JP6550185B1 - ポケット式落石防護網における支柱、上段横ロープ及び吊りロープ - Google Patents

ポケット式落石防護網における支柱、上段横ロープ及び吊りロープ Download PDF

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Abstract

【課題】落石防護施設として整備されるポケット式落石防護網について、開口部を確保する支柱は、落石の直撃を受けて破損する可能性は高い。そのような現場においては、落石の直撃を避けるための措置として、支柱の設置位置や配置間隔を検討する必要がある。【解決手段】複数の支柱と、該支柱の立設状態を支持する支柱吊りロープと、支柱間に架設され斜面と間に開口部を形成する上段横ロープと、網部と、を備えた従来型のポケット式落石防護網に対して、上段横ロープを吊持するよう連結された横ロープ吊りロープを更に備えたポケット式落石防護網。【選択図】図1

Description

本発明は、ポケット式落石防護網に関して、落石の開口部を確保すると同時に落石による衝撃を受け止める支柱、上段横ロープ及び吊りロープの設置に関するものである。
斜面の落石対策としては、落石の発生源での落石発生を防止する落石予防と発生した落石を待ち受けてその運動を止めたり、下方または側方に誘導する落石防護があり、それぞれを目的に斜面等に設置される施設が落石予防施設であり、落石防護施設である。
落石防護施設の一つとして、ポケット式落石防護網がある。これは、斜面下方をワイヤロープと金網で形成された網部材で覆うとともに、斜面上方からの落石を取り込むための開口部(ポケット)を設けるものである。この開口部から取り込んだ落石を斜面と網部に挟まれた空間を通じて下方へ誘導するものである。落石が飛び越えずに捕捉されるように所定の高さを確保するため複数の支柱が設置され、該支柱頂部付近に架設した上段横ロープと斜面の間が開口部となる。この支柱を斜面上方から支えるのが支柱吊りロープであり、図8に示すとおりである。
前記支柱は、一般的に同一等高線上に3m程度の間隔で設置されるが、落石の大きさに対して、設置間隔が比較的小さいため、落石の直撃を受けて破損する場合がある。そのような現場においては、支柱の設置位置や支柱構造を見直す場合がある。また、支柱が破損する災害が発生した場合、原形復旧を基本にするが、復旧後再度の落石の直撃を避けるための措置が困難な場合がある。
ポケット式落石防護網の施設の補強に関しては、ロープの補強によって衝撃エネルギーの吸収効率を高める発明(特開2016-121481号)や支柱の嵩上げ構造に関する技術(特5706990号)の提案はある。また、ポケット式落石防護網には、高エネルギー吸収防護網(「落石対策便覧」p91)があり、支柱間隔を大きくする工法もある。
特開2016−121481号公報 特5706990号公報
公益財団法人日本道路協会 「落石対策便覧」平成29年12月
解決しようとする課題は、落石防護施設としてのポケット式落石防護網について、経済性を配慮した機能向上を図るものであり、開口部を確保する支柱と該支柱を吊持する吊りロープ及び支柱が支持する上段横ロープに関して、落石エネルギーの分散・吸収を図りつつ、支柱の配置間隔を拡幅変更しうるポケット式落石防護網であり、この方法は、ポケット式落石防護網の新設工事の設計の際にも活用できるものである。
ポケット式落石防護網であって、
斜面に設けられた基礎部で軸支され立設する複数の支柱と、
該支柱が設置された地山の上方斜面の固定部に掛止された一方端と前記支柱の上部で連結された他方端とを有し、該支柱の立設状態を吊持する支柱吊りロープと、
両端を異なる固定部に掛止され、中間部において前記複数の支柱間に架設する上段横ロープと、
