JP3934898B2 - エンジン発電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン作業機に関し、特に、エンジンと、該エンジンに同軸に連結される発電機とが底フレームに弾性支持されて遮音ケース内に収容されるエンジン発電機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなエンジン発電機は、たとえば実開平5−66232号公報等で既に知られており、作業環境や、市街地での夜間運転等での周辺への配慮から運転音を極力低く抑制するために、エンジンおよび発電機を遮音ケースで覆うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものでは、エンジンと、該エンジンの吸気系を構成するエアクリーナおよびキャブレータとが遮音ケース内で同一区画に収容されているために、エンジンからの放熱により高温となった空気がエンジンに供給されてエンジンの吸気充填効率の低下を招く可能性がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、全体を遮音ケースで覆うにあたり、エンジンに供給される空気が高温となるのを防止し得るようにしたエンジン発電機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エンジンと、該エンジンに同軸に連結される発電機とが底フレームに弾性支持されて遮音ケース内に収容されるエンジン発電機において、前記遮音ケースには、そのケース内が、前記エンジンの大部分が収容配置される被冷却室と、エアクリーナおよびキャブレータが収容されるとともに遮音ケース外から冷却空気が導入されるエンジン側吸風室と、該遮音ケース外から冷却空気を導入する発電機側吸風室とに区画されるように、被冷却室及びエンジン側吸風室間を仕切るエンジン側仕切り壁、並びに被冷却室及び発電機側吸風室間を仕切る発電機側仕切り壁が設けられ、前記エンジン側仕切り壁は、前記遮音ケースに固定されるケース固定壁部と、前記エンジンに固定されるエンジン固定壁部との間に弾性シール部材が介装されて成り、前記発電機側仕切り壁は、前記遮音ケースに固定されるととともに発電機との間に弾性シール部材を介在させており、前記エンジン側吸風室から前記被冷却室側に冷却空気を供給するためのエンジン側吸引口が前記エンジン固定壁部に設けられ、前記キャブレータに一端が接続される第1吸気管の他端と、第2吸気管の一端とが前記エンジン固定壁部を相互間に挟んで相互に接続されると共に、第2吸気管の他端が前記エンジンに接続され、前記発電機側吸風室から前記被冷却室側に冷却空気を供給するための発電機側吸引口が、発電機側吸風室に臨んで前記発電機に設けられることを特徴とする。
【0006】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、高熱となるエンジンの大部分が収容される被冷却室と、エンジンの吸気系であるエアクリーナおよびキャブレータが収容されるエンジン側吸風室とに遮音ケース内をエンジン側仕切り壁で区画し、エンジン側吸風室から被冷却室側に冷却空気を供給するようにしているので、エンジン側吸風室を低温とすることにより、キャブレータを経てエンジンに供給される空気を低温に保持することができ、それによりエンジンの吸気充填効率を高く維持することができる。またエンジン側仕切り壁は、遮音ケースに固定されるケース固定壁部と、エンジンに固定されるエンジン固定壁部との間に弾性シール部材が介装されて成るものであり、しかもキャブレータおよびエンジン間を結ぶ第1および第2吸気管がエンジンとともに振動するエンジン側固定壁部に支持され、エンジン側吸引口もエンジン固定壁部に設けられるので、エンジンの外形形状が複雑であっても、被冷却室およびエンジン側吸風室間のシール構造を単純化しつつ大きなシール効果を得ることができ、エンジンおよびエンジン側仕切り壁の組付を容易とすることができる。
【0007】
また特に遮音ケース内が、該遮音ケースに固定されるととともに発電機との間に弾性シール部材を介在させた発電機側仕切り壁によって、被冷却室と、遮音ケース外から冷却空気を導入する発電機側吸風室とに区画され、発電機側吸風室から被冷却室側に冷却空気を供給するための発電機側吸引口が、発電機側吸風室に臨んで発電機に設けられるので、エンジン発電機のうち高温となる部分を中央の被冷却室に集合させるようにし、左右のエンジン側および発電機側吸風室からエンジン側および発電機側吸引口を経て被冷却室に冷却空気を供給するに際して、熱や音がエンジン側および発電機側吸風室に洩れないようにしてエンジン側および発電機側吸風室を低温に維持することができ、しかもエンジン側および発電機側吸風室に音漏れを抑制する機能を持たせることができる。
