JP6001947B2 - 匍匐害虫駆除製剤および匍匐害虫駆除方法 - Google Patents

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Description

本発明は、匍匐害虫駆除製剤および匍匐害虫を駆除する方法に関し、詳細には、安全性に優れ、高い害虫駆除効果を発揮する匍匐害虫駆除製剤、および該製剤を用いた匍匐害虫の駆除方法に関する。
従来の害虫駆除製剤(スプレー等)では、隙間や冷蔵庫の裏に潜んでいる害虫など、直接薬剤を処理することのできない害虫に対して、有効な量の殺虫成分を処理することが難しく、長いノズルを設けることや、噴射剤を増やし遠くまで薬液が届くようにし、大量に噴射することで隙間の奥まで薬剤を処理していた(特許文献1〜3参照)。しかし、大量のエアゾールを噴射すると、可燃性ガスが含まれるため、大量に処理すると引火するなどの危険があった。さらに、舞い散った薬を吸い込むなど安全性に問題がある場合もあった。
また、一度の接触で確実に駆除できるだけの致死量の殺虫成分を、予め害虫の通りそうな箇所に塗布等する方法も考えられるが、そのためには大量の薬剤が必要であり、さらには子供がその薬剤に直接触れるおそれがあるなどの、安全上の問題もあった。また、溶剤を含む薬液を多量に処理することで室内が汚れるなどの問題もあった。
特開2004−26278号公報 特開平8−259404号公報 国際公開第2005/013685号
本発明は上記従来の問題に鑑み、安全性に優れ、かつ高い害虫駆除効果が得られる匍匐害虫駆除製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研鑽を積んだ結果、下記構成により、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)から(4)に関するものである。
(1)常温で難揮散性の殺虫成分と、常温で前記殺虫成分よりも揮散しやすい昇華性物質とを含有する固形の匍匐害虫駆除製剤であって、
前記製剤は、前記昇華性物質の昇華によって、体積が経時的に減少するものか、または形状が経時的に崩壊するものであり、
前記製剤中の殺虫成分の含有量は、実質的に、経時的に減少しないものであり、
製剤の体積と、殺虫成分の含有量とのバランス変化にともない、製剤中における殺虫成分の濃度が増加する匍匐害虫駆除製剤。
(2)前記昇華性物質がイソプロピルトリオキサン、アダマンタン、メントール、ナフタレン、樟脳、及びパラジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の匍匐害虫駆除剤。
(3)滑沢剤としてステアリン酸塩、タルク、酸化チタン、パラフィン、及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種を含む上記(1)または(2)に記載の匍匐害虫駆除剤。
(4)常温で難揮散性の殺虫成分と、常温で前記殺虫成分よりも揮散しやすい昇華性物質とを含有する固形の匍匐害虫駆除製剤であって、前記昇華性物質の昇華によって、体積が経時的に減少または形状が経時的に崩壊し、製剤の体積と、殺虫成分の含有量とのバランス変化にともない、殺虫成分の濃度が増加する固形の匍匐害虫駆除製剤を、害虫の生息しうる場所に設置する、匍匐害虫駆除方法。
本発明によれば、害虫、とりわけ匍匐害虫に対して優れた駆除効果を発揮し、さらには、製剤作製時には殺虫成分を低濃度で仕込んでも、製剤の外層の殺虫成分の経時的な濃縮により、害虫に対して致死量の薬剤を暴露させることが可能な、安全性や取扱性に優れた害虫駆除剤を提供することができる。
本発明の匍匐害虫駆除製剤(以下「本発明の製剤」とも称する。)は、常温で難揮散性の殺虫成分と、殺虫成分よりも常温で揮散しやすい昇華性物質とを含有する。該製剤による害虫駆除機構は定かではないが、該昇華性物質が昇華することで経時的に製剤の殺虫成分が濃縮されることにより、虫体に付着する際、または、付着した後の虫体表面における殺虫成分濃度が、薬剤そのものと同程度になり、薬剤が体表に直接接触する作用の他、グルーミング行動による経口摂取を通じて害虫を死に至らしめるものと推測される。
したがって、本発明の製剤は、製剤調製時の殺虫成分の仕込み濃度が低くても、高い害虫駆除効果が得られるため、安全性が高く、取扱いも容易である。
