JP2018004960A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿環境下での像流れの発生を抑制する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】表面保護層を備えた電子写真感光体と、トナー粒子を含むトナーを有する現像剤を収容する現像手段であって、トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、平均円形度が0.955以上0.971以下であり、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上40個数%以下であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%以下である現像手段と、クリーニングブレードを有するクリーニング手段と、を備える画像形成装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真法による画像の形成は、感光体表面を全体に帯電させた後、この感光体表面に、画像情報に応じたレーザ光により露光して静電潜像を形成し、次いでこの静電潜像を、トナーを含む現像剤で現像してトナー像を形成し、最後にこのトナー像を記録媒体表面に転写及び定着することにより行われる。
例えば、特許文献1には、「結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、個数粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上の粒子の存在割合が5個数%以上15個数%以下であり、個数粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満の粒子の存在割合が5個数%以下である」静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、「平均円形度が0.94以上0.98以下であって、個数基準で円形度が小さい側から数えた円相当径の累積が90%のときの粒子が0.92未満の円形度を有し、0.92未満の円形度を有する粒子のトナー全体に対する割合が3個数%未満であって、円形度が0.90以上0.95未満の粒子がトナー全体の20%以上40%以下、円形度0.95以上1.00以下の粒子がトナー全体の60%以上80%以下である」静電荷像現像用トナーが開示されている。
また、例えば、特許文献3には、「フロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度が0.940以上1.000以下の静電荷像現像用トナーを備えた画像形成装置に用いる電子写真感光体であって、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、該感光層が下記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含有する」電子写真感光体を備えた画像形成装置が開示されている。
特開2009−223055号公報 特開2008−225120号公報 特開2010−134124号公報
電子写真法を利用した画像形成装置において、トナー粒子を含むトナーを有する現像剤により画像を形成すると、画像形成装置中で、いわゆる放電生成物が生成する場合がある。画像形成装置に備えた電子写真感光体の表面に、この放電生成物が付着すると、付着した放電生成物が、高温高湿環境下において吸湿し、電子写真感光体の表面抵抗が低下する。その結果、感光体上で静電潜像を保持し難くなり、形成された画像には、像流れが発生し易い。
ところで、表面保護層が形成されていない電子写真感光体を備える画像形成装置の場合、電子写真感光体の表面に放電生成物が付着しても、クリーニングブレードによって、電子写真感光体の表面から放電生成物が除去され易く、像流れの発生が抑制され易い。
一方で、感光層及び表面保護層をこの順で有する電子写真感光体を備える画像形成装置では、表面保護層が硬質のため、表面保護層の表面に付着した放電生成物は、クリーニングブレードによっても除去され難く、高温高湿環境下での像流れが発生し易い。
そこで、本発明の課題は、導電性基体上に、感光層及び表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体と、先端を電子写真感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させたクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、トナー粒子を含むトナーを有する現像剤を収容した現像手段と、を備えた画像形成装置において、現像手段に収容された現像剤に含まれるトナーが、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上の粒子の存在割合が16個数%未満のトナー粒子を有する場合、又は、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%を超えるトナー粒子を有する場合と比較して、高温高湿環境下での像流れの発生を抑制する画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
導電性基体上に、感光層及び表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナー粒子を含むトナーを有する現像剤であって、前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、平均円形度が0.955以上0.971以下であり、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上40個数%以下であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%以下である現像剤を収容し、前記現像剤により前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
クリーニングブレードを有し、前記クリーニングブレードの先端を前記電子写真感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させて前記電子写真感光体の表面の残留物を除去するクリーニング手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、
前記表面保護層は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物から構成されている請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、
前記トナー粒子は、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上30個数%以下である請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、
前記トナー粒子は、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上25個数%以下である請求項3に記載の画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、
