JP4076295B2 - 画像形成方法、画像形成装置及びこれらに用いられる現像剤、プロセスカートリッジ - Google Patents
画像形成方法、画像形成装置及びこれらに用いられる現像剤、プロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法等に用いられる静電荷像画像形成方法、静電荷像画像形成装置、及びこれらに用いられるプロセスカートリッジに関し、特に現像・転写後、潜像担持体上に残存した未転写トナーをクリーニング工程により回収し、再使用せしめるという系を利用した画像形成方法、画像形成装置、及びこれらに用いられるプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては各種の方法が知られているが、一般には光導電性を有する電子写真感光体(以後感光体とも云う)上に種々の手段により静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、又は圧力等により定着し複写物や印刷物を得るものである。
【0003】
上記工程において、感光体上のトナーはすべて転写されることはなく、5〜20重量パーセント程度は感光体上に残存する。このように感光体上に残ったトナー(未転写トナー)は、クリーニング工程により回収され、いわゆる廃トナーとして系外に排出され、再度使用することができなかった。
【0004】
しかし、近年、複写機やプリンターの需要が増加し、コピーボリュームの大きな機械や高速プリンターの需要が益々大きくなりつつある。こういった高速機においては廃トナーが大量に発生するため、廃棄物として処理した場合、環境汚染を招く恐れがある。このため、最近、前記廃トナーを再使用する検討、すなわち、クリーニングで回収された廃トナーの再使用に対する検討が広く行なわれつつある。前記廃トナーを再使用することが可能になれば、補給されたトナーを全て使用することができ、トナーの有効利用ができるとともに、廃トナーを保存するスペースを省略することができ、機械のコンパクト化が可能になる等のメリットもある。
【0005】
しかし、これまで廃トナーを現像工程に戻し、再度現像剤として使用した場合、反射画像濃度の低下、地カブリや反転カブリの悪化、トナー飛散の発生等の悪影響があった。
【0006】
これらの要求に対して、これまでいろいろのトナーが考案されてきた。
【0007】
例えば、特開平6−75423号公報では、トナーバインダーの分子量分布を広くして高分子量成分を増やしリサイクルトナーの特性を改善したものが提案されている。又、特開平6−75423号公報では、トナーバインダーの分子量分布成分を2山ピークにし、更に、ポリプロピレンとアミドワックスの両方をトナー中に含有させて、リサイクルトナーの特性と定着性を改善したものが提案されている。
【0008】
しかしながら、上記のような従来の粉砕系トナーを改良したトナーでは粉砕時にトナーの微粉が発生し、それを分級で除去することが困難であり最終的にトナー中に微粉トナーが残存する。この様な微粉トナーを含有したトナーを使用すると、微粉トナーは付着性が強いため、現像後、感光体から転写体に転写しにくく、このようなトナーをトナーリサイクル方式に用いると微粉トナーはクリーニングで回収されて現像部に戻されるために現像部に蓄積しやすい。現像部ではこのような微粉トナーはキャリアなどに融着しやすく、いわゆるスペント現象を引き起こし、更に現像スリーブへの融着等を引き起こし、その結果、キャリアなどの帯電付与能が低下し、トナーの帯電量の低下や帯電量分布の増大(弱帯電性トナー量の増加など)をもたらし、最終的にカブリなどを引き起こしやすくなる。
【0009】
上記のように粉砕系トナーにはリサイクル適性の改善には限界があり、リサイクルトナーに要求される性能、すなわち現像性、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性等を満足し、廃トナーをリサイクルし、再使用した場合、終始良好な画像が得られるトナーにはなっていないのが実状である。
【0010】
更に、上記の微粉トナーの問題を解決するものとして、特開昭60−31147号、特開昭60−107656号、特開昭60−117255号公報において、真球状で且つ粒度分布が小さい懸濁重合トナーが提案されている。しかしながら、前記懸濁重合トナーはシリカ等の外添剤と共にリサイクルされると真球状であるだけにトナー表面に外添剤が埋没してしまい、その結果リサイクルトナーは著しく流動性が劣化し、転写紙(紙等)へのトナー転写率が低下し、画質の劣化を発生しやすい。
【0011】
トナー形状については、上記問題を解決するために真球状よりもトナー表面に凹凸を有したものへ異形化しようとする提案がなされている。特開平7−36207号公報ではトナーの異形化のレベルを形状係数で規定した画像形成方法がこれらの問題を解決するものとして提案されているが、この中で開示されたトナーの異形化手段は従来の懸濁重合トナー表面に樹脂微粒子を付着させて異形化する方法、或いは、懸濁重合トナーを溶媒浸漬して膨潤させ、その後減圧、乾燥させ異形化する方法が開示されている。
【0012】
しかし、上記懸濁重合トナー表面の樹脂微粒子付着による異形化では表面に付着した樹脂微粒子が現像器中の現像剤撹拌時にトナー表面から離散したり、表面の樹脂微粒子に帯電電荷が集中し帯電量分布をブロードにし、仕上がり画像中のトナー飛散を多くし、文字の解像性を劣化させる。又、懸濁重合トナーを溶媒浸漬して膨潤させ表面を異形化したトナーは製造ロットの違いによるトナー特性が不安定となりやすく、仕上がり画質が安定しない等の問題がある。
【0013】
また、感光体の表面は樹脂によって被膜化されているため特に樹脂の性能が重要であり、耐久性の優れた樹脂が要望されていたが、最近になりこれらを改善する樹脂としてビスフェノールZ(ビスフェノールAの中心炭素原子をシクロヘキシル環で修飾したポリカーボネート)を骨格とするポリカーボネート樹脂(以下、ビスフェノールZポリカーボネートという)が表面層のバインダーとして一般的に使用される様になってきた。その結果、現像工程やクリーニング工程での有機感光体の表面摩耗が少なくなり、感光体表面に付着したトナーを除去しにくくなっている。
【0014】
則ち、このような感光体をリサイクル方式の画像形成装置に用いると感光体表面の微小なトナー付着を除去することができず、又これら微小トナーの一部が帯電部材等を汚染固着すること等の原因により、画像形成後の仕上がり画像は、全面に黒筋状の画像欠陥或いは白ポチが多数、あらわれるという現象が起こりやすい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決した、廃トナーを再利用するリサイクル方式に適合した、静電荷像画像形成方法、静電荷像画像形成装置、及びこれらに用いられるプロセスカートリッジを提供するものである。すなわち、本発明の目的は、トナーリサイクル方式において、長期に渡ってカブリの発生が無く、感光体に対する汚染を起こさず安定した画像を形成することのできる、静電荷像画像形成方法、静電荷像画像形成装置、及びこれらに用いられるプロセスカートリッジを提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の構成により達成される。
【0017】
1.電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像した後に、前記トナーを転写材へ転写したのち、前記電子写真感光体上に残留するトナーをクリーニングし、前記クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用する画像形成方法に於いて、前記電子写真感光体が表面層に少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有し、その含有量が表面からのXPSの測定より、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)で0.06〜0.80の範囲の有機感光体であり、前記トナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であることを特徴とする画像形成方法。
【0019】
2.上記外添剤が無機微粒子であることを特徴とする上記1に記載の画像形成方法。
【0021】
