JP3944620B2 - 磁性一成分画像形成方法とそれに用いる磁性一成分現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法とそれに用いる現像剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成技術の発達は著しく、その中で最も多く用いられているのは、電子写真方式に代表される静電画像形成方法に属するものである。
【0003】
その理由は、電子写真方式等の静電画像形成方法は、高画質画像を高速で得られること、長期間の使用にも耐える耐久性、安定性を有していることによるであろう。しかし、パーソナルコンピュータ等関連技術の性能向上に伴い、要求される性能レベルは年々高くなり、その要求を満たすためにはさらなる改良、性能アップが必要になってきている。
【0004】
また、電子写真現像剤としてはいわゆるトナーとキャリアとからなる二成分現像剤と磁性トナーのみからなる磁性一成分現像剤がある。磁性一成分現像剤を用いる現像方式の画像形成方法は、キャリアを使用する必要が無いため、キャリアとトナーを混合するための撹拌装置が不要で、トナーとキャリアの混合比を一定にするための装置を必要としない。このため、現像装置が簡便になることから、装置全体を小型化できる等の利点があるため、特に小型の電子写真方式の静電画像形成方法としていわゆるプリンタなどに好適に使用され、種々の技術開発がなされている。
【0005】
例えば、この方面では特開平4−284461号公報、特開平5−66604号公報及び特開平6−250446号公報に記載されたもの等がある。しかしながら、この方式を用いる場合、長時間使用するとやはりカブリ等の発生がみられ、この解決策が求められている。
【0006】
いわゆる上記磁性一成分方式では二成分現像剤とは異なり、キャリアの様なトナーに対する帯電付与部材が無いため、例えば現像剤担持体(いわゆる現像スリーブ)や現像剤層規制部材等との摩擦帯電によってトナー自体が摩擦帯電されて電荷を保持することになる。しかし、従来のいわゆる粉砕法トナーでは、この現像剤担持体や現像剤層規制部材との間で摩擦のストレスを受けてトナーや微粉が現像剤担持体や現像剤層規制部材に付着し、結果としてそれらの帯電付与能を低下させる問題が発生し、結果としてカブリなどの問題を引き起こしているものと推定される。
【0007】
上記の微粉トナーの問題を解決するものとして、特開昭60−31147号、特開昭60−107656号、特開昭60−117255号の各公報において、真球状で且つ粒度分布が小さい懸濁重合トナーが提案されている。しかしながら、該懸濁重合トナーは真球状のものであるため、トナー層規制部材から搬送過多となりやすく、帯電性の付与が充分になされない場合がある。さらに、真球状のものでは感光体に対する付着性が強いために、クリーニングしにくい問題点もある。
【0008】
このため、トナー形状について、上記問題を解決するために真球状よりもトナー表面に凹凸を有したものへ異形化しようとする提案がなされている。特開平7−36207号公報ではトナーの異形化のレベルを形状係数で規定した画像形成方法がこれらの問題を解決するものとして提案されているが、この中で開示されたトナーの異形化手段は従来の懸濁重合トナー表面に樹脂粒子を付着させて異形化する方法、或いは、懸濁重合トナーを溶媒浸漬して膨潤させ、その後減圧、乾燥させ異形化する方法が開示されている。
【0009】
しかし、上記懸濁重合トナー表面の樹脂粒子付着による異形化では表面に付着した樹脂粒子がトナー搬送部材及びトナー層規制部材との摩擦ストレスによってトナー表面から離散したり、表面の樹脂粒子に帯電電荷が集中し帯電量分布がブロードになりやすく、文字の解像性を劣化させる。又、懸濁重合トナーを溶媒浸漬して膨潤させ表面を異形化したトナーは製造ロットの違いによるトナー特性が不安定となりやすく、画像が安定しない等の問題がある。
【0010】
この結果、簡便で有用な技術である磁性一成分現像方式では長期に亘って安定した画像を形成することが実用上達成できていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、磁性一成分現像剤を用いる非接触現像方式における長期の使用においても、カブリ発生、画像濃度低下、画質低下等の画像欠陥を発生することがない画像形成方法とそれに用いる現像剤を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、以下の構成の何れかにより達成される。
【0013】
〔1〕 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に於いて、該現像剤が少なくとも磁性粒子と樹脂粒子とを水系媒体中で融着させてなるトナーを含む磁性一成分現像剤であり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあることを特徴とする磁性一成分画像形成方法。
【0014】
〔2〕 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に於いて、該現像剤が少なくとも磁性粒子を含む樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなるトナーを含む磁性一成分現像剤であり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあることを特徴とする磁性一成分画像形成方法。
【0015】
〔3〕 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に用いる磁性一成分現像剤に於いて、該現像剤が少なくとも球形磁性粒子と樹脂粒子とを水系媒体中で融着させてなり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあるトナーを含むことを特徴とする磁性一成分現像剤。
【0016】
〔4〕 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に用いる磁性一成分現像剤に於いて、該現像剤が少なくとも球形磁性粒子を含む樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあるトナーを含むことを特徴とする磁性一成分現像剤。
【0017】
本発明の効果が得られる理由については、必ずしも明らかではないが、発明者等は次のように考えている。
【0018】
非接触で行う磁性一成分現像では、現像剤は薄層に形成し現像領域に搬送する必要がある。これにより現像剤の帯電量の立ち上がり特性がよく、しかも帯電量分布を均一にすることが出来る。しかし、薄層形成されているため現像剤担持体上に形成された現像剤(トナーということもある)が、完全に現像されず残留した現像剤がある場合には、現像剤層規制部材により繰り返しストレスを受け、トナーが粉砕されたり、新しいトナーとの交換が十分行われない。しかも新しいトナーが供給され、そのものとの摩擦が発生するため、トナー相互の摩擦帯電となり、逆極性トナーが発生しやすくなるためにカブリが発生するという問題を引き起こすことになる。
【0019】
本発明はこの問題を解決するために提案されたもので、いわゆる水系媒体中で調製された重合法トナーで、且つ樹脂粒子と磁性粒子あるいは磁性粒子を含有する樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなるトナーを使用することによって、本発明の課題を解決することができることを見出したものである。
