JP2014218784A - 防護柵における支柱下端の保全構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支柱下端をガードブロックで囲繞し、ガードブロックの底面をコンクリート基礎の天端に固着するとともに、ガードブロックの上面の傾斜面を通じて雨水等を排水する。
【選択図】図1
Description
既設防護柵の老朽化に伴い、高強度の新しい防護柵との交換が望まれているが、延長が膨大なうえ、単位長さ当たりの建設コストが既設防護柵の10倍以上に達することから、既設防護柵の構造要素を活かした延命化技術の提案が望まれている。
殊にW/C比が高いコンクリート基礎の天端を鏝仕上げする際に支柱下端周面のコンクリート天端が硬化中に窪みになり易いために、支柱下端の腐食が進行し易い。
既設防護柵の構造要素を活かして延命化を図るうえで、金属製の支柱下端の腐食の問題を解決する必要がある。
<1>建て替えが求められている既設防護柵の総延長が膨大なうえ、単位長さ当たりの建設コストが既設防護柵の10倍以上に達することから、危険性が予知されながら、防護柵の建て替えが順調に進んでいないのが実状である。
<2>既設防護柵の強度に最も重要な支柱下端の錆を放置すると、錆が進行して鋼材の肉厚を著しく薄くしたり穴空きができたりする。
支柱上部は健全であるにもかかわらず、最も強度が要求される支柱下端が腐食すると断面欠損を生じ、既設防護柵の弱体化が増々進んでいく。
<3>現場で混練したモルタルをコンクリート基礎の天端に盛り付けて天端に排水勾配を付ける方法が考えられるが、追加施工に多くの労力と時間を要するだけでなく、後付けしたモルタルと天端の接着性がよくないためにその境界面にできた隙間を通じて支柱下端に雨水等が浸水して滞水するといった多くの問題が生じる。
<4>上記した現状において、既設防護柵の構造要素を活かした低コストで実効性の高い延命化技術の提案が望まれているが、未だ好適な技術の提案が成されていない。
本願の第2発明は、前記第1発明において、支柱下端を支柱から離隔させてガードブロックで囲繞し、支柱下端とガードブロックの間に形成される隙間を緩衝シール材で封止したことを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造を提供する。
本願の第3発明は、前記第1または第2発明において、ガードブロックの上面が傾斜面であることを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造を提供する。
本願の第4発明は、前記第1〜3発明の何れかにおいて、ガードブロックの固着手段が接着剤であり、コンクリート基礎の天端の不陸を前記接着剤で吸収してガードブロックを天端に固着したことを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造を提供する。
本願の第5発明は、前記第1〜4発明の何れかにおいて、ガードブロックが変形しない硬質素材(コンクリート、モルタル、プラスチック樹脂等)または可撓性を有する半硬質素材(ゴム、ウレタン樹脂等)であることを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造を提供する。
<1>支柱の下端をガードブロックで囲繞してコンクリート基礎の天端に固着することで、浸水による支柱下端の腐食および断面欠損の進行を効果的に抑制することができる。
したがって、防護柵が老朽化した既設防護柵である場合、既設の支柱を活かし低コストで実効性の高い延命化を図ることができる。
<2>支柱下端に囲繞させたガードブロックを支柱から離隔させ、その隙間を緩衝シーリング材で封止したことで、支柱の変形時にガードブロックの破壊を防止できるだけでなく、支柱の変形後においても高い止水性を確保することができる。
<3>ガードブロックの傾斜面を通じて排水できるため、ガードブロック上に滞水することがない。
<4>接着剤を介してガードブロックを天端に固着すると、接着剤がコンクリート基礎の天端の不陸を吸収して高い止水性を確保することができる。
<5>ガードブロックを品質管理された工場で製作することにより、ガードブロックに十分な強度と靱性を付与できるので、運搬中や取扱い時にガードブロックを落下させたり物にぶつかっても容易に壊れることがない。
<6>ガードブロックを取扱性に配慮した重量で複数に分割することで、分割体の運搬性と取扱性がよくなるだけでなく、現場における支柱下端へのガードブロックの設置作業性もよくなる。
図1に防護柵を構成する支柱10の下端(地際)の斜視図を示す。
