JP3800373B2 - エンジン発電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置全体を遮音ケースで覆ったエンジン発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンにより駆動される発電機をエンジンと一体化したエンジン発電機は、一般に建設工事現場等で使用されるが、作業環境もしくは市街地で特に夜間運転する場合の現場周辺への配慮から、運転音をなるべく低く抑えるために装置全体を遮音ケースで覆ったものが広く使用されている。
【0003】
この種のエンジン発電機は、上述のように静粛性を追求すべく吸気口や排気口等の開口をできるだけ少なく、かつ小さくしてあるが、一方においては開口面積が小さいことから遮音ケース内部の冷却について十分な考慮が必要になる。
【0004】
そこで本出願人は、先の出願に係る実公昭64−3777号公報等に記載した例を提案しており、同例においてはエンジンとマフラーとをダクトで覆って他の機器とは隔離し、このダクト内に冷却風を強制的に通風してマフラー側から遮音ケースの外へ排風することにより、遮音ケース内に温度の高い冷却排風が再循環するのを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし遮音ケース内にあってダクトの外にある発電機については、前記ダクトとは別の冷却風路を構成するか発電機専用の冷却ファンを用意する等の措置を講じなければならず、装置の大型化の要因の一つとなっていた。
【0006】
前記実公昭64−3777号公報記載の例では、エンジンとマフラーを覆うダクトに強制的に通風する冷却ファンとは別個に発電機を冷却するファンを備え、同ファンによる排風を前記ダクトに合流させるようになっているので、冷却風路が複雑化するとともに、ファン騒音源が2か所となり、またファンの設置自体も大型化の要因となる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、1つの遠心ファンとすることによってファン騒音源を1カ所にして騒音の漏出対策を容易とするとともに、エンジンと発電機を効率良く冷却することができるコンパクトなエンジン発電機を供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用効果】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンおよび同エンジンにより駆動される発電機を回転軸方向に並べて配置して遮音ケース内に収容したエンジン発電機において、
前記発電機をアウターロータ型発電機で構成し、同発電機のアウターロータの前記エンジンと反対の端面に遠心ファンを設け、遠心ファン側には前記遮音ケース内に開口する吸風開口を有したダクトが前記遠心ファン,発電機,エンジンの全周を覆い、前記ダクトの下流側排風開口が前記遮音ケースの外部に向いて形成されており、前記発電機と前記エンジンとの間にエンジンに向かう冷却風の一部を前記発電機内に導入し再び遠心ファンに還流する還流用空隙を形成したエンジン発電機とした。
【0009】
遠心ファンによりダクトの遮音ケース内に開口する吸風開口から遮音ケース内の空気をダクト内に吸入してエンジン側に通風するとともに、ダクト内でエンジン側へ向かう冷却風の一部が発電機とエンジンとの間の還流用空隙から発電機内に導入されて遠心ファンに還流するので、1つの遠心ファンによるダクト内の通風によってエンジンと発電機をともに冷却することができる。
【0010】
それも1つのダクト内において比較的温度の低い発電機を上流側にして下流側にエンジンを配置したので、温度の低い方から順に効率良く冷却することができる。
また冷却用ファンは遠心ファン1つであり、同遠心ファンはダクトと遮音ケースにより2重に覆われているので、外部への騒音の漏出を小さく抑えることができる。
【0011】
アウターロータ型発電機でアウターロータでエンジンのフライホイールを兼用することにより回転軸方向の寸法を小さくすることができるとともに、冷却ファンをアウターロータに一体的に取り付けたので、容易に大風量の遠心ファンを取り付けることができ、かつ大きなファン支持強度を得ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエンジン発電機において、前記遠心ファンが、前記ダクトの吸風開口から前記遮音ケース内の空気を吸入する主ファンと、前記還流用空隙から前記発電機内に導入された空気を遠心ファンに還流する副ファンとを一体的に形成した両面ファンとしたことを特徴とする。
【0013】
