JP3800576B2 - 加工プログラム作成支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械での加工に関する加工プログラムの作成を支援する加工プログラム作成支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マシニングセンタ等の従来のNC工作機械では、工具の送り速度や周速、主軸の回転数等からなる加工条件が予め機械のメモリに記憶されており、加工プログラム作成時には、オペレータが、使用する工具の種類や加工するワークの材質等の情報を指定入力することにより、これら指定入力された情報に応じて、前記メモリに記憶されている加工条件から適当なものが自動選択されて加工プログラム中に設定されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような機械のメモリに記憶されている加工条件は、様々な材質の工具やワークに対して、また、様々なワークの取付け方法、刃具の把握方法に対して汎用的な数値である。そのためこのような加工条件は、高速な加工を実現するのに十分な数値とはならないことが多い。従って、加工プログラム作成時にこの加工条件の数値を主軸モータ等の能力の範囲内で変更し、より高速な加工を行う加工プログラムを作成する試みがなされている。しかし、加工条件の数値を適切に変更するには機械、工具等に対して高度な知識や経験が必要であり簡単ではなかった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、加工プログラム中の加工条件の変更を容易にし、効率の良い加工を行う加工プログラムを簡単に作成できるように支援する加工プログラム作成支援装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明のうち第1の発明は、加工条件が設定された加工工程(KK1〜KK10)を1つ以上含んだ原加工プログラム(GPR)を変更修正する形で修正加工プログラム(PRO)を作成する作業を支援する加工プログラム作成支援装置(2)において、
前記加工工程(KK1〜KK10)について加工条件の変更修正方針を示したメッセージ(MSG)を保存したメッセージ保存部(47)、
前記原加工プログラムのシミュレーションを実行するシミュレーション実行部、
前記シミュレーション実行部によりシミュレーションされた前記原加工プログラム(GPR)の、各加工工程(KK1〜KK10)についての、最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速の計算値をそれぞれ記憶格納する加工実行状態計測値メモリ(12a)、
予め設定された、主軸負荷についての上限値、工具の周速上限値に基づいてドリル加工工程の加工効率を判定するドリル加工効率判定プログラム、予め設定された、主軸負荷についての上限値、工具の周速上限値及び主軸の基底回転数に基づいてフェイスミル又はエンドミルの荒加工工程の加工効率を判定するフェイスミル/エンドミル荒加工効率判定プログラム、及び、予め設定された工具の周速上限値に基づいてフェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程の加工効率を判定するフェイスミル/エンドミル仕上げ加工効率判定プログラムを記憶格納した第1のメモリ手段(16)、
前記原加工プログラム(GPR)における、ドリル加工行程、フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程、フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程に関し、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された前記各加工工程について、
a)前記ドリル加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての前記最大主軸負荷及び工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したドリル加工効率判定プログラムに基づいて、
b)前記フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての、前記最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したフェイスミル/エンドミル荒加工効率判定プログラムに基づいて、
c)前記フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての前記工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したフェイスミル/エンドミル仕上げ加工効率判定プログラムに基づいて、
それぞれ判定する加工実行状態計測値判定部(41、42、50)、及び、
前記加工実行状態計測値判定部(41、42、50)による判定結果に応じて、前記メッセージ保存部(47)に保存されたメッセージ(MSG)を選択表示するメッセージ表示部(6、13)、を有して構成される。
【0006】
また本発明のうち第2の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置(2)において、前記加工実行状態計測値判定部(41、42、50)による解析対象とする加工工程(KK1〜KK10)を指定入力自在な加工工程指定入力手段(5)を設け、
前記加工実行状態計測値判定部(41、42、50)は、前記加工工程指定入力手段(5)を介して指定入力された前記ドリル加工工程、フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程又は、前記フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程に関し、判定するようになっている。
【0011】
また本発明のうち第3の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置(2)において、前記メッセージ保存部(47)は、工具の周速を高める形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージ(MSG)を保存している。
【0012】
また本発明のうち第4の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置(2)において、前記メッセージ保存部(47)は、主軸の回転数を高める形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージ(MSG)を保存している。
【0013】
また本発明のうち第5の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置(2)において、前記メッセージ保存部(47)は、工具を変更する形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージ(MSG)を保存している。
【0014】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、本発明による加工プログラム作成支援装置の一例である加工ナビゲーション装置を有した、マシニングセンタの制御装置を示すブロック図、
図2(a)は、切削時刻情報を表わしたグラフを示す図、
図2(b)は、処理テーブルを示した図、
図2(c)は、サブルーチン番号テーブルを示した図、
図2(d)は、加工状態情報を示した図、
図3は、ナビゲーションプログラムの内容を示したフロートチャート、
図4は、サブルーチン61Rの内容を示したフロートチャート、
図5は、サブルーチン62Rの内容を示したフロートチャート、
図6は、サブルーチン63Rの内容を示したフロートチャート、
図7は、サブルーチン64Rの内容を示したフロートチャート、
図8は、ナビゲート情報ファイルを示した図、
図9(a)は、上限基本周速ファイルSYF1を示した図、
図9(b)は、上限周速係数ファイルSKF1を示した図、
図9(c)は、上限基本周速ファイルSYF2を示した図、
図9(d)は、上限周速係数ファイルSKF2を示した図、
図9(e)は、上限基本周速ファイルSYF3を示した図、
図9(f)は、上限周速係数ファイルSKF3を示した図、
図10は、主軸の回転数に対する出力特性をグラフで示した図である。
【0016】
マシニングセンタ1は図1に示すように、該マシニングセンタ1の制御装置100の一部を構成する形で加工ナビゲーション装置2を有しており、加工ナビゲーション装置2は主制御部3を有している。主制御部3には、バス線を介して、キーボード5、ディスプレイ6、プログラム作成部7、工具データファイルメモリ9、加工プログラムメモリ10、加工シミュレーション実行部11、シミュレーション情報管理部12、表示制御部13、加工ナビゲーション実行部15、システムプログラムメモリ16、工具番号入力判定部17、工具番号メモリ19、変数メモリ20、サブルーチン番号検出部21、サブルーチン番号テーブルメモリ22、サブルーチン番号検出判定部23、サブルーチン実行部25、処理終了判定部26、対象工具検出部27、対象工具番号メモリ29、工具径判定部40、主軸負荷判定部41、周速判定部42、上限基本周速ファイルメモリ43、上限周速係数ファイルメモリ45、周速上限値演算検出部46、ナビゲート情報メモリ47、ナビゲート情報管理部49、回転数判定部50等が接続されている。なお、シミュレーション情報管理部12にはシミュレーション結果情報メモリ12aが接続されている。
【0017】
マシニングセンタ1及びその制御装置100等は以上のような構成を有するので、加工プログラムPROの作成が以下のように行われる。即ち、オペレータは、使用する工具の工具番号や加工するワークの材質及び加工の形態等の情報をキーボード5等を介して指定し入力する。ところで、工具データファイルメモリ9には公知の工具データファイルKDFが、各工具の工具種や工具材種及び、該工具に関する適切な送り速度や周速及び主軸の回転数等の情報を、該工具の工具番号に対応したテーブル形式で格納した形で保存されており、プログラム作成部7は、キーボード5等を介して工具番号及びワークの材質等が入力されると、該入力された工具番号及びワークの材質等に基づき、工具データファイルメモリ9に保存されている前記工具データファイルKDFを参照する形で、各工具に関する適切な送り速度や周速及び主軸の回転数等の切削条件(加工条件)を選択決定し、この選択決定した切削条件を用いて公知の自動プログラミングの手法により加工プログラムGPRを作成する。作成された加工プログラムGPRは加工プログラムメモリ10に格納される。なお、本実施例で作成しようとしている加工プログラムPROは、原加工プログラムである前記加工プログラムGPRを元にし、該加工プログラムGPRの一部を変更修正する形で作成される修正加工プログラムである。
【0018】
