JP3797168B2 - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3797168B2
JP3797168B2 JP2001287914A JP2001287914A JP3797168B2 JP 3797168 B2 JP3797168 B2 JP 3797168B2 JP 2001287914 A JP2001287914 A JP 2001287914A JP 2001287914 A JP2001287914 A JP 2001287914A JP 3797168 B2 JP3797168 B2 JP 3797168B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
acid
layer
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001287914A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003098736A (ja
Inventor
克己 大門
孝史 今井
克己 額田
渉 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2001287914A priority Critical patent/JP3797168B2/ja
Priority to US10/077,949 priority patent/US6881528B2/en
Publication of JP2003098736A publication Critical patent/JP2003098736A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3797168B2 publication Critical patent/JP3797168B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08784Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775
    • G03G9/08791Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775 characterised by the presence of specified groups or side chains
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0821Developers with toner particles characterised by physical parameters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08742Binders for toner particles comprising macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G9/08755Polyesters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08742Binders for toner particles comprising macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G9/08773Polymers having silicon in the main chain, with or without sulfur, oxygen, nitrogen or carbon only
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08784Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775
    • G03G9/08795Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775 characterised by their chemical properties, e.g. acidity, molecular weight, sensitivity to reactants
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08784Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775
    • G03G9/08797Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775 characterised by their physical properties, e.g. viscosity, solubility, melting temperature, softening temperature, glass transition temperature
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/097Plasticisers; Charge controlling agents
    • G03G9/09733Organic compounds
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G2215/00Apparatus for electrophotographic processes
    • G03G2215/00953Electrographic recording members
    • G03G2215/00957Compositions

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置に利用し得る、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成方法としては多くの方法があり、複写機、プリンタ等においては、一般に電子写真感光体に、帯電、露光、及び現像のプロセスを経て像形成し、得られた像を被記録体に転写し、これを定着して複写物を得る方法がとられている。
近年、電子写真プロセス、電子写真用材料の研究開発においても、環境問題への取り組みの一環として、省エネルギー、省資源などを目的とした技術開発に積極的に取り組んでいる。その中で、省資源という目的で、種々の部材の長寿命化が積極的に研究されており、感光体についても一層の高耐久化が切望されている。
【0003】
感光体としては、従来の無機感光体に代わり、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた種々の有機感光体が実用化されているが、一般に、有機感光体の寿命を決定する重要な因子の一つとして、その表面層の摩耗が挙げられる。現在の有機感光体は、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層させた、いわゆる積層型のものが主流であり、電荷輸送層が表面層となる場合が多い。ところが、現在、主に使用されている電荷輸送層においては、電気的な特性に関しては満足できる性能のものが得られつつあるが、低分子化合物を結着樹脂中に多量に分散して用いているために、結着樹脂本来の機械的な性能が低下してしまい、摩耗に関しては本質的に弱いという欠点があった。
【0004】
そこで、電荷輸送層の機械的強度を向上させる方法として、1)硬質微粒子の添加(特開平6−282093号公報等)、2)シリコーンオイル等の表面エネルギーを低下させる物質の添加、3)結着樹脂の改質(出光技法、36(2)、88(1993)等)、4)電荷輸送層上にオーバーコート層の形成(例、特開平6−282092号公報等)、5)電荷輸送性高分子化合物の使用(米国特許第4,801,517号明細書等)、6)電荷輸送層の硬化(特開平6−250423号公報等)などの種々の提案が行われている。
【0005】
ところが、上記1)〜3)の方法は、基本的に低分子化合物を結着樹脂中に分散して用いるものであるから、大きな機械的強度の改善は見込めない。また、4)の方法におけるオーバーコート層は、摩耗量の削減には寄与するが、結着樹脂中に導電粉を分散して用いているために、特に高湿下では画像ボケが生じ易いという問題がある。一方、5)及び6)の方法には、十分な性能を有する電荷輸送性高分子化合物を使用すれば、低分子化合物を分散させる必要がないため、機械的な特性を大幅に改善できるばかりでなく、従来の製造設備をそのまま使用できるという利点があり、特に、特開平6−250423号公報等に記載の方法は、電荷輸送性高分子化合物をさらに三次元的に結合させるものであり、より一層の効果が期待できる。しかし、この種の電荷輸送性高分子化合物を得るためには、少なくとも一種以上の反応性置換基を持ったモノマーを合成する必要があり、これが電荷輸送性向上のための分子設計に大きな制約を加えるために、十分な性能の電荷輸送性高分子化合物は、未だ得られていないのが現状である。
【0006】
一方、例えばシリコーン系ポリマーをオーバーコートし、耐久性の高い表面層を有する感光体を用いた場合であっても、転写効率が低下し、画像上の問題が発生する場合があるが、これを解決する方法として、樹脂粒子を水系媒体中において融着させたトナーを用いる技術(特開2000−250259号公報)が提案され、トナー形状の均一性やトナー表面の異形化により、微粉の発生を抑え、転写率の低下やクリーニング不良の改善が試みられている。しかし、微粉をまったく含まない、あるいは発生しないトナーはなく、微粉が付着することにより、少なからず感光体が汚染される。
【0007】
上記付着成分に分子量の小さな離型剤が多いことから、分子量の大きな離型剤をトナーに使用する方法(特開平8−278653号公報)や、キャリアを感光体に接触させる現像方法で付着成分を掻き取る方法(特開平9−304972号公報)が提案されている。しかし、これらの技術をもってしても、他の性能を落とさずに本来の目的を達成するには十分とはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における前述した実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、優れた耐摩耗性及び高耐久性を有する電子写真感光体を提供しつつも、トナーの転写効率の高く、高画質の画像を供給することのできる画像形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためには、以下の手段が必要とされる。すなわち、一つは、前述した表面層の摩耗の少ない高耐久の感光体であり、もう一つは、そのような高耐久の感光体を用いても、初期及び長期の使用において転写効率低下等が発生しない画像形成技術である。
前者の手段については、特開平11−38656号公報、特開平11−184106号公報、特開平11−316468号公報などにおいて、新規な三次元架橋材料が提案され、これらの材料は優れた特性を有することが開示されている。これらを用いた感光体は、摩耗量が少ないだけでなく、画像ボケをも生じにくいものであり、従来にない良好な耐久性を有している。
【0010】
しかしながら、このような耐久性の高い表面層を有する感光体を用いた場合には、表面層に未反応の水酸基等の極性基が残存しているため、通常のトナーでは、感光体表面とトナーとの付着力が増し、感光体表面のトナーを転写ベルト、転写ドラム(被転写材)あるいは紙(被記録体)へ転写する際の転写効率が上がらないという、新たな問題が発生する場合がある。特にトナー中の微粉は転写しにくく、さらには、転写残りの微分のクリーニングは難しいため、これが感光体表面へのフィルミングを引き起こし、画像には白抜けやかぶりとなって現れる。一方、装置としては、感光体表面のトナーを100%転写して、トナーのクリーニングシステムをなくすことが理想的であり、そのような観点からも、高い転写効率を確保することが望まれた。
【0011】
このため、前記後者の手段については、トナーの表面性改良、粒度分布改良等からのアプローチが有効であるとの考えの下、鋭意検討の結果、本発明者らは、以下の画像形成方法により前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、従来より低温定着という観点から、低融点の結晶性樹脂をトナーの結着樹脂として利用する方法(特公平4−24702号公報等)が提案されているが、このような結晶性樹脂を主成分とするトナーを、前記感光体と組み合わせて被転写材あるいは被記録体表面に画像形成を行うと、通常の非結晶性樹脂を用いたトナーに比べ転写効率が高く、高品質の画像が得られることがわかった。
【0012】
具体的に、前記課題を解決する手段は、以下の通りである。すなわち、
<1> 潜像担持体表面形成された静電潜像を、少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成する現像工程と、潜像担持体表面に形成されたトナー画像を被記録体表面へ転写して転写画像を形成する転写工程と、被記録体表面に転写された転写画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
前記潜像担持体が、電荷輸送性を有する架橋樹脂を含む表面層を有しており、かつ、前記トナーが、少なくとも、結晶性樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、を含むトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
【0013】
<2> 前記潜像担持体の表面層に含まれる架橋樹脂が、シロキサン結合を有する樹脂であることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0014】
<3> 前記シロキサン結合を有する樹脂が、下記一般式(I)で表される化合物を含有する樹脂であることを特徴とする<2>に記載の画像形成方法である。
【0015】
【化1】
Figure 0003797168
【0016】
(式中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を表す。Dは可とう性有機サブユニットを表す。Aは−Si(R1(3-a)aで示される加水分解性基を有する置換けい素基(ここで、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表す。aは1〜3の整数である。)、bは1〜4の整数である。)
【0017】
<4> 前記一般式(I)で表される化合物中の、光機能性化合物から誘導される有機基Fが、下記一般式(II)で表される化合物から誘導される有機基であることを特徴とする<3>に記載の画像形成方法である。
【0018】
【化2】
Figure 0003797168
【0019】
(式中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は、置換若しくは未置換のアリール基またはアリーレン基を表す。但し、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は、前記一般式(I)中の−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。kは0または1である。)
【0020】
<5> 前記潜像担持体の表面層に、さらに、前記一般式(I)で表される化合物と結合可能な基を有する化合物を含むことを特徴とする<3>または<4>に記載の画像形成方法である。
【0021】
<6> 前記一般式(I)で表される化合物と結合可能な基を有する化合物が、下記一般式(III) で表される有機けい素化合物であることを特徴とする<3>〜<5>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0022】
【化3】
Figure 0003797168
【0023】
(式中、A’は−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換けい素基、Bは枝分かれを含んでもよいn価の炭化水素基、n価のフェニル基、−NH−、−O−Si−から選ばれる基の少なくとも1つ、あるいはこれらの組み合わせから構成される。aは1〜3の整数、nは2以上の整数である。)
【0024】
<7> 前記結着樹脂の主成分である結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0025】
<8> 前記結晶性ポリエステル樹脂の下記式(2)で定義されるエステル濃度Mが、0.01以上0.2以下であることを特徴とする<7>に記載の画像形成方法である。
M=K/N ・・・ 式(2)
(上記式中、Mはエステル濃度を、Kはポリマー中のエステル基数を、Nはポリマーの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
【0026】
<9> 前記トナーの結着樹脂の主成分である結晶性樹脂の融点が、50〜120℃であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0027】
<10> 前記トナーの、角周波数1rad/s、90℃における貯蔵弾性率GL(90)及び損失弾性率GN(90)と、角周波数1rad/s、120℃における貯蔵弾性率GL(120)及び損失弾性率GN(120)と、のすべてが1×105Pa以下であり、貯蔵弾性率GL(90)と、貯蔵弾性率GL(120)と、が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする<1>〜<9>のいずれかに記載の画像形成方法である。
logGL(90)−logGL(120)<2 ・・・ 式(1)
【0028】
<11> 前記トナーの120℃における溶融粘度が、100Pa・s以上であることを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー画像を被記録体等の表面に転写する転写工程と、被記録体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、及び、必要に応じて潜像担持体表面に残ったトナーをクリーニングするクリーニング工程と、を有するものであって、前記潜像担持体が電荷輸送性を有する架橋樹脂を含む表面層を有しており、かつ、前記トナーが、少なくとも、結晶性樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、を含むトナーであることを特徴とする画像形成方法である。なお、画像形成にあたっては、白黒画像形成でもカラー画像形成でもよい。また、転写工程は、潜像担持体から被記録体に直接トナー画像を転写するものであっても、潜像担持体から一旦中間転写体(被転写材)にトナー画像を転写し、その後該トナー画像を被記録体に転写するものでもあってもよい。
【0030】
