JP4401429B1 - 防護柵 - Google Patents

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Abstract

【課題】防護柵に作用する雪の静的荷重を軽減して防護柵の破壊リスクを低く抑えつつ、支柱間隔を広げて工期の短縮および工費の削減を図る。
【解決手段】支柱の上部に防護ネットの有効高さより高い塔部12を形成し、隣り合う塔部12の間に吊りロープ30を張設する。吊りロープ30の中間を最上位の横ロープに連結して、最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げる。
【選択図】図1

Description

本発明は積雪や落石等を防止する防護技術に関し、特に柵本体の上部に鉛直に作用する雪の静的荷重を細径の吊りロープで軽減しつつ、耐力性に優れた経済的な設計が可能な防護柵に関する。
一般に防護柵は落石等の動的荷重に対抗するように強度設計をしているが、越冬後に雪に埋もれた防護柵が雪の静的荷重によって破壊する場合がある。
雪の静的荷重とは、鉛直方向に作用する積雪荷重と、積雪内部での沈降力(クリープ)および斜面に沿った滑り(グライド)を成分とする雪圧であり、これらの外力が複合的に防護柵を構成する防護ネットや支柱へ作用する。
積雪対策を講じた防護柵として、隣り合う支柱の上端間を高強度のサポート材で連結し、支柱とサポート材を門形構造とすることが特許文献1に開示されている。積雪荷重等を支持するサポート材は、断面円形で厚肉の金属管で構成されている。
また、雪の静的荷重の負荷に伴い支柱間隔が変化するが、この支柱間隔の変化に対応するため、各支柱とサポート材の間に連結金具を介装することが特許文献2に開示されている。
また、防護ネットを構成する水平ケーブルの間隔が過大に広がらないように、サポート材に接続した複数の間隔保持材を鉛直方向に配置し、各水平ケーブルと間隔保持材の交点を連結具で連結することが特許文献2に開示されている。
特開2002−115213号公報 特開2003−34912号公報
特許文献1,2に記載の防護柵にはつぎのような問題点がある。
<1>従来の防護柵の積雪対策は、サポート材や支柱等の柵本体の強度のみで雪の静的荷重に対抗するものであって、防護柵本体に作用する雪の静的荷重を積極的に軽減することができない。
<2>経済性を考慮して支柱間隔を広げようとすると、大断面のサポート材を使用して曲げ耐力を増す必要があるが、サポート材の断面を大きくすると、積雪の受圧面積が増えてサポート材へ作用する雪の静的荷重が大きくなる。
サポート材へ作用する雪の静的荷重が大きくなると、サポート材を支持する支柱の支持力を増す必要があり、結果として防護柵本体を必要以上の高強度に設計しなければならなかった。
<3>サポート材と連結金具は共に金属製で重量が重たく、現場への搬入と組み付けに多くの労力を要する。
特に防護柵の建設現場は搬送車両や重機類の導入が困難な現場が大半であるから、工期が長くかかるだけでなく工費も高くつく。
<4>各支柱間隔が一様であっても、樹木等の障害物の存在により雪圧が小さい部分があると、隣接するスパンとの不釣合いによって、支柱間隔が狭まり、サポート材に大きな圧縮力が作用する。
さらにサポート材には積雪荷重等が直接作用するだけでなく、防護ネットに作用した雪の静的荷重が、間隔保持材を通じてサポート材に大きな曲げモーメントを生じさせる。
そのため、支柱間隔に対応してサポート材の全長が長くなるほど、サポート材が座屈変形を起こし易くなる。
<5>従来の防護柵は、サポート材に作用する雪の静的荷重を最終的に支柱が支持する構造である。
そのため、支柱間隔に対応してサポート材の全長が長くなるほど、支柱が曲げ変形を起こし易くなる。
<6>上記したように支柱間隔を広げようとすると、防護柵の破壊リスクが高まるだけでなく、工期および工費の負担が大きくなる。
そのため、従来の防護柵は防護ネットが強度的に十分な余裕があるにもかかわらず、支柱間隔を広くすることができず、2m〜3mといった狭い間隔を余儀なくされている。
<7>前記したように従来の防護柵は、支柱間隔が狭くコスト的に不経済である。
しかも連結金具が、サポート材に一定量のスライドを許容し、かつ、雪圧等による支柱の傾斜に対応できるようサポート材の回転が可能な複雑な構造を呈するため、多額の製作費用を必要とする。