主ファンにより、ダクトの吸風開口から前記遮音ケース内の空気を吸入し、エンジン側に通風する主空気流を形成し、該主空気流の一部を発電機とエンジンとの間の還流用空隙により発電機内に導入し副ファンの作用により遠心ファンに還流することで発電機を冷却することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のエンジン発電機において、前記遠心ファンが、前記還流用空隙から前記発電機内に導入された空気を遠心ファンに還流する貫通孔が形成された孔開きファンであることを特徴とする。
【0015】
遠心ファンにより、ダクトの吸風開口から前記遮音ケース内の空気を吸風し、エンジン側に通風する主空気流を形成し、該主空気流の一部を発電機とエンジンとの間の還流用空隙により発電機内に導入し貫通孔が遠心ファンに還流することで発電機を冷却することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの項記載のエンジン発電機において、前記発電機が前記エンジンのフライホイールを兼用する磁石回転子を有するアウターロータ型の多極発電機で構成され、前記発電機の出力を所定周波数の交流に変換する制御回路を設けたことを特徴とする。
【0017】
多極発電機の出力を制御回路が所定周波数の交流に変換するので、従来使用されていた同期発電機のように常に一定の回転数を維持する必要がなく、大負荷時以外は回転数を低下させておくことが可能となり、定格運転時あるいは軽負荷運転時の運転音を大幅に低減することが可能となる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの項記載のエンジン発電機において、前記エンジンがシリンダを斜め側方に傾斜させて配設され、前記シリンダの上方の前記ダクト内の空間に前記マフラーを配置したことを特徴とする。
【0019】
シリンダを傾斜させてできたエンジンの上方の空間に大きなマフラーを配置できるため、回転軸方向の寸法を小さくすることができるとともに、高熱部分ほど上方に位置するので、合理的な冷却空気流を形成して効率良く冷却できる。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のエンジン発電機において、前記マフラーが、前記エンジンの回転軸と直角方向に長尺に配置されたことを特徴とする。
傾斜したシリンダの上方の空間に装置の上下方向の寸法を小さく抑えながら大きな容量のマフラーを配設することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図11に図示し説明する。
本実施の形態のエンジン発電機1は、図1に外観図を示すように装置全体を遮音ケース2で覆った立方体状をなしている。
【0022】
遮音ケース2その他内部フレーム等の分解斜視図を図2に示す。
偏平な受け皿状をなすアンダーフレーム3は、前側壁3aと右側壁3bに外部と連通する吸気口4a,4bが形成され、後側壁3cは着脱可能とし、内部には左右方向に長尺の前後一対の支持メンバー3p,3qが互いに平行に敷設されている。
【0023】
このアンダーフレーム3に概ね矩形板状のフロントフレーム5とリアフレーム6とが互いに所定間隔を存して対向するように立設される。
フロントフレーム5は、上側周縁が後方に屈曲してフランジ5aが形成され、矩形板の上部に左右方向に長尺の長方形状の開孔5b、下部に円形の一部が膨出したような連通開孔5cが形成されている。
【0024】
一方リアフレーム6は、上下分割型で合体すると、中央に大きく矩形状をなす貫通孔7aが形成され、この貫通孔7aに前方へ膨出したダクト7が一体に形成され、リアフレーム6の上側周縁は前方に屈曲してフランジ6aが形成されている。
前記ダクト7の前部は矩形筒状をなして開口している。
【0025】
そしてリアフレーム6の後方には貫通孔7aに設けられダクト7に連接して後方に膨出したように構成されるグラスウール製のダクト8が配設される。
ダクト8は前方と下方を開口した概ね矩形の箱状をなし、上側壁に排風口8aが設けられる。
【0026】
アンダーフレーム3の上に立設された前後のフロントフレーム5とリアフレーム6との間に前後方向に指向した左右に一対の補強レール9,9が上側角部を貫通して架設される。
こうして補強された前後のフロントフレーム5とリアフレーム6の対向する空間を外部から仕切るように外周縁に沿って半角筒状のセンターカバー11が覆う。
【0027】
センターカバー11は、プレートを屈曲して左側壁11aと上壁11bと右上側壁11cの半角筒状をなし、右下側壁は別部材である開閉可能な蓋部材12が覆うようになっており、内部にセンター室22が区画形成される。
センターカバー11の上壁には燃料タンク55の給油口55bが突出する円孔11dが形成されている。
【0028】
