JP4283416B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー画像を形成する方法として、潜像担持体上に形成された潜像をトナーで現像し、このトナー像を画像形成支持体上に直接転写するのではなく、当該トナー像を中間転写体に一旦転写した後、画像形成支持体上に再転写し、当該画像形成支持体上に転写形成されたトナー像を定着する、いわゆる中間転写方式による画像形成方法が知られている。
この中間転写方式では、潜像担持体上に形成されたトナー像が、中間転写体に複数回(例えば4回)転写されることにより、当該中間転写体上で各色トナー層の積層(色重ね)が行われる。この場合において、最後の色のトナー像が中間転写体に転写されたときに、最初に中間転写体に転写された色のトナー像を構成するトナーの帯電量が減少することがある。このような下層のトナー像における帯電量の低下を防止するためには、帯電性の安定したトナーを用いることが必要となる。
【0003】
一方、画像形成支持体上に形成されたトナー像を定着する手段として、加熱ローラーと加圧ローラーとを備えた定着装置による熱ローラー定着方式が広く利用されている。
この方式では、加熱ローラーの表面にトナーが接触するため、いわゆるオフセット現象が発生しやすい。ここに、オフセット現象の発生を防止するためには、多量のシリコーンオイルを加熱ローラーの表面に塗布することによって離型性を付与する方法がある。
しかし、多量のシリコーンオイルを用いた場合には、画像形成支持体上にシリコーンオイルが付着したり、定着装置自体の機構が複雑になるなどの問題が生じるので、トナー自体に離型性を付与し、定着装置自体で必要とされるシリコーンオイルの塗布量を減少し、あるいは使用しないことが望まれている。
【0004】
上記のような中間転写方式において、粉砕法で製造されたトナーを用いた場合には、トナー原料中に分散された材料が破断面に不均一に存在するため、トナー粒子間の表面性が均質になりにくくなる。その結果、転写性にバラツキが生じやすくなり、結局、カラー画像としての色再現性が低下する、という問題がある。
【0005】
また、懸濁重合法で製造された重合トナーを用いた場合には、トナー粒子間での表面性が均質であるため、安定した転写性が得られるという利点がある。
しかし、この懸濁重合法では、トナー粒子の表面に離型剤を存在させることができないため、トナー粒子の定着特性(特に離型性)は、樹脂に限定されたもの、すなわち樹脂が有する特性と同程度のものとなってしまう。その結果、トナー粒子における離型性が不足して、オフセット現象などの問題が発生し、これに起因して、画像汚れが発生するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する手段として、例えば特開平10−97098号公報には、トナー粒子の内部に多量の離型剤を包含する懸濁重合トナーが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような懸濁重合トナーにおいては、トナー粒子の内部に離型剤が多量に存在するので、離型剤のドメインにより光透過性が低下する結果、定着工程後のカラー画像の平滑性が低下して色濁りが生じたり、複数の色間で発色させるカラーの色再現範囲が狭くなる、という問題が生ずる。
【0008】
以上のように、中間転写方式によりカラー画像を形成する場合において、色再現性(各色トナー層の平滑性)と、定着特性(離型性)とを共に満足する手段は知られておらず、安定したカラー画像を形成することが困難である。
【0009】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、中間転写体を用いてカラー画像を形成する場合において、シリコーンオイルを供給しない、または、シリコーンオイルの供給量がきわめて低い定着装置により、カラー定着画像を形成する工程を含む場合であっても、オフセット現象を発生させず、色再現性に優れたカラー画像を長期にわたり形成することができる画像形成方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像形成方法は、潜像担持体上に潜像を形成する工程、トナーを含む現像剤で当該潜像を現像する工程、前記潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成されたトナー像を画像形成支持体に転写する工程、および前記画像形成支持体に転写形成されたトナー像を熱ローラ定着方式の定着装置により定着する工程を含む画像形成方法において、前記トナーは少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有し、結着樹脂を得るための単量体中に離型剤を溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中に分散させ、この系を重合処理することにより核部を形成し、さらに、単量体を重合させることにより殻を形成した離型剤を核部に含有する樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着させて得られ、
前記結着樹脂はラジカル重合性単量体から得られるものであり、前記離型剤は下記一般式(1)で示される結晶性のエステル化合物であることを特徴とする。
一般式(1):R1 −(OCO−R2 )n
(式中、R 1 は置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、R 2 は置換基を有していてもよい炭素数が16〜40の炭化水素基を示し、nは2〜4の整数である。)
【0013】
本発明の画像形成方法においては、前記定着装置が、加熱ローラーと、この加熱ローラーに当接する加圧ローラーとを備えてなる場合に、当該加熱ローラーへのシリコーンオイルの供給量が2mg/A4以下であることが好ましい。
【0014】
本発明において、「塩析/融着」とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0015】
本発明者らは鋭意検討した結果、中間転写方式によりカラー画像を形成する場合において、トナー自体の構造を特定のものとすることで、オフセット現象を発生させることなく、色再現性に優れたカラー画像を安定的に形成することができることを見出し、本発明を完成することができたものである。
すなわち、本発明者らは、重合トナーの特徴である表面の均一性を維持しつつ、定着特性、特に定着装置を構成する加熱ローラーへのオフセット現象を抑制することのできるトナーを種々検討し、発明を完成されたものである。
【0016】
本発明では、トナーとして離型剤を含有する樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させて得られた会合型トナーを使用することで、上記目的を達成することができた。
この理由としては明確ではないが、いわゆる懸濁重合トナーとは異なり、離型剤自体が樹脂粒子中に含有されており、その樹脂粒子を着色剤粒子と塩析/融着させることでトナーが形成されているため、トナーの表面近傍に離型剤が存在しているにもかかわらず、離型剤の分布が均一であるので、トナー粒子間におけるトナーの表面性が均質なものとなっており、転写性を損なうことなく、離型性を発揮することができたものと推定される。
【0017】
【作用】
(1)本発明のトナーは、離型剤(樹脂粒子中に含有されていた離型剤)が表面に存在するトナー粒子から構成されているので、良好な耐オフセット性を発揮することができる。
(2)本発明のトナーは、離型剤を含有する樹脂粒子を塩析/融着法により会合させて得られるので、離型剤を単に添加したときに問題となる色濁りの発生がなくて光透過率が高い。この結果、色再現性に優れたカラー定着画像を形成することができる。
(3)本発明のトナーは、離型剤を含有する樹脂粒子を塩析/融着法により会合させて得られるので、トナー粒子間での表面性が均質であり、安定した帯電性を有するものとなる。その結果、中間転写方式に使用する場合であっても、トナー粒子間で転写性に差がなく、色再現性に優れたカラー定着画像を形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<トナー>
本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有するトナーであって、結着樹脂中に離型剤を含有する樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着させて得られる会合型の粒子から構成される。
【0019】
<離型剤>
本発明のトナーを構成する離型剤は、下記一般式(1)で示される結晶性のエステル化合物(以下、「特定のエステル化合物」という。)からなるものである。
【0020】
一般式(1):R1 −(OCO−R2 )n
【0021】
(式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは1〜4の整数である。)
【0022】
<特定のエステル化合物>
特定のエステル化合物を示す一般式(1)において、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。
炭化水素基R1 の炭素数は1〜40とされ、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5とされる。