加工プログラムGPRの作成及び格納完了後、オペレータはキーボード5等を介して加工シミュレーションの指令を入力する。主制御部3は、該入力された指令に基づき、加工シミュレーション実行部11に加工シミュレーションの実行を命じる。これを受けて、加工シミュレーション実行部11は、加工プログラムメモリ7に格納されている加工プログラムGPRを読み出し、該加工プログラムGPRに基づいて公知の加工シミュレーションの手法により加工シミュレーションを実行する。なお、この加工シミュレーションを行いながら加工シミュレーション実行部11は、公知の手法によって、該加工シミュレーションに関するシミュレーション結果情報KJをシミュレーション情報管理部12に伝送し、シミュレーション情報管理部12は、伝送されてきたシミュレーション結果情報KJをシミュレーション結果情報メモリ12aに保存すると共に、表示制御部13にもこれらを伝送する。表示制御部13は伝送されてきたこれら情報KJをディスプレイ6を介して数値やグラフの形で表示出力する。例えば前記加工プログラムGPRでは、図2(a)に示すように、工具番号T1、T2、……、T10の各工具による切削、即ち各工具による加工工程KK1〜KK10を、この順序で順次行う形の加工が指示されており、従って、シミュレーション結果情報KJには、各加工工程KK1〜KK10に関する切削の開始時刻と終了時刻を記した切削時刻情報SJが含まれている。従って、ディスプレイ6を介して表示出力されるものの中には、図2(a)に示すように前記切削時刻情報SJをグラフ等の形で示したものが含まれている。また、シミュレーション結果情報KJには、切削時刻情報SJの他にも、各加工工程KK1〜KK10における主軸や工具の状態を示した加工実行状態計測値である加工状態情報HJが含まれており、例えば加工状態情報HJは図2(d)に示すように、各工具番号に対して、該工具番号を持つ工具による加工工程KK1〜KK10の、最大主軸負荷(即ち、切削時における主軸のトルク荷重の最大値を、該主軸の最大許容トルク荷重に対するパーセンテージで示したもの)及び、工具の周速(単位は、m/分)及び、主軸の回転数
(毎分の回転数)が、テーブル形式で保存されているものである。
【0019】
加工シミュレーションが完了した後、オペレータは、加工ナビゲーション実行の指令C1をキーボード5を介して入力する。該指令C1を受けた主制御部3は加工ナビゲーション実行部15に加工ナビゲーションの実行を命じる。これを受けて加工ナビゲーション実行部15は、システムプログラムメモリ16に保存されているナビゲーションプログラムNPR(図3にその内容を示す)を読み出し、該ナビゲーションプログラムNPRに基づいて処理を進める。即ち、加工ナビゲーション実行部15は、図3に示すように表示制御部13に加工工程入力要求の表示を命じ、これを受けて表示制御部13はディスプレイ6を介して、加工ナビゲーションの対象とする加工工程を、該加工工程での切削を行う工具の工具番号を入力する形で指定するように要求する内容の表示(図示せず)を行う(ステップSTP1)。この表示を見てオペレータは、既にディスプレイ6で表示されていた図2(a)に示す切削時刻情報SJを示したグラフ等を参照して、加工ナビゲーションの対象としたい加工工程、例えば比較的長時間の切削となる加工工程を、該加工工程での切削を行う工具の工具番号で選び出し、選んだ工具の工具番号をキーボード5等を介して入力指定する。例えばこの場合には図2(a)に示すように工具番号T2、T5、T8、T10の工具での加工工程KK2、KK5、KK8、KK10において切削が比較的長時間となっており、工具番号T2、T5、T8、T10をキーボード5等を介して入力した。一方、この時点で工具番号入力判定部17は、キーボード5等を介した工具番号の入力が完了されたかどうかを判定しており(ステップSTP2)、キーボード5等を介して工具番号T2、T5、T8、T10の入力が完了されることにより、工具番号入力判定部17は工具番号の入力が完了されたと判定して判定結果S1を出力する。
【0020】
この判定結果S1が出力されると、加工ナビゲーション実行部15は入力された前記工具番号T2、T5、T8、T10を工具番号メモリ19に保存する(ステップSTP3)。工具番号メモリ19には図2(b)に示すような処理テーブルSTBが保存されており、従って工具番号メモリ19における工具番号T2、T5、T8、T10の保存は、この処理テーブルSTBにおいて、これら工具番号T2、T5、T8、T10を、その工具番号の若い順に処理順i(1、2、……)の順番に対応させて格納する形で行われる。次いで、加工ナビゲーション実行部15は、変数メモリ20に格納されている変数iに初期値である1を代入し(ステップSTP4)、サブルーチン番号検出部21に適用すべきサブルーチン番号の検出を指令する(ステップSTP5)。これを受けてサブルーチン番号検出部21は、まず対象工具検出部27に、1回目の処理で対象になる工具の工具種を検出するように命じ、対象工具検出部27は、変数メモリ20の変数i(この場合は変数iの値は1)に基づき、該変数iと同じ数値の処理順i(この場合は処理順が1)に対応する工具番号(この場合は図2(b)より工具番号T2)を工具番号メモリ19の処理テーブルSTBを参照する形で検出し、検出した該工具番号T2に基づいて、工具データファイルメモリ9の工具データファイルKDFを参照する形で、該工具番号T2をもつ工具の工具種を検出する(この場合の工具種は、例えばドリルであった)。なおこの時点で対象工具検出部27は、変数メモリ20の変数iと同じ数値の処理順iに対応する工具番号T2、即ち1回目の処理で対象になる工具の工具番号T2を対象工具番号メモリ29に保存する。一方、サブルーチン番号テーブルメモリ22には、図2(c)に示すように各工具種に対応した形でサブルーチン番号がテーブル形式で格納されたサブルーチン番号テーブルVTBが保存されており、上述したように対象工具検出部27が工具番号T2をもつ工具の工具種を検出すると、サブルーチン番号検出部21は該対象工具検出部27が検出した工具種(この場合はドリル)に基づき、前記サブルーチン番号テーブルVTBを参照する形で該工具種に対応するサブルーチン番号(この場合は図2(c)よりサブルーチン番号は61)を検出する。
【0021】
なお、サブルーチン番号検出判定部23は、サブルーチン番号検出部21によりサブルーチン番号が検出されたかどうかを判定しており(ステップSTP6)、上述したようにサブルーチン番号検出部21によりサブルーチン番号が検出されたことにより、サブルーチン番号検出の判定結果S2を出す。ところで、上述したナビゲーションプログラムNPR中には、前記ステップSTP6に続くステップSTP7として4つのサブルーチンSR61、SR62、SR63、SR64を、これらが選択的に実行される形で含んでおり、各サブルーチンSR61、SR62、SR63、SR64は図2(c)に示す各サブルーチン番号(61、62、63、64)に対応したものとなっている。そこで、前記判定結果S2を受けて加工ナビゲーション実行部15は、サブルーチン番号検出部21により検出されたサブルーチン番号(61)に基づき、該サブルーチン番号に対応するサブルーチンSR61(図4に示す)の処理を行う(ステップSTP7)。なおステップSTP6においてサブルーチン番号検出部21がサブルーチン番号を検出できなかった場合(例えば工具種が「リーマ」等である場合には図2(c)のサブルーチン番号テーブルVTBに記されていないので検出が不能となる)には、サブルーチン番号検出判定部23はサブルーチン番号検出不能の判定結果S3を出す。この判定結果S3が出された場合には、図3に示すように、ステップSTP7には進まず後述するステップSTP8に入ることになる。つまり、図2(c)のサブルーチン番号テーブルVTBに記されていない工具種(例えばボーリング等)での切削の加工工程は加工ナビゲーションの対象外となっている。
【0022】
なお本実施例では図3に示すフローチャートに従い、複数の加工工程を一度に入力指定して、これらに関する加工ナビゲーションを自動的に順次行うタイプのものを説明しているが、加工工程を1つづつ入力指定し、入力指定された加工工程についてその都度加工ナビゲーションを行うようにしてもよい。即ち、オペレータは、図2(a)に示す切削時刻情報SJを示したグラフ等を参照して加工ナビゲーションの対象としたい加工工程を1つ選び、例えばその工具番号をキーボード5等で入力指定する。対象工具検出部27は入力指定された工具番号に基づいて、工具データファイルメモリ9の工具データファイルKDFを参照する形で、該工具番号T2をもつ工具の工具種を検出する。サブルーチン番号検出部21は検出した工具種に基づき、サブルーチン番号テーブルVTBを参照する形で該工具種に対応するサブルーチン番号を検出し、加工ナビゲーション実行部15は、検出されたサブルーチン番号に対応するサブルーチンの処理を行う。こうしてサブルーチンの処理が完了し、従ってメッセージの表示等(後述)がなされ後、該メッセージに従って加工プログラムのうち該当箇所の変更修正(後述)を行う。以降、加工ナビゲーションの対象としたい次の加工工程を1つ入力指定し、入力指定された工具番号から対応するサブルーチン番号を検出し、検出されたサブルーチン番号に対応するサブルーチンの処理を行い、表示されたメッセージに従って加工プログラムのうち該当箇所の変更修正を行う、といった一連の作業を繰り返す形で、複数の加工工程についての加工ナビゲーション及び加工プログラムの変更修正を行う。なおこの場合、同一の加工工程を繰り返し入力指定して、該加工工程についての加工ナビゲーション及び該加工工程に関する加工プログラムの変更修正を繰返し行うようにしてもよいことは勿論である。
【0023】
最初の実施例に戻りその説明を続ける(なお、サブルーチンの処理や後述する加工プログラムの変更修正に関しては、上述した別の例にも共通する内容である)。即ち、サブルーチンSR61では、まず図4に示すように加工ナビゲーション実行部15は、工具径判定部40に工具径の判定を命じる。これを受けて工具径判定部40は、対象工具番号メモリ29に保存されている現在処理の対象となっている工具番号T2及び、工具データファイルメモリ9の工具データファイルKDFより、該工具番号T2のドリルの工具径を検出し、該工具径が直径3mm以上であるかどうかを判定する(ステップSTP101)。この工具径判定部40において、工具径が直径3mm以上でないと判定された場合(即ち工具径が直径3mm未満の場合)、工具径が小さすぎて周速等の変更が困難であるため、加工ナビゲーションを行わずサブルーチンSR61を終了する。またステップSTP101において、工具径が直径3mm以上であると判定された場合には、主軸負荷判定部41が主軸負荷の判定を行う(ステップSTP102)。即ち、主軸負荷判定部41は、対象工具番号メモリ29に保存されている工具番号T2及び、シミュレーション結果情報メモリ12aに保存されている加工状態情報HJより、該工具番号T2のドリルでの加工工程KK2における最大主軸負荷(この場合は60%)を検出し、該最大主軸負荷が主軸負荷上限SF(加工効率判定パラメータの一つであり、本実施例では一例として80%と設定されているが、ナビゲーションプログラムNPRの実行開始前にこの数値を変更して設定することも可能である。)以下であるかどうか判定する。この主軸負荷判定部41において、前記ドリルでの切削における最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下でないと判定された場合(即ち最大主軸負荷が80%より大きい場合)、加工ナビゲーションを行わずサブルーチンSR61を終了する(つまり、加工工程KK2では、これ以上加工の効率を向上させる必要がないので後述するメッセージMSG等の表示を行わない)。またステップSTP102において、前記ドリルでの切削における最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であると判定された場合、即ち主軸負荷にいまだ余裕がある場合には、周速判定部42が工具の周速の判定を行う(ステップSTP103)。
【0024】
