JP3769965B2 - 静電潜像現像用トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電潜像現像用トナーと定着方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成技術の発達は著しく、その中で最も多く用いられているのは、電子写真方式等に代表される静電画像形成方法に属するものである。
【0003】
その理由は、電子写真方式等の静電画像形成方法は、高画質画像を高速で得られること、モノクロだけでなくカラー画像形成も可能なこと、長期間の使用にも耐える耐久性、安定性を有していることによるであろう。しかし、パーソナルコンピュータ等関連技術の性能向上に伴い、要求される性能レベルは年々高くなり、その要求を満たすためにはさらなる改良、性能アップが必要になってきている。
【0004】
特に問題視されるのは、これらの機器がオフィスにて使用され、次第にパーソナルユーズ向けとなってきているため、高画質で高速等の長所を保持しながら、即応性、即ちスイッチオンされたら直ちに画像形成を開始できることが望まれる。しかし、電子写真方式での画像形成は、現在ほとんど乾式の樹脂トナーを用い、これを圧接加熱定着する方法が採られている。このため定着器、例えば熱ローラが定められた温度に達するまでに時間を要し、これが画像形成開始時間を短縮する妨げになっていることである。
【0005】
この解決策として、例えば加熱体の熱容量を減し、すぐ規定温度に達するように改良したベルトを用いる方法や特開平3−111856号公報に記載されているごとき、固定加熱体とフィルムを介してこれに対向した加圧部材によるもの等がある。
【0006】
本発明者等が行った検討によれば、確かにこれらの方式を用いると、かなり画像形成の開始時間短縮を達成できるが、新たな問題も生じ、完全な解決策となり得ないことがわかった。
【0007】
特に問題とすべき点は、しばらく稼働させると記録材の定着器への巻き付きが起こりやすく、仕上がり画像汚れも起こり画質が劣化することである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の如き従来技術の問題点を解決するためになされた。
【0009】
即ち、本発明の目的は、定着性のよい圧接加熱定着方式を用いながら、必要に応じて直ちに画像形成動作に入れ、しかも長期間の使用においても記録材の巻き付きや画像汚れが無い静電潜像現像用トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の構成により達成される。
【0016】
〔1〕 感光体上に一様帯電、像露光、現像の工程を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後定着する画像形成方法において、該記録材を、固定配置された加熱体と、該加熱体に対向圧接し且つフィルムを介して記録材を加熱体に密着させる加圧部材と、により圧接加熱定着し、用いるトナーが、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中に於いて融着させたトナーであり、かつ、該トナーの体積平均粒径が3〜9μmであり、該トナーの下記式で示される形状係数の算術平均が1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲内にあるトナー粒子が80個数%以上であることを特徴とする画像形成方法。
形状係数=((最大径/2) 2 ×π)/投影面積
【0017】
〔2〕 感光体上に一様帯電、像露光、現像の工程を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後定着する画像形成装置において、該記録材を、固定配置された加熱体と、該加熱体に対向圧接し且つフィルムを介して記録材を加熱体に密着させる加圧部材と、により圧接加熱定着し、用いるトナーが、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中に於いて融着させたトナーであり、かつ、該トナーの体積平均粒径が3〜9μmであり、該トナーの上記式で示される形状係数の算術平均が1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲内にあるトナー粒子が80個数%以上であることを特徴とする画像形成装置。
【0018】
本発明において用いられる圧接加熱定着器は、加熱体が従来の加熱ローラーに比べて熱容量が小さく、記録材の通過方向と直角方向にライン状の加熱部を有するものであり、通常加熱部の最高温度は100〜300℃である。
【0019】
尚、圧接加熱定着とは、通常よく用いられるごとく加熱部材と加圧部材の間を、未定着トナーを担持した記録材を通す方式等、加熱源に未定着トナー像を押し当てて定着する方法である。こうすることにより加熱が迅速、均一に行われるため、定着の高速化が可能となるが、加熱源表面部分等の未定着トナーを直接圧接される部分に、トナーが付着残留したいわゆるトナーオフセットが起こりやすく、また記録材が定着器に巻き付きを起こす等の故障も起こしやすいという問題点もある。
【0020】
本発明の定着方式では、装置に固定支持された低熱容量のライン状加熱体は、厚さにして0.2〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜3.5mmで、幅10〜15mm、長手長240〜400mmのアルミナ基板に抵抗材料を1.0〜2.5mmに塗布したもので両端より通電される。
【0021】
通電はDC100Vの周期25msecのパルス波形で、温度センサーにより制御された温度・エネルギー放出量に応じたパルス幅に変化させてあたえる。低熱量ライン状加熱体において、温度センサーで検出された温度T1の場合、抵抗材料に対向するフィルムの表面温度T2はT1よりも低い温度となる。ここでT1は120〜220℃が好ましく、T2の温度はT1の温度と比較して0.5〜10℃低いことが好ましい。又、フィルムがトナー表面より剥離する部分におけるフィルム材表面温度T3はT2とほぼ同等である。フィルムは、この様にエネルギー制御・温度制御された加熱体に当接して下記図1(a)の中央矢印方向に移動する。
【0022】
これら定着用フィルムとして用いられるものは、厚みが10〜35μmの耐熱フィルム、例えばポリエステル、ポリパーフルオロアルコキシビニルエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミドに、多くの場合はテフロン等のフッ素樹脂に導電材を添加し離型剤層を、5〜15μm被覆させたエンドレスフィルムである。
【0023】
フィルムの駆動には、駆動ローラーと従動ローラーにより駆動力とテンションをかけられて矢印方向へシワ・ヨレがなく搬送される。定着器としての線速は40〜400mm/secが好ましい。
【0024】