炭化水素基R2 の炭素数は1〜40とされ、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26とされる。
また、一般式(1)において、nは1〜4の整数とされ、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4とされる。
特定のエステル化合物は、アルコールとカルボン酸との脱水縮合反応により好適に合成することができる。
最も好適な特定のエステル化合物としては、ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステルを挙げることができる。
特定のエステル化合物の具体例としては、下記式1)〜22)に示す化合物を例示することができる。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】
<離型剤の含有割合>
本発明のトナーにおける離型剤の含有割合としては、通常1〜30質量%とされ、好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%とされる。
【0027】
<離型剤を含有する樹脂粒子>
本発明において「離型剤を含有する樹脂粒子」は、結着樹脂を得るための単量体中に離型剤を溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中に分散させ、この系を重合処理することにより、ラテックス粒子として得ることができる。
かかる樹脂粒子の重量平均粒径は50〜2000nmであることが好ましい。結着樹脂中に離型剤を含有する樹脂粒子を得るための重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの造粒重合法を挙げることができる。
【0028】
離型剤を含有する樹脂粒子を得るための好ましい重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、単量体中に離型剤を溶解してなる単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる方法(以下、この明細書において「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができる。なお、水溶性重合開始剤を添加することに代えて、または、当該水溶性重合開始剤を添加するとともに、油溶性の重合開始剤を前記単量体溶液中に添加してもよい。
【0029】
ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
【0030】
<結着樹脂>
本発明のトナーを構成する結着樹脂は、GPCにより測定される分子量分布で100,000〜1,000,000の領域にピークまたは肩を有する高分子量成分と、1,000〜20,000の領域にピークまたは肩を有する低分子量成分とを含有する樹脂であることが好ましい。
【0031】
ここに、GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してTHFを1cc加え、マグネチックスターラーなどを用いて室温にて撹拌を行って十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後にGPCへ注入する。
【0032】
GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1ccの流速で流し、1mg/ccの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)またはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0033】
以下、樹脂粒子の構成材料および調製方法(重合方法)について説明する。
〔単量体〕
樹脂粒子を得るために使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
【0034】
(1)ラジカル重合性単量体:
ラジカル重合性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0035】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0037】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0038】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0039】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0040】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0041】
(2)架橋剤:
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0042】
(3)酸性基または塩基性基を有するラジカル重合性単量体:
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0043】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物が挙げられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN-エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0044】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0045】
〔連鎖移動剤〕
樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
【0046】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0047】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0048】
<着色剤>
本発明のトナーを構成する着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0049】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0050】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0051】
<外添剤>
本発明のトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。
【0052】
本発明のトナーは、離型剤を含有する樹脂粒子と、着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させて得られる会合型のトナーである。このように、離型剤を含有する樹脂粒子を塩析/融着させることで、離型剤が微細に分散されたトナーを得ることができる。
そして、本発明のトナーは、その製造時から表面に凹凸がある形状を有しており、さらに、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で融着して得られる会合型のトナーであるために、トナー粒子間における形状および表面性の差がきわめて小さく、結果として表面性が均一となりやすい。このためにトナー間での定着性に差異を生じにくく、定着性も良好に保つことができるものである。
【0053】
<トナーの製造工程>
本発明のトナーを製造する方法の一例としては、
(1)単量体に離型剤を溶解して単量体溶液を調製する溶解工程、
(2)得られる単量体溶液を水系媒体中に分散する分散工程、
(3)得られる単量体溶液の水系分散系を重合処理することにより、離型剤を含有する樹脂粒子の分散液(ラテックス)を調製する重合工程、
(4)得られる樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させて会合粒子(トナー粒子)を得る塩析/融着工程、
(5)得られる会合粒子を水系媒体中より濾別し、当該会合粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(6)洗浄処理された会合粒子の乾燥工程から構成され、
(7)乾燥処理された会合粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程が含まれていてもよい。
【0054】
〔溶解工程〕
単量体に離型剤を溶解する方法としては特に限定されるものではない。
単量体への離型剤の溶解量としては、最終的に得られるトナーにおける離型剤の含有割合が1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%となる量とされる。
なお、この単量体溶液中に、油溶性重合開始剤および他の油溶性の成分を添加することもできる。
【0055】
〔分散工程〕
単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、特に、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させること(ミニエマルジョン法における必須の態様)が好ましい。
ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
【0056】