本発明では、コンクリート基礎20に間隔を隔てて立設した複数の支柱10と、隣り合う支柱10間に横架した防護ネット(図示を省略)とを具備した防護柵を前提とする。
支柱10の下部はコンクリート基礎20に埋設してあり、コンクリート基礎20の天端21は水平に成形してある。
防護ネットは複数のロープ、金網等の一種または複数種からなる公知のネット状物である。
複数のロープは支柱10間に多段的に横架したもの、リング状またはループ状にして横架したものを含む。また防護ネットの素材は金属製に限定されず樹脂製、繊維製であってもよい。
支柱(端末支柱と中間支柱を含む)10は金属製の支柱で、本例ではウェブ11の両端に一対のフランジ12,12を連設したH形鋼である場合について説明する。
既設の支柱10の基部の発錆による強度減少を抑制して防護柵の延命化を図るため、支柱10の下端には該支柱10を囲繞可能なガードブロック30を使用する。
図1,2を参照して説明すると、ガードブロック30は支柱10を囲繞可能な工場製作のブロック体で、コンクリート基礎20の天端21に接面する平らな底面31と、中央部から裾部へ向けて躯体の厚さを漸次薄くしてその上面を下り勾配に形成した傾斜面(テーパ面)32とを有する。
またガードブロック30は中空構造であっもてもよい。
ガードブロック30の平面形状は図示した矩形に限定されず、円形、楕円形等の適宜の形状を適用できる。
支柱10の側方から後付けするためガードブロック30は複数に縦割りしてあるが、円形支柱などでは円弧上や円筒を分割したものでもよい。
本例ではガードブロック30を二つ割りにした一対の分割体30A,30Bで構成する形態を示し、その対向面に支柱10を構成する一対のフランジ12,12を収容可能な切欠33,33を形成している。
ガードブロック30の分割数は二つに限定されず、支柱10の側方から囲繞可能に組み付けできれば適宜の分割数でよい。
ガードブロック30の素材は取扱性、耐久性、および加工性に優れた素材であれば特に制約がなく、変形しない硬質素材(コンクリート、モルタル、プラスチック樹脂、合成樹脂等)、または可撓性を有する半硬質素材(ゴム、ウレタン樹脂、発砲スチロール等)を使用できる。
衝撃荷重による割れや破壊に対する靱性を確保するために、コンクリートまたはモルタルに補強材(鋼繊維、ガラス繊維、高分子繊維、ステンレス鋼材等)や混和剤(減水剤、消泡剤等)等を混入することもできる。
ガードブロック30を支柱10に接触させて配置すると、支柱10の変形時にガードブロック30が損傷するおそれがある。
そこで図4に拡大して示すように、ガードブロック30を支柱10に囲繞したときに、ガードブロック30が直接支柱10に接触しないようにガードブロック30と支柱10との間に隙間Gを設けてある。
ガードブロック30の底面31とコンクリート基礎20の天端21間の止水性を確保するには、隙間のない状態でガードブロック30の底面31を天端21に固着する必要がある。
ガードブロック30の固着手段としては、接着剤またはボルト止め等を適用できる。
本例では止水性、耐候性、および接着性に優れた公知の接着剤40を用いて固着する形態について説明する。
ガードブロック30は支柱10の変形の影響を受けない距離だけ支柱10から離間して配置される。ガードブロック30と支柱10との間に形成された隙間Gを通じた浸水を阻止するため、隙間Gの全域を緩衝シーリング材50で封止する。
緩衝シーリング材50は緩衝機能とシール機能を併有したシーリング材であり、シリコン系樹脂等の公知の素材または、耐候性、耐熱耐寒性に優れたフッ素混入シーリング材等を適用できる。
したがって、緩衝シーリング材50には適切な粘性を有するものを使用する。
つぎにガードブロック30の取付方法について説明する。
支柱10の下端に錆が生じている場合は、錆を取り除き、防錆塗料を塗布する等の補修を施しておく。
公知の方法でコンクリート基礎20の天端21に付着した接着剤の付着性能を低下させる異物を除去しておく。
図1,3に示すように、支柱10の左右両側から分割体30A,30Bを嵌め込んで支柱10の下端にガードブロック30を設置する。
このとき、コンクリート基礎20の天端21、またはガードブロック30の底面31に予め接着剤40を塗布しておき、ガードブロック30の底面31を天端21に固着する。分割体30A,30Bの外方端部の突合せ端面34,34の間を接着剤等により連結して一体化する。
天端21に固着したガードブロック30と支柱10との間に形成された連続した隙間Gの全域に緩衝シーリング材50を充填して封止する。
図4に示すように、滞水を回避するため、緩衝シーリング材50の露出する上面をガードブロック30の上面から凸状に盛り上がるようにしておく。