3.電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像した後に、前記トナーを転写材へ転写したのち、前記電子写真感光体上に残留するトナーをクリーニングし、前記クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用する画像形成装置に於いて、前記電子写真感光体が表面層に少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有し、その含有量が表面からのXPSの測定より、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)で0.06〜0.80の範囲の有機感光体であり、前記トナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であることを特徴とする画像形成装置。
【0023】
4.上記外添剤が無機微粒子であることを特徴とする上記3に記載の画像形成装置。
【0026】
5.電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像した後に、前記トナーを転写材へ転写したのち、前記電子写真感光体上に残留するトナーをクリーニングし、前記クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用する画像形成装置に使用されるプロセスカートリッジに於いて、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であるトナーを前記現像剤中に含有する現像器と表面層が少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有しており、その含有量は表面からのXPSの測定で、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)及び珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)が0.06〜0.80の範囲である有機感光体が少なくとも一体にユニット化されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0027】
本発明者らは上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討の結果、上記廃トナーを再利用するリサイクル方式に適合した画像形成方法として、該画像形成方法に用いる電子写真感光体が表面層に少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有し、その含有量が表面からのXPSの測定より、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)で0.06〜0.80の範囲の有機感光体であり、現像剤中のトナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であることにより達成されることを見いだした。
【0028】
則ち、本発明者らは電子写真感光体の表面層及びトナー自体の形状の均一性及びトナー表面の異型化に注目し、本発明を完成するに至ったものである。
【0029】
本発明に使用されるトナーは樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤からなるトナーである。本発明に使用されるトナーは、着色剤を含有した樹脂粒子を水系媒体中で融着させて製造してもよく、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で融着させて製造してもよい。生産の安定性の観点から、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中において融着させたトナーがより好ましい。該トナーはトナー製造時から不定形の形状を有しており、従来の懸濁重合トナーの表面処理による不定形化とは異なり、現像器中の摩擦や衝撃で微粉を発生することが無い。また、いわゆる粉砕法で調製されたトナーでは、粉砕時に発生する微粉や角張った破断面構造を有することに起因する現像器などの機械的なストレスを受けて微粉を発生する問題がある。しかし、これらと比較して融着によって形状を不定形化している本発明中のトナーでは、角張った部位も無く、均一に不定形化されているため、リサイクル工程中のの機械的ストレスによる破砕が発生することが無く、微粉トナーの発生も無いため、リサイクルトナーの再使用によってもトナーの転写率の低下やクリーニング不良を引き起こすこともない。
【0030】
さらに、水系媒体中で融着するため、微粒子トナーの発生が無く、さらにトナー粒子間の形状や表面性に差がでることも少なく、結果として帯電量分布もシャープであり、トナー飛散の少ない解像性の優れた仕上がり画像をえることができる。
【0031】
水系媒体中で融着させる方法として、例えば特開昭63−186253号公報、同63−282749号公報、特開平7−146583号公報等に記載されている方法や、樹脂粒子を塩析/融着させて形成する方法等をあげることができる。
【0032】
さらに本発明では外添剤として5〜500nmの無機微粒子を使用することが好ましい。この範囲の無機微粒子をトナーの外添剤として使用することにより、トナーに対して適切な流動性の付与が可能となり、さらにはトナーをリサイクルする際のストレスを低減することが可能となり、トナーリサイクル方式に好適なトナーを提供することができる。
【0033】
以下本発明を詳しく説明する。
【0034】
本発明中のトナーの製造に用いる樹脂粒子は重量平均粒径50〜2000nmが好ましく、これらの樹脂粒子は乳化重合、懸濁重合、シード重合等のいずれの造粒重合法によっても良いが、本発明に最も好ましく用いられるのは乳化重合法である。
【0035】
以下、樹脂粒子乳化重合の材料及び製造方法の例について記述する。
【0036】
《材料》
〔単量体〕
重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有することが好ましい。
【0037】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0038】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0039】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0041】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0042】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0043】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0044】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0045】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0046】
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0047】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
【0048】
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0049】
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0050】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0051】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4種の化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0052】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15重量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0053】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
【0054】
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、およびスチレンダイマー等が使用される。