即ち、周速判定部42は対象工具番号メモリ29に保存されている工具番号T2及び、シミュレーション結果情報メモリ12aに保存されている加工状態情報HJより、該加工工程KK2における工具の周速(この場合は図2(d)より40.8m/分)を検出する。上限基本周速ファイルメモリ43には、図9(a)に示すような上限基本周速ファイルSYF1が保存されており、この上限基本周速ファイルSYF1には、ドリル加工時における、各ワーク材質(FC、FCD、S45C、……)に対する上限基本周速(単位はm/分)が格納されている。また、上限周速係数ファイルメモリ45には、図9(b)に示すような上限周速係数ファイルSKF1(なお上限周速係数ファイルSKF1は図9(b)に示すように複数のテーブルta1、ta2、ta3、……、からなっており、各テーブルta1、ta2、ta3、……、は、それぞれ図9(a)に示す上限基本周速ファイルSYF1の各ワーク材質(FC、FCD、S45C、……)に関するものである。)が保存されており、この上限周速係数ファイルSKF1には、ドリル加工時における、各工具材種(ハイス、チョウコウ、コートハイス、……)等に対する上限周速係数(単位は%)、即ち上限基本周速に対する修正係数が格納されている(なお本明細書で述べている「工具材種」とは、ハイスやチョウコウ等のように刃の材質、或いは冷却水流通穴の穿設されたクーラントスルー等のように工具の構造、また或いは使い捨てで使用するように形成されたスローアウェイ等のように工具の使用形態によって区別した工具の種を意味する)。そこで、周速上限値演算検出部46は、加工プログラムメモリ10に保存されている加工プログラムGPR中から、加工されるワークの材質を検出すると共に、対象工具番号メモリ29に保存されている工具番号T2に基づいて、工具データファイル9の工具データファイルKDFより、該工具の工具材種を検出する。そして周速上限値演算検出部46は、前記検出されたワーク材質に基づき、上限基本周速ファイルメモリ43に保存されている上限基本周速ファイルSYF1より該ワーク材質に対応した上限基本周速を検出すると共に、前記検出された工具材種及び、上限周速係数ファイルメモリ45に保存されている上限周速係数ファイルSKF1より該工具材種に対応した上限周速係数を検出する。更に周速上限値演算検出部46は、以上のように検出した上限基本周速と上限周速係数を掛け算することにより、工具材種を考慮した各ワーク材質における上限周速として、加工効率判定パラメータの一つである周速上限値WJ(単位はm/分)を演算検出する。例えば、ワーク材質がFCであり、工具材種がチョウコウである場合には、図9(a)及び図9(b)に示すように、上限基本周速は30m/分、上限周速係数は220%となるので、周速上限値WJは66m/分となる。なお、周速上限値WJ(後述するエンドミルやフェイスミルの場合も同様)は、上述したような上限基本周速と上限周速係数の単純な掛け算だけでなく、工具径、加工幅及び深さ、ワークの剛性、工具把握方法等を考慮して演算することも可能である。
【0025】
周速判定部42は、ステップSTP103で検出された該ドリルでの切削における周速が、周速上限値演算検出部46により演算検出された周速上限値WJ以下であるかどうかを判定する。ナビゲート情報メモリ47には、例えば図8に示すように、ナビゲート情報番号1番〜10番までの10種類のメッセージMSG(なお図8で記載するメッセージの内容は一例であり、この図8の内容に限定されない。メッセージの内容は適宜変更可能である。)が保存されている。このメッセージMSGの内容は、オペレータがプログラムした加工プログラムGPRで指示された加工に関して、より高速で効率の良い加工を行うための加工プログラムの変更修正方針を示したものである。前記周速判定部42において、前記ドリルでの切削における周速が周速上限値WJ以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷そのものには余裕があるが(ステップSTP102で判定)、現在の加工プログラムGPRに指示された工具では、当該工具の周速上限値WJを超えてしまう場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号2番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP104)。この場合は図8に示すように、より高い周速での使用が可能となるように工具の材種を変更して周速を上げるように指示する内容である(但し、図に示すメッセージMSGの内容は一例であり、ワークの取付け及び、ツーリングによってメッセージは異なることがある)。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK2において最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下となるが、現在の加工プログラムGPRに指示された工具材種の工具では周速が周速上限値WJより大きくなるので、主軸負荷を上げて加工の高速化を図るには、周速上限値WJを大きくとれる工具材種の工具に変更し(従って上限周速係数が大きくなるように工具材種を変更)、この変更に伴って大きくなった周速上限値WJに合わせて周速を上げればよいこととなる。従って、図8に示すナビゲート情報番号2番のメッセージMSG、即ち工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。具体的には、加工プログラムGPR中でオペレータが指示した工具の工具材種がチョウコウ(図9(b)より上限周速係数が220%)であった場合には冷却水流通穴の穿設されたクーラントスルー工具(図9(b)より上限周速係数が460%、但し冷却水用貫通穴が主軸に穿設されたいわゆるスピンドルスルー付きの場合)に変更するなどの内容のメッセージMSGは、このメッセージに従って加工プログラムGPRの切削条件を変更修正すると高速な加工が実現できるものとなっている。そこで後述するようにナビゲーションプログラムNPRの終了後に加工プログラムGPRの変更修正を行う際には、オペレータは上述したようにディスプレイ6で表示出力されたメッセージMSGの通りに加工プログラムGPRのうち該当する加工工程の加工条件を変更修正する。例えば、上述したようにナビゲート情報番号2番のメッセージMSGが表示された場合には、このメッセージの通りに該当する加工工程で使用する工具の工具材種を変更し、周速を上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。具体的には、加工条件を変更修正する前の工具の工具材種がチョウコウであった場合には、クーラントスルー工具(スピンドルスルー付きの場合)に変更し、周速を上げる形で加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。即ち、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する切削において周速上限値が変更修正前より大きくとられ、変更修正前にあった主軸負荷の余裕分を更に利用する形で周速を上げている。従って、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速な加工が実現される。このように加工ナビゲーション装置2は、そのディスプレイ6で表示するメッセージMSGを介して、加工プログラムの変更修正を行う上での具体的な方向性(方針)を示すようになっているので、オペレータは特別な知識や経験がなくとも、該加工ナビゲーション装置2によって示される方針に沿って加工プログラムの変更修正を行うだけで、高速で効率の良い加工を実現する加工プログラムを簡単に作成できる。
【0026】
また一方、ステップSTP103において周速判定部42で、前記ドリルでの切削における周速が周速上限値WJ以下であると判定された場合、即ち主軸負荷に余裕があり(ステップSTP102で判定)、しかも周速にも余裕がある場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号1番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP105)。この場合は図8に示すように、周速を前記周速上限値WJまで上げることが可能であることを示す内容である(この場合、ナビゲート情報番号1番のメッセージMSGと一緒に、周速上限値演算検出部46により演算検出された周速上限値WJもディスプレイ6を介して表示出力すると一層効果的である)。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK2において最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であり、かつ周速は周速上限値WJ以下であるので、加工の高速化を図るには、主軸負荷及び周速の余裕を利用する形で、周速を前記周速上限値WJまで上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号1番のメッセージMSG、即ち周速を前記周速上限値WJまで上げる内容のメッセージを表示する。そこで後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ナビゲート情報番号1番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK2での周速を、周速上限値WJを超えない値まで上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これにより、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する切削において周速が変更修正前より高くなっており、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速な加工が実現される。
【0027】
このようにステップSTP104又はステップSTP105を完了すると、図4に示すようにサブルーチンSR61を終了する。サブルーチンSR61を終了すると、図3に示すようにステップSTP8へと進む。即ち、処理終了判定部25は、変数メモリ20中の変数iが図2(b)に示す処理順iの最大値(この場合は4)以上であるかどうかを判定する。この場合には変数iの値が1であり、4以上でないので次のステップSTP9に進み、加工ナビゲーション実行部15は、変数メモリ20中の変数iの値に1を加える(これにより該変数iの値は2になった)。次いで図3に示すように再びステップSTP5に入り、サブルーチン番号検出部21に適用すべきサブルーチン番号の検出を指令し、これを受けてサブルーチン番号検出部21は、対象工具検出部27が検出した、該2回目の処理で対象となる工具の工具種(この場合の工具種は、例えば荒加工用のエンドミルであった)に基づき、前記サブルーチン番号テーブルVTBを参照する形で該工具種に対応するサブルーチン番号(この場合は図2(c)よりサブルーチン番号は62)を検出する。なおこの時点で対象工具検出部27は、変数メモリ20の変数iと同じ数値の処理順iに対応する工具番号T5、即ち2回目の処理で対象になる工具の工具番号T5を対象工具番号メモリ29に保存する。
【0028】
次いでサブルーチン番号検出判定部23が、サブルーチン番号検出部21によりサブルーチン番号が検出されたことを判定し(ステップSTP6)、サブルーチン番号検出の判定結果S2を出す。前記判定結果S2を受けて加工ナビゲーション実行部15は、サブルーチン番号検出部21により検出されたサブルーチン番号(62)に基づき、該サブルーチン番号(62)に対応するサブルーチンSR62(図5に示す)の処理を行う(ステップSTP7)。即ち、サブルーチンSR62では、まず図5に示すように加工ナビゲーション実行部15は、主軸負荷判定部41に主軸負荷の判定を行わせる(ステップSTP201)。このステップSTP201での手順は、上述したサブルーチンSR61におけるステップSTP102での手順と同じである。こうして前記荒加工用のエンドミルでの切削における最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下でないと判定された場合(即ち本実施例では、最大主軸負荷が80%より大きい場合)、周速判定部42が周速の判定を行う(ステップSTP202)。
【0029】
