JP3152053B2 - 切削条件設定方法および装置 - Google Patents

切削条件設定方法および装置

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JP3152053B2
JP3152053B2 JP04553294A JP4553294A JP3152053B2 JP 3152053 B2 JP3152053 B2 JP 3152053B2 JP 04553294 A JP04553294 A JP 04553294A JP 4553294 A JP4553294 A JP 4553294A JP 3152053 B2 JP3152053 B2 JP 3152053B2
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昭伸 竹内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転切削工具によって所
定の加工を行う際の切削条件を設定する方法および装置
に係り、特に、所定の要件下で工具コストが最低となる
切削条件を設定する方法および装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ボールエンドミルやフライスなどの回転
切削工具を軸心まわりに回転駆動しつつ軸心と交差する
方向へ被削材に対して相対移動させながら所定の加工を
行う場合、例えば特開昭61−168008号公報に記
載されているようにNC(数値制御)プログラムに従っ
て行われるのが普通である。NCプログラムは一般に、
工具の主軸回転数や送り速度,切込み断面積などの切削
条件に関する命令と、工具の移動経路に関する命令とか
ら作成されており、切削条件は予め定められた標準条件
表に従って設定される。この標準条件表は、切削諸元す
なわち被削材の材質や加工精度等の加工条件,工具の種
類,径寸法などに応じて、工具寿命や加工能率などを総
合的に判断して工具メーカーによって定められている。
また、移動経路は、上記切削条件と加工前後の形状デー
タとに基づいて、例えばCAM(Computer Aided Manuf
acturing) 装置を用いて作成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように標準条件表に従って切削条件が定められると、あ
る程度の工具寿命すなわち1本の工具による加工時間は
確保されるものの、必ずしも回転切削工具に要する工具
コストが低くなるわけではなかった。工具コストは、1
本の回転切削工具が工具寿命に達するまでに切削除去で
きる加工可能体積によって決まり、それが大きい程工具
コストを低減できるが、工具寿命に達するまでの加工時
間が長くても、送り速度や切込み断面積が小さければ加
工体積が少ない場合もあり、同じ体積を切削除去する場
合の工具コストが逆に高くなることがある。
【0004】また、標準条件表に従って切削条件が定め
られると、その切削条件に応じて加工時間も一律に決ま
ってしまうため、例えば加工装置の使用可能時間が短く
て高能率加工が求められる場合には、加工能率に影響す
る送り速度などを加工装置側で作業者が手動調整してい
た。しかしながら、加工精度を損なうことなく加工能率
を上げるためには、送り速度だけでなく主軸回転数など
他の切削条件も変更する必要があり、熟練者であっても
加工精度や工具寿命を満足しつつ加工能率を変更するこ
とは容易でない。また、その切削条件の調整可能な範囲
は、例えば標準状態の50%〜150%程度と狭く、加
工装置での調整だけでは対処できない場合があった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、工具コストが最低
なる切削条件を設定できるようにすることにある。ま
た、別の目的は、予め定められた要求加工時間以内で加
工できるとともに工具コストが最低となる切削条件を、
熟練を要することなく容易に求められるようにすること
にある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成
するために、第1発明は、回転切削工具を軸心まわりに
回転駆動しつつ軸心と交差する方向へ被削材に対して相
対移動させながら所定の加工を行う際の切削条件を設定
するに際して、送り速度および切込み断面積を含む切削
条件と前記回転切削工具が工具寿命に達するまでの加工
可能体積とに関して予め定められた関係に基づいて、そ
の加工可能体積が最大となる切削条件を求めることを特
徴とする。
【0007】
【作用】すなわち、本発明では工具寿命を加工可能体積
で把握し、その加工可能体積が最大となる切削条件を求
めるようにしたのであり、先ず、送り速度および切込み
断面積を含む切削条件と回転切削工具が寿命に達するま
での加工可能体積との関係を、実験やシミュレーショ
ン、或いは実際の加工によって得られる工具寿命データ
などから予め求めておく。工具寿命に達したか否かは、
所定の加工精度が得られなくなったか否か、切削工具が
折損したか否かなどによって判断でき、工具寿命に達す
るまでの加工可能体積は、工具寿命に達するまでの加工
時間と、加工能率すなわち(送り速度)×(切込み断面
積)とを掛け算することによって求められる。切削条件
と加工可能体積との関係は、切削工具の種類や径寸法,
被削材の材質によって異なるし、要求加工精度が異なれ
ば切削条件、更には加工可能体積も変わるため、それ等
切削工具の種類や径寸法,被削材の材質,加工精度など
の切削諸元が異なる複数種類の加工を行う場合には、そ
の切削諸元に応じてそれぞれ切削条件と加工可能体積と
の関係を求めることになる。切削工具の種類としては、
エンドミルやフライスなど工具自体の違いの他、刃数や
刃の形状などが異なる場合も、切削条件と加工可能体積
との関係が相違するため別の種類として扱うことにな
る。切削条件としての送り速度および切込み断面積は、
必ずしもその両方が変数である必要はなく、何れか一方
を一定値に設定して種々の切削加工を行う場合には、他
方と加工可能体積との関係を求めれば良い。送り速度
は、回転切削工具と被削材との相対移動速度で、回転切
削工具を移動させる場合だけでなく、回転切削工具に対
して被削材を移動させる場合であっても良い。切込み断
面積は、工具の形状によっても異なるが、例えば径方向
の切込み寸法と軸方向の切込み寸法との積で表される。
これ等の送り速度および切込み断面積以外の切削条件と
しては回転切削工具の主軸回転数が挙げられ、これも加
工可能体積に影響する。
【0008】そして、上記切削条件と加工可能体積との
関係に基づいて、加工可能体積が最大となる切削条件を
求める。この切削条件を求める際には、総ての切削条件
の範囲で加工可能体積が最大となる切削条件を求めるこ
ともできるが、例えば第2発明のように要求加工時間が
予め定められている場合には、その要求加工時間以内で
加工できる切削条件の範囲内で求めるなど、所定の要件
を満足する切削条件の範囲内で加工可能体積が最大とな
る切削条件を求めるようにしても良い。
【0009】
【第1発明の効果】このように、第1発明の切削条件設
定方法によれば、加工可能体積が最大となる切削条件を
求めるようにしているため、切削工具に要するコスト
