JP5573200B2 - 画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
即ち、請求項1に係る発明は、
架橋膜である最表面層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナー粒子が、全トナー粒子に対し10個数%以上30個数%以下であるトナーと、
前記トナーを収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された前記静電潜像を、前記トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
JIS−A硬度が65以上90以下のクリーニングブレードを備え、前記転写後に前記電子写真感光体の表面に残留した前記トナーを前記クリーニングブレードにより除去するトナー除去装置と、
を備えた画像形成装置である。
前記電子写真感光体の前記最表面層は、電荷輸送性成分と、グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方と、を含んで構成される架橋膜であり、
前記電荷輸送性成分の前記最表面層全体に対する含有量が90質量%以上であり、
前記グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方の前記最表面層全体に対する含有量が0.5質量%以上7.0質量%以下である、請求項1に記載の画像形成装置である。
前記トナーの溶融温度が125℃以上140℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置である。
架橋膜である最表面層を有する電子写真感光体と、
結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナー粒子が、全トナー粒子に対し10個数%以上30個数%以下であるトナーと、
前記トナーを収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、前記トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
JIS−A硬度が65以上90以下のクリーニングブレードを備え、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が記録媒体の表面に転写された後に前記電子写真感光体の表面に残留した前記トナーを前記クリーニングブレードにより除去するトナー除去装置と、
を備えたプロセスカートリッジである。
前記電子写真感光体の前記最表面層は、電荷輸送性成分と、グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方と、を含んで構成される架橋膜であり、
前記電荷輸送性成分の前記最表面層全体に対する含有量が90質量%以上であり、
前記グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方の前記最表面層全体に対する含有量が0.5質量%以上7.0質量%以下である、請求項4に記載プロセスカートリッジである。
前記トナーの溶融温度が125℃以上140℃以下である、請求項4又は請求項5に記載のプロセスカートリッジである。
結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナー粒子を含み、
前記トナー粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナー粒子が、全トナー粒子に対し65個数%以上90個数%以下である静電潜像現像用トナーである。
前記静電潜像現像用トナーの溶融温度が125℃以上140℃以下である、請求項7に記載の静電潜像現像用トナーである。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体(以下、「感光体」と称する場合がある)と、感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、トナーと、トナーを収容し感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、転写後に感光体の表面に残留した残留トナーをクリーニングブレードにより除去するトナー除去装置と、を含んで構成されている。
また、上記感光体は架橋膜である最表面層を有し、上記トナーは、結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナーの粒子を含み、前記トナーの粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナーの粒子(以下「結晶性樹脂が多いトナー粒子」と称する場合がある)が、トナーの粒子全体に対し10個数%以上30個数%以下である。さらに、上記クリーニングブレードのJIS−A硬度は、65以上90以下である。
一方、結晶性樹脂が多いトナー粒子は、クリーニングブレードに供給されると、他のトナー粒子に比べて感光体とクリーニングブレードとの接触部に進入しやすく、またその接触部に長く滞留しやすいと考えられる。そして、感光体とクリーニングブレードとの接触部に進入した結晶性樹脂が多いトナー粒子は、クリーニングブレードの端部と中央部との圧力差を緩和し、感光体表面の偏摩耗を抑制すると考えられる。
よって、本実施形態のように、結晶性樹脂が多いトナー粒子の含有量が上記範囲であると、上記範囲よりも少ない場合に比較して、感光体表面の偏摩耗が抑制され、それに起因する画像ムラが抑制されると推測される。
また、本実施形態では、結晶性樹脂が多いトナー粒子の含有量が上記範囲であるため、上記範囲よりも多い場合に比較して、結晶性樹脂が多いトナー粒子がブレードをすり抜けることに起因する色筋・フィルミングの発生が防止される。
四酸化ルテニウム0.5%水溶液を用いて染色し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、トナー表面に該結晶性樹脂由来の未染色部を確認した。熱をかけることにより、トナーに含まれる結晶性樹脂が非結晶性樹脂と分離し、ドメインを構成するため、トナー表面に結晶部と非結晶部となって現れる。よって、トナー粒子1個について、未染色の結晶部面積の比率を求めることにより、含有される結晶性樹脂の量を求められる。