〔重合工程〕
重合工程においては、基本的には従来公知の重合法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの造粒重合法)を採用することができる。
好ましい重合法の一例としては、ミニエマルジョン法、すなわち、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させて得られる分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる方法を挙げることができる。
【0057】
〔塩析/融着工程〕
塩析/融着工程においては、上記の重合工程により得られる樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を添加し、前記樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させる。
また、当該塩析/融着工程においては、樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子なども融着させることもできる。
【0058】
塩析/融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0059】
塩析/融着工程に使用される着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは「クレアミックス」、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
【0060】
なお、着色剤(粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
【0061】
塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0062】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0063】
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
【0064】
塩析/融着工程においては、塩析剤を添加した後に放置する時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、塩析剤を添加した後、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂粒子のガラス転移温度以上とすることが好ましい。
この理由としては明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。
加熱を開始するまでの時間(放置時間)は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
塩析剤を添加する温度は特に限定されないが、樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。
【0065】
また、塩析/融着工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度としては、1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な塩析/融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液が前記ガラス転移温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析/融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー粒子の成長(樹脂粒子および着色剤粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
また、会合粒子の成長を停止させた後に、加熱による融着を継続させてもよい。
【0066】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0067】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0068】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0069】
〔外添剤の添加工程〕
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程である。
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0070】
ここで、本発明のトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜9μmである。これらのトナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を用いて測定されたものを示す。
【0071】
さらに、本発明のトナーとしては、3.0μm以下の微粉トナー量が個数分布で全体の20個数%以下、さらに好ましくは2.0μm以下の微粉トナー量が10個数%以下であるのがよい。この微粉トナー量は大塚電子社製・電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて測定することができる。この範囲に粒径分布を調整するためには、塩析/融着段階での温度制御を狭くすることがよい。具体的にはできるだけすばやく昇温する、すなわち、昇温を速くすることである。この条件としては、前述の条件に示したものであり、昇温までの時間としては30分未満、好ましくは10分未満、さらに、昇温速度としては、1〜15℃/分が好ましい。
【0072】
また、本発明のトナーの形状としては、下記式で示される形状係数(円形度)の平均値(平均円形度)が0.930〜0.980であることが好ましく、更に好ましくは0.940〜0.975とされる。
【0073】
【数1】
形状係数=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
【0074】
平均円形度を0.930〜0.980とすることで、トナーが有する形状をある程度不定形化することができ、熱の伝達を効率化することができ、定着性をより向上することができる。すなわち、平均円形度を0.980以下とすることで定着性を向上することができる。また、0.930以上の平均円形度とすることで、粒子の不定形度合いを抑制し、長期にわたる使用時のストレスによる粒子の破砕性を抑制することができる。
【0075】
また、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下であることが好ましく、下記式で算出されるCV値は20%未満であることが好ましく、さらに好ましくは10%未満である。
【0076】
【数2】
CV値=(円形度の標準偏差/平均円形度)×100
【0077】
円形度の標準偏差を0.10以下とすることで、形状が揃ったトナーとすることができ、トナー間での定着性能の差を少なくすることができるため、定着率の向上及び耐オフセット性の低減による定着装置の汚染防止効果がより発揮される。また、CV値を20%未満とすることで、同様にシャープな形状分布とすることができ、定着性向上効果をより顕著に発揮することができる。
【0078】
上記形状係数の測定方法は限定されるものではないが、例えばトナー粒子を電子顕微鏡で500倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置を使用し、500個以上のトナーについて円形度を測定し、その算術平均値を求めることで、平均円形度を算出することができる。また、簡便な測定方法としては、FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により測定することができる。
【0079】
本発明のトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0080】
<現像剤>
本発明のトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0081】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0082】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0083】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0084】
本発明のトナー(画像形成方法)により形成されるカラー画像は、セミグロス画像であることが好ましい。
ここに、「セミグロス画像」とは、下記方法によって測定される標準光沢度が17〜37である画像をいうものとする(特開平9−138538号公報参照)。標準光沢度が17〜37の範囲にあるセミグロス画像は、カラー画像における色再現性を確保するために必要な光沢性(表面平滑性)と、オフィス文書などに要求される表面反射成分の抑制(マット性)とを兼ね備えたものである。
【0085】
すなわち、トナー層を積層して所望の色を構成するカラートナー像では、各色のトナー層の表面を平滑化させることが好ましい。
しかし、トナー層の表面平滑性が高くなると、画像の光沢度が高くなり、画像からの反射光によって当該画像(特に文字・記号)が見にくくなる。