最低にできる。
【0010】
【課題を解決するための第2の手段】第2発明は、回転
切削工具を軸心まわりに回転駆動しつつ軸心と交差する
方向へ被削材に対して相対移動させながら所定の加工を
行う際の切削条件を設定する方法であって、(a)前記
所定の加工の加工前後の形状データから加工体積を求
め、その加工体積を予め定められた要求加工時間で割り
算して要求加工能率を求めるA工程と、(b)送り速度
および切込み断面積を含む切削条件と前記回転切削工具
が工具寿命に達するまでの加工可能体積とに関して予め
求められた関係から、前記要求加工能率を満足する範囲
で前記加工可能体積が最大となる切削条件を求めるB工
程とを有することを特徴とする。
【0011】
【作用】この第2発明では、先ずA工程で、加工前後の
形状データから加工体積を求めて要求加工時間で割り算
することにより要求加工能率、すなわち単位時間当たり
の加工体積を求め、B工程で、送り速度および切込み断
面積を含む切削条件と回転切削工具が工具寿命に達する
までの加工可能体積とに関して予め求められた関係か
ら、上記要求加工能率を満足する範囲で加工可能体積
最大となる切削条件を求める。切削条件である送り速度
と切込み断面積とを掛け算すれば単位時間当たりの加工
体積、すなわち加工能率となるため、(送り速度)×
(切込み断面積)の値が上記要求加工能率以上となる送
り速度および切込み断面積の範囲内で加工可能体積が最
となる切削条件を求めれば良い。送り速度および切込
み断面積の何れか一方が一定に設定されている場合は、
その設定値に基づいて要求加工能率を満足する切削条件
の範囲を定めることができる。そして、このようにして
求めた切削条件で、例えばNCプログラムを作成して加
工を行えば、上記要求加工時間以内で加工を行うことが
できるとともに、その要求加工時間以内で加工を行うこ
とができる切削条件の中では、工具寿命に達するまで
最大の体積を切削加工できる。
【0012】ここで、一連の切削加工の中に非切削の状
態で工具と被削材とを相対移動させるエアーカット時間
が存在する場合には、そのエアーカット時間だけ実際の
加工に要する時間が長くなるため、実際の加工の所要時
間が要求加工時間を越える恐れがある。エアーカット時
間が予め分かっている場合は、その時間だけ差し引いて
要求加工時間を設定すれば良いが、工具と被削材との相
対移動経路を、前記切削条件および加工前後の形状デー
タや工具の形状データに基づいてCAM装置によって求
める場合には、切削条件を設定する際にはエアーカット
時間が分からないのが普通である。また、切込み断面積
は必ずしも全加工経路で一定であるわけではなく、コー
ナー部など加工形状によって変化するため、それによっ
て加工所要時間も変化する。このため、(c)上記B工
程で求めた切削条件で前記所定の加工を行う場合の回転
切削工具と被削材との相対移動経路に関するCAMデー
タをCAM装置によって求めるC工程と、(d)そのC
AMデータから、例えば総切削長およびエアーカット時
間を求めて、その総切削長を前記切削条件の送り速度で
割り算して切削時間を算出するとともに、その切削時間
に前記エアーカット時間を加算するなどして、前記切削
条件で前記所定の加工を行う場合に必要な加工所要時間
を求めるD工程と、(e)その加工所要時間が前記要求
加工時間以内か否かを判断し、その要求加工時間以内で
あれば前記切削条件を最適切削条件とするE工程と、
(f)そのE工程で前記加工所要時間が前記要求加工時
間より長いと判断された場合に、前記B工程で切削条件
を求める際の前記要求加工能率を高くするF工程とを設
け、エアーカット時間を含めた加工所要時間が要求加工
時間以内となるまで要求加工能率を変更しながらB工程
で繰り返し切削条件を求めるようにすることが望まし
く、その場合にはエアーカット時間の存在に拘らず確実
に要求加工時間以内で所定の加工を行うことができる切
削条件が定められる。F工程は、要求加工能率を予め定
められた一定値、或いは一定割合だけ高くするものでも
良いが、その時のエアーカット時間を要求加工時間から
差し引いて加工体積を割り算することにより新たな要求
加工能率を求めるようにしても良い。 のように第2発
明のA工程およびB工程に、上記C工程〜F工程を加え
た態様が、請求項1に記載の発明に相当する。
【0013】また、前記A工程で求められる要求加工能
率は、要求加工時間以内で加工できる最低要件であるた
めB工程で切削条件を求める際には、この要求加工能率
を満足する範囲で更に別の要件を付加することもでき
る。例えば、要求加工時間を考慮することなく加工可能
体積が最大となる切削条件を求めて、その切削条件で加
工を行った場合の加工所要時間が要求加工時間より長い
時に本発明方法を実施する場合には、その時の切削条件
における加工能率、すなわち(送り速度)×(切込み断
面積)の値と上記要求加工能率とを比較し、(送り速
度)×(切込み断面積)の値の方が高い場合には、それ
に所定値を加算した値または所定割合だけ高くした値よ
り高い加工能率が得られる範囲で切削条件を求めるよう
にすることもできる。前記F工程でも、その時の切削条
件における加工能率に基づいて、それより所定値だけ高
い値または所定割合だけ高い値などを新たな要求加工能
率とすることができる。
【0014】
【第2発明の効果】このように、第2発明の切削条件設
定方法によれば、予め定められた要求加工時間以内で加
工できるとともにその要求加工時間を満たす範囲で最大
の加工可能体積が得られる切削条件を、予め求められた
切削条件と加工可能体積との関係から熟練を要すること
なく容易に求めることができる。特に、本発明では工具
寿命を加工可能時間でなく加工可能体積で把握し、加工
可能体積が最大となる切削条件を求めるようにしている
ため、回転切削工具に要するコストを最低にできる。
【0015】
【課題を解決するための第3の手段】第3発明は、回転
切削工具を軸心まわりに回転駆動しつつ軸心と交差する
方向へ被削材に対して相対移動させながら所定の加工を
行う際の切削条件を設定する方法であって、(a)送り
速度および切込み断面積を含む切削条件と前記回転切削
工具が工具寿命に達するまでの加工可能体積とに関して
予め求められた関係から、その加工可能体積が最大とな
る第1切削条件を求める第1工程と、(b)その第1切
削条件で前記所定の加工を行う場合の前記回転切削工具
と前記被削材との相対移動経路に関する第1CAMデー
タをCAM装置によって求める第2工程と、(c)その
第1CAMデータから前記第1切削条件で前記所定の加
工を行う場合に必要な第1加工所要時間を求める第3工
程と、(d)その第1加工所要時間が予め定められた要
求加工時間以内か否かを判断し、その要求加工時間以内
であれば前記第1切削条件を最適切削条件とする第4工
程と、(e)その第4工程で前記第1加工所要時間が前
記要求加工時間より長いと判断された場合に、前記所定
の加工の加工前後の形状データから加工体積を求めると
ともにその加工体積を前記要求加工時間で割り算して要
求加工能率を求める第5工程と、(f)前記予め定めら
れた関係から前記要求加工能率を満足する範囲で前記加
工可能体積が最大となる第2切削条件を求める第6工程
と、(g)その第2切削条件で前記所定の加工を行う場