そしてフロントフレーム5の前方に概ね矩形箱状をしたフロントカバー13が被せられフロント室21が区画形成され、リアフレーム6の後方には概ね矩形箱状をしたリアカバー14が被せられリア室23が区画形成されるが、このリアカバー14の内面に沿って前記グラスウール製のダクト8が内張りされたような構造となり、ダクト8内がリア室23となる。
【0029】
フロントカバー13の前壁中央は矩形に凹出して開口したコントロールパネル62用の矩形口13aが形成され、リアカバー14の上壁には前記ダクト8に設けられる排風口8aに対応して矩形口14aが形成されている。
【0030】
以上のようにエンジン発電機1の外壁をなす遮音ケース2は、アンダーフレーム3,センターカバー11,蓋部材12,フロントカバー13,リアカバー14によって6面を形成してケースを構成している。
そして遮音ケース2の内部空間は、フロントフレーム5とリアフレーム6によってフロント室21,センター室22,リア室23の3つの室に区画されている。
【0031】
なおリアフレーム6よりセンター室22に膨出したダクト7の矩形筒状部に、連続してさらにセンター室22内にダクトでもあるファンカバー16が設置される。
ファンカバー16は発電機35と遠心ファン40を覆うべく概ね円筒状をなし、前端の円開口が吸風口16aをなし、吸風口16aの環状の開口端面に突出長を一定にした突起16bが複数設けられている。
【0032】
ファンカバー16の後端開口面は外周方向に延出したフランジ16cが形成され、同フランジ16cに後方から矩形枠部材17が取り付けられる。
矩形枠部材17の矩形外周縁にはシールラバー18が周設されており、前記ダクト7の矩形筒状部内にシールラバー18で周囲をシールして矩形枠部材17が嵌合される。
【0033】
すなわちファンカバー16は、矩形枠部材17を介してリアフレーム6のダクト7に連接し、ダクト7はリアフレーム6より後方に膨出してリア室23を形成するダクト8に連接している。
【0034】
したがって遮音ケース2内には、ファンカバー16,ダクト7,ダクト8からなるダクト内空間が、センタ室22の一部とリア室23を占有して形成されており、ダクト内空間の上流側吸風口16aはセンター室22内に開口しており、下流側排風口8aはダクト8の上側壁に設けられ、同排風口8aはリアカバー14の矩形口14aに臨んで遮音ケース2の外部に開口している。
【0035】
以上のような遮音ケース2内のフレーム構造およびダクト構造に各種機器が配設される。
エンジン30は、図4に示すように遮音ケース2の後部のダクト7,8内に収容され、アンダーフレーム3に敷設された支持メンバー3qに固着された左右一対の防振マウント部材31により支持される(図4、図6参照)。
【0036】
図6に示すようにエンジン30は、クランクケース30aを左側に偏って位置させ、シリンダ30bを右方向で若干上向きに傾斜させて突設しており、前後水平方向に指向したクランク軸30cは前方へ突出している。
【0037】
このようにエンジン30はシリンダ30bを傾斜させているので、ダクト7,8の上部空間を大きく確保でき、同空間に大型筒状のマフラー32を左右方向に指向させて配設している。
マフラー32はエンジン30にブラケット33を介して支持され、シリンダ30b部より上方へ延出した排気管34が連結され、マフラー32の右側壁から延びたテールパイプ32aがマフラー32の後面に回り込んで排気口を排風口8aに沿わせている。
【0038】
クランクケース30aより前方へ突出したクランク軸30cに発電機35が設けられている。
発電機35は、アウターロータ型の多極発電機であり、図7に示すようにクランク軸30cに一体に固着されたアウターロータ36は有底円筒状をなし、周壁の内周面に磁石36aが複数周方向に亘って貼着されてクランク軸30cと一体に回転し、エンジンにおけるフライホイールの作用も果している。
【0039】
アウターロータ36は、底壁を前側にして後方を開口し、内部のインナーステータ37は放射状に突出した複数のヨークに発電コイルが巻回されたステータコアがクランクケース30aに固定されている。
なおアウターロータ36の底壁には通気口36bが複数形成されている。
このアウターロータ36の底壁に遠心ファン40が前方から固着されている。
【0040】
図8ないし図11を参照して遠心ファン40は、円板状基盤40aの前面に主ファン41,後面に副ファン42がそれぞれ形成された両面ファンである。
該遠心ファン40が回転すると、主ファン41は前方から空気を中心部分に吸込み円板状基盤40aの前面に沿って遠心方向に吐き出す空気流を形成し、主ファン41と一体に回転する副ファン42は後方の空気を中心部分に吸込み円板状基盤40aの後面に沿って遠心方向に吐き出す空気流を形成する(図11の破線矢印参照)。
【0041】