【0055】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0056】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0057】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0058】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して乳化重合を行うためには、界面活性剤を使用して乳化重合を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0059】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
【0060】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0061】
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもかまわない。
【0062】
〔着色剤〕
着色剤としては無機顔料、有機顔料を挙げることができる。
【0063】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。どのような顔料でも使用することができるが、具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0064】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0065】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2から20重量部であり、好ましくは3から15重量部が選択される。
【0066】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点で、トナー中に20〜60重量%添加することが好ましい。
【0067】
有機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。どのような顔料でも使用することができるが、具体的な有機顔料を以下に例示する。
【0068】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0069】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0070】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0071】
これらの有機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2から20重量部であり、好ましくは3から15重量部が選択される。
【0072】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0073】
本発明で得られたトナーには、リサイクルトナーとしての適性を付与するため、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用する。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0074】
本発明で使用される無機微粒子としては粒子径が5〜500nmのものが好ましく使用できる。この粒子径は透過型電子顕微鏡観察によって観察し、画像解析によって測定された数平均一次粒子径を示す。無機微粒子を構成する材料としては、各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等があげられる。さらに、上記無機微粒子に疎水化処理をおこなったものでもよい。疎水化処理を行う場合には、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤やシリコーンオイル等によって疎水化処理することが好ましく、さらに、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましい。
【0075】
以下、疎水化処理を行う為の疎水化剤及びその処理方法を下記に記す。
【0076】
即ち、チタンカップリング剤として、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどがある。さらに、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどがあげられる。
【0077】
脂肪酸及びその金属塩としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸があげられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩があげられる。
【0078】
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどをあげることができる。
【0079】
これら化合物は、無機微粒子に対して重量で1〜10%添加し被覆することが良く、好ましくは、重量で3〜7%である。また、これらの材料を組み合わせて使用することもできる。
【0080】
又、アンモニウム塩を官能基として有するポリシロキサンで表面処理することもできる。
【0081】
さらに、上記無機微粒子としては5〜500nmの数平均一次粒子径の範囲で粒径の異なるものを併用してもよい。具体的には粒径の小さいものと大きいものとの組み合わせを使用することがよい。粒径の小さいものとしては5〜50nm程度のものを示し、粒径の大きいものは50nmを越えて500nmまでのものを示す。
【0082】
また、上記無機微粒子以外に、有機微粒子を添加してもよい。この有機微粒子の例としては、スチレン樹脂微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子等をあげることができる。
【0083】
上記樹脂微粒子としては特にその組成が限定されるものでは無い。一般的にはビニル系の有機微粒子が好ましい。この理由としては乳化重合法や懸濁重合法等の製造方法によって容易に製造することが可能であるからである。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体も単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0084】
上記樹脂微粒子の製造方法としては乳化重合法や懸濁重合法によって作製することができる。乳化重合法は、界面活性剤を含有する水中に上記単量体を添加し乳化させた後に重合する方法であり、界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として使用されている物ならば全て使用することができ、特に限定されない。さらに、反応性乳化剤の使用や、親水性単量体、例えば酢酸ビニルやアクリル酸メチル等の過硫酸塩系開始剤による重合や、水溶性単量体を共重合する方法や、水溶性樹脂やオリゴマーを使用する方法や、分解型乳化剤を使用する方法や、架橋型乳化剤を使用する方法等のいわゆる無乳化重合法も好適である。反応性乳化剤としてはアクリル酸アミドのスルフォン酸塩やマレイン酸誘導体の塩類等があげられる。無乳化重合法は残存乳化剤の影響が無く、有機微粒子を単体で使用する場合には好適である。
【0085】
樹脂微粒子を合成するために必要な重合開始剤には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系の重合開始剤があげられる。これらの添加量は単量体に対して0.1〜2重量%が好ましい。この量よりも過小であると重合反応が不足し、単量体自体の残留の問題を発生する。さらに、過多であると重合開始剤の分解物が残留し帯電性に影響を与え、さらに重合反応が早すぎるために分子量が小さくなる問題を生じる。さらに、乳化重合法等では重合開始剤として過硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム等を使用することができる。
【0086】
前記滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0087】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5重量%程度が好ましい。
【0088】
《製造工程》
本発明中の重合トナーの製造工程は、乳化重合を行い樹脂粒子を調製する乳化重合工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる。この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることで着色粒子とすることができる。
【0089】
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析し、融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析し、融着させることができる。