感光体の最表面層が上記構成であれば、感光体の表面が摩耗しにくく、摩耗に起因する画質の劣化が抑制される。また、感光体の最表面層における電荷輸送性成分の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べて、感光体の電気特性が良好であり、感光体表面の残留電位が低減される。
なお、上記電荷輸送性成分の含有量は95質量%以上であってもよく、上記グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方の含有量は1.0質量%以上3.0質量%以下であってもよい。
なお、上記トナーの溶融温度は、結晶性樹脂が多いトナー粒子及びその他のトナー粒子の両方を含んだトナー全体に対して、フローテスター(島津製作所社製:CFT−500C)、予熱:300秒、圧力:0.980665MPa、ダイサイズ1mmφ×1mm、昇温速度:3.0℃/min.の条件下における溶融開始温度と溶融終了温度との中間温度を指す。
またトナーの溶融温度は、例えば、128℃以上137℃以下であてもよく、130度以上135℃以下であってもよい。
図1は本実施形態に係る画像形成装置の好適な一例の基本構成を概略的に示す断面図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、例えば、感光体11(電子写真感光体)と、感光体11を帯電させる非接触帯電方式の帯電装置12と、帯電装置12に接続された電源13と、帯電装置12により帯電された感光体11を露光して静電潜像を形成する露光装置14(潜像形成装置)と、現像装置15に収容されたトナー19と、露光装置14により形成された静電潜像をトナー19を含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置15と、現像装置15により形成されたトナー像を記録媒体500に転写する転写装置16と、クリーニングブレード18を備えたクリーニング装置17(トナー除去装置)と、を備える。なお、現像装置15に収容されたトナー19は、トナー19が単体で現像剤として機能するものであってもよく、例えばトナー19のほかにキャリアが現像装置15に収容され、トナー19及びキャリアの二成分で現像剤として機能するものであってもよい。また、画像形成装置100は、上記のほかに、感光体11の表面を除電する除電装置が設けられている態様であってもよく、記録媒体500に転写されたトナー像を記録媒体500に定着される定着装置が設けられている態様であってもよい。
以下、画像形成装置100における主な構成部材の詳細について説明する。
以下、感光体11の一例として、感光層として電荷発生層と電荷輸送層とを有する機能分離型の感光体について説明する。図2は、感光体11の断面を示す模式図である。
図2に示す感光体11では、基材21上に下引層22が設けられ、その上に電荷発生層23、電荷輸送層24が設けられており、さらに感光層(電荷発生層23および電荷輸送層24)上に表面保護層25が設けられている。
基材21としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル等の金属、カーボンブラック、金属粉、イオン導電粉等を樹脂中に分散したもの等が用いられる。また、形状としてはドラム状、シート状、プレート状等のものが使用されるが、これらに限定されるものではない。更に、陽極酸化処理や、ベーマイト処理、ホーニング処理などを行ってもよい。
本実施形態においては、基材21と感光層(電荷発生層23および電荷輸送層24)との間に下引層22を設けてもよい。
下引層22に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物などの有機金属化合物が挙げられる。特に、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が望ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理してもよい。電子輸送性顔料の含有量としては、例えば95質量%以下の範囲が挙げられる。
下引層22の厚みとしては、例えば0.01μm以上30μm以下の範囲が挙げられる。
次に電荷発生層23について説明する。
電荷発生層23は電荷発生材料および結着樹脂を含んで構成される。電荷発生材料としては、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料などの有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛などの無機顔料など公知のものが使用される。特に画像形成の際に波長380nm以上500nm以下の露光光を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロンなどを用いてもよい。その中でも、例えば、特開平5−263007号公報および特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報および特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報および特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが挙げられる。
電荷発生層23の厚みとしては、例えば0.1μm以上5μm以下がの範囲が挙げられる。
次に電荷輸送層24について説明する。
電荷輸送層24は、電荷輸送材料および結着樹脂を含んで構成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含んで構成される。電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)としては、例えば10:1乃至1:5の範囲が挙げられる。
電荷輸送層24の膜厚としては、例えば5μm以上50μm以下の範囲が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。また、感光層中には少なくとも1種の電子受容性物質を含有させてもよい。電子受容性物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に挙げられる。
次に表面保護層25について説明する。図1に示す本実施形態に係る感光体においては、最表面層として表面保護層25が設けられている。