このステップSTP202での手順は、上述したサブルーチンSR61におけるステップSTP103での手順と略同様である。即ち、周速判定部42は、対象工具番号メモリ29の工具番号T5及び、シミュレーション結果情報メモリ12aの主軸状態情報HJより、該荒加工用のエンドミルでの切削における周速(この場合は100.4m/分)を検出する。上限基本周速ファイルメモリ43には、図9(c)に示すような上限基本周速ファイルSYF2が保存されており、この上限基本周速ファイルSYF2には、エンドミル加工時における、各ワーク材質(FC、FCD、S45C、……)に対する上限基本周速(単位はm/分)が格納されている。また、上限周速係数ファイルメモリ45には、図9(d)に示すような上限周速係数ファイルSKF2(なお上限周速係数ファイルSKF2は図9(d)に示すように複数のテーブルtd1、td2、td3、……、からなっており、各テーブルtd1、td2、td3、……、は、それぞれ図9(c)に示す上限基本周速ファイルSYF2の各ワーク材質(FC、FCD、S45C、……)に関するものである。)が保存されており、この上限周速係数ファイルSKF2には、エンドミル加工時における、各工具材種(ハイス、チョウコウ、コートハイス、……)等に対する上限周速係数(単位は%)、即ち上限基本周速に対する修正係数が格納されている。そこで、周速上限値演算検出部46は、加工プログラムメモリ10に保存されている加工プログラムGPR中から、加工されるワークの材質を検出すると共に、対象工具番号メモリ29に保存されている工具番号T5に基づいて、工具データファイル9の工具データファイルKDFより、該工具の工具材種を検出する。そして周速上限値演算検出部46は、前記検出されたワーク材質に基づき、上限基本周速ファイルメモリ43に保存されている上限基本周速ファイルSYF2より該ワーク材質に対応した上限基本周速を検出すると共に、前記検出された工具材種及び、上限周速係数ファイルメモリ45に保存されている上限周速係数ファイルSKF2より該工具材種に対応した上限周速係数を検出する。更に周速上限値演算検出部46は、以上のように検出した上限基本周速と上限周速係数を掛け算することにより、工具材種を考慮した各ワーク材質における上限周速として、周速上限値WJ(単位はm/分)を演算検出する。
【0030】
周速判定部42は、ステップSTP202で検出された該エンドミルでの切削における周速が、周速上限値演算検出部46により演算検出された周速上限値WJ以下であるかどうかを判定する。そこで、この周速判定部42において、前記エンドミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下ではないと判定された場合には、回転数判定部50が、対象工具番号メモリ29の工具番号T5及び、シミュレーション結果情報メモリ12aの主軸状態情報HJより、該エンドミルでの加工工程KK5における主軸の回転数(この場合には401回転/分)を検出し、該回転数が該主軸に関する基底回転数CH(加工効率判定パラメータとして機械が持っている数値であり、この数値以上になると主軸の出力は一定の最大出力となる)以下であるかどうかを比較判定する(ステップSTP203)。このステップSTP203において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP201で判定)、周速もこれ以上上げることができず(ステップSTP202で判定)、しかも定出力領域での加工(主軸の回転数を上げても最大出力が上昇しない)である場合には、該当する加工工程KK5においてこれ以上の高速化は無理であるのでメッセージ等の表示を行わずサブルーチンSR62を終了する。また、このステップSTP203において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下であると判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP201で判定)、周速もこれ以上上げることができないが(ステップSTP202で判定)、定トルク領域での加工(主軸の回転数を上げることにより主軸の最大出力が上昇する)である場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号4番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP204)。この場合は図8に示すように、より高い周速での使用が可能となるように工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK5において最大主軸負荷が主軸負荷上限SFより大きく(例えば80%より大きく100%未満)、現在の加工プログラムGPRに指示された工具材種の工具では周速が周速上限値WJより大きくなるが、主軸の回転数が基底回転数CH以下であるので、加工の高速化を図るには、周速上限値WJを大きくとれる工具材種の工具に変更し(従って上限周速係数が大きくなるように工具材種を変更)、この変更に伴って大きくなった周速上限値WJに合わせて、主軸の負荷が変更前の主軸負荷パーセンテージを超えない範囲で周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号4番のメッセージMSG、即ち工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。具体的には、加工プログラムGPR中でオペレータが指示した工具の工具材種が小径のハイス(図9(d)より上限周速係数が25%)であった場合にはチョウコウ工具(図9(d)より上限周速係数が100%)に変更するなどの内容のメッセージである。こうしてステップSTP204の後、サブルーチンSR62を終了する。なおこの場合も後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号4番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK5で使用する工具の工具材種を変更し、周速を上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。具体的には、加工条件を変更修正する前の工具の工具材種が小径のハイスであった場合には、チョウコウ工具に変更し、周速を上げる形で加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。こうして、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK5において周速上限値が変更修正前より大きくとられ、変更修正前にあった主軸出力の余裕分を更に利用する形で周速を上げているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0031】
また一方、上述したステップSTP202において周速判定部42が、前記エンドミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下であると判定された場合には、回転数判定部50が、上述したステップSTP203と同じ手順で、該エンドミルでの切削における主軸の回転数が該主軸に関する基底回転数CH以下であるかどうかを比較判定する(ステップSTP205)。このステップSTP205において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP201で判定)、周速には余裕があるが(ステップSTP202で判定)、定出力領域での加工である場合には、これ以上工具の周速及び主軸の回転数を上げても意味がないのでメッセージの表示等を行わずサブルーチンSR62を終了する。また、このステップSTP205において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下であると判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無いが(ステップSTP201で判定)、周速に余裕があり(ステップSTP202で判定)、定トルク領域での加工である場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号3番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP206)。この場合は図8に示すように、周速を周速上限値まで上げることが可能であることを示す内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK5において最大主軸負荷が主軸負荷上限SFより大きいが(例えば80%より大きく100%未満)、周速が周速上限値WJ以下であり、かつ主軸の回転数が基底回転数CH以下となるので、加工の高速化を図るには、変更前の主軸負荷パーセンテージを超えない範囲で周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号3番のメッセージMSG、即ち周速を周速上限値まで上げる内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP206の後、サブルーチンSR62を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、オペレータはディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号3番のメッセージMSGの通りに、該当する加工工程KK5で周速を周速上限値WJを超えない値まで上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK5において周速が高くなっているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0032】
一方、ステップSTP201において、前記エンドミルでの切削における最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であると判定された場合(即ち最大主軸負荷が80%以下である場合)、前記ステップSTP202と同じ手順で周速判定部42が周速の判定を行う(ステップSTP207)。このステップSTP207において周速判定部42が、前記エンドミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷には余裕があるが(ステップSTP201で判定)、現在の加工プログラムGPRに指示された工具では、当該工具の周速上限値WJを超えてしまう場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号4番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP208)。この場合は図8に示すように、より高い周速での使用が可能となるように工具の材種を変更して周速を上げるように指示する内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK5において最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であるが、周速が周速上限値WJより大きくなるので、加工の高速化を図るには、周速上限値WJを大きくとれる工具材種の工具に変更し(従って上限周速係数が大きくなるように工具材種を変更)、この変更に伴って大きくなった周速上限値WJに合わせて周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号4番のメッセージMSG、即ち工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP208の後、サブルーチンSR62を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号4番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK5で使用する工具の工具材種を変更し、周速を上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これにより、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK5において周速上限値が変更修正前より大きくとられ、この周速上限値を超えない形で周速を上げているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0033】