【0008】
さらに請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記エンジン側吸風室にエアクリーナおよびキャブレータが収容配置され、前記発電機側吸風室に電装部品が収容配置され、被冷却室に通じて遮音ケースに設けられた排風口と、前記エンジン側および発電機側吸風室に通じて遮音ケースに設けられたエンジン側および発電機側外気導入口との間に、遮音ケースの外部から前記両外気導入口を経て両吸風室に導入された空気が前記両吸風室から被冷却室を経て前記排風口から遮音ケースの外部に排出されるようにした通風経路が形成されることを特徴とする。
【0009】
このような請求項2記載の発明の構成によれば、高熱となることを避けるべき部品をエンジンおよび発電機にそれぞれ対応させて対応する側の吸風室に収容し、各吸風室を低温に維持するようにして、特別な部品配置や遮熱対策を不要とすることができる。しかも被冷却室では自然対流により換気効果を利用することができ、被冷却室に配置される部品を良好に冷却することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1はトップカバーを取り外した状態でのエンジン発電機を正面側から見た斜視図、図2はカバー全体を省略した状態でのエンジン発電機を正面側から見た斜視図、図3は一対の側板およびカバー全体を省略した状態でのエンジン発電機を背面側から見た斜視図、図4はエンジン発電機の縦断正面図、図5は図4の5−5線断面図、図6は図4の6−6線拡大断面図、図7は図4の7−7線拡大断面図である。
【0012】
図1〜図5を併せて参照して、このエンジン発電機は、エンジン11、燃料タンク12、前記エンジン11で駆動される作業機としての発電機13、バッテリ14、ならびに前記エンジン11に接続されるエアクリーナ15、キャブレータ16および排気マフラー17等が、遮音ケース18内に収容されて成るものである。
【0013】
遮音ケース18は、略長方形状に構成される底フレーム19と、該底フレーム19の長手方向両端に立設される第1および第2側板22,23と、両側板22,23間にわたって底フレーム19を覆うカバー24とから成るものである。
【0014】
底フレーム19は、略長方形状の底板20と、該底板20の幅方向に間隔をあけた位置で底板20の下面に固着されて底板20の長手方向に長く延びる一対の補強枠21,21とから成り、補強枠21としては、底板20の下面との間に横断面矩形の空間を形成する略U字状の型鋼が用いられる。しかも各補強枠21,21の長手方向両端部に隣接した位置で、底板20の下面にはブラケット28…がそれぞれ固着されており、各ブラケット28…および補強枠21…間に配置される車輪29…の車軸が各ブラケット28…および補強枠21…で回転自在に支持される。
【0015】
底板20の周縁には、上方に直角に屈曲した折曲げ部20aが設けられており、底板20の長手方向両端部上に載置される第1および第2側板22,23の下部は、複数のねじ部材30…により底板20の前記折曲げ部20aに締結される。また第1および第2側板22,23の上部には、エンジン発電機を運搬する際に用いる把手31がそれぞれ固定される。
【0016】
図6および図7をさらに併せて参照して、カバー24は、相互に平行な一対の平板状のサイドカバー25,26と、それらのサイドカバー25,26の上部間を結ぶトップカバー27とから成るものであり、両サイドカバー25,26の両端が複数のねじ部材32…で第1および第2側板22,23の両側にそれぞれ締結され、両サイドカバー25,26の下部が複数のねじ部材33…で底板20の両側の折曲げ部20aにそれぞれ締結される。またトップカバー27は、第1および第2側板22,23の上部形状に対応して下方に開いた略U字状の横断面形状を有するものであり、第1および第2側板22,23の上端に両端を当接させるトップカバー27の両側下部は、前記両サイドカバー25,26の上部に複数のねじ部材34…で締結される。しかもトップカバー27の両側両端部は、各サイドカバー25,26の両端上部とともにねじ部材32…により第1および第2側板22,23に共締される。
【0017】
エンジン11は、底フレーム19の長手方向に沿って水平に延びるクランクシャフト38を支持するクランクケース39と、該クランクケース39に結合されて上方に延びるシリンダバレル40と、シリンダバレル40の上部に結合されるヘッドカバー41とを有する単気筒エンジンであり、前記クランクケース39が、底フレーム19の底板20に一対の弾性マウント部材42,42を介して支持される。すなわちエンジン11は底フレーム19に弾性支持される。