該上段横ロープと斜面との間に形成される開口部から受け入れた落石を受け止める、前記上段横ロープから垂下する複数の縦ロープと該複数の縦ロープに連結された複数の横ロープと該複数の横ロープ若しくは縦ロープに張設された金網とを備えた網部と、
前記上段横ロープが設置された地山の上方斜面の固定部に掛止された一方端と前記上段横ロープを吊持するよう連結された他方端とを有する横ロープ吊りロープと、
を備えたポケット式落石防護網。
前記のポケット式落石防護網であって、
上段横ロープの自重及び前記網部の重量によって上段横ロープに生じる荷重と横ロープ吊りロープの張力との合力の方向が前記支柱の長手方向になるように該横ロープ吊りロープの張力を設定したポケット式落石防護網。
前記のポケット式落石防護網であって、
前記の荷重又は前記の合力を上段横ロープの単位長さ当りに換算し、該上段横ロープの単位長さ当り作用する力と該上段横ロープに働く水平方向引張力とから算定される支点間のカテナリー曲線を、支柱間において前記上段横ロープが鉛直方向又は前記合力の作用する方向に描く曲線として、支柱、上段横ロープ若しくは横ロープ吊りロープの設計に用いたポケット式落石防護網。
従来式の支柱と支柱吊りロープと上段横ロープと網部とからなるポケット式落石防護網について、前記の荷重及び前記の開口部のクリアランスを変えることなく、前記の水平方向引張力を所定値とし、支柱間を拡げる新たな支柱間隔と支柱高さを有し、本発明の横ロープ吊りロープを備えたポケット式落石防護網。
本発明に係る横ロープ吊りロープを備えたポケット式落石防護網の設計の方法であって、
前記の合力の単位長さ当りに作用する力を算出若しくは設定するステップと、
前記の水平方向引張力を算出若しくは設定するステップと、
前記単位長さ当りに作用する力と前記水平方向引張力とからカテナリー曲線を算出するステップと、
を備えた支柱間の支柱間隔、支柱高さ若しくは支柱構造を設計する方法。
従来型のポケット式落石防護網の開口部を形成する支柱及び上段横ロープの設置に対して、設計外力を見直すことなく、支柱への落石の直撃の可能性を減じるため、支柱の設置間隔を広げることができる新たなポケット式落石防護網を提供する。この新たなポケット式落石防護網に加えられた構成の横ロープ吊りロープは、開口部の上限となる上段横ロープを直接吊り上げることによって、該ロープの懸垂を抑制するとともに、捕捉した落石によって上段横ロープに加わる衝撃力を負担する。本発明では、前記横ロープ吊りロープについて、合理的な張力の設定方法や該横ロープ吊りロープが加わることによる新たな支柱の配置、高さ及び上段横ロープの張力などの設計によるポケット式落石防護網を提示するものである。
図1は、本発明に係る横ロープ吊りロープを備えたポケット式落石防護網に関する説明図である。(実施例1、実施例2) 図2は、本発明に係るポケット式落石防護網の正面図及び連結金具等を示す説明図である。(実施例1、実施例2) 図3は、上段横ロープ及び横ロープ吊りロープの説明図である。(実施例2) 図4は、上段横ロープにかかる合力方向の説明図である。(実施例2) 図5は、カテナリー曲線及び該曲線の上段横ロープへの適用の説明図である。 図6は、上段横ロープが支点を失った場合の説明図である(実施例3、実施例4)。 図7は、横ロープ吊りロープを有するポケット式落石防護網の嵩上げに関する説明図である(実施例4、実施例5)。 図8は、従来型のポケット式落石防護網の一般図である。 図9は、ポケット式落石防護網の支柱の説明図ある。
ポケット式落石防護網1においては、図8に示すように支柱2と上段横ロープ3によって、落石12の入り口となる開口部(ポケット)13を設ける。一般に支柱は、斜面の等高線上を一定の間隔で設置され、その高さは、想定される落石の大きさ、跳躍量を勘案して、3m〜5m程度である。支柱は、図9に示すように、斜面に設けられた基礎部15で軸支され、支柱の柱部21上部で連結されている支柱吊りロープ41の張力によって、斜面に対して略90度に立設されている。支柱は、頂部付近で上段横ロープ3と連結され、開口部を形成している。支柱及び上段横ロープから垂下する縦ロープ51は、横ロープ52及び金網53を連結し、斜面下方に形成された網部5を構成し、前記開口部から受け入れた落石を受け止め、衝撃を吸収し、網部下方へ誘導する。