表面保護層25は、架橋膜であれば特に限定されるものではないが、例えば、電荷輸送性成分と硬化性樹脂成分とを含んで構成された架橋物を含む架橋膜が挙げられる。ここで、電荷輸送性成分と硬化性樹脂成分とを含んで構成された架橋物とは、具体的には、電荷輸送性化合物と硬化性化合物とが重合して形成された架橋物であり、架橋膜は必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
熱硬化性化合物が硬化して形成される熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの熱硬化性樹脂成分は、1種単独で又は2種以上を混合されて含まれていてもよい。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
メラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いもよいが、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
F−((−R1−X)n1(R2)n2−Y)n3 (I)
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn3に相当し、望ましくは、2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を、望ましくは一分子中に2以上4以下、さらに望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にブレードクリーナーを用いた際の電子写真感光体の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、電子写真感光体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られ、電子写真感光体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
表面保護層25には、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種と特定の電荷輸送性化合物(一般式(I)で示される化合物)との架橋物と共に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを混合して用いてもよい。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
以下、トナー19について説明する。
トナー19は、上記結晶性樹脂が多いトナー粒子と、それ以外のトナー粒子(以下「その他のトナー粒子」と称する場合がある)と、を含んで構成されており、全トナー粒子に対する結晶性樹脂が多いトナー粒子の含有量が上記範囲である。またトナーは、結晶性樹脂が多いトナー粒子及びその他のトナー粒子の他に、外添剤等のトナー粒子以外の成分を含んでいてもよい。
一方その他のトナー粒子は、少なくとも非晶性樹脂を含む結着樹脂を含み、必要に応じて、着色剤、離型剤、その他の内添剤を含んでもよい。なお、その他のトナー粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂を含まなくてもよいが、10質量%以下の範囲で含んでもよい。
以下、結晶性樹脂が多いトナー粒子及びその他のトナー粒子に含まれる各成分について詳細に説明する。なお、以下に説明する各成分の詳細については、その成分が結晶性樹脂が多いトナー粒子に含まれる場合も、その他のトナー粒子に含まれる場合も同様である。
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。
具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性樹脂を意味するが、本実施形態において用いられる非結晶性樹脂としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることがよい。
なお、ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
さらに、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
結晶性樹脂の融解温度とは、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求められた値をいう。また結晶性樹脂は複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とみなす。
非晶性樹脂としては、例えば、スチレン/アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、等の公知の樹脂材料が挙げられるが、非晶性ポリエステル樹脂が特に望ましい。非晶性ポリエステル樹脂としては、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いてもよい。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが望ましく、また、良好なる定着性を確保するためには架橋構造あるいは分岐構造をとることが望ましく、そのためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
また、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000以上300,000以下であることが望ましく、30,000以上200,000以下がさらに望ましく、35,000以上150,000以下が特に望ましい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、または、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられ、これらを1種または2種以上混合して使用する。
離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が挙げられる。
離型剤の融解温度としては、例えば、50℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
離型剤のトナー粒子中の含有量としては、例えば0.5質量%以上15質量%以下の範囲が挙げられる。