前記トナー粒子は、円形度が0.900以上0.950未満のトナー粒子の存在割合が前記トナー粒子の全体に対して5個数%以上15個数%以下、円形度が0.950以上1.000以下のトナー粒子の存在割合がトナー粒子全体に対して75個数%以上85個数%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、
前記トナー粒子は、円形度が0.900以上0.950未満のトナー粒子の存在割合が前記トナー粒子の全体に対して10個数%以上15個数%以下である請求項5に記載の画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、
前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂が前記結着樹脂の全体に対して1質量%以上10質量%以下の範囲で含有される請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項1、3、4、5、6及び7に係る発明によれば、現像手段に収容された現像剤に含まれるトナーが、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上の粒子の存在割合が16個数%未満のトナー粒子を有する場合、又は、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%を超えるトナー粒子を有する場合と比較して、高温高湿環境下での像流れの発生を抑制し得る画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、現像手段に収容された現像剤に含まれるトナーが、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上の粒子の存在割合が16個数%未満のトナー粒子を有する場合、又は、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%を超えるトナー粒子を有する場合と比較して、表面保護層がアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物から構成されている電子写真感光体を備えていても、高温高湿環境下での像流れの発生を抑制し得る画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置に適用しうるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置における電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置における電子写真感光体の層構成の他の例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置におけるクリーニングブレードの設置態様を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置におけるクリーニングブレード周辺を拡大して示す拡大概略図である。 生成物(A−4)のIRスペクトルである。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
〔画像形成装置/画像形成方法〕
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体上に、感光層及び表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体(以降、「特定感光体」と称することがある)と、特定感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した特定感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、後述する特定トナーを有する現像剤を収容し、現像剤により特定感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、クリーニングブレードを有し、クリーニングブレードの先端を特定感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させて特定感光体の表面の残留物を除去するクリーニング手段(以降、「特定クリーニング手段」と称することがある)と、記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を備える。
従来、画像形成装置には、導電性基体上に、感光層及び表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体が用いられている。特に、長寿命である点、画像形成を継続して行える点等から、例えば、電荷発生層及び電荷輸送層(以下、電荷発生層及び電荷輸送層を総じて、「感光層」と称することがある。)の上に表面保護層を有する電子写真感光体(本実施形態の画像形成装置における特定感光体に該当)が用いられている。
一方、電子写真法を利用した画像形成装置は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段や転写手段等の放電を伴う手段を備えている。これらの手段の放電に伴い、画像形成装置中では、空気中の酸素、窒素等が反応して、いわゆる放電生成物が生成する。この放電生成物が電子写真感光体の表面へ付着すると、付着した放電生成物が、高温高湿環境下(例えば、温度28℃、湿度85%RH)において吸湿し、電子写真感光体の表面抵抗が低下する。そのため、感光体上で静電潜像を保持し難くなり、像流れが発生し易い。
表面保護層が形成されていない電子写真感光体を備える画像形成装置の場合、クリーニングブレードで、感光層の表層部分ごと削り取られる等の作用によって、放電生成物は電子写真感光体の表面から除去されるため、像流れの発生が抑制され易い。
しかしながら、表面保護層を有する感光体(特定感光体)では、表面保護層は感光層に比べ硬質であるため、クリーニングブレードによって表面保護層の表層部分を削り取る等の作用が生じ難い。特に、表面保護層が、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物から構成されている場合は、より硬質であるため、削り取る等の作用がより生じ難い。そのため、特定感光体を備える画像形成装置では、表面保護層の表面に付着した放電生成物が、クリーニングブレードによって除去され難いため、高温高湿環境下での像流れが発生し易い。
これに対して、本実施形態に係る画像形成装置は、表面保護層を備える特定感光体と、クリーニングブレードを有する特定クリーニング手段と、以下に示す特定トナーを含む現像剤を収容した現像手段を備えた画像形成装置である。
特定トナーは、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、平均円形度が0.955以上0.971以下であり、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上40個数%以下であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%以下であるトナー粒子を有する。