合の前記回転切削工具と前記被削材との相対移動経路に
関する第2CAMデータをCAM装置によって求める第
7工程と、(h)その第2CAMデータから前記第2切
削条件で前記所定の加工を行う場合に必要な第2加工所
要時間を求める第8工程と、(i)その第2加工所要時
間が前記要求加工時間以内か否かを判断し、その要求加
工時間以内であれば前記第2切削条件を最適切削条件と
する第9工程と、(j)その第9工程で前記第2加工所
要時間が前記要求加工時間より長いと判断された場合
に、前記第6工程で前記第2切削条件を求める際の前記
要求加工能率を高くする第10工程とを有することを特
徴とする。この第3発明は、請求項2に記載の発明に相
当する。
【0016】
【作用】すなわち、第1工程では、送り速度および切込
み断面積を含む切削条件と回転切削工具が工具寿命に達
するまでの加工可能体積とに関して予め求められた関係
から、その加工可能体積が最大となる第1切削条件を求
め、第2工程でその第1切削条件で所定の加工を行う場
合の回転切削工具と被削材との相対移動経路に関する第
1CAMデータをCAM装置によって求める。第3工程
では、その第1CAMデータから、例えば総切削長およ
びエアーカット時間を求めて、その総切削長を前記第1
切削条件の送り速度で割り算して切削時間を算出すると
ともに、その切削時間に前記エアーカット時間を加算す
るなどして、前記第1切削条件で前記所定の加工を行う
場合に必要な第1加工所要時間を求める。上記エアーカ
ット時間は、エアーカット部分の経路長さをエアーカッ
ト時の送り速度で割り算することによって算出でき、エ
アーカット時の送り速度については予めCAM装置に設
定されている。そして、第4工程で、その第1加工所要
時間が予め定められた要求加工時間以内か否かを判断
し、その要求加工時間以内であれば前記第1切削条件を
最適切削条件とする。すなわち、要求加工時間を考慮す
ることなく加工可能体積が最大となる第1切削条件を求
めるとともに、その第1切削条件で所定の加工を行った
場合の第1加工所要時間をCAM装置を利用して算出
し、その第1加工所要時間が要求加工時間以内であれ
ば、以後の処理を行うことなくその第1切削条件を最適
切削条件とするのである。
【0017】一方、上記第4工程で第1加工所要時間が
要求加工時間より長いと判断された場合には、第5工程
で、前記第2発明のA工程と同様にして加工前後の形状
データから加工体積を求めるとともにその加工体積を要
求加工時間で割り算して要求加工能率を求め、第6工程
では前記第2発明のB工程と同様に、前記予め求められ
た切削条件と加工可能体積との関係から上記要求加工能
率を満足する範囲で加工可能体積が最大となる第2切削
条件を求める。この時の要求加工能率は、要求加工時間
以内で加工できる最低要件であるため、第6工程で切削
条件を求める際には、この要求加工能率を満足する範囲
で更に別の要件を付加することもできる。例えば、前記
第1切削条件における加工能率と上記要求加工能率とを
比較し、第1切削条件における加工能率の方が高い場合
には、その加工能率に所定値を加算した値または所定割
合だけ高くした値より高い加工能率が得られる範囲で切
削条件を求めるようにすることもできる。
【0018】エアーカット時間が無いとともに切込み断
面積が一定であれば、上記第2切削条件で加工を行うこ
とにより、要求加工時間以内で加工を終了できるが、エ
アーカット時間が存在したり切込み断面積が変化したり
する場合には、実際の加工に必要な加工所要時間が要求
加工時間を越えることがある。このため、次の第7工程
では、前記第2工程と同様にして、第2切削条件で所定
の加工を行う場合の回転切削工具と被削材との相対移動
経路に関する第2CAMデータをCAM装置によって求
め、第8工程では前記第3工程と同様にして、その第2
CAMデータから第2切削条件で前記所定の加工を行う
場合に必要な第2加工所要時間を求める。そして、第9
工程で、その第2加工所要時間が要求加工時間以内か否
かを判断し、その要求加工時間以内であれば前記第2切
削条件を最適切削条件とする。
【0019】上記第9工程で第2加工所要時間が要求加
工時間より長いと判断された場合には、第10工程にお
いて、前記第6工程で第2切削条件を求める際の前記要
求加工能率を高くする。すなわち、第2加工所要時間が
要求加工時間以内となるまで、第10工程で要求加工能
率を変更しながら第6工程以下を繰り返して最適切削条
件を求めるのである。第10工程は、要求加工能率を予
め定められた一定値、或いは一定割合だけ高くするもの
でも良いが、その時のエアーカット時間を要求加工時間
から差し引いて加工体積を割り算することにより新たな
要求加工能率を求めるようにしたり、その時の第2切削
条件における加工能率に基づいて、それより所定値だけ
高い値または所定割合だけ高い値などを新たな要求加工
能率としたりすることもできる。
【0020】
【第3発明の効果】このように、第3発明の切削条件設
定方法においても、予め定められた要求加工時間以内で
加工できるとともにその要求加工時間を満たす範囲で最
の加工可能体積が得られる最適切削条件を、予め求め
られた切削条件と加工可能体積との関係から熟練を要す
ることなく容易に求めることができるし、工具寿命を加
工可能体積で把握していることから回転切削工具に要す
るコストを最低にできる。また、CAM装置を用いて実
際の加工所要時間を求め、その加工所要時間が要求加工
時間以内である場合に、その切削条件を最適切削条件と
するようにしているため、要求加工時間以内で確実に加
工を終了できる切削条件が求められる。また、要求加工
時間を考慮することなく最大の加工可能体積が得られる
第1切削条件を求め、その第1切削条件で加工を行った
場合の第1加工所要時間が要求加工時間以内であれば、
要求加工時間を考慮した第2切削条件を求めることな
く、その第1切削条件を最適切削条件とするようにして
いるため、最初から要求加工時間を考慮した切削条件す
なわち第2切削条件を求める場合に比較して、面倒で無
駄な操作や処理を回避でき、最適切削条件を短時間で求
めることができる。
【0021】
【課題を解決するための第4の手段】第4発明は、回転
切削工具を軸心まわりに回転駆動しつつ軸心と交差する
方向へ被削材に対して相対移動させながら所定の加工を
行う際の切削条件を設定する装置であって、図1のクレ
ーム対応図に示されているように、(a)切削諸元およ
び要求加工時間を入力する入力操作手段と、(b)送り
速度および切込み断面積を含む切削条件と、前記回転切
削工具が工具寿命に達するまでの加工可能体積との関係
が、前記切削諸元に応じて予め記憶される記憶手段と、
(c)前記入力操作手段によって入力された切削諸元に
対応する切削条件と加工可能体積との関係を前記記憶手
段から読み出し、その加工可能体積が最大となる第1切
削条件を求める第1演算手段と、(d)その第1切削条
件で前記所定の加工を行う場合の前記回転切削工具と前
記被削材との相対移動経路に関する第1CAMデータを
予め定められたCAMプログラムに従って求める第2演
算手段と、(e)その第1CAMデータから前記第1切
削条件で前記所定の加工を行う場合に必要な第1加工所
要時間を求める第3演算手段と、(f)その第1加工所
要時間が前記入力操作手段によって入力された要求加工