また、前記ステップSTP207において周速判定部42が、前記エンドミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下であると判定された場合、即ち主軸負荷には余裕があり(ステップSTP201で判定)、しかも周速にも余裕がある場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号3番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP209)。この場合は図8に示すように、周速を周速上限値まで上げることが可能であることを示す内容である。即ちこの場合は、対象となる切削において最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であり、周速が周速上限値WJ以下であるので、加工の高速化を図るには、周速上限値WJに合わせて周速を上げればよいこととなる。従って、図8に示すナビゲート情報番号3番のメッセージMSG、即ち周速を周速上限値WJまで上げる内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP209の後、サブルーチンSR62を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号3番のメッセージMSGの通りに、該当する加工工程KK5で周速を周速上限値WJを超えない値まで上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK5において周速が高くなっているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0034】
サブルーチンSR62を終了すると、図3に示すようにステップSTP8へと進む。即ち、処理終了判定部25は、変数メモリ20中の変数iが図2(b)に示す処理順iの最大値(この場合は4)以上であるかどうかを判定する。この場合には変数iの値が2であり、4以上でないので次のステップSTP9に進み、加工ナビゲーション実行部15は、変数メモリ20中の変数iの値に1を加える(これにより該変数iの値は3になった)。次いで図3に示すように再びステップSTP5に入り、サブルーチン番号検出部21に適用すべきサブルーチン番号の検出を指令し、これを受けてサブルーチン番号検出部21は、対象工具検出部27が検出した、該3回目の処理で対象となる工具の工具種(この場合の工具種は、例えば荒加工用のフェイスミルであった)に基づき、前記サブルーチン番号テーブルVTBを参照する形で該工具種に対応するサブルーチン番号(この場合は図2(c)よりサブルーチン番号は63)を検出する。なおこの時点で対象工具検出部27は、変数メモリ20の変数iと同じ数値の処理順iに対応する工具番号T8、即ち3回目の処理で対象になる工具の工具番号T8を対象工具番号メモリ29に保存する。
【0035】
サブルーチン番号検出判定部23は、サブルーチン番号検出部21によりサブルーチン番号が検出されたことを判定し(ステップSTP6)、サブルーチン番号検出の判定結果S2を出す。前記判定結果S2を受けて加工ナビゲーション実行部15は、サブルーチン番号検出部21により検出されたサブルーチン番号(この場合は63)に基づき、該サブルーチン番号に対応するサブルーチンSR63(図6に示す)の処理を行う(ステップSTP7)。サブルーチンSR63では、まず図6に示すように加工ナビゲーション実行部15は、主軸負荷判定部41に主軸負荷の判定を行わせる(ステップSTP301)。このステップSTP301での手順は、上述したサブルーチンSR62におけるステップSTP201での手順と同じである。こうして前記フェイスミルでの切削における最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下でないと判定された場合(即ち最大主軸負荷が80%より大きい場合)、周速判定部42が周速の判定を行う(ステップSTP302)。
【0036】
このステップSTP302での手順は、上述したサブルーチンSR62におけるステップSTP203での手順と略同様である即ち、周速判定部42は、対象工具番号メモリ29の工具番号T8及び、シミュレーション結果情報メモリ12aの加工状態情報HJより、該フェイスミルでの切削における周速(この場合は110.9m/分)を検出する。上限基本周速ファイルメモリ43には、図9(e)に示すような上限基本周速ファイルSYF3が保存されており、この上限基本周速ファイルSYF3には、フェイスミル加工時における、各ワーク材質(FC、FCD、S45C、……)に対する上限基本周速(単位はm/分)が格納されている。また、上限周速係数ファイルメモリ45には、図9(f)に示すような上限周速係数ファイルSKF3(なお上限周速係数ファイルSKF3は図9(f)に示すように複数のテーブルtf1、tf2、tf3、……、からなっており、各テーブルtf1、tf2、tf3、……、は、それぞれ図9(e)に示す上限基本周速ファイルSYF3の各ワーク材質(FC、FCD、S45C、……)に関するものである。)が保存されており、この上限周速係数ファイルSKF2には、フェイスミル加工時における、各工具材種(チョウコウ、サーメット、コートチョウコウ、……)等に対する上限周速係数(単位は%)、即ち上限基本周速に対する修正係数が格納されている。そこで周速上限値演算検出部46は、加工プログラムメモリ10に保存されている加工プログラムGPR中から、加工されるワークの材質を検出すると共に、対象工具番号メモリ29に保存されている工具番号T8に基づいて、工具データファイル9の工具データファイルKDFより、該工具の工具材種を検出する。そして周速上限値演算検出部46は、前記検出されたワーク材質に基づき、上限基本周速ファイルメモリ43に保存されている上限基本周速ファイルSYF3より該ワーク材質に対応した上限基本周速を検出すると共に、前記検出された工具材種及び、上限周速係数ファイルメモリ45に保存されている上限周速係数ファイルSKF3より該工具材種に対応した上限周速係数を検出する。更に周速上限値演算検出部46は、以上のように検出した上限基本周速と上限周速係数を掛け算することにより、工具材種を考慮した各ワーク材質における上限周速として、周速上限値WJ(単位はm/分)を演算検出する。
【0037】
周速判定部42は、ステップSTP302で検出された該フェイスミルでの切削における周速が、周速上限値演算検出部46により演算検出された周速上限値WJ以下であるかどうかを判定する。そこで、この周速判定部42において、前記フェイスミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下ではないと判定された場合には、回転数判定部50が、上述したサブルーチンSR62におけるステップSTP203と同じ手順で、該フェイスミルでの切削における主軸の回転数が該主軸に関する基底回転数CH以下であるかどうかを比較判定する(ステップSTP303)。このステップSTP303において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP301で判定)、周速に余裕が無く(ステップSTP302で判定)、定出力領域での加工である場合には、これ以上周速及び主軸の回転数を上げても意味がないのでメッセージの表示等を行わずサブルーチンSR63を終了する。また、このステップSTP303において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下であると判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP301で判定)、周速にも余裕が無いが(ステップSTP302で判定)、定トルク領域での加工である場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号6番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP304)。この場合は図8に示すように、より高い周速での使用が可能になるように工具の材種を変更して周速を上げるように指示する内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK8において最大主軸負荷が主軸負荷上限SFより大きく(例えば80%より大きく100%未満)、周速が周速上限値WJより大きくなるが、主軸の回転数が基底回転数CH以下となるので、加工の高速化を図るには、周速上限値WJを大きくとれる工具材種の工具に変更し(従って上限周速係数が大きくなるように工具材種を変更)、この変更に伴って大きくなった周速上限値WJに合わせて、変更前の主軸負荷パーセンテージを超えない範囲で周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号6番のメッセージMSG、即ち工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。具体的には、図8に示すように工具材種がチョウコウ(図9(f)より上限周速係数が100%)であった場合にはコートチョウコウ(図9(f)より上限周速係数が115%)に変更するなどの内容のメッセージである。そしてこのステップSTP304の後、サブルーチンSR63を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号6番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK8で使用する工具の工具材種を変更し、周速を上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これにより、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK8において周速上限値が変更修正前より大きくとられ、この周速上限値を超えない形で周速を上げているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0038】
また一方、上述したステップSTP302において周速判定部42が、前記フェイスミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下であると判定された場合には、回転数判定部50が、上述したステップSTP303と同じ手順で、該フェイスミルでの切削における主軸の回転数が該主軸に関する基底回転数以下であるかどうかを比較判定する(ステップSTP305)。このステップSTP305において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP301で判定)、周速には余裕があるが(ステップSTP302で判定)、定出力領域での加工である場合には、これ以上主軸の回転数を上げても意味がないのでメッセージの表示等を行わずサブルーチンSR63を終了する。また、このステップSTP305において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下であると判定された場合、即ち主軸負荷に余裕が無く(ステップSTP301で判定)、周速には余裕があり(ステップSTP302で判定)、定トルク領域での加工である場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号5番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP306)。この場合は図8に示すように周速を周速上限値まで上げることが可能であることを示す内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK8において最大主軸負荷が主軸負荷上限SFより大きいが(例えば80%より大きく100%未満)、周速が周速上限値WJ以下であり、かつ主軸の回転数が基底回転数CH以下となるので、加工の高速化を図るには、周速上限値WJに合わせて変更前の主軸負荷パーセンテージを超えない範囲で周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号5番のメッセージMSG、即ち周速を周速上限値まで上げる内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP306の後、サブルーチンSR63を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号5番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK8で周速を周速上限値WJを超えない値まで上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK8において周速が高くなっているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0039】