そこで、標準光沢度を17〜37の範囲に制御することにより、カラー画像の色再現性と、文字画像などの読み取りやすさとをバランスよく満足することができる。ここに、標準光沢度の好ましい範囲としては17〜27とされる。
【0086】
〔標準光沢度の測定方法〕
(1)測定領域:
標準光沢度の測定は、画像形成支持体上におけるトナーの被覆割合が90面積%となる領域において行う。ここに、トナーの被覆割合は、高速カラー画像解析装置「SPICCA」(日本アビオニクス社製)を使用して測定する。
(2)測定方法:
上記の測定領域について、グロスメーターVGS−1D(日本電色工業株式会社製)を使用し、JIS−Z8741−1983に記載の方法2により、入射角75°にて測定する。
【0087】
<画像形成方法および画像形成装置>
図1は、本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置の概略構成図である。同図において、現像器4−1、4−2、4−3、4−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式又は非磁性一成分現像方法等によって潜像担持体1に形成された潜像を現像し、各色トナー像が潜像担持体1上に形成される。ここに、潜像は、例えばポリゴンミラーにより、デジタル画像情報に応じて潜像担持体1を露光3することにより形成される。
【0088】
潜像担持体1は、基材1aとこの基材1a上に形成された感光層1bとにより構成されており、例えばa−Se、CdS、ZnO2 、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。潜像担持体1は、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
潜像担持体1としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
【0089】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層と電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0090】
有機感光層は、転写性およびクリーニング性が良好であるという観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂により構成されていることが特に好ましい。これにより、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくくなる。
【0091】
本発明において、帯電工程では、コロナ帯電器を用いる潜像担持体1とは非接触である方式と、ローラー等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図1に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
【0092】
帯電ローラー2は、中心の芯金2bとの外周を形成した導電性弾性層2aとを基本構成とするものである。帯電ローラー2は、潜像担持体1面に押圧力をもって圧接され、感光体1の回転に伴い従動回転する。
【0093】
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、当該ローラーの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
【0094】
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法が有る。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0095】
接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレード材料としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜が形成されていても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0096】
潜像担持体1上に形成されたトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体5に転写される。
ここに、潜像担持体1上に残留するトナーは、クリーナー部材8により残トナー容器9中に回収される。
【0097】
中間転写体5は、パイプ状の導電性芯金5bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層5aからなる。芯金5bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
【0098】
中抵抗の弾性体層5aは、シリコンゴム、テフロンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如く導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105 〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
【0099】
中間転写体5は潜像担持体1に対して並行に軸受けさせて潜像担持体1の下面部に接触させて配設してあり、潜像担持体1と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
【0100】
潜像担持体1の面に形成担持された第1色のトナー像が潜像担持体1と中間転写体5とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体5に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって中間転写体5の外面に対して中間転写されていく。
【0101】
必要により、着脱自在なクリーニング手段10により、画像形成支持体へのトナー像の転写後に、中間転写体5の表面がクリーニングされる。中間転写体5上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段10は、中間転写体5表面から離される。
【0102】
中間転写体5に対して並行に軸受けさせて中間転写体5の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段は例えば転写ローラー7であり、中間転写体5と同じ周速度で矢示の時計方向に回転する。転写ローラー7は直接中間転写体5と接触するように配置されていても良く、またベルト等が中間転写体5と転写ローラー7との間に接触するように配置されても良い。
【0103】
転写ローラー7は、中心の芯金7bとその外周を形成した導電性弾性層7aとを基本構成とするものである。
【0104】
本発明に用いられる中間転写体5及び転写ローラー7としては、一般的な材料を用いることが可能である。本発明においては中間転写体5の弾性層5aの体積固有抵抗値よりも転写ローラー7の弾性層7aの体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラー7への印加電圧が軽減でき、転写紙(画像形成支持体)6上に良好なトナー像を形成できると共に転写紙6の中間転写体5への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体5の弾性層5aの体積固有抵抗値が転写ローラー7の弾性層7aの体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
【0105】
中間転写体5及び転写ローラー7の硬度は、JISK−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写体5は、10〜40度の範囲に属する弾性層5aから構成されることが好ましく、一方、転写ローラー7の弾性層7aの硬度は、中間転写体5の弾性層5aの硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写体5への転写紙6の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写体5と転写ローラー7の硬度が逆になると、転写ローラー7側に凹部が形成され、中間転写体5への転写紙6の巻き付きが発生しやすくなる。
【0106】
転写ローラー7は、中間転写体5と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写紙6は、中間転写体5と転写ローラー7との間に搬送されると同時に、転写ローラー7にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを転写バイアス手段から印加することによって中間転写体5上のトナー像が転写紙6の表面側に転写される。
【0107】
転写用ローラー7の材質としては、帯電ローラー2と同様のものも用いることができ、好ましい転写のプロセス条件としては、当該ローラーの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
【0108】
例えば、転写ローラー7の導電性弾性層7aはカーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106 〜1010Ω・cm程度の弾性体でつくられている。芯金7aには定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