トナー粒子は、上記成分以外にも、必要に応じて帯電制御剤等の種々の成分を含んでもよい。帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体を含む染料や、トリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤が挙げられる。
トナー粒子の体積平均粒径としては、例えば、4μmから9μmの範囲が挙げられる。
なお、体積平均粒径の測定は、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行う。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
トナー粒子を製造する方法は特に限定されないが、例えば、乾式製法と湿式製法とが挙げられ、湿式製法として具体的には、例えば凝集合一法等が挙げられる。また凝集合一法によるトナー粒子の製造方法としては、例えば、結着樹脂の粒子である樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を調整する樹脂粒子分散液調整工程と、樹脂粒子を含む溶液に凝集剤を添加して樹脂粒子を含む凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱して融合・合一する融合工程と、を有する製造方法が挙げられる。
−各分散液調整工程−
樹脂粒子分散液の調整は、例えば、得られた樹脂を機械的せん断力によって乳化させる方法や、転相乳化法を用いる方法等が挙げられる。
転相乳化法による樹脂粒子分散液の調整方法の一例としては、例えば、結着樹脂を、有機溶媒(良溶媒)と水溶性溶媒(水溶性の貧溶媒)との混合液に溶解させ、必要に応じて中和剤(例えば、アンモニア等)や分散安定剤を添加し、攪拌下にて水溶性溶媒(例えば水)を滴下して乳化粒子を得た後、樹脂粒子分散液中の溶媒を除去して、乳化液(樹脂粒子分散液)を得る。なお、中和剤及び分散安定剤の投入順は変更してもよい。
上記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定する。測定法としては、分散液となっている状態の試料を固形分で2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して40mlにする。これをセルに投入し、2分待って、セル内の濃度が安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。離型剤粒子及び着色剤粒子の体積平均粒径も同様の方法で測定する。
着色剤粒子分散液は、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機を用いた分散液調整方法により調整される。また、分散時に極性を有するイオン性界面活性剤を用いてもよい。
離型剤粒子分散液は、例えば、イオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに、離型剤を水中に分散し、融解温度以上に加熱するとともに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機により粒子化することにより調製される。
着色剤粒子及び離型剤粒子の体積平均粒径としては、例えば、0.08から0.8μmの範囲が挙げられる。
着色剤粒子分散液や離型剤粒子分散液を、樹脂粒子分散液とは別に調整した場合は、混合溶液調整工程においてこれらの各分散液を混合して混合溶液を調整する。
凝集粒子形成工程においては、樹脂粒子を含んだ溶液(原料分散液)を加熱し、溶液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、上記原料分散液としては、樹脂粒子分散液をそのまま用いてもよいし、上記混合溶液を用いてもよい。
凝集剤としては、例えば、例えば、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が挙げられる。また、凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、例えばキレート剤が挙げられる。
なお、キレート剤は、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程の実施中や実施前後において添加されるものであるが、添加に際して原料分散液の温度調整は必要なく、室温のまま加えてもよいし、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程での槽内温度に調節した上で加えてもよい。
また凝集剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子(結着樹脂成分)100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下の範囲が挙げられる。
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば付着工程を実施してもよい。付着工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、コア層とこのコア層を被覆するシェル層(被覆層)とを含む、コア/シェル構造を有するトナー粒子が得られる。
被覆層の形成は、例えば、凝集粒子形成工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、樹脂粒子分散液を追添加することにより行われる。なお、付着工程で利用する樹脂は、凝集粒子形成工程で利用するものと同一であっても異なっていてもよい。
凝集粒子形成工程、又は、凝集粒子形成工程および付着工程を経た後に実施される融合・合一工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを調整することにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
pHの調整は、酸及び/またはアルカリを添加することによって行なわれる。酸は特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸を0.1質量%以上50質量%以下の範囲で含む水溶液を用いてもよい。アルカリは特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を0.1質量%以上50質量%以下の範囲とした水溶液が挙げられる。