緩衝シーリング材50の上面を盛り上げるには、例えば隙間Gの全域に緩衝シーリング材50の充填した後に、時間をおいて先行充填した緩衝シーリング材50の上面に沿って緩衝シーリング材50を追加充填することで容易に行える。
ガードブロック30は現場製作ではなく、工場製作であるので品質にバラツキがなく高品質であり、数十年単位で長期間に亘り遮水作用および排水作用を保証することができる。
さらにガードブロック30が運搬と取扱に配慮した重量となるように、複数に分割してあるので、作業の省力化と効率化を図ることができる。
雨水等がガードブロック30に降り注いだ場合、雨水は傾斜面32の勾配によりガードブロック30の周辺へ排水されて滞水することがない。
さらに支柱10を伝って滴下した雨水は、ガードブロック30の隙間G内に密着して介挿した緩衝シーリング材50を経てガードブロック30の傾斜面32へ誘導されて排水される。
したがって、防護柵が既設の場合、支柱10の上部だけでなく下部についても健全性を確保できることから防護柵の弱体化を阻止できる。
防護柵に作用する落石、雪崩、崩落土砂等の荷重が支柱10の曲げ強度を超えると支柱10が変形する。
特に、支柱10下端は曲げモーメントが大きく曲げによる曲率が大きい。
ガードブロック30が支柱10の変形を拘束する構造であると、ガードブロック30がひび割れまたは破壊するおそれがある。
本発明では、支柱10が変形可能なように、支柱10とガードブロック30の間に隙間Gを設けてあり、さらに隙間Gに緩衝シール材50を介挿してあるので、支柱10が変形したときにガードブロック30に大きな荷重が直接作用することがない。
したがって、支柱20が変形してもガードブロック30にひび割れや破壊が生じない。
図5に円形鋼管製の支柱10に適用した他の形態を示す。
本例の説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
本例のガードブロック30でも先の実施例と同様に平らな底面31と、中心部から周囲へ向けて下り勾配の傾斜面32を形成していて、その中心部に支柱10より大径の円形孔35を形成している。
ガードブロック30の平面形状はリング形(環状体)または矩形を呈している。
ガードブロック30を複数に分割して構成することや、ガードブロック30の取付方法は先の実施例と同様であるので説明を省略する。
以上は既設の防護柵を対象とした場合について説明したが、新設の防護柵を対象に行ってもよい。
また支柱10に囲繞させたガードブロック30を支柱10の下端に接面させて、緩衝シーリング材50を省略する場合もある。
20・・・・・・コンクリート基礎
21・・・・・・コンクリート基礎の天端
30・・・・・・ガードブロック
30A,30B・・・ガードブロックの分割体
31・・・・・・ガードブロックの底面
32・・・・・・ガードブロックの傾斜面
33・・・・・・ガードブロックの切欠
35・・・・・・ガードブロックの円形孔
40・・・・・・接着材
50・・・・・・緩衝シーリング材
Claims (5)
- コンクリート基礎に立設した金属製の支柱を具備した防護柵において、
支柱下端を囲繞可能な複数の分割体で構成するガードブロックを使用し、
支柱下端を前記ガードブロックで囲繞し、
支柱下端への浸水を規制できるように、固着手段を介してコンクリート基礎の天端に前記ガードブロックを固着したことを特徴とする、
防護柵における支柱下端の保全構造。 - 請求項1において、支柱下端を支柱から離隔させてガードブロックで囲繞し、支柱下端とガードブロックの間に形成される隙間を緩衝シーリング材で封止したことを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造。
- 請求項1または2において、ガードブロックの上面が傾斜面であることを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造。
- 請求項1乃至3の何れか一項において、ガードブロックの固着手段が接着剤であり、コンクリート基礎の天端の不陸を前記接着剤で吸収してガードブロックを天端に固着したことを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造。
- 請求項1乃至4の何れか一項において、ガードブロックが変形しない硬質素材、または可撓性を有する半硬質素材であることを特徴とする、防護柵における支柱下端の保全構造。
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