本発明の製剤に含まれる殺虫成分としては、常温で難揮散性の殺虫成分であればよい。ここで難揮散性とは、25℃における蒸気圧が1.0×10−4Pa未満であることを意味する。25℃における蒸気圧が1.0×10−Pa未満であれば、製剤中の殺虫成分の含有量は実質的に減少しない。ここで実質的に減少しないとは、常温2週間における減少量が5%以下のことを示す。殺虫成分が難揮散性であれば、担体の役割を担う昇華性物質が先に昇華することにより製剤中の殺虫成分濃度が上昇する。具体的には、例えば、ジノテフラン、ペルメトリン、イミプロトリン、ビフェントリン等の殺虫成分が挙げられる。殺虫成分は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、殺虫成分は、製剤全体の質量に対して0.001質量%〜20質量%であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%であることがより好ましい。
また、本発明の製剤に含まれる昇華性物質としては、殺虫成分よりも常温で揮散しやすいもの、好ましくは殺虫成分よりも蒸気圧が高いものであれば限定されず、例えば、イソプロピルトリオキサン(商品名「サンサブリB」、小川香料(株)製)、アダマンタン、ネオペンチルグリコール、パラジクロロベンゼン、ナフタレン、樟脳、メントール、ヒドロキノン等が挙げられる。この中でも、刺激が少なく、身体への安全性が高いという観点から、イソプロピルトリオキサン、アダマンタン、メントールが好ましい。さらに、打錠として用いる場合には、賦形性が高いという点でイソプロピルトリオキサン、アダマンタンが特に好ましい。また、昇華性物質の蒸気圧が殺虫成分の蒸気圧に対して10Pa以上高いことが好ましい。
昇華性物質の含有量は、製剤全体の質量に対して50質量%〜99.999質量%であることが好ましく、70質量%〜99.99質量%であることがより好ましい。
なお、これら昇華性物質には、製剤の害虫の虫体表面への付着性を向上させる働きもある。
本発明の製剤により駆除する対象害虫としては、例えば、農業害虫、貯穀害虫、衛生害虫、不快害虫等が挙げられる。より具体的には、ゴキブリ、トコジラミ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシ等が挙げられる。中でも、ゴキブリ等の匍匐害虫に対して、特に高い駆除効果を発揮する。
本発明の製剤は固形の製剤である。剤形が固形であることにより、製造時と取り扱い時の利便性が高く好ましい。具体的には、一定の形状に整えた打錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、等が挙げられる。中でも、打錠剤、顆粒剤が好ましく、害虫の生息し得る場所に設置する定置型の打錠剤であることがより好ましい。
本製剤は、昇華性物質の昇華に伴い、製剤の体積は経時的に減少するか、製剤の形状が経時的に崩壊する。これに対し、殺虫成分は常温で難揮散性であるため、製剤中における含有量は実質的に、経時的に減少しない。その結果、製剤の体積と、殺虫成分の含有量とのバランス変化にともない、製剤における殺虫成分濃度が経時的に上昇する。そのために、製剤作製時の殺虫成分濃度が本来は害虫が死に至らない程度の低い濃度であっても、害虫の虫体表面に付着して、殺虫成分原体の濃度と同程度まで高くなる。そして、該製剤は害虫の体表に直接接触する作用の他、グルーミング行動により、口摂取されることで、害虫駆除効果が十分に得られる。製剤中の殺虫成分の濃縮は少なくとも製剤外層で発現し、製剤内部でも徐々に進行すると考えられる。
また、昇華性物質の昇華に伴い、製剤の体積は経時的に減少するか、製剤の形状が経時的に崩壊するため、製剤が微細化しやすい。微細化した製剤に対して、まだ昇華せずに残存している昇華性物質が展着剤の役割を果たし、虫体表面に殺虫成分が付着しやくなると考えられる。
虫体表面に付着した製剤は、昇華性物質の昇華によって殺虫成分濃度上昇がさらに進み、虫体自身のグルーミングや他虫体との接触により、害虫自らが殺虫成分を伝播する。
虫体に付着した殺虫成分は、定かではないが、直接の接触の他、経口摂取され、害虫を死に至らしめるという経路が考えられる。
本発明の製剤は、さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、パラフィン、カルナウバロウ、多価アルコール、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等の添加剤、滑沢剤を1種以上配合してもよい。これらを含有することにより製剤の賦型性、安定性、加工性や害虫への付着性が向上する。これらの製剤における含有量は0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
