JP3810853B2 - 油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤およびその製造方法 - Google Patents

油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤およびその製造方法に関する。詳しくは、揮散性の天然精油や香料などの油状物質をパラジクロロベンゼンに混合した防虫剤や防臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衣類用の防虫剤の一つとしてパラジクロロベンゼンが用いられてきた。このパラジクロロベンゼンは特有の臭気を有し、必ずしも万人が心地よいと感じるものではなく、種々の香料を添加して香調を改良してきた。また、最近では防虫効果の高い物質やパラジクロロベンゼンと相乗的に働き防虫効果を高める成分を混入したパラジクロロベンゼン固形物が提案されている。
【0003】
また、トイレの防臭剤としてパラジクロロベンゼンを球状に打錠成型して、男性便器に投入して用いられたり、便器周辺に吊り下げて用いられている。さら に、防虫剤と同様に特有の臭気をやわらげるために香料を添加したものが提案されている。
【0004】
パラジクロロベンゼンは固結防止剤を含んだフレーク状のパラジクロロベンゼン固形物が製袋され販売されている。従来の製造方法では、この固形物に香料や他の防虫成分などの油状物質を混入せしめるためには、フレーク状または粉砕し粉状にし、該油状物質を添加した後粉砕混合等にて表面に付着させ打錠し製剤化する。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
このため、通常の香料や天然精油の多くは油状物質であるため、従来の方法でパラジクロロベンゼンの0.1重量部を越える量を添加すると打錠により油状物質が滲みだしたり、0.3重量部を越えると錠剤に成型することができなかったりした。これによって液状添加物の添加量は0.3重量部が限界とされてきた。これに対し、特開昭47−29536や特開平2−204402では固形の多孔性薬剤を添加することによって0.3重量部を越える油状物質の添加を可能にしているが使用後に固形状の残渣が残る不具合があった。
【0006】
また、該油状物質の揮散性が高い場合には、保存時に先に揮散してしまった り、使用時にパラジクロロベンゼンの昇華よりも早く揮散してしまい、期待する効果を得ることは出来なかった。
【0007】
本発明者らは上記課題を解決することを目的に鋭意研究した結果、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、パラジクロロベンゼンから油状物質が滲み出すことがなく、製品保存時、及び使用時に油状物質とパラジクロロベンゼンのどちらかが先に消失することなく両者を略均等に揮散させることができ、また、パラジクロロベンゼン製剤が揮散完了した後に固形状の残渣が残らないパラジクロロベンゼン製剤を提供することにある。
【0009】
さらに、防虫かつまたは防臭(芳香)効果を高めるため晶析スピード等を制御し油状物質を略均一に分散保持させることによって、比較的大量の油状物質を製剤中に保持させたパラジクロロベンゼン固形物を用い、かつ、この固形物の製造時、または打錠時に保持剤を添加することによって該油状物質の揮散をコントロールした油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によるパラジクロロベンゼン製剤は、パラジクロロベンゼンと、該パラジクロロベンゼンに略均一に分散された揮散性の油状物質を該パラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度で含有するパラジクロロベンゼン固形物からなるパラジクロロベンゼン製剤であって、該油状物質の揮散を制御する保持剤を該油状物質に対して0.5重量部〜20重量部の濃度で添加することによって、前記パラジクロロベンゼンと油状物質を比均等揮散率40%以内で略均等に揮散させることを特徴とする油状物質を含有している。
【0011】
本発明の一態様によるパラジクロロベンゼン製剤の製造方法は、溶融したパラジクロロベンゼンに該パラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度の揮散性の油状物質と該油状物質に対して0.5重量部〜20重量部の濃度の保持剤を混合し均一に分散させる工程と、前工程で得た混合液を冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤とが略均一な分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、からなる。
また、本発明の他の態様によるパラジクロロベンゼン製剤の製造方法は、溶融したパラジクロロベンゼンに該パラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度の揮散性の油状物質と該油状物質に対して0.5重量部〜20重量部の濃度の保持剤を混合し均一に分散させる工程と、前工程で得た混合液を冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤とが均一になるような分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、からなる。