【0020】
すなわち、本発明のトナーは、均一な表面性を維持しつつ、形状を不定形化することが出来る方法であり、この方法を用いたトナーを非接触の磁性一成分現像方式に用いるというものである。
【0021】
本発明に係わるトナーは微細な凹凸を有し、全体としては均一な表面性を有している。本発明者等は、水系媒体中で樹脂粒子を融着させて形成されたトナーを使用することによって、現像剤担持体からのトナーの入れ替え性を向上することができることを見出し本発明が完成された。
【0022】
重合法トナーは水系媒体でトナーを一段で調製するもので、従来の粉砕法トナーとは異なり、破断などで形成された表面状態は無く、均一な表面を得ることができ、その結果、帯電性が均一でシャープな帯電量分布を有するトナーを調製することができる。
【0023】
しかし、その中で懸濁重合法トナーでは球形のトナーとなるため、そのトナー表面の電荷密度が高くなることから、現像剤担持体との付着性が高くなり、結果として未現像のトナーの入れ替えが悪くなり、現像剤担持体に長期に亘って残留するトナーが発生する。その結果、やはり新しいトナーとの摩擦帯電により、カブリを発生する問題がある。
【0024】
本発明のトナーは合成された樹脂粒子を融着させて造られているため、粒径がそろっていて、しかも表面には凹凸があり、トナーの帯電量(Q/M)も極めて均一で、トナー粒子中での電荷の集中もなくそれだけ不均一な付着力も生じないことになる。
【0025】
これに対し従来広く用いられてきたいわゆる粉砕トナーは、分級しても粒径のバラツキが大きく、トナーごとの組成も均一にすることが困難であるため、トナー間での帯電量のバラツキも大きい。従って、現像剤担持体への付着力もトナー間で異なり、分布を有しやすい。特に粉砕法トナーでは粉砕時にいわゆる微粉が発生しやすいがこのものは粒子径が小さいために付着性が強く、分級工程でも完全には分離することができにくい。この性質を有する微粉は、現像剤担持体などとの摩擦によって付着すると極めて現像剤担持体から遊離しにくく、繰り返し摩擦を受けることで結果的に融着してしまう現象が発生する。その結果、トナーと同じ性質を有する素材が付着することとなり、トナーに対する摩擦帯電性が大幅に低下し、トナーの帯電性を下げる結果となる。この現象によりカブリ等の画像欠陥の発生が引き起こされていく。現像剤層規制部材に対する影響も同様に発生するものと推定される。
【0026】
本発明のトナーは水系媒体中で融着させてなるトナーであることから、微粉の存在が無いために、現像剤担持体や現像剤層規制部材に対して付着性の高い微粉を含有しておらず、これらを汚染することが無く、結果として長期に亘って安定した帯電性付与を維持することができるものである。
【0027】
次に本発明に用いられる素材、要件、装置等につきさらに説明する。
【0028】
本発明に使用されるトナーは樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーである。
【0029】
着色剤(磁性粒子)を含有した樹脂粒子を水系媒体中で融着させて製造してもよいが、磁性粒子を内包した樹脂粒子を調製する際の重合安定能の問題、及びトナー生産に於ける安定化の観点から、樹脂粒子と磁性粒子さらには離型剤粒子を水系媒体中において融着させたトナーがより好ましい。該トナーはトナー製造時から表面に凹凸がある形状を有しており、さらに、水系媒体中で融着するため、粒子間の形状や表面性に差がでることも少なく、結果として帯電量分布もシャープであり、トナー飛散の少ない解像性の優れた仕上がり画像をえることができる。又、これが本発明の効果に大きく寄与しているであろうことは先に記載した通りである。
【0030】
水系媒体中で融着させる方法として、例えば特開昭63−186253号、同63−282749号、特開平4−284461号及び特開平7−146583号の各公報等に記載されている方法や、樹脂粒子を塩析/融着させて形成する方法等を挙げることができる。
【0031】
本発明のトナーの製造に用いる樹脂粒子は重量平均粒径50〜2000nmが好ましく、これらの樹脂粒子は乳化重合、懸濁重合、シード重合等のいずれの造粒重合法によっても良いが、本発明に最も好ましく用いられるのは乳化重合法である。
【0032】
以下、樹脂粒子の材料及び製造方法の例について記述する。
【0033】
《材料》
〔単量体〕
重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類合有することが好ましい。
【0034】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0035】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0036】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノエルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェエル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0038】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0039】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0041】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0042】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0043】
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0044】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
【0045】
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基合有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0046】
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0047】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0048】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0049】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15重量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0050】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
【0051】
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、およびスチレンダイマー等が使用される。
