JP3926252B2 - エンジン発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンとエンジンにより駆動される発電体とを有するエンジン発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンにより発電体を駆動するようにしたエンジン発電機としては、フレームによりエンジン発電機の骨格をなす直方体の枠体を形成し、その内部にエンジンや発電体を組み込むようにしたフレームタイプがあり、枠体の外側にパネルを取り付けるようにすると、外部に漏れるエンジン音を低減するようにした防音タイプとなる。また、エンジン発電機としては、直方体形状の防音ケース内にエンジンや発電体を組み込むようにした防音タイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−180842号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
いずれのタイプにあっても、従来、エンジンや発電体を冷却するために、エンジンによって駆動される冷却ファンにより生成される冷却風の流れを案内するために、ダクトをエンジン発電機に組み付けている。このため、エンジン発電機を組み立てる際にはダクトの組み付け工程が不可避となり、エンジン発電機の組立工程が増加することになる。また、発電体を覆うようにダクトを取り付けるようにすると、ダクトの大型化が避けられず、エンジン発電機自体の重量も嵩むことになる。
【0005】
本発明の目的は、エンジン発電機の軽量化を図るとともに組立性を向上することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジン発電機は、エンジンにより駆動される発電体と、前記エンジンと前記発電体の間において前記エンジンのクランク軸に連結され、前記エンジンおよび前記発電体を冷却する冷却風を生成する冷却ファンと、前記エンジンに固定され、前記冷却ファンを覆うファンカバーと、前記ファンカバーと前記発電体との間に配置され、リコイルスタータを収容するリコイルケースと前記リコイルケースに一体に形成されるとともに、前記リコイルケースから外方に張出して外部から冷却風を取り入れ、それを前記ファンカバーに形成された冷却風取り入れ口に案内する吸入ダクトとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明のエンジン発電機は、前記吸入ダクトを前記リコイルケースの両側に形成したことを特徴とする。また、本発明のエンジン発電機は、前記吸入ダクトのエンジン側端部に冷却風入口を設けたことを特徴とする。さらに本発明のエンジン発電機は、前記発電体と前記クランク軸とを連結し、前記リコイルケースの中心部を貫通するアダプターと、前記リコイルケースとの間に冷却風を案内する隙間を形成したことを特徴とする。
【0008】
本発明のエンジン発電機は、前記リコイルスタータのリコイルロープの先端に設けられたリコイルノブが、前記吸入ダクトに係止されていることを特徴とする。また、本発明のエンジン発電機においては、前記吸入ダクトは、前記ファンカバーに固定される端板部を有し、前記端板部の中心部には前記ファンカバーの冷却風取り入れ口に対応した貫通孔が形成され、前記端板部の外周部には外部から冷却風を取り入れる冷却風通路が形成されていることを特徴とする。さらに、本発明のエンジン発電機は、前記エンジンにより前記発電体を駆動するために、前記エンジンのクランク軸と前記発電体のロータを連結するアダプターを設け、前記リコイルケースを前記アダプターの外周に隙間をもって配置することにより、前記発電体のロータに形成された貫通孔を抜けて流入した空気を、前記隙間を介して前記冷却ファンに導入することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はエンジン発電機の外観を示す斜視図であり、このエンジン発電機はパイプを折り曲げてほぼ直方体形状に形成された支持フレーム1を有し、この支持フレーム1によりエンジン発電機の骨格をなす枠体が形成されている。支持フレーム1には駆動源であるエンジン2と発電体3とを組み立てて形成される発電ユニット4が取り付けられている。このエンジン発電機は、制御方式としてインバータ方式が採用されており、発電ユニット4に隣接して発電電圧制御用のインバータユニットつまりコントロールユニット5が取り付けられている。
【0010】
支持フレーム1の正面側にはコントロールパネル6が設けられており、このコントロールパネル6にはエンジンスイッチやオートスロットルスイッチなどのスイッチ類や、AC電源端子やDC電源端子などの出力端子が設けられている。支持フレーム1の上部にはエンジン2に供給される燃料を貯留するための燃料タンク7が配設され、燃料タンク7の上面に設けられた燃料供給口には燃料キャップ8が着脱自在となっている。エンジン2としては、空冷単気筒のOHV型ガソリンエンジンが搭載されており、このエンジン2により発電体3が駆動される。
【0011】
図2は図1に示した発電ユニット4を拡大して示す断面図であり、図3は図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【0012】