【0090】
また、着色剤に限らず、トナーの構成要素である、離型剤や荷電制御剤も本工程で添加することができる。
【0091】
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50重量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができるが、好ましくは樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0092】
着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、ろ過し同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
【0093】
着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製される方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
【0094】
顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくは、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が揚げられる。
【0095】
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。
【0096】
塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加し、樹脂粒子のガラス転移温度を実質的に下げることで融着を効果的に行う手法を使用してもよい。
【0097】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0098】
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
【0099】
本発明中の融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂粒子のガラス転移温度以上であると樹脂粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5℃〜55℃、好ましくは10℃〜45℃である。
【0100】
また、本発明では、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御が不可能になる問題があり、5℃/分以下が好ましい。
【0101】
ここで、本発明中の樹脂粒子を融着されて得られたトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜9μmが好ましい。このトナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTAII、コルターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTAII及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を用いて測定されたものを示す。
【0102】
また、融着によって得られたトナーの形状は、下記式で示される形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にある。更に、形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上であることが好ましい。
【0103】
形状係数=((最大径/2) 2 ×π)/投影面積
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により500倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行う。この際、500個のトナー粒子を使用して形状係数を上記算出式にて測定するものである。
【0104】
形状係数の算術平均値が1.3未満の場合は、形状が球形化してくるため、リサイクル中にトナー表面に外添剤が埋没しやすくなり、リサイクルトナーの現像性や転写率が劣化し、感光体に対する付着性が高くなり、クリーニング不良を発生しやすくなる。
【0105】
一方、形状係数の算術平均値が2.2を越える場合には、不定形化が高くなり、リサイクル中に機械的なストレスを受けた場合にトナーの破砕が発生し、微粉の発生が起こりやすくなり、この場合も現像性や転写率が劣化し、感光体に対する付着性が高くなり、クリーニング不良を発生しやすくなる。
【0106】
さらに形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子を80個数%以上とすることで、形状の分布を均一にすることができるため、より球形化されたトナーやより不定形化されたトナーの存在量を少なくすることができることから、前述の問題点を長期に渡って抑制することができる。
【0107】
〔トナー化工程〕
トナー化工程は上記で得られたトナー粒子をそのまま使用してもよいが、例えば流動性、帯電性、クリーニング性の改良を行うことを目的として、前述の外添剤を添加してもよい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0108】
また、本発明中のトナーはそれ単独で使用し、磁性あるいは非磁性一成分トナーとして使用してもよく、キャリア等の磁性粒子と混合して二成分現像剤として使用してもよい。
【0109】
なお、トナーは、着色剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には、定着性改良剤、荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は樹脂粒子を乳化重合する段階でその分散液を添加する方法、前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。好ましい方法としては、前述の樹脂粒子を乳化重合する段階で荷電制御剤粒子及び/又は定着性改良剤粒子を分散液の状態で添加する方法及び前述の塩析/融着工程で樹脂粒子及び着色剤粒子と同時に荷電制御剤粒子及び/又は定着性改良剤粒子を分散液の状態で添加し、塩析/融着させる方法が挙げられる。
【0110】
定着性改良剤としては、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどをあげることができる。
【0111】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0112】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0113】
《現像剤》
本発明に用いられる現像剤は、一成分現像剤でも二成分現像剤でもよいが、好ましくは二成分現像剤としてである。一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
【0114】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることもできる。この場合は、磁性粒子としては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0115】
キャリアは、更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0116】
《画像形成方法》
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
【0117】
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。4は被帯電体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
【0118】
図1において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源1から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー2により、図1の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ3を介して、感光体面上に照射され静電潜像を作る。感光体ドラム4は、あらかじめ帯電器5により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0119】
