JP3827913B2 - エンジン発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとエンジンにより駆動される発電機とを有してなるエンジン発電機に関し、特に、エンジンによって駆動される冷却ファンによりエンジン等の冷却を行うエンジン発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、道路工事や露天商、アウトドアレジャーなどの電源として、エンジンと、エンジンにより駆動される発電機とを筐体内に収容配置して電力を得るいわゆるエンジン発電機が広く知られている。このようなエンジン発電機では、マグネットを取り付けたロータをクランクシャフトに固定し、それを発電コイルを備えたステータ近傍にて回転させ起電力を生じさせている。また、そこではエンジンや発電機、マフラー等を冷却するため、エンジンによって駆動される冷却ファンが設けられており、クランクシャフトの回転に伴い冷却ファンが回転して筐体内に冷却風が導入されるよう構成されている。
【0003】
特開平11―36881号公報には、このような冷却ファンによる空冷式のエンジン発電機において冷却効率の向上を図ったものが開示されている。図4は、このようなエンジン発電機における発電機およびその近傍を一部断面して示した側面図である。
【0004】
図4の装置では、発電機としてアウタロータ型のものを使用し、図示しない筐体内に発電機51、エンジン52を収容して、これらをダクト53およびファンカバー54にて覆っている。発電機51のステータ55はエンジン52に固定されており、ステータ55の外側にはクランクシャフト56と連結されたアウタロータ57が配設されている。
【0005】
アウタロータ57の内周面には、周方向に沿ってマグネット63が配設されている。また、アウタロータ57の外側には冷却ファン58が取り付けられており、クランクシャフト56の回転に伴いアウタロータ57と共に回転して冷却風59を導入するようになっている。さらに、アウタロータ57の底壁には通気口60が形成されており、この通気口60に対応して冷却ファン58にも開孔61が設けられている。一方、発電機51とエンジン52との間には空隙62が形成されている。
【0006】
当該装置では、図4に破線にて示したように、冷却ファン58の回転に伴い空気がファンカバー54内に吸入される。吸入された空気は冷却風59となり、冷却ファン58によって遠心方向に吐き出され、ファンカバー54の内周面に沿って流れる。この冷却風59は、アウタロータ57の外側をエンジン52側に流れてエンジン52を冷却する。また、その一部は空隙62に導入され、アウタロータ57の内側に回り込む。
【0007】
アウタロータ57の内側に回り込んだ空気は、発電コイルを冷却して通気口60および開孔61を通り、冷却ファン58の前面に出てファンカバー54内に新たに吸入された空気と合流する。この際、冷却ファン58の遠心方向に流れる空気流は、開孔61の後方(エンジン52側)に負圧を形成する。これにより、ファンカバー54の内周面に沿って流れる空気は空隙62に引き込まれ、前述の還流空気流を発生させ、発電機51とエンジン52を効率良く冷却するとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11―36881号公報のエンジン発電機では、マグネット63の近傍を冷却風59が流れると共に、マグネット63の近傍に空気の流通孔が設けられている。このため、外気の吸引共に筐体内に侵入してくる砂鉄等を含んだ埃がマグネット63に吸引され易く、砂鉄や埃の吸着により障害が発生し易いという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、砂鉄や埃等がマグネット近傍に付着することによる障害を抑えつつ、発電体を効率良く冷却できるエンジン発電機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジン発電機は、エンジンと、マグネットを有するロータと該ロータの内側に配置されたステータとを備える発電機と、前記エンジンと前記発電機との間に配設され前記エンジンによって駆動される冷却ファンと、前記冷却ファンおよび前記発電機を格納するとともに、前記ステータの中心部に臨んで形成された冷却風導入口を備えるファンカバーとを