本発明における開口部13のクリアランス14とは、図4に示すように斜面11と上段横ロープ3間の間隔であり、落石12の飛躍等を勘案し、捕捉できるクリアランスとしなければならない。本発明における支柱吊りロープ41とは、前記のように支柱と連結することによって、支柱を吊持するロープであり、横ロープ吊りロープ42とは、図4に示すように上段横ロープと連結することによって、上段横ロープを吊持するロープである。これらの2種類の吊ロープと上段横ロープは、開口部のクリアランスを確保し、その開口部で落石を捕捉し、網部に衝突した落石の衝撃エネルギーを吸収する役割を担う。
本発明におけるロープとは、ワイヤロープであり、各種ロープを掛止する固定部16とは、地山11への定着する役割を担うアンカーと巻付けグリップ等(図2(5))の端末処理35されたロープを掛止する取付金具を備える(図面は省略)ものである。本発明における基礎部15は、図9に示すように支柱2を立設するように斜面11に設けられ、地山への定着する役割を担うアンカーと支柱柱部21の下部で柱部を軸支する回転軸と軸受け部とを備える。
本発明におけるカテナリー曲線とは、懸垂曲線とも呼ばれる曲線であって、2支点間に一定の張力をもって架設された線材について、以下の仮定で得られる理論曲線であり、送電線、橋梁架設ケーブルなどの設計に利用されている。
(1)線材は、2支点で支持されている。
(2)線材には、単位長さ当たり一定の荷重(重力)が作用する。
(3)線材には、一定の水平方向張力が作用する。
(4)線材には、曲げ抵抗はない。
本発明において、上記曲線を利用するにあたって、以下の条件を前提とする。
(1)支柱2頂部付近に支点を有し、隣接する支柱間を対象とする。
(2)ポケット式落石防護網1の上段横ロープ3を上記曲線の対象線材とする。
(3)上段横ロープには、一定の水平方向張力が作用する。
(4)上段横ロープの自重、該上段横ロープに垂下する縦ロープ51、該縦ロープに連結されている横ロープ52及び金網53に掛かる重力は、上段横ロープの単位長さ当たりに作用する。
(5)一端が上方斜面の固定部16に掛止され、他端が前記上段横ロープに連結されている横ロープ吊りロープ42がある場合、該ロープの張力と前記単位長さ当たりに作用する荷重との合力は、合力方向に単位長さ当たりに作用する。
(6)上段横ロープの曲げに対する抵抗は(4)、(5)を除き、考慮する必要はない。
(7)上段横ロープに作用する引張力による弾性変形は懸垂曲線に影響しない。
以下に、カテナリー曲線に関して、本発明で用いる主な記号を下記すると共に図5に示し、数1には、線材(上段横ロープ3)の単位長さ当たりに作用する力が重力のみで支点が同一高さの場合の基本的な関係式を示す。なお、数1に示すcosh、sinhは、一般に双曲線関数と呼ばれる関数であって、その定義等は省略する。
(x,y):xを支点間方向、yを鉛直上向き方向とする図5(2)の座標系
:線材(上段横ロープ3)への張力の水平方向成分
w:線材の単位長さ質量(上段横ロープ及び網部53の単位長さ質量)
g:重力加速度、w・g(以下、数式上の・若しくは×は、積を表す。)で重量を示す。
f:上記「0020」(5)の合力
a:カテナリー定数(「数1」(5))と呼ぶ。
l:線材(上段横ロープ)の最低点と支点(支柱2頂部)までのx方向長(支点高さが同じ場合、半支点間長)
s:線材(上段横ロープ)の曲線長(Sは、x方向長さlの場合の曲線長)
L:支点間長(支柱間長さ)
h:弛度(線材(上段横ロープ)の最低点と最高点である支点との高さであるy方向長の差)
