JP2018076382A - 蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法 - Google Patents

蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法 Download PDF

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Abstract

【課題】定量噴霧機能を備えたエアゾールを用い、一定量を室内空間に噴霧処理することによって、蚊類に対して20時間以上にわたり防除効果が持続可能な蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法の提供。【解決手段】(a)害虫防除成分としてメトフルトリン、及び(b)有機溶剤を含有するエアゾール原液と、(c)噴射剤とからなり、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)である定量噴霧用エアゾールバルブを備えた蚊類防除用エアゾールであって、当該エアゾールの噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μmで、しかも1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量を4.5〜8畳あたり5.0〜12mgとなし、その処理空間を20時間以上にわたり蚊類を防除可能にせしめる蚊類防除用エアゾール。及び、この蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量噴霧処理する蚊類の防除方法。【選択図】なし

Description

本発明は、蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法に関するものである。
屋内で使用されるエアゾール殺虫剤には、使用法からみて、屋内の空間を飛翔する害虫、あるいは壁や床面を徘徊する害虫等の対象害虫をめがけて噴霧する直撃タイプと、あらかじめ害虫の通り道にエアゾール殺虫剤を噴霧塗布しておく待ち伏せタイプがある。
一方、近年、比較的蒸気圧の高い殺虫成分が開発されるに伴い、これを含有するエアゾール殺虫剤を密閉空間で予め一定量施用し、気中に浮遊殺虫成分粒子を残存させて蚊類を予防的に防除しようとする試みもある。例えば、特許文献1(特開2001−17055号公報)には、好ましくは常温揮散性ピレスロイドを用い、蒸気圧の高い溶媒を使用することによって処理薬剤の粒子径を微細化し、処理薬剤量の気中残存率を処理開始から3時間以上12時間未満の間において1%以上とするか、または処理開始から12時間以上24時間未満の間において0.5%以上にできるエアゾール殺虫剤が記載されている。そして、特許文献1によれば、噴霧粒子径が小さいほど処理薬剤量の気中残存率が高まり、殺虫効力が持続するので、このような噴霧粒子径を与えるエアゾール殺虫剤は、蚊等の飛翔害虫防除には有効としている。
しかしながら、特許文献1の方法では、殺虫効力の持続に限度があり、実用的な持続時間はせいぜい12〜14時間に留まるものと認識されていた。
ところで、空中に噴霧された処理薬剤粒子は、(A)気中に浮遊残存するか、(B)床や壁に付着するか、(C)Bの後に再揮散するか、もしくは(D)光等によって分解し消失する、のいずれかの挙動を辿ると考えられる。特許文献1のエアゾール殺虫剤は、処理薬剤粒子の(B)の比率を下げ、(A)の比率を高めようとするものである。
一方、特許文献2(特開2001−328913号公報)は、殺虫成分のメトフルトリンを含有するエアゾールを室内の構造物や備品の表面に直接付着せしめ、表面から再揮散するメトフルトリンの作用で飛翔害虫を駆除できる旨開示している。この特許文献2は、(B)の後で(C)を期待する方法であるが、(C)への移行は使用条件に大きく左右されるので、飛翔害虫に対して安定した駆除効果が得られるとは到底考えられない。
近年、特に蚊類に対し12〜14時間を越えておよそ1日間、即ち20時間以上にわたり防除効果が持続可能な上記定量噴霧タイプのエアゾールを求める要望が高まっている。本発明者らは、かかる現状を鑑み、まず、蚊類の習性を観察するとともに、定量噴霧タイプのエアゾールにおける噴霧薬剤粒子の蚊類に対する作用機作について鋭意検討した結果、以下の結論を得るに至った。
(1)噴霧直後は、気中に浮遊する薬剤粒子に飛翔する害虫が接触して防除効果が発現する。
(2)その後、時間の経過とともに、浮遊した薬剤粒子は落下等により室内の壁や床に付着する。
(3)噴霧処理後に室外から侵入した蚊等の蚊類は、室内の壁や床に係留した際に、そこに付着していた薬剤に接触して駆除される。
(4)ハエ類やコバエ類の場合、蚊と比較すると壁等にあまり係留せずに飛び回る習性が強く、また薬剤に対する感受性が比較的低いことから、壁や床に付着した微量粒子への接触では十分な防除効果を期待できない。
このように、蚊を代表とする蚊類の場合は、飛翔しながらも壁等に係留する習性があり、しかもピレスロイド系殺虫成分のような常温揮散性薬剤に対する感受性が高いため、壁等に付着した微量の薬剤粒子に接触することで十分な防除効果が発揮される。