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器6により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写紙8に転写器7の作用により転写される。さらに感光体ドラム4と転写紙8は分離器(分離極)9により分離されるが、現像像は転写紙8に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0120】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器11にて清掃され、帯電前露光(PCL)12にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器5により、一様帯電される。
【0121】
トナーリサイクルを行うための方式としては特に限定されるものでは無いが、例えば、クリーニング部で回収されたトナーを搬送コンベアあるいは搬送スクリューによって補給用トナーホッパー、現像器あるいは補給用トナーと中間室によって混合して現像器へ供給する方法等をあげることができる。好ましくは現像器へ直接戻す方式あるいは中間室にて補給用トナーとリサイクルトナーを混合して供給する方式をあげることができる。
【0122】
次に図2に於いて、トナーのリサイクル部材斜視構成図の一例を挙げる。この方式は現像器へリサイクルトナーを直接戻す方式である。
【0123】
クリーニングブレード13で回収された未転写トナーはトナークリーニング器11内の搬送スクリュウによってトナーリサイクルパイプ14に集められ、更にこのリサイクルパイプの受け口15から現像器6に戻され、再び現像剤として使用される。
【0124】
図2は又、本発明の画像形成装置に着脱自在のプロセスカートリッジの斜視図でもある。この図2では斜視構造を判りやすくするため感光体ユニットと現像剤ユニットを分離した図面になっているが、これを全部一体化したユニットとして着脱自在に画像形成装置に搭載できる。この場合、感光体、現像器、クリーニング器及びリサイクル部材が一体となりプロセスカートリッジを構成している。
【0125】
又、上記画像形成装置は、感光体ドラムと、帯電器、現像器、クリーニング器あるいはリサイクル部材等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを搭載する形態にすることもできる。
【0126】
次に、転写紙は代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0127】
又、クリーニングブレード13は、厚さ1〜30mm程度のゴム状弾性体を用い、材質としてはウレタンゴムが最も良く用いられる。これは感光体に圧接して用いられるため熱を伝え易く、本発明においては解除機構を設け、画像形成動作を行っていない時には感光体から離しておくのが望ましい。
【0128】
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。
【0129】
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0130】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、▲1▼レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、▲2▼半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0131】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
【0132】
本発明に用いる感光体の表面物質としては、シリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−塩ビ、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されることはなく、他のモノマーからの重合体、或いは共重合、ブレンド等も使用する事ができる。特に好ましい材料としては、ポリカーボネートであり、さらに好ましい樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネートを挙げることができる。
【0133】
本発明に用いられる感光体の支持体の材質としては、特に限定されない。現在広く用いられているアルミニウム及びその合金等を用いることが出来る。
【0134】
この上に通常は、中間層(下引き層ともいう)を設けるのが普通である。これには代表的なものとしてシランカップリング剤や有機キレート化合物等よりなるセラミック系のもの、ポリアミド系樹脂等からなる樹脂系のものがある。
【0135】
下引き層の上には感光層が設けられる。感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを持つ、いわゆる機能分離型の積層構造を有するものである。
【0136】
電荷発生層(CGL)は、電荷発生物質(CGM)を必要に応じてバインダー樹脂中に分散させて形成されることが多い。CGMとしては、特に限定は無いがアゾ顔料、アントラキノン等の多環キノン顔料、キノンイミン顔料、アゾメチン顔料、シアニン顔料、ベンゾキノン顔料、ペリレン顔料、金属又は無金属フタロシアニン顔料等を用いることが出来る。また、これらは必要に応じて二種以上混合して用いてもよい。
【0137】
電荷発生層に使用可能なバインダー樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれら樹脂の繰り返し単位のうち二つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、また高分子有機半導体、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0138】
電荷輸送層(CTL)は、電荷輸送物質(CTM)を単独で、或いはバインダー樹脂とともに構成される。CTMとしては、例えばカルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。またこれらは単独でも、二種以上の混合で用いてもよい。
【0139】
また、電荷輸送層に使用可能なバインダー樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらに限定されるわけではないが、特に好ましい樹脂としてはポリカーボネート樹脂であり、さらに好ましい樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
【0140】
本発明に適用する電子写真感光体は感光体表面層となる電荷輸送層あるいは保護層に少なくともフッ素原子(F)及び珪素原子(Si)のいずれか一方を有する化合物を含有している。その感光体の表面に存在するフッ素原子又は珪素原子を有する化合物の存在量はXPSの測定によるフッ素原子又は珪素原子の炭素原子(C)に対する比で、以下の範囲にある。
F/C=0.06〜0.80
Si/C=0.06〜0.80
【0141】
以下に前記表面層に用いられる少なくともフッ素原子及び珪素原子のいずれか一方を有する化合物を例示する。
【0142】
前記表面層に用いられるフッ素原子を有する化合物の具体例としては、公知のフッ素樹脂が挙げられ、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチレンおよびそれらの共重合体の中から1種あるいは、それ以上が適宜選択される。またフッ化カーボン等も使用可能である。
【0143】
又、フッ素原子を有する重合性単量体(フッ素系重合性単量体)あるいはフッ素原子を含有しない重合性単量体(非フッ素系重合性単量体)との重合・共重合から合成されたフッ素含有セグメントを含有するブロック又はグラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー等を単独あるいは上記フッ素系樹脂との併用のかたちで用いることができる。
【0144】
特にフッ素系セグメントが連続して存在するフッ素系グラフトポリマーとの併用が、フッ素系樹脂の分散及び表面のF/C比をコントロールを容易にする上でも好ましい。
【0145】
次に表面層に用いられる珪素原子を有する化合物の具体例としては、モノメチルシロキサン三次元架橋物、ジメチルシロキサン−モノメチルシロキサン三次元架橋物、超高分子量ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有するブロックポリマー、グラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー、末端修飾ポリジメチルシロキサン等が用いられる。