R:支点(支柱頂部)での反力(線材に対して上方に作用する力)
tanθ:θは曲線の傾斜角度で、tanθはdy/dx、θは支点での傾斜角度
Figure 0006550185
図1に示すように、2本の支柱2に支持された上段横ロープ3は、該支柱間において、横ロープ吊りロープ42に吊りロープ連結部33で吊持されている。その連結部は図2に示すように3方クリップ34によって連結されている。なお、網部5における横ロープ52及び縦ロープ51の連結に関しては、図2に示す4方クリップを用い、端部の横ロープと縦ロープの連結については、3方クリップ若しくは端末処理されたロープを用い、金網53と横ロープ若しくは縦ロープについては、ロープと金網を螺旋状コイルで連結する結合コイル(図面省略)を設けている。横ロープ吊りロープと縦ロープの規格が同じ場合は、一つのロープを用いてもよい。この場合の上段横ロープに設置する金具には、吊りロープと縦ロープにおける設置角度変化による曲がりを考慮しなければならない(図面省略)。
図4に横ロープ吊りロープ42に吊持された上段横ロープ3の側面方向からの形状を示している。図4の側面形状で明らかなように、横ロープ吊りロープが無い場合、鉛直方向に懸垂する上段横ロープに対して、横ロープ吊りロープは、斜面上方に吊り上げることができる。
斜面上方で発生した落石12が開口部13から突入し、前記網部5に衝突した落石の衝突エネルギーは、金網53、縦ロープ51及び横ロープ52で構成する網部においてその衝突面を含む変形による吸収エネルギー、衝突によって固定部に掛止された上段横ロープ3を含む横ロープ52に作用する弾性変形等による吸収エネルギー、支柱の傾きによって加わる支柱吊りロープの弾性変形等による吸収エネルギーによって、その衝撃を吸収している。なお、支柱に加わる軸力(圧縮力)の弾性変形による吸収エネルギーは、ロープ等の変形エネルギーと比較して、無視できる程度とされている。このような従来型のポケット式落石防護網に対して、本発明の横ロープ吊りロープ42については、縦ロープ及び上段横ロープからの衝撃力が斜面上方の固定部と横ロープ吊りロープ連結部間の張力として作用し、その弾性変形等のエネルギーによって、落石の衝突エネルギーの一部は吸収される。従って、従来の落石の衝突エネルギーが更に分散、吸収される。また、横ロープ吊りロープは、上段横ロープを斜面上方に吊り上げるため開口部クリアランス確保の役割をも有する。
図2に示す横ロープ吊りロープ42に取付けられたターンバックル43は、通常のもので胴部の回転によって両端部の位置を変化させる張力調整装置で、斜面固定部16と横ロープ吊りロープ連結部33間の曲線長を変化させることによって、該吊りロープの張力を調整することができる。なお、ターンバックルの位置は、上記横ロープ吊りロープの法線上、いずれの位置であってもよい。
図3に示す上段横ロープ3に作用する鉛直方向の力は、上段横ロープの自重及び網部5によって生じる荷重を模式化したもので、斜め上方への力が横ロープ吊りロープ42の張力である。本例においては、図3に示すように、前記鉛直方向の力と斜め上方への合力の方向が支柱柱部21の長手で基礎部の方向になるように横ロープ吊りロープの張力をターンバックル43によって調整するものである。
仮に、前記合力によって、図4に示すD区間に上段横ロープが位置した場合、上段横ロープの支点である支柱頂部においては、合力によって、支柱基礎部方向の他αに示す方向に力は作用し、支柱2の立設角度を維持するためには、この力に対向する引張力を支柱吊りロープ41が負担することになる。この状態は落石12が網部に衝突した場合においても影響を受け、衝撃力の集中を避け、出来るだけ分散して負担を図る意味で望ましくない。
一方、図4に示すU区間に上段横ロープが位置した場合、横ロープ吊りロープから上段横ロープに作用する力によって、支柱頂部に図4のβに示す斜面上方への力が作用し、基礎部15に軸支された支柱の立設角度を維持できなくなる。同時に、衝撃力が加わった場合、前記とは逆に横ロープ吊りロープの負担が大きくなる。