図1は、本発明の画像形成方法の中でも、特にカラー画像形成方法を実施するための画像形成装置の一例を、概略構成図で示したものである。矢印の方向に回転する感光体(潜像担持体)101の周囲には、帯電器102、回転現像器103、転写ドラム104、クリーナー105、前露光器106、電位センサ108等が配置されている。感光体101は、暗部において帯電器102により一様に帯電される。画像入力装置110等から供給されるR(赤)、G(緑)、B(青)各色の濃度信号は、色変換処理回路140によって、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)各色の濃度信号に変換され、変換された濃度信号に応じて、光ビーム走査装置120によって感光体101への露光が行われ、静電潛像が形成される。光ビーム走査装置120は、半導体レーザー121、コレメータレンズ122、ポリゴンミラー123、結像光学系124、光ビームパルス幅変換(PWM)回路130等により構成され、光ビームPWM回路130によって濃度に応じたパルス幅信号に変換された光ビームにより、感光体101に対して走査を行う。
【0031】
回転現像器103は、イエロー、シアン、マゼンタ、黒色の各トナーをそれぞれ有する4台の現像器により構成される。この例において、各色の現像には、二成分磁気ブラシ現像を用いた反転現像方式が採用される。適宜、回転現像器103は回転し、所望のトナーにて静電潛像を現像する。回転現像器103には、図示しない現像バイアス回路により交番電界を印加している。現像バイアス回路は交流バイアスを供電する高圧交流電源と、直流バイアスを供電する高圧直流電源とを備えている。転写ドラム104は被記録体を外周に装着して回転を行う。現像された感光体表面のトナー像は、転写帯電器104bによって各色毎に被記録体107に転写され、被記録体表面に多色トナー画像が形成される。なお、104aは被記録体吸収用帯電器、104cは剥離用帯電器、104dは剥離爪、104eは除電用帯電器である。
【0032】
この画像形成装置において、黒色、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の順に、静電潛像の形成、現像、転写がそれぞれ行われる。形成された被記録体表面のトナー像は、黒色、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー像が重ね合わされた構造を有しており、黒色トナー像が最下層になっている。これらの工程により得られたトナー像が転写された被記録体は、剥離爪104dにより転写ドラム104から分離された後、定着器109により定着され、多色画像が形成される。
【0033】
以下、本発明の画像形成方法を工程ごとに分けて詳細に説明する。
<潜像形成工程>
本発明において潜像形成工程とは、潜像担持体(以下、「感光体」という場合がある。)の表面を、帯電手段により一様に帯電した後、レーザー光学系やLEDアレイなどで感光体に露光し、静電潜像を形成する工程である。前記帯電手段としては、コロトロン、スコロトロンなどの非接触方式の帯電器、及び、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより、感光体表面を帯電させる接触方式の帯電器が挙げられ、いかなる方式の帯電器でもよい。しかし、オゾンの発生量が少なく、環境に優しく、かつ耐刷性に優れるという効果を発揮するという観点から、接触帯電方式の帯電器が好ましい。前記接触帯電方式の帯電器においては、導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、ローラー状等の何れでもよいが、ローラー状部材が好ましい。
本発明の画像形成方法は、潜像形成工程においてなんら特別の制限を受けるものではない。
【0034】
(感光体)
以下に、本発明の画像形成方法に用いられる前記感光体について詳細に説明する。
図2〜図6は、本発明に用いられる電子写真用感光体の断面を示す模式図である。感光層が積層構造のものを図2〜図4に示し、単層構造のものを図5、図6に示している。図2においては導電性支持体4上に下引き層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3が設けられている、図3においては、さらにその表面に表面保護層5が設けられている。また、図4においては、導電性支持体4上に下引き層1が設けられ、その上に電荷輸送層3、電荷発生層2が設けられ、さらに、表面に表面保護層5が設けられている。図2〜図4において、下引き層は設けても設けなくてもよい。図5においては、導電性支持体4上に下引き層1が設けられ、その上に、電荷発生層及び電荷輸送層の機能を併せ持つ単層型感光層6が設けられている。また、図6においては、さらにその表面に表面保護層5が設けられている。
【0035】
−導電性支持体−
導電性支持体としては、一般にアルミニウムがドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして使用されるが、これらに限定されるものではない。感光体ドラムがレーザープリンターに使用される場合には、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、支持体表面は、中心線平均粗さRa75値で0.04μm〜0.5μmとなるように粗面化することが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削が好ましい。Ra75値が0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなり、Ra75値が0.5μmより大きいと、下引き層として被膜を形成しても画質が粗くなって不適である。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基材の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
【0036】
−表面層−
次に、表面層について説明する。前述のように、本発明において用いられる感光体では、表面保護層が表面層となる場合、電荷輸送層または電荷発生層が表面層となる場合、及び単層型感光層が表面層となる場合がある。
本発明において用いられる感光体の表面層は、電荷輸送性を有する架橋樹脂を含むものであるが、このような樹脂としては、特に制限はないが、例えば、シロキサン結合を有する架橋樹脂、ウレア結合を有する架橋樹脂、アミド結合を有する架橋樹脂、ウレタン結合を有する架橋樹脂、エステル結合を有する架橋樹脂、エーテル結合を有する架橋樹脂等が挙げられる。これらの中で、シロキサン結合を有する架橋樹脂は、透明性、耐絶縁破壊性、光安定性等の点で特に好ましいものである。以下、本発明に用いられるシロキサン結合を有する架橋樹脂について説明する。
【0037】
シロキサン結合を有する架橋樹脂は、シロキサン、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、その他必要な成分等を3次元的に架橋した樹脂であるが、本発明においては、下記一般式(I)で表される化合物を含むシロキサン結合を有する架橋樹脂が、前記の特徴に加え、耐摩耗性、電荷輸送性等の点で特に優れており、好ましいものである。
【0038】
【化4】
Figure 0003797168
【0039】
一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を表す。Dは可とう性有機サブユニットを表す。Aは−Si(R1(3-a)aで示される加水分解性基を有する置換けい素基を表す(ここで、R1は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表す。aは1〜3の整数を表す)。bは1〜4の整数を表す。
【0040】
一般式(I)におけるFは、正孔輸送能を有する基、または電子輸送能を有する基であることが好ましく、特に、電子輸送能を有する基として具体的には、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などから誘導される有機基が挙げられる。正孔輸送能を有する基として具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物など光キャリア輸送特性を有する構造が挙げられる。
【0041】
一般式(I)におけるAは、−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換けい素基を表すが、この置換けい素基は、Si基により、互いに架橋反応を起こして、3次元的な Si−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成するためのものである。一般式(I)におけるDとは、光電特性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面、脆さも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。具体的には、nを1から15の整数とした場合の −Cn2n−、−Cn(2n-2)−、−Cn (2n-4)−で表わされる2価の炭化水素基、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C64−、−N=CH−、−(C64)−(C64)−、及びこれらの組み合わせや、置換基を導入したものなどが使用される。
【0042】
一般式(I)に示される化合物の中で、Fが一般式(II)で表わされる化合物は、特に優れた正孔輸送性と機械的特性を示す。一般式(II)におけるAr1〜Ar4はそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を表し、具体的には、下記構造群1に挙げられるものが好ましい。
【0043】
【化5】
Figure 0003797168
【0044】
一般式(II)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は、置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を表す。但し、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は、前記一般式(I)中の−D−Aで表される結合基と結合可能な結合手を有する。kは0または1を表す。
【0045】
【化6】
Figure 0003797168
【0046】
上記中、Arは下記構造群2に挙げられるものが好ましい。
【0047】
【化7】
Figure 0003797168
【0048】
また、前記Z’は下記構造群3に挙げられるものが好ましい。
【0049】
【化8】
Figure 0003797168
【0050】
ここで、R6 は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基を表す。R7〜R13は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲンを表す。m及びsはそれぞれ独立に0または1を表し、q及びrはそれぞれ独立に1〜10の整数、t、t’はそれぞれ独立に1〜3の整数を表す。ここで、Xは一般式(I)の定義で既に示した−D−Aと同様である。
【0051】
また、前記Wは下記に構造群4挙げられるものが好ましい。
【0052】
【化9】
Figure 0003797168
【0053】
ここで、s’は0〜3の整数を表す。
【0054】
一般式(II)におけるAr5の具体的構造としては、k=0 の時は、上記Ar1〜Ar4のm=1の構造が、k=1 の時の時は、上記Ar1〜Ar4のm=0の構造が挙げられる。化合物(II)の具体例を表1〜55に示すが、これらに限定されるものではない。
【0055】
【表1】
Figure 0003797168
【0056】
【表2】
Figure 0003797168
【0057】
【表3】
Figure 0003797168
【0058】
【表4】
Figure 0003797168
【0059】
【表5】
Figure 0003797168
【0060】
【表6】
Figure 0003797168
【0061】
【表7】
Figure 0003797168
【0062】
【表8】
Figure 0003797168
【0063】
【表9】
Figure 0003797168
【0064】
【表10】
Figure 0003797168
【0065】
【表11】
Figure 0003797168
【0066】
【表12】
Figure 0003797168
【0067】
【表13】
Figure 0003797168
【0068】
【表14】
Figure 0003797168
【0069】
【表15】
Figure 0003797168
【0070】
【表16】
Figure 0003797168
【0071】
【表17】
Figure 0003797168
【0072】
【表18】
Figure 0003797168
【0073】
【表19】
Figure 0003797168
【0074】
【表20】
Figure 0003797168
【0075】
【表21】
Figure 0003797168
【0076】
【表22】
Figure 0003797168
【0077】
【表23】
Figure 0003797168
【0078】
【表24】
Figure 0003797168
【0079】
【表25】
Figure 0003797168
【0080】
【表26】
Figure 0003797168
【0081】
【表27】
Figure 0003797168
【0082】
【表28】
Figure 0003797168
【0083】
【表29】
Figure 0003797168
【0084】
【表30】
Figure 0003797168
【0085】
【表31】
Figure 0003797168
【0086】
【表32】
Figure 0003797168
【0087】
【表33】
Figure 0003797168
【0088】
【表34】
Figure 0003797168
【0089】
【表35】
Figure 0003797168
【0090】
【表36】
Figure 0003797168
【0091】
【表37】
Figure 0003797168
【0092】
【表38】
Figure 0003797168
【0093】
【表39】
Figure 0003797168
【0094】
【表40】
Figure 0003797168
【0095】
【表41】
Figure 0003797168
【0096】
【表42】
Figure 0003797168
【0097】
【表43】
Figure 0003797168
【0098】
【表44】
Figure 0003797168
【0099】
【表45】
Figure 0003797168
【0100】
【表46】
Figure 0003797168
【0101】
【表47】
Figure 0003797168
【0102】
【表48】
Figure 0003797168
【0103】
【表49】
Figure 0003797168
【0104】
【表50】
Figure 0003797168
【0105】
【表51】
Figure 0003797168
【0106】
【表52】
Figure 0003797168
【0107】
【表53】
Figure 0003797168
【0108】
【表54】
Figure 0003797168
【0109】
【表55】
Figure 0003797168
【0110】
一般式(I)で表される光機能性有機けい素化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
表面層形成に際しては、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、一般式(I)で表される化合物と結合可能な基を有する化合物の少なくとも1種を添加することが好ましい。
【0111】
一般式(I)で表される化合物と結合可能な基とは、一般式(I)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を意味し、具体的には、−Si(R1(3-a)aで示される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどを意味する。これらのうち、−Si(R1(3-a)aで示される加水分解性基、エポキシ基、イソシアネート基を有する化合物が、より強い機械的強度を有するため好ましい。さらに、一般式(I)で表される化合物と結合可能な基を有する化合物としては、これらの基を分子内に2つ以上持つものが、硬化膜の架橋構造を3次元的にし、膜により強い機械的強度を与えるため好ましい。これらのうち、最も好ましい化合物例として一般式(III)で示される化合物が挙げられる。
【0112】
【化10】
Figure 0003797168
【0113】
一般式(III)中、A’は−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換けい素基、Bは枝分かれを含んでも良いn価の炭化水素基、n価のフェニル基、−NH−、−O−Si−から選ばれる基の少なくとも1つ、あるいはこれらの組み合わせから構成される。aは1〜3の整数、nは2以上の整数を表す。
【0114】
一般式(III)で示される化合物は、−Si(R1(3-a)aで表される加水分解性基を有する置換けい素基A’を2個以上有している化合物である。A’に含まれるSi基の部分が、一般式(I)の化合物あるいは化合物(III)自身と反応し、Si−O−Si結合となって3次元的な架橋硬化膜を形成していく。一般式(I)の化合物も同様のSi基を有しているので、それのみで硬化膜を形成することも可能であるが、化合物(III)は2個以上のA’を有しているので硬化膜の架橋構造が3次元的になり、より強い機械的強度を有するようになると考えられる。また、一般式(I)の化合物におけるD部分と同様、架橋硬化膜に適度な可とう性を与える役割もある。化合物(III)としては、下記構造群5に示されるものがより好ましい。
【0115】
【化11】
Figure 0003797168
【0116】
上記式中、T1、T2はそれぞれ独立に枝分かれしていてもよい2価あるいは3価の炭化水素基、A’は前記した置換基を表わす。h、i、jは1〜3の整数であり、かつ、分子内のA’の数が2以上となるように選ばれる。
【0117】
これらの式で表わされる一般式(III)の化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるわけではない。
【0118】
【化12】
Figure 0003797168
【0119】
一般式(I)で示される化合物は単独で使用してもよいし、膜の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、一般式(III)で示される化合物や、他のカップリング剤、フッ素化合物などを混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