【0109】
次いで転写紙6は、後述するように、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵させた加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーとを基本構成とする定着装置11へ搬送され、加熱ローラーと加圧ローラー間を通過することによってトナー像が転写紙6に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いても良い。
【0110】
<定着装置>
図2は、本発明において使用する定着装置の一例を示す断面図である。図2に示す定着装置は、加熱ローラー20と、これに当接する加圧ローラー30とを備えている。なお、図2において、Tは転写紙6上に形成されたトナー像である。
【0111】
加熱ローラー20は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層22が芯金21の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材23を内包している。
【0112】
芯金21は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金21を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
芯金21の肉厚は0.1〜2mmとされ、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
【0113】
被覆層22を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを用いることができる。
フッ素樹脂からなる被覆層22の厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
フッ素樹脂からなる被覆層22の厚みが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することができない。一方、500μmを超える被覆層の表面には紙粉によるキズがつきやすく、当該キズ部にトナーなどが付着し、これに起因する画像汚れを発生する問題がある。
【0114】
また、被覆層22を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層22を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、弾性体からなる被覆層22の厚みは0.1〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
被覆層22を構成する弾性体のアスカーC硬度が80°を超える場合、および当該被覆層22の厚みが0.1mm未満である場合には、定着のニップを大きくすることができず、ソフト定着の効果(平滑化された界面のトナー層による色再現性の向上効果)を発揮することができない。
【0115】
加熱部材23としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
また、加熱部材23の数は特に限定されるものではなく、複数の加熱部材を内包させて、通過する転写紙のサイズ(幅)に応じて配熱領域を変更できる構成とすることもできる。
【0116】
加圧ローラー30は、弾性体からなる被覆層32が芯金31の表面に形成されてなる。被覆層32を構成する弾性体としては特に限定されるものではないが、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げることができ、例えばLTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
【0117】
被覆層32を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、被覆層32の厚みは0.1〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
被覆層32を構成する弾性体のアスカーC硬度が80°を超える場合、および被覆層32の厚みが0.1mm未満である場合には、定着のニップを大きくすることができず、ソフト定着の効果を発揮することができない。
【0118】
芯金31を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
【0119】
加熱ローラー20と加圧ローラー30との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nとされ、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nとされる。この当接荷重は、加熱ローラー10の強度(芯金11の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
【0120】
また、耐オフセット性および定着特性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105 Pa〜1.5×105 Paであることが好ましい。
【0121】
図2に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー10の表面温度)が150〜210℃とされ、定着線速が80〜640mm/secとされる。
【0122】
本発明において使用する定着装置には、必要に応じてクリーニング機構を付与してもよい。この場合には、シリコーンオイルを定着部の上ローラー(加熱ローラー)に供給する方式として、シリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等で供給し、クリーニングする方法が使用できる。
シリコーンオイルとしては耐熱性の高いものが使用され、ポリジメチルシリコーン、ポリフェニルメチルシリコーン、ポリジフェニルシリコーン等が使用される。粘度の低いものは使用時に流出量が大きくなることから、20℃における粘度が1〜100Pa・sのものが好適に使用される。
【0123】
但し、本発明による効果は、シリコーンオイルを供給しない、または、シリコーンオイルの供給量がきわめて低い定着装置により、カラー定着画像を形成する工程を含む場合に特に顕著に発揮される。従って、シリコーンオイルを供給する場合であっても、その供給量は2mg/A4以下とすることが好ましい。
シリコーンオイルの供給量を2mg/A4以下とすることにより、定着後の転写紙(画像形成支持体)6に対するシリコーンオイルの付着量が少なくなり、転写紙へ付着したシリコーンオイルによるボールペン等の油性ペンの記入しずらさがなく、加筆性が損なわれることはない。
また、シリコーンオイルの変質による耐オフセット性の経時的な低下、シリコーンオイルによる光学系や帯電極の汚染などの問題を回避することができる。
【0124】
ここに、シリコーンオイルの供給量は、所定温度に加熱した定着装置(ローラー間)に転写紙(A4サイズの白紙)を連続して100枚通過させ、通紙前後における定着装置の質量変化(Δw)を測定して算出される(Δw/100)。
【0125】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、以下において「部」は「質量部」を意味する。
【0126】
〔調製例1〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水2760gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
一方、上記式19)で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」という。)72.0gを、スチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液に添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
循環経路を有する機械式分散機により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に、前記単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
次いで、この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックスを調製した。
次いで、このラテックスに、重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、15分経過後、80℃で、スチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、t−ドデシルメルカプタン13.7gからなる単量体混合液を126分間かけて滴下した。滴下終了後、60分にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行った後、40℃まで冷却しラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1)」とする。
【0127】
〔調製例2〕