【0146】
又、珪素原子を含むポリカーボネート構造を有する化合物を用いてもよい。
【0147】
上記フッ素系又はシリコン系ポリマーは添加される電荷輸送層及び/あるいは保護層の樹脂層と相溶するもの、あるいは完全に相溶しないまでも類似構造を有し、両者間に少しでも親和性があるものを選択することが好ましい。
【0148】
電子写真感光体の表面層を形成する電荷輸送層あるいは保護層に上記のフッ素系又はシリコン系ポリマーを含有させる場合は、これらのポリマー、或いは同時に存在する電荷輸送物質や他の添加剤と相溶性の良好なポリマーもバインダーとして併用される。これらの非フッ素系又は非シリコン系ポリマーの内最も良好に使用できるポリマーは芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化水素系に可溶なポリカーボネートである。
【0149】
上記ポリカーボネートの重量平均分子量は1万以上、特に2万以上であることが好ましい。
【0150】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、本実施例において「部」とは「重量部」を表す。
【0151】
着色粒子1の製造
内容積20リットルの樹脂容器に、アデカホープLS−90(旭電化社製・n−ドデシル硫酸ナトリウム)を0.90kgと純水10.0リットルを入れ撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、添加後1時間よく撹拌する。ついで、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。
【0152】
分散後、大塚電子社製・電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径は122nmであった。また、静置乾燥による重量法で測定した上記分散液の固形分濃度は16.6w/w%であった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0153】
10リットルステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.055kgを入れ、イオン交換水4.0リットルを加え、室温下撹拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Aとする。
【0154】
10リットルステンレスポットに、ニューコール565C(ノニオン系界面活性剤)0.014kgを入れ、イオン交換水4.0リットルを加え、室温下撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Bとする。
【0155】
20リットルホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)223.8gを入れ、イオン交換水12.0リットルを加え、室温下撹拌溶解する。これを、開始剤溶液Cと呼ぶ。
【0156】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Aとノニオン界面活性剤溶液Bとを入れ、撹拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0リットルを加える。
【0157】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、開始剤溶液Cを添加する。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを投入する。
【0158】
さらに、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱撹拌を行った。
【0159】
液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、これをラテックス▲1▼−Aとした。
【0160】
なお、ラテックス▲1▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0161】
新たな10リットルステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.055kgを入れ、イオン交換純水4.0リットルを加え、室温下撹拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Dと呼ぶ。
【0162】
10リットルステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)0.014kgを入れ、イオン交換純水4.0リットルを加え、室温下撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Eと呼ぶ。
【0163】
20リットルホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gを入れ、イオン交換水12.0リットルを加え、室温下撹拌溶解する。これを、開始剤溶液Fと呼ぶ。
【0164】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜(撹拌翼はファウドラー翼)に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm、固形分濃度=29.9%)3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Dとノニオン界面活性剤溶液Eとを入れ、撹拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0リットルを投入する。
【0165】
加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、開始剤溶液Fを添加する。この時、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を投入する。
【0166】
その後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱撹拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱撹拌を行った。
【0167】
液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この濾液をラテックス▲1▼−Bとした。
【0168】
なお、ラテックス▲1▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0169】
35リットルステンレスポットに塩析剤としての塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36kgとイオン交換水20.0リットルを入れ、撹拌溶解する。これを、塩化ナトリウム溶液Gとする。
【0170】
2リットルガラスビーカーにFC−170C(住友スリーエム社製、ノニオン界面活性剤)1.00gを入れ、イオン交換水1.00リットルを加えて撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Hとする。
【0171】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのSUS反応釜(撹拌翼はアンカー翼)に、上記で作製したラテックス▲1▼−A=20.0kgとラテックス▲1▼−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ撹拌する。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温する。液温度85℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、40℃以下に冷却し撹拌を停止する。目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液▲1▼とする。
【0172】
ついで、ヌッチェを用いて、会合液▲1▼よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0173】
上記で洗浄を完了したウエットケーキ状の非球形状粒子を、ヌッチェより取り出し、全紙バット5枚に、細かく砕きながら広げた。クラフト紙で覆いをかけた後、40℃の送風乾燥機で100時間乾燥した。
【0174】
乾燥を完了したブロック状の非球形状粒子を、ヘンシェル粉砕器で解砕した。