【0018】
前記クランクケース39から突出したクランクシャフト38の一端部には、エンジン側冷却ファン43が固設されており、クランクケース39に固定されるファンカバー44で前記エンジン側冷却ファン43が覆われる。このファンカバー44は、エンジン側冷却ファン43を囲む皿状部44aと、該皿状部44aから上方に延びる導風部44bとを一体に有してエンジン11側に開放した形状に形成され、皿状部44aの中央部には開口部45が設けられる。
【0019】
前記クランクシャフト38の一端にはリコイルスタータ46を係合、連結可能であり、このリコイルスタータ46を収容する皿状のリコイルスタータハウジング47が、前記ファンカバー44の皿状部44aに同軸に固定される。しかもリコイルスタータハウジング47の側壁には、複数のエンジン側吸引口48…が設けられる。
【0020】
而してエンジン11の運転に伴なってクランクシャフト38とともにエンジン側冷却ファン43が回転すると、エンジン側吸引口48…からリコイルスタータハウジング47内に吸入された空気は開口部45からファンカバー44の皿状部44a内に導入され、エンジン側冷却ファン43による遠心力が皿状部44a内の空気に作用することにより、皿状部44aから導風部44bへと冷却空気が流通し、さらに導風部44bからエンジン11のシリンダバレル40およびヘッドカバー41側に冷却空気が流通することになる。しかもエンジン11のヘッドカバー41には、一端をファンカバー44の導風部44bに接続するとともに他端を開放したカバー53がヘッドカバー41を覆うようにして取付けられており、前記導風部44bから流通してきた冷却空気はヘッドカバー41およびカバー53間を流通することができる。
【0021】
またエンジン11におけるシリンダバレル40の外側面にはスタータモータ49が取付けられており、このスタータモータ49による始動力をエンジン11に付与することも可能である。
【0022】
発電機13は、前記クランクシャフト38の他端に一端が同軸に連結される回転軸50を備えるものであり、この発電機13のケーシング51は、底フレーム19の底板20に一対の弾性マウント部材52,52を介して支持される。すなわち発電機13は底フレーム19に弾性支持される。
【0023】
前記ケーシング51内で回転軸50の一端部には発電機側冷却ファン54が固定される。前記回転軸50の軸方向に沿うケーシング51の一端部すなわち発電機側冷却ファン54に対応する部分でケーシング51の下部側壁には複数の空気吹出し口55…が設けられ、これらの空気吹出し口55…は、カバー24におけるサイドカバー26の内面側に向けて空気を噴出するように形成される。
【0024】
ところで発電機13は、回転軸50の軸方向他端側でケーシング51内に吸引された空気を前記空気吹出し口55…に流通させることでケーシング51内の電気部品を冷却するように構成されており、回転軸50の軸方向に沿うケーシング51の他端面には、前記発電機側冷却ファン54の作動に応じて冷却空気をケーシング51内に吸引するための複数の発電機側吸引口56…が設けられる。
【0025】
遮音ケース18内には、該遮音ケース18内を、被冷却室57と、その被冷却室57の両側のエンジン側吸風室58および発電機側吸風室59との3つに区画するエンジン側仕切り壁60および発電機側仕切り壁61が固定配置される。
【0026】
被冷却室57は、エンジン11および発電機13のうち冷却されるべき部分、この実施例ではエンジン11および発電機13の大部分が収容されるものであり、エンジン側仕切り壁60および発電機側仕切り壁61間で遮音ケース18内に形成される。しかも被冷却室57には、エンジン11におけるカバー53の他端開口部を側面に臨ませるようにして発電機13の上方に配置される排気マフラー17が収容される。
【0027】
前記エンジン11のエンジン側吸引口48…はエンジン側吸風室58に臨んで配置されるものであり、エンジン側仕切り壁60と、遮音ケース18の一部を構成してエンジン側仕切り壁60に外側から対向する第1側板22との間で遮音ケース18内にエンジン側吸風室58が形成される。また前記発電機13の発電機側吸引口56…は発電機側吸風室59に臨んで配置されるものであり、発電機側仕切り壁61と、遮音ケース18の一部を構成して発電機側仕切り壁61に外側から対向する第2側板23との間で遮音ケース18内に発電機側吸風室59が形成される。
【0028】
