の作用
一般に防護柵の支柱は斜面谷側が局部座屈を起こし易く、既設支柱10aの裾部が強度的に弱点とされていた。
下部補強拘束枠体70を既設支柱10aの外装して固定するだけで、既設支柱10aの斜面谷側の裾部を効果的に補強することができる。
そのため、既設支柱10aに斜面谷側の変位を生じたとき、下部補強拘束枠体70が既設支柱10aの局部座屈を拘束できて、既設支柱10a全体としての曲げ変形抵抗を増強することができる。
防護柵全体の補強効果を考慮すれば、本実施例4を先の実施例1〜3と併用することが望ましいが、防護柵の既設支柱10aに対して本実施例4を単独で実施してもよい。
図1,2及び図14,15に既設支柱10aの中間部に中間補強拘束枠体50を取付けて既設支柱10aのさらなる補強を図った他の実施例を示す。
図14に中間補強拘束枠体50の斜視図を示し、図15に中間補強拘束枠体50を設けた既設支柱10aの中間部の横断面図を示す。
<1>中間補強拘束枠体
中間補強拘束枠体50は既設支柱10aの高さ方向の中間部に外装して補強する部材で、既設支柱10aの上部から嵌挿が可能で、斜面谷側のフランジ11とウェブ12に外装する第1補強拘束枠体51と、斜面山側からロープ材20aとロープ20aの間に露出した既設支柱10aに組み付けが可能で、斜面山側のフランジ11に外装する第2補強拘束枠体52の二種類の枠体で構成されている。
中間補強拘束枠体50を二種類の枠体51,52で構成したのは、既設の防護柵にまったく手を加えずに、既設支柱10aの中間部に中間補強拘束枠体50を外装するためである。
<2>第1補強拘束枠体
第1補強拘束枠体51は既述した下部補強拘束枠体70と基本的に構造が同じで、コ字形を呈し、斜面谷側のフランジ11の外側面を外装可能な背板53と、L字形を呈し、フランジ11の内側面とウェブ12の側面に跨って外装可能な2枚の側板54,54とで構成され、内部に平面T字形の空間55を形成している。
側板54,54の板面には第1補強拘束枠体51を既設支柱10aへ固定するために複数の固定ボルト56が螺着されている。
<3>第2補強拘束枠体
第2補強拘束枠体52は、二つに縦割りした一対の分割枠体57,57と、一対の分割枠体57,57を一体に結合する接合ボルトナット58と、複数の固定ボルト59とにより構成されている。
各分割枠体57は斜面山側のフランジ11の内外面を外装可能なように略コ字形を呈している。
<4>中間補強拘束枠体の設置方法
中間補強拘束枠体70の設置方法について説明する。
既設支柱10aの斜面谷側のフランジ11とウェブ12に対し、既設支柱10aの上方から第1補強拘束枠体51を落とし込み、固定ボルト56を締め付けることで、第1補強拘束枠体51を所定の高さに固定する。
これにより、第1補強拘束枠体51は既設支柱10aの中間部の斜面谷側のフランジ11及びウェブ12の外周面を被覆して補強することができる。
各分割枠体57を斜面山側のフランジ11の両側から嵌め込み、一対の分割枠体57,57の接合部を接合ボルトナット58で固定して第2補強拘束枠体52を組み立てる。
第2補強拘束枠体52の設置にあたり、前記した第1補強拘束枠体51の取付高さと同じ高さに組付ける。
最後に、複数の固定ボルト59を締付けて第2補強拘束枠体52で以って斜面山側のフランジ11を補強することができる。
中間補強拘束枠体50の設置数は一組に限定されず、既設の防護柵の現場状況等に応じて、既設支柱10aの高さ方向の中間部に複数組の中間補強拘束枠体50を設置することも可能である。
<5>中間補強拘束枠体の作用
一般にH型鋼製の既設支柱10aの途中を拘束することなく軸力、又は曲げが作用すると、既設支柱10aの中間部が捩れたり、局部的な変形を引き起こす。