特定トナーは、平均円形度を上記範囲に保ちつつも、粗大粒径かつ円形度が低いトナー粒子の存在割合が少なく、小径かつ球形に近づけたトナー粒子の存在割合が多いトナーである。本実施形態に係る画像形成装置において、上記条件の範囲を満たす特定トナーを用いることにより、高温高湿環境下での像流れの発生が抑制される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
図6は、本実施形態の画像形成装置におけるクリーニングブレード周辺を拡大して示す拡大概略図である。図6に示すように、クリーニングブレード113の先端は、電子写真感光体107の回転方向(矢印A方向)と対向する方向を向いており、この状態で電子写真感光体107の表面に接触している。そして、クリーニングブレード113を配置すると、電子写真感光体107とクリーニングブレード113の接触部(以下、本接触部を「ニップ部113A」と称する)よりも電子写真感光体107の回転方向の上流側において、電子写真感光体107とクリーニングブレード113との間に間隙(以下、本間隙部を「プレニップ部113B」と称する)が生じる。
電子写真感光体107の回転駆動中は、電子写真感光体107の表面とクリーニングブレード113のニップ部113Aとの間に発生する動摩擦力により、ニップ部113Aは、電子写真感光体107の回転方向(矢印A方向)に引っ張られた状態で変形し、先端角度が小さな楔形形状になる。そして、電子写真感光体107が回転駆動すると、プレニップ部113Bでは、トナーの滞留物(以下、トナーの滞留物を「トナーダム」とも称する)TDが形成される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置に備えた現像手段に特定トナーを用いて画像を形成すると、プレニップ部113Bでは、特定トナーの転写後の残留トナーによって、トナーダムTDが形成される。このトナーダムTDでは、特定トナーの有する形状特性によって、特定トナーのトナー粒子が最密充填される状態となり、さらに、特定トナーがニップ部113Aに近い領域に存在し易くなる。このため、特定トナーによって形成されたトナーダムTDにより、ニップ部113Aは変形がより大きくなり、電子写真感光体107の表面とニップ部113Aとの動摩擦力が上昇し、電子写真感光体107に対するニップ部113Aの負荷が大きくなる。そして、電子写真感光体107の表面は、クリーニングブレード113によって安定してクリーニングされることで、放電生成物が除去され易くなる。その結果、本実施形態に係る画像形成装置では、高温高湿環境下での像流れの発生が抑制されると考えられる。
なお、トナーの形状を上記の特定トナーの形状の範囲を超えて球形に近づけすぎた場合(つまり、4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上の粒子の存在割合が40個数%を超え、平均円形度0.971を超える場合)、特定トナーにより形成されるトナーダムが大きくなり易く、ニップ部の変形がさらに大きくなり、トナーダムの形態を維持し難くなり易い。そのため、トナーのクリーニング性が低下し、トナーのすり抜けが発生し易くなる。すり抜けたトナーは画像上筋状の欠陥として顕在化し易い。
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置においては、特定トナーを用いることで、高温高湿環境下での像流れの発生が抑制される。
本実施形態に係る画像形成装置では、特定感光体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した特定感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、後述する特定トナーを有する現像剤により、特定感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、クリーニングブレードを有し、クリーニングブレードの先端を特定感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させて特定感光体の表面の残留物を除去するクリーニング工程と、記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法が実施される。
(画像形成装置の構成)
本実施形態に係る画像形成装置には、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置の構成が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、前記した層構成の特定感光体と、前述した特定クリーニング手段と、を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、このプロセスカートリッジには、電子写真感光体及びクリーニング手段以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも1つの手段を備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の感光体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、特定トナーを有する現像剤が収容されている。また、現像装置4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、感光体1Yを有している。
感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電潜像を形成する露光装置(静電潜像形成手段の一例)3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存する残留物を除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが、順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
本実施形態では、第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kのうち少なくとも1つのユニット(好ましくは全てのユニット)が、感光体として特定感光体を備え、感光体クリーニング装置として特定クリーニング手段を備え、現像装置に収容する現像剤として特定トナーを有する現像剤を用いたユニットである。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによってトナー像として可視像化(現像)される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、静電潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留した残留物は感光体クリーニング装置6Yで除去され、残留物のうちトナーは回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。
一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
次に、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジについて説明する。