上述した組成コントロールを行った後、凝集粒子を加熱して融合させる。なお、融合は、例えば、樹脂のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
凝集粒子の融合・合一工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経てトナー粒子を得る。洗浄工程としては、例えばイオン交換水で置換洗浄する方法が挙げられる。また、固液分離工程には特に制限はないが、吸引濾過、加圧濾過等が挙げられる。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が用いられる。
トナー19は、トナー粒子がそのままトナーとして用いられるものであってもよいが、必要に応じてトナー粒子に外添剤が添加されたものであってもよい。
外添剤としては、たとえば、無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。なお無機粒子の表面には、目的に応じて表面処理を施してもよい。
前記無機粒子の1次粒径としては、例えば、1nmから200nmの範囲が挙げられ、その添加量としては、例えば、外添前のトナー粒子100質量部に対して、0.01から20質量部の範囲が挙げられる。
有機粒子としては、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
トナー粒子に外添剤を添加する方法としては、例えば、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の混合機によって行う方法が挙げられる。
外添工程においては、必要に応じて種々の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、流動化剤;ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子等のクリーニング助剤;転写助剤;等が挙げられる。
トナー19を二成分現像剤として用いる場合に使用するキャリアとしては、特に制限はないが、例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
トナー除去手段であるクリーニング装置17は、感光体11に形成されたトナー像が転写装置16によって記録媒体500上に転写された後に、感光体11の表面に残留したトナー19や紙粉等を、クリーニングブレード18によって除去する。具体的には、クリーニングブレード18の接触部20が感光体11の表面に接触し、感光体11の表面に付着しているトナー19等をクリーニングブレード18で掻きとって除去する。そして、クリーニング装置17によって清浄面化された感光体11は、上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。
帯電装置12は、感光体11の表面に接触せずに感光体11に電圧を印加し、感光体11表面を定められた電位に帯電させる非接触方式の帯電装置である。具体的には、コロトロンやスコロトロン等の非接触方式の帯電装置が用いられる。
まず、感光体11の表面が帯電装置12によって帯電された後、画像データに基づいて露光装置14によって表面が露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、トナー19が収容された現像装置15によってトナー像として現像される。
続いて、感光体11の表面上に形成されたトナー像は、転写装置16によって記録媒体500上に転写される。一方、記録媒体500への転写が終了した後、感光体11の表面上に残留したトナー19は、感光体11の回転移動に伴ってクリーニング装置17まで搬送され、クリーニング装置17のクリーニングブレード18によって感光体11の表面から除去される。
図3は本実施形態に係る画像形成装置の、他の例の基本構成を概略的に示す断面図である。図3に示す画像形成装置400は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、4サイクル方式の画像形成装置である。なお、図3に示す画像形成装置400を構成するトナーは上記画像形成装置100のトナー19と同様であるため、説明を省略する。
次いで、本実施形態に係るプロセスカートリッジについて一例を挙げて説明する。
図4は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの好適な一例の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、感光体307と共に、帯電装置308、トナー319を収容した現像装置311、クリーニング装置313、露光のための開口部318、および除電露光のための開口部317を、取り付けレール316を用いて組み合わせ、一体化したものである。
<感光体1の作製>
・基体の準備
まず、外径60mmφ、長さ357mm、厚さ1.5mmの円筒状アルミニウム基体で、その一端に厚さ0.5mm、深さ10mmの溝を設け、さらに深さ5mmで1mmのテーパー部を設けたものとした。
次に、酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製)100質量部をトルエン450質量部と攪拌混合し、これにシランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25質量部を添加し、サンドグラインダーミルにて1時間分散した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行った後、25℃まで冷却し、解砕して表面処理酸化亜鉛を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°および28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、ユニオンカーバイト社製)10質量部、および酢酸n−ブチル400質量部からなる混合液をサンドミルにて4時間分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を浸漬塗布法により上記下引層上に塗布し、100℃で15分間乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送材料として下記構造式(27)で示されるベンジジン系化合物1質量部、および、結着樹脂として下記構造式(28)で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂1質量部(ユーピロンZ−400、三菱ガス化学社製)を、トルエン1質量部およびテトラヒドロフラン5質量部からなる混合溶媒と混合して、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