本発明のように合力の方向が支柱の長手の場合、上段横ロープから支柱へ作用する力は、全て支柱に圧縮力として基礎部に作用し、斜面からの反力によって釣合状態を維持できる。落石による衝撃力が加わった場合においても、支柱吊りロープ及び横ロープ吊りロープにバランスよく衝撃荷重の負担が分散される。
表1は、本願請求項3の発明によるポケット式落石防護網設計に係る基本的な数量計算例である。数1のカテナリー曲線の基本式に基づいて、水平方向に一定の張力が作用する上段横ロープ3に対して、単位長さ当たりに鉛直方向の力(重力)が作用する場合と本発明に係る前記合力が作用する場合を比較したものである。該上段横ロープを備えたポケット式落石防護網1に関しては、設計の条件として、40m程度の高さから直径70cm程度の落石への対応の設定として、上段横ロープの初期張力を10,000N(1トン程度)とし、単位長さ当たりの鉛直方向荷重(網部5の荷重)は、0.7N/mm(70kg重/m程度)としている。
本例において、前記合力が作用する場合としては、本願請求項2の発明におけるポケット式落石防護網としている。従って、横ロープ吊りロープ42の引張力は、斜め上方45度の方向からとし、その大きさを単位長さに換算するとw×g×sin(45°)としている。前記合力については、その方向を支柱長手方向の斜め下方となり、その大きさはf=w×g×cos(45°)≒0.71×w×gとなる。
Figure 0006550185
表1の弛度h、曲線長S、曲線傾きθ、支点反力Rは、その方向を曲線の懸垂面上とするものであり、表1(2)の場合は鉛直面上であり、図5(2)に曲線と数値((l,h)、s)を示す。表1(3)の場合は合力の方向の面上の数値計算例である。図6の(1)正面図及び(2)の側面図は、表1(2)の支点間長Lが3.0mと12.0mを実線で示し、表1(3)の支点間長Lが12.0mを点線で示したものである。支間長12.0mで支柱吊りロープのみ場合は、上段横ロープは鉛直方向に支柱頂部から約1.3mの弛度hを有する状態である。これは、落石の激突等によって中間支柱が失われた場合が想定され、支柱の重量が上段横ロープに作用した場合更に弛度hは大きくなる。一方で、横ロープ吊りロープを備えた場合、図6では、上段横ロープの中間部の3箇所に横ロープ吊りロープを設けているが、表1の計算上は上段横ロープに均等に単位長さ当たりに吊りロープの引張力が作用するとして算出し、12.0mで合力方向に約40.0cmの弛度hの軽減が見られる。支点反力Rに関しても、表に示すような軽減が確認できるが、その力の方向からは、支柱吊りロープにかかる張力を横ロープ吊りロープが負担する効果が高いと考えられる。
本願の請求項4の「請求項1の支柱と支柱吊りロープと上段横ロープと網部とからなるポケット式落石防護網について、」とは、横ロープ吊りロープ42を備えていない従来型のポケット式落石防護網を指し、「請求項2の荷重及び請求項1の開口部のクリアランスを変えることなく、」とは、前記従来型で設置されたポケット式落石防護網について、開口部のクリアランスや網部の構成を変えないことであり、落石12等に関する外力設定を変えないことと同義である。「請求項3の水平方向引張力を所定値とし、支柱間を拡げる新たな支柱間隔と支柱高さを有し、請求項1の横ロープ吊りロープを備えた請求項1若しくは請求項2のポケット式落石防護網。」とは、本発明の横ロープ吊りロープを備えた支柱間を拡げる新たな設定のポケット式落石防護網のことである。これは、災害などで落石により支柱が損傷した場合の災害復旧工事や落石による支柱損傷が予想される新設工事の場合に、従来型のポケット式落石防護網の代替の工法として提案するものである。実施例4及び実施例5においては、上段横ロープに働く水平方向引張力に関する所定値として、前記の従来型で設置されたポケット式落石防護網における上段横ロープに働く水平方向引張力を変えることなく用いている。また、前記合力については、その方向を支柱長手方向の斜め下方とし、請求項2且つ請求項3のポケット式落石防護網を実施例としている。