本発明者らは、上記検討結果に基づき、そのうえで特に蚊類に対して20時間以上にわたり防除効果が持続可能な定量噴霧タイプのエアゾールの開発に着手した。そして、その検討過程において、殺虫成分の選択、噴霧薬剤粒子径分布、及び室内の特に壁への薬剤付着効率が極めて重要であることを知見し、鋭意種々試験を繰り返した結果、本発明を完成するに至ったものである。
特開2001−17055号公報 特開2001−328913号公報
本発明の目的は、定量噴霧機能を備えたエアゾールを用い、一定量を室内空間に噴霧処理することによって、蚊類に対して20時間以上にわたり防除効果が持続可能な蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法を提供することにある。
本発明は、以下の構成が上記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)(a)害虫防除成分としてメトフルトリン、及び(b)有機溶剤を含有するエアゾール原液と、(c)噴射剤とからなり、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)である定量噴霧用エアゾールバルブを備えた蚊類防除用エアゾールであって、
当該エアゾールの噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μmで、しかも1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量を4.5〜8畳あたり5.0〜12mgとなし、その処理空間を20時間以上にわたり蚊類を防除可能にせしめる蚊類防除用エアゾール。
(2)前記噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が25〜70μmである(1)に記載の蚊類防除用エアゾール。
(3)前記有機溶剤が、炭素数が2〜3の低級アルコール及び/又は炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルである(1)又は(2)に記載の蚊類防除用エアゾール。
(4)前記炭素数が2〜3の低級アルコールがエタノールであり、また、前記炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである(3)に記載の蚊類防除用エアゾール。
(5)噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)が2.0g・f以上である(1)ないし(4)のいずれか1に記載の蚊類防除用エアゾール。
(6)前記定量噴霧用エアゾールバルブの一回当たりの噴霧容量が、0.1〜0.9mLである(1)ないし(5)のいずれか1に記載の蚊類防除用エアゾール。
(7)(1)ないし(6)のいずれか1に記載の蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量噴霧処理する蚊類の防除方法。
本発明の蚊類防除用エアゾールは、定量噴霧機能を備えたエアゾールを用い、一定量を室内空間に噴霧処理することによって、蚊類に対して20時間以上にわたり防除効果が持続可能なので極めて実用性が高い。そして、この蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量噴霧処理する本発明の蚊類の防除方法も非常に有用なものである。
本発明は、(a)害虫防除成分としてメトフルトリンの使用を必須とする。特許文献1では、30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgである常温揮散性ピレスロイド化合物、例えば、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エムペントリンが同列に好適とされ、トランスフルトリンが具体例として特記されている。しかるに、本発明者らの検討結果によれば、蚊類に対して20時間以上にわたり防除効果が持続可能な蚊類防除用エアゾールを実現しようとした場合、メトフルトリン以外のトランスフルトリン、プロフルトリン又はエムペントリンでは極めて困難であることが認められた。
これは、各常温揮散性ピレスロイド化合物における蒸気圧等の物理化学的性状や基礎殺虫効力活性等が総合的に関連しているものと考えられる。
なお、メトフルトリンの酸成分には、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
本発明の蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法は、メトフルトリンが高濃度の蚊類防除用エアゾールを少量一定量噴霧するので、エアゾール原液中のメトフルトリン含有量も、1.0〜50w/v%程度と高濃度となる。その調製に際し用いる(b)有機溶剤としては、メトフルトリンとの相溶性や噴霧薬剤粒子径分布への影響を考慮して適宜選択される。なかでも、炭素数が2〜3の低級アルコールや炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルが好ましい。前者の低級アルコールとしてはエタノールやイソプロパノール(IPA)が一般的で、一方、後者の高級脂肪酸エステルとしてはミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル等が挙げられるがこれらに限定されない。なかでも、総合的にみてエタノール及びミリスチン酸イソプロピルが好適である。