溶媒として、t−ブタノールを100質量部、電荷輸送材料として前述の(I−8)の化合物を50質量部、グアナミン樹脂としてスーパーベッカミン(R)13−535(メチル化ベンゾグアナミン樹脂:大日本インキ社製)を2質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT/和光純薬製)を1質量部、レベリング剤としてシリコーンオイルKF−96L(信越化学工業株式会社製)を0.3質量部、触媒としてNACURE2501(キングインダストリー社製)を0.2質量部混合し、固形分質量比35.8質量%の表面保護層形成用塗布液を作製した。
尚、この塗布液を180℃で1時間乾燥させた際の固形分質量比(乾燥前における全質量に対する乾燥後の固形分質量)は34.0質量%であり、乾燥前後における固形分の質量の減少は5.0質量%であった。
以上のようにして、感光体1を作製した。感光体1の表面保護層に含まれる、架橋膜の形成に用いた電荷輸送性化合物の種類、電荷輸送性成分の含有量、硬化性化合物の種類、並びにグアナミン成分及びメラミン成分の含有量を表1に示す。
表面保護層の形成に用いる電荷輸送性化合物の種類、電荷輸送性成分の含有量、硬化性化合物の種類、並びにグアナミン成分及びメラミン成分の含有量が表1に示す値になるよした以外は、感光体1と同様にして、感光体2から感光体6を作製した。なお、表1中に記載された電荷輸送性化合物の種類及び硬化性化合物の種類の欄には、前記に示された例示化合物番号を示す。
表面保護層を形成しない以外は、感光体1と同様にして、感光体7を作製した。
<ブレード1の作製>
商品名サイアナブレンA−7(日本サイアナミツド社製ポリウレタン)100部に、消泡剤0.05部を添加し、充分真空脱泡した後、この中に120℃に加温されている架橋剤を添加し、真空脱泡したものを、クリーニングブレード用金型内に注入した。ついで100℃、80分一次加硫を行い、上記金型から取り出した後、100℃、24時間二次加硫を行い、その後室温(25℃)で1日以上熟成させてブレード1を作製した。得られたブレードにおいては、JIS−A硬度が77であった。
一次加硫、二次加硫の温度を100℃の代わりに93℃にした以外は、ブレード1と同様にして、ブレード2を作製した。得られたブレードにおいては、JIS−A硬度が65であった。
一次加硫、二次加硫の温度を100℃の代わりに110℃にした以外は、ブレード1と同様にして、ブレード3を作製した。得られたブレードにおいては、JIS−A硬度が90であった。
<非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80モル部と、エチレングリコール10モル部と、シクロヘキサンジオール10モル部と、テレフタル酸80モル部と、イソフタル酸20モル部と、を原料に、触媒としてジブチル錫オキサイドを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
得られた非晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は、17,200であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(1)の酸価は12.4mgKOH/gであった。さらに、非晶性ポリエステル樹脂(1)の融点を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、JIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。その結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は59℃であった。
非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成において、イソフタル酸20モル部をトリメリット酸50モル部に変更した以外は、非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様に非晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。
非晶性ポリエステル樹脂(1)160部と、酢酸エチルを233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部とを用意し、これらを500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により攪拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに攪拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30%であった。
非晶性ポリエステル樹脂(1)を非晶性ポリエステル樹脂(2)に変えた以外は、非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を調整した。非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)中の樹脂粒子の体積平均粒径は230nmであり、固形分量は29%であった。
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル43.4質量部と、1,10−デカンジオール32.8質量部と、ジメチルスルホキシド27質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03質量部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で4時間攪拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い1.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)65質量部を合成した。