前記ファンカバー16は、上記発電機35と遠心ファン40を覆っており、前端の吸風口16aが遠心ファン40に対向して開口し、後端は矩形枠部材17とともにエンジン30のクランクケース30aに固着されて支持される。
【0042】
このファンカバー16の前端吸風口16aに対向してリコイルスタータ45が設けられている。
リコイルスタータ45はファンカバー16の吸風口16aの開口端面に突出した突起16bによってファンカバー16の端面から所定間隔を存して配置され、スタータケース46のボス部46bをファンカバー16に固着して一体に支持される。
【0043】
リコイルスタータ45は、図3を参照してクランク軸30cと同軸の回転軸にラチェットホイール47が後方への飛び出しが可能に設けられており、同ラチェットホイール47に対向して遠心ファン40の中心部分にラチェット48が取り付けられている。
【0044】
ラチェットホイール47は、ギア列47aを介してスタータレバーで駆動されるとともに、スタータケース46の左端に設けられたスタータモータ49によっても駆動される。
【0045】
通常ラチェット48と離れているラチェットホイール47がスタータモータ49等により駆動されるときは、後方へ飛びだしてラチェット48に係合しラチェット48とアウターロータ36を介して一体のクランク軸30cを強制的に回転してエンジン30の始動を行うことができる。
【0046】
リコイルスタータ45の概ね円錐形状をしたスタータケース46は、母線に沿った長孔46aが周方向に亘って複数本形成されており、ファンカバー16の端面との間隙とともに、スタータケース46の外部とファンカバー16の吸風口16aとを連通している。
【0047】
リコイルスタータ45はセンター室22内にあってアンダーフレーム3に敷設された支持メンバー3pに固着された左右一対の防振マウント部材50により支持される(図4、図5参照)。
【0048】
エンジン30とリコイルスタータ45は、ファンカバー16を介して一体に連結されており、後部のエンジン30を防振マウント部材31が支持し、前部のリコイルスタータ45を防振マウント部材50が支持するので、振動体の前後の両端部分に近い位置を効果的に支持することができる。
【0049】
リア室23からセンター室22にかけて左寄りに位置したクランクケース30aの前方に発電機35およびリコイルスタータ45が配設されるので、センター室22内においてファンカバー16とリコイルスタータ45の右方に空間が開き、同空間に気化器52とエアクリーナ53がエアクリーナ53を前側にして前後に配設される。
【0050】
エンジン30の上方にはマフラー32が配設されたが、センター室22内のファンカバー16,リコイルスタータ45,気化器52,エアクリーナ53の上方空間に燃料タンク55が配設される。
【0051】
前記フロントフレーム5とリアフレーム6との間に架設された左右一対の補強レール9に燃料タンク55のフランジ55aを防振ラバー56を介してボルト57で固定し燃料タンク55を懸架する。
【0052】
なお燃料タンク55はフロントフレーム5の上部開孔5bから一部フロント室21内にはみ出しており、燃料タンク55の上方へ突出した給油口55bはセンターカバー11の円孔11dを貫通して上端に燃料キャップ58が螺合される。
【0053】
したがってセンター室22内であってファンカバー16およびダクト7の外部空間に、燃料タンク55が気化器52やエアクリーナ53の吸気系機器とともに一緒に配設され、エンジン30の燃料系部品を一括集中させてスペースを効率良く利用しており、装置のコンパクト化が図られている。
【0054】
フロントフレーム5の前方のフロントカバー13に覆われたフロント室21の偏平矩形空間には右側にインバータ装置60、左側にバッテリ61がアンダーフレーム3上に配設され、その上方にコントロールパネル62がフロントカバー13の前面矩形口13aに臨んで設けられている。
すなわちフロント室21には電装機器が集中的に配設されている。
【0055】
インバータ装置60は、多極発電機35の発電出力を所定周波数の交流に変換するものであり、同インバータ装置60はフロント室21のフロントカバー13の吸気口4a,4bに近い右側に配置されて吸入外気により最初に冷却されるようになっている。
【0056】
遮音ケース2を備えた本エンジン発電機1は、以上のようにダクト7,8およびファンカバー16内に発電機35,エンジン30,マフラー32が、この順序に収容された構造をしている。
【0057】
ファンカバー16の吸風口16aはセンター室22内に開口し、吸風口16aの内側に設けられた遠心ファン40の回転により遮音ケース2外部からフロント室21を介してセンター室22へ導入した空気をリコイルスタータ45のスタータケース46の複数の長孔46bおよびファンカバー16とスタータケース46との間の間隙を通じて吸風口16aからファンカバー16内に吸入することができる(図4および図7において空気の流れを破線矢印で示す)。