なお、エアゾール原液中のメトフルトリン含有量が1.0w/v%未満であると所望の効果が得られないし、一方、50w/v%を超えるとエアゾール内容液の液性安定化の点で困難を伴う。
本発明は、常温揮散性ピレスロイド化合物・メトフルトリンを含む蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量、好ましくは一回当たり空中に向けて0.1〜0.9mLで噴霧し、所定量の噴霧粒子を気中に浮遊残存させる一方、その噴霧粒子の所定量を壁面に付着するようになして、その処理空間を20時間以上にわたり蚊類を防除可能にせしめることに特徴を有する。ここで所定の壁面付着量とは全体の噴霧粒子に対して1%以上が目安となる。
このために、本発明の蚊類防除用エアゾールは、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)であり、しかも、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量が4.5〜8畳あたり5.0〜12mgであることを必須とする。
エアゾール原液/噴射剤比率が10/90より小さく噴射剤が多すぎると、噴霧粒子が必要以上に微細となり壁への付着量が不足する。一方、50/50を超えると、逆に噴霧粒子が速やかに沈降しメトフルトリンの気中濃度が不十分となる。
なお、噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)は、0.5g・f以上が好ましい。0.5g・f未満では噴霧の勢いが不足し、噴霧粒子が屋内の隅まで到達しないため満足な蚊類の防除効果が得られない。
また、メトフルトリン噴出量が4.5〜8畳あたり5.0mg未満の場合、壁面への付着量が不足するし、一方、12mgを超えるようになしても壁面付着量は必ずしも噴出量に相応せず経済的デメリットが避けられない。
本発明では、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、メトフルトリンに加え、トランスフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン等の常温揮散性ピレスロイド化合物、フタルスリン、レスメトリン、シフルトリン、フェノトリン、ぺルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、イミプロトリン、エトフェンプロックス等の他のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、フェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物等を若干量配合してもよい。
また、有機溶剤としても、炭素数が2〜3の低級アルコールや炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルに加え、例えば、n−パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、炭素数3〜6のグリコールエーテル類、ケトン系溶剤等を適宜添加可能である。
本発明の蚊類防除用エアゾールは少量噴霧で十分なので、敢えて火気に対する危険性に留意する必要はないが、できる限り低減させる観点から水性化処方を採用することもできる。この場合、水の量は20〜70v/v%程度が適当であり、噴霧粒子の噴霧パターンに支障を来たさない限りにおいて、可溶化助剤として若干量の非イオン系界面活性剤を添加してもよい。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどがあげられ、なかでも、エーテル類が適している。
本発明では、前記各成分に加え、殺ダニ剤、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、あるいは、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、賦形剤等を適宜配合してももちろん構わない。殺ダニ剤としては、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があり、一方、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、ヒノキチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノール等を例示できる。
また、芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分などがあげられるがこれらに限定されない。