特にステアリン酸マグネシウムは、製剤の保形剤的役割を果たして、昇華性物質の昇華による製剤の早すぎる崩壊を防ぐ効果が期待できる。これにより、製剤外層の殺虫成分濃度が、害虫駆除に充分な程高くなると共に、必要に応じた効果維持期間を持たせることが可能となり、一定期間は害虫の駆除効果を発揮するので、より好ましい。
本発明の製剤には、上記の成分のほかに、例えば保形剤、展着剤、コーティング剤、賦形剤、結合剤、誤食防止剤、安定化剤、吸着剤、香料、着色剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1−1〜1−12>
下記条件に基づき、方法1〜4によって昇華性物質の種類を変化させて害虫駆除効果を確認した。
製剤処方(10g);
ジノテフラン(殺虫成分) 1.0質量%
ステアリン酸マグネシウム 0.5質量%
昇華性物質 98.5質量%
昇華性物質としては、イソプロピルトリオキサン、アダマンタン、メントール、ナフタレン、樟脳、及びパラジクロロベンゼンを使用した。
(方法1)
ジノテフラン、ステアリン酸マグネシウムおよび各昇華性物質を混合し、油圧式ポンプと金型を用いて300kg・f/mの圧力で厚さ6mm、直径9mmの打錠剤(0.3g)を成形した。
(方法2)
試験空間となるプラスチックケース(縦18cm×横25cm×高さ10cm)に、ゴキブリ用シェルター、固形飼料、および水を設置した。
(方法3)
供試虫として感受性チャバネゴキブリ雌雄各10頭の計20頭と、クロゴキブリ雌雄各5頭の計10頭をそれぞれの試験空間に放ち、試験空間温度25℃、湿度60%の条件で1日馴化後、検体である打錠剤を固形飼料と水の間に設置して試験を開始した。対照試験区として、固形飼料と水のみを設置した試験区を感受性チャバネゴキブリ、クロゴキブリそれぞれに設けた。
(方法4)
経時的にノックダウン頭数と致死頭数をカウントし、下記式(1)により致死率(%)(ノックダウン含む)を算出した。
検体致死率
=(致死数/供試虫全数)×100 (1)
使用した昇華性物質ごとの効力試験の結果を表1に示す。
Figure 0006001947
表1より、検体設置1日後は昇華性物質の違いにより、致死効果に差が見られたものの、検体設置2日後には、害虫の種類や昇華性物質の種類に因ることなく、全検体で90%以上の高い致死率を示した。
以上のことから、本発明の製剤は、昇華性物質の種類によって、薬剤としての効果発現までに要する時間に差があるものの、いずれも害虫の駆除に有効であることが確認された。
<実施例2−1〜2−6および比較例2−1〜2−2>
下記条件に基づき、方法1〜4によって昇華性物質または非昇華性物質を基剤に用いた場合の害虫駆除効果を確認した。
製剤処方(0.7g):
ジノテフラン(殺虫成分) 表2に示す含有量(質量ppm)
基剤 残部
基剤としては、昇華性物質であるイソプロピルトリオキサン、または非昇華性物質であるケイ酸カルシウム(商品名:フローライトRN)を用いた。
(方法1)
ジノテフランと各基剤を混合し、油圧式ポンプと金型を用いて300kg・f/mの圧力で厚さ3mm、直径20mmの打錠剤(0.7g)を成形した。
(方法2)
試験空間となるプラスチックケース(縦18cm×横25cm×高さ10cm)に紙製のシェルター、固形飼料、および水を設置した。
(方法3)
供試虫として感受性チャバネゴキブリ雌雄各5頭の計10頭とクロゴキブリ雌雄各5頭の計10頭をそれぞれの試験空間に放ち、試験空間温度25℃、湿度60%の条件で1日間馴化後、検体である打錠剤を固形飼料と水の間に設置して試験を開始した。対照試験区として、固形飼料と水のみを設置した試験区を、感受性チャバネゴキブリ、クロゴキブリそれぞれに設けた。
(方法4)
経時的にノックダウン頭数と致死頭数をカウントし、実施例1−1と同様の式(1)により致死率(%)を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 0006001947
以上のことから、非昇華性物質を基剤とした場合には、全く害虫防除効果が得られない殺虫成分濃度であっても、本発明の製剤では昇華性物質を基剤とすることにより高い駆除効果が得られることが確認された。
<実施例3−1〜3−4および比較例3−1〜3−2>
下記条件に基づき、方法1〜3によって製剤中の製剤の崩壊性について確認した。
製剤処方(100g):
ジノテフラン(殺虫成分) 1.0質量%