一方、ステップSTP301において、前記フェイスミルでの切削における最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であると判定された場合(即ち最大主軸負荷が80%以下ある場合)、前記ステップSTP302と同じ手順で周速判定部42が周速の判定を行う(ステップSTP307)。このステップSTP307において周速判定部42が、前記フェイスミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下ではないと判定された場合には、回転数判定部50が、上述したステップSTP303、STP305と同じ手順で、フェイスミルでの切削における主軸の回転数が該主軸に関する基底回転数CH以下であるかどうかを比較判定する(ステップSTP308)。このステップSTP308において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下ではないと判定された場合、即ち主軸負荷には余裕があるが(ステップSTP301で判定)、周速に余裕が無く(ステップSTP307で判定)、定出力領域での加工である場合には、これ以上周速及び主軸の回転数を上げても意味がないのでメッセージの表示等を行わずサブルーチンSR63を終了する。また、このステップSTP308において回転数判定部50により、主軸の回転数が基底回転数CH以下であると判定された場合、即ち主軸負荷には余裕があるが(ステップSTP301で判定)、周速に余裕が無く(ステップSTP307で判定)、定トルク領域での加工である場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号7番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP309)。この場合は図8に示すように、工具の周速を上げずに主軸の回転数を上げ、従って主軸負荷を更に上げることができるように、工具径を小さくして回転数を上げるように指示する内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK8において最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であるが、周速が周速上限値WJより大きく、主軸の回転数が基底回転数CH以下となるので、加工の高速化を図るには、工具径が小さい工具に交換し、これにより工具の周速を上げずに主軸の回転数を、基底回転数CH以上に上げるようにすればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号7番のメッセージMSG、即ち工具径を小さくして回転数を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP309の後、サブルーチンSR63を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号7番のメッセージMSGの通りに、該当する加工工程KK8で、使用する工具を工具径の小さいものに変更し、主軸の回転数を基底回転数CH以上に上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK8において周速が高くなることなく回転数が上げられ、従って主軸負荷が上げられているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0040】
また、ステップSTP307において周速判定部42が、前記フェイスミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下であると判定された場合、即ち主軸負荷には余裕があり(ステップSTP301で判定)、周速にも余裕がある場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号5番のメッセージMSGを取り出し、表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP310)。この場合は図8に示すように周速を周速上限値まで上げることが可能であることを示す内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK8において最大主軸負荷が主軸負荷上限SF以下であり、周速が周速上限値WJ以下であるので、加工の高速化を図るには、該周速上限値WJに合わせて変更前の主軸負荷パーセンテージを超えない範囲で周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号5番のメッセージMSG、即ち周速を周速上限値まで上げることができるという内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP310の後、サブルーチンSR63を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号5番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK8で周速を周速上限値WJを超えない値まで上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK8において周速が高くなっているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0041】
こうしてサブルーチンSR63を終了すると、図3に示すようにステップSTP8へと進む。即ち、処理終了判定部25は、変数メモリ20中の変数iが図2(b)に示す処理順iの最大値(この場合は4)以上であるかどうかを判定する。この場合には変数iの値が3であり、4以上でないので次のステップSTP9に進み、加工ナビゲーション実行部15は、変数メモリ20中の変数iの値に1を加える(これにより該変数iの値は4になった)。次いで図3に示すように再びステップSTP5に入り、サブルーチン番号検出部21に適用すべきサブルーチン番号の検出を指令し、これを受けてサブルーチン番号検出部21は、対象工具検出部27が検出した、該4回目の処理で対象となる工具の工具種(この場合の工具種は、例えば仕上加工用のエンドミルであった)に基づき、前記サブルーチン番号テーブルVTBを参照する形で該工具種に対応するサブルーチン番号(この場合は図2(c)より、仕上加工用エンドミル又は仕上加工用フェイスミルに対応したサブルーチンを示すサブルーチン番号が64のサブルーチン)を検出する。なおこの時点で対象工具検出部27は、変数メモリ20の変数iと同じ数値の処理順iに対応する工具番号T10、即ち4回目の処理で対象になる工具の工具番号T10を対象工具番号メモリ29に保存する。
【0042】
サブルーチン番号検出判定部23は、サブルーチン番号検出部21によりサブルーチン番号が検出されたことを判定し(ステップSTP6)、サブルーチン番号検出の判定結果S2を出す。前記判定結果S2を受けて加工ナビゲーション実行部15は、サブルーチン番号検出部21により検出されたサブルーチン番号(この場合は64)に基づき、該サブルーチン番号に対応するサブルーチンSR64(図7に示す)の処理を行う(ステップSTP7)。サブルーチンSR64では、まず図7に示すように加工ナビゲーション実行部15が、周速判定部42に周速の判定を行わせる(ステップSTP401)。
【0043】
このステップSTP401での手順は、上述したサブルーチンSR63におけるステップSTP302等での手順と略同様である。即ち、周速判定部42は、対象工具番号メモリ29の工具番号T10及び、シミュレーション結果情報メモリ12aの加工状態情報HJより、該エンドミルでの切削における周速(この場合は80.0m/分)を検出する。そこで、周速上限値演算検出部46は、加工プログラムメモリ10に保存されている加工プログラムGPR中から、加工されるワークの材質を検出すると共に、対象工具番号メモリ29に保存されている工具番号T10に基づいて、工具データファイル9の工具データファイルKDFより、該エンドミルの工具材種を検出する。そして周速上限値演算検出部46は、前記検出されたワーク材質に基づき、上限基本周速ファイルメモリ43に保存されている上限基本周速ファイルSYF2より該ワーク材質に対応した上限基本周速を検出すると共に、前記検出された工具材種及び、上限周速係数ファイルメモリ45に保存されている上限周速係数ファイルSKF2より該工具材種に対応した上限周速係数を検出する。更に周速上限値演算検出部46は、以上のように検出した上限基本周速と上限周速係数を掛け算することにより、工具材種を考慮した各ワーク材質における上限周速として、周速上限値WJ(単位はm/分)を演算検出する。
【0044】
この周速判定部42において、前記仕上加工用のエンドミルでの切削における周速が周速上限値WJ以下ではないと判定された場合、即ち現在の加工プログラムGPRに指示された工具では、周速上限値WJを超えてしまう場合には、対象工具検出部27により検出されていた、該4回目の処理で対象となる工具の工具種(この場合の工具種は仕上加工用のエンドミルであった)を示す信号がナビゲート情報管理部49に出力される。この場合は工具種は仕上加工用のエンドミルであるので、前記信号を受けたナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号9番のメッセージMSGを取り出し、このメッセージMSGを表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP402)。この場合は図8に示すように、より高い周速での使用が可能となるように工具材種を変更して周速を上げると共に、より早い送りでの使用が可能となるように刃数の多い工具に変更して送りを上げるように指示する内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK10において周速が周速上限値WJより大きいので、加工の高速化を図るには、周速上限値WJが大きくとれる工具材種の工具に変更し、この変更に伴って大きくなった周速上限値WJに合わせて周速を上げると共に、刃数の多い工具に変更して送り速度を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号9番のメッセージMSG、即ち刃数の多い工具に変更して送り速度を上げ、工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。具体的には、加工プログラムGPR中でオペレータが指示した工具の工具材種がハイス(図9(d)より上限周速係数が25%)であった場合にはチョウコウ(図9(d)より上限周速係数が100%)に変更するなどの内容のメッセージである。そしてこのステップSTP402の後、サブルーチンSR64を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号9番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK10で、工具の工具材種を変更すると共に、該工具を刃数の多いものに変更し、周速を周速上限値WJを超えない値まで上げると共に、送りを上げるように加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK10において周速や送りが高くなっているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0045】