さらにまた、本発明の一態様によるパラジクロロベンゼン製剤は、溶融したパラジクロロベンゼンに該バラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度の揮散性の油状物質と該油状物質に対して0.5重量〜20重量部の濃度の保持剤を混合し均一に分散させる工程と、前工程で得た混合液を間接冷却装置を用いて晶析速度を1〜15mm / 分の速度で冷却して結晶化させてパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤とが略均一な分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、から製造される。
さらに、本発明の他の態様によるパラジクロロベンゼン製剤の製造方法は、溶融したパラジクロロベンゼンに揮発性の油状物質を混合し均一になるよう分散させる工程と、前工程で得た混合液を冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質を均一になるような分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物の表面に保持剤を付着させる工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、からなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において、パラジクロロベンゼンに混合する油状物質としては特に限定されるものではなく、揮散性を有する油状のものであればよい。好ましくは本発明の性格を活かすことを考慮すると揮散性の高い物質が用いられる。例えば、香料として、ベンズアルデヒド、αーピネン、ゲラニオール、シトロネラール、リナロール、リモネン、メントール、酢酸リナリル、アミルシンナミックアルデヒド、アンスラニン酸メチル、イソオイゲノール、カプロン酸アリル、ゲラニオール、酢酸イソブチル、酢酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、シトラール、デシルアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、酢酸イソアミル、ツヨン、チモー ル、カルバクロール、ヒノキチオール、ビオゾール、アリルイソチオシアネー ト、ブテニルイソチオシアネート、フェニチルイソチオシアネート、トランス−4−メチルチオ−3−ブテニルイソチオシアネート、クロロブタノール、などがあげられる。また、例えば、天然精油として、植物抽出油であるビターアーモンド油、ヒノキ油、ナツメグ油、ゼラニウム油、ラベンダー油、ライム油、ペパーミント油、ベチパー油、スィートオレンジ油、タイム油、チョウジ油、セージ 油、バジル油、ヒバ油などがあげられる。また、動物抽出油として動物抽出物であるムスク、アンバーグリス、シベットなど、また、これらの合成物(例えばアンバーグリス様成分として知られるアンブロオキサイドなど)を適当な溶媒に溶解して精油として用いてもよい。さらに、天然精油抽出物としては、精油中の構成成分である液状成分、固体成分を単独あるいは複数用いてもよい。なお、固体成分のものは、適当な溶媒に溶解させて油状物質として用いてもよい。
【0014】
また、揮散性が低い物質でもごく少量で効果を発揮する物質をパラジクロロベンゼン中に安定して保留させ、パラジクロロベンゼンと均等に揮散させることを目的とした場合においても、本発明を好適に利用することが出来る。例えば、エンペンスリン、アレスリン、レスメトリン、ペルメトリン、エトフェンプロックス、テトラメスリン、フラメトリン、フェノトリン、プラレトリンなどのピレスロイド系の化合物があげられる。また、固体の揮散性物質を適当な溶媒に溶解させた油状物質を用いてもよい。
【0015】
本発明において保持剤として用いることの出来る薬剤は、パラジクロロベンゼン中に略均一に分散されている油状物質を安定に保留させることができれば特に限定されないが、種々の化合物を鋭意検討した結果、図1に示すフタル酸ジアルキルが保持剤として好適に用いられる。
【0016】
Figure 0003810853
R1、R2は同じでも異なっていても良い。R1、R2の炭素数はそれぞれ 1 〜 12程度が好ましい。
【0017】
例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジラウリル、フタル酸デシルイソオクチル、フタル酸ブチルドデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリルなどのフタル酸ジエステル類や2つのエステル基が異なるフタル酸エチルメチルエステル、フタル酸エチルプロピルエステル、フタル酸ブチルオクチルエステルなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