ステアリン酸マグネシウム 0.5質量% または なし
イソプロピルトリオキサン(昇華性物質) 98.5質量% または 99.0質量%
(方法1)
殺虫成分、昇華性物質(イソプロピルトリオキサン)、および、必要に応じてステアリン酸マグネシウムを混合し、油圧式ポンプと金型を用いて300kg・f/mの圧力で厚さ6mm、直径9mmの打錠剤(0.3g)を成形した。
(方法2)
製剤の外観を観察しやすくするためにプラスチックカップの底面に黒色画用紙を敷き、その上に製剤を1錠置いた状態で、25℃で24日間、30℃で30日間の恒温条件下にそれぞれ静置し、経時的に製剤の重量減少を観察した。
(方法3)
得られた製剤の重量変化(同様の試験を3回行った平均減少量)から下記算出式により製剤0.3gにおける推定持続期間を求めた。結果を表3に示す。
0.3gにおける推定持続期間=昇華性物質の重量/日平均減少量
Figure 0006001947
表3より、実施例3−3と比較例3−1、及び実施例3−4と比較例3−2との結果から、昇華性物質に殺虫成分を混合させた場合でも、昇華性物質単体と製剤の平均減少量は変わらないことが分かる。また、実施例3−1〜3−4の結果から、殺虫成分と昇華性物質とを含む製剤にステアリン酸マグネシウムを混合させても、製剤の減少量および持続期間に顕著な差が見られないことが確認された。
<実施例4、比較例4>
下記条件に基づき、製剤について、経時的な殺虫成分濃度変化を確認した。
実施例4:製剤処方(100g);
ジノテフラン(殺虫成分) 10.0重量%
ステアリン酸マグネシウム 0.5重量%
イソプロピルトリオキサン(昇華性物質) 89.5重量%
比較例4:製剤処方(100g);
ジノテフラン(殺虫成分) 10.0重量%
ケイ酸カルシウム(非昇華性物質) 90.0重量%
上記処方を混合し、直径20mm、高さ10mmの打錠剤(7g)を作製した。打錠剤を40℃の恒温室に静置した。一定期間ごとに製剤の重量を測定し、下記所定の条件にて殺虫成分含量を測定した。殺虫成分含有量と製剤重量とから、殺虫成分濃度を算出した。同様の試験を3回行った平均値での結果を表4に示す。
<殺虫成分含有量分析方法>
・製剤全量(ジノテフラン約700mg相当)を粉砕し、サンプル瓶に入れた。
・サンプル瓶にメタノール40mlを加え、1時間超音波抽出を行った。
・内標として4−アミノ安息香酸を5ml加え、撹拌した。
(80mg/5mLメタノール溶液)
・一部を採取し、移動相で100倍に希釈した。
・サンプルを孔径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過処理し、分析用試料とした。
・移動相として超純水:アセトニトリル=93:7の混合溶媒に10mMリン酸二水素カリウムを加えた溶液を使用し、下記条件にてHPLC分析を行った。
(HPLC分析条件)
分析機器:Shimadzu HPLC LC−3000
検出器:UV (測定波長:270nm)
流速:1.0mL/min
注入量:1μL
分析カラム:Inertsil ODS φ4.0×250mm(ジーエルサイエンス社製)
Figure 0006001947
表4に示すように、イソプロピルトリオキサン(昇華性物質)を用いた実施例4に対し、ケイ酸カルシウム(非昇華性物質)を使用した比較例4の製剤では、35日経過しても殺虫成分濃度に経時的変化は確認できなかった。
<実施例5−1>
実施例1−1と同様の処方で作製した打錠剤(殺虫成分濃度1.0質量%)2錠を8.8mの空間に設置し、供試虫であるチャバネゴキブリ雌雄各10頭の計20頭を試験空間に放ち、致死効果の経時変化を確認し、前述の式(1)及び次式(2)を用いて、自然死の値(コントロール致死率)から補正した補正致死率を算出した。
検体致死率
=(致死数/供試虫全数)×100 (1)
補正致死率
=(検体致死率−コントロール致死率)/(1−コントロール致死率) (2)
式(2)の補正致死率とは、検体の自然死による致死率を元にしたコントロール致死率を用いて算出することができる。
<実施例5−2>
前記実施例5−1に対して、殺虫成分濃度を1/10(0.1質量%)とした打錠剤を、実施例5−1の10倍の錠数(20錠)同空間に設置し、実施例5−1と同様に供試虫であるチャバネゴキブリに対する致死効果の経時変化を確認し、補正致死率を算出した。
実施例5−1及び5−2の結果を表5に示す。
Figure 0006001947
