JP2018076382A - 蚊類防除用エアゾール、及びこれを用いた蚊類の防除方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献1の方法では、殺虫効力の持続に限度があり、実用的な持続時間はせいぜい12〜14時間に留まるものと認識されていた。
一方、特許文献2(特開2001−328913号公報)は、殺虫成分のメトフルトリンを含有するエアゾールを室内の構造物や備品の表面に直接付着せしめ、表面から再揮散するメトフルトリンの作用で飛翔害虫を駆除できる旨開示している。この特許文献2は、(B)の後で(C)を期待する方法であるが、(C)への移行は使用条件に大きく左右されるので、飛翔害虫に対して安定した駆除効果が得られるとは到底考えられない。
(1)噴霧直後は、気中に浮遊する薬剤粒子に飛翔する害虫が接触して防除効果が発現する。
(2)その後、時間の経過とともに、浮遊した薬剤粒子は落下等により室内の壁や床に付着する。
(3)噴霧処理後に室外から侵入した蚊等の蚊類は、室内の壁や床に係留した際に、そこに付着していた薬剤に接触して駆除される。
(4)ハエ類やコバエ類の場合、蚊と比較すると壁等にあまり係留せずに飛び回る習性が強く、また薬剤に対する感受性が比較的低いことから、壁や床に付着した微量粒子への接触では十分な防除効果を期待できない。
本発明者らは、上記検討結果に基づき、そのうえで特に蚊類に対して20時間以上にわたり防除効果が持続可能な定量噴霧タイプのエアゾールの開発に着手した。そして、その検討過程において、殺虫成分の選択、噴霧薬剤粒子径分布、及び室内の特に壁への薬剤付着効率が極めて重要であることを知見し、鋭意種々試験を繰り返した結果、本発明を完成するに至ったものである。
(1)(a)害虫防除成分としてメトフルトリン、及び(b)有機溶剤を含有するエアゾール原液と、(c)噴射剤とからなり、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)である定量噴霧用エアゾールバルブを備えた蚊類防除用エアゾールであって、
当該エアゾールの噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μmで、しかも1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量を4.5〜8畳あたり5.0〜12mgとなし、その処理空間を20時間以上にわたり蚊類を防除可能にせしめる蚊類防除用エアゾール。
(2)前記噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が25〜70μmである(1)に記載の蚊類防除用エアゾール。
(3)前記有機溶剤が、炭素数が2〜3の低級アルコール及び/又は炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルである(1)又は(2)に記載の蚊類防除用エアゾール。
(4)前記炭素数が2〜3の低級アルコールがエタノールであり、また、前記炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである(3)に記載の蚊類防除用エアゾール。
(5)噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)が2.0g・f以上である(1)ないし(4)のいずれか1に記載の蚊類防除用エアゾール。
(6)前記定量噴霧用エアゾールバルブの一回当たりの噴霧容量が、0.1〜0.9mLである(1)ないし(5)のいずれか1に記載の蚊類防除用エアゾール。
(7)(1)ないし(6)のいずれか1に記載の蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量噴霧処理する蚊類の防除方法。
これは、各常温揮散性ピレスロイド化合物における蒸気圧等の物理化学的性状や基礎殺虫効力活性等が総合的に関連しているものと考えられる。
なお、メトフルトリンの酸成分には、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
なお、エアゾール原液中のメトフルトリン含有量が1.0w/v%未満であると所望の効果が得られないし、一方、50w/v%を超えるとエアゾール内容液の液性安定化の点で困難を伴う。
このために、本発明の蚊類防除用エアゾールは、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)であり、しかも、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量が4.5〜8畳あたり5.0〜12mgであることを必須とする。
エアゾール原液/噴射剤比率が10/90より小さく噴射剤が多すぎると、噴霧粒子が必要以上に微細となり壁への付着量が不足する。一方、50/50を超えると、逆に噴霧粒子が速やかに沈降しメトフルトリンの気中濃度が不十分となる。
なお、噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)は、0.5g・f以上が好ましい。0.5g・f未満では噴霧の勢いが不足し、噴霧粒子が屋内の隅まで到達しないため満足な蚊類の防除効果が得られない。
また、メトフルトリン噴出量が4.5〜8畳あたり5.0mg未満の場合、壁面への付着量が不足するし、一方、12mgを超えるようになしても壁面付着量は必ずしも噴出量に相応せず経済的デメリットが避けられない。