さらに、上記フタル酸ジアルキルと同様に保持効果の高い物質としてトリエチレングリコール誘導体が好ましく、例えばトリエチレングリコールのエステルまたはエーテルがあげられる。トリエチレングリコールとエステルを形成する酸としてギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等があげられる。また、このトリエチレングリコールとエーテルを形成するアルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ベンジルアルコール等があげられる。さらに、またこのトリエチレングリコールの2つの置換基は両方とも同じエステルまたは異なったエステル、両方とも同じエーテルまたは異なったエーテル、またはエステルとエーテルであってもよい。同様にジエチレングリコール誘導体を用いてもよい。
【0019】
その他、保持剤としてはベンジルアルコール誘導体を用いてもよい、ベンジルアルコール誘導体としては、ベンジルアルコール、テトラフルオロベンジルアルコール等の核置換ベンジルアルコールや安息香酸ベンジルやベンジルアセテートのようなエステル誘導体やメチルベンジルエーテルのようなエーテル誘導体、または構造物の一部にベンジル基がある無香性または微香性の化合物がよい。
【0020】
また、保持剤としてはジメチルポリシロキサンやジフェニルポリシロキサンのようなシリコンオイルや液体パラフィンが好適である。
【0021】
本発明において、パラジクロロベンゼンと油状物質を略均等に揮散させることとしては、比均等揮散率が40%以内であることが好ましい。さらに、好ましくは、25%以内である。また、使用の初期、中期、後期を平均した場合は20%以内が好ましい。
【0022】
ここで、比均等揮散率は、次式によって求められる。
【0023】
比均等揮散率(%)=
100−{(残存製剤または固形物中の油状物質濃度÷初期製剤または固形物中の油状物質濃度)×100}の絶対値
すなわち、略均等な揮散とは、比均等揮散率が小さいほど均等であり、パラジクロロベンゼン中の油状物質の含有率が経時的に見てほとんど変化しないことを意味する。
【0024】
本発明における油状物質がパラジクロロベンゼン固形物中に分散されている均一な割合としては、比分散度が15%以内が好ましい。
【0025】
比分散度15%以内とは、固形物の厚さ方向の濃度分布差がほとんどない、あるいは小さいことを意味している。つまり、厚さ方向の上面を含む上層部30%の部分、厚さ方向の下面を含む下層部の30%の部分及びこれらの上層部と下層部の間の中層部30%の部分に含まれる油状物質濃度が固形物全体の油状物質の濃度の平均に対して比分散度15%以内となっている状態を示す。この比分散度が15%を超えるとその超えた部分において油状物質が局在化していることを示しており、具体的には打錠時に滲みだし等が発生しやすい。本発明で得られる該固形物内に比較的多量に油状物質や保持剤を分散保持したパラジクロロベンゼン固形物ではドラムフレーカーなどの間接冷却凝固装置を用いて間接面で晶析させて得られる0.5〜3mm厚程度の薄片状パラジクロロベンゼン固形物となっている。
【0026】
比分散度(%)=
[{(固形物の上層部、中層部、または下層部の油状物質濃度)−(固形物全体の油状物質濃度)}の絶対値÷(固形物全体の油状物質濃度)]×100
なお、本発明のパラジクロロベンゼン製剤に着色剤を含有させることができ、着色する場合、油状物質とともに均一に分散保持させることが好ましく、パラジクロロベンゼン固形物に添加し粉砕打錠成型して着色することもできる。
【0027】
本発明におけるパラジクロロベンゼン製剤中に含まれる該油状物質の濃度はその種類や着色剤の添加の有無、または単一の油状物質を含有させるのかあるいは複数の物質混合した油状物質を含有させるのか、あるいはこのパラジクロロベンゼン製剤の剤型や使用目的によって異なるが0.1重量部〜5重量部程度がよ く、好ましくは0.3重量部〜1.0重量部の範囲がよい。このために製剤に用いるパラジクロロベンゼン固形物に含まれる油状物質の濃度は0.1重量部〜5重量部がよく、好ましくは0.1重量部〜1重量部がよい。
【0028】
本発明における油状物質の揮散を制御する保持剤の濃度は該油状物質の種類や濃度、そして制御したい油状物質とパラジクロロベンゼンの揮散の割合やパラジクロロベンゼン製剤を昇華させた後に残る残渣量にもよるが、該油状物質に対して0.1〜500重量部が好ましい。保持剤の濃度は該油状物質の0.5重量部〜20重量部がさらに好ましい。0.1重量部以下では十分な揮散制御効果はなく、500重量部以上では油状物質の効果が薄れてしまう。
【0029】
保持剤の添加量が多いほど油状物質の揮散が遅くなる、つまり、比均等揮散率が大きくなる傾向があるが、油状物質の揮散性が低い場合はパラジクロロベンゼンを昇華させた後に残渣が多く残るため、これらを加味して添加量を決めればよい。
【0030】
(なお、前記のとおりパラジクロロベンゼン100重量部に対する油状物質濃度が0.3重量部〜1.0重量部である場合の油状物質に対する保持剤濃度0.5重量部〜20重量部とは、パラジクロロベンゼン100重量部に対して換算すると、0.0015重量部〜0.2重量部となる。)
本発明に用いられるパラジクロロベンゼン固形物は必要により、錠剤等の剤型に製剤化され、製剤内部に油状物質を略均一な分散状態で封じ込められたパラジクロロベンゼン製剤として、防虫剤、防虫・防臭剤、防臭剤、防虫・防黴剤などの種々の用途に使用される。