時間以内か否かを判断し、要求加工時間以内であれば前
記第1切削条件を最適切削条件とする第1判断手段と、
(g)その第1判断手段により前記第1加工所要時間が
前記要求加工時間より長いと判断された場合に、予め設
定された前記所定の加工の加工前後の形状データから加
工体積を求めるとともに、その加工体積を前記要求加工
時間で割り算して要求加工能率を求める第4演算手段
と、(h)前記入力操作手段によって入力された切削諸
元に対応する切削条件と加工可能体積との関係を前記記
憶手段から読み出し、前記要求加工能率を満足する範囲
でその加工可能体積が最大となる第2切削条件を求める
第5演算手段と、(i)その第2切削条件で前記所定の
加工を行う場合の前記回転切削工具と前記被削材との相
対移動経路に関する第2CAMデータを前記CAMプロ
グラムに従って求める第6演算手段と、(j)その第2
CAMデータから前記第2切削条件で前記所定の加工を
行う場合に必要な第2加工所要時間を求める第7演算手
段と、(k)その第2加工所要時間が前記入力操作手段
によって入力された要求加工時間以内か否かを判断し、
要求加工時間以内であれば前記第2切削条件を最適切削
条件とする第2判断手段と、(l)その第2判断手段に
より前記第2加工所要時間が前記要求加工時間より長い
と判断された場合に、前記第5演算手段によって前記第
2切削条件が求められる際の前記要求加工能率を高くす
る変更手段とを有することを特徴とする。この第4発明
は、請求項3に記載の発明に相当する。
【0022】
【作用】このような切削条件設定装置においては、工具
の種類や径寸法,被削材の材質,加工精度などの切削諸
元に応じて、送り速度および切込み断面積を含む切削条
件と加工可能体積との関係が予め記憶手段に記憶されて
おり、先ず、第1演算手段が、入力操作手段によって入
力された切削諸元に対応する切削条件と加工可能体積と
の関係を記憶手段から読み出し、加工可能体積が最大
なる第1切削条件を求める。切削条件と加工可能体積と
の関係は、実験やシミュレーション、或いは実際の加工
によって得られる工具寿命データなどから求められる
が、総ての切削条件に関する工具寿命を予め求めるには
多大な時間がかかるため、例えば実際の工具寿命データ
が得られる毎に記憶手段の記憶内容を逐次書き換えるよ
うにすることが望ましい。なお、切削条件と加工可能体
積との関係が一定に定められている場合には、切削諸元
に応じて第1切削条件が一定に定まるため、前記第3発
明の実施に際しては、予め第1切削条件を求めて記憶手
段などに記憶させておいても良い。
【0023】第1演算手段によって第1切削条件が求め
られると、第2演算手段が、その第1切削条件で所定の
加工を行う場合の回転切削工具と被削材との相対移動経
路に関する第1CAMデータを求める。第3演算手段
は、その第1CAMデータから、例えば総切削長および
エアーカット時間を求めて、総切削長を前記第1切削条
件の送り速度で割り算して切削時間を算出するととも
に、その切削時間にエアーカット時間を加算するなどし
て、第1切削条件で所定の加工を行う場合に必要な第1
加工所要時間を求める。そして、その第1加工所要時間
が、入力操作手段によって入力された要求加工時間以内
か否かを第1判断手段によって判断し、要求加工時間以
内であれば前記第1切削条件を最適切削条件とする。
【0024】上記第1加工所要時間が要求加工時間より
長い場合は、第4演算手段が、加工前後の形状データか
ら加工体積を求めるとともに、その加工体積を要求加工
時間で割り算して要求加工能率を求める。第5演算手段
は、入力操作手段によって入力された切削諸元に対応す
る切削条件と加工可能体積との関係を記憶手段から読み
出し、上記要求加工能率を満足する範囲で加工可能体積
が最大となる第2切削条件を求める。この時の要求加工
能率は、要求加工時間以内で加工できる最低要件である
ため、前記第2発明,第3発明と同様に別の要件を付加
することもできる。第2切削条件が求められると、第6
演算手段が前記第2演算手段と同様にして第2CAMデ
ータを求め、第7演算手段が前記第3演算手段と同様に
して第2加工所要時間を算出する。そして、その第2加
工所要時間が前記要求加工時間以内か否かを第2判断手
段によって判断し、要求加工時間以内であれば前記第2
切削条件を最適切削条件とする。
【0025】上記第2加工所要時間が要求加工時間より
長い場合は、変更手段により、前記第5演算手段によっ
て第2切削条件を求める際の要求加工能率を高くする。
そして、第2加工所要時間が要求加工時間以内となるま
で、変更手段によって要求加工能率を変更しながら第5
演算手段によって第2切削条件を求め直し、第2加工所
要時間が要求加工時間以内となる第2切削条件を最適切
削条件とする。変更手段は、要求加工能率を予め定めら
れた一定値、或いは一定割合だけ高くするものでも良い
が、その時のエアーカット時間を要求加工時間から差し
引いて加工体積を割り算することにより新たな要求加工
能率を求めるようにしたり、その時の第2切削条件にお
ける加工能率に基づいて、それより所定値だけ高い値ま
たは所定割合だけ高い値などを新たな要求加工能率とし
たりすることもできる。
【0026】
【第4発明の効果】このように、第4発明の切削条件設
定装置においては、入力操作手段によって切削諸元およ
び要求加工時間を入力するだけで、要求加工時間以内で
加工できるとともにその要求加工時間を満たす範囲で最
の加工可能体積が得られる最適切削条件が求められ
る。その場合に、工具寿命が加工可能体積で把握される
ため、回転切削工具に要するコストを最低にできる。ま
た、実際の加工所要時間を求め、その加工所要時間が要
求加工時間以内である場合に、その切削条件を最適切削
条件とするようになっているため、要求加工時間以内で
確実に加工を終了できる切削条件が求められる。また、
要求加工時間を考慮することなく最大の加工可能体積が
得られる第1切削条件を求め、その第1切削条件で加工
を行った場合の第1加工所要時間が要求加工時間以内で
あれば、要求加工時間を考慮した第2切削条件を求める
ことなく、その第1切削条件を最適切削条件とするよう
になっているため、最初から要求加工時間を考慮した切
削条件すなわち第2切削条件を求める場合に比較して、
面倒で無駄な処理が回避され、最適切削条件を短時間で
求めることができる。更に、第1演算手段は、記憶手段
に記憶された切削条件と加工可能体積との関係から第1
切削条件を求めるため、記憶手段の記憶内容を新たな工
具寿命データに基づいて逐次更新でき、切削条件と加工
可能体積との関係について予め完全なものを記憶させて
おくことが必ずしも必要でないとともに、常に最新の工
具寿命データに基づいて切削条件を求めるようにするこ
とが可能である。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図2は、フライスやエンドミルなどの回
転切削工具を軸心まわりに回転駆動しつつ軸心と交差す
る方向へ被削材に対して相対移動させながら所定の切削
加工を行う際の切削条件を設定する切削条件設定装置1
0の主要構成を説明するブロック線図で、入力操作手段
12,表示装置14,計算機16,工具寿命データメモ
リ18,入出力インタフェース回路20を介して計算機