例示化合物(19)の添加量を60.0gとしたこと以外は調製例1と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(2)」とする。
【0128】
〔調製例3〕
例示化合物(19)の添加量を96.0gとしたこと以外は調製例1と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(3)」とする。
【0129】
〔調製例4〕
例示化合物(19)の添加量を120.0gとしたこと以外は調製例1と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(4)」とする。
【0130】
〔調製例5〕
例示化合物(19)に代えて、上記式18)で表される化合物(以下、「例示化合物(18)」という。)72.0gを添加したこと以外は調製例1と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(5)」とする。
【0131】
〔調製例6〕
例示化合物(19)に代えて、上記式17)で表される化合物(以下、「例示化合物(17)」という。)72.0gを添加したこと以外は調製例1と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(6)」とする。
【0132】
〔調製例7〕
例示化合物(19)に代えて、上記式8)で表される化合物(以下、「例示化合物(8)」という。)120.0gを添加したこと以外は調製例1と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(7)」とする。
【0133】
〔調製例8〕
第1段重合(高分子量成分の合成)を行うために添加した過硫酸カリウムの量を0.42gに変更したこと以外は調製例2と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(8)」とする。
【0134】
〔調製例9〕
第2段重合(低分子量成分の合成)を行うために添加した過硫酸カリウムの量を9.276gに変更したこと以外は調製例2と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(9)」とする。
【0135】
〔調製例10〕
第2段重合(低分子量成分の合成)を行うために添加したt−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)の量を16.44gに変更したこと以外は調製例2と同様にしてラテックスを得た。ラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(10)」とする。
【0136】
〔調製例11〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)8.4gをイオン交換水2760gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
一方、例示化合物(19)86.4gを、スチレン138.1g、n−ブチルアクリレート50.4g、メタクリル酸13.1gからなる単量体混合液に添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
循環経路を有する機械式分散機により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に、前記単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
次いで、この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックスを調製した。
次いで、このラテックスに、重合開始剤(KPS)6.0gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、15分経過後、80℃で、スチレン306.9g、n−ブチルアクリレート112.0g、メタクリル酸29.12g、t−ドデシルメルカプタン10.96gからなる単量体混合液を120分間かけて滴下した。滴下終了後、60分にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行った後、40℃まで冷却しラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(11)」とする。
【0137】
〔調製例12〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)5.6gをイオン交換水2760gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
一方、例示化合物(19)57.6gを、スチレン92.1g、n−ブチルアクリレート33.6g、メタクリル酸8.7gからなる単量体混合液に添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
循環経路を有する機械式分散機により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に、前記単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
次いで、この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.6gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックスを調製した。
次いで、このラテックスに、重合開始剤(KPS)9.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、15分経過後、80℃で、スチレン498.7g、n−ブチルアクリレート182.0g、メタクリル酸47.3g、t−ドデシルメルカプタン17.8gからなる単量体混合液を120分間かけて滴下した。滴下終了後、60分にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行った後、40℃まで冷却しラテックス(離型剤を核部に含有する核殻構造の樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(12)」とする。
【0138】
〔製造例1Bk〕
n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2gをイオン交換水160mlに攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)20gを徐々に添加し、次いで、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(1)」という。)を調製した。この着色剤分散液(1)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で112nmであった。
【0139】
調製例1で得られたラテックス(1)1250gと、イオン交換水2000mlと、上記のようにして得られた着色剤分散液(1)とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ攪拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃まで昇温した(昇温速度=10℃/分)。その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度90℃±2℃にて6時間にわたり加熱攪拌することにより融着を継続させた。その後、6℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥して着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子1Bk」とする。
【0140】
〔製造例2Bk〜12Bk〕
下記表1に示す処方に従ってラテックスの種類を変更し、製造例7Bk、製造例8Bk、製造例12Bkでは、さらに、カーボンブラック「リーガル330R」に代えて、カーボンブラック「モーガルL」20gを使用したこと以外は製造例1Bkと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子2Bk」〜「着色粒子12Bk」とする。
【0141】
以上のようにして得られた着色粒子1Bk〜12Bkの各々について、円形度の平均値(平均円形度)、円形度の標準偏差、円形度のCV値、体積平均粒径、高分子量成分のピーク分子量、低分子量成分のピーク分子量、樹脂自体の分子量(数平均分子量・重量平均分子量)を測定した。結果を下記表1に併せて示す。
【0142】
【表1】
【0143】
〔製造例1Y〕
下記表2に示す処方に従い、カーボンブラックに代えて、イエロー用染料(C.I.ソルベントイエロー93)20gを添加したこと以外は製造例1Bkと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子1Y」とする。
【0144】
〔製造例2Y〜12Y〕
下記表2に示す処方に従ってラテックスの種類を変更し、下記表2に示す着色剤を使用したこと以外は製造例1Yと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子2Y」〜「着色粒子12Y」とする。
【0145】