表2には、傾斜度45度の斜面上に斜面に直角方向に長さ4.0mの支柱2が設置された実施例を示す。落石12等の条件は「0028」と同様である。支柱頂部に架設している上段横ロープは、横ロープ吊りロープ42を連結していない2支点間の長さが3.0mの場合は、表2の最下段に示しており、算定条件としては表2の条件2である。該条件2における開口部クリアランス14である約3.94mを基準として、上段横ロープの単位長さ荷重を変えることなく、支柱の長手方向に合力が作用するような張力を有する横ロープ吊りロープを設けた条件1で支柱間長を6.0m、9.0m及び12.0mについて、クリアランス及び必要な嵩上高さの算出例を示している。
Figure 0006550185
図6(1)、(2)に、例えば支間長3.0m間隔の支柱の配置に対して、支間長12.0m区間で中間支柱を全て失った場合を示したが、模式的に6.0m、9.0m、12.0m区間で同様に中間支柱を失った場合の示すのが図7(1)である。
このような状態において、開口部のクリアランスを確保する支柱の嵩上げ高に関して、失った中間支柱を挟む両端の支柱を同じ高さの嵩上げの状態を示すのが図7(2)である。図7(2)のL=6.0mに対して、支間長Lが6.0mから12.0mの場合の数値計算例が表2である。
表2のtanθは、数1に示す支点における傾きであり、該傾きtanθの影響で上段横ロープの水平引張力によって支点で下方へ働く力と上段横ロープの単位長さに作用する力によって支柱頂部から基礎部方向に作用する力は、数1に示す支点反力Rである。この支点反力Rは、施設整備時の初期の荷重として、落石衝突時の衝撃による力を加えて、支柱を設計する必要がある。
また、表2には曲線長Sを算出している。上段横ロープに対して、従来型における水平力と同じ水平力が作用する場合に、支柱間隔の拡がりに応じて、必要となるロープの延長を示す概算値となり得る。
このように、ポケット式落石防護網における上段横ロープ、吊りロープ及び支柱に関する様々なバリエーションに対して、カテナリー曲線の活用は、論理性を有し簡易であり、有用性は高いが、前記の仮定を伴うものであり、弾性変形の影響、熱膨張の影響、曲げ抵抗の影響等不確定な要素を伴うものであり、種々の設定に関して余裕高や安全率等の導入との併用が望ましい。
実施例5は、図7(3)に示すように、一方のみ嵩上げした状態を実施例としている。諸条件は、実施例4と同様である。表3には、支点長Lが3.0m〜12.0mに対応する計算例を示す。表3の最下段に示す支点間長3mは、表2と同様であり、従来型による基本数値を示している。支点間距離6m〜12mでは、図7(3)に示すように、一方の支点高さを変えることなく、他方の支点の嵩上げで対応するように設定した計算例を示している。支点間長6.0mで他方の支点は、447.5mmの嵩上げが必要となる。また、支点間長さ9m及び12mの場合、それぞれの嵩上げ高さは1352.4mm、2734.8mmとなり、実施例1と比較して大きな嵩上げが必要となる。
Figure 0006550185
本願請求項3及び請求項5は、支柱に架設される上段横ロープ3の描く形状がカテナリー曲線によって近似されるとの想定に基づくものであり、実施例3は、請求項3の具体的な設計例の一部を示すものであり、請求項5の方法による設計例を示すものでもある。また、実施例4及び実施例5は、請求項4に係る発明の実施例として、請求項3のポケット式落石防護網を例示し、且つ請求項5の方法を用いたものである。