16に接続されたCAM装置22を備えている。入力操
作手段12は、切削条件を設定する際に使用工具のナン
バーNT や要求加工精度m,被削材の材質Z,要求加工
時間Tokを入力,選択したり、切削条件と加工可能体積
との関係を記憶させるために工具寿命データを入力した
りするためのもので、作業者によって操作されるキーボ
ードなどである。表示装置14は、操作手順や処理状況
などを表示するためのもので、液晶ディスプレイパネル
などである。計算機16は、CPU,RAM,ROMな
どを備えたマイクロコンピュータで、RAMの一時記憶
機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに
従って信号処理を行うようになっている。
【0028】上記工具寿命データメモリ18は、切削条
件としての送り速度F,主軸回転数S,および切込み断
面積(Pr×Pa)と、工具寿命に達するまでの加工可
能体積Lとの関係を、切削諸元としての工具ナンバーN
T ,加工精度の分類m,被削材の材質Zに応じて記憶す
るもので、その記憶内容は逐次書き換えることができ
る。切込み断面積(Pr×Pa)のPrは径方向の切込
み寸法で、Paは軸方向の切込み寸法であり、工具の先
端部が円柱形状を成すフライスやエンドミルなどの場合
である。また、工具ナンバーNT は、工具の種類や材
質,径寸法,切れ刃の数,切れ刃の形状などにより、そ
れぞれ異なるナンバーが設定されている。加工精度は、
例えば粗加工,中粗,仕上げなどに分類されるが、工具
自体が加工精度に応じて製作されている場合など、必ず
しも総ての回転切削工具について定める必要はない。被
削材の材質Zについても、複数種類の被削材に対して切
削加工を行う工具についてだけ、材質Z毎に関係を記憶
しておけば良い。
【0029】上記切削条件と加工可能体積との関係は、
例えば図3に示すように、送り速度F,主軸回転数Sを
パラメータとする加工可能体積Lの3次元曲面L=s1
(F,S)、および送り速度F,切込み断面積(Pr×
Pa)をパラメータとする加工可能体積Lの3次元曲面
L=s2(F,Pr×Pa)の2つの曲面として記憶す
ることができる。図4は、3次元曲面L=s1(F,
S)を説明するためのもので、斜線で示す面が加工可能
体積Lを表しており、切削条件に拘らず加工可能体積L
が一定の場合であるが、この面が例えば図5に示す工具
寿命データに従って3次元で形成される。図5の工具寿
命データは離散的であるため、有限要素法などの補間手
法を用いて3次元曲面が作成される。この工具寿命デー
タメモリ18は記憶手段に相当する。なお、工具寿命デ
ータメモリ18は、上記切削条件と加工可能体積との関
係の他、工具の単価なども記憶している。
【0030】前記CAM装置22は、設定された切削条
件で加工を行う際の回転切削工具と被削材との相対移動
経路に関するCAMデータを、加工前後の形状データお
よび回転切削工具の形状データなどに基づいて、予め定
められたCAMプログラムに従って求めるとともに、そ
のCAMデータから加工機用のNCプログラムを作成す
るもので、加工前後の形状データや回転切削工具の形状
データは予めCAD(Computer Aided Design)装置など
から入力される。CAMデータは、実際に切削加工を行
いながら工具と被削材とを相対移動させる部分の移動経
路に関するCLデータと、非切削の状態で工具と被削材
とを相対移動させるエアーカット部分の移動経路に関す
るACLデータとを有し、エアーカット部分の送り速度
は予め設定されている。
【0031】このような切削条件設定装置10におい
て、実際の加工時の工具寿命データを逐次入力して前記
加工可能体積Lと切削条件との関係を3次元曲面として
記憶する際の手順や処理内容を、図6のフローチャート
を参照しつつ説明する。なお、図6および以下の各フロ
ーチャートにおいて、点線で囲ったステップは作業者に
よる操作で、実線で囲ったステップは前記計算機16に
よる処理内容で、両端部を二重線としたステップはCA
M装置22による処理内容を表している。
【0032】図6のステップSS1では、前記入力操作
手段12により切削条件としての送り速度F,主軸回転
数S,切込み断面積(Pr×Pa)や、実際の加工で使
用した回転切削工具のナンバーNT 、加工精度の分類
m、被削材の材質Z、加工時間H、工具の単価などを入
力、或いは表示装置14に表示された選択肢の中から選
択する。工具ナンバーNT や加工精度の分類m、被削材
の材質Zは切削諸元に相当する。また、加工時間Hは、
回転切削工具を上記切削条件および切削諸元で使用し始
めてから現在までの総加工時間で、加工精度の低下や折
損等により工具寿命に達するまでの時間ではないが、寿
命に達する前にこのようなデータを順次入力すれば、工
具寿命に達するまでの加工時間に関するデータが入力さ
れることになる。なお、工具寿命に達した回転切削工具
について、上記切削条件や切削諸元,加工時間Hなどの
データを入力するようにしても良いし、作業者が入力操
作することなく加工機などから自動的に上記データを取
り込むようにすることもできる。
【0033】ステップSS2では、上記送り速度F,切
込み断面積(Pr×Pa),および加工時間Hを掛け算
して加工体積L1を算出し、ステップSS3では、入力
された工具寿命データが既に工具寿命データメモリ18
に記憶されているか否かを判断する。すなわち、入力さ
れた切削諸元および切削条件における加工可能体積Lに
関するデータが、例えば図5に示すデータマップに存在
するか否かを判断するのであり、存在しない場合にはス
テップSS4で上記加工体積L1を加工可能体積Lとし
てデータマップの対応する部分に書き込む。工具寿命デ
ータが既に存在する場合には、ステップSS5で、新た
に入力されたデータすなわち上記加工体積L1の方がデ
ータマップの加工可能体積Lより大きいか否かを判断
し、加工体積L1の方が大きい場合には、ステップSS
6においてその加工体積L1にデータマップの内容を書
き換える。そして、ステップSS4またはSS6を実行
した場合には、ステップSS7で、その新たなデータマ
ップに従って前記3次元曲面L=s1(F,S),L=
s2(F,Pr×Pa)を生成し直すとともに、その3
次元曲面を工具寿命データメモリ18に記憶する。
【0034】次に、所定の切削加工を行う場合に切削条
件を求める際の手順や処理内容を、図7〜図10のフロ
ーチャートを参照しつつ説明する。図7のステップS1
では、切削諸元として使用する回転切削工具の工具ナン
バーNT ,要求加工精度の分類m,被削材の材質Zを入
力操作手段12によって入力する。ステップS2では、
ステップS1で入力された切削諸元に対応する工具寿命
データ、すなわち前記3次元曲面L=s1(F,S)お
よびL=s2(F,Pr×Pa)を工具寿命データメモ
リ18から読み出し、ステップS3では、それ等の3次
元曲面から加工可能体積Lが最大となる切削条件Qp を
算出する。この切削条件Qp は、例えば図9に示すよう
にして求められ、先ずステップS3−1で曲面L=s1
(F,S)から加工可能体積Lが最大値Lmax 1となる
主軸回転数Sp および送り速度Fp を求める。これは、
例えば図4におけるL軸と直角な平面を、曲面L=s1