【0031】
本発明における油状物質の揮散を制御する保持剤は、上述の油状物質が略均一に分散したパラジクロロベンゼン固形物の製造工程で添加されても、予め作られた油状物質を略均一に分散したパラジクロロベンゼン固形物の製剤化工程において表面に保持剤を付着させて添加してもよい。
【0032】
さらに、油状物質と保持剤をパラジクロロベンゼン固形物に含有させる方法としては、以下の2つの方法が望ましい。
【0033】
溶融したパラジクロロベンゼンに揮散性の油状物質と保持剤を混合し均一に分散させる工程で、溶融したパラジクロロベンゼンに油状物質と保持剤を別々に添加して溶解または分散させるか、油状物質に保持剤を添加し撹拌したものを溶融したパラジクロロベンゼン中に添加して略均一に分散させてもよい。
【0034】
また、本発明に用いられる冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤を略均一に分散させた固形物を得る工程としては、ドラムフレーカーなどの間接冷却装置を用いて晶析速度を1mm/分から15mm/分の速度で冷却して結晶化させればよい。
【0035】
また、固形物を打錠成型する工程としては、従来のパラジクロロベンゼン単体または微量の添加剤を含有しているパラジクロロベンゼンを打錠するのに用いられている打錠機をそのまま用いられる。
【0036】
上記のように構成された油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤では、まず、油状物質はパラジクロロベンゼン中に略均一な分散状態で保持されてお り、保持剤によって油状物質の揮散が制御されている。
【0037】
そして、パラジクロロベンゼンは一定のスピードで昇華する。また、パラジクロロベンゼンの表面に存在する油状物質は一定のスピードで揮散する。油状物質は、パラジクロロベンゼンの昇華によって一定の割合でパラジクロロベンゼンの表面に露出する。このため、油状物質は通常、パラジクロロベンゼンの昇華の割合より速いスピードで揮散する。これに保持剤が加えられることによって油状物質の揮散が制御され、パラジクロロベンゼンの昇華の割合と近い速度で油状物質を揮散させることができる。この揮散により有効な防虫かつ/または防臭(芳 香)効果を表す。最終的には、パラジクロロベンゼンも油状物質もほぼ同時期に揮散終了し消失する。この時、保持剤等が揮散性のものであれば消失しており、不揮散性または難揮散性であれば残渣として残っている。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例1】
パラジクロロベンゼンをステンレス容器中に99.5kg仕込み、90℃にて溶融させ、そこに油状物質としてタイム油を0.5kg(0.5重量部)と保持剤としてトリエチレングリコールジアセテート30g(0.03重量部)を添加し攪拌し溶解させた。別途、タイム油0.7重量部、トリエチレングリコールジアセテート0.04重量部の濃度に調整したパラジクロロベンゼン溶解液を0.3m2のディップフィードタイプのドラムフレーカーのディップ(底部)に仕込 み、ディップの液面が変わらないように前記溶解液を補充しながら冷却水温度20゜C、ディップ温度65゜C、冷却面での固化時間20秒で上記溶解液を急冷し厚さ方向の平均固体成長速度3.6mm/分で厚さ1.2mmの薄片状パラジクロロベンゼン固形物を調製した。さらに、この薄片状パラジクロロベンゼン固形物を粉砕・打錠し錠剤状のパラジクロロベンゼン製剤を得た。
【0040】
本発明の実施例及び比較例において製造したパラジクロロベンゼン固形物並びにパラジクロロベンゼン製剤の物性・性状について測定・観察した試験結果を表1、表2(実施例1〜4、比較例1)、表3(比較例2〜3、実施例5〜7)、表4(実施例8〜12)、表5(実施例13〜17)へ示す。(詳細な性状については各実施例、比較例において説明した)また、これらの試験結果を基に実施例および比較例の評価を表6へまとめた。
【0041】
なお、測定項目、観察項目及び評価項目は以下のとおりであり、試験条件は、錠剤を40℃雰囲気下で裸の状態でシャーレー上に放置して0日目(開始時)、1日目、2日目、3日目、7日目における測定・観察を行った。
【0042】
《パラジクロロベンゼン固形物について(表1)》
・添加保持剤名
・保持剤濃度(重量部):固形物中に含まれる保持剤の濃度(油状物質に対する保持剤の濃度ではなく固形物100重量部に対しての保持剤の濃度を重量部で示した。)
・含有油状物質名
・油状物質濃度(重量部):薄片状の固形物の上層部、中層部、下層部、及び全体平均の油状物質の濃度
・比分散度(%):詳細な説明に記載の数式を用いて上記油状物質濃度から算出した
・滲出:固形物を打錠した際の性状を観察し、油状物質の滲出を観察した。
【0043】
《パラジクロロベンゼン製剤について(表2〜5)》
・添加保持剤名
・昇華率PDCB(重量部)の経時変化:揮散により経時的に減少するパラジクロロベンゼン製剤(PDCBと略記)の昇華率。
【0044】
・残存油状物質濃度(重量部)の経時変化:揮散により経時的に減少するパラジクロロベンゼン製剤に含まれる油状物質の濃度。
【0045】
