JP4097410B2 - エンジン発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとエンジンにより駆動される発電体とを有してなるエンジン発電機に関し、特に、エンジンや発電体の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にエンジン発電機では、エンジンや発電機、マフラ等を冷却するため、エンジンによって駆動される冷却ファンが設けられている。この冷却ファンは、クランクシャフトに取り付けられ、エンジン作動と共に回転し、エンジン等に冷却風を供給している。
【0003】
また、エンジン発電機では、その内部の構成から大きく2つのタイプに分類することができる。すなわち、第1のタイプとして、たとえば特開平8-223854号公報のエンジン発電機のように、エンジンのクランクシャフトの一端側を出力軸とし、そこへ発電体を設ける一方、他端側にリコイルスタータを配するものが挙げられる。このタイプの装置では、部品をエンジンの両側に配する構成となるため、部品配置が容易であり、装置構成も比較的簡単にできる。
【0004】
また、第2のタイプとしては、クランクシャフトの一端側を出力軸とし、そこへ発電体とリコイルスタータを取り付けるものが挙げられる。これは前者のタイプに比して部品が集約化されるため、装置全体をコンパクト化することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、後者のタイプのエンジン発電機では、一般にその構成が複雑となり、冷却ファンを配設しにくく、また、冷却風も導入しにくい傾向がある。このため、発電体やエンジン等の発熱部品を効率良く冷却する装置構成が設定できず、その改善が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、エンジンの出力軸側に発電体を配したエンジン発電機におけるエンジンや発電体の冷却効果の向上を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジン発電機は、エンジンと、該エンジンのクランクケースから突出するクランクシャフトに配設されるフライホイールと、前記クランクシャフトにより駆動され、前記エンジンに冷却風を送る冷却ファンと、前記エンジンに取り付けられ、前記フライホイールと前記冷却ファンとを収容するファンカバーと、該ファンカバーの外側に配設され、前記クランクシャフトの回転により駆動される発電体と、該発電体の外側を覆うとともに、前記冷却ファンの回転に伴って外気が流入する冷却風取入口を有する発電体カバーと、前記エンジンと前記発電体の間でかつ前記ファンカバーの外側に配設支持され、前記クランクシャフトを回転させることにより前記エンジンを始動するリコイルスタータとを備え、前記ファンカバーには、前記発電体の方向に延出し前記発電体カバーとの間に前記発電体のステータを挟持する延出部を設け、該延出部の側面には、前記冷却ファンの回転に伴って外気が前記リコイルスタータの周りに流入するスリットを形成し、前記冷却風取入口および前記スリットから流入した外気が、前記ファンカバー内に導入されることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、発電体の外側を覆う発電体カバーには冷却ファンの回転に伴って外気が流入する冷却風取入口が形成され、ファンカバーには発電体の方向に延出し発電体カバーとの間に発電体のステータを挟持する延出部を設けられ、延出部の側面には冷却ファンの回転に伴って外気が前記リコイルスタータの周りに流入するスリットが形成されているので、クランクシャフトの一端側に発電体とリコイルスタータとを配設するようにしても、冷却風取入口とスリットとを介して外気が導入され、それらが合流したエンジン冷却風によってエンジンを冷却することができる。したがって、1個の冷却ファンによって発電体を効果的に冷却すると同時に、エンジンの冷却風も確保され、発電体とエンジンの両方を効率良く冷却することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施の形態であるエンジン発電機の正面図、図2は図1のエンジン発電機の平面図、図3はその背面図である。
【0011】
本実施の形態に係るエンジン発電機1は、図1〜3に示すように、パイプを折り曲げて矩形枠状に成形された支持フレーム2上に、駆動源であるエンジン3と発電体4とを一体化した発電ユニット5を複数の支持駒6によって弾性支持した構成となっている。当該エンジン発電機1は、制御方式としてインバータ方式を採用しており、発電ユニット5の側方(図3において背後側)に発電電圧制御用のインバータユニット11が取り付けられている(図1参照)。