加圧ローラーはシリコーンゴム等の離型性の高いゴム弾性層を有し、総圧2〜30kgでフィルム材を介して加熱体に圧着され、圧接回転する。
【0025】
又、上記にはエンドレスフィルムを用いた例を説明したが、図1(b)の様にフィルムシートの送り出し軸と巻き取り軸を使用し、有端のフィルム材を使用してもよい。さらには内部に駆動ローラー等を有しない単なる円筒状のものでもよい。
【0026】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウエッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0027】
尚、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。さらに、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0028】
次に図1に本発明に係わる定着器の構成断面図の例を示す。
【0029】
図1(a)において、21は装置に固定支持された低熱容量ライン状加熱体であって、一例として高さが10mm、幅が10mm、長手長が240mmのアルミナ基板22に抵抗材料23を幅1.0mmに塗工したものであり、長手方向両端部より通電される。
【0030】
通電は例えばDC100Vで通常は周期2.0msecのパルス状波形でなされ、検温素子24からの信号によりコントロールされ所定温度に保たれる。このためエネルギー放出量に応じてパルス幅を変化させるが、その範囲は例えば0.5〜5msecである。
【0031】
このように制御された加熱体に移動するフィルム25を介して未定着トナー像30を担持した記録材8を当接させてトナーを熱定着する。
【0032】
ここで用いられるフィルムは、駆動ローラー26と従動ローラー27によりテンションをかけられた状態でシワの発生なく移動する。28はシリコーンゴム等で形成されたゴム弾性層を有する加圧ローラーであり、総圧4〜20kgでフィルムを介して加熱体を加圧している。記録材8上の未定着トナー30は、入口ガイド31により定着部に導かれ、上述した加熱により定着像を得る。
【0033】
以上はエンドレスベルトで説明したが、図1(b)のごとく、フィルムシート繰り出し軸34及び巻き取り軸37を使用し、定着用のフィルムは有端のものでもよい。
【0034】
本発明は、静電潜像を形成し、該潜像をトナー現像剤を用いて顕像化し、該顕像を記録材に転写した後、定着、クリーニングを行う画像形成方法において、該トナー現像剤に樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーを用いることを特徴とするものである。
【0035】
本発明者らは上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討の結果、定着器特に定着用フィルムや加圧ローラーにオフセットとそれに伴う記録材の巻き付き現象、固着したトナーによる汚れを防止した高耐久性の定着方法とそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供出来ることがわかった。則ち、本発明者らはトナー自体の形状の均一性及びトナー表面の異型化に注目し、本発明を完成するに至ったものである。
【0036】
本発明の効果が得られる理由については、特に解析した訳ではないが、下記のごとく考えられる。
【0037】
フィルムを介して加熱体に圧接する定着方法においては、記録材とフィルムが圧接され定着された後、フィルムから記録材が分離するときの角度、即ち図1(a)、(b)のθは、ローラー定着の場合の記録材とローラー面のものよりかなり小さい。従って、それだけ巻き付きやトナーオフセットは起こりやすくなる。特に、すでにフィルムにトナーがオフセットされている場合は、これをフィルム上からクリーニングすることがローラーに比して困難である。このためさらなるオフセットが起こりやすく、それに基づくフィルム面と記録材との親和力は大きくなり、巻き付きも極めて起きやすくなる。又、一度オフセットしたトナーが固まりとなると、長期間の使用の間にはげ落ちて記録材上に付着し、画像汚れとなったり、記録材裏面汚れとなりやすい。
【0038】
しかし、本発明のトナーは融着させて造られているため、粒径がそろっていて、表面に凹凸があり、トナーの帯電量(Q/M)も極めて均一で、トナー粒子中での電荷の集中もなくそれだけ不均一な付着力も生じないであろう。さらにオフセットが起こりそうな場合においても、離型剤を樹脂粒子や着色粒子と共に離型剤粒子として添加し融着粒子中に含有させることが出来るため、離型剤を粒子表面にも存在させることができるため、オフセットを有効に防止できるものと考えられる。
【0039】
これに対し従来広く用いられてきたいわゆる粉砕トナーは、分級しても粒径のバラツキが大きく、トナーごとの組成も均一でないため、トナーごとの帯電量のバラツキも大きく、従って、定着用の付着力もトナーごとに異なっている。従って、中にはオフセットしやすいトナー粒子も当然出来てしまうであろう。特に粉砕時に生じ分級においても完全には分離できない微小な粒子はこの性質を強く持っているため、一旦付着すると極めてクリーニングしにくく影響が大きいと考えられる。
【0040】
一方、最近注目されている懸濁重合で得られるトナー粒子は、粒径や組成は比較的均一であるが、表面が平滑で付着面積が大きくそれだけ付着力も強いので、一旦付着すればクリーニングはやりにくい。加えて個々のトナー粒子中ではその製造の機構から離型剤は表面濃度が低くなり、それだけ離型作用も弱くなってしまいがちである。
【0041】
次に本発明に用いられる素材、要件、装置等につきさらに説明する。
【0042】
本発明に使用されるトナーは樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーである。
【0043】
本発明に使用されるトナーは、着色剤を含有した樹脂粒子を水系媒体中で融着させて製造してもよいが、着色剤を内包した樹脂粒子を調製する際の重合安定能の問題、及びトナー生産に於ける安定化の観点から、樹脂粒子と着色剤粒子さらには離型剤粒子を水系媒体中において融着させたトナーがより好ましい。該トナーはトナー製造時から表面に凹凸がある形状を有しており、さらに、水系媒体中で融着するため、粒子間の形状や表面性に差がでることも少なく、結果として帯電量分布もシャープであり、トナー飛散の少ない解像性の優れた仕上がり画像をえることができる。又、これが本発明の効果に大きく寄与しているであろうことは先に記載した通りである。
【0044】
水系媒体中で融着させる方法として、例えば特開昭63−186253号公報、同63−282749号公報、特開平7−146583号公報等に記載されている方法や、樹脂粒子を塩析/融着させて形成する方法等をあげることができる。
【0045】
本発明のトナーの製造に用いる樹脂粒子は重量平均粒径50〜2000nmが好ましく、これらの樹脂粒子は乳化重合、懸濁重合、シード重合等のいずれの造粒重合法によっても良いが、本発明に最も好ましく用いられるのは乳化重合法である。