【0120】
前記シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のシリコーン系ハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239 (以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208 (以上、東レダウコーニング社製)、などを用いることができる。また、撥水性などの付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、などの含フッ素化合物を加えてもよい。
【0121】
シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して25質量%以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
【0122】
また、表面保護層として架橋膜を形成する場合は、有機金属化合物、あるいは硬化型マトリックスを添加することが好ましい。
有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0123】
硬化型マトリックスとしては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などを用いることができる。
【0124】
これらのコーティング液の調整は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(I)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(I)で示される化合物1質量部に対し0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部で使用される。
【0125】
コーティング液調製においては、一般式(I)の化合物と、必要に応じてその他の化合物と、を固体触媒に接触させて反応させるが、反応温度および時間は原料の種類によっても異なり、通常は0〜100℃で行われ、0〜70℃で行うことがより好ましく、10〜35℃の温度で行うことが特に好ましい。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分から100時間の範囲で行うことが好ましい。
【0126】
一般式(I)で表される化合物と結合可能な基を有するポリマーを添加する場合、固体触媒と上記ポリマーとが同時に存在すると著しくゲル化を促進し、コーティングが困難となる場合があるため、固体触媒を除去した後に添加することが好ましい。このような固体触媒は、触媒成分が一般式(I)の化合物溶液、その他の化合物、溶媒等のいずれにも不溶であるものであれば、特に限定されない。系に不溶な固体触媒としては、以下のような触媒を用い、あらかじめ加水分解することができる。
【0127】
・陽イオン交換樹脂:アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)など。
・陰イオン交換樹脂:アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)など。
プロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体:Zr(O3 PCH2 CH2 SO3 H)2、、Th(O3 PCH2 CH2 COOH)2 など。
・プロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン:スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなど。
・ヘテロポリ酸:コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸など。
・イソポリ酸:ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸など。
・単元系金属酸化物:シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなど。
・複合系金属酸化物:シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類など。
・粘土鉱物:酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなど。
・金属硫酸塩:LiSO4 ,MgSO4 など。
・金属リン酸塩:リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなど。
・金属硝酸塩:LiNO3 ,Mn(NO32 など。
・アミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体:シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体など。
・アミノ基を含有するポリオルガノシロキサン:アミノ変性シリコーン樹脂など。
【0128】
これらの触媒のうち、少なくとも1種を用いて加水分解縮合反応を行わせる。これらの触媒は、固定床中に設置し反応を流通式で行うこともできるし、バッチ式で行うこともできる。触媒の使用量は、特に限定されないが、加水分解性けい素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜100質量%が好ましい。
【0129】
加水分解縮合させる際の水の添加量は、特に限定されないが、生成物の保存安定性やさらに重合に供する際のゲル化抑制に影響するため、好ましくは、一般式(I)で示される化合物の加水分解性基をすべて加水分解するに必要な理論量に対して30〜500%、さらに50〜300%の範囲の割合で使用することが好ましい。水の量が500%よりも多い場合、生成物の保存安定性が悪くなったり、析出しやすくなる。一方、水の量が30%より少ない場合、未反応物が増大してコーティング液塗布時、硬化時に相分離を起こしたり、塗膜の強度低下を起こしやすい。
【0130】
さらに、硬化触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸;アンモニア、トリエチルアミン等の塩基;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物;テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物;アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物;有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられるが、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましい。
硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性けい素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
【0131】
硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行ったのち、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
【0132】
感光体の表面架橋硬化膜には、帯電器で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体を長寿命化すると、感光体が酸化性ガスに長時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。
【0133】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては、
硬化膜全体に対して15質量%以下が望ましく、10質量%以下がさらに望ましい。
【0134】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル-4-メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、などが挙げられる。
【0135】
塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
【0136】
表面層の架橋の度合いは、表面層の硬さにより知ることができるが、この硬さは、感光体の硬度として求めることができる。感光体の硬度は、ダイナミック硬さで、15〜35mN/μm2の範囲が好ましい。なお、ダイナミック硬さは、島津ダイナミック硬度計DUH−201により測定することができる。
【0137】
(下引き層)
本発明に用いられる感光体においては、所望により基材と感光層の間に下引き層を形成することもできる。下引き層を形成するために用いられる材料としては、従来より下引き層に用いられている公知の結着樹脂を用いることができるが、前記の表面層を構成する材料によっても形成することができる。この場合、所望により、以下に挙げる他の材料を添加してもよい。用いられる他の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物などの有機金属化合物;が使用される。特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0138】
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
【0139】
さらに、従来より下引き層に用いられているポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリオキシエチレン、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0140】
また、下引き層中には電子輸送性顔料を混合、分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。
【0141】
電子輸送性顔料は、配合量が多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため下引き層全体の95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
【0142】
混合、分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波分散機等を用いる常法が適用される。
混合、分散は有機溶剤を用いて行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合、分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0143】
下引き層の厚みは、一般的には0.1〜20μmであり、好ましくは0.2〜10μmである。また、下引き層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層を得るが、通常、乾燥は溶剤が蒸発し、均一な製膜が可能な温度で行われる。なお、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、特に下引き層を形成することが好ましい。
【0144】
前述のように、本発明に用いられる感光体は、その最表面に電荷輸送性を有する架橋樹脂を有していることが必須であり、感光体の層構成として表面保護層を有していても、有していなくてもよい。以下、表面保護層を設けた場合と、表面保護層を設けない場合とに分けて説明する。
【0145】
〔表面保護層を設けた場合の感光層〕
表面保護層を設けた場合、その下層に形成される感光層は、従来から公知のあらゆる感光体の感光層を採用することができ、電荷発生層と電荷輸送層とを積層した積層型の感光体でもよいし、電荷発生材料を含有する単層型感光体でもよい。以下、積層型と単層型に分けて説明する。
【0146】
1.積層型の感光層
積層型の感光層における電荷発生層は、少なくとも電荷発生材料及び結着樹脂から形成される。
【0147】
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料等既知のもの全て使用することができるが、特に金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0148】
本発明に用いるクロロガリウムフタロシアニンは、特開平5−98181号公報に記載されているように、公知の方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系などである。
【0149】
使用される溶剤は、クロロガリウムフタロシアニン10質量部に対して、1〜200質量部、好ましくは10〜100質量部の範囲で用いる。処理温度は、0℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し、質量で0.5〜20倍量、好ましくは1〜10倍量用いる。なお、使用磨砕助剤量は、以下のフタロシアニンの製造においても同様である。
【0150】
ジクロロスズフタロシアニンは、特開平5−140472号公報、及び特開平5−140473号公報に記載されているように、公知の方法で製造されるジクロロスズフタロシアニン結晶を、前記のクロロガリウムフタロシアニンと同様に粉砕、溶剤処理することにより得ることができる。
【0151】
ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、特開平5−263007号公報、及び特開平5−279591号公報に公開したように、公知の方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を、酸またはアルカリ性溶液中で加水分解またはアシッドペースティングを行って、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶とし、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うか、溶剤を用いずに乾式粉砕処理を行った後に溶剤処理することによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、クロロガリウムフタロシアニンの製造に用いられたものと同様である。使用される溶剤は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン10質量部に対して、1〜200質量部、好ましくは10〜100質量部の範囲で用いる。溶剤処理は、0〜150℃、好ましくは室温〜100℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。
【0152】
オキシチタニルフタロシアニンは、特開平4−189873号公報、及び特開平5−43813号公報に記載されているように、公知の方法で製造されるオキシチタニルフタロシアニン結晶を、アシッドペースティングするか、あるいは、ボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて無機塩とともにソルトミリングを行って、X線回折スペクトルにおいて27.2゜ にピークを持つ、比較的結晶性の低いオキシチタニルフタロシアニン結晶としたのち、直接溶剤処理を行うか、あるいは、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。アシッドペースティングに用いる酸としては、濃硫酸が好ましく、濃度70〜100質量%、好ましくは95〜100質量%のものが使用され、溶解は、−20〜100℃好ましくは0〜60℃の範囲で行われる。使用される濃硫酸の量は、オキシチタニルフタロシアニン結晶の質量に対して、1〜100倍量、好ましくは3〜50倍量の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水、あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられ、水とメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤と、あるいは、水とベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤と、の混合溶剤が特に好ましい。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。また、オキシチタニルフタロシアニン結晶と無機塩との比率は、質量比で1/0.1〜1/20、特に1/0.5〜1/5の範囲が好ましい。
【0153】
上記の溶剤処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、ハロゲン系炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン等)、さらにはこれら数種の混合系、水とこれら有機溶剤との混合系などである。使用される溶剤量は、オキシチタニルフタロシアニン10質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲である。溶剤処理は、室温〜100℃、好ましくは50〜100℃の範囲で行う。
【0154】
結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂の中から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂との配合比は(質量比)、10:1〜1:10の範囲が好ましい。
【0155】
次に、これらを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって、電荷発生材料の結晶型が変化しないことが必要とされる。ちなみに、本発明らが実施した前記の分散法のいずれについても、分散前と分散後とで結晶型が変化していないことが確認されている。また、この分散の際、電荷発生材料の粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。さらに、顔料の分散安定性や、光感度を増す目的、あるいは、電気特性を安定化させる目的で、一般式(I)で示される化合物を用いて顔料を処理したものを用いてもよいし、顔料の分散溶液に加えてもよい。
【0156】
これらの分散には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0157】
電荷発生層の厚みは、一般的には0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2.0μmである。また、電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0158】