【0052】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0053】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0054】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが、例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0055】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して乳化重合を行うためには、界面活性剤を使用して乳化重合を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0056】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0057】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0058】
本発明において、これらは主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0059】
〔着色剤及び磁性粒子〕
本発明に用いられる磁性粒子としては、着色剤と兼用することができる。また、その形状としては球形のものがよい。
【0060】
この理由としては、粒子を水系媒体中で融着させてなるため、その表面性が球状であることによって電気二重層の形成が安定となり、融着が均一にできる。また、樹脂粒子中に存在させる場合でも、球形であることによって、磁性粒子の表面を均一にモノマー(単量体)でぬらすことが可能となり、磁性粒子の脱離を発生することが無く、安定した磁性粒子を含む樹脂粒子を調製することができる。
【0061】
ここにおいて磁性粒子が球形とは長軸と短軸の比率が1.0〜0.80程度のものである。実際の測定には電子顕微鏡観察で10,000倍に拡大し、その500個をランダムにサンプリングして測定した値の平均値によって判別する。
【0062】
本発明で用いられる磁性体は、数平均一次粒子径が0.05〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.4μmのものがよい。
【0063】
本発明に好ましく含有される磁性粒子としては、磁場の中に置かれて磁化される鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末、もしくはマグネタイト、γ−Fe203、フェライトなどの合金や化合物が使用出来る。これらの磁性粒子は窒素吸着法によるBET比表面積が、好ましくは1〜20m2/g、特に2.5〜12m2/gがよく、例えば特公平1−40976号公報記載のもの等がこのましい。現像剤へのこれらの磁性粒子含有量は、重量で20〜80重量%、好ましくは30〜50重量%がよい。
【0064】
着色剤としては、前記した磁性粒子のみでもよいが、必要により無機顔料、有機顔料を併用することもできる。
【0065】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0066】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック等が用いられる。
【0067】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0068】
本発明で得られたトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0069】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0070】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0071】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0072】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0073】
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0074】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5重量%程度が好ましい。
【0075】
《製造工程》
本発明の重合トナーの製造工程は、乳化重合を行い樹脂粒子あるいは磁性粒子を含有する樹脂粒子を調製する重合工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子と磁性粒子あるいは磁性粒子を含有する樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より漬過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる、この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることでさらに着色させることができる。
【0076】
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析し、融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析し、融着させることができる。
【0077】
また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
【0078】
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の合有量が50重量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができる。樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0079】
磁性体分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0080】
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。
【0081】
塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び磁性粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加し、樹脂粒子のガラス転移温度を実質的に下げることで融着を効果的に行う手法を使用してもよい。
【0082】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0083】
本発明の融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂粒子のガラス転移温度以上であると樹脂粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題がある。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
【0084】
また、本発明では、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。
【0085】