【0046】
以下、樹脂粒子の材料及び製造方法の例について記述する。
【0047】
《材料》
〔単量体〕
重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有することが好ましい。
【0048】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0049】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0050】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0051】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0052】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0053】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0054】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0055】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0056】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0057】
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0058】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
【0059】
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0060】
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0061】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0062】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN-エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0063】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15重量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0064】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
【0065】
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、およびスチレンダイマー等が使用される。
【0066】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0067】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0068】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0069】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して乳化重合を行うためには、界面活性剤を使用して乳化重合を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0070】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0071】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0072】
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0073】
〔着色剤〕
着色剤としては無機顔料、有機顔料を挙げることができる。
【0074】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0075】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0076】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20重量%であり、好ましくは3〜15重量%が選択される。
【0077】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60重量%添加することが好ましい。
【0078】
有機顔料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料を以下に例示する。
【0079】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0080】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0081】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0082】
これらの有機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20重量%であり、好ましくは3〜15重量%が選択される。
【0083】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0084】
本発明で得られたトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0085】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0086】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0087】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0088】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0089】
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0090】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5重量%程度が好ましい。
【0091】
《製造工程》
本発明の重合トナーの製造工程は、乳化重合を行い樹脂粒子を調製する重合工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる、この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることで着色粒子とすることができる。
【0092】
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析し、融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析し、融着させることができる。
【0093】
また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
【0094】
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50重量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができるが、好ましくは樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0095】
着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、ろ過し同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
【0096】
着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製される方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
【0097】
顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0098】
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。
【0099】
塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加し、樹脂粒子のガラス転移温度を実質的に下げることで融着を効果的に行う手法を使用してもよい。
【0100】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0101】
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
【0102】
本発明の融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂粒子のガラス転移温度以上であると樹脂粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5℃〜55℃、好ましくは10℃〜45℃である。
【0103】
また、本発明では、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。
【0104】
ここで、本発明の融着されて得られたトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜9μmが好ましい。これらのトナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTA−II、コルターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を用いて測定されたものを示す。
【0105】
また、融着によって得られたトナーの形状は、下記式で示される形状係数が 1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上であることが好ましい。
【0106】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により500倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行う。この際、500個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定するものである。
【0107】
形状係数の算術平均値が1.3未満の場合は、形状が球形化してくるため、定着用フィルムに対する付着性が高くなり、クリーニング不良を発生しやすくなるとともに、汚染を引き起こしやすくなる可能性がある。
【0108】
一方、形状係数が2.1を越える場合には、不定形化が高くなり、機械的なストレスを受けた場合にトナーの破砕が発生し、微粉の発生が起こりやすくり、トナーオフセットによる画像の汚染を引き起こしやすくなる可能性がある。
【0109】
さらに形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上とすることで、形状の分布を均一にすることができるため、より球形化されたトナーやより不定形化されたトナーの存在量を少なくすることができることから、前述の問題点を長期に渡って抑制することができる。、
〔トナー化工程〕
トナー化工程は上記で得られたトナー粒子をそのまま使用してもよいが、例えば流動性、帯電性、クリーニング性の改良を行うことを目的として、前述の外添剤を添加してもよい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0110】
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は樹脂粒子を乳化重合する段階でその分散液を添加する方法、前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。好ましい方法としては、前述の樹脂粒子を乳化重合する段階で荷電制御剤粒子及び/又は定着性改良剤粒子を分散液の状態で添加する方法及び前述の塩析/融着工程で樹脂粒子及び着色剤粒子と同時に荷電制御剤粒子及び/又は定着性改良剤粒子を分散液の状態で添加し、塩析/融着させる方法が挙げられる。
【0111】
尚、離型剤としては、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどをあげることができる。これらは離型剤粒子として加えられ、樹脂や着色剤と共に塩析/融着させることが好ましいことはすでに述べた。
【0112】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0113】
これら離型剤や荷電制御剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0114】
《現像剤》
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよいが、好ましくは二成分現像剤としてである。
【0115】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
【0116】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。