本発明に用いられる感光体における電荷輸送層としては、公知の技術によって形成されたものを使用できる。それらの電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物;トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物;が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独または2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
電荷輸送材料としては、一般式(IV)で表わされるトリフェニルアミン系化合物、及び一般式(V)で表わされるベンジジン系化合物が、高い電荷(正孔)輸送能と優れた安定性を有しているため、特に好ましく用いられる。
【0160】
【化13】
Figure 0003797168
【0161】
上記式中、R14は、水素原子またはメチル基を表す。また、nは1または2である。Ar6及びAr7はそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、または炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を表す。
【0162】
【化14】
Figure 0003797168
【0163】
上記式中R15、R15′ はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、を表す。R16、R16′、R17、R17′ はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数である。
【0164】
それぞれの化合物例を表56〜61に示す。
【0165】
【表56】
Figure 0003797168
【0166】
【表57】
Figure 0003797168
【0167】
【表58】
Figure 0003797168
【0168】
【表59】
Figure 0003797168
【0169】
【表60】
Figure 0003797168
【0170】
【表61】
Figure 0003797168
【0171】
これらは、単独または2種以上混合して用いることができる。また、高分子電荷輸送材を用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。これらの中で、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜可能であるが、以下の結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0172】
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等をあげることができる。
【0173】
電荷輸送層中には、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。
【0174】
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等や、一般式(I)で表される化合物をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0175】
前記結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。電荷輸送層の厚みは5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0176】
さらに溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類;等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0177】
2.単層型感光層
単層型感光層の場合は、前記の電荷発生材料と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層及び電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、感光層の全固形分の10〜85質量%程度、好ましくは20〜50質量%とする。
【0178】
単層型感光層には、必要に応じて電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は感光層の全固形分の5〜50質量%とすることが好ましい。さらに単層型感光層には、必要に応じて電荷輸送層の場合と同様の理由から酸化防止剤を添加してもよい。その添加量は感光層の全固形分の15質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0179】
単層型感光層は、電荷発生材料と結着樹脂と、さらに必要に応じて電荷輸送材料と酸化防止剤とを適当な溶剤に溶解、分散した塗布液を調製し、該塗布液を導電性支持体上に塗布した後、加熱乾燥することにより形成することができる。 塗布に用いる溶剤や塗布方法は、電荷発生層や電荷輸送層のところで述べたものと同様のものを用いることができる。単層型感光層の膜厚は5〜50μm程度であり、10〜40μmとすることがさらに好ましい。
【0180】
〔表面保護層を設けない場合の感光層〕
表面保護層を設けない場合には、既述の如く、導電性支持体表面に形成された感光層の最表面層が、本発明に用いられる感光体の表面層となる。感光層としては、積層型および単層型の2通りがある。
【0181】
積層型の感光層の場合、電荷輸送層が表面であれば電荷輸送層が、電荷発生層が表面であれば電荷発生層が、本発明に用いられる感光体の表面層となる。この場合、最表面層に、前記〔表面保護層を設けた場合の感光層〕として説明した電荷輸送層あるいは電荷発生層の構成に代えて、前記、表面層として説明した層の構成が採用され、他の層は、上記〔表面保護層を設けた場合の感光層〕として説明した構成がそのまま採用される。
【0182】
但し、電荷発生層が、本発明の構成を為す層となる場合には、当該層中には、電荷発生材料を添加することが必要となる。電荷発生材料としては、上記〔表面保護層を設けた場合の感光層〕で説明した電荷発生層の場合と同様の材料を用いることができ、その添加量としては、電荷発生層の全固形分の10〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。
【0183】
また、電荷輸送層が、本発明に用いられる感光体の表面層となる場合には、前記一般式(I)で表される化合物中のFで表される光機能性化合物から誘導される有機基が電荷輸送性を有するため、当該層に電荷輸送材料を添加することは、必須でない。もちろん、電荷輸送材料を添加することも可能である。電荷輸送材料を添加する場合、上記〔表面保護層を設けた場合の感光層〕で説明した電荷輸送層の場合と同様の材料を用いることができ、その添加量としては、電荷輸送層の全固形分の5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。
【0184】
一方、単層型感光層の場合には、当該感光層自体が前記表面層の構成を為す層となる。但し、当該単層型感光層中には、電荷発生材料を添加することが必要となる。電荷発生材料としては、上記〔表面保護層を設けた場合の感光層〕で説明した電荷発生層の場合と同様の材料を用いることができ、その添加量としては、感光層の全固形分の10〜60質量%が好ましく、より好ましくはの20〜50質量%である。
【0185】
これら表面保護層を設けない場合の感光層の最表面層を形成するには、前記の必須構成成分に、必要に応じて、電荷発生材料、電荷輸送材料、フッ素含有化合物、酸化防止剤、溶剤等を混合した塗布液を調合し、該塗布液を導電性支持体上に形成された感光層、あるいは下引き層の上に塗布した後、加熱して架橋硬化させることにより形成することができる。
【0186】
塗布液調合時には、液粘度調整のためなどの目的で必要に応じて、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常の有機溶剤を、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0187】
塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を採用することができる。
【0188】
<現像工程>
本発明における現像工程とは、潜像担持体表面に、少なくともトナーを含む現像剤層を表面に形成させた現像ロールを接触若しくは近接させて、前記潜像担持体表面の静電潜像にトナーの粒子を付着させ、潜像担持体表面にトナー画像を形成する工程である。一成分現像剤、二成分現像剤のいずれの場合も、現像方式は既知の方式を用いて行うことができる。二成分現像剤による現像方式としては、カスケード方式、磁気ブラシ方式などがある。本発明の画像形成方法は、現像方式に関し、特に制限を受けるものではない。
【0189】
−本発明に用いられる電子写真用トナー−
本発明に用いられる電子写真用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある。)は、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤やその他の成分を含有する。以下、各構成成分に分けて詳細に説明する。
【0190】
(結着樹脂)
本発明に用いられるトナーにおける結着樹脂は、結晶性樹脂を主成分として含むものであるが、ここで「主成分」とは、前記結着樹脂を構成する成分のうち、主たる成分のことを指し、具体的には、前記結着樹脂の50質量%以上を構成する成分を指す。ただし、本発明においては、前記結着樹脂のうち、結晶性樹脂が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、全てが結晶性樹脂であることが特に好ましい。
【0191】
本発明において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40〜50℃の幅を有するピークを示す場合がある。なお、結晶性樹脂の主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下であれば、この共重合体も結晶性樹脂と呼ぶ。
【0192】
前記結晶性樹脂の融点としては、50〜120℃であることが好ましく、60〜110℃であるのがより好ましい。前記融点が50℃未満であると、トナー粒子の凝集が起こり易くなったり、定着画像の保存性が悪くなることがある一方、120℃を超えると、低温定着ができなくなる場合がある。
なお、前記結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時の、JIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。また、一般に、結晶性樹脂は複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
【0193】
本発明に用いられる結着樹脂の主成分である結晶性樹脂としては、結晶性を有する樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、および、これらの共重合体等を挙げることができる。
【0194】
これらの中で、定着時の被記録体への接着性や帯電性、及び好ましい範囲での融点調整の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。また、適度な融点を持つ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
また、本発明においては、結晶性ポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂の主成分として用いることにより、本発明に用いられる感光体との組み合わせで、より高い転写性を実現できるため、特に好ましいものである。
【0195】
以下、本発明に使用される結晶性ポリエステルについて詳細に説明する。本発明に用いられる主成分としてのポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂である必要がある。ポリエステル樹脂が、結晶性でない場合、即ち、非結晶性である場合には、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことができない。
【0196】
ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものである。以降の説明においては、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を「酸由来構成成分」と、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を「アルコール由来構成成分」と称する場合がある。
【0197】
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、特定のポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。
【0198】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0199】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、中でもテレフタル酸が、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすい等の点で好ましい。
【0200】
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分や芳香族ジカルボン酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれていることが好ましい。
【0201】
なお、前記2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
【0202】
前記2重結合を持つジカルボン酸は、その2重結合により樹脂全体を架橋させ得るため、定着時のホットオフセット発生防止に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
【0203】
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化あるいは懸濁が可能である。このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中では、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
【0204】
これらの、脂肪族ジカルボン酸由来構成成分及び芳香族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分及びスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、全酸由来構成成分における含有量としては、0.1〜20構成モル%が好ましく、1〜10構成モル%がより好ましい。
【0205】
前記含有量が、0.1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となることがある一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じないことがある。
なお、本明細書において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中のアルコール構成成分を各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
【0206】
−アルコール由来構成成分−
アルコール由来構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが好ましく、鎖炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが、分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、前記鎖炭素数が、7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると、実用上、材料の入手が困難となり易い。前記鎖炭素数としては、14以下であることがより好ましい。
【0207】
また、芳香族ジカルボン酸と縮重合させてポリエステルを得る場合、前記鎖炭素数としては、奇数であることが好ましい。前記鎖炭素数が、奇数である場合には、偶数である場合よりポリエステル樹脂の融点が低くなり、該融点が、前述の数値範囲内の値となり易い。
【0208】
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0209】
これらの脂肪族ジオール由来構成成分の含有量は、前記全アルコール由来構成成分の80構成モル%以上であることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。前記アルコール由来構成成分としては、前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上であることがより好ましい。
【0210】
前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
必要に応じて含まれるその他の成分としては、2重結合を持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分等の構成成分である。ジカルボン酸由来構成成分に、2重結合を持つジカルボン酸やスルホン酸基を持つジカルボン酸が含まれない場合、ジオール構成成分として、これらを共重合させることが好ましい。
【0211】
前記2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。 前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
【0212】
これらの、脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分を加える場合(2重結合を持つジオール由来構成成分、及び/または、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分)、これらの全アルコール由来構成成分中の含有量としては、1〜20構成モル%が好ましく、2〜10構成モル%がより好ましい。
【0213】
前記脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分の含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となることがある一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じないことがある。