(F,S)と重ならない上方位置から下降させ、曲面L
=s1(F,S)と最初に重なった部分の送り速度F,
主軸回転数Sを求めれば良い。次にステップS3−2
で、曲面L=s2(F,Pr×Pa)からL=Lmax 1
およびF=Fp を満足する部分、言い換えれば、曲面L
=s2(F,Pr×Pa)が平面L=Lmax 1および平
面F=Fp と重なる部分の切込み断面積Pr×Paを、
切削条件Qp の切込み断面積(Pr×Pa)p として求
める。この切削条件Qp を求めるステップS3は、第1
発明の一実施例に相当するもので、第3発明の第1工程
であり、計算機16による一連の信号処理のうちステッ
プS2およびS3を実行する部分は、第4発明の第1演
算手段である。切削条件Qp は、第3発明,第4発明に
おける第1切削条件に相当する。
【0035】図7に戻って、次のステップS4では、上
記切削条件Qp をCAM装置22に出力し、その切削条
件Qp で加工を行う場合の回転切削工具と被削材との相
対移動経路に関する(CAMデータ)p のうち、実際に
切削加工を行いながら工具と被削材とを相対移動させる
部分の(CLデータ)p をCAM装置22によって求め
る。ステップS5では、上記(CLデータ)p をCAM
装置22から読み込んで総切削長Xp を求め、ステップ
S6において、その総切削長Xp を切削条件Qp の送り
速度Fp で割り算することにより切削時間Tcpを算出す
る。そして、ステップS7で要求加工時間Tokを入力操
作手段12によって入力すると、ステップS8で、上記
切削時間Tcpが要求加工時間Tok以下か否かを判断し、
Tcp>Tokであれば直ちに図8のステップS12以下を
実行するが、Tcp≦Tokの場合にはステップS9を実行
する。要求加工時間Tokは、実際に加工を行う際の加工
時間に関する要件で、例えば加工機の空き時間などによ
って定められる。
【0036】ステップS9では、CAM装置22により
非切削の状態で工具と被削材とを相対移動させるエアー
カット部分の移動経路に関するACLデータを求め、前
記(CLデータ)p と合わせて(CAMデータ)p を作
成する。ステップS10では、その(CAMデータ)p
をCAM装置22から読み込んで、上記ACLデータお
よび予め設定されたエアーカット部分の送り速度に基づ
いてエアーカット時間Tapを求め、前記切削時間Tcpを
加算して加工所要時間Tp を算出する。そして、ステッ
プS11でその加工所要時間Tp が要求加工時間Tok以
下か否かを判断し、Tp ≦Tokの場合すなわち要求加工
時間Tok以内で加工できる場合には、図8のステップS
19で切削条件Qp を最適切削条件Qo とし、その最適
切削条件Qo や加工所要時間Tp ,加工に必要な工具使
用本数,工具コストなどをCAM装置22に出力する一
方、Tp >Tokであれば図8のステップS12以下を実
行する。工具使用本数は、例えば加工前後の形状データ
をCAM装置22から読み込んで、加工前の被削材体積
Va から加工後の被削材体積Vb を引き算して加工体積
Vを求め、その加工体積Vを加工可能体積Lmax 1で割
り算することによって求められる。上記ステップS9は
前記ステップS4と共に第3発明の第2工程で、ステッ
プS10はステップS5,S6と共に第3発明の第3工
程で、ステップS11は第3発明の第4工程である。ま
た、CAM装置22による一連の信号処理のうちステッ
プS4およびS9を実行する部分は、第4発明の第2演
算手段で、計算機16による一連の信号処理のうちステ
ップS5,S6,およびS10を実行する部分は第4発
明の第3演算手段で、ステップS11を実行する部分は
第4発明の第1判断手段である。(CAMデータ)p ,
加工所要時間Tp は、第3発明,第4発明の第1CAM
データ,第1加工所要時間に相当する。
【0037】ステップS8またはS11の判断がNOの
場合に実行する図8のステップS12では、加工前後の
形状データをCAM装置22から読み込んで、加工前の
被削材体積Va から加工後の被削材体積Vb を引き算し
て加工体積Vを求め、ステップS13では、その加工体
積Vを前記要求加工時間Tokで割り算して要求加工能率
Eを算出する。これ等のステップS12およびS13は
第2発明のA工程、第3発明の第5工程で、計算機16
による一連の信号処理のうちステップS12およびS1
3を実行する部分は第4発明の第4演算手段である。
【0038】次のステップS14では、上記要求加工能
率Eを満足する切削条件の範囲内で、前記ステップS2
において読み込んだ工具寿命データ、すなわち前記3次
元曲面L=s1(F,S)およびL=s2(F,Pr×
Pa)から加工可能体積Lが最大となる切削条件Qs を
算出する。この切削条件Qsは、例えば図10に示すよ
うにして求められ、先ずステップS14−1で、曲面L
=s2(F,Pr×Pa)のうちF×(Pr×Pa)の
値が要求加工能率E以上となる範囲の曲面L=s3
(F,Pr×Pa)を求める。図11は、曲面L=s2
(F,Pr×Pa)とL=s3(F,Pr×Pa)との
関係を図示したもので、曲面L=s3(F,Pr×P
a)は曲面L=s2(F,Pr×Pa)の一部である。
次に、ステップS14−2で、上記曲面L=s3(F,
Pr×Pa)から加工可能体積Lが最大値Lmax 3とな
る送り速度Fs および切込み断面積(Pr×Pa)s
を、前記ステップS3−1と同様にして求め、ステップ
S14−3で、曲面L=s1(F,S)からL=Lmax
3およびF=Fs を満足する主軸回転数Ss を、前記ス
テップS3−2と同様にして求める。この切削条件Qs
を求めるステップS14は、第1発明の一実施例に相当
するもので、第2発明のB工程、第3発明の第6工程で
あり、計算機16による一連の信号処理のうちステップ
S2およびS14を実行する部分は第4発明の第5演算
手段である。切削条件Qs は、第3発明,第4発明にお
ける第2切削条件に相当する。なお、上記ステップS1
4では要求加工能率Eをそのまま用いて切削条件Qs を
求める場合について説明したが、前記切削条件Qp にお
ける加工能率Fp ×(Pr×Pa)p を求めて上記要求
加工能率Eと比較し、加工能率Fp ×(Pr×Pa)p
の方が大きい場合には、その加工能率Fp ×(Pr×P
a)p に所定値を加算した値または所定割合だけ高くし
た値を、上記要求加工能率Eの代わりに用いて切削条件
Qs を求めるようにしても良い。
【0039】図8に戻って、次のステップS15では、
上記切削条件Qs をCAM装置22に出力し、その切削
条件Qs で加工を行う場合の回転切削工具と被削材との
相対移動経路に関する(CAMデータ)s をCAM装置
22によって求める。また、ステップS16では、上記
(CAMデータ)s をCAM装置22から読み込み、前
記ステップS5,S6,S10と同様にして切削時間T
csおよびエアーカット時間Tasを求めて加工所要時間T
s (=Tcs+Tas)を算出する。そして、ステップS1
7で、その加工所要時間Ts が要求加工時間Tok以下か
否かを判断し、Ts ≦Tokの場合すなわち要求加工時間
Tok以内で加工できる場合には、ステップS19で切削
条件Qs を最適切削条件Qo とし、その最適切削条件Q
o や加工所要時間Ts ,加工に必要な工具使用本数,工