【0058】
図7に示すように遠心ファン40の前面に設けられた主ファン41によって空気が吸風口16aからファンカバー16内に吸入され、吸入された空気は遠心方向に吐き出されファンカバー16の内周面に沿って発電機35のアウターロータ36の外側をエンジン30側に流れてエンジン30を冷却する。
【0059】
かかる主空気流の流路途中に発電機35とエンジン30との間の空隙43が構成されていて、主空気流の一部が、分岐して同空隙43に導入されアウターロータ36の内側に回り込む。
この還流空気を前記遠心ファン40の後面に設けられた副ファン42と空隙43とが形成する。
【0060】
アウターロータ36の内側に回り込んだ空気は、発電コイルを冷却してアウターロータ36の底壁に設けられた通気口36bより副ファン42に至り、遠心方向に吐き出さて主空気流に還流する。
【0061】
こうして一部発電機35を冷却した空気を含んでエンジン30に流れた空気は、エンジン30を冷却してダクト7,8に案内されて上方に向かいマフラー32を冷却する(図4参照)。
マフラー32を冷却した空気は、その上方にあって遮音ケース2の外部に臨んで設けられた排風口8aから外部に排出される。
【0062】
なおセンター室22にはフロントフレーム5の連通開孔5cにより連通状態にあるフロント室21を介してフロントカバー13の吸気口4a,4bから外気が吸入されるようになっているので、フロント室21が外気吸入用の迷路状の導入ダクトとして作用し、センター室22で発生する吸気音の漏出を抑えることができるとともに、吸気口4a,4bからの吸入空気流の経路にあるインバータ装置60を冷却することができる。
【0063】
そしてファンカバー16,ダクト7,8が、熱源となる発電機35,エンジン30,マフラー32を覆って他の機器と隔離し、前記したように遠心ファン40の駆動によりセンター室22内に開口した吸風口16aからファンカバー16内に吸入された空気が、比較的温度の低い発電機35を還流空気が冷却した後、温度の高いエンジン30,マフラー32の順に冷却して排風口8aから外部に排出されるので、効率の良い冷却を行うことができる。
【0064】
遠心ファン40によりファンカバー16およびダクト7内に吸入されエンジン側へ向かう冷却風の一部が発電機35とエンジン30との間の還流用空隙43から発電機35内に導入されて遠心ファン40に還流するので、1つの遠心ファン40によるダクト7,8内の通風によってエンジン30と発電機35をともに冷却することができ,それも1つのダクト7,8内において比較的温度の低い発電機35を上流側にして下流側にエンジン30を配置したので、温度の低い方から順に効率良く冷却することができる。
【0065】
また冷却用ファンは遠心ファン40が1つであり、同遠心ファン40はファンカバー16と遮音ケース2により2重に覆われているので、外部への騒音の漏出を小さく抑えることができる。
なお遠心ファン40は、発電機30のアウターロータ36に取り付けられるので、大風量の遠心ファン40を容易に装着でき、かつ大きなファン支持強度を得ることができる。
【0066】
またエンジン30の上方にマフラー32が配置され高熱機器ほど上方に位置し、さらに上方に排風口8aを備える構成なので、合理的な冷却空気流を形成して益々冷却を効率の良く行うことができる。
【0067】
加えてエンジン30のシリンダ30bを傾斜させ、その上方にマフラー32を配置しているので、大きな容量のマフラー32を配設しながら上下方向の寸法を小さく抑えることができる。
【0068】
またインバータ装置60が多極発電機35の出力を所定周波数の交流に変換するので、従来のこの種のエンジン発電機に用いられる同期発電機のように出力周波数を一定に保持するために負荷の大小にかかわらず回転数を一定に保持する必要はなく、大負荷時以外は回転数を低下させておくことが可能となり、定格運転時あるいは軽負荷運転時の運転音を大幅に低減することが可能となる。
【0069】
以上の実施の形態では遠心ファン40を両面ファンとしたが、別の遠心ファンを用いた例を図12に示す。
本実施の形態で用いた遠心ファン70以外は、前記実施の形態と同じ部材を用いており、同じ符号を用いる。
【0070】
該遠心ファン70は、円板状基盤71の前面にファン72が形成されるとともに、円板状基盤71の所定箇所に還流用の開孔73が形成された孔開きファンである。
開孔73は、発電機35のアウターロータ36の底壁に形成された通気口36bに対応して設けられている。
【0071】
遠心ファン70の回転により空気が吸風口16aからファンカバー16内に吸入され、吸入された空気は遠心方向に吐き出されファンカバー16の内周面に沿って発電機35のアウターロータ36の外側をエンジン30側に流れてエンジン30を冷却するとともに、その一部が発電機35とエンジン30との間の空隙43に導入されアウターロータ36の内側に回り込む。