本実施例では、中間補強拘束枠体50を構成する第1補強拘束枠体51及び第2補強拘束枠体52で既設支柱10aの中間部を外装して補強した。
そのため、既設支柱10aに斜面谷側の変位を生じたとき、中間補強拘束枠体70が既設支柱10aの中間部の捩れや局部的変形を拘束できて、既設支柱10a全体としての曲げ変形抵抗を増強することができる。
又、本実施例では、第1補強拘束枠体51を既設支柱10aの上方からの嵌め込みにより設置でき、第2補強拘束枠体52を既設支柱10aの斜面山側からの嵌め込み操作により設置できるので、中間補強拘束枠体50の組付け操作が簡単に行える。
中間補強拘束枠体70を既設支柱10a外装して固定するだけで、既設支柱10aの斜面谷側の裾部を効果的に補強することができる。
防護柵全体の補強効果を考慮すれば、本実施例5を先の実施例1〜4と併用することが望ましいが、防護柵の既設支柱10aに対して本実施例5を単独で実施してもよい。
既設の防護柵は既述した形態に限定されるものではなく、公知の防護柵を含むものである。
10a・・・・既設支柱
10b・・・・嵩上げ支柱
14・・・・・拡張板
16・・・・・アンカー
17,18・・控えロープ
20a,20b・・ロープ材
21a,21b・・ネット
22・・・・・固定具
30・・・・・支柱連結金具
40・・・・・ねじれ拘束杆
50・・・・・中間補強拘束枠体
60・・・・・シングル用の緩衝金具
63・・・・・ダブル用の緩衝金具
70・・・・・下部補強拘束枠体

Claims (7)

  1. H形鋼製の既設支柱の上部に嵩上げ支柱を一体に連結して柵を嵩上げした防護柵であって、
    記一体化した前記既設支柱及び嵩上げ支柱の一部と斜面山側のアンカーとの間を控えロープで連結して補強し
    受撃時における隣り合う既設支柱及び嵩上げ支柱の捩れを拘束し得るように、隣り合う嵩上げ支柱の上部間の斜面山側と斜面谷側に互いに平行に一対のねじれ拘束杆を架設したことを特徴とする防護柵。
  2. 請求項において、ねじれ拘束杆を通じた荷重伝達を局所的に留めるように、ねじれ拘束杆の中間部、又は端部近くに緩衝金具を設けたことを特徴とする防護柵。
  3. 請求項1または請求項2において、前記既設支柱と嵩上げ支柱との連結手段が支柱補強拘束枠体であり、該支柱補強拘束枠体を両支柱の連結部に外装して相互の捩れを防止して連結したことを特徴とする防護柵。
  4. 請求項1乃至請求項の何れか一項において、前記既設支柱、又は嵩上げ支柱の高さ方向の中間に、ねじれを防止する中間補強拘束枠体を外装して補強したことを特徴とする防護柵。
  5. 請求項1乃至請求項の何れか一項において、既設支柱の裾部に下部補強拘束枠体を外装して補強したことを特徴とする防護柵。
  6. H形鋼製の既設支柱の上部に嵩上げ支柱を一体に連結して柵を嵩上げする防護柵の嵩上げ方法であって、
    記一体化した前記既設支柱及び嵩上げ支柱の一部と斜面山側のアンカーとの間を控えロープで連結して補強し
    隣り合う嵩上げ支柱の上部間の斜面山側と斜面谷側に互いに平行に一対のねじれ拘束杆を架設し、
    前記一対のねじれ拘束杆により受撃時における隣り合う嵩上げ支柱間の力を伝達して、既設支柱の捩れを拘束することを特徴とする防護柵の嵩上げ方法。
  7. 請求項において、ねじれ拘束杆の中間部、又は端部近くに緩衝金具を設けて前記ねじれ拘束杆を通じた荷重伝達を局所的に留めるようにしたことを特徴とする防護柵の嵩上げ方法。
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