このように従来の防護柵は資材費が嵩む問題もある。
<8>水平ケーブルの両端を端末支柱に固定するとともに、中間支柱に対して水平ケーブルをスライド可能に構成した防護柵が知られている。
これは、局部的に作用した大きな荷重を防護柵全体で受け持とうとする発想に基づいている。
各スパンに一様に荷重が作用する場合、端末支柱が負担する荷重は1スパンに作用する荷重の2分の1でよいが、一部に局部的な荷重が作用する場合は、そのスパンの水平ケーブルの全荷重を両端の端末支柱が負担することとなって、端末支柱が崩壊する。
本願発明の第1発明は、間隔を隔てて立設した支柱と、支柱の間に架設した防護ネットを具備し、前記防護ネットを構成する最上位の横ロープが支柱間に張設されている防護柵であって、前記支柱の上部に防護ネットの有効高さより高い塔部を形成し、隣り合う前記塔部の間に吊りロープを張設し、荷重バランスがとれるようスパン中心から対称位置に、前記吊りロープの中間を最上位の横ロープの真上に連結して、該最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げたことを特徴とする。
本願発明の第2発明は、前記第1発明において、前記吊りロープが支柱の複数スパンに亘る全長を有し、該吊りロープを前記塔部と最上位の横ロープの間に波形に張設し、中間の塔部に対して吊りロープを摺動可能に係留したことを特徴とする。
本願発明の第3発明は、前記第1発明において、前記吊りロープが支柱の1スパンに亘る全長を有し、該吊りロープの両端を隣り合う塔部に連結して張設したことを特徴とする。
本願発明の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明の何れかにおいて、スパンの両側の支柱の塔部間に複数の吊りロープを配置して最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げたことを特徴とする
本願発明の第1発明は、間隔を隔てて立設した支柱と、支柱の間に架設したロープ材を主体とする防護ネットを具備し、前記防護ネットを構成する最上位の横ロープが支柱間に張設されている防護柵であって、前記支柱の上部に防護ネットの有効高さより高い塔部を形成し、隣り合う前記塔部の間に吊りロープを張設し、前記吊りロープの中間を最上位の横ロープに連結して、該最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げたことを特徴とする。
本願発明の第2発明は、前記第1発明において、前記吊りロープが支柱の複数スパンに亘る全長を有し、該吊りロープを前記塔部と最上位の横ロープの間に波形に張設し、中間の塔部に対して吊りロープを摺動可能に係留したことを特徴とする。
本願発明の第3発明は、前記第1発明において、前記吊りロープが支柱の1スパンに亘る全長を有し、該吊りロープの両端を隣り合う塔部に連結して張設したことを特徴とする。
本願発明の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明の何れかにおいて、スパンの両側の支柱の塔部間に複数の吊りロープを配置して最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げたことを特徴とする。項1請求項3の何れか1項
本発明は少なくとも次の効果を得ることができる。
<1>吊りロープは従来のサポート材と比較して受圧面積が格段に小さく、雪の静的荷重(沈降力)も小さくなる。
したがって、サポート材を具備する従来の防護柵と比べて、防護ネットの最上部に作用する単位長さ当たりの雪の静的荷重を軽減することが可能となる。
<2>上記したように吊りロープに作用する雪の静的荷重を軽減できるうえに、吊りロープで以って防護ネットの最上位の横ロープに作用する雪の静的荷重を塔部と支柱へ伝えて支持するので、横ロープが下方へ変位することを効果的に防止することができる。
したがって、防護柵の破壊リスクを低く抑えつつ、支柱間隔を広げることができる。
<3>支柱の間隔を広くできる要因にくわえて、従来の防護柵が必須としていたサポート材と連結金具が不要となる。
したがって、防護柵をより経済的に設計することができるだけでなく、防護柵の工期の短縮および工費の削減を図ることできる。
<4>吊りロープの一部に作用する雪の静的荷重を有効活用して横ロープの吊り上げ力を増加することができる。