【0214】
また、本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、下記式(2)で定義されるエステル濃度Mが、0.01以上0.2以下であることが好ましい。
M=K/N ‥‥ 式(2)
(上記式中、Mはエステル濃度を、Kはポリマー中のエステル基数を、Nはポリマーの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
【0215】
ここで「エステル濃度M」とは、結晶性ポリエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。
前記式中のKで表される「ポリマー中のエステル基数」は、言い換えればポリマー全体に含まれるエステル結合の数を指す。
【0216】
前記式中のNで表される「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数」は、ポリマーの高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
【0217】
具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子4つの計10個の原子のうち、上記「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数N」に含まれるものは、炭素原子の6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、上記「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数N」に含まれない。
【0218】
結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2O−]n−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、[ ]内で表される。)のみからなる単重合体の場合には、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル基数K’=2)ので、エステル濃度Mは、下記式(2−1)により、求めることができる。
M=2/N’ ‥‥ 式(2−1)
(上記式中、Mはエステル濃度を、N’は1の繰り返し単位における高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
【0219】
また、結晶性ポリエステル樹脂が、複数の共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ごとに、エステル基数KXおよび高分子鎖を構成する原子数NXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞれ合計し、上記(式2)に代入することで、求めることができる。例えば、共重合単位がXa、XbおよびXcの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただし、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(Xb)b(Xc)c]についてのエステル濃度Mは、下記式(2−2)により、求めることができる。
Figure 0003797168
(上記式中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれのエステル基数を表し、NXaは共重合単位Xa、NXbは共重合単位Xb、NXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表す。)
【0220】
結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合、ポリマー中に存在するエステル基の量が、トナーとしての帯電性に特に大きな影響を与えることが、本発明者らの研究により解明された。したがって、ポリマー中のエステル基の量を、低温定着性を損ねない範囲で、低く抑えることが帯電性を向上させる鍵となる。結着樹脂として用いる結晶性ポリエステル樹脂においては、上記(式2)で定義されるエステル濃度Mを0.01以上0.2以下に抑えることで、耐トナーブロッキング性、画像の保存性、および、低温での定着性に優れると共に、さらに帯電性にも優れたトナーを得ることが可能となる。その結果、本発明の画像形成方法においても、高画質の画像形成に寄与するものである。
【0221】
エステル濃度Mが0.01未満では、帯電性は良好であるものの、樹脂の融点が高くなりすぎるために低温定着性が低下してしまう。エステル濃度Mの下限としては、0.04以上であることがより好ましい。一方、エステル濃度Mが0.2を超えると、帯電性が低下してしまうほか、樹脂の融点が低くなりすぎるために、定着画像の安定性や粉体ブロッキング性が低下してしまう。
【0222】
−結晶性ポリエステル樹脂の製造方法−
前記ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法を用いることができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて用いる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
【0223】
前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させる。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから、主成分と共に重縮合させるとよい。
【0224】
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
【0225】
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
【0226】
(着色剤)
本発明におけるトナーの着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。顔料を1種単独で用いてもよいし、同系統の顔料を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の顔料を2種以上混合して用いてもよい。前記着色剤としては、具体的には、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、アニリンブラック、紺青、酸化チタン、磁性粉等の無機顔料;ファストイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン(3B、6B等)、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料;等が挙げられる。
【0227】
また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR,ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート、パラブラウンなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジゴ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。これらの着色剤に透明度を低下させない程度にカーボンブラック等の黒色顔料、染料を混合してもよい。また、分散染料、油溶性染料等も挙げられる。
【0228】
本発明に用いられるトナーにおける、前記着色剤の含有量としては、前記結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましいが、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲で、かかる数値範囲の中でもできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの発生防止に有効である。
なお、前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色のトナーが得られる。
【0229】
(その他の成分)
本発明に用いられるトナーに使用され得るその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤、離型剤等の公知の各種添加剤等が挙げられる。
【0230】
前記無機微粒子は、一般にトナーの流動性を向上させる目的で使用される。これらの例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の微粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカ微粒子が特に好ましい。
【0231】
前記無機微粒子の平均1次粒子径(数平均粒子径)としては、1〜1000nmが好ましく、その添加量(外添)としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
【0232】
前記有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用される。前記有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等の微粒子が挙げられる。
【0233】
前記帯電制御剤は、一般に帯電性を向上させる目的で使用される。前記帯電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシンや4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0234】
前記離型剤は、一般にトナーと定着ローラ等との離型性を向上させる目的で使用される。前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。本発明において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0235】
これらの離型剤の添加量(内添)としては、トナー全量に対して、0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。0.5質量%未満であると離型剤添加の効果がなく、50質量%以上であると、トナーの帯電性に影響が現れやすくなったり、現像器内部においてトナーが破壊されやすくなり、離型剤のキャリアへのスペント化が生じ、トナーの帯電効率が低下しやすくなる等の影響が現れる。さらに、例えばカラートナーを用いた場合、定着時の画像表面への離型剤の染み出しが不十分になり、画像中に離型剤が在留しやすくなってしまうため、透明性が悪化し好ましくない。
【0236】
−電子写真用トナーの製造方法−
本発明に用いられるトナーに適した製造方法としては、特に制限はないが、湿式造粒法が好ましい。上記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が好適に挙げられる。以下、結着樹脂の主成分として結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合の乳化凝集法を例に説明する。
【0237】
前記乳化凝集法は、(結着樹脂)の項において既に説明した特定のポリエステル樹脂を乳化し乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程と、該乳化粒子(液滴)の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を融合させ熱融合させる融合工程と、を有する。
【0238】
(乳化工程)
前記乳化工程において、特定のポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系媒体と、スルホン化等したポリエステル樹脂および必要に応じて着色剤を含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。
【0239】
その際、加熱するか、あるいは、有機溶剤にポリエステル樹脂を溶解させることにより、ポリマー液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができる。また、乳化粒子の安定化や水系媒体の増粘のため、分散剤を使用することもできる。以下、かかる乳化粒子の分散液のことを、「樹脂粒子分散液」という場合がある。
【0240】
前記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物;等が挙げられる。
【0241】
前記分散剤として無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、微粒子を得る目的で、分散剤中にて無機化合物の微粒子を生成する方法を採用してもよい。前記分散剤の使用量としては、前記ポリエステル樹脂(結着樹脂)100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
【0242】
なお、前記乳化工程において、前記結晶性ポリエステル樹脂に、スルホン酸基を有するジカルボン酸を共重合させておく(即ち、酸由来構成成分中に、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分が好適量含まれる)と、界面活性剤等の分散安定剤を減らすことができる、あるいは使用しなくても乳化粒子を形成できる。
【0243】
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられ、前記結晶性ポリエステル樹脂に応じて適宜選択して用いる。
前記有機溶剤の使用量としては、前記結晶性ポリエステル樹脂及び必要に応じて用いられる他のモノマー(以下、併せて単に「ポリマー」という場合がある。)の総量100質量部に対して、50〜5000質量部が好ましく、120〜1000質量部がより好ましい。なお、この乳化粒子を形成する前に、着色剤を混入させておくこともできる。着色剤としては、前記(着色剤)の項で既に述べたものを用いることができる。
【0244】
前記乳化粒子を形成する際に用いる乳化機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.01〜1μmが好ましく、0.03〜0.6μmがより好ましく、0.03〜0.4μmがさらに好ましい。
【0245】
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。
また、必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結晶性ポリエステル樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
【0246】
前記着色剤の添加量としては、前記ポリマーの総量に対して1〜20質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることがより好ましく、2〜10質量%とすることがさらに好ましく、2〜7質量%とすることが特に好ましい。
前記乳化工程で着色剤を混入させておく場合、前記ポリマーと着色剤との混合は、ポリマーの有機溶剤溶解液に、着色剤あるいは着色剤の有機溶剤分散液を混合することで行うことができる。
【0247】
また、前記離型剤の分散方法としては、前述の着色剤の分散と同様の方法を採ることができる。以下、このようにして調製した離型剤の分散液のことを、「離型剤分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結晶性ポリエステル樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
【0248】
前記離型剤の添加量としては、前記ポリマーの総量に対して1〜20質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることがより好ましく、2〜10質量%とすることがさらに好ましく、2〜7重量%とすることが特に好ましい。
前記乳化工程で離型剤を混入させておく場合、前記ポリマーと離型剤との混合は、ポリマーの有機溶剤溶解液に、離型剤あるいは離型剤の水分散液、または有機溶剤分散液を混合することで行うことができる。
【0249】
(凝集工程)
前記凝集工程においては、得られた樹脂乳化粒子を、着色粒子分散液や、離型剤分散液とともに、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱して凝集し凝集体を形成する。乳化粒子の凝集体の形成は、攪拌下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、2〜6が好ましく、2.5〜5がより好ましく、2.5〜4がさらに好ましい。この際、凝集剤を使用するのも有効である。
【0250】
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
【0251】
前記無機金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、酢酸亜鉛、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
【0252】
(融合工程)
前記融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集体の懸濁液のpHを3〜7の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集体を融合させる。前記加熱の温度としては、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以上であれば問題ない。
前記加熱の時間としては、融合が十分になされる程度行えばよく、0.5〜10時間程度行えばよい。
【0253】
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下に調整することが望ましい。
【0254】
前記融合工程においては、前記結晶性ポリエステル樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、凝集と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いる。
【0255】
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−へキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルエポキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t―ブチルパーオキシネオデカネート、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