なおこの4回目の処理で対象となる工具の工具種が仕上加工用のフェイスミルである場合(サブルーチンSR64は仕上加工用のエンドミル及びフェイスミルに共通)には、ステップSTP401で前述と同様の処理を行った後、前記ステップSTP402においてナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号10番のメッセージMSGを取り出し、このメッセージMSGを表示制御部13に伝送し、表示制御部13が該メッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する。この場合にも、対象となる加工工程KK10において周速が周速上限値WJより大きいので、加工の高速化を図るには、刃数の多い工具に変更して送り速度を上げると共に、周速上限値WJが大きくなるように工具材種を変更し、この変更に伴って大きくなった周速上限値WJに合わせて周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号10番のメッセージMSG、即ち刃数の多い工具に変更して送り速度を上げ、工具材種を変更して周速を上げるように指示する内容のメッセージを表示する。具体的には、図8に示すように工具材種がチョウコウ(図9(f)より上限周速係数が100%)であった場合にはコートチョウコウ(図9(f)より上限周速係数が115%)又はサーメット(図9(f)より上限周速係数が120%)に変更するなどの内容のメッセージであり、このメッセージに従って加工プログラムGPRの加工条件を変更修正すると高速で効率の良い加工が実現できるものとなっている。
【0046】
また上述したステップSTP401で周速判定部42において、前記エンドミル(フェイスミルも同様)での切削における周速が周速上限値WJ以下であると判定された場合、即ち現在の加工プログラムGPRに指示された工具では周速に余裕がある場合には、ナビゲート情報管理部49は、ナビゲート情報メモリ47からナビゲート情報番号8番のメッセージMSGを取り出し、このメッセージMSGを表示制御部13に伝送する。表示制御部13は、該伝送されたメッセージMSGをディスプレイ6で表示出力する(ステップSTP403)。ナビゲート情報番号8番のメッセージMSGは図8に示すように、周速を周速上限値まで上げるように指示する内容である。即ちこの場合は、対象となる加工工程KK10において周速が周速上限値WJ以下であるので、加工の高速化を図るには、前記周速上限値WJに合わせて周速を上げればよいことになる。従って、図8に示すナビゲート情報番号8番のメッセージMSG、即ち周速を周速上限値まで上げる内容のメッセージを表示する。そしてこのステップSTP403の後、サブルーチンSR64を終了する。なおこの場合にも後述する加工プログラムGPRの変更修正の際には、ディスプレイ6で表示出力されたナビゲート情報番号8番のメッセージMSGの通りに該当する加工工程KK10で周速を周速上限値WJを超えない値まで上げる形で加工プログラムGPRの加工条件を変更修正する。これによって、変更修正された加工プログラムPROでは、該当する加工工程KK10において周速が高くなっているので、該変更修正された加工プログラムPROを実行すると高速で効率の良い加工が実現される。
【0047】
このようにサブルーチンSR64を終了すると、図3に示すようにステップSTP8へと進む。即ち、処理終了判定部25は、変数メモリ20中の変数iが図2(b)に示す処理順iの最大値(この場合は4)以上であるかどうかを判定する。この場合には変数iの値が4であり、4以上であるのでナビゲーションプログラムNPRを終了する。こうして上述したように、工具番号T2、T5、T8、T10による各加工工程KK2、KK5、KK8、KK10に関するナビゲート情報(図8に示すようなメッセージMSG)を得ることにより、オペレータは、これらメッセージの示す方針に従って、上述したように該当する各加工工程において、工具の工具材種や周速、主軸の回転数等を変更する形で、既に作成されている加工プログラムGPRの変更修正を公知のプログラム修正方法に従って行う。こうして加工プログラムGPRが変更修正され加工プログラムPROが作成された。作成された加工プログラムPROは、前記加工プログラムGPRに代えて加工プログラムメモリ10に格納される。
【0048】
こうして作成された加工プログラムPROは、上述したように、各加工条件が主軸モータ等の能力の範囲内でより高速な加工を行えるように修正変更されることにより作成された修正加工プログラムとなっているので、該加工プログラムPROを用いて加工を行うと、修正前の原加工プログラムである加工プログラムGPR等を用いるよりも更に高速で効率の良い加工が実現される。以上のように本実施例の加工ナビゲーション装置2を用いると、自動プログラミング等により一旦作成した加工プログラムGPRについて、加工条件を改善しようとする各加工工程を指定して入力すると、該加工工程に関する加工プログラムの変更修正を行う上での具体的な方針をメッセージMSG等を介して示すようになっているので、オペレータは特別な知識や経験がなくとも、該加工ナビゲーション装置2によって示される方針に沿って加工プログラムGPRの変更修正を行うだけで、高速な加工を実現する加工プログラムPROを作成できる。また、過去に旧型の工作機械において作成した加工プログラムを、新しい工具材種や主軸負荷能力の増大した新型の工作機械に適応させる形で修正することも容易にできるので、加工プログラムを常に最新の性能を維持した形で保有することが可能となり、ソフトウエア資産を陳腐化させることなく有効に活用することができる。
【0050】
また上述した実施例では、加工プログラム作成支援装置の一例である加工ナビゲーション装置2は、マシニングセンタ2の制御装置100に組み込まれた形で設けられているが、加工プログラム作成支援装置は、マシニングセンタ2及びその制御装置100等とは別個の独立した装置となっていてもよい。
【0051】
また上述した実施例では、図8のメッセージMSGに示すように、「周速を(周速上限値)まで上げることが可能」といったように表示しているが、周速上限値の数値を表示する形で、例えば、「周速を、……m/秒まで上げることが可能」といったように表示しても便利である。また、高速な加工事例(例えば使用工具の種類と、周速や送り等の加工条件)を一緒に表示するようにしてもよい。
【0052】
また上述した実施例では、加工ナビゲーションの対象とする各加工工程について、加工ナビゲーションを1回ずつ行っているが(サブルーチンSR61〜SR64等の処理を各1回ずつ行っている)、同一の加工工程について加工ナビゲーションを2回以上行うようにしてもよい(即ち、同一の加工工程についてサブルーチンSR61〜SR64等の処理を2回以上行ってもよい)。例えば、図3に示すナビゲーションプログラムNPRを行って加工プログラムの変更修正を完了した後、再び加工シミュレーションを行い、その結果に応じて2回目のナビゲーションプログラムNPRを行って、更に加工プログラムの変更修正を行うようにしてもよく、更に、このような加工シミュレーションの実行(或いはテスト加工の実行)、ナビゲーションプログラムNPRの実行、加工プログラムの変更修正からなる一連の工程を何度も繰り返して、より優れた加工プログラムを作成するようにしてもよい。勿論、図3に示すナビゲーションプログラムNPRを用いず、加工ナビゲーションの対象とする加工工程を1つずつ指定入力して加工ナビゲーションを行う方法(既に説明済み)を採用する場合でも、加工シミュレーションの実行(或いはテスト加工の実行)、加工ナビゲーションの実行、加工プログラムの変更修正からなる一連の工程を何度も繰り返して、より優れた加工プログラムを作成するようにしてもよい。
【0054】
また上述した実施例では、加工ナビゲーションの結果、表示されたメッセージを見てオペレータ(或いはプログラマ)が加工プログラムを変更修正するようになっているが、周辺装置(工具管理システム、異常管理システム、その他のセンサ類)の進歩によっては、マシニングセンタ1等のNC装置による自律的な加工プログラムを変更修正(加工条件の更新)も可能である。また、上述した実施例では加工ナビゲーションで表示するメッセージMSGは文字(文章)であったが、加工条件の変更修正方針を示していれば、これ以外にも、記号、図形、映像、音声等による有意情報をメッセージとして採用することも可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のうち第1の発明は、加工条件が設定された加工工程KK1〜KK10等の加工工程を1つ以上含んだ加工プログラムGPR等の原加工プログラムを変更修正する形で加工プログラムPRO等の修正加工プログラムを作成する作業を支援する加工プログラム作成支援装置において、前記加工工程について加工条件の変更修正方針を示したメッセージMSG等のメッセージを保存したナビゲート情報メモリ47等のメッセージ保存部、前記原加工プログラムのシミュレーションを実行するシミュレーション実行部、前記シミュレーション実行部によりシミュレーションされた前記原加工プログラムの、各加工工程についての、最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速の計算値をそれぞれ記憶格納する加工実行状態計測値メモリ、予め設定された、主軸負荷についての上限値、工具の周速上限値に基づいてドリル加工工程の加工効率を判定するドリル加工効率判定プログラム、予め設定された、主軸負荷についての上限値、工具の周速上限値及び主軸の基底回転数に基づいてフェイスミル又はエンドミルの荒加工工程の加工効率を判定するフェイスミル/エンドミル荒加工効率判定プログラム、及び、予め設定された工具の周速上限値に基づいてフェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程の加工効率を判定するフェイスミル/エンドミル仕上げ加工効率判定プログラムを記憶格納した第1のメモリ手段、前記原加工プログラムにおける、ドリル加工行程、フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程、フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程に関し、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された前記各加工工程について、
a)前記ドリル加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての前記最大主軸負荷及び工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したドリル加工効率判定プログラムに基づいて、