<5>吊りロープを中間の塔部に対して摺動可能に係留することで、一部のスパンに局所的に大小異なる雪の静荷重が作用しても、吊りロープの張力変動が隣接するスパンへ伝達されて、張力が一様化される。
したがって、防護柵全体として良好な安定性を保つことができる
<6>支柱が等間隔の場合、支柱の左右で吊りロープの張力がほぼ同じとなるので、支柱には軸圧縮力成分のみが作用する。
<7>横ロープが中間の支柱に対して摺動可能であるので、支柱には吊りロープの圧縮力と雪圧の防護柵横断方向の成分のみが作用し、防護柵の延長方向の荷重が作用しない。
そのため、支柱の延長方向の横曲げが発生せず、支柱の断面決定に際し計算が容易である。
本発明の実施例1に係る防護柵の全体モデル図 実施例1に係る防護柵のモデル図 図1におけるIII−IIIの断面図 実施例2に係る防護柵のモデル図 実施例3に係る防護柵のモデル図 実施例4に係る防護柵のモデル図 実施例4に係る他の防護柵のモデル図 実施例4に係る他の防護柵のモデル図 塔部における吊りロープの係留構造の縦断面図 塔部における吊りロープの係留構造の縦断面図
以下図面を参照しながら実施例について説明する。
<1>防護柵の概要
図1に基づき本発明が前提とする防護柵について説明する。
防護柵は端末支柱10の間に間隔を隔てて中間支柱11を立設し、これらの支柱10,11の間にロープ材を主体とした公知の防護ネット20を架設したものである。
従来の防護柵はサポート材や支柱等の強度を増強することで雪の静的荷重に対抗するものであった。
これに対し本発明は、防護ネット20から上方へ突出する支柱10,11の塔部12に反力を得て、両側スパンの防護ネット20の最上縁を吊りロープ30で斜め上方へ吊り上げるようにしたものである。
以降に防護柵の構成について詳しく説明する。
<1.1>支柱
端末支柱10および中間支柱11は、防護ネット20により伝達される動的荷重および静的荷重に抵抗し得る強度を有する剛性部材で、各支柱10,11の防護ネット20の有効高さHより吊り高さh分だけ上方へ延出して塔部12を形成している。
塔部12は吊りロープ30を支持するための部位で、各支柱10,11を延長して一体に形成することの他に、別部材の塔部12を各支柱10,11に頂部に接続してもよい。
端末支柱10および中間支柱11は、例えば、鋼管内に各種の抵抗材を配置してコンクリートを充填した合成構造体や、コンクリート柱、鋼管、H鋼等を含むものである。
端末支柱10および中間支柱11の立設形態は、支柱10,11の下部を地面に直接建て込む方法、基礎コンクリートに立設する方法、或いは支柱10,11の下端に底板を設けて埋設せずに接地させて立設する方法が採用可能である。
また各支柱10,11の上部と斜面側との間には、図示しない控えロープで接続して容易に傾倒しないように支持されている。
<1.2>防護ネット
本例の防護ネット20は、端末支柱10および中間支柱11に上下に間隔を隔てて多段的に横架した複数の横ロープ21a,21b・・・と、複数の横ロープ21a,21b・・・に鉛直に配置した間隔保持材23とより成る。
尚、22は横ロープ21a,21b・・・に一体に付設した金網等のネットで、必須の要素ではない。
横ロープ21a,21b・・・の両端は端末支柱10に固定し、中間支柱11に対してはスライド可能、またはスライド不能に取り付けられている。
防護ネット20を構成する横ロープ21a,21b・・・は、ワイヤロープが好適であるが、PC鋼線、PC鋼より線や炭素繊維、アラミド繊維も使用可能である。
横ロープ21a,21b・・・には所定の間隔を隔てて、鉛直に間隔保持材23を配置し、各横ロープ21a,21b・・・の交点をワイヤクリップ等の固定具24で連結して21a,21b・・・の間隔が過大に広がらないように規制している。
間隔保持材23は、ワイヤロープとワイヤクリップを組み合わせたものの他に、帯鋼板とワイヤクリップを組み合わせたものや、チェーン等を適用できる。
防護ネット20は、本例で示した他に、例えばロープ材を縦横方向に配置して格子状に編成したネット、斜め方向に配置したロープ材を交差させて菱形状に編成したネット、或いはロープ製のリング単体を内接させて連鎖させたリングネット、ロープの交差部に緩衝具を付設して複数の連続輪要素を形成したループネット等の公知のネットを含むものである。
要は、防護ネット20の最上縁に水平に横ロープ21aが存在するネットであればよい。