以上のようにして得られた着色粒子1Y〜12Yの各々について、円形度の平均値(平均円形度)、円形度の標準偏差、円形度のCV値、体積平均粒径を測定した。結果を下記表2に併せて示す。
なお、着色粒子1Y〜12Yの各々における高分子量成分のピーク分子量、低分子量成分のピーク分子量、樹脂自体の分子量(数平均分子量・重量平均分子量)の測定値は、着色粒子1Bk〜12Bkの各々(同一のラテックスを使用した着色粒子)におけるそれぞれの測定値と一致した。
【0146】
【表2】
【0147】
〔製造例1M〕
下記表3に示す処方に従い、カーボンブラックに代えて、レッド用顔料(C.I.ピグメントレッド122)20gを添加したこと以外は製造例1Bkと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子1M」とする。
【0148】
〔製造例2M〜12M〕
下記表3に示す処方に従ってラテックスの種類を変更し、製造例8Mおよび製造例12Mでは、さらに、C.I.ピグメントレッド122に代えて「カーミン6B」20gを使用したこと以外は製造例1Mと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子2M」〜「着色粒子12M」とする。
【0149】
以上のようにして得られた着色粒子1M〜12Mの各々について、円形度の平均値(平均円形度)、円形度の標準偏差、円形度のCV値、体積平均粒径を測定した。結果を下記表3に併せて示す。
なお、着色粒子1M〜12Mの各々における高分子量成分のピーク分子量、低分子量成分のピーク分子量、樹脂自体の分子量(数平均分子量・重量平均分子量)の測定値は、着色粒子1Bk〜12Bkの各々(同一のラテックスを使用した着色粒子)におけるそれぞれの測定値と一致した。
【0150】
【表3】
【0151】
〔製造例1C〕
カーボンブラックに代えて、ブルー用顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20gを添加したこと以外は製造例1Bkと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子1C」とする。
【0152】
〔製造例2C〜12C〕
下記表4に示す処方に従ってラテックスの種類を変更したこと以外は製造例1Cと同様にして着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「着色粒子2C」〜「着色粒子12C」とする。
【0153】
以上のようにして得られた着色粒子1C〜12Cの各々について、円形度の平均値(平均円形度)、円形度の標準偏差、円形度のCV値、体積平均粒径を測定した。結果を下記表4に併せて示す。
なお、着色粒子1C〜12Cの各々における高分子量成分のピーク分子量、低分子量成分のピーク分子量、樹脂自体の分子量(数平均分子量・重量平均分子量)の測定値は、着色粒子1Bk〜12Bkの各々(同一のラテックスを使用した着色粒子)におけるそれぞれの測定値と一致した。
【0154】
【表4】
【0155】
〔比較製造例1Bk(懸濁重合による着色粒子の製造)〕
高速攪拌装置(TKホモミキサー)を備えた4つ口フラスコに、イオン交換水710部と、0.1モル/リットルの燐酸三ナトリウム水溶液450部とを加え、この系を65℃に加温し、回転数12000rpmの攪拌条件下に1.0モル/リットルの塩化カルシウム水溶液68部を徐々に加え、コロイド状燐酸三カルシウムを含む分散液からなる水系媒体を調製した。
一方、スチレン165部とn−ブチルアクリレート35部とからなる単量体混合液にカーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)14部を添加し、これをサンドグラインダーで分散して得られた分散液に、例示化合物(19)60部を加え、80℃にて溶解させた。この溶液に重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を加えて単量体組成物を調製した。
このようにして得られた単量体組成物を、前記水系媒体中に回転数12000rpmの攪拌条件下で徐々に加え、当該単量体組成物を水系媒体中に分散させた。次いで、TKホモミキサーを通常の攪拌羽根に交換し、窒素気流下、65℃、200rpm攪拌条件下で10時間にわたり重合反応を行った。重合反応終了時に塩酸を加え、分散安定剤である燐酸三カルシウムを除去し、濾過、洗浄、乾燥することにより比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子1Bk」とする。
【0156】
〔比較製造例1Y〕
カーボンブラックに代えて、イエロー用顔料(C.I.ピグメントイエロー185)14部を添加したこと以外は比較製造例1Bkと同様にして懸濁重合法による比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子1Y」とする。
【0157】
〔比較製造例1M〕
カーボンブラックに代えて、レッド用顔料(C.I.ピグメントレッド122)14部を添加したこと以外は比較製造例1Bkと同様にして懸濁重合法による比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子1M」とする。
【0158】
〔比較製造例1C〕
カーボンブラックに代えて、ブルー用顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)14部を添加したこと以外は比較製造例1Bkと同様にして懸濁重合法による比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子1C」とする。
【0159】
以上のようにして得られた比較用着色粒子1Bk、1Y、1M、1Cの各々について、円形度の平均値(平均円形度)、円形度の標準偏差、円形度のCV値、体積平均粒径、高分子量成分のピーク分子量、低分子量成分のピーク分子量、樹脂自体の分子量(数平均分子量・重量平均分子量)を測定した。結果を下記表5に併せて示す。
【0160】
【表5】
【0161】
〔比較製造例2Bk(混練粉砕法による着色粒子の製造)〕
スチレンアクリル樹脂100部と、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)10部と、例示化合物(19)10部とをヘンシェルミキサーにて乾式混合した後に、二軸押出機にて溶融混練し、次いで、機械式粉砕機で粉砕し、気流分級機で分級することにより、比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子2Bk」とする。
【0162】
〔比較製造例2Y〕
カーボンブラックに代えて、イエロー用顔料(C.I.ピグメントイエロー185)10部を添加したこと以外は比較製造例2Bkと同様にして混練粉砕法による比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子2Y」とする。
【0163】
〔比較製造例2M〕
カーボンブラックに代えて、レッド用顔料(C.I.ピグメントレッド122)10部を添加したこと以外は比較製造例2Bkと同様にして混練粉砕法による比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子2M」とする。
【0164】
〔比較製造例2C〕
カーボンブラックに代えて、ブルー用顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10部を添加したこと以外は比較製造例2Bkと同様にして混練粉砕法による比較用の着色粒子を得た。このようにして得られた着色粒子を「比較用着色粒子2C」とする。
【0165】
以上のようにして得られた比較用着色粒子2Bk、2Y、2M、2Cの各々について、円形度の平均値(平均円形度)、円形度の標準偏差、円形度のCV値、体積平均粒径、高分子量成分のピーク分子量、低分子量成分のピーク分子量、樹脂自体の分子量(数平均分子量・重量平均分子量)を測定した。結果を下記表6に併せて示す。
【0166】
【表6】
【0167】
上記表1〜表6において、着色粒子(着色粒子1Bk〜12Bk、着色粒子1Y〜12Y、着色粒子1M〜12M、着色粒子1C〜12C、比較用着色粒子1Bk,1Y,1M,1C、比較用着色粒子2Bk,2Y,2M,2C)における「円形度」は、FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)を使用し、試料分析量=0.3μl、検出粒子数=1500〜5000個の条件で測定したものである。
【0168】
上記の着色粒子の各々に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%となる割合で添加するとともに、疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%となる割合でそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。これらの着色粒子およびトナーは、その形状および粒径などに関して差異がないものである。
このようにして得られたトナーの各々と、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアとを混合し、トナー濃度が6質量%の現像剤を調製した。これらの現像剤を、着色粒子1Bk〜12Bk、着色粒子1Y〜12Y、着色粒子1M〜12M、着色粒子1C〜12C、比較用着色粒子1Bk,1Y,1M,1C、比較用着色粒子2Bk,2Y,2M,2Cに対応して、現像剤1Bk〜12Bk、現像剤1Y〜12Y、現像剤1M〜12M、現像剤1C〜12C、比較用現像剤1Bk,1Y,1M,1C、比較用現像剤2Bk,2Y,2M,2Cとする。