以下、プロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、プロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、電子写真感光体107と、電子写真感光体107の周囲に備えられた帯電装置108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電潜像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
続いて、本実施形態に係る画像形成装置を構成する各要素(特定感光体、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、特定クリーニング手段、定着手段、及び現像剤)についてより具体的に説明する。
なお、部材の符号は省略して説明する。
[特定感光体]
本実施形態に係る画像形成装置における特定感光体は、導電性基体上に、感光層及び表面保護層をこの順に有するものである。感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の感光層に含有して機能を一体化した単層型感光層でもよく、電荷発生層と電荷輸送層とを有する機能が分離された積層型感光層でもよい。感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層と電荷輸送層との順序は特に限定されないが、特定感光体は、導電性基体上に、電荷発生層、電荷輸送層、及び表面保護層をこの順に有する構成が好ましい。また、特定感光体は、これらの層以外の層を含んでいてもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置における電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。電子写真感光体107Aは、導電性基体104上に、下引層101が設けられ、その上に電荷発生層102、電荷輸送層103、及び表面保護層106が順次形成された構造を有する。電子写真感光体107Aにおいては、電荷発生層102と電荷輸送層103とに機能が分離された感光層105が構成されている。
また、図4は、本実施形態に係る画像形成装置における電子写真感光体の層構成の他の例を示す模式断面図である。図4に示す電子写真感光体107Bは、導電性基体104上に、下引層101が設けられ、感光層105及び表面保護層106が順次形成された構造を有する。電子写真感光体107Bにおいては、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の感光層105に含有して機能を一体化した単層型感光層が構成されている。
なお、特定感光体は、下引層101を設けてもよいし、設けなくてもよい。
以下、特定感光体の詳細について説明するが、符号は省略して説明する。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、特定感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a−1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、−C−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a−2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、−C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材料は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(表面保護層)
表面保護層は、感光層上に設けられる。表面保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度を更に改善する目的で設けられる。
表面保護層としては、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を示す]、−NH、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
なお、反応性基含有非電荷輸送材料における反応性基としても、上記の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つがより好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
なお、表面保護層は、上記の材料以外に、周知の添加剤が含まれていてもよい。
表面保護層の形成は、特に制限はなく、使用する材料等によって決定すればよく、周知の形成方法が利用される。例えば、上記成分を溶剤に加えた表面保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
表面保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、表面保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
−アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物−
特定感光体における表面保護層としては、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物から構成されることが好ましい。
中でも、表面保護層は、同一分子内に電荷輸送性骨格及びアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物(以下、「特定の電荷輸送材料(a)」とも称する)を含む組成物の硬化物から構成させることがよい。
以下、特定の電荷輸送材料(a)を含む組成物の硬化物(硬化膜)を例に挙げて説明する。
・特定の電荷輸送材料(a)
表面保護層に用いられる特定の電荷輸送材料(a)は、同一分子内に電荷輸送性骨格及びアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物であり、この構造上の条件を満たしていれば、特に限定されるものではない。
ここで、特定の電荷輸送材料(a)中の電荷輸送性骨格とは、反応性電荷輸送材料(a)中の電荷輸送性骨格としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格が挙げられる。
特に、特定の電荷輸送材料(a)はメタクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
その理由は明確ではないが、以下のように推測される。
通常、硬化反応には反応性の高いアクリロイル基を有する化合物が用いられることが多い。嵩高い電荷輸送性骨格に置換基として反応性の高いアクリロイル基を有する場合、硬化反応にムラが生じやすいため、硬化膜に表面保護層のムラおよびシワを発生させやすくなる。一方、アクリロイル基よりも反応性の低いメタクリロイル基を有する特定の電荷輸送材料(a)を用いることで、硬化膜に表面保護層のムラおよびシワの発生を抑制させやすくなると推測される。
また、特定の電荷輸送材料(a)において、電荷輸送性骨格とアクリロイル基又はメタクリロイル基との間に炭素原子が1つ以上介在した構造であることが好ましい。つまり、特定の電荷輸送材料(a)としては、電荷輸送性骨格とアクリロイル基又はメタクリロイル基との間には炭素原子を1つ以上含む炭素鎖を連結基として有することが好ましい態様である。特に、かかる連結基がアルキレン基であることがもっとも好ましい態様である。