数1に基本式を示したカテナリー曲線は、理論的に数2(1)に示すマクローリン級数による展開が可能であり、例えば数2(2)に示す2次近似によって、放物線近似が可能である。本発明は、このようなカテナリー曲線の近似式による前記弛度h、伸びS、嵩上げ高等の算出に関しても、カテナリー曲線による発明に含まれるものとする。
Figure 0006550185
1 ポケット式落石防護網、11 地山若しくは斜面、12 落石、13 開口部、14 クリアランス、15 基礎部、 16 固定部、
2 支柱、21 柱部、22 柱部頂部、23 上段横ロープ連結部、24 吊りロープ連結部(柱)
3 上段横ロープ、31 上段横ロープ固定部、32 縦ロープ連結部、33 吊りロープ連結部(ロープ)、34 3方クリップ、35 ロープ端末処理
4 吊りロープ、41 支柱吊りロープ、42 横ロープ吊りロープ、43 ターンバックル
5 網部、51 縦ロープ、52 横ロープ、53 金網、54 4方クリップ

Claims (5)

  1. ポケット式落石防護網であって、
    斜面に設けられた基礎部で軸支され立設する複数の支柱と、
    該支柱が設置された地山の上方斜面の固定部に掛止された一方端と前記支柱の上部で連結された他方端とを有し、該支柱の立設状態を吊持する支柱吊りロープと、
    両端を異なる固定部に掛止され、中間部において前記複数の支柱間に架設する上段横ロープと、
    該上段横ロープと斜面との間に形成される開口部から受け入れた落石を受け止める、前記上段横ロープから垂下する複数の縦ロープと該複数の縦ロープに連結された複数の横ロープと該複数の横ロープ若しくは縦ロープに張設された金網とを備えた網部と、
    前記上段横ロープが設置された地山の上方斜面の固定部に掛止された一方端と前記上段横ロープを吊持するよう連結された他方端とを有する横ロープ吊りロープと、
    を備えたポケット式落石防護網。
  2. 請求項1のポケット式落石防護網であって、
    上段横ロープの自重及び網部の重量によって上段横ロープに生じる荷重と横ロープ吊りロープの張力との合力の方向が前記支柱の長手方向になるように横ロープ吊りロープの張力を設定したポケット式落石防護網。
  3. 請求項1若しくは請求項2のポケット式落石防護網を設計する方法であって、
    上段横ロープの自重及び網部の重量によって上段横ロープに生じる荷重又は該荷重と横ロープ吊りロープの張力との合力を上段横ロープの単位長さ当りに換算し、該上段横ロープの単位長さ当り作用する力と該上段横ロープに働く水平方向引張力とから算定される支点間のカテナリー曲線を、支柱間において前記上段横ロープが鉛直方向又は前記合力の作用する方向に描く曲線として、支柱、上段横ロープ若しくは横ロープ吊りロープを設計する方法。
  4. 請求項1の支柱と支柱吊りロープと上段横ロープと網部とからなるポケット式落石防護網について、上段横ロープの自重及び網部の重量によって上段横ロープに生じる荷重及び請求項1の開口部のクリアランスを変えることなく、該上段横ロープに働く水平方向引張力を所定値とし、支柱間を拡げる新たな支柱間隔と支柱高さを有し、請求項1の横ロープ吊りロープを備えた請求項1若しくは請求項2のポケット式落石防護網を設計する方法。
  5. 請求項1若しくは請求項2のポケット式落石防護網設計する方法であって、
    上段横ロープの自重及び網部の重量によって上段横ロープに生じる荷重と横ロープ吊りロープの張力との合力の単位長さ当りに作用する力を算出若しくは設定するステップと、
    前記上段横ロープに働く水平方向引張力を算出若しくは設定するステップと、
    前記単位長さ当りに作用する力と前記水平方向引張力とからカテナリー曲線を算出するステップと、
    を備えた支柱間の支柱間隔、支柱高さ若しくは支柱構造を設計する方法。
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