ここで、本発明の融着されて得られたトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜9μmが好ましい。これらのトナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を用いて測定されたものを示す。
【0086】
また、融着によって得られたトナーの形状は、下記式で示される形状係数が1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上であることが好ましい。
【0087】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により500倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行う。この際、500個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定するものである。
【0088】
形状係数の算術平均値が1.3未満の場合は、形状が球形化してくるため、いわゆる感光体に対する付着性が高くなり、クリーニング不良を発生しやすくなる。さらに、球形であることからトナーの現像領域への搬送が不安定になり、画像ムラを発生する問題が起こりやすい。
【0089】
一方、形状係数が2.1を越える場合には、不定形化が高くなり、機械的なストレスを受けた場合にトナーの破砕が発生し、微粉の発生が起こりやすくなり、本発明の磁性一成分現像では現像剤担持体や現像剤層規制部材に対する汚染を引き起こしやすくなり、トナーの帯電性の低下によるカブリなどの画像欠陥が起こりやすくなる。
【0090】
さらに形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上とすることで、形状の分布を均一にすることができるため、より球形化されたトナーやより不定形化されたトナーの存在量を少なくすることができることから、前述の問題点を長期に亘って抑制することができる。
【0091】
〔トナー化工程〕
トナー化工程は上記で得られたトナー粒子をそのまま使用してもよいが、例えば流動性、帯電性、クリーニング性の改良を行うことを目的として、前述の外添剤を添加してもよい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0092】
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は樹脂粒子を乳化重合する段階でその分散液を添加する方法、前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。好ましい方法としては、前述の樹脂粒子を乳化重合する段階で荷電制御剤粒子及び/又は離型剤粒子を分散液の状態で添加する方法及び前述の塩析/融着工程で樹脂粒子及び着色剤粒子と同時に荷電制御剤粒子及び/又は離型剤粒子を分散液の状態で添加し、塩析/融着させる方法が挙げられる。
【0093】
尚、離型剤としては、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナウバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどをあげることができる。これらは離型剤粒子として加えられ、樹脂や着色剤と共に塩析/融着させることが好ましいことはすでに述べた。
【0094】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0095】
これら離型剤や荷電制御剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0096】
《現像剤》
本発明に用いられる現像剤(トナー)は、先に述べた通り磁性一成分現像剤(磁性一成分トナー)である。
【0097】
《画像形成方法》
本発明に使用される画像形成方法は、静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する画像形成方法である。
【0098】
静電潜像保持体としては各種感光体を使用することができる。具体的にはセレン、砒素セレン、セレンテルル、アモルファスシリコンなどの無機感光体や電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層型有機感光体や、電荷輸送物質と電荷発生物質の混合からなる単層構成の有機感光体などをあげることができる。
【0099】
特に好ましい感光体としてはアモルファスシリコン感光体あるいは積層型有機感光体である。
【0100】
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。
【0101】
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0102】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、▲1▼レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、▲2▼半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0103】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
【0104】
本発明に用いる有機感光体の表面物質としては、シリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−塩ビニル、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されることはなく、他のモノマーからの重合体、或いは共重合、ブレンド等も使用する事ができる。特に好ましい材料としては、ポリカーボネートであり、さらに好ましい樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネートを挙げることができる。
【0105】
有機感光体の支持体の材質としては、特に限定されない。現在広く用いられているアルミニウム及びその合金等を用いることが出来る。
【0106】
この上に通常は、中間層(下引き層ともいう)を設けるのが普通である。これには代表的なものとしてシランカップリング剤や有機キレート化合物等よりなるセラミック系のもの、ポリアミド系樹脂等からなる樹脂系のものがある。
【0107】
下引き層の上には感光層が設けられる。感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを持つ、いわゆる機能分離型の積層構造を有するものである。
【0108】
電荷発生層(CGL)は、電荷発生物質(CGM)を必要に応じてバインダー樹脂中に分散させて形成されることが多い。CGMとしては、特に限定は無いがアゾ顔料、アントラキノン等の多環キノン顔料、キノンイミン顔料、アゾメチン顔料、シアニン顔料、ベンゾキノン顔料、ペリレン顔料、金属又は無金属フタロシアニン顔料等を用いることが出来る。また、これらは必要に応じて二種以上混合して用いてもよい。
【0109】
電荷発生層に使用可能なバインダー樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれら樹脂の繰り返し単位のうち二つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、また高分子有機半導体、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0110】