・比均等揮散率(%):詳細な説明に記載の数式を用いて上記昇華率PDCBと残存油状物質濃度から算出した。
【0046】
・残渣:パラジクロロベンゼン製剤(錠剤1個4gを5個の20gとして測 定)に含まれる不揮発性または難揮発性物質の製剤揮散終了後に残っている量を測定した。
【0047】
《評価について(表6)》
・均等揮散:比均等揮散率が各日すべてが25%以内のものをAとし、各日すべてが40%以内か平均して20%以内のものをBとし、それ以外をCとした。・滲出:観察の結果、滲出しが見られないものをAとし、わずかに滲出しが見られるものをBとし、明らかに滲出しが見られるものをCとした。
【0048】
・官能評価:パラジクロロベンゼン製剤の揮散終了まで匂いが変化しなかった場合は、最後まで薬効を発揮していると見ることができるためAとし、匂いの変化は感じられないがパラジクロロベンゼン特有の匂いがやや強く感じられた場合にはBとし、揮散の途中で匂いが変化しパラジクロロベンゼンの特有の匂いがきつく感じられた場合をCとした。
【0049】
・総合評価:各項目の評価を勘案し、まず、一つでもCがある場合はCとし、BよりAの数が多い場合にはAとし、Bの方が多い場合にはBとした。
【0050】
なお、本発明の実施例および比較例は、40℃雰囲気下の加速度試験での観察によるものであるが、防虫剤または防臭剤等としての通常の使用の際は、不織布などの小袋に収容し揮散スピードをコントロールするため、室温における経時期間ではおよそ3カ月に相当し、実施例では、実際の使用開始から終了まで安定した効果を発揮することとなる。
【0051】
【比較例1】
保持剤であるトリエチレングリコールジアセテートを添加しなかった以外は実施例1と同様にパラジクロロベンゼン固形物を製造した。さらに、該固形物から粉砕・打錠し錠剤状のパラジクロロベンゼン製剤を得た。
【0052】
なお、実施例と同様に錠剤の様子を観察したところ、打錠時、錠剤表面に油状物質がわずかな滲みだしが観察された。さらに、2日目までわずかに油状物質が滲みだしているのを観察した。
【0053】
【比較例2】
パラジクロロベンゼン99.5kgに油状物質としてタイム油を0.5kg (0.5重量部)を添加して90゜Cにて混合溶解して、20゜Cの水の上に浮かべたステンレスバット上に約9mmの厚さに流し込み、約30分かけて凝固させ た。このときの厚さ方向の平均凝固速度は0.23mm/分であった。(保持剤添加なし)
なお、粉砕後の固形物は液状物表面に付着し、しめった感じがした。打錠時、錠剤表面に油状物質が滲みだし、通常の打錠操作では錠剤としての形状を維持できず、かつ、無理に打錠した場合錠剤表面に油状物質が滲み出し、製剤中には 0.2重量部のタイム油しか含有させられなかった。さらに、3日目までこの固形物の成型体を観察し続けたところ、3日目まで滲み出しが確認された。
【0054】
【比較例3】
保持剤としてフタル酸ジブチル0.03重量部を固形物の粉砕時に添加した以外は比較例2と同様にパラジクロロベンゼン製剤を製造した。
【0055】
なお、比較例2同様粉砕後の固形物は液状物表面に付着し、しめった感じがした。打錠時、錠剤表面に油状物質が滲みだし、通常の打錠操作では錠剤としての形状を維持できずかつ、無理に打錠した場合錠剤表面に油状物質が滲み出し、製剤中には0.19重量部のタイム油しか含有させられなかった。さらに、3日目までこの固形物の成型体を観察し続けたところ、3日目まで滲み出しが確認された。
【0056】
【実施例2】
パラジクロロベンゼンをステンレス容器中に99.5kg仕込み、90℃にて溶融させ、そこに油状物質としてタイム油を0.5kg(0.5重量部)と保持剤としてフタル酸ジエチルを30g(0.03重量部)を添加し攪拌し溶解させた。別途、タイム油0.7重量部、フタル酸ジエチル0.04重量部の濃度に調整したパラジクロロベンゼン溶解液を0.3m2のディップフィードタイプのドラムフレーカーのディップ(底部)に仕込み、ディップの液面が変わらないように前記溶解液を補充しながら冷却水温度19゜C、ディップ温度65゜C、冷却面での固化時間17秒で上記溶解液を急冷し厚さ方向の平均固体成長速度3.9mm/分で厚さ1.1mmの薄片状パラジクロロベンゼン固形物を調製した。さらに、この薄片状パラジクロロベンゼン固形物を粉砕・打錠し錠剤状のパラジクロロベンゼン製剤を得た。
【0057】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲み出しは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲み出しは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中にほぼ安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。
【0058】
【実施例3】
フタル酸ジエチルをフタル酸ジブチルに代えた以外は実施例2と同様の方法でパラジクロロベンゼン固形物、並びに製剤を製造した。
【0059】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力はフタル酸ジエチルよりも良好であった。
【0060】
【実施例4】