<2>吊りロープ
吊りロープ30は従来の防護柵の沈降力を支持するサポート材に代わる引張力に優れたロープ材で、図3に示すように積雪の受圧幅Bを有する。
各吊りロープ30は隣り合う各支柱10,11の塔部12,12の所定の吊り高さhに支持して張設するとともに、各吊りロープ30の中間部が最上位の横ロープ21aに例えばワイヤクリップ等の連結具35で摺動不能に連結して防護ネット20の最上縁を斜め上方へ吊り上げるように構成されている。
本例では吊りロープ30の左右両側の二つの傾斜引張部30a,30aの中間に、所定長の水平引張部30bを形成した場合について説明する。
傾斜引張部30a,30aは最上位の横ロープ21aの真上に離隔して位置し、水平引張部30bは最上位の横ロープ21aと重合する。
本発明では最上位の横ロープ21aの全体を真上に吊り上げるのではなく、最上位の横ロープ21aが最も降下し易い中央部を斜め上方へ吊り上げるようにした。その理由は、最上位の横ロープ21a(防護ネット20の最上縁)の横移動を許容しつつ、上下に移動させないで効果的に支持するためである。
吊りロープ30の取り付けに当たっては、荷重バランスがとれるように、各スパンの中心に対し対称に取り付ける。
各支柱10,11と11,11間に吊りロープ30を設けたときにおける最上位の横ロープ21aに作用する力を図2に示す。
水平引張部30bの区間に位置する横ロープ21aには引張(実線矢印)が発生し、二つの傾斜引張部30a,30aの区間に位置する横ロープ21aには圧縮(破線矢印)が発生し、これらの引張と圧縮は互いにバランスする。
各スパン単位で力がバランスするため、最上位の横ロープ21aの端部と端末支柱10の固定部に過大な力が作用しないで済む。
尚、圧縮力の発生区間は、積雪荷重(雪圧)や沈降力が作用するため、最上位の横ロープ21aが弛むことはない。
塔部12の吊り高さhと、吊りロープ30における傾斜引張部30aと水平引張部30bの長さと、吊り角度θ等は、防護ネット20に作用予定の雪の静的荷重や支柱間隔(スパン長)等を考慮して適宜選択する。
一様な沈降力を受けるのに必要な吊りロープ30の引張り強度は、容易に計算が可能であり、比較的小径のロープで対応可能である。
[作用]
つぎに本発明に係る防護柵の作用について説明する。
<1>雪の静的荷重の軽減作用
図1において、本願発明に係る防護柵全体が雪に埋設した場合、防護ネット20に対して鉛直方向の積雪荷重と、雪圧を構成する沈降力(クリープ)および斜面に沿った滑り(グライド)が作用する。
積雪荷重と沈降力は防護ネット20の最上部の吊りロープ30と最上位の横ロープ21aに作用する。
吊りロープ30は従来のサポート材と比較して受圧面積が格段に小さいため、吊りロープ30に作用する積雪荷重と沈降力は小さなものとなる。
また、最上位の横ロープ21aに作用する積雪荷重と沈降力も小さなものとなる。
したがって、本発明はサポート材を具備する従来の防護柵と比べて、防護ネット20の最上部に作用する単位長さ当たりの雪の静的荷重を軽減することが可能となる。
<2>防護ネットの吊り支持作用
仮に吊りロープ30が存在しなければ、スパンの両側の中間支柱11,11の間に位置する最上位の横ロープ21aに雪の静的荷重が直接作用して、最上位の横ロープ21aの中央部が下方へ大きく変位し、最悪は防護ネット20の破壊に至る。
本発明はスパンの両側支柱10,11の部12,12に吊りロープ30を取り付け、そのスパン内の最上位の横ロープ21aに連結して、防護ネット20の最上位に位置する横ロープ21aを吊り上げて支持するように構成したものである。
したがって、最上位の横ロープ21aに作用する雪の静的荷重を吊りロープ30が塔部12と支柱10,11へ伝えて支持するので、横ロープ21aの中央部が下方へ変位することを効果的に防止できる。
本発明は防護ネット20を単に吊っているのではなく、吊りロープ30を介して最上位の横ロープ21aを水平の変位を許容しつつ上下の移動を阻止した状態で吊り上げている。
そのため、防護ネット20が斜面の下流側へ向けて撓み変形するときに、ネットの撓み変形を阻害せずに、防護ネット20の上縁中央の支持を継続して行なうことができる。
また本発明ではスパンの中心に対して対称となるように、隣り合う各支柱10,11と11,11間に吊りロープ30を取り付けた。