【0117】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0118】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0119】
《画像形成方法》
次に、本発明の画像形成方法又は装置について説明する。
【0120】
図2において、本発明の一実施態様例を示した画像形成装置の概略構成図を示す。4は感光体であり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので、矢印方向に所定の速度で回転する。本実施態様例において、感光体4は外径60mmである。
【0121】
図2において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源1から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー2により、図2の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ3を介して、感光体面上に照射され静電潜像を作る。感光体は、あらかじめ帯電器5により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0122】
感光体面上の静電潜像は、現像器6により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた記録材8に転写器7の作用により転写される。さらに感光体4と記録材8は分離器(分離極)9により分離されるが、トナー現像像は記録材8に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0123】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器11にて清掃され、帯電前露光(PCL)12にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器5により、一様帯電される。
【0124】
尚、記録材は代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0125】
又、クリーニングブレード13は、厚さ1〜30mm程度のゴム状弾性体を用い、材質としてはウレタンゴムが最もよく用いられる。これは感光体に圧接して用いられるため熱を伝え易く、画像形成動作を行っていない時には感光体から離しておくのが望ましい。
【0126】
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0127】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのディジタル画像信号により光変調する走査光学系として、▲1▼レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、▲2▼半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0128】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて小さい円状あるいは楕円状である。
【0129】
又、上記画像形成装置は、感光体4と、帯電器5、現像器6、クリーニング器11あるいは転写器7等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを搭載する形態にすることもできる。
【0130】
本発明の画像形成装置に搭載するためのプロセスカートリッジの例を、図3に断面図(a)、斜視図(b)として示した。このプロセスカートリッジ15は、画像形成装置の側面、即ち記録材の搬送される方向と直角方向からガイドレール等により装置内に装填される。
【0131】
図3から明らかなごとく、本例ではプロセスカートリッジ15内に、感光体4を中心に帯電器5、現像器6、クリーニング器11、PCL12が収納され一つのユニットとしてプロセスカートリッジを形成している。このようなプロセスカートリッジの形態をとることは、本発明の一つの好ましい実施態様といえる。
【0132】
【実施例】
次に、本発明の実施態様を具体的に述べるが、本発明はこの態様に限定されるものではない。なお、文中「部」とは「重量部」を表す。
【0133】
実施例1
実施例用トナー1の製造
内容積20lの樹脂容器に、アデカホープLS−90(旭電化社製・n−ドデシル硫酸ナトリウム)を0.90kgと純水10.0lを入れ撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、添加後1時間よく撹拌する。ついで、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。
【0134】
分散後、大塚電子社製・電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径で122nmであった。また、静置乾燥による重量法で測定した上記分散液の固形分濃度は16.6重量%であった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0135】
10lステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.55kgを入れ、イオン交換水4.0lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Aとする。
【0136】
10lステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)0.14kgを入れ、イオン交換水4.0lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Bとする。
【0137】
20lホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)223.8gを入れ、イオン交換水12.0lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、開始剤溶液Cと呼ぶ。
【0138】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100lのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Aとノニオン界面活性剤溶液Bとを入れ、撹拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0lを加える。
【0139】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、開始剤溶液Cを添加する。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを投入する。