【0256】
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマー中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめポリマーに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、あるいは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
【0257】
以上説明した乳化凝集法によるトナーの製造方法によれば、トナーの粒子形状を制御することができる。トナーの粒子形状としては、球形が好ましい。球形にすることで、粉体流動性が向上するだけでなく、感光体表面との非静電的付着力の減少により転写効率の向上を図ることが可能となる。また、この転写効率は、前記の本発明に用いられる感光体と組み合わせることにより、さらに向上する。
【0258】
本発明に用いられるトナーは、トナー粒子表面を前記の流動化剤や助剤等の外添剤により、表面処理して用いてもよい。また、本発明に用いられるトナーは、その表面が表面層によって覆われていてもよい。該表面層は、トナー全体の力学特性、溶融粘弾性特性に大きな影響を与えないことが望ましい。例えば、非溶融、或いは高融点の表面層がトナーを厚く覆っていると、結晶性ポリエステル樹脂を用いたことによる低温定着性を十分に発揮し得なくなる。従って、表面層の膜厚は薄いことが望ましく、具体的には、0.001〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0259】
上記範囲の薄い表面層を形成するためには、結着樹脂、着色剤の他、必要に応じて添加される無機微粒子、その他の材料を含む粒子の表面を化学的に処理する方法が好適に使用される。
表面層を構成する成分としては、シランカップリング剤、イソシアネート類、あるいは、ビニル系モノマー等が挙げられ、また、当該成分には、極性基が導入されていることが好ましく、化学的に結合することにより、トナーと紙等の被記録体との接着力が増加する。
【0260】
前記極性基としては、分極性の官能基であれば如何なるものでもよく、例えば、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アミド基、イミド基、エステル基、スルホン基等が挙げられる。
【0261】
化学的に処理する方法としては、例えば、過酸化物等の強酸化物質、オゾン酸化、プラズマ酸化等により酸化する方法、極性基を含む重合性モノマーをグラフト重合により結合させる方法等が挙げられる。化学的処理により、結晶性樹脂分子鎖に共有結合で極性基が強固に結合することになる。
【0262】
また、本発明に用いられるトナーの粒子表面に、さらに帯電性の物質を化学的若しくは物理的に付着させてもよい。また、金属、金属酸化物、金属塩、セラミック、樹脂、カーボンブラック等の微粒子を、帯電性、導電性、粉体流動性、潤滑性等を改善する目的で外添してもよい。
【0263】
<本発明の電子写真用トナーの好ましい物性>
本発明に用いられる電子写真用トナーの体積平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。また、数平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径および数平均粒子径は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより求めることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
【0264】
本発明に用いられるトナーは、温度領域50〜120℃の範囲内に融点を有することが好ましい。前記結晶性樹脂は、融点を境にして急激に粘度低下するために、融点以上の温度で保存されるとトナー粒子が凝集してブロッキングを起こしてしまう。そこで、前記結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として含有するトナーの融点は、保存時や使用時に晒される温度より高い温度、即ち50℃以上であることが好ましい。一方、融点が120℃よりも高いと、低温定着を達成することが困難となる場合がある。本発明に用いられるトナーは、温度領域70〜100℃に融点を有することがより好ましい。
【0265】
前記トナーの融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時の、JIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。
なお、前記トナーは、複数の融解ピークを示す場合がある結晶性樹脂を主成分として含有したり、ワックスを含有したりする場合もあるため、複数の融解ピークを示す場合があるが、最大のピークをもって融点とみなす。
【0266】
本発明に用いられるトナーは、常温下で十分な硬さを有することが望まれる。具体的には、その動的粘弾性が、角周波数1rad/s、30℃において、貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa以上であり、損失弾性率GN(30)が1×106Pa以上であることが望ましい。なお、貯蔵弾性率GL及び損失弾性率GNは、JIS K−6900にその詳細が規定されている。
【0267】
角周波数1rad/s、30℃において、貯蔵弾性率GL(30)が1×106Pa未満であったり、損失弾性率GN(30)が1×106Pa未満であると、現像器内でキャリアと混合された時に、キャリアから受ける圧力や剪断力によりトナーの粒子が変形し、安定な帯電・現像特性を維持することができないことがある。また、潜像担持体(感光体)表面のトナーがクリーニングされる際に、クリーニングブレードから受ける剪断力によって変形し、クリーニング不良をも生ずることがある。
前記角周波数1rad/s、30℃において貯蔵弾性率GL(30)及び損失弾性率GN(30)が上記範囲にある場合には、高速の電子写真装置に用いた場合でも定着時の特性が安定し好ましい。
【0268】
さらに、本発明に用いられるトナーは、角周波数1rad/s、90℃における貯蔵弾性率GL(90)及び損失弾性率GN(90)と、角周波数1rad/s、120℃における貯蔵弾性率GL(120)及び損失弾性率GN(120)と、のすべてが1×105Pa以下であり、貯蔵弾性率GL(90)と、貯蔵弾性率GN(120)と、の関係が下記式(1)を満たすことが好ましい。
logGL(90) −logGL(120)<2 ・・・ 式(1)
【0269】
貯蔵弾性率GL、損失弾性率GNは、回転平板型レオメーター(RDA 2RHIOSシステム Ver.4.3.2、レオメトリックス・サイエンテイフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定したものである。
測定は、試料をサンプルホルダーにセッティングし、昇温速度1℃/min、周波数1rad/s、歪み20%以下、測定保証値の範囲内の検出トルクで測定を行った。必要に応じて、サンプルホルダーを8mmと20mmに使い分けた。
【0270】
L(90)が1×105Pa以下であれば、100℃付近という低温での定着が可能である。また、logGL(90) −logGL(120)<2であることは、溶融後の温度変化に対する粘度変化が小さいことを示し、定着器に温度むらがあったとしても、定着後の画像に溶融むらやグロスむらの発生しにくい事を意味する。もちろんトナーの過度の染み込みやオフセットの発生を防止することにもつながる。
【0271】
また、本発明に用いられるトナーは、耐オフセット性を良好にするため、120℃における溶融粘度が100Pa・s以上であることが好ましい。
【0272】
図7は、本発明に用いられるトナーの好ましい特性を示すグラフである。図7において、縦軸は貯蔵弾性率の常用対数logGL、あるいは、損失弾性率の常用対数logGNを表し、横軸は温度を表す。このような特性を有するトナーは、50〜120℃の温度領域における融点において急激な弾性率の低下が見られ、また、所定の範囲で、その弾性率が安定することから、定着時に高温度になっても、必要以上に粘度が低下せず、紙等の被記録体に対する過度の染み込みやオフセットの発生を防止することができる。また、定着器の温度むらがあったとしても、溶融むらやグロスむらの発生のほとんどない良好な画像が得られる。
【0273】
<現像剤>
以上のようにして得られた本発明における電子写真用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいはキャリアとトナーとからなる二成分現像剤として、使用することができる。以下、二成分現像剤について説明する。
【0274】
上記二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電性微粉末などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0275】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0276】
一般に、キャリアは適度な電気抵抗値を有することが好ましく、その抵抗調整のために、導電性微粉末を前記樹脂中に分散させることが好ましい。前記導電性微粉末としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0277】
また、キャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
【0278】
キャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を、適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が採られる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
【0279】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材の粉末を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0280】
二成分現像剤における前記トナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【0281】
<転写工程>
本発明における転写工程とは、潜像担持体表面に形成されたトナー画像を、被記録体に転写して転写画像を形成する工程である。カラー画像形成の場合は、中間転写ドラムまたはベルトに各色トナーを1次転写したのち、紙等の被記録体に2次転写するのが好ましい。
【0282】
感光体からのトナー像を紙あるいは中間転写体に転写する転写装置としては、コロトロンが利用できる。コロトロンは用紙を均一に帯電する手段としては有効であるが、被記録体である用紙に所定の電荷を与えるために、数kVという高圧を印加しなければならず、高圧電源を必要とする。また、コロナ放電によってオゾンが発生するため、ゴム部品や感光体の劣化を引き起こすので、弾性材料からなる導電性の転写ロールを像担持体に圧接して、用紙にトナー像を転写する接触転写方式が好ましい。
本発明の画像形成方法においては、転写装置に関し、特に制限を受けるものではない。
【0283】
<クリーニング工程>
本発明において、必要に応じて設けられるクリーニング工程とは、ブレード、ブラシ、ロール等を潜像担持体表面に直接接触させ、潜像担持体表面に付着しているトナー、紙粉、ゴミなどを除去する工程である。
【0284】
最も一般的に採用されている方式として、ポリウレタン等のゴム部材を感光体に圧接させるブレードクリーニング方式である。これに対し、内部に磁石を固定配置し、その外周に回転可能な円筒状の非磁性体のスリーブを設け、そのスリーブ上に磁性キャリアを担持させてトナーを回収する磁気ブラシ方式や、半導電性の樹脂繊維や動物の毛をロール状に回転可能にし、トナーと反対極性のバイアスをそのロールに印加してトナーを除去する方式でもよい。前者の磁気ブラシ方式では、クリーニングの前処理用コロトロンを設置してもよい。
【0285】
また、内部に永久磁石を固定配置し、繊維を植毛したブラシを、前記永久磁石を取り囲んで回転可能に配置した方式でもよい。さらに、非磁性材料からなる回転可能なスリーブ表面に磁性体繊維を植毛した方式でもよい。
本発明の画像形成方法においては、クリーニング方式については特に制限を受けるものではない。
【0286】
<定着工程>
本発明における定着工程とは、被記録体表面に転写されたトナー像を定着器にて定着する工程である。定着器としては、ヒートロールを用いる熱定着方式が好ましく用いられる。加熱定着装置は、円筒状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層により、いわゆる離型層を形成した定着ローラと、この定着ローラに対し圧接して配置され、円筒状芯金の外周面に耐熱弾性体層を形成した加圧ローラあるいは加圧ベルトと、で構成される。未定着トナー像の定着プロセスは、定着ローラおよび加圧ローラの間に未定着トナー像が形成された被記録体を挿通させて、トナー中の結着樹脂、添加剤等の熱溶融による定着を行う。
本発明の画像形成方法においては、定着方式については特に制限を受けるものではない。
【0287】
トナー画像を転写する被記録体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0288】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、「部」はすべて「質量部」を意味する。
−感光体(1)の作製−
直径80mm長さ340mmのEI加工アルミニウム円筒基体をホーニング処理し、その基体表面に、ジルコニウム化合物(商品名: オルガノチックスZC540、マツモト製薬社製)20部、シラン化合物(商品名: A1100、日本ユニカー社製)2.5部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)7部及びブタノール45部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分間加熱乾燥して、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。
【0289】
X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3° に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンの1部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)1部、およびn−酢酸ブチル100部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を前記アルミニウム製円筒基体表面の下引き層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0290】
例示化合物 (V−27) のベンジジン化合物2部、下記基本単位1で示される高分子化合物(粘度平均分子量39000)3部をクロロベンゼン20部に溶解させた塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃、40分の加熱を行って膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0291】
【化15】
Figure 0003797168
【0292】
例示化合物(261)2部、メチルトリメトキシシラン2部、テトラメトキシシラン0.5部、コロイダルシリカ0.3部を、イソプロピルアルコール5部、テトラヒドロフラン3部、蒸留水0.3部に溶解させ、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。
加水分解したものからイオン交換樹脂を濾過分離した液体2部に対し、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを0.04部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1部を加え、表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布した。室温で30分風乾した後、170℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚約3μmの表面保護層を形成することにより、感光体(1)を作製した。
【0293】
−感光体(2)の作製−
電荷輸送層までは実施例1と同様にしてベース感光体を作製した。例示化合物(III−13)10部、及びメチル−フェニルシロキサン4部を、イソプロピルアルコール20部、テトラヒドロフラン20部、蒸留水0.5部に溶解させ、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5部を加え、室温で攪拌することにより2時間加水分解を行った。これに4,4’−ジヒドロキシメチルトリフェニルアミン8部、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.2部を加え均一な溶液にした。これに、BHTを0.3部加えて混合し、表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層上に実施例1と同様に塗布した後、150℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚4μmの表面保護層を形成することにより、感光体(2)を作製した。
【0294】
−感光体(3)の作製−
感光体(1)の作製において、表面保護層を形成しない以外は感光体(1)と同様にして、感光体(3)を作製した。
【0295】
−ポリエステル樹脂(1)(結晶性)の合成−
加熱乾燥した3口フラスコに、エチレングリコール497部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル23.7部と、フマル酸ジメチル22.8部と、セバシン酸ジメチル857部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.4部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスで不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、ポリエステル樹脂(1)985部を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られたポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(MW)は8500であり、数平均分子量(Mn)は3700であった。
【0296】