有し、前記冷却風導入口近傍に設けられた前記ファンカバーの取付部に前記ステータを固定し、前記ステータと前記ファンカバー内壁との間に形成された空間と前記冷却風導入口とを前記取付部を介して連通する連通手段を設け、前記冷却風導入口から導入され前記ステータの中心部を通過して前記冷却ファンに供給される冷却風の一部が、前記ステータから前記空間および前記連通手段を通って前記冷却風導入口に還流することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、冷却風はファンカバー中央の冷却風導入口から吸入され、ステータ外周側に配されたロータ側には、ファンカバー外部から直接冷却風が導入されない。その一方、ファンカバーに冷却風循環通路を設け冷却風の一部を還流させて循環冷却風を形成しステータを冷却するようにしたため、ロータ側に配されたマグネットに砂鉄や埃の異物が付着することを防止しつつ、ステータの冷却性を確保することができ、装置の信頼性向上を図ることが可能となる。
【0012】
本発明のエンジン発電機は、前記連通手段は、前記取付部に形成された連通孔により構成されていることを特徴とする。また、本発明のエンジン発電機は、前記取付部は複数のブロックにより形成され、前記連通手段は前記複数のブロック間のスリットにより構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるエンジン発電機を側方から見た場合の内部構成を示す説明図、図2は図1のエンジン発電機をX方向から見た場合の構成を示す説明図、図3は図1の矢示A方向の部分断面図である。
【0014】
本実施の形態のエンジン発電機1は、エンジンによって発電機を駆動するタイプの発電装置であり、基板8上にエンジン2や発電機3、マフラー4、冷却ファン5等を配設し、これらを図示しない筐体内に収容した構成となっている。当該エンジン発電機1では、発電機3として、アウタロータ11とステータ12とを有するアウタロータ型の発電装置を使用し、そのステータ12を冷却ファン収容用のファンカバー19内に取り付ける。また、ファンカバー19には、ファンカバー19内の空隙(空間)26と冷却風導入口27との間を連通する冷却風循環孔(連通手段,連通孔)28を設ける。そして、冷却風導入口27内を流通する冷却風29によって生じる負圧によりステータ12を冷却する循環冷却風30を生じさせ、冷却効率の向上とアウタロータ11のマグネットへの異物付着防止を図っている。
【0015】
エンジン2は汎用ディーゼルエンジンであり、クランクシャフト10の回転により、図1においてエンジン2の右側に配されたアウタロータ型の多極発電機である発電機3が駆動され発電が行われる。一方、エンジン2から排出される排気ガスは、図1にてエンジンの左側に配されたマフラー4へと送られ、排気音の低減が図られた後、図示しない排気口から装置外へと排出される。
【0016】
また、エンジン2は、防振支持部材6によって基板8上に支持されている。防振支持部材6は、左右各1対の防振支持プレート6aと、基板8上に取り付けられたブラケット6bと、防振支持プレート6aとブラケット6bの間に配された防振材6cとで支持されている。防振材6cは、ゴムや合成樹脂等からなり、エンジン2の駆動時における振動が基板8側に伝達するのを抑制している。そして、当該エンジン発電機では、この防振支持部材6にてエンジン2を支持することにより、エンジン振動の減衰を図り、装置の静音化を図っている。
【0017】
エンジン2のクランクシャフト10には、フライホールとしても機能する冷却ファン5が固定されている。冷却ファン5の外周部には、エンジン2と反対側に向かって翼5aが突設されており、この翼5aの先端部にはさらに、有底円筒状のアウタロータ11が固定されている。そして、エンジンの起動に伴い冷却ファン5が回転し、矢印にて示したように、ファンカバー19の中央部に開口形成された冷却風導入口27から外気が取り入れられ、エンジン2側に向かって冷却風29が供給される。
【0018】
アウタロータ11は、エンジン2とは反対側が開口した状態で冷却ファン5に取り付けられている。また、アウタロータ11の周壁内周面には、複数個のマグネット14が周方向に沿って取り付けられている。さらに、アウタロータ11の内側にはステータ12が配設されており、アウタロータ11とステータ12とから発電体16が形成される。