排気マフラー17は、両端を閉じた筒状に形成されており、発電機13の上方の空間を有効利用するようにして該発電機13の上方に配置されており、発電機13のケーシング51に固着された支持ステー62で支持される。しかも排気マフラー17が大型であったとしても、エンジン11および発電機13の軸線に沿う方向でのエンジン発電機の大型化を回避し得るようにするために、排気マフラー17は、エンジン11および発電機13の軸線と交差する方向(この実施例では直交する方向)で軸線をほぼ水平として発電機13の上方に配置される。
【0029】
遮音ケース18のカバー24を構成するサイドカバー25,26のうち一方のサイドカバー26側で排気マフラー17の一端には、エンジン11に連なる排気管63が接続される。この排気マフラー17の上方には、エンジン側および発電機側仕切り壁60,61に両端が支持される仕切り板64が水平に配置され、該仕切り板64および遮音ケース18のカバー24間には排気室65が形成される。しかも排気マフラー17の一端側で仕切り板64および遮音ケース18間には、エンジン11および発電機13を冷却した冷却空気を排気室65に導く導入口66が形成されており、排気マフラー17の他端に一端が連なる導管67は、排気マフラー17の一端側に戻るように屈曲され、導管67の他端が導入口66から排気室65内に突入される。
【0030】
すなわち排気マフラー17の上方で被冷却室57内の上部には、エンジン11および発電機13を冷却した冷却空気と、排気マフラー17からの排ガスとを混合するようにした排気室65が形成されることになる。しかも遮音ケース18の上部であるカバー24において前記導入口66とは反対側であるトップカバー27の側壁には、排気室65からの冷却空気および排ガスの混合物を排出する排風口68が設けられる。
【0031】
また排気室65および排風口68間に介在するようにしてエンジン側および発電機側仕切り壁60,61間には整流板69が設けられており、この整流板69には、上下に間隔をあけて複数のスリット状の透孔が設けられるとともに、それらの透孔を流通するガス流をガイドするための複数のガイド板70…が前記各透孔に対応した位置で排風口68側に突出するようにして設けられる。
【0032】
エンジン側吸風室58には、燃料タンク12、エアクリーナ15およびキャブレータ16が収容されるものであり、燃料タンク12は、エンジン側仕切り壁60および第1側板22間に設けられる一対の支持枠71,71で弾性支持されるようにして、エンジン側吸風室58の上部に収容される。しかも燃料タンク12がその上部に備える給油管72を貫通させる貫通孔74と、燃料タンク12がその上部に備える燃料計73を臨ませる窓75とが、トップカバー27に設けられる。
【0033】
発電機側吸風室59には、エンジン11および発電機13の運転制御に係わる電装部品76,77,78が収容されるとともに、バッテリ14が収容されるものであり、電装部品76は第2側板23の内面に固定的に支持され、バッテリ14は底フレーム19の底板20上に固定的に支持される。
【0034】
エンジン側および発電機側吸風室58,59に遮音ケース18の外部から外気を導入するために、底フレーム19の底板20のうちエンジン側吸風室58内に対応する部分には一対のエンジン側外気導入口79,79が設けられ、底フレーム19の底板20のうち発電機側吸風室59内に対応する部分には一対の発電機側外気導入口80,80が設けられる。しかも各外気導入口79,79;80,80は、底フレーム19のうち補強部材21,21内に開口するようにして底板20に設けられており、略U字状である補強部材21,21と底板20との間の空間が外気を流入させる通路としての機能を果すことになる。
【0035】
エンジン側仕切り壁60は、前記遮音ケース18に固定されるケース固定壁部81と、前記エンジン11の外周との間が気密にシールされて該エンジン11に固定されるエンジン固定壁部82との間に、それらの壁部81,82間の全周をシールする無端状の弾性シール部材83が介装されて成るものである。
【0036】
ケース固定壁部81の外周すなわちエンジン側仕切り壁60の外周は、遮音ケース18におけるカバー24の内側面に密接するように形成されており、このケース固定壁部81に、エンジン11におけるファンカバー44を貫通配置せしめる開口部84が設けられ、該開口部84は、4つの隅角部を丸めた単純な四角形状に形成される。一方、エンジン固定壁部82の外周には前記開口部84の内周面に弾発的に密接する弾性シール部材83が装着され、エンジン固定壁部82は、エンジン11のファンカバー44に設けられた複数たとえば3つのステー85…に固定される。しかもエンジン固定壁部82の内周には、前記ファンカバー44の外周に弾発的に密接する弾性シール部材86が装着される。