表5より、製剤中の殺虫成分濃度を1/10に低くし、設置製剤数を10倍とすると、駆除効果が発現するまでの時間は遅くなる。他方、製剤の設置から3日経過後における致死率には差が見られないことから、製剤作製時の殺虫成分が低濃度の製剤であっても、設置する製剤の数を増やすことにより、殺虫成分が高濃度の製剤と同様の駆除効果が得られることが確認された。このことから、本発明における製剤は、殺虫成分の仕込み濃度が低くても、昇華性物質の昇華により製剤外層の殺虫成分が濃縮されるため、害虫駆除に十分な効果を発揮できることが分かる。
<実施例6−1、6−2>
下記条件に基づき、方法1〜2によって害虫駆除効果を確認した。
製剤処方(100g);
ジノテフラン(殺虫成分) 1.0質量%
イソプロピルトリオキサン(昇華性物質) 99.0質量%
(方法1)
ジノテフランと昇華性物質とを混合し、油圧式ポンプと金型を用いて300kg・f/mの圧力で厚さ6mm、直径9mmの打錠剤(0.3g)を成形した。
(方法2)
方法1で得られた打錠剤を1錠または5錠、8.8mの空間に設置し、供試虫であるクロゴキブリに対する致死効果の経時変化を確認し、実施例5−1の前記式(2)を用いて、自然死の値から補正した補正致死率を算出した。結果を表6に示す。
Figure 0006001947
また、表6より、設置する製剤の個数を増やすことにより、害虫に対する即効性が向上することが分かる。一方、製剤の個数が少ない場合であっても、害虫を駆逐するために時間は掛かるが、十分な害虫駆除効果を得られることが確認された。
<比較例5>
下記条件に基づき、方法1〜3によって害虫防除効果を確認した。
製剤処方(100mL)
ジノテフラン(殺虫成分) 7.5g
メタノール(溶剤) 適量
(方法1)
縦5cm×横5cm×厚さ2mmの塩化ビニル製の板に製剤1mLを塗布し、メタノールを風乾させ、検体とした。
(方法2)
1mのバット内に紙製シェルター入りの木箱(縦25cm×横35cm×高さ25cm、一部に高さ1cm、幅5cmの開口を設けた)を設置し、同バットに供試虫としてチャバネゴキブリ雌雄各25頭を入れ、25℃の条件で1日馴化後、検体を設置した。
(方法3)
経時的に、供試虫のノックダウン(KD)数および致死数をカウントし、実施例5−1で用いた式(2)を用いて、自然死の値から補正した補正致死率を算出した。
結果を表7に示す。
Figure 0006001947
表7の結果より、殺虫成分を含有させる基剤に昇華性物質を用いない場合は、経時的な致死率の向上はみられないことが分かる。昇華性物質を含み、殺虫成分含有量が同条件の上記実施例6−1(1錠設置)では、前述のように致死効果の経時変化が確認できた。
<処方例>
本発明の匍匐害虫駆除製剤の処方例(合計100g)を下記表8に示す。
Figure 0006001947

Claims (4)

  1. 常温で難揮散性の殺虫成分と、常温で前記殺虫成分よりも揮散しやすい昇華性物質とを含有する固形の匍匐害虫駆除製剤であって、
    前記昇華性物質の含有量は、前記製剤全体の質量に対して50質量%〜99.999質量%であり、
    前記製剤は、前記昇華性物質の昇華によって、体積が経時的に減少するものか、または形状が経時的に崩壊するものであり、
    前記製剤中の殺虫成分の含有量は、実質的に、経時的に減少しないものであり、
    製剤の体積と、殺虫成分の含有量とのバランス変化にともない、製剤中における殺虫成分の濃度が増加する匍匐害虫駆除製剤。
  2. 前記昇華性物質がイソプロピルトリオキサン、アダマンタン、メントール、ナフタレン、樟脳、及びパラジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の匍匐害虫駆除製剤。
  3. 滑沢剤としてステアリン酸塩、タルク、酸化チタン、パラフィン、及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または2に記載の匍匐害虫駆除製剤。
  4. 常温で難揮散性の殺虫成分と、常温で前記殺虫成分よりも揮散しやすい昇華性物質とを含有する固形の匍匐害虫駆除製剤であって、前記昇華性物質の含有量は、前記製剤全体の質量に対して50質量%〜99.999質量%であり、前記昇華性物質の昇華によって、体積が経時的に減少または形状が経時的に崩壊し、製剤の体積と、殺虫成分の含有量とのバランス変化にともない、殺虫成分の濃度が増加する固形の匍匐害虫駆除製剤を、害虫の生息しうる場所に設置する、匍匐害虫駆除方法。
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