本発明で用いられる(c)噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)、及び窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等の圧縮ガスがあげられ、そのうちの一種または二種以上を適宜採用することができるが、通常LPGを主体としたものが使いやすい。
本発明では、その処理空間を蚊類に対し20時間以上にわたり防除可能とするために、噴霧粒子の気中残存率と壁や床面への付着率を考慮して、エアゾール原液/噴射剤比率を10〜50/50〜90(容量比)とする。そのうえで、噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μm、好ましくは25〜70μmであり、かつ、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量が4.5〜8畳あたり5.0〜12mgであるように設計される。
上記蚊類防除用エアゾールは、屋内で一定量噴霧処理するための定量噴霧用エアゾールバルブを備え、一回当たりの噴霧容量としては0.1〜0.9mLが適当であり、その用途、使用目的等に応じて、適宜噴口、ノズル、容器等の形状を選択すればよい。
例えば、上から押して噴霧するボタンと斜め上方向きのノズルを備えた卓上タイプとしたり、小型容器の携帯用として設計することができる。
本発明は、メトフルトリンを含有する蚊類防除用エアゾールを、屋内で一定量、好ましくは一回当たり空中に向けて0.1〜0.9mLで噴霧し、所定量の噴霧粒子を気中に浮遊残存させる一方、十分量の噴霧粒子が壁に付着するようになし、その処理空間を蚊類に対し20時間以上にわたり防除可能としたものである。なお、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量は4.5〜8畳あたり5.0〜12mgに規定される。
これに対し、特許文献1のエアゾール殺虫剤は、飛翔害虫を対象とするものの具体例としてトランスフルトリンを用いているために、噴霧粒子径を小さくして処理薬剤量の気中残存率を高めただけでは防除持続時間を20時間程度まで延長することができなかったのである。
本発明の蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法でいう蚊類とは、通常の蚊であるアカイエカ、ヒトスジシマカ等を含むのみならず、カ亜目に属するユスリカ類やチョウバエ類などを含むものである。すなわち、有効な害虫としては、アカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類のほか、屋内で飛翔して人に被害や不快感を与える害虫、例えば、ユスリカ類、ブユ類、チョウバエ類等の各種カ亜目に属する飛翔害虫が挙げられるが、これらの害虫に限定されるものではない。
つぎに具体的実施例ならびに試験例に基づいて、本発明の蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
メトフルトリンをエタノールに溶解してメトフルトリン15.0w/v%のエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液9mLと液化石油ガス21mL[エアゾール原液/噴射剤比率:30/70(容量比)]を定量噴霧(0.2mL)用エアゾールバルブ付きエアゾール容器に加圧充填して、本発明の蚊類防除用エアゾールを得た。
このエアゾールの噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)は3.7g・fで、噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径は52μmであった。また、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量は4.5〜8畳あたり9.0mgであった。
ほぼ密閉した6畳の部屋で、やや斜め上方に向けて前記エアゾールを0.2mL噴霧した。このエアゾールは、全体の噴霧粒子のうちのおよそ1.8%が噴霧処理1時間後までに壁面に付着することが認められ、その結果、20時間以上にわたり蚊類による刺咬被害を受けることがなく、非常に実用性の高いものであった。また、ゴキブリ類、アリ類やシバンムシ等の匍匐害虫を寄せ付けないという副次的な効果も伴った。
実施例1に準じて表1に示す各種蚊類防除用エアゾールを調製し、下記に示す試験を行った。その試験結果を纏めて表2に示す。
(1)25mの部屋での蚊類に対する防除効果
閉めきった25mの部屋の中央で供試エアゾールを斜め上方に向けて0.2mL(但し、本発明4については0.4mL)噴霧した。直ちに、アカイエカ雌成虫50匹を放ち2時間暴露させた後、全ての供試蚊を回収した。その間、時間経過に伴い落下仰転したアカイエカ雌成虫を数え、KT50値を求めた。同じ部屋で引き続き、噴霧10時間後、及び噴霧20時間後についても同様な操作を行った。
(2)メトフルトリン噴出量
噴霧処理前後の重量減からメトフルトリン噴出量を算出した。
(3)噴霧粒子の壁面付着量
参考として、噴霧粒子の壁面付着量を算出するにあたっては、25mの部屋の壁面の数ケ所に20×20cmのガラス板を置き、噴霧処理1時間後に全てのガラス板を取り出し、付着した害虫防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた分析値を基に、噴霧処理1時間後までに壁面に付着した害虫防除成分の理論上の噴霧全体量に対する比率を求めた。