【0037】
すなわちエンジン側仕切り壁60およびエンジン11間には弾性シール部材86が介装される。しかもエンジン固定壁部82は、エンジン11のファンカバー44に固定されるものであり、ファンカバー44に固定されたリコイルスタータハウジング47が備える複数のエンジン側吸引口48…はエンジン固定壁部82側に設けられることになる。
【0038】
またエンジン側吸風室58に収容されたキャブレータ16に一端を連ならせた第1吸気管87の他端のフランジ88と、エンジン固定壁部82を前記フランジ88との間に挟むフランジ89とが締結されており、該フランジ89を一端に一体に備える第2吸気管90の他端がエンジン11に接続される。すなわちキャブレータ16およびエンジン11間を結ぶ第1および第2吸気管87,90が、エンジン固定壁部82を挟んで相互に連なるように接続されることになり、キャブレータ16はエンジン固定壁部82で支持される。
【0039】
発電機側仕切り壁61は、その外周を遮音ケース18におけるカバー24の内側面に密接させるようにして遮音ケース18に固定されるものであり、この発電機側仕切り壁61には、発電機13におけるケーシング51の他端部を貫通、配置せしめる開口部91が設けられる。この開口部91は、前記ケーシング51の他端部に対応して円形形状に形成されるものであり、ケーシング51の他端部外周に弾発的に密接する無端状の弾性シール部材92が、開口部91の周縁で発電機側仕切り壁61に装着される。すなわち発電機側仕切り壁61および発電機13間には弾性シール部材92が介装される。
【0040】
ところで、エンジン側吸風室58に通じて遮音ケース18に設けられた一対のエンジン側外気導入口79,79と、被冷却室57の上部の排気室65に通じて遮音ケース18に設けられた排風口68との間には、遮音ケース18の外部からエンジン側外気導入口79,79を経てエンジン側吸風室58に導入された空気が、該エンジン側吸風室58からエンジン側吸引口48…を経てエンジン側冷却ファン43でファンカバー44内に吸入された後、被冷却室57でエンジン11のシリンダバレル40およびヘッドカバー41の側方を流過し、さらに導入口66から排気室65を経て排風口68から遮音ケース18の外部に排出されるようにした第1通風経路95が、図4および図5の矢印で示すように形成される。
【0041】
しかもシリンダバレル40およびヘッドカバー41の外面に設けられるフィン96…は、排気マフラー17の側面に向けて冷却空気を案内するように配列されており、ファンカバー44bからの冷却空気をヘッドカバー41との間で流通させるようにしてヘッドカバー41を覆うカバー53の開口部に排気マフラー17の側面が臨んでいる。したがって第1通風経路95は、その途中で排気マフラー17の側面に冷却風を直接吹きつけるように構成されることになる。
【0042】
また発電機側吸風室59に通じて遮音ケース18に設けられた一対の発電機側外気導入口80,80と、被冷却室57の上部の排気室65に通じて遮音ケース18に設けられた排風口68との間には、遮音ケース18の外部から発電機側外気導入口80,80を経て発電機側吸風室59に導入された空気が、該発電機側吸風室59から発電機側吸引口56…を経て発電機側冷却ファン54で発電機13 のケーシング51内に吸入された後、該ケーシング51の一端側の空気吹出し口55…から被冷却室57を経て、導入口66から排気室65を経て排風口68から遮音ケース18の外部に排出されるようにした第2通風経路97が、図3の矢印で示すように形成される。
【0043】
しかも発電機13のケーシング51に設けられるれる空気吹出し口55…は、カバー44におけるサイドカバー26の内面側に向けて空気を噴出するように形成されている。したがって第2通風経路97は、その途中では排気マフラー17の一端側で遮音ケース18の内面に沿って上方の排気室65側に流通することになる。
【0044】
また被冷却室57側におけるエンジン側および発電機側仕切り壁60,61の側面には断熱材98が装着され、排気室65に臨む仕切り板64の上面にも断熱材99が装着される。
【0045】
次にこの実施例の作用について説明すると、エンジン11と、該エンジン11に同軸に連結される発電機13を収容する遮音ケース18内が、エンジン11および発電機13の大部分を収容するとともに排気マフラー17を収容する被冷却室57と、その被冷却室57の両側のエンジン側および発電機側吸風室58,59との3つに区画されている。しかも被冷却室57に通じて遮音ケース18の上部に設けられる排風口68と、エンジン側および発電機側吸風室58,59に通じて遮音ケース18に設けられたエンジン側および発電機側外気導入口79…,80…との間には、遮音ケース18の外部からエンジン側外気導入口79…を経てエンジン側吸風室58に導入された空気が該エンジン側吸風室58から被冷却室57を経て排風口68から遮音ケース18外に排出されるようにした第1通風経路95と、発電機側外気導入口80…を経て発電機側吸風室59に導入された空気が該発電機側吸風室59から被冷却室57を経て排風口68から遮音ケース18外に排出されるようにした第2通風経路97とが形成される。