【0012】
図1に示すように、装置正面部にはコントロールパネル7が設けられている。このコントロールパネル7には、エンジンスイッチやオートスロットルスイッチ等のスイッチ類や、AC電源端子やDC電源端子等の出力端子が設けられている。また、コントロールパネル7の下部には、リコイルスタータ8(図8参照)駆動用のリコイルノブ8aが設けられており、これを引くことによりエンジン3が起動されるようになっている。
【0013】
発電ユニット5の上方には、エンジン3に供給される燃料を貯留するための燃料タンク9が配設されている。燃料タンク9の上面ほぼ中央には、燃料供給口が設けられており、そこには開閉自在に燃料キャップ10が取り付けられている。
【0014】
図4は図1のエンジン発電機にて使用される発電ユニット5の正面図、図5はその平面図、図6は図5の右側面図(矢示X方向)、図7は図4の左側面図(矢示Y方向)、図8は図5のZ−Z線に沿った断面図である。
【0015】
発電ユニット5は、エンジン3と発電体4およびリコイルスタータ8とを一体化した構成となっている。発電ユニット5の側部には、図5,6に示すように、発電体4からの発電出力を制御して所定周波数の交流に変換するためのインバータユニット11が取り付けられている。インバータユニット11は、アルミニウム製のケース71に電子基盤を収容した構成となっており、アルミニウム製のファンカバー53に直接固定されている。
【0016】
エンジン3は、空冷単気筒のOHV型ガソリンエンジンであり、クランクケース31とその上側にシリンダ32を備え、シリンダ32にはヘッドカバー33が取り付けられている。シリンダ32にはプラグキャップが一体となったイグニッションコイル37が取り付けられている。また、エンジン3の吸気側にはキャブレター12が設けられており、キャブレター12にはエアクリーナ36を介して外気が導入され、そこでガソリンとの混合気が作られエンジン3へと供給される。一方、排気側には、排気管13を介してマフラ14が接続されており、エンジン3からの排気はマフラ14を通った後、図4において装置左側面に設けられた排気口15から排出される。
【0017】
キャブレター12には、図6に示すようにスロットルバルブ16が配設されている。このスロットルバルブ16はキャブレター12上部に設けられたキャブスロットルレバー17によって開閉される。キャブスロットルレバー17には、ガバナロッド18aの一端が取り付けられており、エンジン3は、機械式のガバナにより、エンジン回転数が負荷変動に影響されることなく一定に調整されるようになっている。
【0018】
すなわち、図4,5に示すように、クランクケース31には、回動自在にガバナシャフト19が装着されており、そこにはガバナレバー20の基端部が取り付けられている。ガバナレバー20には、スピードコントロールレバー21に連結された引張コイルばね22が掛止されており、この引張コイルばね22によってガバナレバー20は図5において時計方向に付勢されている。また、ガバナレバー20の先端側には、ガバナロッド18bの一端側が取り付けられており、このガバナロッド18bの他端側はコントロールレバー23と連結されている。コントロールレバー23は、発電ユニット5の上部に取り付けられたプレート25に回転自在に支持されている。さらに、コントロールレバー23には、一端側がキャブスロットルレバー17に連結されたガバナロッド18aの他端側が取り付けられている。したがって、ガバナレバー20がガバナシャフト19を中心として回動すると、ガバナロッド18b、コントロールレバー23、ガバナロッド18aが連動し、キャブスロットルレバー17が作動することになる。
【0019】
この場合、ガバナシャフト19は、エンジン3のクランクシャフト34により回転駆動されるシャフトに軸方向に摺動自在に装着されたガバナスリーブと係合している。前記シャフトには回転体が固定されており、その端面には回転中心から所定の半径の位置に複数のガバナアームが回動自在に装着されている。そして、各ガバナアームにはガバナウエイトが一体に設けられており、これらにより機械式のガバナ機構が構成される。
【0020】
エンジン3の負荷が低負荷となると、負荷の低下分だけエンジン回転数つまりクランクシャフト34の回転数が一時的に高くなろうとする。ところが、回転数低下に伴いガバナウエイトに加わる遠心力が低下してガバナアームが閉じ、それに伴いガバナスリーブが移動しガバナシャフト19が低速側に回動する。そして、ガバナシャフト19と共にガバナレバー20も回動し、その動きがガバナロッド18a等を介してキャブスロットルレバー17に伝わり、スロットルバルブ16が閉じる方向に駆動される。これにより、エンジン回転数は負荷に合わせて低下されることになる。これに対し、エンジン負荷が高負荷となった場合には、ガバナレバー20は逆方向に回動される。したがって、エンジンの回転数は負荷変動に影響されることなく一定に調整される。