Figure 2018076382
Figure 2018076382
本発明1、比較例1及び比較例2に係る試験の結果、メトフルトリン、トランスフルトリン及びプロフルトリンはいずれも常温揮散性ピレスロイド化合物に該当するものの、本方式で蚊成虫に対し防除効果を20時間以上にわたり発揮し得るのはメトフルトリンのみであった。そして、そのエアゾール原液を構成する有機溶剤としては、本発明1〜本発明4、並びに本発明6との対比から、炭素数が2〜3の低級アルコール及び炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルが好ましく、なかでもエタノール及びミリスチン酸イソプロピルが効果的であることが認められた。更に、噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径としては10〜80μmであることが要求されるものの、本発明5及び本発明6の結果を考慮すると、25〜70μmの範囲が好ましかった。
これに対し、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)の範囲を外れるもの(比較例3及び比較例4)、並びに比較例5のように、メトフルトリン噴出量が25mの部屋(6畳)あたり5.0mg未満のものは、蚊類に対する防除効果が20時間まで持続しなかった。
メトフルトリンをミリスチン酸イソプロピルに溶解して、メトフルトリン30.0w/v%のエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液7.0mLと液化石油ガス13.0mL[エアゾール原液/噴射剤比率:35/65(容量比)]を定量噴霧(0.1mL)用エアゾールバルブ付きエアゾール容器に加圧充填して、本発明の害虫防除用エアゾールを得た。
このエアゾールの噴霧粒子の体積積算90%粒子径は58μmであった。また、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量は10.5mgであった。
前記エアゾールを用いて、ほぼ密閉した6畳の部屋で、やや斜め上方に向けて0.1mL噴霧した。この部屋の中にユスリカを放虫し、その効果を確認したところ、直ぐにノックダウンし、害虫に悩まされることはなかった。
このように、本発明の蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法によってのみ、蚊類に対して20時間以上にわたる防除効果が達成できることが明らかである。
本発明は、蚊類だけでなく広範な害虫駆除を目的として利用することが可能である。

Claims (7)

  1. (a)害虫防除成分としてメトフルトリン及び(b)有機溶剤を含有するエアゾール原液と、(c)噴射剤とを、エアゾール原液/噴射剤比率が10/90〜50/50(容量比)となるように、定量噴霧用エアゾールバルブを備えたエアゾール容器に充填した蚊類防除用エアゾールであって、
    前記エアゾール原液におけるメトフルトリン含有量が1.0〜50w/v%であり、
    当該エアゾールの噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μmであり、
    前記定量噴霧用エアゾールバルブを通した1回の噴霧処理により5.0〜12mgの害虫防除成分を噴出させ、屋内の18.75〜33.3mの処理空間において壁面に付着させた噴霧粒子により蚊類を防除する蚊類防除用エアゾール。
  2. 前記噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が25〜70μmであることを特徴とする請求項1に記載の蚊類防除用エアゾール。
  3. 前記有機溶剤が、炭素数が2〜3の低級アルコール及び/又は炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蚊類防除用エアゾール。
  4. 前記炭素数が2〜3の低級アルコールがエタノールであり、また、前記炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルであることを特徴とする請求項3に記載の蚊類防除用エアゾール。
  5. 噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)が2.0g・f以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蚊類防除用エアゾール。
  6. 前記定量噴霧用エアゾールバルブの一回当たりの噴霧容量が、0.1〜0.9mLであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蚊類防除用エアゾール。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量噴霧処理することを特徴とする蚊類の防除方法。
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