【0175】
以上のようにして得られた非球形状粒子を「着色粒子1」とする。なお、「着色粒子1」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=5.5万、軟化点=125℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=6.53μmであり、形状係数の算術平均値は1.92で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは97個数%であった。
【0176】
着色粒子2の製造
「着色粒子1」の製造において、ラテックス▲1▼−Aの製造に於けるドデシルメルカプタンを400gとし、ラテックス▲1▼−Bに於けるドデシルメルカプタンを使用しない他は同様にして、「着色粒子2」を得た。なお、それぞれのラテックスをラテックス▲2▼−A、▲2▼−Bとする。
【0177】
なお、ラテックス▲2▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.57万、重量平均粒径は115nmであった。
【0178】
なお、ラテックス▲2▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は59℃、軟化点は136℃、分子量分布は、重量平均分子量=31.5万、重量平均粒径は115nmであった。
【0179】
「着色粒子2」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=7.5万、軟化点=131℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=7.24μmであり、形状係数の算術平均値は1.87で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは94個数%であった。
【0180】
着色粒子3の製造
「着色粒子1」製造において、ラテックス▲1▼−Bの重合性単量体をスチレン=13.25kg、アクリル酸ブチル=3.21kg、アクリル酸=0.75kgへ変更した他は同様にして樹脂粒子を得た。このものをラテックス▲3▼−Bとする。なお、ラテックス▲3▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は55℃、軟化点は135℃、分子量分布は、重量平均分子量=23.1万、重量平均粒径は105nmであった。
【0181】
ついで、着色粒子1の製造に準じてラテックス▲1▼−Aとラテックス▲3▼−Bとを使用し、着色粒子を得た。なお、ここで得られた非球形状粒子を「着色粒子3」とする。
【0182】
「着色粒子3」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=6.1万、軟化点=125℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=7.24μmであり、形状係数の算術平均値は1.79で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは90個数%であった。
【0183】
着色粒子4の製造
酸性極性基含有重合樹脂の調製
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットル
のGL反応釜(撹拌翼はファウドラー翼)に、下記の成分を添加した。
【0184】
スチレンモノマー 60部
アクリル酸ブチル 40部
アクリル酸 8部
水 100部
ノニオン乳化剤(エマルゲン950) 1部
アニオン乳化剤(ネオゲンR) 1.5部
過硫酸カリウム 0.5部
上記水溶液混合物を攪拌下70℃で8時間重合させて固形分50%の酸性極性基含有樹脂エマルジョン(ラテックス4)を得た。
【0185】
トナー調製
ラテックス4 120部
カーボンブラック(リーガル330R) 5部
クロム染料(ボントロン−E81) 1部
水 200部
以上の混合物をスラッシャーで分散攪拌しながら約25℃、2時間保持した。その後、更に攪拌しながら65℃に加温して3時間保持した。冷却して得られた液状分散物をブフナー濾過、水洗し、50℃真空乾燥を10時間行い「着色粒子4」を得た。「着色粒子4」の体積平均粒径は7.5μm、形状係数の算術平均値は1.96、形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは85個数%であった。
【0186】
着色粒子5の製造
特開平7−36207号の懸濁重合トナー製造例4に従って、懸濁重合トナー製造後、メカノケミカル手法により着色粒子の表面に樹脂微粒子を融着させ、表面に凹凸を有する着色粒子を得た。
【0187】
すなわち、スチレン=165g、n−ブチルアクリレート=35g、フタロシアニンブルー=10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物=2g、スチレン−メタクリル酸共重合体=8g、パラフィンワックス(mp=70℃)=20gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した。これに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−バレロニトリル)=10gを加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。ついで、イオン交換水710gに0.1M燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて12000rpmで攪拌しながら1.0M塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、80℃にて10時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、ついで濾過、洗浄、乾燥を行って体積平均粒径が7.9μmの着色粒子を得た。ついでこの着色粒子に数平均一次粒子径が1.0μmのPMMA粒子を2.0重量%添加し、奈良機械製作所製ハイブリダイザーを使用し、周速80m/secの条件で3分間メカノミル処理を実施し、着色粒子表面に凹凸を形成し、「着色粒子5」を得た。このものの形状係数の算術平均値は1.19であり、形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは10個数%であった。
【0188】
着色粒子6の製造
スチレンアクリル樹脂=100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3000)=4部とを溶融、混練、粉砕、分級して体積平均粒径が6.9μmの着色粒子を得た。このものの形状係数の算術平均値は2.13であり、形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは26個数%であった。このものを「着色粒子6」とする。
【0189】
上記「着色粒子1」から「着色粒子6」に対して下記一覧表に示す外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合してそれぞれのトナーを調製した。
【0190】
【表1】
【0191】
(1)数平均一次粒子径=12nmの疎水性シリカ(ジメチルジクロロシラン処理)
(2)数平均一次粒子径=7nmの疎水性シリカ(ヘキサメチルジシラザン処理)
(3)数平均一次粒子径=12nmの疎水性シリカ(オクチルトリメトキシシラン処理)
(4)数平均一次粒子径=25nmの疎水性チタニア(オクチルトリメトキシシラン処理)
(5)数平均一次粒子径=12nmの疎水性シリカ(ジメチルシリコーンオイル処理)
(6)数平均一次粒子径=45nmの疎水性シリカ(ジメチルシリコーンオイル処理)
(7)数平均一次粒子径=180nmの疎水性チタニア(オクチルトリメトキシシラン処理)
(8)数平均一次粒子径=280nmの疎水性チタニア(オクチルトリメトキシシラン処理)
(9)数平均一次粒子径=430nmの疎水性チタニア(ステアリン酸処理)
(10)数平均一次粒子径=560nmの疎水性チタニア(オクチルトリメトキシシラン処理)
また、これらトナーとスチレンアクリル樹脂を被覆した体積平均粒径が45μmのフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤をそれぞれ調製し、下記現像剤を調製した。
【0192】
【表2】
【0193】
評価
トナーリサイクル方式を備えたコニカ製デジタル複写機7033(A4紙:33枚/分)を用いて評価。感光体としては7033用OPCを改良した下記積層型有機感光体を使用した。