電荷輸送層(CTL)は、電荷輸送物質(CTM)を単独で、或いはバインダー樹脂とともに構成される。CTMとしては、例えばカルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。またこれらは単独でも、二種以上の混合で用いてもよい。
【0111】
また、電荷輸送層に使用可能なバインダ樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらに限定されるわけではないが、特に好ましい樹脂としてはポリカーボネート樹脂であり、さらに好ましい樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
【0112】
本発明に適用する電子写真感光体は感光体表面層となる電荷輸送層及び/あるいは保護層にフッ素原子を有する化合物及び/あるいはシリコーン原子を有する化合物を含有していることが好ましい。その感光体の表面に存在するフッ素原子及び/又は珪素原子を有する化合物の存在量はXPSの測定によるフッ素原子及び/又は珪素原子の炭素原子に対する比で
F/C=0.03〜1.00
Si/C=0.03〜1.00
の範囲にあるものが好ましい。さらに好ましくは、
F/C=0.06〜0.80
Si/C=0.06〜0.80
である。
【0113】
以下に前記表面層に用いられるフッ素原子及び/あるいはシリコーン原子を有する化合物を例示する。
【0114】
表面層に用いられるフッ素原子を有する化合物の具体例としては、公知のフッ素樹脂が挙げられ、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチレンおよびそれらの共重合体の中から1種あるいは、それ以上が適宜選択される。またフッ化カーボン等も使用可能である。
【0115】
又、フッ素原子を有する重合性単量体(フッ素系重合性単量体)あるいはフッ素原子を含有しない重合性単量体(非フッ素系重合性単量体)との重合・共重合から合成されたフッ素含有セグメントを含有するブロック又はグラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー等を単独あるいは上記フッ素系樹脂との併用のかたちで用いることができる。
【0116】
特にフッ素系セグメントが連続して存在するフッ素系グラフトポリマーとの併用が、フッ素系樹脂の分散及び表面のF/C比をコントロールを容易にする上でも好ましい。
【0117】
次に本発明に用いられるシリコン原子を有する化合物の具体例としては、モノメチルシロキサン三次元架橋物、ジメチルシロキサン−モノメチルシロキサン三次元架橋物、超高分子量ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有するブロックポリマー、グラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー、末端修飾ポリジメチルシロキサン等が用いられる。
【0118】
又、シリコーン原子を含むポリカーボネート構造を有する化合物を用いてもよい。
【0119】
上記フッ素系又はシリコーン系ポリマーは添加される電荷輸送層及び/あるいは保護層の樹脂層と相溶するもの、あるいは完全に相溶しないまでも類似構造を有し、両者間に少しでも親和性があるものを選択することが好ましい。
【0120】
本発明の表面層を形成する電荷輸送層あるいは保護層に上記のフッ素系又はシリコーン系ポリマーを含有させる場合は、これらのポリマー、或いは同時に存在する電荷輸送物質や他の添加剤と相溶性の良好なポリマーもバインダーとして併用される。これらの非フッ素系又は非シリコーン系ポリマーの内最も良好に使用できるポリマーは芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化水素系に可溶なポリカーボネートである。
【0121】
上記ポリカーボネートの重量平均分子量は1万以上、特に2万以上であることが好ましい。
【0122】
現像剤担持体としては内部に固定された磁石を配置したスリーブで構成されており、そのスリーブが回転することによって現像剤(トナー)を現像領域に搬送するものである。その材質としてはステンレス、アルミが好ましい。特に好ましい例としてはアルミスリーブ表面に導電性カーボンを分散したフェノール樹脂を被覆したものをあげることができる。スリーブの径としては10〜50mmが好ましい。
【0123】
現像剤層規制部材はトナー層を現像剤担持体上に均一に規制するためのもので、磁性を有する板状のものや非磁性の板状のものを使用して現像剤担持体との間に一定の間隙を構成してトナー層を規制する方式、あるいはウレタン等のゴム弾性を有する部材を現像剤担持体に当接する方式、さらには燐青銅板などの弾性を有する金属板を現像剤担持体に当接する方式などをあげることができる。
【0124】
現像剤層は現像剤担持体と静電潜像担持体との間隙(a)よりも薄い層で現像剤担持体に搬送される。間隙(a)の好ましい範囲は100〜500μmであり、現像剤層はこの間隙よりも薄く搬送され、概ね50〜300μmの層で搬送されることが好ましい。
【0125】
さらに、この現像剤担持体と静電潜像保持体との間には交番電界を印加することが好ましい。この交番電界を印加することによってトナーを有効に飛翔させることができる。この交番電界の条件は、交流周波数fが200〜4,000Hzであり、交流電圧Vppが500〜3,000Vであることが好ましい。この交番電界を使用する場合にはトナーとして均一な帯電性と磁性を有していることが必要である。すなわち、トナー間で磁性や帯電性に分布を有している場合には交番電界による弱帯電性トナーなどの引き戻し効果が相殺され、結果として画質を向上する効果が低下する。本発明の様な水系媒体中で融着させることで形成されたトナーが有する形状の均一性や磁性の均一性によって画質をさらに向上することができるものである。
【0126】
以下、本発明の画像形成方法の現像装置について具体的に説明する。
【0127】
尚、現像剤担持体を以下スリーブ、現像剤層厚規制部材を各種のブレードと称することがある。
【0128】
図1に示した装置において、現像剤層規制部材(磁性ブレード)11、及び多極永久磁石14を内包している現像スリーブ4を具備する現像装置を用い、磁性一成分現像剤(トナー粒子)10を用いて潜像を現像する。
【0129】
現像剤層規制部材としての磁性ブレードは、取り付け精度の割に層厚の規制精度が高いので、好ましい現像剤層規制部材といえる。しかし、薄層に精度よく層規制することが出来る方式であれば、特に限定せず用いることが出来る。
【0130】
現像部においては、静電潜像保持体(感光ドラム)1の導電性基体(支持体)16及び現像スリーブ4との間に、バイアス印加手段12により交番電界及び/又は直流バイアスが印加されている。
【0131】
尚、図示していないが、転写紙が搬送されて転写部にくると、転写帯電器により、転写紙の背面(感光ドラム側と反対面)からの帯電がされ、感光ドラムの表面上のトナー像が転写紙(記録材)上へ静電転写される。感光ドラムから分離された転写紙は加熱加圧ローラ定着器に導かれ、該定着器により転写紙上の現像剤画像は定着される。転写工程後の感光ドラム1に残留する現像剤は、クリーニングブレードを有するクリーニング器で除去される。クリーニング後の感光ドラムは、帯電前露光により除電され、再度、上記した一次帯電器による帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0132】