【0019】
ステータ12は、図2に示すように、放射状に突出形成された複数のヨークに発電コイル13を巻回したステータコア15を有している。発電コイル13の周囲には、マグネット14を備えたアウタロータ11が回転自在に配される。そして、エンジン2の起動に伴いアウタロータ11が回転し、マグネット14が発電コイル13近傍を回転移動する。これにより発電コイル13側に起電力が生じ、発電が行われる。
【0020】
一方、ファンカバー19の右端部には、図1に示すように、エンジン2側に向けてステータ取付部17が突設されており、ステータ12は、このステータ取付部17によりファンカバー19内に固定されている。そして、ファンカバー19をエンジン2に取り付けると、ステータ12がアウタロータ11の内側に挿入される形でセットされ、発電機3が形成される。
【0021】
ここで、当該エンジン発電機1では、ステータ取付部17には、図1に示すような冷却風循環孔28が設けられている。冷却風循環孔28は、例えば、図3に示すように円形部分が10mm程度の直径を有する略半長円形に形成されている。また、冷却風循環孔28は、ステータ取付部17に例えば30°間隔で等分に12個など、複数個設けられている。なお、冷却風循環孔28の形状、寸法、個数は適宜変更可能であり、前述の例に限定されない。従って、直径5ミリ程度の小孔を15°間隔に24個設けるなどの変形例も可能である。
【0022】
また、冷却風循環孔28は、ファンカバー19の内壁19aと発電体16との間に形成された空隙26と冷却風導入口27との間を連通している。この場合、ファンカバー19には、空隙26を取り囲む部分に、空隙26とカバー外とを直接連通する開口部は形成されていない。すなわち、空隙26は、発電体16のエンジン2側部分と冷却風循環孔28とによってのみ冷却風導入口27と連通している。
【0023】
そこで、エンジン2が起動し冷却ファン5が回転すると、冷却ファン5により外気が吸引され、冷却風導入口27を介して冷却風29がファンカバー19内に導入される。このとき、冷却風29の流通により冷却風循環孔28の後方、すなわち空隙26内に負圧が発生する。このため、冷却風29の一部はエンジン2側に向かわず、空隙26内に導引されて循環冷却風30となる。そして、この循環冷却風30は、ステータ12を通り冷却風循環孔28から冷却風導入口27へと還流する。
【0024】
また、当該エンジン発電機1では、前述のように、ファンカバー19には空隙26の部分には開口部が形成されていない。つまり、マグネット14は、ファンカバー19の外部には直接臨んでおらず、マグネット14はカバー外には露出していない。このため、マグネット14が外気に直接触れることがなく、冷却風もまた外気から直接マグネット14の近傍を流れることがない。従って、外気に含まれる砂鉄や埃等の異物がマグネット14に付着するのを抑制でき、マグネット14への異物付着による装置の異常を防止できるようになっている。
【0025】
その一方、ファンカバー19の開口部を中央部の冷却風導入口27のみとした分、冷却風がステータ12内を直接流通しにくくなる。すなわち、マグネット14の近傍を外気が直接が流れない反面、このままではステータ12の冷却性能が確保できない。そこで、本発明によるエンジン発電機1では、冷却風循環孔28により循環冷却風30を発生させ、ステータ12を冷却するようにしている。つまり、前述のように、冷却風29の流れにより空隙26内に発生した負圧によって循環冷却風30を形成し、これによりステータ12を効率良く冷却している。従って、当該エンジン発電機1では、砂鉄や埃等による障害を抑えつつ、ステータ12の冷却性を確保し、装置の信頼性向上を図ることが可能となる。
【0026】
なお、装置のメンテナンスの際には、ファンカバー19を取り外すだけでステータ12をエンジン発電機1から分離することができる。このため、アウタロータ11等の他の部品を取り外すことなくステータ12の交換を行うことができ、メンテナンス性の向上ならびに作業工数の削減を図ることが可能となっている。
【0027】
次に、発電コイル13に発生した起電力は、図示しないインバータユニットに送られ、所定の周波数の交流に変換され筐体に設けられたコントロールパネルから出力される。インバータユニットにて周波数変換して電力供給を行うと、出力周波数保持のため負荷の大小にかかわらずエンジン回転数を一定に保つ必要がなく、エンジン2を負荷に応じて適宜最適な条件で運転できる。このため、大負荷時を除きエンジン回転数を従来よりも低く抑えることが可能となり、運転音の低減や燃費の向上を図ることが可能となる。