そのため、中間支柱11,11の間においては、その両側に配置した吊りロープ30,30の張力がほぼ同じになる。
端末支柱10に対しては片方のみに吊りロープ30の張力が作用するので、これと釣り合う控えロープ等を接続することで安定性を保つことができる。
さらに本発明の特徴とするところは、吊りロープ30の傾斜引張部30a,30aに作用する雪の静的荷重を横ロープ21aの吊り上げ力に活用することにある。
すなわち、吊りロープ30に外力が作用しなければ傾斜引張部30aと水平引張部30bは円弧状に弛みを生じる。
傾斜引張部30a,30aに雪の静的荷重が作用すると、吊りロープ30の全長に亘って張力が増して、傾斜引張部30aと水平引張部30bが夫々直線状に変位する。換言すれば、吊りロープ30の張力が増すと剛性部材のように吊りロープ30の曲げ抵抗が増大する。
そのため、傾斜引張部30a,30aに作用する雪の静的荷重を横ロープ21aの吊り上げ力の増加に有効活用することができる。
以上のように、積雪の受圧面積を大幅に小さくした吊りロープ30で以って横ロープ21aの中央部を支持することで、防護ネット20の最上縁に位置する吊りロープ30および横ロープ21aに作用する雪の静的荷重を軽減しつつ、防護ネット20の最上縁の沈降を効果的に抑止することができる。
したがって、従来と比べてスパン長を長くすることが可能となる。
厳密には、最上位の横ロープ21aの引張り強度に釣り合うだけ、支柱10,11と11,11の間隔を大きくすることができる。
尚、支柱のスパン長を長くしたり、間隔保持材23を設けることで、吊りロープ30の張力が増大する。
防護ネット20の張力が大きくなるときは、ロープ径を大きくしたり、高強度の素材を用いる等の方法で吊りロープ30の強度を高めるだけで簡単に対処することができ、コストの上昇もわずかである。
<3>支柱傾斜の対応性について
サポート材を有する従来の防護柵は、雪の静的荷重による支柱の傾斜に対応できるようサポート材と支柱の間に連結金具を介装する必要があった。
本発明は吊りロープ30の可撓性により支柱10,11の傾斜に対応することができる。したがって、従来のような取扱いに不便で高価なサポート材と連結金具が不要となる。
<4>支柱の支持力について
従来の防護柵を構成する支柱は、サポート材に作用する雪の静的荷重を含めた支持力が必要であった。
これに対し本発明では、吊りロープ材30に作用する雪の静的荷重が軽減されることから、各支柱10,11の支持力は小さなものとなる。
さらに、最上位の横ロープ21aは、中間支柱11に対して摺動可能に支持されているので、中間支柱11には吊りロープ30の圧縮力と雪圧の防護柵横断方向の成分のみが作用し、防護柵の延長方向の荷重が作用しない。
そのため、中間支柱11の延長方向の横曲げが発生せず、支柱11の断面決定に際し計算が容易である。
また各支柱10,11と11,11を等間隔に配置した場合、各支柱10,11の左右で吊りロープ30の張力がほぼ同じとなるので、各支柱10,11には軸圧縮力成分のみが作用することになる。
端末支柱10には、片側のみに荷重が作用するので、他の横ロープの引張り力とともに対応できる控えロープを設置すればよい。
以上説明したように本発明は、支柱10,11の間隔を広くできる要因にくわえて、各支柱10,11の荷重負担を軽減できる。
さらに従来の防護柵が必須としていたサポート材と連結金具が不要となる。
したがって、防護柵をより経済的に設計することができる。
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
実施例1では吊りロープ30の左右両側の二つの傾斜引張部30a,30aの中間に、所定長の水平引張部30bを形成した場合について説明した。
吊りロープ30の他の配置形態としては、図4に示すように、水平引張部30bを省略し、スパンの両側の支柱11,11の塔部12,12と最上位の横ロープ21aの中央部の間に吊りロープ30を連結して二つの傾斜引張部30a,30aのみで支持するようにしてもよい。
本実施例にあっては、支柱10,11および支柱11,11の間隔が小さい場合には、スパンの中央1箇所で吊りロープを最上位の横ロープの中点で連結した方が、横ロープの鉛直変位を小さく抑えることができる。
図5に示すように、スパンの両側の支柱11,11の塔部12,12間に複数の吊りロープ30,30を配置して最上位の横ロープ21aを吊り上げるようにしてもよい。