エンジン2のクランク軸11には、エンジン出力を安定化するためのフライホイール12が取り付けられており、フライホイール12はクランク軸11にキーを介し固定されるボス部12aと、ボス部12aから径方向に延びるディスク部12bとを有している。ディスク部12bには冷却ファン13が取り付けられており、この冷却ファン13はフライホイール12に固定されるディスク部13aと、このディスク部13aに一体に設けられた多数のファンブレード13bとを有している。冷却ファン13はエンジン2に固定されるファンカバー14により覆われており、このファンカバー14には、発電体3側に開口した冷却風の取り入れ口15aと、図3に示すようにエンジン2に向けて開口した冷却風の吹き出し口15bとが形成されている。
【0013】
フライホイール12のボス部12aにはアダプター16が固定されており、このアダプター16はフライホイール12にボルト17により固定されるボス部16aと、このボス部16aから軸方向に突出する軸部16bとを有している。この軸部16bの先端にはロータ18が固定されており、このロータ18はアダプター16の軸部16bの先端に形成されたテーパ部に嵌合するテーパ部を有する軸部18aと、これに固定されたロータ本体18bとを有し、ロータ本体18bの外周には複数の図示しないマグネットが周方向に所定の間隔毎に組み込まれており、中心側には複数の貫通孔19が形成されている。
【0014】
ロータ18の外側にはステータ21が組み込まれており、ステータ21は多数枚の鋼板を積層して形成されるコアを有し、ステータ21には複数のコイル22が装着されている。ロータ18とステータ21とにより発電体3が形成され、この発電体3はインナーロータ型となっており、クランク軸11の回転によってロータ18が回転することによりコイル22に起電力が生じて発電が行われる。
【0015】
ステータ21のエンジン側部は、ファンカバー14に設けられた複数の支持ステー23に係合し、この支持ステー23によりステータ21とファンカバー14との距離が設定されている。この支持ステー23としてはファンカバー14に一体に形成しても良く、支持ステー23をファンカバーとは別部品としてファンカバー14に支持ステー23を取り付けるようにしても良い。発電体3にはステータカバー24が取り付けられており、このステータカバー24はステータ21を外周部で支持する筒体部24aと、これと一体となった端板部24bとを有し、図2に示すように筒体部24aには支持フレーム1にねじ止めされるブラケット部24cが設けられている。
【0016】
端板部24bには軸受25を支持するボス部24dが一体に設けられ、軸受25の中心部を貫通するボルト26はアダプター16にねじ結合されている。これにより、ロータ18はボルト26を介してステータカバー24により支持されることになる。ステータカバー24の端板部24bには円周方向に所定の間隔置きに複数の通気孔27が形成され、さらに筒体部24aの内周面には円周方向に所定の間隔置きに複数の通気溝28が形成されている。
【0017】
ファンカバー14と発電体3の間であってアダプター16の径方向外方にはリコイルケース31が配置され、このリコイルケース31内にはリコイルスタータ32が組み込まれている。リコイルケース31は図2および図3に示すようにアダプター16との間で通気用の隙間29を形成するボス部31aと、ボス部31aに対して端板部31bを介して一体となった外側壁部31cとを有し、ボス部31aと外側壁部31cとにより形成される空間部にはリコイルプーリ33が回転自在に装着されている。リコイルプーリ33は軸受34を介してリコイルケース31のボス部31aに回転自在に嵌合するボス部33aと、このボス部33aと一体の端板部33bの外周部に一体に形成されプーリ本体33cとを有し、プーリ本体33cにはリコイルロープ35が巻き付けられている。
【0018】
リコイルロープ35の先端に設けられたリコイルノブ36を引いてリコイルプーリ33をリコイルロープ35によって回転させると、リコイルプーリ33に設けられた係合爪37がアダプター16に設けられた係合突起38に係合してクランク軸11が回転し、エンジン2が起動される。エンジン起動後にリコイルロープ35をリコイルプーリ33に巻き戻すために、リコイルプーリ33とリコイルケース31との間には巻き戻しばね39が組み込まれている。
【0019】
図4はリコイルケース31の正面図であり、図5は図4の平面図であり、図6は図4の側面図である。
【0020】
リコイルケース31の両側には、図3および図4に示すように、外側壁部31cに一体となって冷却風の吸入ダクト41が外側壁部31cの外方に連なって形成され、吸入ダクト41により冷却風通路42が形成されている。吸入ダクト41は上下に所定の間隔を置いて設けられた補強リブ43により複数の部分に区画されており、図4に示す場合には、リコイルケース31の左右両側に形成された吸入ダクト41はそれぞれ補強リブ43により5つの冷却風通路42に区画されている。吸入ダクト41のエンジン側の端部にはファンカバー14に固定される端板部44が設けられ、この端板部44の中心部には、ファンカバー14に形成された冷却風の取り入れ口15aに対応した貫通孔44aが形成され、端板部44の外側には冷却風入口44bが形成されている。
【0021】
このように、リコイルケース31には冷却風の吸入ダクト41が一体に形成されているので、ファンカバー14にリコイルケース31を取り付けると、発電体3と冷却ファン13との間に冷却風の吸入ダクト41が組み立てられることになり、リコイルケース31の取付工程によって吸入ダクト41の組立も完了し、エンジン発電機の組立性が向上する。しかも、吸入ダクト41はリコイルケース31に一体となっているので、吸入ダクト41自体を取り付けるための部分が不要となり、吸入ダクト41とリコイルケース31とを含めた部分の全体重量は軽くなる。
【0022】