結晶性ポリエステル樹脂(1)160部と、酢酸エチル233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部と、を用意し、これらを500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により攪拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに攪拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)中の樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであり、固形分量は30%であった。
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP−9、融点:75℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤の体積平均粒径は0.23μmであった。
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン))
1000部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 15部
・イオン交換水 9000部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間ほど分散して、着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は0.16μm、固形分濃度は20%であった。
−分散工程−
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 293.7部
・着色剤分散液 25部
・離型剤分散液 40部
・アニオン性界面活性剤(TeycaPower) 2.0部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)を用い、ホモジナイザーの回転数を4000rpmにして、せん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、46℃にて凝集粒子の成長を促進させた。この際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて原料分散液のpHを3.2以上3.8以下の範囲に調整した。原料分散液を上記pH範囲に保持して2時間ほど放置し、凝集粒子を形成した。この凝集粒子の体積平均粒径は5.8μmであった。
次に、原料分散液に非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)100部を追添加し、前記凝集粒子の表面に非晶性ポリエステル樹脂(1)の樹脂粒子を付着させた。さらに、原料分散液を44℃に昇温し、光学顕微鏡およびマルチサイザーIIを用いて、粒子の大きさおよび形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、原料分散液にNaOH水溶液を滴下してpHを7.5に調整した後、原料分散液を95℃まで昇温させた。その後、3時間原料分散液を放置して凝集粒子を融合させ、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、原料分散液を1.0℃/分の降温速度で冷却した。
その後、0.3Nの硝酸及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、原料分散液を25℃でpHを9.5に調整し、20分間攪拌後に孔径20μmのメッシュで篩分した。次に、原料分散液をろ過してトナー粒子を得た。固液分離後に得られたトナー粒子を、トナー粒子の固形分量に対して20倍量の30℃のイオン交換水中に分散し、20分間攪拌してろ過を行った。
洗浄工程を終えた後、凍結真空乾燥機で乾燥を行い、トナー粒子(1)を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒径は6.8μmであった。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を293.7部用いる代わりに、非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)143.7部及び結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)150部を用いた以外は、トナー粒子(1)と同様にして、トナー粒子(2)を得た。
トナー粒子(1)75部及びトナー粒子(2)25部をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー粒子(3)を得た。
トナー粒子(1)73部及びトナー粒子(2)27部をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー粒子(4)を得た。
トナー粒子(1)81部及びトナー粒子(2)19部をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー粒子(5)を得た。
トナー粒子(1)69部及びトナー粒子(2)31部をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー粒子(6)を得た。
トナー粒子(1)91部及びトナー粒子(2)9部をヘンシェルミキサーにより混合し、トナー粒子(7)を得た。
分散工程において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を293.7部用いる代わりに、非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)200部及び非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)90部を用い、融合工程において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の代わりに結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を用いた以外は、トナー粒子(1)と同様にして、トナー粒子(8)を得た。