上記の態様が好ましい理由としては、必ずしも明らかではないが、例えば、以下の理由が考えられる。
表面保護層における機械強度については、嵩高い電荷輸送性骨格と重合部位(アクリロイル基又はメタクリロイル基)が近くリジッド(剛直)であると重合部位同士が動き難くなり、反応する確率が低下してしまう場合があるものと考えられる。
さらに、特定の電荷輸送材料(a)は、同一分子内にトリフェニルアミン骨格と、3つ以上、より好ましくは、4つ以上のメタクリロイル基と、を有する構造の化合物(a’)であることが好ましい態様である。この態様の場合、合成時の化合物の安定性が確保し易くなる。また、この態様とすることで、架橋密度が高く、十分な機械的強度を有する表面保護層を形成しうるため、表面保護層の厚膜化が図りやすくなる。
本実施態様において、特定の電荷輸送材料(a)としては、下記一般式(A)で表される化合物であることが、電荷輸送性に優れることから、好ましい。
上記一般式(A)中、Ar乃至Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(CH−(O−CH−CH−O−CO−C(CH)=CHを示し、c1乃至c5は、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を示し、kは0又は1を示し、dは0以上5以下の整数を示し、eは0又は1を示し、Dの総数は4以上である。
一般式(A)において、Ar乃至Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ar乃至Arは、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、D:−(CH−(O−CH−CH−O−CO−C(CH)=CH以外のものとして、炭素数1乃至4のアルキル基若しくはアルコキシ基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが好ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar乃至Arの各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。
上記式(1)乃至(7)中、Rは、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、及び炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Dは−(CH−(O−CH−CH−O−CO−C(CH)=CHを表し、cは1又は2を表し、sは0又は1を表し、tは0以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記構造式(8)又は(9)で表されるものが好ましい。
上記式(8)及び(9)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t’はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
また、前記式(7)中、Z’は2価の有機連結基を示すが、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。また、前記式(7)中、sはそれぞれ0又は1を表す。
上記式(10)乃至(17)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ独立に1以上10以下の整数を表し、t”はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
前記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、一般式(A)中、Arは、kが0の時は置換若しくは未置換のアリール基であり、このアリール基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基と同様のものが挙げられる。また、Arは、kが1の時は置換若しくは未置換のアリーレン基であり、このアリーレン基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基から、−N(Ar−(D)C3)(Ar−(D)C4)が置換する位置の水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
以下に、一般式(A)で示される化合物の具体例(化合物A−1乃至A−21)を示す。なお、一般式(A)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
一般式(A)で表される化合物は、以下のようにして合成される。
即ち、一般式(A)で表される化合物は、前駆体であるアルコールを、対応するメタクリル酸、又はメタクリル酸ハロゲン化物と縮合させるか、前駆体であるアルコールがベンジルアルコール構造の場合には、ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基を有するメタクリル酸誘導体との脱水エーテル化などにより合成し得る。
一般式(A)で示される化合物である化合物A−4及び化合物A−17の合成経路を一例として以下に示す。
以上のように、特定の電荷輸送材料(a)の好ましい態様として、同一分子内にトリフェニルアミン骨格及び4つ以上のメタクリロイル基を有する化合物(a’)について説明したが、この化合物以外にも、以下の化合物(以下、「その他の反応性電荷輸送材料(a”)」とも称する。)が特定の電荷輸送材料(a)として用いられうる。
即ち、その他の反応性電荷輸送材料(a”)としては、公知の電荷輸送材料にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した化合物(a”)を用いられる。公知の電荷輸送材料としては、例えば、前述の電荷輸送層を構成する電荷輸送材料の中で、正孔輸送性化合物として挙げられているトリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などが用いられる。より具体的には、その他の反応性電荷輸送材料(a”)としては、特開平5−216249号公報に記載の化合物、特開2000−206715号公報に記載の化合物、特開2004−12986号公報に記載の化合物、特開平7−72640号公報に記載の化合物、特開2004−302450号公報に記載の化合物、特開2000−206717号公報に記載の化合物、特開2001−175016号公報に記載の化合物、特開2005−115353号公報に記載の化合物が用いられる。
中でも、その他の反応性電荷輸送材料(a”)としては、同一分子内にトリフェニルアミン骨格及び1個以上3個以下のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。特に、一般式(A)において、Dが−(CH−(O−CH−CH−O−CO−C(R)=CHを示し、fは0乃至5の整数を示し、gは0又は1を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Dの総数が1以上3以下の化合物が好ましく、中でも、Dにおいて、fが1乃至5の整数であり、Rがメチル基である化合物が好ましい。