図1の説明に戻り、感光ドラム(静電潜像保持体)1は、表面層である感光層15及び導電性基体16を有し、矢印方向に動く。現像剤担持体である非磁性円筒の現像スリーブ4は、現像部において静電潜像保持体表面と同方向に進む様に回転する。現像スリーブ4の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)14が回転しない様に配置されている。現像器9内にある本発明の画像形成方法に使用する磁性一成分現像剤は、磁性ブレード11によって現像スリーブ4の表面上に薄く塗布され、その摩擦によリトナー粒子10は電荷が与えられる。
【0133】
現像部において現像剤担持体4と静電潜像保持体1との間で交番電界をかけるが、この交流バイアスの条件は、交流周波数fが200〜4,000Hzであり、交流電圧Vppが500〜3,000Vであることが好ましい。
【0134】
現像部分における現像剤(トナー)の転移に際し、静電潜像保持体面の静電的力及び交流バイアスの作用によって現像剤粒子は、静電像側に転移する。又、現像剤容器内には、現像剤容器内攪拌手段13を備えていることが好ましく、現像剤容器9内の現像剤10を積極的に現像スリーブ4近傍へ送ることで、現像剤切れ寸前まで均一な現像剤層を形成させることが出来る。
【0135】
【実施例】
次に、本発明の実施態様を具体的に述べるが、本発明はこの態様に限定されるものではない。なお、文中「部」とは「重量部」を表す。
【0136】
実施例1
内容積20L(リットル)の樹脂容器に、アデカホープLS−90(旭電化社製・n−ドデシル硫酸ナトリウム)を0.90kgと純水10.0Lを入れ撹拌溶解する。この液に、攪拌下、形状係数=0.85、数平均一次粒径=0.2μm、BET値=7.2m2/gのマグネタイト粒子3.0kgを徐々に加え、添加後1時間よく攪拌する。ついで、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、2時間連続分散した。この分散液を「磁性粒子分散液1」とする。
【0137】
10Lステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.055kgを入れ、イオン交換水4.0Lを加え、室温下攪拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Aとする。
【0138】
10Lステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)0.014kgを入れ、イオン交換水4.0Lを加え、室温下攪拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Bとする。
【0139】
20Lホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)223.8gを入れ、イオン交換水12.0Lを加え、室温下攪拌溶解する。これを、開始剤溶液Cと呼ぶ。
【0140】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100LのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Aとノニオン界面活性剤溶液Bとを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0Lを加える。
【0141】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、開始剤溶液Cを添加する。その後、液温度を75±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを投入する。
【0142】
さらに、液温度を80±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。
【0143】
液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、これをラテックス▲1▼−Aとした。
【0144】
なお、ラテックス▲1▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0145】
新たな10Lステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.055kgを入れ、イオン交換純水4.0Lを加え、室温下攪拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Dとする。
【0146】
10Lステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)0.014kgを入れ、イオン交換純水4.0Lを加え、室温下攪拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Eとする。
【0147】
20Lホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gを入れ、イオン交換水12.0Lを加え、室温下攪拌溶解する。これを、開始剤溶液Fとする。
【0148】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100LのGL反応釜(攪拌翼はファウドラー翼)に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径120nm/固形分濃度29.9%)8.41kgと、アニオン界面活性剤溶液Dとノニオン界面活性剤溶液Eとを入れ攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0Lを投入する。
【0149】
加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、開始剤溶液Fを添加する。この時、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を投入する。
【0150】
その後、液温度を72±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。
【0151】
液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この分散液をラテックス▲1▼−Bとした。
【0152】
なお、ラテックス▲1▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0153】
35Lステンレスポットに塩析剤としての塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36kgとイオン交換水20.0Lを入れ攪拌溶解する。これを、塩化ナトリウム溶液Gとする。
【0154】
2LガラスビーカーにFC−170C(住友スリーエム社製、ノニオン界活性剤)1.00gを入れ、イオン交換水1.00Lを加えて攪拌溶解する。これをノニオン界面活性剤溶液Hとする。