融合工程におけるNaOH水溶液滴下後のpHを9.0に変えた以外は、トナー粒子(3)と同様にして、トナー粒子(9)を得た。
得られた上記トナー粒子100質量部に、平均粒径12nmのシリカ粒子を0.5質量部、平均粒径40nmのシリカ粒子を1.0質量部添加し、20Lのヘンシェルミキサーを用い、撹拌羽先端周速55m/sで20分間ブレンドを行い、トナー粒子表面面積に対して25cov%外添した。そして、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナーを得た。
得られたトナーにおける全トナー粒子に対する結晶性樹脂が多いトナー粒子の含有量、全トナー粒子に対する結晶性樹脂の含有量、及びトナーの融点を表2に示す。
・フェライト粒子(平均粒径;35μm) 100部
・トルエン 14部
・メチルメタクリレート−パーフルオロオクチルエチルアクリレート共重合体
(共重合比80:20、Mw:49000、臨界表面張力24mN/m)
1.6部
・カーボンブラック(キャボット社製「VXC−72」、抵抗100Ωcm以下)
0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径;0.3μm、トルエン不溶) 0.3部
<感光体表面の変摩耗に起因する画像ムラの評価>
画像形成装置としてDocuCentre−II C7500(富士ゼロックス製)を使用し、感光体ドラムを上記感光体の作製により得られたものに交換した。また、得られた上記トナーを、上記画像形成装置の現像装置に収容した。さらに、クリーニングブレードを、得られた上記ブレードに交換した。この改良された画像形成装置を用いて、室温28℃湿度50%の環境下において、エリアカバレッジ1%の画像を10万枚出力し、10万枚目に出力された画像の端部と中央部を目視で観察し、画像ムラの評価を行った。評価基準は以下のとおりであり、結果を表3に示す。
G1:画像ムラは全く確認されなかった。
G2:画像ムラがわずかに確認されたが、許容範囲である。
G3:画像ムラが顕著に確認された。
感光体の最表面層(表面保護層)の初期膜厚をあらかじめ測定しておき、初期膜厚と上記10万枚画像形成後の膜厚との差分を測定し、摩耗量(μm)を算出した。結果を表3に示す。
上記10万枚画像形成後に感光体表面を目視で観察し、フィルミングの発生の有無を確認した。評価基準は以下の通りであり、結果を表3に示す。
G1:フィルミングは全く確認されなかった。
G2:フィルミングがわずかに確認されたが、許容範囲である。
G3:フィルミングが顕著に確認された。
Claims (8)
- 架橋膜である最表面層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナー粒子が、全トナー粒子に対し10個数%以上30個数%以下であるトナーと、
前記トナーを収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された前記静電潜像を、前記トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
JIS−A硬度が65以上90以下のクリーニングブレードを備え、前記転写後に前記電子写真感光体の表面に残留した前記トナーを前記クリーニングブレードにより除去するトナー除去装置と、
を備えた画像形成装置。 - 前記電子写真感光体の前記最表面層は、電荷輸送性成分と、グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方と、を含んで構成される架橋膜であり、
前記電荷輸送性成分の前記最表面層全体に対する含有量が90質量%以上であり、
前記グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方の前記最表面層全体に対する含有量が0.5質量%以上7.0質量%以下である、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記トナーの溶融温度が125℃以上140℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 架橋膜である最表面層を有する電子写真感光体と、
結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナー粒子が、全トナー粒子に対し10個数%以上30個数%以下であるトナーと、
前記トナーを収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、前記トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
JIS−A硬度が65以上90以下のクリーニングブレードを備え、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像が記録媒体の表面に転写された後に前記電子写真感光体の表面に残留した前記トナーを前記クリーニングブレードにより除去するトナー除去装置と、
を備えたプロセスカートリッジ。 - 前記電子写真感光体の前記最表面層は、電荷輸送性成分と、グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方と、を含んで構成される架橋膜であり、
前記電荷輸送性成分の前記最表面層全体に対する含有量が90質量%以上であり、
前記グアナミン成分及びメラミン成分の少なくとも一方の前記最表面層全体に対する含有量が0.5質量%以上7.0質量%以下である、請求項4に記載プロセスカートリッジ。 - 前記トナーの溶融温度が125℃以上140℃以下である、請求項4又は請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
- 結着樹脂として少なくとも非晶性樹脂を含有するトナー粒子を含み、
前記トナー粒子のうち、結晶性樹脂を30質量%以上70質量%以下含有するトナー粒子が、全トナー粒子に対し10個数%以上30個数%以下である静電潜像現像用トナー。 - 前記静電潜像現像用トナーの溶融温度が125℃以上140℃以下である、請求項7に記載の静電潜像現像用トナー。
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