以下、その他の反応性電荷輸送材料(a”)の具体例を示す。
その他の反応性電荷輸送材料(a”)の1つである、同一分子内にトリフェニルアミン骨格及び1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の具体例としては、化合物I−1乃至I−12が挙げられるが、これらに限られるものではない。
その他の反応性電荷輸送材料(a”)の1つである、同一分子内にトリフェニルアミン骨格及び2個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の具体例としては、化合物II−1乃至II−19が挙げられるが、これらに限られるものではない。
その他の反応性電荷輸送材料(a”)の1つである、同一分子内にトリフェニルアミン骨格及び3個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の具体例としては、化合物III−1乃至III−11が挙げられるが、これらに限られるものではない。
なお、上記に示す化合物I−1乃至I−12、化合物II−1乃至II−19、及び化合物III−1乃至III−11において、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Bu」はブチル基を、それぞれ表す。
特定の電荷輸送材料(a)の総含有量は、表面保護層を形成する際に用いられる組成物(固形分)に対して30質量%以上100質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以上100質量%以下、更に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
この範囲とすることで、硬化膜の電気特性に優れ、硬化膜を厚膜化し得る。
また、特定の電荷輸送材料(a)のうち、電荷輸送性骨格及び3つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の含有量は、表面保護層を形成する際に用いられる組成物に対して5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。
特定の電荷輸送材料(a)としては、電荷輸送性骨格及び4つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物と、電荷輸送性骨格及び1つ以上2つ以下のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物と、を併用することが好ましい。特に、一般式(A)で表される化合物と、同一分子内にトリフェニルアミン骨格及び1つ以上2つ以下のアクリロイル基又はメタクリロイル基とを有する化合物と、を併用することが好ましい。
この態様の場合、特定の電荷輸送材料(a)の全てを4つ以上のメタクリロイル基(反応性基)を有する化合物とする場合に比べ、電荷輸送性骨格の存在量を低下させることなく、架橋密度を減じさせられることから、電気特性を維持しつつも、表面保護層の強度の調整が行われうる。
電荷輸送性骨格及び4つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物と、電荷輸送性骨格及び1つ以上3つ以下のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物と、を併用する場合、特定の電荷輸送材料(a)の全量中、電荷輸送性骨格及び4つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基とを有する化合物が、5質量%以上で含まれることが好ましく、10質量%以上で含まれることがより好ましく、15質量%以上で含まれることが更に好ましい。
なお、特定の電荷輸送材料(a)は、電荷輸送性骨格及び4つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物を含む態様に限らない。特定の電荷輸送材料(a)として、電荷輸送性骨格及び1つ以上3つ以下のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物を単独で含む態様であってもよい。
・その他の電荷輸送材料
また、表面保護層を構成する硬化膜は、前述した特定の電荷輸送材料(a)の他に、反応性基を有さない公知の電荷輸送材料、必要に応じて用いた硬化膜であってもよい。ここで、反応性基とは、ラジカル重合性の不飽和結合を意味する。
反応性基を有さない公知の電荷輸送材料としては、例えば、この公知の電荷輸送材料を併用すると、反応性基を有さないため、実質的に電荷輸送成分の濃度を高め、表面保護層の電気特性を更に改善しうる。また、反応性基を有さない公知の電荷輸送材料は、表面保護層の強度の調整に寄与しうる。更に、特定の電荷輸送材料(a)は、電荷輸送性骨格を有することから、反応性基を有さない公知の電荷輸送材料との相溶性に優れるため、反応性基を有さない従来の電荷輸送材料のドーピングが行われ、より一層の電気特性の向上が図れる。
反応性基を有さない公知の電荷輸送材料としては、例えば、前述の電荷輸送層を構成する電荷輸送材料として挙げられたものが用いられる。中でも、モビリティー、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが好ましい。
反応性基を有さない公知の電荷輸送材料は、表面保護層を形成する際に用いられる組成物中の固形分に対して2質量%以上50質量%以下で用いられることが好ましく、より好ましくは5質量%以上45質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
・重合開始剤
表面保護層の形成には、熱エネルギー、光エネルギー、及び電子線エネルギーから選択される少なくとも一つのエネルギーを印加して、特定の電荷輸送材料(a)を含む組成物を重合、硬化させることで行う。なお、重合、硬化反応には、重合開始剤(b)を使用しなくてもよいが、例えば、以下に例示する光重合開始剤又は熱重合開始剤から選択される少なくとも一つの重合開始剤(b)を用いることで反応が進行し易くなる。
光重合開始剤としては、分子内開裂型、水素引抜型の重合開始剤などが挙げられる。
分子内開裂型の光重合開始剤としては、ベンジルケタール系、アルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系、及びオキシム系の光重合開始剤が挙げられる。
具体的には、ベンジルケタール系の光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
アルキルフェノン系の光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、アセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系の光重合開始剤としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィンオキサイド系の光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系の光重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(0−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)などが挙げられる。