【0021】
エンジン3は、クランクケース31内に組み込まれたクランクシャフト34が図8において左右方向に延びる形で配設されている。当該発電ユニット5では、クランクシャフト34の一端側がエンジン3の出力軸となっており、この出力軸側にフライホイール51、冷却ファン52、リコイルスタータ8、発電体4をこの順にて配置した構成となっている。すなわち、エンジン3の次位にフライホイール51と冷却ファン52が取り付けられ、フライホイール51に固設されたアダプタ55を介してその先にリコイルスタータ8と発電体4が配設される構成となっている。
【0022】
エンジン3のクランクシャフト34は、図8に示すように、その一端部34aはクランクケース31に取り付けられた軸受35によって支持されている。クランクシャフト34の他端部もまた、その反対側の図示しない軸受により支持されており、クランクケース31に対し回転自在となっている。一端部34aはクランクケース31の外部に突出し、フライホイール51が取り付けられている。フライホイール51は、クランクシャフト34にキーを介して固定されるボス部51aと、ボス部51aから径方向に延在するディスク部51bとから構成される。
【0023】
ディスク部51bには、冷却ファン52が取り付けられている。冷却ファン52はディスク部52aと、ディスク部52aの表面に一体に設けられた多数のファンブレード52bとを有している。冷却ファン52はエンジン3に固定されるファンカバー53により覆われている。ファンカバー53はアルミニウムにより形成され、側面には冷却風取入口となる多数のスリット(第2冷却風取入口)54が設けられている。ファンカバー53は空気を案内するダクトとしての機能をも有しており、図8に示すように、冷却ファン52の回転に伴い外気がスリット54からファンカバー53内に導入されると共に、冷却風としてエンジン3側に送出、案内される。
【0024】
フライホイール51の次位にはリコイルスタータ8が配設されている。フライホイール51のボス部51aには、アダプタ55を介してリコイルリング56が取り付けられ、その次位には、ディスク部57aと円筒部57bが一体となったリコイルホルダ57が設けられている。そして、円筒部57bの外側にはリコイルロープ58が巻き付けられるリコイルプーリ59が回転自在に装着されている。
【0025】
リコイルプーリ59には、図示しない係合爪が設けられており、リコイルノブ8aを引いてリコイルプーリ59をリコイルロープ58によって回転させると、この係合爪がリコイルリング56に係合する。これにより、アダプタ55を介して連結されたクランクシャフト34が回転し、エンジン3が起動される。なお、リコイルホルダ57には図示しない巻き戻しばねが設けられており、リコイルロープ58は、ばね力によってリコイルプーリ59に巻き戻される。
【0026】
リコイルスタータ8の次位には発電体4が配設されている。当該エンジン発電機1では、発電体4はインナロータ型となっており、インナロータ41とステータ42とから構成されている。インナロータ41は、ロータシャフト43とロータディスク45とから構成され、ロータシャフト43は、アダプタ55のボス部55a先端にスルーボルト60によって固定されている。この場合、ボス部55aにはテーパ部55bが形成されており、このテーパ部55bがロータシャフト43に設けられたテーパ孔43aと嵌合するようになっている。一方、ロータシャフト43の他端側は、発電体リアカバー44に取り付けられた軸受61によって回転自在に支持されている。インナロータ41の外側にはステータ42が配設されており、ここではステータ42は、ファンカバー53と発電体リアカバー44との間に挟持される形で取り付けられている。
【0027】
インナロータ41の外周面には、複数個のマグネット(図示せず)が周方向に沿って取り付けられている。これに対しステータ42には、多数枚の鋼板を積層したコア62が設けられており、その周囲にコイル63が巻回されている。そして、クランクシャフト34の回転に伴い、コイル63の内側でインナロータ41のマグネットが回転することにより、コイル63に起電力が生じ発電が行われる。
【0028】