【0046】
すなわちエンジン発電機のうち高熱となる部分を中央部の被冷却室57に集めて配置し、低温室として機能するエンジン側および発電機側吸風室58,59から被冷却室57側に流れる冷却空気が被冷却室57に配置されるエンジン11および発電機13の大部分および排気マフラー17を流過して排風口68から外部にスムーズに排出されるように第1および第2通風経路95,97が形成されることになり、遮音ケース18内に熱が滞留することを抑制してエンジン発電機を効果的に冷却することが可能となるとともに、両吸風室を運転音の洩れ抑制ゾーンとして利用することで遮音性能を向上することができる。
【0047】
またエンジン11は、該エンジン11が備えるエンジン側吸引口48…をエンジン側吸風室58に臨ませるようにして底フレーム19に弾性支持され、発電機13は、該発電機13が備える発電機側吸引口56…を発電機側吸風室59に臨ませて足フレーム19に弾性支持されており、被冷却室57およびエンジン側吸風室58間を区画するエンジン側仕切り壁60と、前記被冷却室57および発電機側吸風室59間を区画する発電機側仕切り壁61とが遮音ケース18の一部である底フレーム19に固定配置され、遮音ケース18の一部を構成してエンジン11および発電機13を覆うカバー24の内側面にエンジン側および発電機側仕切り壁60,61の外周が密接され、カバー24に排風口68が設けられている。
【0048】
したがってエンジン11および発電機13を覆うようにして遮音ケース18の一部であるカバー24を配置することにより、遮音ケース18内にエンジン側および発電機側仕切り壁60,61で区画される被冷却室57,エンジン側および発電機側吸風室58,59を形成することができ、エンジン11が備える冷却風の通路をエンジン側仕切り壁61の両側間を結ぶ通路として利用するとともに、発電機13が備える冷却風の通路を発電機側仕切り壁61の両側間を結ぶ通路として利用するようにして、エンジン11および発電機13の大部分および排気マフラー17が収容される被冷却室57に集合するように冷却風を流通させるとともに排風口68から外部に排出させるようにしており、メンテナンス作業を容易としつつ、遮音ケース18内に冷却風の通路を簡単な構造で形成することができる。
【0049】
また遮音ケース18は、エンジン側および発電機側仕切り壁60,61に外側から間隔をあけて対向する第1および第2側板22,23を備えており、エンジン側仕切り壁60および第1側板21間で遮音ケース18内にエンジン側吸風室58が形成され、発電機側仕切り壁61および第2側板23間で遮音ケース18内に発電機側吸風室59が形成されるので、遮音ケース18内を、高温である中央の被冷却室57と、低温である両側の吸風室58,59とに容易に区分けして、各室57,58,59に適した部品配置を行なうことで効果的な冷却を行なうことが可能となる。
【0050】
しかも遮音ケース18の一部を構成する底フレーム19に、エンジン側および発電機側吸風室58,59に外気をそれぞれ導入するエンジン側および発電機側外気導入口79…,80…が設けられているので、吸気音が外部に洩れるのを極力抑制しつつ、両吸風室58,59に簡単な構造で外気を導入することができ、両吸風室58,59の低温状態を維持することができる。
【0051】
またエンジン側吸風室58に、燃料タンク12、エアクリーナ15およびキャブレータ16が収容配置され、発電機側吸風室59にバッテリ14および電装部品76〜78が収容配置されるので、高熱となることを避けるべき部品である燃料タンク12、エアクリーナ15、キャブレータ16、バッテリ14および電装部品76〜78を、エンジン11および発電機13にそれぞれ対応させて対応する側の吸風室58,59に収容し、各吸風室58,59を低温に維持するようにして、特別な部品配置および遮熱対策を不要とすることができる。
【0052】
さらにキャブレータ16を低温のエンジン側吸風室58に配置することで、キャブレータ16を経てエンジン11に供給される空気を低温に保持することができ、それによりエンジン11の吸気充填効率を高く維持することができる。
【0053】