水素引抜型の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル系、ミヒラーケトン系などが挙げられる。
水素引抜型の光重合開始剤として具体的には、ベンゾフェノン系としては、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル 4’−メチルジフェニル スルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
また、熱硬化に用いられる熱重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤を用いることができ、具体的には、例えば、下記に示す市販の熱重合開始剤を用いることが好ましい。
なお、光や電子線によって特定の電荷輸送材料(a)を含む組成物を硬化させた場合に、硬化反応の進行が早すぎて、残留ひずみにより、ムラおよびシワが発生した表面保護層となる場合がある。この場合、重合開始剤としては、熱重合開始剤を用いることが好ましい。特に、特定の電荷輸送材料(a)が、アクリロイル基よりも反応性の低いメタクリロイル基を有する場合、熱重合開始剤を用いることで、残留ひずみの発生が抑制され易くなるため、表面保護層は、ムラおよびシワの発生が抑制され易くなる。
即ち、熱重合開始剤の市販品としては、例えば、V−30(10時間半減期温度:104℃)、V−40(同:88℃)、V−59(同:67℃)、V−601(同:66℃)、V−65(同:51℃)、V−70(同:30℃)、VF−096(同:96℃)、Vam−110(同:111℃)、Vam−111(同:111℃)(以上、和光純薬工業社製);OTAZO−15(同:61℃)、OTAZO−30、AIBN(同:65℃)、AMBN(同:67℃)、ADVN(同:52℃)、ACVA(同:68℃)(以上、大塚化学社製)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
また、パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH,パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーへヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(以上、日油化学社製);
カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(以上、化薬アクゾ社製);
ルペロックス LP(同:64℃)、ルペロックス 610(同:37℃)、ルペロックス 188(同:38℃)、ルペロックス 844(同:44℃)、ルペロックス 259(同:46℃)、ルペロックス 10(同:48℃)、ルペロックス 701(同:53℃)、ルペロックス 11(同:58℃)、ルペロックス 26(同:77℃)、ルペロックス 80(同:82℃)、ルペロックス 7(同:102℃)、ルペロックス 270(同:102℃)、ルペロックス P(同:104℃)、ルペロックス 546(同:46℃)、ルペロックス 554(同:55℃)、ルペロックス 575(同:75℃)、ルペロックス TANPO(同:96℃)、ルペロックス 555(同:100℃)、ルペロックス 570(同:96℃)、ルペロックス TAP(同:100℃)、ルペロックス TBIC(同:99℃)、ルペロックス TBEC(同:100℃)、ルペロックス JW(同:100℃)、ルペロックス TAIC(同:96℃)、ルペロックス TAEC(同:99℃)、ルペロックス DC(同:117℃)、ルペロックス 101(同:120℃)、ルペロックス F(同:116℃)、ルペロックス DI(同:129℃)、ルペロックス 130(同:131℃)、ルペロックス 220(同:107℃)、ルペロックス 230(同:109℃)、ルペロックス 233(同:114℃)、ルペロックス 531(同:93℃)(以上、アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
熱重合開始剤の中でも、半減期温度が10℃以上100℃以下である熱重合開始剤が好ましい。本発明において、半減期温度とは、10時間半減期温度を示す。
熱重合開始剤は、単独で用いても硬化反応は進行するが、2種以上を用いると、残留ひずみが抑制された硬化物の表面保護層が得られやすい。
特に、2種以上の熱重合開始剤のうち、10時間半減期温度の最低のものと最高のものとの差が20℃以上である熱重合開始剤を組み合わせて用いることが好ましい。10時間半減期温度の差が20℃以上ある2種の熱重合開始剤の組み合わせにより、残留ひずみが抑制された硬化物の表面保護層がより得られやすくなる。
また、熱重合開始剤は、塗布液のポットライフと硬化反応の進行度の点から、10時間半減期温度が40℃以上120℃以下のもので組み合わせることが好ましく、50℃以上110℃以下のもので組み合わせることがより好ましい。
10時間半減期温度が20℃以上異なる熱重合開始剤の使用比率としては、特に限定されないが、10時間半減期温度の最低の熱重合開始剤と最高の熱重合開始剤との総量が全熱重合開始剤量の30質量%以上であることが好ましい。より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。この範囲で設定することで残留ひずみが抑制された硬化物の表面保護層が得られ易い。
また、10時間半減期温度が20℃以上異なる熱重合開始剤において、10時間半減期温度の最低の熱重合開始剤の質量(L)と最高の熱重合開始剤の質量(H)との比は、L:H=2:8以上9:1以下であることが好ましく、L:H=3:7以上9:1以下であることがより好ましく、L:H=4:6以上9:1以下であることが更に好ましい。10時間半減期温度の最低の熱重合開始剤の質量比をある程度以上とすることで硬化反応をよりマイルドに進行させることができ、残留ひずみが抑制された硬化物の表面保護層が得やすくなるものと推測される。
これら重合開始剤の総含有量は、特定の電荷輸送材料(a)を含む組成物の固形分全量に対して、0.2質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.7質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物は、電荷輸送性を有さない反応性化合物(c)を含んでいてもよい。特定の電荷輸送材料(c)を用いることで、表面保護層の機械的強度を調整してもよい。
ここで、「電荷輸送性を有さない」とは、Time of Flight法によりキャリア輸送が観測されないことを意味する。
かかる反応性化合物としては、1官能若しくは多官能の、重合性モノマー、オリゴマー、及びポリマーが挙げられ、例えば、アクリレート若しくはメタクリレートのモノマー、オリゴマー、及びポリマーが挙げられる。
具体的には、1官能のモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、などが挙げられる。
2官能のモノマー、オリゴマー、及びポリマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能モノマー、オリゴマー、及びポリマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、5官能以上のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述したモノマー、オリゴマー、及びポリマーは、単独又は2種以上の混合物として使用してもよい。