フタル酸ジエチルをフタル酸ジオクチルに代えた以外は実施例2と同様の方法でパラジクロロベンゼン固形物、並びに製剤を製造した。
【0061】
固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力はフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルよりも良好であった。
【0062】
保持剤として用いたフタル酸ジアルキルのアルキル鎖が長くなるに従い、油状物質の経時的濃度が増加した。このことは、保持剤として用いるフタル酸ジアルキルのアルキル鎖が長くなるほど、安定してタイム油がパラジクロロベンゼン中に保持されることを意味する。また残渣量は、保持剤として用いたフタル酸ジアルキルのアルキル鎖が長くなるに従い増加した。このことは、保持剤として用いるフタル酸ジアルキルのアルキル鎖が長くなるほど、最終的に昇華せずに残る成分が多くなることを意味する。
【0063】
【実施例5】
保持剤としてフタル酸ジブチルを0.02重量部に調製した以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0064】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力はフタル酸ジエチルよりも良好であったが、実施例3よりやや劣った。
【0065】
【実施例6】
保持剤としてフタル酸ジブチルを0.015重量部に調製した以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0066】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力はフタル酸ジエチルよりも良好であったが、実施例3よりやや劣った。
【0067】
【実施例7】
パラジクロロベンゼンをステンレス容器中に99.5kg仕込み、90℃にて溶融させ、そこに油状物質としてタイム油を0.5kg(0.5重量部)を添加し攪拌し溶解させた。別途、タイム油0.7重量部の濃度に調整したパラジクロロベンゼン溶解液を0.3m2のディップフィードタイプのドラムフレーカーのディップ(底部)に仕込み、ディップの液面が変わらないように前記溶解液を補充しながら冷却水温度19゜C、ディップ温度65゜C、冷却面での固化時間17秒で上記溶解液を急冷し厚さ方向の平均固体成長速度3.9mm/分で厚さ1.1mmの薄片状パラジクロロベンゼン固形物を調製した。さらに、この薄片状パラジクロロベンゼン固形物にトリエチレングリコールジアセテートをパラジクロロベンゼン固形物に噴霧付着させ0.0285重量部に調整し、粉砕・打錠し錠剤状のパラジクロロベンゼン製剤を得た。
【0068】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲み出しは確認されなかった。また、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華にあわせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は、実施例1のトリエチレングリコールジアセテートをパラジクロロベンゼンに溶解させ均一に分散させた場合に比べやや劣っていた。
【0069】
【実施例8】
油状物質としてタイム油からレモングラス油に代えた以外は、実施例3と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0070】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、レモングラス油の滲み出しは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲み出しは確認されず、レモングラス油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華にあわせてレモングラス油が揮散していくのが確認された。レモングラス油の保持力はタイム油の場合とほぼ同等であった。
【0071】
【実施例9】
保持剤としてフタル酸ジエチルに代えてベンジルアルコールを0.0350重 量部に調整した以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0072】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は実施例12のフタル酸ジエチルよりも劣っていた。
【0073】
【実施例10】
保持剤としてフタル酸ジエチルに代えてジエチレングリコールアセテートブチルエーテルを0.0350重量部に調整した以外は、実施例2と同様に製造し て、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0074】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は実施例2のフタル酸ジエチルより劣っていた。
【0075】
【実施例11】