【0140】
さらに、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱撹拌を行った。
【0141】
液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、これをラテックス▲1▼−Aとした。
【0142】
なお、ラテックス▲1▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0143】
新たな10lステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.55kgを入れ、イオン交換純水4.0lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Dと呼ぶ。
【0144】
10lステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)0.14kgを入れ、イオン交換純水4.0lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Eと呼ぶ。
【0145】
20lホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gを入れ、イオン交換水12.0lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、開始剤溶液Fと呼ぶ。
【0146】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100lのGL反応釜(撹拌翼はファウドラー翼)に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Dとノニオン界面活性剤溶液Eとを入れ、撹拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0lを投入する。
【0147】
加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、開始剤溶液Fを添加する。この時、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を投入する。
【0148】
その後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱撹拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱撹拌を行った。
【0149】
液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この濾液をラテックス▲1▼−Bとした。
【0150】
なお、ラテックス▲1▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0151】
35lステンレスポットに塩析剤としての塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36kgとイオン交換水20.0lを入れ、撹拌溶解する。これを、塩化ナトリウム溶液Gとする。
【0152】
2lガラスビーカーにFC−170C(住友スリーエム社製、ノニオン界面活性剤)1.00gを入れ、イオン交換水1.00lを加えて撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Hとする。
【0153】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100lのSUS反応釜(撹拌翼はアンカー翼)に、上記で作製したラテックス▲1▼−A=20.0kgとラテックス▲1▼−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ撹拌する。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温する。液温度85℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、40℃以下に冷却し撹拌を停止する。目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液▲1▼とする。
【0154】
ついで、ヌッチェを用いて、会合液▲1▼よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0155】
上記で洗浄を完了したウエットケーキ状の非球形状粒子を、ヌッチェより取り出し、全紙バット5枚に、細かく砕きながら広げた。クラフト紙で覆いをかけた後、40℃の送風乾燥機で100時間乾燥した。
【0156】
乾燥を完了したブロック状の非球形状粒子を、ヘンシェル粉砕器で解砕した。
【0157】
以上のようにして得られた非球形状粒子を「非球形状粒子1」とする。なお、「非球形状粒子1」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=5.5万、軟化点=125℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=6.53μmであり、形状係数は1.92で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは97個数%であった。
【0158】
上記非球形状粒子に疎水性シリカ(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%それぞれ添加して実施例用トナー1を得た。
【0159】
また、これらトナーとスチレンアクリル樹脂を被覆した体積平均粒径が45μmのフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤をそれぞれ調製し、印字評価に使用した。これらの現像剤をトナーに対応してそれぞれ「実施例用現像剤1」とする。
【0160】
評価(接触現像方式)
コニカ社製デジタル複写機Konica7033を用いて,定着器は図1(a)の構成のものと入れ替えた。更に、コピー速度をA4、10枚/分に改造して実写評価を実施した。条件は下記に示す条件である。感光体としては積層型有機感光体を使用した。
【0161】
(感光体)
感光体としてはコニカ社製デジタル複写機Konica7033用感光体(直径=60mmのドラム、アルミニウム支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層の順の層構成)を使用。
【0162】
感光体の構成を下記に示す。
【0163】
下引;チタンキレート化合物TC−750(松本製薬社製)/シランカップリング剤KBM503(信越化学社製)=2/1.3のプロパノ−ル溶液を塗布。乾燥膜厚は1.0μm。