また、ポリエステル樹脂(1)の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は72℃であった。
樹脂のNMRスペクトルから測定計算した、共重合成分5−スルホイソフタ
ル酸成分、フマル酸成分とセバシン酸成分との含有比はそれぞれ2:5:93であった。
【0297】
−ポリエステル樹脂(2)(結晶性)の合成−
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル214部と、1,10−デカンジオール174部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル6部と、フマル酸ジメチル7.2部と、ジメチルスルホキシド40部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.1部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスで不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、ポリエステル樹脂(2)276部を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られたポリエステル樹脂(2)の重量平均分子量(MW)は8800であり、数平均分子量(Mn)は4600であった。
【0298】
また、ポリエステル樹脂(2)の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は76℃であった。
樹脂のNMRスペクトルから測定計算した、共重合成分の5−スルホイソフタル酸成分フマル酸成分とセバシン酸成分との含有比は2:5:93であった。
【0299】
−ポリエステル樹脂(3)(非結晶性)の合成−
加熱乾燥した二口フラスコに、テレフタル酸ジメチルを194部と、1,3−ブタンジオール90部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、非結晶性ポリエステル樹脂(3)(芳香族ジカルボン酸由来構成成分の含有量が100構成%である酸由来構成成分と、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が100構成モル%であるアルコール由来構成成分と、を含む非結晶性ポリエステル樹脂)240部を合成した。
【0300】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られたポリエステル樹脂(3)の重量平均分子量(MW)は9500であり、数平均分子量(Mn)は4200であった。
また、非結晶性ポリエステル樹脂(3)のDSCスペクトルを、前述の融点の測定と同様にして、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移点は49℃であった。
【0301】
−ポリエステル樹脂(4)(非結晶性)の合成−
加熱乾燥した二口フラスコに、ジオール成分として、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン94部、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン192部(構成モル比:35/65)と、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸114部、n−ドデセニルコハク酸28部、トリメリット酸19部(構成モル比:80/10/10)と、ジブチル錫オキサイド0.12部(全酸成分モル数に対して0.0005モル)と、を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非結晶性ポリエステル樹脂(4)を350部合成した。
【0302】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた非結晶性ポリエステル樹脂(4)の重量平均分子量(MW)は15400であり、数平均分子量(Mn)は6800であった。
また、ポリエステル樹脂(4)のDSCスペクトルを、前述の融点の測定と同様にして、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移点は65℃であった。
【0303】
−トナー(1)の製造(乳化凝集法)−
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
前記結晶性ポリエステル樹脂(1)80部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を蒸留水720部中に入れ、80℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混合攪拌して、樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0304】
<着色剤分散液(1)の調製>
フタロシアニン顔料(大日精化(株)製:PV FAST BLUE)250部と、アニオン界面活性剤20部(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)と、イオン交換水730部と、を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラクス)を用いて分散し、着色剤(フタロシアニン顔料)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
【0305】
<離型剤分散液(1)の調製>
キャンデリラワックス100部と、アニオン界面活性剤25部(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)と、イオン交換水200部とを混合し、80℃にて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラクス)を用いて分散し、離型剤分散液(1)を調製した。
【0306】
<凝集・融合工程>
樹脂粒子分散液(1)800部と、着色剤分散液(1)5部と、離型剤粒子分散液(1)17部と、硫酸アルミニウム1.4部(和光純薬社製)と、t−ヘキシルパーピバレート50%エマルジョン0.08部(日本油脂製)と、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pHを3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させ、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。65℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約7.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。温度を69℃まで上昇させ、pHを4.0に上げ、30分攪拌を続けた。その後、温度を80℃まで上げ、1時間攪拌した。、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約7.2μmであるトナー粒子が形成されていることが確認された。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー(1)を得た。
【0307】
トナー(1)について、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて平均粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は7.8μm、数平均粒子径は7.3μmであった。
【0308】
−トナー(2)の製造(乳化凝集法)−
<樹脂粒子分散液(2)の調製>
前記結晶性ポリエステル樹脂(1)80部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を蒸留水720部中に入れ、90℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混合攪拌して、樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0309】
<凝集・融合工程>
樹脂粒子分散液(1)800部と、着色剤分散液(1)5部と、離型剤粒子分散液(1)17部と、硫酸アルミニウム1.4部(和光純薬社製)とt−ヘキシルパーピバレート50%エマルジョン0.04部(日本油脂製)と、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pHを3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させ、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。70℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約6.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。温度を76℃まで上昇させ、pHを4.0に上げ、30分攪拌を続けた。その後温度を83℃まで上げ、1時間攪拌した。、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約7.3μmであるトナー粒子が形成されていることが確認された。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー(2)を得た。
【0310】
トナー(2)について、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて平均粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は7.8μm、数平均粒子径は7.3μmであった。
【0311】
−トナー(3)の製造(乳化凝集法)−
<樹脂粒子分散液(3)の調製>
前記結晶性ポリエステル樹脂(2)80部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を蒸留水720部中に入れ、90℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混合攪拌して、樹脂粒子分散液(3)を得た。
【0312】
<凝集・融合工程>
樹脂粒子分散液(3)800部と、着色剤分散液(1)5部と、離型剤粒子分散液(1)17部と、、硫酸アルミニウム1.4部(和光純薬社製)とt−ヘキシルパーピバレート50%エマルジョン0.08部(日本油脂製)と、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pHを3.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させ、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。70℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約6.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。温度を76℃まで上昇させ、pHを4.0に上げ、30分攪拌を続けた。その後温度を83℃まで上げ、1時間攪拌した。、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約7.0μmであるトナー粒子が形成されていることが確認された。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー(3)を得た。
【0313】
トナー(3)について、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて平均粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は7.6μm、数平均粒子径は7.0μm、であった。
【0314】
−トナー(4)の製造(溶解懸濁法)−
前記非結晶性ポリエステル樹脂(3)86部と、銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)16部と、をバンバリー型混練機を用いて溶融混練し、高濃度の着色樹脂組成物を得た。該着色樹脂組成物25部と、ポリエステル樹脂(3)75部と、を酢酸エチル100部に分散・溶解し分散溶液を調製した。
【0315】
得られた分散溶液を、カルボキシメチルセルロース1部と、炭酸カルシウム20部と、水100部と、の混合液中に加え、ミキサーを用いて高速撹拌して分散させ、乳化液を得た。この乳化液をビーカーに移し、約5倍量の水を加え、撹拌しながら45℃の温浴中で10時間保持し、前記酢酸エチルを蒸発させた。炭酸カルシウムを塩酸で溶かし、水洗を繰り返した後、水とトナーとの混合物を得た。最後に、水を凍結乾燥機で蒸発させ、トナー(4)を製造した。
【0316】
トナー(4)について、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて実施例1と同様に平均粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は7.9μmであり、数平均粒子径は7.3μmであった。
【0317】
−トナー(5)の製造(溶解懸濁法)−
前記ポリエステル樹脂(4)86部と、銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)16部と、をバンバリー型混練機を用いて溶融混練し、高濃度の着色樹脂組成物を得た。該着色樹脂組成物25部と、ポリエステル樹脂(4)75部と、を酢酸エチル100部に分散・溶解し分散溶液を調製した。
【0318】
得られた分散溶液を、カルボキシメチルセルロース1部と、炭酸カルシウム20部と、水100部と、の混合液中に加え、ミキサーを用いて高速撹拌して分散させ、乳化液を得た。この乳化液をビーカーに移し、約5倍量の水を加え、撹拌しながら45℃の温浴中で10時間保持し、前記酢酸エチルを蒸発させた。炭酸カルシウムを塩酸で溶かし、水洗を繰り返した後、水とトナーとの混合物を得た。最後に、水を凍結乾燥機で蒸発させ、トナー(5)を製造した。
【0319】
トナー(5)について、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて実施例1と同様に平均粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は7.9μmであり、数平均粒子径は7.3μmであった。
【0320】
<トナー粘弾性>
前記トナー5種の粘弾性を測定した。貯蔵弾性率GL、損失弾性率GNは、回転平板型レオメーター(RDA 2RHIOSシステム Ver.4.3.2,レオメトリックス・サイエンテイフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定したものである。
測定は、試料をサンプルホルダーにセッティングし、昇温速度1℃/min(室温〜160℃まで)、周波数1rad/s、歪み20%以下、測定保証値の範囲内の検出トルクで測定を行った。必要に応じて、サンプルホルダーを8mmと20mmに使い分けた。また、得られたトナー(1)〜(5)について、120℃における損失弾性率GNを測定周波数1rad/sで割った値を求め、120℃における溶融粘度とした。結果を表62に、エステル濃度と共に示す。
【0321】
【表62】
Figure 0003797168
【0322】
<現像剤>
前記トナー(1)〜(5)に、疎水性シリカR972(日本アエロジル社)を1質量%外部添加混合し、これらの各々のトナーと、キャリア(富士ゼロックス社製Aカラー630用キャリア、粒径50μm)とをトナー濃度10質量%となるように混合し、二成分現像剤(1)〜(5)を製造した。
【0323】
<画像形成装置>
画像形成装置としては、図1に構成図を示す富士ゼロックス製Aカラー935を一部改造して用いた。当該装置の感光体、及び現像剤は、上記得られた各感光体、及び現像剤にそれぞれ入れ替え、定着器の温度を120℃に設定した。
【0324】
(実施例1)
Aカラー935に感光体(1)を装着し、現像剤(1)を現像器に入れ、感光体表面にベタ画像(5×4cm、20cm2)を現像したところで、マシンをストップさせ、感光体表面の現像トナーをテープで全て採り、現像トナー質量を測定した。一方、感光体表面に同一の画像を現像し、そのトナー画像を紙に転写した後にマシンをストップさせ、紙の表面の未定着トナー質量を測定し、転写トナー質量とした。転写効率を以下の式により計算したところ、95%であった。
転写効率(%)=[転写トナー質量(mg)/現像トナー質量(mg)]×100その後、テストパターン画像を10万枚プリントした後、再度転写効率を測定したところ、85%であった。結果を表63に示す。
【0325】
(実施例2)
実施例1において、現像剤1の代わりに現像剤2を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。
【0326】
(実施例3)
実施例1において、現像剤1の代わりに現像剤3を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。
【0327】
(実施例4)
実施例1において、感光体1の代わりに感光体2を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。
【0328】
(実施例5)
実施例1において、感光体1の代わりに感光体2を使用し、現像剤1の代わりに現像剤2を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。
【0329】
(実施例6)
実施例1において、感光体1の代わりに感光体2を使用し、現像剤1のかわりに現像剤3を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。
【0330】
(比較例1)
実施例1において、現像剤1の代わりに現像剤4を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。なお、10万枚プリントの際、定着温度120℃では、画像にコールドオフセットが発生してしまったため、定着器の温度は160℃に設定して行った。
【0331】
(比較例2)
実施例1において、現像剤1の代わりに現像剤5を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。なお、10万枚プリントの際、定着器の温度は、比較例1と同様160℃に設定して行った。
【0332】
(比較例3)
実施例1において、感光体1の代わりに感光体2を使用し、現像剤1の代わりに現像剤5を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。なお、10万枚プリントの際、定着器の温度は、比較例1と同様160℃に設定して行った。