【0155】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バソフルを付けた100LのSUS反応釜(攪拌翼はアンカー翼)に、上記で作製したラテックス▲1▼−A=20.0kgとラテックス▲1▼−B=5.2kgと磁性粒子分散液1全量とイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌する。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温する。液温度85℃±2℃にて、6時間加熱攪拌し、塩析/融着させる。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止する。目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液▲1▼とする。
【0156】
ついで、ヌッチェを用いて、会合液▲1▼よリウエットケーキ状の非球形状粒子を採取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0157】
上記で洗浄を完了したウエットケーキ状の非球形状粒子を、ヌッチェより取り出し、全紙バット5枚に、細かく砕きながら広げた。クラフト紙で覆いをかけた後、40℃の送風乾燥機で100時間乾燥した。
【0158】
乾燥を完了したブロック状の非球形状粒子を、ヘンシェル粉砕器で解砕した。
【0159】
以上のようにして得られた非球形状粒子を「非球形状粒子1」とする。なお、「非球形状粒子1」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=5.5万、軟化点=125℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=6.53μmであり、形状係数は1.92で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは97個数%であった。
【0160】
実施例2
実施例1に於いて、形状係数=0.85、数平均一次粒径=0.2μm、BET値=7.2m2/gのマグネタイト粒子17.0kgと、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとをよく撹拌し、サンドグラインダーで分散した分散液をラテックス▲1▼−Aを調製する重合性単量体の代わりに使用し、磁性粉粒子を使用しない他は同様にして「非球形状粒子2」を得た。
【0161】
実施例3
実施例1に於いて、磁性粉を形状係数=0.54、数平均一次粒径=0.3μm、BET値=3.2m2/gのマグネタイト粒子を使用した他は同様にして「非球形状粒子3」を得た。
【0162】
実施例4
実施例2に於いて、磁性粉を形状係数=0.89、数平均一次粒径=0.22μm、BET値=8.1m2/gのマグネタイト粒子を使用した他は同様にして「非球形状粒子4」を得た。
【0163】
実施例5
実施例1に於いて会合時の温度を95℃とし、会合時間を7時間とした他は同様にして「非球形状粒子5」を得た。
【0164】
実施例6
実施例1に於いて会合時の会合時間を4時間とした他は同様にして「非球形状粒子6」を得た。
【0165】
実施例7
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100LのGL反応釜(攪拌翼はファウドラー翼)に、下記の成分を添加した。
【0166】
スチレン 60部
アクリル酸ブチル 40部
アクリル酸 8部
水 100部
ノニオン乳化剤(エマルゲン950) 1部
アニオン乳化剤(ネオゲンR) 1.5部
過硫酸カリウム 0.5部
上記水溶液混合物を攪拌下、70℃で8時間重合させて固形分50%の酸性極性基含有樹脂エマルジョン(ラテックス▲4▼)を得た。
【0167】
トナー調製
ラテックス▲4▼ 120部
実施例1で使用した磁性粒子 40部
クロム染料(ボントロン−E81) 1部
水 200部
以上の混合物をスラッシャーで分散攪拌しながら約25℃にて2時間保持した。その後、更に攪拌しながら65℃に加温して3時間保持した。冷却して得られた液状分散物をブフナー濾過、水洗し、50℃真空乾燥を10時間行い「非球形状粒子7」を得た。
【0168】
比較例1
スチレン165g、n−ブチルアクリレート35g、フタロシアニンブルー10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物=2g、スチレン−メタクリル酸共重合体=8g、パラフィンワックス(mp=70℃)20g及び実施例1で使用した磁性粉150gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した。これに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−バレロニトリル)10gを加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。ついで、イオン交換水710gに0.1M燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて12000rpmで攪拌しながら1.0M塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。
【0169】
この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、80℃にて10時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、ついでろ過、洗浄、乾燥を行って体積平均粒径が7.9μmの球形粒子を得た。このものを「比較用粒子1」とする。
【0170】
比較例2
スチレン−アクリル樹脂100部、磁性粒子40部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3000)4部とを溶融、混練、粉砕して体積平均粒径が6.9μmの着色粒子を得た。このものを「比較用粒子2」とする。
【0171】
以上に示す「非球形状粒子1」〜「非球形状粒子7」及び「比較用粒子1」「比較用粒子2」の形状係数などを下記一覧表に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
ついで上記「非球形状粒子1」〜「非球形状粒子7」及び「比較用粒子1」、「比較用粒子2」にそれぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1重量%添加してトナーを得た。これらを「本発明トナー1」〜「本発明トナー7」及び「比較用トナー1」、「比較用トナー2」とする。
【0174】
評価
図1に示したごとき機構を有する装置を用いて評価した。
【0175】
使用した感光体
感光体としては下記に示す積層型有機感光体を使用した。
【0176】
感光体Aの製造
直径60mmのドラム型アルミニウム基体(支持体)上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層、第2電荷輸送層の順の層構成を有する感光体ドラムを作製した。
【0177】
感光体の構成を下記に示す。
【0178】
1:下引き層塗布液
チタンキレート化合物「TC−750」(松本製薬社製) 30部
シランカップリング剤「KBM−503」(信越化学社製) 17部
2−プロパノール 150部
上記下引き層上に、下記CGL塗布液を分散調液し、膜厚0.5μmとなるよう塗布してCGLを得た。
【0179】
2:CGL塗布液