【0194】
感光体Aの製造例
(直径が60mmのドラムのアルミニウム支持体上に下引層、電荷発生層、電荷輸送層、第2電荷輸送層の順の層構成)
感光体の構成を下記に示す。
【0195】
1:下引層塗布液
チタンキレート化合物「TC−750」(松本製薬(株)製) 30部
シランカップリング剤「KBM−503」(信越化学(株)製) 17部
2−プロパノール 150部
アルミニウム支持体上に上記塗布液を乾燥膜厚0.8μmになるように塗布し、
次に上記下引き層上に、下記CGL塗布液(サンドミルを用いて20時間分散)を分散調液し、乾燥膜厚0.5μmとなるよう塗布してCGLを得た。
【0196】
2:CGL塗布液
上記CGL上に下記のCTL塗布液を乾燥膜厚23μmになるように塗布した後、100℃、1時間乾燥してCTLを形成した。
【0197】
3:CTL塗布液
次に、上記塗布液をサンドミルにて分散混合溶解した。これを円形スライド塗布により上記CTL上に塗布し、乾燥膜厚5μmの表面層を設け感光体ドラムAを作製した。
【0198】
感光体ドラムAの表面元素分析を行った。感光体ドラムAの表面は、F原子8.3%,C原子74.3%であり、F/C比は0.11であった。
【0199】
【化1】
【0200】
感光体ドラムBの製造例
アルミシリンダー、導電層、下引き層、CTL層までは感光体ドラムAと同じものを用意した。
【0201】
次に、第2のCTLとして、下記の塗布液をサンドミルにて分散混合溶解し、これを円形スライド塗布により上記CTL上に塗布し、乾燥膜厚5μmの表面層を設け感光体ドラムBとした。
【0202】
4B:第2のCTL塗布液
感光体ドラムBの表面元素分析を行った。感光体ドラムBの表面は、Si原子、8.4%,C原子77.3%であり、Si/C比は0.11であった。
【0203】
【化2】
【0204】
感光体ドラムC〜Fの製造例
感光体ドラムAの製造例に於いて、第2のCTL塗布液のフッ化カーボンの添加量を変化させて下記表面組成の感光体を得た
感光体C:F/C比=0.02
感光体D:F/C比=0.56
感光体E:F/C比=0.71
感光体F:F/C比=0.93
感光体ドラムG〜Jの製造例
感光体ドラムBの製造例に於いて、第2のCTL塗布液の真球状三次元架橋ポリシロキサン微粒子の添加量を変化させて下記表面組成の感光体を得た
感光体G:Si/C比=0.02
感光体H:Si/C比=0.53
感光体I:Si/C比=0.73
感光体J:Si/C比=0.98
感光体帯電条件
帯電器;スコロトロン
帯電圧;感光体帯電電位(初期帯電電位)720V
現像条件
DCバイアス ;−500V
Dsd(感光体と現像スリーブ間距離);600μm
現像剤層規制 ;磁性H−Cut方式
現像剤層厚 ;700μm
現像スリーブ径;40mmφ
また、定着方法としては、熱ロール定着を使用し、感光体に残留する未転写トナーはブレードクリーニング方式で回収し、図2で示したリサイクル部材で現像器に戻し再利用した。
【0205】
使用する転写紙としては連量が55kgの用紙を使用し、縦方向に画像を形成した。また、画像形成条件としては高温高湿環境(33℃/85%RH)にて画素率が2%の低い印字率の線画を使用し、2枚間欠で印字を50000枚実施した。その初期と最終50000枚時点でベタ黒、ベタ白、ハーフトーンの画像を印字し、それらの画像を使用して画質評価を実施した。それらの画像を使用し、画像濃度、カブリ濃度及びハーフトーンの均一性を評価した。画像濃度はマクベス社製RD−918を使用し、絶対反射濃度を測定した。カブリ濃度は紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定を行った。また、ハーフトーンの均一性は目視にて判断し、ハーフトーン画像の均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0206】
ランクA:ムラの無い均一な画像
ランクB:スジ状の薄いムラが存在
ランクC:スジ状の薄いムラが数本存在
ランクD:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在
上記評価を表3に示す現像剤及び感光体の組み合わせで評価を実施した。
【0207】
評価結果を表4に示す。
【0208】
【表3】
【0209】
【表4】
【0210】
【発明の効果】
表面層が少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有し、その含有量が表面からのXPSの測定より、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)で0.06〜0.80の範囲の有機感光体と、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であるトナーを組み合わせて用いることにより、トナーリサイクル方式の画像形成に於いて、5万枚の複写後もカブリの発生もなく、画像濃度やハーフトーン画質の劣化も少なく顕著な効果を奏することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す断面構成図。
【図2】トナーのリサイクル部材斜視構成図。
【符号の説明】
1 半導体レーザ光源
2 ポリゴンミラー
3 fθレンズ
4 感光体ドラム
5 帯電器
6 現像器
7 転写器
8 転写紙
9 分離極
10 定着器
11 クリーニング器
12 帯電前露光(PCL)
13 クリーニングブレード
14 トナーリサイクルパイプ
15 リサイクルパイプの受け口
Claims (5)
- 電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像した後に、前記トナーを転写材へ転写したのち、前記電子写真感光体上に残留するトナーをクリーニングし、前記クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用する画像形成方法に於いて、前記電子写真感光体が表面層に少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有し、その含有量が表面からのXPSの測定より、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)で0.06〜0.80の範囲の有機感光体であり、前記トナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であることを特徴とする画像形成方法。
- 上記外添剤が無機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像した後に、前記トナーを転写材へ転写したのち、前記電子写真感光体上に残留するトナーをクリーニングし、前記クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用する画像形成装置に於いて、前記電子写真感光体が表面層に少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有し、その含有量が表面からのXPSの測定より、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)で0.06〜0.80の範囲の有機感光体であり、前記トナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であることを特徴とする画像形成装置。
- 上記外添剤が無機微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像した後に、前記トナーを転写材へ転写したのち、前記電子写真感光体上に残留するトナーをクリーニングし、前記クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用する画像形成装置に使用されるプロセスカートリッジに於いて、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させた着色粒子と外添剤を含有し、形状係数の算術平均値が1.3〜2.2であるトナーを前記現像剤中に含有する現像器と表面層が少なくともフッ素原子(F)又は珪素原子(Si)を有する化合物を含有しており、その含有量は表面からのXPSの測定で、炭素原子(C)に対するフッ素原子(F)及び珪素原子(Si)の比(F/C又はSi/C)が0.06〜0.80の範囲である有機感光体が少なくとも一体にユニット化されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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