また、有機溶剤としても、炭素数が2〜3の低級アルコールや炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルに加え、例えば、n−パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、炭素数3〜6のグリコールエーテル類、ケトン系溶剤等を適宜添加可能である。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどがあげられ、なかでも、エーテル類が適している。
また、芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分などがあげられるがこれらに限定されない。
本発明では、その処理空間を蚊類に対し20時間以上にわたり防除可能とするために、噴霧粒子の気中残存率と壁や床面への付着率を考慮して、エアゾール原液/噴射剤比率を10〜50/50〜90(容量比)とする。そのうえで、噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μm、好ましくは25〜70μmであり、かつ、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量が4.5〜8畳あたり5.0〜12mgであるように設計される。
例えば、上から押して噴霧するボタンと斜め上方向きのノズルを備えた卓上タイプとしたり、小型容器の携帯用として設計することができる。
これに対し、特許文献1のエアゾール殺虫剤は、飛翔害虫を対象とするものの具体例としてトランスフルトリンを用いているために、噴霧粒子径を小さくして処理薬剤量の気中残存率を高めただけでは防除持続時間を20時間程度まで延長することができなかったのである。
このエアゾールの噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)は3.7g・fで、噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径は52μmであった。また、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量は4.5〜8畳あたり9.0mgであった。
(1)25m3の部屋での蚊類に対する防除効果
閉めきった25m3の部屋の中央で供試エアゾールを斜め上方に向けて0.2mL(但し、本発明4については0.4mL)噴霧した。直ちに、アカイエカ雌成虫50匹を放ち2時間暴露させた後、全ての供試蚊を回収した。その間、時間経過に伴い落下仰転したアカイエカ雌成虫を数え、KT50値を求めた。同じ部屋で引き続き、噴霧10時間後、及び噴霧20時間後についても同様な操作を行った。
(2)メトフルトリン噴出量
噴霧処理前後の重量減からメトフルトリン噴出量を算出した。
(3)噴霧粒子の壁面付着量
参考として、噴霧粒子の壁面付着量を算出するにあたっては、25m3の部屋の壁面の数ケ所に20×20cmのガラス板を置き、噴霧処理1時間後に全てのガラス板を取り出し、付着した害虫防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた分析値を基に、噴霧処理1時間後までに壁面に付着した害虫防除成分の理論上の噴霧全体量に対する比率を求めた。
これに対し、エアゾール原液/噴射剤比率が10〜50/50〜90(容量比)の範囲を外れるもの(比較例3及び比較例4)、並びに比較例5のように、メトフルトリン噴出量が25m3の部屋(6畳)あたり5.0mg未満のものは、蚊類に対する防除効果が20時間まで持続しなかった。
このエアゾールの噴霧粒子の体積積算90%粒子径は58μmであった。また、1回の噴霧処理におけるメトフルトリン噴出量は10.5mgであった。
Claims (7)
- (a)害虫防除成分としてメトフルトリン及び(b)有機溶剤を含有するエアゾール原液と、(c)噴射剤とを、エアゾール原液/噴射剤比率が10/90〜50/50(容量比)となるように、定量噴霧用エアゾールバルブを備えたエアゾール容器に充填した蚊類防除用エアゾールであって、
前記エアゾール原液におけるメトフルトリン含有量が1.0〜50w/v%であり、
当該エアゾールの噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が10〜80μmであり、
前記定量噴霧用エアゾールバルブを通した1回の噴霧処理により5.0〜12mgの害虫防除成分を噴出させ、屋内の18.75〜33.3m3の処理空間において壁面に付着させた噴霧粒子により蚊類を防除する蚊類防除用エアゾール。 - 前記噴霧粒子の体積積算分布での90%粒子径が25〜70μmであることを特徴とする請求項1に記載の蚊類防除用エアゾール。
- 前記有機溶剤が、炭素数が2〜3の低級アルコール及び/又は炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蚊類防除用エアゾール。
- 前記炭素数が2〜3の低級アルコールがエタノールであり、また、前記炭素数の総数が16〜20の高級脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルであることを特徴とする請求項3に記載の蚊類防除用エアゾール。
- 噴射距離20cmにおける噴射力(25℃)が2.0g・f以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蚊類防除用エアゾール。
- 前記定量噴霧用エアゾールバルブの一回当たりの噴霧容量が、0.1〜0.9mLであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蚊類防除用エアゾール。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の蚊類防除用エアゾールを屋内で一定量噴霧処理することを特徴とする蚊類の防除方法。
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