複数の吊りロープ30,30を配置する場合、荷重バランスがとれるように、スパン中心から対称位置に連結具35を介して最上位の横ロープ21aと摺動不能に連結する。
本例では2本の吊りロープ30,30で吊り上げる場合について図示したが、吊りロープ30は3本以上であってもよい。
本実施例にあっては、最上位の横ロープ21aを吊り上げる吊りロープ30の1本当たりの吊り荷重が小さくなることと、吊り力を横ロープ21aの広範囲に亘って作用させることができるから、スパン長をより長く設計できるといった利点が得られる。
以上は吊りロープ30の張設範囲がスパン単位である場合について説明したが、図6〜図8に示すように複数のスパンに跨って1本ものの吊りロープ30を波形に配置して防護ネット20の最上位の横ロープ21aを吊り上げるようにしてもよい。
図6は実施例1に適用したもので、最上位の横ロープ21aに対してスパン両側の支柱11,11の塔部12,12間で水平引張部30bを形成するように吊りロープ30を連結した形態を示す。
図7は実施例2に適用したもので、水平引張部30bを省略し、横ロープ21aの中央部の間に吊りロープ30を連結した形態を示す。
図8は実施例3に適用したもので、荷重バランスがとれるように、スパン中心から対称位置に連結具35を介して最上位の横ロープ21aに対して複数の吊りロープ30,30を連結した形態を示す。
本実施例において吊りロープ30の端部を端末支柱に固定することは既述した実施例と同様である。
本実施例は、連続した吊りロープ30を中間支柱11の塔部12に対して摺動可能な状態で支持することが肝要である。
図9,10に吊りロープ30と塔部12の摺動構造の一例を示す。
図9は塔部12の上部に開設したガイド溝13内に空転式の回転体14を枢支し、回転体14の円周面に吊りロープ30を摺動自在に係留した形態を示す。
図10は塔部12の上部のガイド溝13の溝底15を円弧状に形成し、円弧状の溝底15に吊りロープ30を摺動自在に係留した形態を示す。
本実施例においては、最上位の横ロープ21aを吊り上げるための吊りロープ30が連続性を有し、かつ隣り合う各塔部12に摺動可能に支持されている。
そのため、一部のスパンに局所的に大小異なる雪の静荷重が作用しても、吊りロープ30の張力変動が隣接するスパンにも伝達されて、張力が一様化されるので、防護柵全体として安定を保つことができる
特に、先の実施例1〜3と比べて、吊りロープ30に対する雪の静的荷重の分散性に優れるから、積雪深が大きい環境への適合性に優れる。
さらに先の実施例1〜3と比べて、隣り合う支柱10,11と11,11を互いに接近し合う力が小さくなるので、支柱10,11の荷重負担を軽減できるといった利点も得られる。
10・・・・・・端末支柱
11・・・・・・中間支柱
12・・・・・・塔部
20・・・・・・防護ネット
21a・・・・・防護ネットの最上位の横ロープ
30・・・・・・吊りロープ

Claims (4)

  1. 間隔を隔てて立設した支柱と、支柱の間に架設した防護ネットを具備し、前記防護ネットを構成する最上位の横ロープが支柱間に張設されている防護柵であって、
    前記支柱の上部に防護ネットの有効高さより高い塔部を形成し、
    隣り合う前記塔部の間に吊りロープを張設し、
    荷重バランスがとれるようスパン中心から対称位置に、前記吊りロープの中間を最上位の横ロープの真上に連結して、該最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げたことを特徴とする、
    防護柵。
  2. 請求項1において、前記吊りロープが支柱の複数スパンに亘る全長を有し、該吊りロープを前記塔部と最上位の横ロープの間に波形に張設し、中間の塔部に対して吊りロープを摺動可能に係留したことを特徴とする、防護柵。
  3. 請求項1において、前記吊りロープが支柱の1スパンに亘る全長を有し、該吊りロープの両端を隣り合う塔部に連結して張設したことを特徴とする、防護柵。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項において、スパンの両側の支柱の塔部間に複数の吊りロープを配置して最上位の横ロープを斜め上方へ吊り上げたことを特徴とする、防護柵。
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