支持フレーム1の正面側にはコントロールパネル6の下側に位置させてユニットカバー45が取り付けられるようになっており、ユニットカバー45にはスリット状の冷却風取り込み口46が形成され、ユニットカバー45の内部には図1に示したコントロールユニット5が配置されることになる。
【0023】
リコイルスタータ32のリコイルノブ36を用いてエンジン2を起動させると、発電体3が駆動されるとともに冷却ファン13によって冷却風が生成され、生成された冷却風は吹き出し口15bからエンジン2に向けて吹き出されて、エンジン2が冷却される。冷却ファン13によりエンジン発電機の外部からはユニットカバー45の冷却風取り込み口46を介してエンジン発電機の内部に空気が流入する。
【0024】
流入した空気は、ユニットカバー45内のコントロールユニット5を冷却した後、図3に示すように、一部の空気がステータカバー24の通気孔27に流入する。流入した空気はロータ18の貫通孔19を通って発電体3を冷却した後、吸入ダクト41に案内されてファンカバー14の取り入れ口15aから冷却ファン13に流入する。また、ロータ18の貫通孔19を通った空気の一部はアダプター16とリコイルケース31のボス部31aとの間の隙間29を通って冷却ファン13に流入する。一方、ステータカバー24の外側に沿って流れる空気は、吸入ダクト41に案内されて冷却ファン13内に流入する。また、エンジン2側からは冷却風入口44bに空気が流入し、その空気も冷却ファン13内に流入する。
【0025】
このように、ロータ18の貫通孔19を通って発電体3を冷却した空気のみならず、ステータカバー24の外側から吸入ダクト41内に流入した空気と、冷却風入口44bから流入した空気のように発電体3の冷却に使用されていない空気も冷却ファン13内に流入するので、エンジン2の冷却性能を向上させることができる。
【0026】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、図示する実施の形態は支持フレーム1内に発電ユニット4を組み込むようにしたエンジン発電機であるが、支持フレーム1に防音カバーを取り付けるようにした防音タイプのエンジン発電機や直方体形状の防音ケース内にエンジンや発電体を組み込むようにした防音タイプのエンジン発電機に対しても本発明を適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、リコイルスタータを収容するリコイルケースに、エンジンに冷却風を案内する吸入ダクトを一体に形成したので、エンジン発電機の組立性が向上する。吸入ダクトにはエンジンに取り付けるための部材が不要となり、エンジン発電機の軽量化が達成される。吸入ダクトのエンジン側に形成された冷却風入口からの空気を冷却ファンに案内することにより、発電体の冷却に使用されない空気をもエンジンに供給することができ、エンジンの冷却性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン発電機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した発電ユニットを拡大して示す断面図である。
【図3】図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】リコイルケースの正面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】図4の側面図である。
【符号の説明】
1 支持フレーム
2 エンジン
3 発電体
4 発電ユニット
11 クランク軸
13 冷却ファン
14 ファンカバー
15a 取り入れ口
15b 吹き出し口
16 アダプター
18 ロータ
21 ステータ
24 ステータカバー
27 通気孔
29 隙間
31 リコイルケース
32 リコイルスタータ
41 吸入ダクト
42 冷却風通路
44b 冷却風入口

Claims (4)

  1. エンジンにより駆動される発電体と、
    前記エンジンと前記発電体の間において前記エンジンのクランク軸に連結され、前記エンジンおよび前記発電体を冷却する冷却風を生成する冷却ファンと、
    前記エンジンに固定され、前記冷却ファンを覆うファンカバーと、
    前記ファンカバーと前記発電体との間に配置され、リコイルスタータを収容するリコイルケースと
    前記リコイルケースに一体に形成されるとともに、前記リコイルケースから外方に張出して外部から冷却風を取り入れ、それを前記ファンカバーに形成された冷却風取り入れ口に案内する吸入ダクトとを有することを特徴とするエンジン発電機。
  2. 請求項1記載のエンジン発電機において、前記リコイルスタータのリコイルロープの先端に設けられたリコイルノブが、前記吸入ダクトに係止されていることを特徴とするエンジン発電機。
  3. 請求項1または2記載のエンジン発電機において、前記吸入ダクトは、前記ファンカバーに固定される端板部を有し、前記端板部の中心部には前記ファンカバーの冷却風取り入れ口に対応した貫通孔が形成され、前記端板部の外周部には外部から冷却風を取り入れる冷却風通路が形成されていることを特徴とするエンジン発電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン発電機において、前記エンジンにより前記発電体を駆動するために、前記エンジンのクランク軸と前記発電体のロータを連結するアダプターを設け、前記リコイルケースを前記アダプターの外周に隙間をもって配置することにより、前記発電体のロータに形成された貫通孔を抜けて流入した空気を、前記隙間を介して前記冷却ファンに導入することを特徴とするエンジン発電機。
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