保持剤としてフタル酸ジエチルに代えて液体パラフィンを0.0350重量部 に調整し、油状物質としてタイム油0.5重量部に代えて、タイム油0.4重量部に香料であるスィートオレンジオイル0.1重量部を添加して0.5重量部に調整した以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0076】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油および香料はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油および香料が揮散していくのが確認された。また、香料であるスィートオレンジオイルの芳香がパラジクロロベンゼンとタイム油の匂いを調香し、好ましい態様であった。タイム油の保持力は実施例2とほぼ同等であった。
【0077】
【実施例12】
保持剤としてフタル酸ジエチルに代えてシリコンオイルを0.0350重量部 に調整した以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0078】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力としては実施例2のフタル酸ジエチルよりも劣っていたものの、実施例10のジエチレングリコールアセテートブチルエーテルよりも優れていた。
【0079】
【実施例13】
保持剤として実施例2のフタル酸ジエチル0.0350重量部から、シリコン オイル0.0175重量部とフタル酸ジエチル0.0175重量部の混合物0.0 350重量部に調整した以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0080】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は実施例2のフタル酸ジエチル単独の場合よりも劣っていたが、実施例12のシリコンオイル単独のものに比べやや優れていた。
【0081】
【実施例14】
油状物質として、マッコークジラから抽出されるアンバーグリスの合成物としてアンブロオキサイド(固体)を溶媒として香料のスィートオレンジオイルに溶解してマッコークジラ油とした。
【0082】
そして、保持剤としてフタル酸ジエチルに代えてフタル酸ジブチル0.035 0重量部に調整し、油状物質としてタイム油からマッコークジラ油0.5重量部 に代えた以外は、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0083】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、マッコークジラ油の滲み出しは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲み出しは確認されず、マッコークジラ油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてマッコークジラ油が揮散していくのが確認された。また、アンブロオキサイドとスィートオレンジの芳香がパラジクロロベンゼン特有の匂いを調香し好ましい態様であった。マッコークジラ油の保持力はタイム油の場合とほぼ同等であった。
【0084】
【実施例15】
保持剤としては実施例3と同じフタル酸ジブチルであるが、その添加量を0. 0100重量部に調整し、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0085】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は実施例3に比べかなり劣っていた。
【0086】
【実施例16】
保持剤としては実施例3と同じフタル酸ジブチルであるが、その添加量を0. 1000重量部に調整し、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得た。
【0087】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は実施例3に比べ良好であった。
【0088】
【実施例17】
保持剤としては実施例3と同じフタル酸ジブチルであるが、その添加量を0. 0200重量部に調整し、また、油状物質としてタイム油を0.1重量部に調整し、実施例2と同様に製造して、パラジクロロベンゼン固形物並びに製剤を得 た。
【0089】
なお、固形物を打錠した際の錠剤の様子を観察したところ、タイム油の滲みだしは確認されなかった。また、3日目まで観察を続けたところ滲みだしは確認されず、タイム油はパラジクロロベンゼンの中に安定して保持され、パラジクロロベンゼンの昇華に合わせてタイム油が揮散していくのが確認された。タイム油の保持力は本実施例中最もよかった。
【0090】
本発明において、防虫剤や防臭剤などの用途として使用する際には、吸着剤などを添加して残渣を吸着させてもよい。よって、残渣が多少残っても差し支えない仕様であれば、フタル酸ジアルキルのアルキル鎖を長く設計して保持力を上げて用いるのが好ましい。なお、本発明の実施例1〜13、実施例15〜17および比較例1〜3における残渣は、淡黄色の油滴がシャーレ上に残っているものであり、実施例14は、白い結晶状の残渣であった。
【0091】
【発明の効果】