発電体リアカバー44は、通風孔(第1冷却風取入口)64が形成されたディスク部44aとこれと一体となった円筒部44bとを有している。発電体リアカバー44は、円筒部44bの部分でファンカバー53に固定され、その際、ステータ42をファンカバー53との間で保持するようになっている。図8に示すように、冷却ファン52が回転すると外気が通風孔64から発電体リアカバー44内に導入される。この気流は発電体冷却風WGとなって、ステータ42等を冷却しつつエンジン3方向へと流通する。
【0029】
一方、発電ユニット5内には、ファンカバー53の側方に形成されたスリット54からも外気が流入する。この気流は、図8に示すように、リコイルスタータ8の外周部からファンカバー53内に流入し、通風孔64から導入されステータ42等を冷却した発電体冷却風WGと合流する。この合流冷却風は、冷却ファン52によって、図8の右方、すなわちエンジン3側へと送出され、エンジン冷却風WEとなる。そして、エンジン冷却風WEは、ファンカバー53により案内されて、エンジン3の周囲に吹き付けられる。そして、エンジン3に吹き付けられた冷却風は、エンジン3の背後に回り込みマフラ14を冷却する。
【0030】
このように当該エンジン発電機1では、通風孔64から流入する発電機冷却風WGと、スリット54から流入する冷却風の2系統の気流が存在する。そして、発電機冷却風WGによって発電体4が冷却されるとともに、2系統の気流が合流して生成されたエンジン冷却風WEによってエンジン3が冷却される。すなわち、1個の冷却ファン52によって発電体4を効果的に冷却すると同時に、エンジン3への冷却風も確保しており、発電体4とエンジン3の両方を効率良く冷却することが可能となる。
【0031】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、発電体と冷却ファンをエンジンの出力軸側に配設したエンジン発電機において、発電体の外側を覆う発電体カバーに冷却ファンの回転に伴って外気が流入する冷却風取入口が形成され、ファンカバーに発電体の方向に延出し発電体カバーとの間に発電体のステータを挟持する延出部を設けられ、延出部の側面には冷却ファンの回転に伴って外気が前記リコイルスタータの周りに流入するスリットが形成されているので、冷却風取入口から流入する冷却風と、スリットから流入する冷却風の2系統の気流が形成され、冷却風取入口からの冷却風によって発電体を冷却し、それらが合流したエンジ冷却風によってエンジンを冷却することができる。したがって、1個の冷却ファンによって発電体を効果的に冷却すると同時に、エンジンの冷却風も確保され、発電体とエンジンの両方を効率良く冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるエンジン発電機の正面図である。
【図2】図1のエンジン発電機の平面図である。
【図3】図1のエンジン発電機の背面図である。
【図4】図1のエンジン発電機にて使用される発電ユニットの正面図である。
【図5】図4の発電ユニットの平面図である。
【図6】図5の右側面図(矢示X方向)である。
【図7】図4の左側面図(矢示Y方向)である。
【図8】図5のZ−Z線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン発電機
3 エンジン
4 発電体
44 発電体リアカバー(発電体カバー)
52 冷却ファン
53 ファンカバー
54 スリット(第2冷却風取入口)
64 通風孔(第1冷却風取入口)
G 発電機冷却風
E エンジン冷却風

Claims (1)

  1. エンジンと、
    該エンジンのクランクケースから突出するクランクシャフトに配設されるフライホイールと、
    前記クランクシャフトにより駆動され、前記エンジンに冷却風を送る冷却ファンと、
    前記エンジンに取り付けられ、前記フライホイールと前記冷却ファンとを収容するファンカバーと、
    該ファンカバーの外側に配設され、前記クランクシャフトの回転により駆動される発電体と、
    該発電体の外側を覆うとともに、前記冷却ファンの回転に伴って外気が流入する冷却風取入口を有する発電体カバーと、
    前記エンジンと前記発電体の間でかつ前記ファンカバーの外側に配設支持され、前記クランクシャフトを回転させることにより前記エンジンを始動するリコイルスタータとを備え、
    前記ファンカバーには、前記発電体の方向に延出し前記発電体カバーとの間に前記発電体のステータを挟持する延出部を設け、該延出部の側面には、前記冷却ファンの回転に伴って外気が前記リコイルスタータの周りに流入するスリットを形成し、
    前記冷却風取入口および前記スリットから流入した外気が、前記ファンカバー内に導入されることを特徴とするエンジン発電機。
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