【0164】
電荷発生層;チタニルフタロシアニン/シリコン編成ブチラール(KR5254信越化学製)=1/1の比で乾燥膜厚は0.3μm。
【0165】
電荷輸送層;α−フェニルスチルベンタイプ電荷輸送物質/ポリカーボネートZ=2/3の比で乾燥膜厚は28μm。
【0166】
現像条件
DCバイアス ;−500V
Dsd(感光体と現像スリーブ間距離);600μm
現像剤層規制 ;磁性H−Cut方式
現像剤層厚 ;700μm
現像スリーブ径;40mm
又、感光体に残留する未転写トナーはブレードクリーニング方式でクリーニングする方法を採用した。
【0167】
(定着の条件)
加熱体の温度T1=180℃
フィルム材の速度=100mm/sec
加熱体と加圧ローラー間総圧=15kg
加圧ローラー・フィルム材間のニップ幅=3mm
尚、フィルム材は表面に導電性物質を分散したポリテトラフルオロエチレンを被覆した厚みが15μmのポリイミドフィルムを用いた。
【0168】
使用する記録材としては連量が55kgの用紙を使用し、縦方向に画像を形成した。また、画像形成条件としては常温常湿環境(25℃、55%RH)にてべた黒、中間調、白画像のあるオリジナル画像(A4)を10000枚コピー(A4)し評価した。5000〜10000枚目のコピーにつき、定着器への巻き付きの枚数と、100枚目ごとの画像面及びその裏面の汚れを肉眼観察した。しかし、いずれも発生しなかった。
【0169】
実施例2
実施例用トナー2の製造
実施例用トナー1製造例の「非球形状粒子1」製造において、ラテックス▲1▼−Aの製造に於けるドデシルメルカプタンを400gとし、ラテックス▲1▼−Bに於けるドデシルメルカプタンを使用しない他は同様にして、「非球形状粒子2」を得た。なお、それぞれのラテックスをラテックス▲2▼−A、▲2▼−Bとする。
【0170】
なお、ラテックス▲2▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.57万、重量平均粒径は115nmであった。
【0171】
なお、ラテックス▲2▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は59℃、軟化点は136℃、分子量分布は、重量平均分子量=31.5万、重量平均粒径は115nmであった。
【0172】
「非球形状粒子2」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=7.5万、軟化点=131℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=7.24μmであり、形状係数は1.87で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは94個数%であった。
【0173】
上記非球形状粒子に疎水性シリカ(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%それぞれ添加して実施例用トナー2を得た。
【0174】
上記トナー2を実施例1と同じフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤を調製し、印字評価に使用した。これらの現像剤をトナーに対応してそれぞれ「実施例用現像剤2」とする。
【0175】
評価条件は実施例1と同一で評価を実施した。
【0176】
実施例2に於いても、5000〜10000枚目のコピーにつき、定着器への巻き付きの枚数と、100枚目ごとの画像面及びその裏面の汚れを肉眼観察した。しかし、いずれも発生しなかった。
【0177】
実施例3
実施例用トナー3の製造
実施例用トナー1製造例の「非球形状粒子1」製造において、ラテックス▲1▼−Bの重合性単量体をスチレン=13.25kg、アクリル酸ブチル=3.21kg、アクリル酸=0.75kgへ変更した他は同様にして樹脂粒子を得た。このものをラテックス▲3▼−Bとする。なお、ラテックス▲3▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は55℃、軟化点は135℃、分子量分布は、重量平均分子量=23.1万、重量平均粒径は105nmであった。
【0178】
ついで、実施例1に準じてラテックス▲1▼−Aとラテックス▲3▼−Bとを使用し、着色粒子を得た。なお、ここで得られた非球形状粒子を「非球形状粒子3」とする。
【0179】
「非球形状粒子3」の構成成分である樹脂粒子の分子量は重量平均分子量=6.1万、軟化点=125℃、ガラス転移温度=57℃、体積平均粒径=7.24μmであり、形状係数は1.79で形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは90個数%であった。
【0180】
上記非球形状粒子に疎水性シリカ(一次数平均粒子径=20nm)を1重量%それぞれ添加して実施例用トナー3を得た。
【0181】
上記トナー3を実施例1と同じフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤を調製し、印字評価に使用した。これらの現像剤をトナーに対応してそれぞれ「実施例用現像剤3」とする。
【0182】
評価条件は実施例1と同一で評価を実施した。
【0183】
実施例3に於いても、5000〜10000枚目のコピーにつき、定着器への巻き付きの枚数と、100枚目ごとの画像面及びその裏面の汚れを肉眼観察した。しかし、いずれも発生しなかった。
【0184】
比較例1
比較例用トナー1の製造
非球形状粒子製造を懸濁重合トナー製造後メカノケミカル手法により着色粒子を表面に融着させ表面を凹凸にしたトナーを特開平7−36207号公報の重合トナー製造例4に従って製造した。
【0185】
すなわち、スチレン=165g、n−ブチルアクリレート=35g、フタロシアニンブルー=10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物=2g、スチレン−メタクリル酸共重合体=8g、パラフィンワックス(mp=70℃)=20gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した、これに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−バレロニトリル)=10gを加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。ついで、イオン交換水710gに0.1M燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて12000rpmで撹拌しながら1.0M塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、80℃にて10時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、ついで濾過、洗浄、乾燥を行って体積平均粒径が7.9μmの着色粒子を得た。