以上、詳述した様に本発明における油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤は、パラジクロロベンゼンに比較的多量の油状物質を含有させることがで き、パラジクロロベンゼン製剤から油状物質が滲み出すことがなく油状物質とパラジクロロベンゼンのどちらかが先に消失することがないため、所望の薬効を発揮せしめることができる。また、製品保存中であっても油状物質の抜け落ちがないため製品の信頼性が上がる等の種々の効果を有する。
【0092】
また、本発明における油状物質を含有したパラジクロロベンゼン固形物の製造方法は、冷却することにより油状物質を含有したパラジクロロベンゼンの固形物を得ることが簡単にできるという効果を有する。
【0093】
【表1】
Figure 0003810853
【表2】
Figure 0003810853
【表3】
Figure 0003810853
【表4】
Figure 0003810853
【表5】
Figure 0003810853
【表6】
Figure 0003810853

Claims (8)

  1. パラジクロロベンゼンと、該パラジクロロベンゼンに均一になるよう分散された揮散性の油状物質を該パラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度で含有するパラジクロロベンゼン固形物からなるパラジクロロベンゼン製剤であって、該油状物質の揮散を制御する保持剤を該油状物質に対して0.5重量部〜20重量部の濃度で添加することによって、前記パラジクロロベンゼンと油状物質を比均等揮散率40%以内で均等になるよう揮散させることを特徴とする油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤。
  2. 前記保持剤が、フタル酸ジエステル類、トリエチレングリコール誘導体、ベエチレングリコール誘導体、ベンジルアルコール誘導体、液体パラフィン、シリコンオイルから選ばれる1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1に記載の油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤。
  3. 前記油状物質が、天然精油、天然精油抽出物、香料、ピレスロイド系殺虫剤から選ばれる1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤。
  4. 前記油状物質が、パラジクロロベンゼン固形物中に分散されている均一な割合が比分散度15%以内であるパラジクロロベンゼン固形物からなることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤。
  5. 溶融したパラジクロロベンゼンに該パラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度の揮散性の油状物質と該油状物質に対して0.5重量部〜20重量部の濃度の保持剤を混合し均一に分散させる工程と、前工程で得た混合液を冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤とが均一になるような分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、からなることを特徴とする油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤の製造方法。
  6. 前記混合液を冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤とが均一になるような分散状態で封じ込められた固形物を得る工程において、前記混合液を間接冷却装置を用いて晶析速度を1〜15mm / 分の速度で冷却して結晶化させて固形物を得ることを特徴とする請求項5に記載の油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤の製造方法。
  7. 溶融したパラジクロロベンゼンに該バラジクロロベンゼン100重量部に対して0.3重量部〜1.0重量部の濃度の揮散性の油状物質と該油状物質に対して0.5重量〜20重量部の濃度の保持剤を混合し均一に分散させる工程と、前工程で得た混合液を間接冷却装置を用いて晶析速度を1〜15mm / 分の速度で冷却して結晶化させてパラジクロロベンゼン中に油状物質と保持剤とが均一になるような分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、からなる油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤の製造方法により製造されたことを特徴とするパラジクロロベンゼン製剤。
  8. 溶融したパラジクロロベンゼンに揮発性の油状物質を混合し均一になるよう分散させる工程と、前工程で得た混合液を冷却してパラジクロロベンゼン中に油状物質を均一になるような分散状態で封じ込められた固形物を得る工程と、該固形物の表面に保持剤を付着させる工程と、該固形物を粉砕し打錠成型する工程と、からなることを特徴とする油状物質を含有したパラジクロロベンゼン製剤の製造方法。
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