【0072】
アウターロータ36の内側に回り込んだ空気は、発電コイルを冷却してアウターロータ36の底壁に設けられた通気口36bおよび開孔73を通って円板状基盤71の前面に出て吸風口16aからの吸入空気に合流する。
吸風口16aから吸入され円板状基盤71の前面に沿って遠心方向に流れる空気流が、開孔73の後方に負圧を形成して上記還流空気を前記空隙43に招き入れるように作用している。
【0073】
こうして発電機35を冷却した空気が吸入空気に還流してエンジン30側に向かいエンジン30を冷却するので、発電機35とエンジン30を双方とも効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るエンジン発電機の外観図である。
【図2】遮音ケースその他内部フレーム等の分解斜視図である。
【図3】センターカバーを外し燃料タンクを省略した状態のエンジン発電機の平面図である。
【図4】一部省略したエンジン発電機の側面図である。
【図5】同前面図である。
【図6】同後面図である。
【図7】発電機およびその近傍の一部断面とした側面図である。
【図8】遠心ファンの正面図である。
【図9】同裏面図である。
【図10】図8においてX−X線に沿って切断した断面図である。
【図11】図9においてXI−XI線に沿って切断した断面図である。
【図12】別の遠心ファンを用いた実施の形態に係るエンジン発電機の発電機およびその近傍の一部断面とした側面図である。
【符号の説明】
1…エンジン発電機、2…遮音ケース、3…アンダーフレーム、4a,4b…吸気口、5…フロントフレーム、6…リアフレーム、7,8…ダクト、9…補強レール、
11…センターカバー、12…蓋部材、13…フロントカバー、14…リアカバー、16…ファンカバー、17…矩形枠部材、18…シールラバー、21…フロント室、22…センター室、23…リア室、
30…エンジン、31…防振マウント部材、32…マフラー、33…ブラケット、34…排気管、
35…発電機、36…アウターロータ、37…インナーステータ、
40…遠心ファン、41,42…ファン、43…空隙、
45…リコイルスタータ、46…スタータケース、47…ラチェットホイール、48…ラチェット、49…スタータモータ、50…防振マウント部材、
52…気化器、53…エアクリーナ、55…燃料タンク、56…防振ラバー、57…ボルト、58…燃料キャップ、
60…インバータ装置、61…バッテリ、62…コントロールパネル、
70…遠心ファン、71…円板状基盤、72…ファン、73…開孔。
Claims (6)
- エンジンおよび同エンジンにより駆動される発電機を回転軸方向に並べて配置して遮音ケース内に収容したエンジン発電機において、
前記発電機をアウターロータ型発電機で構成し、
同発電機のアウターロータの前記エンジンと反対の端面に遠心ファンを設け、
遠心ファン側には前記遮音ケース内に開口する吸風開口を有したダクトが前記遠心ファン,発電機,エンジンの全周を覆い、
前記ダクトの下流側排風開口が前記遮音ケースの外部に向いて形成されており、
前記発電機と前記エンジンとの間にエンジンに向かう冷却風の一部を前記発電機内に導入し再び遠心ファンに還流する還流用空隙を形成したことを特徴とするエンジン発電機。 - 前記遠心ファンは、前記ダクトの吸風開口から前記遮音ケース内の空気を吸入する主ファンと、前記還流用空隙から前記発電機内に導入された空気を遠心ファンに還流する副ファンとを一体的に形成した両面ファンとしたことを特徴とする請求項1記載のエンジン発電機。
- 前記遠心ファンは、前記還流用空隙から前記発電機内に導入された空気を遠心ファンに還流する貫通孔が形成された孔開きファンであることを特徴とする請求項1記載のエンジン発電機。
- 前記発電機は前記エンジンのフライホイールを兼用する磁石回転子を有するアウターロータ型の多極発電機で構成され、
前記発電機の出力を所定周波数の交流に変換する制御回路を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項記載のエンジン発電機。 - 前記エンジンはシリンダを斜め側方に傾斜させて配設され、
前記シリンダの上方の前記ダクト内の空間に前記マフラーを配置したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかの項記載のエンジン発電機。 - 前記マフラーは、前記エンジンの回転軸と直角方向に長尺に配置されたことを特徴とする請求項5記載のエンジン発電機。
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