ところでエンジン側仕切り壁60およびエンジン11間、ならびに発電機側仕切り壁61および発電機13間には弾性シール部材86,92がそれぞれ介装されるており、高温である被冷却室57から低温である両側の吸風室58,59への空気の流れを確実に遮断し、被冷却室57から両側の吸風室58,59への熱漏れを抑制することができるとともに、両側の吸風室58,59に遮音ケース18からの音洩れ抑制機能を持たせることが可能となる。
【0054】
さらに排気マフラー17は、発電機13よりも上方で被冷却室57に配置され、排気マフラー17よりも上方で遮音ケース18のカバー24に排風口68が設けられるので、被冷却室5 7内での自然対流による換気効果を高めることができ、エンジン発電機の停止後にも遮音ケース18内の温度を比較的早く低下させることができる。しかも自然対流による空気流が、エンジン11および発電機13のうち被冷却室57内に配置される部分を上方に流れるようにして冷却効果を高めることができる。
【0055】
エンジン側仕切り壁60は、遮音ケース18に固定されるケース固定壁部81と、エンジン11との間が弾性シール部材86で気密にシールされて該エンジン11に固定されるエンジン固定壁部82との間に弾性シール部材83が介装されて成るものであり、しかもキャブレータ16およびエンジン11間を結ぶ第1および第2吸気管87,90がエンジン11とともに振動するエンジン側固定壁部82に支持され、エンジン側吸引口48…もエンジン固定壁部82と一体に振動するリコイルスタータハウジング47に設けられるので、エンジン11の外形形状が複雑であっても、被冷却室57およびエンジン側吸風室58間のシール構造を単純化しつつ大きなシール効果を得ることができ、エンジン11およびエンジン側仕切り壁60の組付を容易とすることができる。
【0056】
被冷却室57内の上部には、排気マフラー17の上方に配置される仕切り板64および遮音ケース18間に、第1および第2通風経路95,97の一部を構成するようにして形成されるものであり、排気マフラー17からの排ガスを導く導管67が排気室65に連通されている。すなわち排気マフラー17からの排ガスと、第1および第2通風経路95,97を流通することでエンジン11、発電機13および排気マフラー17を冷却した冷却空気とを合流させて排風口68に導く排気室65が、非冷却室57の上部空間を仕切り板64で壁状に仕切ることにより形成されている。
【0057】
したがって排気マフラー17および排風口68間に仕切り板64が介在することにより、排気マフラー17で生じる運転音の漏出を効果的に低減することができるとともに、エンジン11および発電機13側への排気熱が及ぼす影響を低減することができる。また排気マフラー17からの排ガスと、エンジン11、発電機13および排気マフラー17を冷却した冷却空気とを排気室65で合流させた後に遮音ケース18外に排出することで、排気音を低減することができる。
【0058】
ところで、エンジン11を冷却して排気室65に至る第1通風経路95が、その途中で排気マフラー17の側面にエンジン冷却風を直接吹きつけるように構成され、また発電機13を冷却して排気室65に至る第2通風経路97が、その途中では前記排気マフラー17の一端側で遮音ケース18の内面に沿って上方に流通するように構成されている。
【0059】
したがって排気マフラー17の側面に冷却風が吹きつけられることで排気マフラー17を効果的に冷却することができ、また発電機13からの冷却風が排気マフラー17の一端側すなわち排気室65の導入口66側で遮音ケース18の内面に沿って流通するので、排気マフラー17を冷却した後の冷却空気も含めて排気室65に冷却空気がスムーズに誘導されることになる。
【0060】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0061】
また上記実施例では、エンジン固定壁部82およびエンジン11間に弾性シール部材86が介装されたが、そのような弾性シール部材を用いなくても、エンジン11およびエンジン固定壁部82間を冷却空気および排ガスが流通することがないように構成されていればよい。
【0062】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、キャブレータを経てエンジンに供給される空気を低温に保持することができ、エンジンの吸気充填効率を高く維持することができる。またエンジンの外形形状が複雑であっても、被冷却室およびエンジン側吸風室間のシール構造を単純化しつつ大きなシール効果を得ることができ、エンジンおよびエンジン側仕切り壁の組付を容易とすることができる。またエンジン発電機のうち高温となる部分を中央の被冷却室に集合させるようにし、熱や音がエンジン側および発電機側吸風室に洩れないようにしてエンジン側および発電機側吸風室を低温に維持することができ、エンジン側および発電機側吸風室に音漏れを抑制する機能を持たせることができる。