【0169】
〔定着装置の作製〕
図1に示したような圧接方式の定着装置(定着装置1〜7)を作製した。
【0170】
(定着装置1)
中央部にヒーターを内蔵するアルミ合金からなる円筒状(内径=30mm、肉厚=1.0mm、全幅=310mm)の芯金表面を、スポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度30°、厚み8mm)で被覆することにより加熱ローラー(上ローラー)を構成し、鉄からなる円筒状(内径=40mm、肉厚=2.0mm)の芯金表面を、スポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度30°、厚み2mm)で被覆することにより加圧ローラー(下ローラー)を構成し、当該加熱ローラーと当該加圧ローラーとを150Nの総荷重により当接させて6.6mm幅のニップを形成させた。この定着装置を使用して、印字の線速を180mm/secに設定した。なお、定着装置のクリーニング機構として、ポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。定着温度は加熱ローラーの表面温度で制御した(設定温度175℃)。なお、シリコーンオイルの塗布量は0.6mg/A4とした。これを「定着装置1」とする。
【0171】
(定着装置2〜6)
下記表7に従って、加熱ローラーの表面被覆層(シリコーンゴム)のアスカーC硬度および厚さ;加圧ローラーの表面被覆層(シリコーンゴム)のアスカーC硬度および厚さ;当接荷重(総荷重)、ニップ幅の少なくとも1つの条件が定着装置1と異なる定着装置2〜6を作製した。
【0172】
【表7】
【0173】
(定着装置7)
中央部にヒーターを内蔵するアルミ合金からなる円筒状(内径=40mm、肉厚=1.0mm、全幅=310mm)の芯金表面を、テトラフロオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなるチューブ(厚み=120μm)で被覆することにより加熱ローラー(上ローラー)を構成し、鉄からなる円筒状(内径=40mm、肉厚=2.0mm)の芯金表面を、スポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度=48、厚み=2mm)で被覆することにより加圧ローラー(下ローラー)を構成し、当該加熱ローラーと当該加圧ローラーとを150Nの総荷重により当接させて5.8mm幅のニップを形成させた。この定着装置を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。なお、定着装置のクリーニング機構として、ポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。
定着の温度は加熱ローラーの表面温度で制御した。なお、シリコーンオイルの塗布量は0.6mg/A4とした。これを「定着装置7」とする。
【0174】
<実施例1〜18および比較例1〜2>
下記表8に示す組合せに従って、現像剤(nBk/nY/nM/nC:nは1〜12の何れかの整数)および比較用現像剤(1Bk/1Y/1M/1Cもしくは2Bk/2Y/2M/2C)の各々を使用し、上記の定着装置1〜7の各々を備えた中間転写方式のデジタルカラー複写機「CLC−500」(キャノン(株)製)の改造機を用いて実写テストを実施することにより、定着特性(ハーフトーン定着率)および耐オフセット性(裏面汚れ)を評価し、グリーンの二次色のクロマおよび標準光沢度を測定した。
なお、定着装置における加熱ローラーの表面温度はセンター値で175℃とした。現像条件および評価方法は下記に示すとおりである。
【0175】
〔現像条件〕
・感光体;積層型有機感光体
・DCバイアス :−500V
・Dsd(感光体と現像スリーブ間距離):600μm
・現像剤層規制 :磁性H−Cut方式
・現像剤層厚 :700μm
・現像スリーブ径:40mm
【0176】
〔評価方法〕
(1)定着特性:
Y/M/C/Bkがそれぞれ単色で印字されているA4のハーフトーン画像(画像濃度が紙の濃度を「0」としたときの相対反射濃度で1.0のもの)を印字して定着率を測定した。
定着率は、定着画像を「サラシ布」を巻いた1kgのおもりで擦った前後の画像濃度から、下記式によって算出した。結果を下記表9に示す。
【0177】
【数3】
定着率(%)=〔(擦り後の画像濃度)/(擦り前の画像濃度)〕×100
【0178】
(2)裏面汚れ:
フルカラー画像(画素率=50%)を連続して1,000枚印字した(これを1サイクルとする)。この操作を10サイクル行った。なお、各サイクル毎ごとに一晩休止した。
その際、各サイクル開始時の形成画像(休止後1枚目)の裏面側の汚れの有無・程度(裏面汚れ)を目視で観察し、下記の基準に従ってA〜Cのランク付けを行った。
ランクCに至ったサイクル数(ランクC発生回数)および10サイクル終了時における汚れのランク(10回目の汚れランク)を下記表9に示す。
【0179】
・ランクA:まったく汚れなし
・ランクB:かすかな汚れが発生するが、実用上問題なし。
・ランクC:汚れが目視で観察でき、実用上問題となる。
【0180】
(3)グリーンの二次色のクロマ:
上記(2)のフルカラー画像の形成(1,000枚×10サイクル)において、初期(1サイクルの1枚目)および最終時点(10サイクルの1,000枚目)の複写画像の各々ついて、「マクベスカラーアイ」を使用して、グリーンの二次色のクロマを測定して色再現性を評価した。ここに、光源視野(ASTM−D65)2°、SCEモードで評価した。
【0181】
(4)標準光沢度:
上記(2)のフルカラー画像の形成における初期の複写画像(1サイクルの1枚目)について、上記方法に従って、標準光沢度を測定した。
結果を下記表9に示す。
【0182】
【表8】
【0183】
【表9】
【0184】
【発明の効果】
本発明のトナーによれば、シリコーンオイルを供給しない、または、シリコーンオイルの供給量がきわめて低い定着装置によりカラー定着画像を形成する工程を含む画像形成方法に使用される場合であっても、オフセット現象を発生させず、定着率が高くて色再現性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。
【0185】
本発明の画像形成方法によれば、シリコーンオイルを供給しない、または、シリコーンオイルの供給量がきわめて低い定着装置によりカラー画像を形成する場合であっても、オフセット現象を発生させず、定着率が高くて色再現性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する定着装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体
2 帯電ローラー
2a 導電性弾性層
2b 芯金
3 露光
4 現像器(4−1、4−2、4−3、4−4)
5 中間転写体
5a 弾性層
5b 芯金
6 転写紙(画像形成支持体)
7 転写ローラー
7a 弾性層
7b 芯金
8 クリーナー部材
9 残トナー容器
10 クリーナー部材
11 定着装置
20 加熱ローラー
21 芯金
22 被覆層
23 加熱部材
30 加圧ローラー
31 芯金
32 被覆層
Claims (2)
- 潜像担持体上に潜像を形成する工程、トナーを含む現像剤で当該潜像を現像する工程、前記潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する工程、前記中間転写体に転写形成されたトナー像を画像形成支持体に転写する工程、および前記画像形成支持体に転写形成されたトナー像を熱ローラ定着方式の定着装置により定着する工程を含む画像形成方法において、
前記トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有し、結着樹脂を得るための単量体中に離型剤を溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中に分散させ、この系を重合処理することにより核部を形成し、さらに、単量体を重合させることにより殻を形成した離型剤を核部に含有する樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着させて得られ、
前記結着樹脂はラジカル重合性単量体から得られるものであり、前記離型剤は下記一般式(1)で示される結晶性のエステル化合物であることを特徴とする画像形成方法。
一般式(1):R1 −(OCO−R2 )n
(式中、R 1 は置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、R 2 は置換基を有していてもよい炭素数が16〜40の炭化水素基を示し、nは2〜4の整数である。) - 前記定着装置は、加熱ローラーと、この加熱ローラーに当接する加圧ローラーとを備え、当該加熱ローラーへのシリコーンオイルの供給量が2mg/A4以下であることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
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