b)前記フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての、前記最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したフェイスミル/エンドミル荒加工効率判定プログラムに基づいて、
c)前記フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての前記工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したフェイスミル/エンドミル仕上げ加工効率判定プログラムに基づいて、
それぞれ判定する加工実行状態計測値判定部、及び、前記加工実行状態計測値判定部による判定結果に応じて、前記メッセージ保存部に保存されたメッセージを選択表示するディスプレイ6、表示制御部13等のメッセージ表示部を有して構成される。従って、本発明による加工プログラム作成支援装置を用いると、自動プログラミング等により一旦作成した加工プログラムGPR(或いは作成途中の加工プログラム)や、既に作成されている既成の加工プログラム等のような原加工プログラムにおける加工工程に関し、シミュレーションされた前記原加工プログラムの、各加工工程についての、最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速の計算値を加工効率判定プログラムに基づいて判定し、その判定結果に応じて、加工プログラムの変更修正を行う上での方針をメッセージの表示により示すようになっているので、オペレータは特別な知識や経験がなくとも、該加工プログラム作成支援装置によって示される変更修正方針に沿って原加工プログラムの加工条件の変更修正を行うだけで、効率の良い加工(即ち高速な加工等)を実現する修正加工プログラムを簡単に作成できる。また本発明により、過去に旧型の工作機械において作成した既成の原加工プログラムを、例えば新しい工具材種や主軸負荷能力の増大した新型の工作機械に適応させる形で修正することも容易にできるので、加工プログラムを常に最新の性能を維持した形で保有することが可能となり、ソフトウエア資産を陳腐化させることなく有効に活用することができる。また、原加工プログラムの、各加工工程についての、最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速は実際の加工を行わなくとも加工シミュレーションで得ることができるので、その分、時間や手間を省くことができ便利である。
【0056】
また本発明のうち第2の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置において、前記加工実行状態計測値判定部による判定対象とする加工工程を指定入力自在なキーボード5等の加工工程指定入力手段を設け、前記加工実行状態計測値判定部は、前記加工工程指定入力手段を介して指定入力された前記ドリル加工工程、フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程又は、前記フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程に関し、判定することを特徴とするので、加工実行状態計測値判定部による判定は、原加工プログラム中の全ての加工工程に関して行わなくて済む。即ち、第1の発明による効果に加えて、加工効率を改善したいと望む加工工程を指定入力し、これら指定入力された加工工程についてのみ加工実行状態計測値判定部による判定を行えばよいので、処理時間を節約でき好都合である。
【0061】
また本発明のうち第3の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置において、前記メッセージ保存部は、工具の周速を高める形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存しているので、第1の発明による効果に加えて、工具の周速を有効に向上させるという方針で加工効率を向上させる形での加工プログラム作成支援が可能となる。
【0062】
また本発明のうち第4の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置において、前記メッセージ保存部は、主軸の回転数を高める形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存しているので、第1の発明による効果に加えて、主軸の回転数を有効に向上させるという方針で加工効率を向上させる形での加工プログラム作成支援が可能となる。
【0063】
また本発明のうち第5の発明は、第1の発明による加工プログラム作成支援装置において、前記メッセージ保存部は、工具を変更する形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存しているので、第1の発明による効果に加えて、工具を変更するという方針で、工具の周速や主軸の回転数等に余裕を持たせた上で、この余裕を利用して工具の周速や主軸の回転数等を更に向上させ加工効率を向上させる形での加工プログラム作成支援が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による加工プログラム作成支援装置の一例である加工ナビゲーション装置を有した、マシニングセンタの制御装置を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、切削時刻情報を表わしたグラフを示す図、図2(b)は、処理テーブルを示した図、図2(c)は、サブルーチン番号テーブルを示した図、図2(d)は、加工状態情報を示した図である。
【図3】図3は、ナビゲーションプログラムの内容を示したフロートチャートである。
【図4】図4は、サブルーチン61Rの内容を示したフロートチャートである。
【図5】図5は、サブルーチン62Rの内容を示したフロートチャートである。
【図6】図6は、サブルーチン63Rの内容を示したフロートチャートである。
【図7】図7は、サブルーチン64Rの内容を示したフロートチャートである。
【図8】図8は、ナビゲート情報ファイルを示した図である。
【図9】図9(a)は、上限基本周速ファイルSYF1を示した図、図9(b)は、上限周速係数ファイルSKF1を示した図、図9(c)は、上限基本周速ファイルSYF2を示した図、図9(d)は、上限周速係数ファイルSKF2を示した図、図9(e)は、上限基本周速ファイルSYF3を示した図、図9(f)は、上限周速係数ファイルSKF3を示した図である。
【符号の説明】
2……加工プログラム作成支援装置(加工ナビゲーション装置)
5……加工工程指定入力手段(キーボード)
6……メッセージ表示部(ディスプレイ)
10……第2のメモリ手段(加工プログラムメモリ)
11……加工シミュレーション実行部
12a……加工実行状態計測値メモリ(シミュレーション結果情報メモリ)
13……メッセージ表示部(表示制御部)
16……第1のメモリ手段(システムプログラムメモリ)
41……加工実行状態計測値判定部(主軸負荷判定部)
42……加工実行状態計測値判定部(周速判定部)
47……メッセージ保存部(ナビゲート情報メモリ)
50……加工実行状態計測値判定部(回転数判定部)
CH……基底回転数
GPR……原加工プログラム(加工プログラム)
HJ……加工状態情報
MSG……メッセージ
PRO……修正加工プログラム(加工プログラム)
SF……主軸負荷上限
WJ……周速上限値
KK1〜KK10……加工工程
SR61〜SR64……加工効率判定プログラム(サブルーチン)
Claims (5)
- 加工条件が設定された、加工工程を1つ以上含んだ原加工プログラムを変更修正する形で修正加工プログラムを作成する作業を支援する加工プログラム作成支援装置において、
前記加工工程について加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存したメッセージ保存部、
前記原加工プログラムのシミュレーションを実行するシミュレーション実行部、
前記シミュレーション実行部によりシミュレーションされた前記原加工プログラムの、各加工工程についての、最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速の計算値をそれぞれ記憶格納する加工実行状態計測値メモリ、
予め設定された、主軸負荷についての上限値、工具の周速上限値に基づいてドリル加工工程の加工効率を判定するドリル加工効率判定プログラム、予め設定された、主軸負荷についての上限値、工具の周速上限値及び主軸の基底回転数に基づいてフェイスミル又はエンドミルの荒加工工程の加工効率を判定するフェイスミル/エンドミル荒加工効率判定プログラム、及び、予め設定された工具の周速上限値に基づいてフェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程の加工効率を判定するフェイスミル/エンドミル仕上げ加工効率判定プログラムを記憶格納した第1のメモリ手段、
前記原加工プログラムにおける、ドリル加工行程、フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程、フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程に関し、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された前記各加工工程について、
a)前記ドリル加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての前記最大主軸負荷及び工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したドリル加工効率判定プログラムに基づいて、
b)前記フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての、前記最大主軸負荷、主軸回転数及び工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したフェイスミル/エンドミル荒加工効率判定プログラムに基づいて、
c)前記フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程については、前記加工実行状態計測値メモリに記憶格納された対応する当該加工工程についての前記工具の周速を、前記第1のメモリ手段に記憶格納したフェイスミル/エンドミル仕上げ加工効率判定プログラムに基づいて、
それぞれ判定する加工実行状態計測値判定部、及び、
前記加工実行状態計測値判定部による判定結果に応じて、前記メッセージ保存部に保存されたメッセージを選択表示するメッセージ表示部、
を有して構成した加工プログラム作成支援装置。 - 前記加工実行状態計測値判定部による判定対象とする加工工程を指定入力自在な加工工程指定入力手段を設け、
前記加工実行状態計測値判定部は、前記加工工程指定入力手段を介して指定入力された前記ドリル加工工程、フェイスミル又はエンドミルの荒加工工程又は、前記フェイスミル又はエンドミルの仕上げ加工工程に関し、判定することを特徴とする請求項1記載の加工プログラム作成支援装置。 - 前記メッセージ保存部は、工具の周速を高める形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存していることを特徴とする請求項1記載の加工プログラム作成支援装置。
- 前記メッセージ保存部は、主軸の回転数を高める形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存していることを特徴とする請求項1記載の加工プログラム作成支援装置。
- 前記メッセージ保存部は、工具を変更する形での加工条件の変更修正方針を示したメッセージを保存していることを特徴とする請求項1記載の加工プログラム作成支援装置。
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