具コストなどをCAM装置22に出力する。また、Ts
>Tokの場合は、ステップS18において前記要求加工
能率Eを高くし、ステップS17の判断がYESとなる
まで前記ステップS14以下を繰り返す。ステップS1
8では、要求加工能率Eを予め定められた一定値、或い
は一定割合だけ高くするものでも良いが、前記要求加工
時間Tokから所定値、例えばエアーカット時間Tasを差
し引いて前記加工体積Vを割り算することにより新たな
要求加工能率Eを求めるようにしたり、今回の切削条件
Qs における加工能率Fs ×(Pr×Pa)s よりも所
定値だけ高い値または所定割合だけ高い値を新たな要求
加工能率Eとしたりするなど、要求加工能率Eを大きく
する側へ変更するように適宜定められる。上記ステップ
S15,S16,S17,S18はそれぞれ第3発明の
第7工程,第8工程,第9工程,第10工程で、第2発
明の望ましい態様(請求項1に記載の発明)におけるC
工程、D工程、E工程、F工程であり、CAM装置22
による一連の信号処理のうちステップS15を実行する
部分は第4発明の第6演算手段で、計算機16による一
連の信号処理のうちステップS16,S17,S18を
実行する部分はそれぞれ第4発明の第7演算手段,第2
判断手段,変更手段である。また、(CAMデータ)s
,加工所要時間Ts は、第3発明,第4発明の第2C
AMデータ,第2加工所要時間に相当し、第2発明の望
ましい態様(請求項1に記載の発明)におけるCAMデ
ータ,加工所要時間に相当する。
【0040】このように、本実施例の切削条件設定装置
10によれば、入力操作手段12によって使用工具ナン
バーNT などの切削諸元および要求加工時間Tokを入力
するだけで、要求加工時間Tok以内で加工できる切削条
件の中で最大の加工可能体積Lmax 1またはLmax 3が
得られる最適切削条件Qo が求められる。すなわち、こ
のようにして求めた最適切削条件Qo でCAM装置22
によりNCプログラムを作成して加工を行えば、上記要
求加工時間Tok以内で加工を行うことができる一方、そ
の要求加工時間Tok以内で加工を行うことができる切削
条件の中では、工具寿命に達するまでに最大の体積を切
削加工でき、回転切削工具に要するコストを最低にでき
るのである。特に、CAM装置22を利用してエアーカ
ット時間を含めた実際の加工所要時間Tp ,Ts を求
め、その加工所要時間Tp ,Ts が要求加工時間Tok以
内である場合に、その切削条件Qp ,Qs を最適切削条
件Qo とするようになっているため、要求加工時間Tok
以内で確実に加工を終了できる切削条件が求められる。
【0041】また、要求加工時間Tokを考慮することな
く最大の加工可能体積Lmax 1が得られる切削条件Qp
を求め、その切削条件Qp で加工を行った場合の加工所
要時間Tp が要求加工時間Tok以内であれば、要求加工
時間Tokを考慮した切削条件Qs を求めることなく、そ
の切削条件Qp を最適切削条件Qo とするようになって
いるため、最初から要求加工時間Tokを考慮した切削条
件Qs を求める場合に比較して、ステップS14−1で
新たに3次元曲面L=s3(F,Pr×Pa)を生成す
るなどの面倒で無駄な処理が回避され、最適切削条件Q
o を短時間で求めることができる。
【0042】更に、本実施例では工具寿命データが入力
されることにより、工具寿命データメモリ18の記憶内
容が順次更新されるようになっているため、切削条件と
加工可能体積Lとの関係について予め完全なものを記憶
させておく必要がないとともに、常に最新の工具寿命デ
ータに基づいて最適切削条件Qo が求められる。
【0043】また、本実施例では切削条件Qp による加
工が要求加工時間Tok以内で行えるか否かを判断する際
に、先ず(CLデータ)p のみを求めて切削時間Tcpを
算出し、その切削時間Tcpが要求加工時間Tokより長い
場合すなわちステップS8の判断がNOの場合は、ステ
ップS9〜S11を実行することなくステップS12以
下を実行するようになっているため、常にエアーカット
部分を含めた(CAMデータ)p を求めるとともに加工
所要時間Tp を算出して要求加工時間Tokと比較する場
合に比べて、最適切削条件Qo を求めるのに必要な時間
が短縮される。
【0044】また、本実施例では送り速度Fおよび切込
み断面積(Pr×Pa)をパラメータとして加工可能体
積Lの3次元曲面L=s2(F,Pr×Pa)が定めら
れているため、要求加工能率Eを満足する範囲で加工可
能体積Lが最大となる切削条件Qs を求める際の処理
が、図10に示されているように比較的容易且つ迅速に
行われる利点がある。
【0045】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0046】例えば、前記実施例では別体に構成された
CAM装置22が入出力インタフェース回路20を介し
て計算機16に接続されていたが、計算機16にCAM
装置22の機能を併せ持たせることも可能である。
【0047】また、前記実施例では切削条件と加工可能
体積Lとの関係が2つの3次元曲面として記憶されるよ
うになっていたが、この切削条件と加工可能体積Lとの
関係についての設定方法は適宜定められる。
【0048】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第4発明のクレーム対応図である。
【図2】第4発明の一実施例である切削条件設定装置の
主要構成を説明するブロック線図である。
【図3】図2における工具寿命データメモリの記憶内容
を説明する図である。
【図4】図3の加工可能体積Lと切削条件FおよびSと
の関係を表す3次元曲面L=s1(F,S)を説明する
図である。
【図5】図4の3次元曲面の元となるデータマップを説
明する図である。
【図6】図2の工具寿命データメモリにデータを入力す
る際の手順および処理内容を説明するフローチャートで
ある。
【図7】図2の切削条件設定装置によって切削条件を求
める際の手順および処理内容を説明するフローチャート
である。
【図8】図7の続きを説明するフローチャートである。
【図9】図7におけるステップS3の具体的内容を説明
するフローチャートである。
【図10】図8におけるステップS14の具体的内容を
説明するフローチャートである。
【図11】図10におけるステップS14−1の処理内
容を説明する図である。
【符号の説明】
10:切削条件設定装置 12:入力操作手段 16:計算機 18:工具寿命データメモリ(記憶手段) 22:CAM装置 Qp :第1切削条件 Qs :第2切削条件 Qo :最適切削条件 (CAMデータ)p :第1CAMデータ (CAMデータ)s :第2CAMデータ,CAMデータ Tp :第1加工所要時間 Ts :第2加工所要時間,加工所要時間 ステップS2,S3:第1演算手段 ステップS3:第1工程 ステップS4,S9:第2工程,第2演算手段 ステップS5,S6,S10:第3工程,第3演算手段 ステップS11:第4工程,第1判断手段 ステップS12,S13:A工程,第5工程,第4演算