【0028】
また、ファンカバー19の外側には、図示しないリコイルスタータが設けられており、ロープを手動にて引っ張ることによりクランクシャフト10が回転され、エンジン2の始動が行われるようになっている。
【0029】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0030】
たとえば、前述の実施の形態では、冷却風循環通路として冷却風循環孔28をステータ取付部17に形成した例を示したが、冷却風循環通路は孔には限られず、例えば、ステータ取付部17を複数ブロックにて形成し、その間に連通手段となるスリットを設けて冷却風の循環を行っても良い。
【0031】
また、前述の実施の形態ではエンジンとして汎用ディーゼルエンジンを使用した例を述べたが、これに代えてガソリンエンジンを使用しても良いことは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】
本発明のエンジン発電機によれば、ファンカバーに対し、ステータの中心部に臨んで冷却風導入口を形成すると共に、ファンカバーに連通手段を設け冷却風の一部を還流させて循環冷却風を形成しステータを冷却するようにしたため、冷却風がファンカバー中央の冷却風導入口から吸入され、ステータ外周側に配されたロータ側にファンカバー外部から直接冷却風が導入されない一方、循環冷却風によりステータを冷却することが可能となる。従って、アウタロータ側に配されたマグネットに砂鉄や埃の異物が付着することを防止しつつ、ステータの冷却性を確保することができ、装置の信頼性向上を図ることが可能となる。
【0033】
また、連通手段を、冷却風導入口と、ファンカバー内壁とステータとの間に形成された空との間を連通するように形成したことにより、冷却風導入口を流通する冷却風によって空内に負圧が発生するため、効率良く循環冷却風を形成することができ、ステータを効率良く冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるエンジン発電機を側方から見た場合の内部構成を示す説明図である。
【図2】図1のエンジン発電機をX方向から見た場合の構成を示す説明図である。
【図3】図1のエンジン発電機における矢示A方向の部分断面図である。
【図4】従来のエンジン発電機における発電機およびその近傍を一部断面して示した側面図である。
【符号の説明】
1 エンジン発電機
2 エンジン
3 発電機
5 冷却ファン
12 ステータ
17 ステータ取付部
19 ファンカバー
19a 内壁
26 空隙
27 冷却風導入口
28 冷却風循環孔
29 冷却風
30 循環冷却風

Claims (3)

  1. エンジンと、
    マグネットを有するロータと該ロータの内側に配置されたステータとを備える発電機と、
    前記エンジンと前記発電機との間に配設され前記エンジンによって駆動される冷却ファンと
    前記冷却ファンおよび前記発電機を格納するとともに、前記ステータの中心部に臨んで形成された冷却風導入口を備えるファンカバーとを有し、
    前記冷却風導入口近傍に設けられた前記ファンカバーの取付部に前記ステータを固定し、
    前記ステータと前記ファンカバー内壁との間に形成された空間と前記冷却風導入口とを前記取付部を介して連通する連通手段を設け、
    前記冷却風導入口から導入され前記ステータの中心部を通過して前記冷却ファンに供給される冷却風の一部が、前記ステータから前記空間および前記連通手段を通って前記冷却風導入口に還流することを特徴とするエンジン発電機。
  2. 請求項1記載のエンジン発電機において、
    前記連通手段は、前記取付部に形成された連通孔により構成されていることを特徴とするエンジン発電機。
  3. 請求項1記載のエンジン発電機において、
    前記取付部は複数のブロックにより形成され、前記連通手段は前記複数のブロック間のスリットにより構成されていることを特徴とするエンジン発電機。
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