【0186】
このものに、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1重量%添加して比較用トナーを得た。これを「比較例用トナー1」とする。このものの形状係数は1.02であり、形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは0個数%であった。
【0187】
比較例2
比較例用トナー2の製造
スチレンアクリル樹脂=100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3000)=4部とを溶融、混練、粉砕して体積平均粒径が6.9μmの着色粒子を得た。ついでこの着色粒子に疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1重量%添加して比較用トナーを得た。これを「比較例用トナー2」とする。このものの形状係数は2.13であり、形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは26個数%であった。
【0188】
上記比較例用トナー1及び2に実施例1と同じフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤をそれぞれ調製し、印字評価に使用した。これらの現像剤をトナーに対応してそれぞれ「比較例用現像剤1」「比較例用現像剤2」とする。
【0189】
評価条件は実施例1と同一にして評価を実施した。
【0190】
「比較例用現像剤1」及び「比較例用現像剤2」に於いては、初期コピーの画像は良好であったが、5000〜10000枚目のコピーにつき、定着器への巻き付きの枚数は次第に増加し、多発(50枚以上)に達したところで中止した。比較例用現像剤については7500枚、比較例用現像剤2については7000枚目であった。又、このとき画像面及びその裏面の汚れは実用に耐えうるものではなかった。
【0191】
実施例4
実施例用トナー4の製造
酸性極性基含有重合樹脂の調製
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100lのGL
反応釜(撹拌翼はファウドラー翼)に、下記の成分を添加した。
【0192】
スチレンモノマー 60部
アクリル酸ブチル 40部
アクリル酸 8部
水 100部
ノニオン乳化剤(エマルゲン950) 1部
アニオン乳化剤(ネオゲンR) 1.5部
過硫酸カリウム 0.5部
上記水溶液混合物を撹拌下70℃で8時間重合させて固形分50%の酸性極性基含有樹脂エマルジョン(ラテックス▲4▼)を得た。
【0193】
トナー調製
ラテックス▲4▼ 120部
カーボンブラック(リーガル330R) 5部
クロム染料(ボントロン−E81) 1部
水 200部
以上の混合物をスラッシャーで分散撹拌しながら約25℃2時間保持した。その後、更に撹拌しながら65℃に加温して3時間保持した。冷却して得られた液状分散物をブフナー濾過、水洗し、50℃真空乾燥10時間行い「非球形粒子4」を得た。「非球形粒子4」の体積平均粒径は8.2μm、形状係数は1.96、形状係数が1.5〜2.0の範囲のものは85個数%であった。
【0194】
上記非球形状粒子に疎水性シリカ(一次数平均粒子径=20nm)を1重量%それぞれ添加して実施例用トナー4を得た。
【0195】
上記トナー4を実施例1と同じフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤をそれぞれ調製し、印字評価に使用した。これらの現像剤をトナーに対応してそれぞれ「実施例用現像剤4」とする。
【0196】
評価条件は実施例1と同一で評価を実施した。
【0197】
実施例4に於いても、5000〜10000枚目のコピーにつき、定着器への巻き付きの枚数と、100枚目ごとの画像面及びその裏面の汚れを肉眼観察した。しかし、いずれも発生しなかった。
【0198】
【発明の効果】
本発明により、定着性のよい圧接加熱定着方式を用いながら、必要に応じて直ちに画像形成動作に入れ、しかも長期間の使用においても記録材の巻き付きや画像汚れが無い静電潜像現像用トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着器の一例を示す構成断面図。
【図2】本発明の画像形成装置の概略構成図。
【図3】この発明を適用するプロセスカートリッジの断面図と斜視図。
【符号の説明】
1 半導体レーザ光源
2 ポリゴンミラー
3 fθレンズ
4 感光体
5 帯電器
6 現像器
7 転写器
8 記録材
9 分離極
10 定着器
11 クリーニング器
12 帯電前露光(PCL)
13 クリーニングブレード
15 プロセスカートリッジ
21 加熱体
22 アルミナ基板
24 検温素子
25 フィルム
26 駆動ローラー
27 従動ローラー
34 繰り出し軸
37 巻き取り軸
Claims (2)
- 感光体上に一様帯電、像露光、現像の工程を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後定着する画像形成方法において、該記録材を、固定配置された加熱体と、該加熱体に対向圧接し且つフィルムを介して記録材を加熱体に密着させる加圧部材と、により圧接加熱定着し、用いるトナーが、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中に於いて融着させたトナーであり、かつ、該トナーの体積平均粒径が3〜9μmであり、該トナーの下記式で示される形状係数の算術平均が1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲内にあるトナー粒子が80個数%以上であることを特徴とする画像形成方法。
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積 - 感光体上に一様帯電、像露光、現像の工程を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後定着する画像形成装置において、該記録材を、固定配置された加熱体と、該加熱体に対向圧接し且つフィルムを介して記録材を加熱体に密着させる加圧部材と、により圧接加熱定着し、用いるトナーが、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中に於いて融着させたトナーであり、かつ、該トナーの体積平均粒径が3〜9μmであり、該トナーの上記式で示される形状係数の算術平均が1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲内にあるトナー粒子が80個数%以上であることを特徴とする画像形成装置。
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