手段 ステップS2,S14:第5演算手段 ステップS14:B工程,第6工程, ステップS15:C工程,第7工程,第6演算手段 ステップS16:D工程,第8工程,第7演算手段 ステップS17:E工程,第9工程,第2判断手段 ステップS18:F工程,第10工程,変更手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−180408(JP,A) 特開 昭62−88545(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/00 - 15/28 G05B 19/18 - 19/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転切削工具を軸心まわりに回転駆動し
    つつ該軸心と交差する方向へ被削材に対して相対移動さ
    せながら所定の加工を行う際の切削条件を設定する方法
    であって、 前記所定の加工の加工前後の形状データから加工体積を
    求め、該加工体積を予め定められた要求加工時間で割り
    算して要求加工能率を求めるA工程と、 送り速度および切込み断面積を含む切削条件と前記回転
    切削工具が工具寿命に達するまでの加工可能体積とに関
    して予め求められた関係から、前記要求加工能率を満足
    する範囲で前記加工可能体積が最大となる切削条件を求
    めるB工程と 該B工程で求めた切削条件で前記所定の加工を行う場合
    の前記回転切削工具と前記被削材との相対移動経路に関
    するCAMデータをCAM装置によって求めるC工程
    と、 該CAMデータから前記B工程で求めた切削条件で前記
    所定の加工を行う場合に必要な加工所要時間を求めるD
    工程と、 該加工所要時間が前記要求加工時間以内か否かを判断
    し、該要求加工時間以内であれば前記B工程で求めた切
    削条件を最適切削条件とするE工程と、 該E工程で前記加工所要時間が前記要求加工時間より長
    いと判断された場合に、前記B工程で切削条件を求める
    際の前記要求加工能率を高くするF工程と を有すること
    を特徴とする切削条件設定方法。
  2. 【請求項2】 回転切削工具を軸心まわりに回転駆動し
    つつ該軸心と交差する方向へ被削材に対して相対移動さ
    せながら所定の加工を行う際の切削条件を設定する方法
    であって、 送り速度および切込み断面積を含む切削条件と前記回転
    切削工具が工具寿命に達するまでの加工可能体積とに関
    して予め求められた関係から、該加工可能体積が最大
    なる第1切削条件を求める第1工程と、 該第1切削条件で前記所定の加工を行う場合の前記回転
    切削工具と前記被削材との相対移動経路に関する第1C
    AMデータをCAM装置によって求める第2工程と、 該第1CAMデータから前記第1切削条件で前記所定の
    加工を行う場合に必要な第1加工所要時間を求める第3
    工程と、 該第1加工所要時間が予め定められた要求加工時間以内
    か否かを判断し、該要求加工時間以内であれば前記第1
    切削条件を最適切削条件とする第4工程と、 該第4工程で前記第1加工所要時間が前記要求加工時間
    より長いと判断された場合に、前記所定の加工の加工前
    後の形状データから加工体積を求めるとともに該加工体
    積を前記要求加工時間で割り算して要求加工能率を求め
    る第5工程と、 前記予め求められた関係から前記要求加工能率を満足す
    る範囲で前記加工可能体積が最大となる第2切削条件を
    求める第6工程と、 該第2切削条件で前記所定の加工を行う場合の前記回転
    切削工具と前記被削材との相対移動経路に関する第2C
    AMデータをCAM装置によって求める第7工程と、 該第2CAMデータから前記第2切削条件で前記所定の
    加工を行う場合に必要な第2加工所要時間を求める第8
    工程と、 該第2加工所要時間が前記要求加工時間以内か否かを判
    断し、該要求加工時間以内であれば前記第2切削条件を
    最適切削条件とする第9工程と、 該第9工程で前記第2加工所要時間が前記要求加工時間
    より長いと判断された場合に、前記第6工程で前記第2
    切削条件を求める際の前記要求加工能率を高くする第1
    0工程とを有することを特徴とする切削条件設定方法。
  3. 【請求項3】 回転切削工具を軸心まわりに回転駆動し
    つつ該軸心と交差する方向へ被削材に対して相対移動さ
    せながら所定の加工を行う際の切削条件を設定する装置
    であって、 切削諸元および要求加工時間を入力する入力操作手段
    と、 送り速度および切込み断面積を含む切削条件と、前記回
    転切削工具が工具寿命に達するまでの加工可能体積との
    関係が、前記切削諸元に応じて予め記憶される記憶手段
    と、 前記入力操作手段によって入力された切削諸元に対応す
    る切削条件と加工可能体積との関係を前記記憶手段から
    読み出し、該加工可能体積が最大となる第1切削条件を
    求める第1演算手段と、 該第1切削条件で前記所定の加工を行う場合の前記回転
    切削工具と前記被削材との相対移動経路に関する第1C
    AMデータを予め定められたCAMプログラムに従って
    求める第2演算手段と、 該第1CAMデータから前記第1切削条件で前記所定の
    加工を行う場合に必要な第1加工所要時間を求める第3
    演算手段と、 該第1加工所要時間が前記入力操作手段によって入力さ
    れた要求加工時間以内か否かを判断し、該要求加工時間
    以内であれば前記第1切削条件を最適切削条件とする第
    1判断手段と、 該第1判断手段により前記第1加工所要時間が前記要求
    加工時間より長いと判断された場合に、予め設定された
    前記所定の加工の加工前後の形状データから加工体積を
    求めるとともに、該加工体積を前記要求加工時間で割り
    算して要求加工能率を求める第4演算手段と、 前記入力操作手段によって入力された切削諸元に対応す
    る切削条件と加工可能体積との関係を前記記憶手段から
    読み出し、前記要求加工能率を満足する範囲で該加工可
    能体積が最大となる第2切削条件を求める第5演算手段
    と、 該第2切削条件で前記所定の加工を行う場合の前記回転
    切削工具と前記被削材との相対移動経路に関する第2C
    AMデータを前記CAMプログラムに従って求める第6
    演算手段と、 該第2CAMデータから前記第2切削条件で前記所定の
    加工を行う場合に必要な第2加工所要時間を求める第7
    演算手段と、 該第2加工所要時間が前記入力操作手段によって入力さ
    れた要求加工時間以内か否かを判断し、該要求加工時間
    以内であれば前記第2切削条件を最適切削条件とする第
    2判断手段と、 該第2判断手段により前記第2加工所要時間が前記要求
    加工時間より長いと判断された場合に、前記第5演算手
    段によって前記第2切削条件が求められる際の前記要求
    加工能率を高くする変更手段とを有することを特徴とす
    る切削条件設定装置。
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