【0063】
さらに請求項2の発明によれば、高熱となることを避けるべき部品をエンジンおよび発電機にそれぞれ対応させて対応する側の吸風室に収容し、各吸風室を低温に維持するようにし、特別な部品配置や遮熱対策を不要とすることができる。しかも被冷却室では自然対流により換気効果を利用することができ、被冷却室に配置される部品を良好に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トップカバーを取り外した状態でのエンジン発電機を正面側から見た斜視図である。
【図2】 カバー全体を省略した状態でのエンジン発電機を正面側から見た斜視図である。
【図3】 一対の側板およびカバー全体を省略した状態でのエンジン発電機を背面側から見た斜視図である。
【図4】 エンジン発電機の縦断正面図である。
【図5】 図4の5−5線断面図である。
【図6】 図4の6−6線拡大断面図である。
【図7】 図4の7−7線拡大断面図である。
【符号の説明】
11・・・エンジン
13・・・発電機
15・・・エアクリーナ
16・・・キャブレータ
18・・・遮音ケース
19・・・底フレーム
48・・・エンジン側吸引口
56・・・発電機側吸引口
57・・・被冷却室
58・・・エンジン側吸風室
59・・・発電機側吸風室
60・・・エンジン側仕切り壁
61・・・発電機側仕切り壁
68・・・排風口
76〜78・・・電装部品
79・・・エンジン側外気導入口
80・・・発電機側外気導入口
81・・・ケース固定壁部
82・・・エンジン固定壁部
83,92・・・弾性シール部材
87・・・第1吸気管
90・・・第2吸気管
95,97・・・通風経路
Claims (2)
- エンジン(11)と、該エンジン(11)に同軸に連結される発電機(13)とが底フレーム(19)に弾性支持されて遮音ケース(18)内に収容されるエンジン発電機において、
前記遮音ケース(18)には、そのケース(18)内が、前記エンジン(11)の大部分が収容配置される被冷却室(57)と、エアクリーナ(15)およびキャブレータ(16)が収容されるとともに遮音ケース(18)外から冷却空気が導入されるエンジン側吸風室(58)と、該遮音ケース(18)外から冷却空気を導入する発電機側吸風室(59)とに区画されるように、被冷却室(57)及びエンジン側吸風室(58)間を仕切るエンジン側仕切り壁(60)、並びに被冷却室(57)及び発電機側吸風室(59)間を仕切る発電機側仕切り壁(61)が設けられ、
前記エンジン側仕切り壁(60)は、前記遮音ケース(18)に固定されるケース固定壁部(81)と、前記エンジン(11)に固定されるエンジン固定壁部(82)との間に弾性シール部材(83)が介装されて成り、
前記発電機側仕切り壁(61)は、前記遮音ケース(18)に固定されるととともに発電機(13)との間に弾性シール部材(92)を介在させており、
前記エンジン側吸風室(58)から前記被冷却室(57)側に冷却空気を供給するためのエンジン側吸引口(48)が前記エンジン固定壁部(82)に設けられ、
前記キャブレータ(16)に一端が接続される第1吸気管(87)の他端と、第2吸気管(90)の一端とが前記エンジン固定壁部(82)を相互間に挟んで相互に接続されると共に、第2吸気管(90)の他端が前記エンジン(11)に接続され、
前記発電機側吸風室(59)から前記被冷却室(57)側に冷却空気を供給するための発電機側吸引口(56)が、発電機側吸風室(59)に臨んで前記発電機(13)に設けられることを特徴とするエンジン発電機。 - 前記エンジン側吸風室(58)にエアクリーナ(15)およびキャブレータ(16)が収容配置され、前記発電機側吸風室(59)に電装部品(76〜78)が収容配置され、被冷却室(57)に通じて遮音ケース(18)に設けられた排風口(68)と、前記エンジン側および発電機側吸風室(58,59)に通じて遮音ケース(18)に設けられたエンジン側および発電機側外気導入口(79,80)との間に、遮音ケース(18)の外部から前記両外気導入口(79,80)を経て両吸風室(58,59)に導入された空気が前記両吸風室(58,59)から被冷却室(57)を経て前記排風口(68)から遮音ケース(18)の外部に排出されるようにした通風経路(95,97)が形成されることを特徴とする、請求項1記載のエンジン発電機。
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