Y型チタニルフタロシアニン(下記「化1」のA1) 10部
シリコーン樹脂「KR−5240」(信越化学工業社製) 10部
酢酸−t−ブチル 1000部
上記塗布液をサンドミルを用いて20時間分散したもの。
【0180】
上記CGL上に下記のCTL塗布液を乾燥膜厚23μmになるように塗布した後、100℃、1時間乾燥してCTLを積層して設けた。
【0181】
3:CTL塗布液
CTM(下記「化1」のCTM1) 224部
バインダ樹脂(Mv=30,000) 560部
Irganox1010(三共社製) 21部
1,2−ジクロロエタン 2800部
4A:第2のCTL塗布液
CTM(CTM1) 224部
フッ化カーボン微粉末(平均粒径:0.23μm,セントラルガラス社製)7部
バインダー樹脂(下記「化1」のB1)(Mv=30,000) 20部
モノクロロベンゼン 120部
ジクロロメタン 80部
上記組成物をサンドミルにて分散混合溶解した。これを円形スライドホッパ塗布機により上記CTL上に塗布し、5μmの表面層を設け感光体ドラムAとした。
【0182】
【化1】
【0183】
感光体Bの製造
アルミニウム基体、導電層、下引き層、CTL層までは製造例Aと同じものを用意した。
【0184】
次に、第2のCTLとして、下記の塗布ををサンドミルにて分散混合溶解し、これを円形スライド塗布により上記CTL上に塗布し、5μmの表面層を設け感光体ドラムBとした。
【0185】
4B:第2のCTL塗布液
CTM(CTM1) 15部
真球状三次元架橋ポリシロキサン微粒子(平均粒径0.29μm,
東芝シリコーン社製) 5部
バインダー樹脂(Mv=80,000) 10部
樹脂(上記構造の樹脂B1)(Mv=30,000) 10部
モノクロロベンゼン 120部
ジクロロメタン 80部
感光体ドラムBの表面は、Si原子、8.4%,C原子77.3%であり、Si/C比は0.11であった。
【0186】
感光体ドラムC〜Fの製造
感光体ドラムAの製造に於いて、フッ化カーボンの添加量を変化させて下記感光体を得た。
【0187】
感光体C:F/C比=0.02
感光体D:F/C比=0.56
感光体E:F/C比=0.71
感光体F:F/C比=0.93
感光体ドラムG〜Jの製造
感光体ドラムBの製造例に於いて、真球状三次元架橋ポリシロキサン微粒子の添加量を変化させて下記感光体を得た。
【0188】
感光体G:Si/C比=0.02
感光体H:Si/C比=0.53
感光体I:Si/C比=0.73
感光体J:Si/C比=0.98
さらに、ドラムKとしてアモルファスシリコン感光体を使用した。
【0189】
感光体帯電条件
帯電器;スコロトロン
帯電圧;感光体帯電電位(初期帯電電位)720V
現像条件
DCバイアス ;−500V
ACバイアス :Vpp=1800V、周波数=20kHz
Dsd(感光体と現像スリーブ間距離);600μm
現像剤層規制 ;磁性H−Cut方式
現像剤層厚 ;300μm
現像スリーブ径;40mm(表面に導電性カーボンブラックを分散させたフ
ェノール樹脂被覆有り)
また、定着方法としては、熱ロール定着を使用し、感光体に残留する未転写トナーはブレードクリーニング方式を使用して除去した。
【0190】
使用する転写紙としては連量が55kgの用紙を使用し、縦方向に画像を形成した。また、画像形成条件としては高温高湿環境(33℃、85%RH)にて画素率が2%の低い印字率の線画を使用し、2枚間欠で印字を50000枚実施した。その初期と最終50000枚時点でベタ黒、ベタ白、ハーフトーンの画像を印字し、それらの画像を使用して画質評価を実施した。仕上がり画像の画像濃度、カブリ濃度及びハーフトーンの均一性を評価した。
【0191】
画像濃度はマクベス社製RD−918を使用し、絶対反射濃度を測定した。カブリ濃度は紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定を行った。また、ハーフトーンの均一性は目視にて判断し、ハーフトーン画像の均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0192】
ランクA:ムラの無い均一な画像
ランクB:スジ状の薄いムラが存在
ランクC:スジ状の薄いムラが数本存在
ランクD:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在
上記評価項目を下記表2に示すトナー及び感光体の組み合わせで評価を実施した。
【0193】
【表2】
【0194】
評価結果
【0195】
【表3】
【0196】
表3から明らかなごとく、本発明内の実施例1〜17はいずれも良い特性を示すが、比較例1、2はいずれの特性も耐久性に問題が有ることがわかる。
【0197】
【発明の効果】
本発明により、磁性一成分現像剤を用いる非接触現像方式における長期の使用においても、カブリ発生、画像濃度低下、画質低下等の画像欠陥を発生することがない画像形成方法とそれに用いる現像剤を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を説明する装置の概要断面図。
【符号の説明】
1 静電潜像保持体(感光ドラム)
4 現像剤担持体(現像スリーブ)
10 トナー粒子
11 現像剤層規制部材(磁性ブレード)
14 多極永久磁石
15 感光層
16 導電性基体(支持体)
Claims (4)
- 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に於いて、該現像剤が少なくとも磁性粒子と樹脂粒子とを水系媒体中で融着させてなるトナーを含む磁性一成分現像剤であり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあることを特徴とする磁性一成分画像形成方法。
- 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に於いて、該現像剤が少なくとも磁性粒子を含む樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなるトナーを含む磁性一成分現像剤であり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあることを特徴とする磁性一成分画像形成方法。
- 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に用いる磁性一成分現像剤に於いて、該現像剤が少なくとも球形磁性粒子と樹脂粒子とを水系媒体中で融着させてなり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあるトナーを含むことを特徴とする磁性一成分現像剤。
- 静電潜像保持体と現像剤担持体とを現像部において一定の間隙(a)を設けて配置し、且つ現像剤層規制部材により該現像剤担持体に前記間隙(a)よりも薄い厚さに現像剤層を規制して搬送し、現像部において交番電界を印加して現像する磁性一成分画像形成方法に用いる磁性一成分現像剤に於いて、該現像剤が少なくとも球形磁性粒子を含む樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなり、トナーの形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあるトナーを含むことを特徴とする磁性一成分現像剤。
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