【0333】
(比較例4)
実施例1において、感光体1の代わりに感光体3を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。
【0334】
(比較例5)
実施例1において、感光体1の代わりに感光体3を使用し、現像剤1の代わりに現像剤5を使用した以外は実施例1と同様にして、初期及び10万プリント後の転写効率を求めた。結果を表63に示す。10万枚プリントの際、定着器の温度は、比較例1と同様160℃に設定して行った。
なお、比較例4と比較例5においては、10万枚プリント後は、感光体表面にスジ状、点状の傷が多発しており、これが原因と考えられる画像欠陥が発生した。
【0335】
【表63】
Figure 0003797168
【0336】
表63の結果から、実施例1〜6に見られるように、シロキサン結合を有する樹脂をオーバーコートした感光体(感光体(1)、(2))と、結晶性樹脂からなるトナーを用いた現像剤(現像剤(1)〜(3))とを組み合わせることにより、93%以上の高い初期転写効率を達成できるとともに、10万プリント後も転写効率の低下度合いが10%程度と少ないことがわかる。一方、比較例に見られるように、感光体をオーバーコートのない感光体とするか、現像剤を非結晶性樹脂からなる従来トナーを用いた現像剤(現像剤(4)、(5))とするかの、いずれによっても転写効率は低下してしまうことがわかる。
【0337】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐摩耗性及び高耐久性を有する電子写真感光体を提供しつつも、トナーの転写効率が高く、高画質の画像を得ることができる画像形成方法を供給することができる。
【0338】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成方法を実施するための装置の一例である。
【図2】 本発明に用いられる感光体の一例を示す拡大断面図である。
【図3】 本発明に用いられる感光体の他の一例を示す拡大断面図である。
【図4】 本発明に用いられる感光体の他の一例を示す拡大断面図である。
【図5】 本発明に用いられる感光体の他の一例を示す拡大断面図である。
【図6】 本発明に用いられる感光体の他の一例を示す拡大断面図である。
【図7】 本発明に用いられるトナーの好ましい特性を示すグラフであり、縦軸は貯蔵弾性率の常用対数logGL、あるいは、損失弾性率の常用対数logGNを表し、横軸は温度を表す。
【符号の説明】
1 下引き層
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 導電性支持体
5 表面保護層
6 単層型感光層
101 感光体(潜像担持体)
102 帯電器
103 現像器(現像装置)
104 転写ドラム
105 クリーナー
106 前露光器
107 被記録体
108 電位センサ
109 定着器
110 画像入力装置
120 光ビーム走査装置
121 半導体レーザ
122 コレメータレンズ
123 ポリゴンミラー
124 結像光学系
130 光ビームパルス幅変換回路
140 色変換処理回路

Claims (4)

  1. 潜像担持体表面に形成された静電潜像を、少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成する現像工程と、潜像担持体表面に形成されたトナー画像を被記録体表面へ転写して転写画像を形成する転写工程と、被記録体表面に転写された転写画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
    前記潜像担持体が、電荷輸送性を有する架橋樹脂を含む表面層を有しており、かつ、前記トナーが、少なくとも、結晶性樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、を含むトナーであることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記潜像担持体の表面層に含まれる架橋樹脂が、シロキサン結合を有する樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナーの結着樹脂の主成分である結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の画像形成方法。
  4. 前記トナーの、角周波数1rad/s、90℃における貯蔵弾性率GL(90)及び損失弾性率GN(90)と、角周波数1rad/s、120℃における貯蔵弾性率GL(120)及び損失弾性率GN(120)と、のすべてが1×105Pa以下であり、貯蔵弾性率GL(90)と、貯蔵弾性率GL(120)と、が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
    logGL(90)−logGL(120)<2 ・・・ 式(1)
JP2001287914A 2001-09-20 2001-09-20 画像形成方法 Expired - Fee Related JP3797168B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001287914A JP3797168B2 (ja) 2001-09-20 2001-09-20 画像形成方法
US10/077,949 US6881528B2 (en) 2001-09-20 2002-02-20 Image formation method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001287914A JP3797168B2 (ja) 2001-09-20 2001-09-20 画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003098736A JP2003098736A (ja) 2003-04-04
JP3797168B2 true JP3797168B2 (ja) 2006-07-12

Family

ID=19110643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001287914A Expired - Fee Related JP3797168B2 (ja) 2001-09-20 2001-09-20 画像形成方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6881528B2 (ja)
JP (1) JP3797168B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3800201B2 (ja) * 2003-06-24 2006-07-26 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 非接触加熱定着用カラートナーおよび画像形成方法
JP4192713B2 (ja) * 2003-07-25 2008-12-10 富士ゼロックス株式会社 アリールアミン化合物、電荷輸送材料、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
KR100561354B1 (ko) * 2003-11-20 2006-03-16 삼성전자주식회사 킬레이트 화합물을 포함하는 전자사진감광체
JP4277682B2 (ja) 2003-12-26 2009-06-10 富士ゼロックス株式会社 画像形成方法
US20050208403A1 (en) * 2004-03-18 2005-09-22 Hyo Shu Toner, developer including the toner, and developing device and image forming apparatus using the toner
US7604913B2 (en) 2004-07-16 2009-10-20 Mitsubishi Chemical Corporation Electrophotographic photosensitive body
JP4375181B2 (ja) * 2004-09-21 2009-12-02 富士ゼロックス株式会社 静電潜像現像用トナーの製造方法
US7842447B2 (en) * 2004-12-06 2010-11-30 Canon Kabushiki Kaisha Toner
US7781134B2 (en) * 2004-12-27 2010-08-24 Ricoh Company, Ltd. Electrophotographic photoreceptor, image forming method, image forming apparatus and process cartridge for the image forming apparatus
US7338739B2 (en) * 2005-01-14 2008-03-04 Xerox Corporation Crosslinked siloxane composite overcoat for photoreceptors
JP4670679B2 (ja) * 2006-02-23 2011-04-13 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法
JP4512631B2 (ja) * 2007-11-29 2010-07-28 シャープ株式会社 トナーおよびそのトナーの製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置
JP5641864B2 (ja) * 2009-11-27 2014-12-17 キヤノン株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2013218288A (ja) 2012-03-15 2013-10-24 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー、これを用いた現像剤及び画像形成装置
JP6083192B2 (ja) * 2012-11-01 2017-02-22 株式会社リコー 画像形成装置

Family Cites Families (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3123185B2 (ja) 1991-04-22 2001-01-09 富士ゼロックス株式会社 クロロガリウムフタロシアニンの新規な結晶、その新規な結晶よりなる光導電材料及びそれを用いた電子写真感光体
US4801517A (en) 1987-06-10 1989-01-31 Xerox Corporation Polyarylamine compounds and systems utilizing polyarylamine compounds
US4891293A (en) * 1988-10-03 1990-01-02 Xerox Corporation Toner and developer compositions with thermotropic liquid crystalline polymers
JP2961985B2 (ja) 1991-08-16 1999-10-12 富士ゼロックス株式会社 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法
JPH04198376A (ja) 1990-11-28 1992-07-17 Hitachi Chem Co Ltd 電着塗料用樹脂組成物
JP3166293B2 (ja) 1991-04-26 2001-05-14 富士ゼロックス株式会社 ヒドロキシガリウムフタロシアニンの新規な結晶、その新規な結晶よりなる光導電材料およびそれを用いた電子写真感光体
JP3092270B2 (ja) 1991-11-15 2000-09-25 富士ゼロックス株式会社 新規なジクロロスズフタロシアニン結晶の製造方法及びその結晶を用いた電子写真感光体
JP3123184B2 (ja) 1991-09-27 2001-01-09 富士ゼロックス株式会社 ジクロロスズフタロシアニンの新規な結晶とその製造方法、およびそれを用いた電子写真感光体
JP3166283B2 (ja) 1992-03-31 2001-05-14 富士ゼロックス株式会社 ヒドロキシガリウムフタロシアニンの新規な結晶の製造方法
JP3234332B2 (ja) 1993-02-25 2001-12-04 株式会社リコー 電子写真感光体及びその製造方法
JPH06282092A (ja) 1993-03-26 1994-10-07 Canon Inc 電子写真感光体
JP3154307B2 (ja) 1993-03-26 2001-04-09 キヤノン株式会社 電子写真感光体及び該電子写真感光体を備えた電子写真装置
JP2865029B2 (ja) 1994-10-24 1999-03-08 富士ゼロックス株式会社 電荷輸送性ポリエステルを用いた有機電子デバイス
JP2894257B2 (ja) 1994-10-24 1999-05-24 富士ゼロックス株式会社 新規電荷輸送性ポリマー、その製造法およびそれを用いた有機電子デバイス
JPH08278653A (ja) 1995-04-06 1996-10-22 Konica Corp 画像形成方法
JPH09304972A (ja) 1996-05-10 1997-11-28 Konica Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP3264218B2 (ja) 1996-07-17 2002-03-11 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体
JP3314702B2 (ja) 1997-12-18 2002-08-12 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、および画像形成装置
JP3314732B2 (ja) 1998-03-06 2002-08-12 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、および電子写真画像形成装置
JP4076295B2 (ja) 1999-02-25 2008-04-16 コニカミノルタホールディングス株式会社 画像形成方法、画像形成装置及びこれらに用いられる現像剤、プロセスカートリッジ
JP2001249478A (ja) * 2000-03-02 2001-09-14 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置、プロセスカートリッジ、及びそれらの再生方法
JP3945153B2 (ja) * 2000-06-28 2007-07-18 富士ゼロックス株式会社 電子写真用トナーおよびその製造方法、並びに、電子写真用現像剤、画像形成方法
JP2003005552A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成方法
JP2003029463A (ja) * 2001-07-18 2003-01-29 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003098736A (ja) 2003-04-04
US20030190545A1 (en) 2003-10-09
US6881528B2 (en) 2005-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3858644B2 (ja) 画像形成方法、プロセスカートリッジ、画像形成装置
US7892717B2 (en) Toner for electrostatic image development, electrostatic image developer and image forming method using the same
JP4900413B2 (ja) 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
KR101230562B1 (ko) 전자 사진용 토너 및 그 제조 방법, 전자 사진용 현상제, 토너 카트리지, 프로세스 카트리지, 화상 형성 장치
JP3797168B2 (ja) 画像形成方法
JP2007121404A (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法
JP2008015244A (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法
JP2008170627A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP4466475B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、その製造方法、これを用いた静電荷像現像用及び画像形成方法
JP2011133805A (ja) 画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP5239691B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5125486B2 (ja) 画像形成方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2010078931A (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP7347069B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2018004960A (ja) 画像形成装置
JP4089479B2 (ja) 画像形成方法
JP5573200B2 (ja) 画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び静電潜像現像用トナー
JP2018004968A (ja) 画像形成装置
JP2004109920A (ja) 画像形成装置
JP4389644B2 (ja) 画像形成方法および画像形成装置
JP4788168B2 (ja) 電子写真感光体と現像剤との適合性評価方法
JP2019168617A (ja) 画像形成装置
JP2007147788A (ja) 画像形成方法、および画像形成装置
JP7347049B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5600971B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040914

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees