JP2011063576A - 害虫、ダニ防除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題の解決手段】害虫、ダニ防除成分として、(a)30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgである常温揮散性ピレスロイド化合物から選ばれた1種又は2種以上、(b)30℃における蒸気圧が1×10−4mmHg未満である難揮散性化合物から選ばれた1種又は2種以上、並びに溶剤として(c)炭素数が2〜3の低級アルコールを含むエアゾール原液と(d)噴射剤とからなり、(a)/(b)の配合比率が0.008/1〜0.2/1で、且つ、エアゾール原液/噴射剤比率が20〜50/50〜80(容量比)であり、しかも定量噴霧用エアゾールバルブを備えた害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて、屋内で一定量空間噴霧処理する害虫、ダニ防除方法。
【選択図】なし
Description
一方、局所的に面処理する(3)塗布型エアゾールや、点処理の(4)ベイト剤は、(1)燻煙剤や(2)全量噴射型エアゾールのような空間処理でないため、薬剤と害虫やダニ類の接触効率が(1)や(2)に較べて劣るものの、人体に対する作用が緩和な医薬部外品に該当し、使い易いメリットが評価されている。
ところで、特許文献1(特開2009−143868)は、殺虫成分および溶剤を含む殺虫液を室内空間、収納空間等の空間内に蒸散させて匍匐害虫を駆除する方法であって、前記溶剤として特定の構造を有する化合物を用い、前記空間に粒子径の小さい殺虫液微粒子が浮遊し続けるべく、ピエゾ式噴霧器により前記殺虫液を少量ずつ時間をかけて蒸散させる匍匐害虫駆除方法を開示する。この特許文献1の方法は、液体電気蚊取りのように、微量の薬剤を継続して長時間にわたり空間に放散し、ゴキブリを駆除することを提案したものであるが、蚊に較べて数十倍薬剤に強いゴキブリを対象とする以上、強力な殺虫成分を使用せざるを得ず、人体に対する安全性の懸念が避けられない。
(1)害虫、ダニ防除成分として、(a)30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgである常温揮散性ピレスロイド化合物から選ばれた1種又は2種以上、(b)30℃における蒸気圧が1×10−4mmHg未満である難揮散性化合物から選ばれた1種又は2種以上、並びに溶剤として(c)炭素数が2〜3の低級アルコールを含むエアゾール原液と(d)噴射剤とからなり、(a)/(b)の配合比率が0.008/1〜0.2/1で、且つ、エアゾール原液/噴射剤比率が20〜50/50〜80(容量比)であり、しかも定量噴霧用エアゾールバルブを備えた害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて、屋内で一定量空間噴霧処理する害虫、ダニ防除方法。
(2)前記常温揮散性ピレスロイド化合物が、メトフルトリン、プロフルトリン及びトランスフルトリンから選ばれた1種又は2種以上である(1)記載の害虫、ダニ防除方法。
(3)前記難揮散性化合物が、フェノトリン、シフェノトリン、シフルトリン、ジノテフラン、アミドフルメト、セバシン酸ジブチル、安息香酸ベンジル及びサリチル酸フェニルから選ばれた1種又は2種以上である(1)又は(2)記載の害虫、ダニ防除方法。
(4)前記害虫、ダニ防除用エアゾールの噴霧粒子の粒子径分布において、10〜50μmの噴霧粒子が全体の60%以上を占め、かつ全体の噴霧粒子のうちの30〜80%が噴霧処理1時間後までに床面に沈降するか、もしくは壁面に付着するようになした(1)ないし(3)のいずれかに記載の害虫、ダニ防除方法。
(5)前記定量噴霧用エアゾールバルブの一回当たりの噴霧容量が、0.2〜0.9mLである(1)ないし(4)のいずれかに記載の害虫、ダニ防除方法。
なお、本発明では、ノックダウン効果や致死効果に基づく駆除効果に加え、忌避効果を合わせて防除効果と呼ぶ。駆除効果が低くても十分な忌避効果があれば、実用上、防除が達せられる場面も多い。
30℃における蒸気圧が10−2mmHgを超える害虫防除成分を用いると揮散性が高すぎ、一方、2×10−4mmHg未満の場合は、害虫防除成分の噴霧粒子を長時間気中に残留させることができず飛翔害虫に対する防除効果は一過性に留まるので不適当である。
ゴキブリに代表される匍匐害虫駆除用の害虫防除成分としては、フェノトリン、シフェノトリン、ぺルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、ビフェントリン、トラロメトリン、イミプロトリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、フェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物、その他にフィプロニル、インドキサカルブ等があげられるが、これらの中では、フェノトリン、シフェノトリン、シフルトリン、ジノテフランが好ましい。
一方、屋内塵性ダニ類駆除用のダニ防除成分としては、アミドフルメト、セバシン酸ジブチル、安息香酸ベンジル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があるが、アミドフルメト、セバシン酸ジブチル、安息香酸ベンジル、サリチル酸フェニルが好適である。
そのうえで、本発明は、害虫、ダニ防除成分として、(a)常温揮散性害虫防除成分と(b)難揮散性害虫防除成分及び/又はダニ防除成分を、(a)/(b)=0.008/1〜0.2/1、好ましくは、0.01/1〜0.2/1の比率で配合したことに特徴を有する。
即ち、(a)常温揮散性害虫防除成分と(b)難揮散性化合物を、特定の比率で組み合せて配合することによって、人が居る状況下でも使用可能な安全性の高い製剤となし、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する駆除効果を数日間持続させることが可能となったものである。
(a)/(b)の配合比率が0.008/1より小さいと、(a)常温揮散性害虫防除成分の配合効果が得られないし、一方、(a)常温揮散性害虫防除成分の配合を相対的に高め、0.2/1より大きくすると、エアゾール内容液の液性安定化の点から、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する駆除効果を謳うために必要な量の(b)難揮散性化合物を配合することが難しくなり、本発明の目的に合致しない。
なお、エアゾール原液中の害虫、ダニ防除成分含有量が1.0w/v%未満であると所望の効果が得られないし、一方、70w/v%を超えるとエアゾール内容液の液性安定化の点で困難を伴う。
このために、本発明で用いる害虫、ダニ防除用エアゾールは、エアゾール原液/噴射剤比率が20〜50/50〜80(容量比)であることを必須とする。
エアゾール原液/噴射剤比率が20/80より小さく噴射剤が多すぎると、噴霧粒子が必要以上に微細となり床や壁への付着量が不足する。一方、50/50を超えると、逆に噴霧粒子が速やかに沈降し害虫防除成分の気中濃度が不十分となる。
また、害虫、ダニ防除用エアゾールの噴射力については、床や壁に付着する噴霧粒子が十分量となるように、噴射距離20cmにおける噴射力を3.0〜8.0g・fに設計するのが好ましい。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどがあげられ、なかでも、エーテル類が適している。
また、芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分などがあげられるがこれらに限定されない。
本発明では、噴霧粒子の気中残存率と床面や壁への付着率を考慮して、エアゾール原液/噴射剤比率を20〜50/50〜80(容量比)とする。そのうえで、噴霧粒子の粒子径分布において、10〜50μmの噴霧粒子が全体の60%以上を占め、かつ全体の噴霧粒子のうちの30〜80%が噴霧処理1時間後までに床面に沈降するか、もしくは壁面に付着するように設計するのが好ましい。
例えば、上から押して噴霧するボタンと斜め上方向きのノズルを備えた卓上タイプとしたり、小型容器の携帯用として設計することができる。
本害虫、ダニ防除用エアゾールの使用頻度としては、基本的に1〜2日に1回施用すれば、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対して数日間防除効果を確保できるものであるが、飛翔害虫に対してはその防除効果がほぼ噴霧当日に限られることを考慮し、使用者が適宜決定すればよい。
このエアゾール原液におけるメトフルトリン/フェノトリンの配合比率は0.025/1であり、また、このエアゾールの噴射距離20cmにおける噴射力は6.4g・fで、10〜50μmの噴霧粒子が全体の80%を占めた。
(1)匍匐害虫に対する駆除効果
20×20cmのガラス板合計12枚(チャバネゴキブリ用、ワモンゴキブリ用、及びクロヤマアリ用各4枚)を閉めきった25m3の部屋の4隅に設置し、各ガラス板の上に直径約20cmのプラスチックリングを置き、各リング内に所定の供試昆虫(チャバネゴキブリ:♀成虫5匹、ワモンゴキブリ:幼虫5匹、クロヤマアリ:5匹)を放って自由に徘徊させた。部屋の中央で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方4隅に向けて4ショット噴霧した。
24時間放置して薬剤に暴露させた後、ガラス板と供試昆虫を含むリングごと別部屋に移し、餌を与え、更に24時間後に致死率を観察した。
(2)屋内塵性ダニ類に対する駆除効果
直径9cm、高さ6cmの腰高シャーレ8個(コナヒョウヒダニ用、及びケナガコナダニ用各4個)を閉めきった25m3の部屋の4隅に設置し、腰高シャーレ内に所定の供試ダニ各約200匹ずつ入れて供試した。部屋の中央で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方4隅に向けて4ショット噴霧した。
24時間放置して薬剤に暴露させた後、致死率を観察した。
(3)屋内塵性ダニ類に対する忌避効果
上記「(2)屋内塵性ダニ類に対する駆除効果」試験において、供試ダニの替わりに直径約4cmの綿布を置き、供試エアゾール噴霧24時間後にこの綿布を取り出した。これを直径4cmのシャーレにはめ込み、その中央部に誘引用培地50mgを置いた。別に、直径9cmのシャーレに供試コナヒョウヒダニ、又はケナガコナダニを培地とともに約10000匹放ち、この中央部に先に用意した直径4cmのシャーレを置いた。同様に、処理しない綿布を用いて無処理区とした。24時間後に綿布上に侵入したダニ数を計数し、次式に従って忌避率を算出した。
忌避率(%)=[無処理区の侵入ダニ数−処理区の侵入ダニ数]/無処理区の侵入ダニ数
×100
(4)飛翔害虫に対する駆除効果
閉めきった25m3の部屋の中央で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方4隅に向けて4ショット噴霧した。直ちに、アカイエカ雌成虫50匹を放ち2時間暴露させた後、全ての供試蚊を回収した。その間、時間経過に伴い落下仰転したアカイエカ雌成虫を数え、KT50値を求めた。同じ部屋で引き続き、噴霧7時間後についても同様な操作を行った。
(5)噴霧粒子の床面及び壁面付着量
25m3の部屋の床面及び壁面の数ケ所に20×20cmのガラス板を置き、噴霧処理1時間後に全てのガラス板を取り出し、付着した害虫防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた分析値を基に、噴霧処理1時間後までに床面に沈降するか、もしくは壁面に付着した害虫防除成分の、理論上の噴霧全体量に対する比率を求めた。
これに対し、比較例1のように、害虫、ダニ防除成分として、(a)常温揮散性ピレスロイド化合物のみを用いると、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する防除効果が得られず、逆に、(b)難揮散性の匍匐害虫防除成分もしくはダニ防除成分単独の場合(比較例2、比較例3)、飛翔害虫に対する防除効果が低いうえに、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する防除効果も本発明エアゾールに劣った。即ち、(a)常温揮散性ピレスロイド化合物と(b)難揮散性の匍匐害虫防除成分もしくはダニ防除成分を組み合わせることによる相乗効果が認められた。
この相乗効果は、比較例4や比較例5で示されるように、(a)/(b)の配合比率が0.008/1〜0.2/1の範囲から外れた場合や、(a)常温揮散性ピレスロイド化合物の替わりにd,d−T80−プラレトリンを用いた場合(比較例6)、観察されなかった。
また、噴射剤の比率が所定より高い比較例7は、害虫、ダニ防除成分の噴霧粒子が気中に長く残存するため、飛翔害虫に対して高い防除効果を示したものの、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する防除効果は低かった。一方、エアゾール原液の比率が所定より高い比較例8は、噴霧粒子が速やかに床面や壁面に沈降するため、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対しては相応の防除効果を奏するものの、飛翔害虫に対する害虫防除効果は速やかに低下した。この傾向は、溶剤として2〜3の低級アルコールではなくケロシンを用いた比較9においても認められた。
このように、その処理区域において匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する防除効果を数日間持続させる一方、噴霧当日は飛翔害虫に対してその処理空間を防除可能な雰囲気とすることができるのは、本発明の害虫、ダニ防除方法のみであることが明らかとなった。
Claims (5)
- 害虫、ダニ防除成分として、(a)30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgである常温揮散性ピレスロイド化合物から選ばれた1種又は2種以上、(b)30℃における蒸気圧が1×10−4mmHg未満である難揮散性化合物から選ばれた1種又は2種以上、並びに溶剤として(c)炭素数が2〜3の低級アルコールを含むエアゾール原液と(d)噴射剤とからなり、(a)/(b)の配合比率が0.008/1〜0.2/1で、且つ、エアゾール原液/噴射剤比率が20〜50/50〜80(容量比)であり、しかも定量噴霧用エアゾールバルブを備えた害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて、屋内で一定量空間噴霧処理することを特徴とする害虫、ダニ防除方法。
- 前記常温揮散性ピレスロイド化合物が、メトフルトリン、プロフルトリン及びトランスフルトリンから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の害虫、ダニ防除方法。
- 前記難揮散性化合物が、フェノトリン、シフェノトリン、シフルトリン、ジノテフラン、アミドフルメト、セバシン酸ジブチル、安息香酸ベンジル及びサリチル酸フェニルから選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の害虫、ダニ防除方法。
- 前記害虫、ダニ防除用エアゾールの噴霧粒子の粒子径分布において、10〜50μmの噴霧粒子が全体の60%以上を占め、かつ全体の噴霧粒子のうちの30〜80%が噴霧処理1時間後までに床面に沈降するか、もしくは壁面に付着するようになしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の害虫、ダニ防除方法。
- 前記定量噴霧用エアゾールバルブの一回当たりの噴霧容量が、0.2〜0.9mLであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の害虫、ダニ防除方法。
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