また、上述したモノマー、オリゴマー、及びポリマーは、特定の電荷輸送材料を含有する組成物中の電荷輸送性を持つ化合物(前述の特定の電荷輸送材料とその他の電荷輸送材料)の全量に対し、100質量%以下で用いることがよく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物には、粒子分散性、粘度コントロールの目的で、また、表面保護層の放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、トルク低減、摩耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的で、特定の電荷輸送材料(a)と反応するポリマー(d)、又は反応しないポリマー(e)を混合してもよい。
特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物の硬化物からなる表面保護層は、電気特性と機械的強度とが確保されていることから、結着樹脂として各種のポリマーを併用してもよい。これらポリマーを用いることで、組成物の粘度が向上し、表面性状に優れた表面保護層が形成されると共に、最表面中のガスの混入を防止するガスバリア性の向上が図られ、また、下層との接着性の向上にも寄与しうる。
特定の電荷輸送材料(a)と反応するポリマー(d)としては、反応性基としてラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するポリマーであればよく、上述のアクリレート若しくはメタクリレートのポリマーに加え、例えば、特開平5−216249号公報の段落〔0026〕乃至〔0059〕、特開平5−323630号公報の段落〔0027〕乃至〔0029〕、特開平11―52603号公報の段落〔0089〕乃至〔0100〕、特開2000−264961号公報の段落〔0107〕乃至〔0128〕などに開示されたものが挙げられる。
また、特定の電荷輸送材料(a)と反応しないポリマー(e)としては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を含有しないポリマーであればよく、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂など公知のものが挙げられる。
これらポリマーは、特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物中の電荷輸送性を持つ化合物(前述の特定の電荷輸送材料(a)とその他の電荷輸送材料)の全量に対し、100質量%以下で用いることがよく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物には、さらに、表面保護層の成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、カップリング剤、ハードコート剤、含フッ素化合物を添加してもよい。これらの添加剤として具体的には、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が用いられる。
また、市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が用いられる。
更に、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の含フッ素化合物を加えてもよい。更に、特開2001−166510号公報などに開示されている反応性の含フッ素化合物などを混合してもよい。
シランカップリング剤の量は特に限定されないが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して質量比で0.25倍以下とすることが好ましい。
また、表面保護層には、表面保護層の放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、トルク低減、摩耗量コントロール、ポットライフの延長、粒子分散性、粘度コントロールなどの目的で、アルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。
表面保護層には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる表面保護層の劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系又はヒンダードアミン系が好ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては、表面保護層形成のための組成物中の全固形分に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」、「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」が挙げられ、チオエーテル系として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」が挙げられ、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」等が挙げられる。
さらに、表面保護層には、表面保護層の残留電位を下げる目的、又は強度を向上させる目的で、各種粒子を添加してもよい。
粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下(好ましくは10nm以上30nm以下)のシリカを、酸性又はアルカリ性の水分散液、アルコール、ケトン、並びにエステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
表面保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、表面保護層の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下(好ましくは0.1質量%以上30質量%以下)の範囲で用いられることがよい。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものが使用される。これらのシリコーン粒子は球形に近い形状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であるため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状が改善される。すなわち、架橋構造中にシリコーン粒子が均一に近い状態で取り込まれていることにより、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、耐摩耗性、耐汚染物付着性が維持され易くなる。
表面保護層中のシリコーン粒子の含有量は、表面保護層の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される如く、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TIO、ZnO−TIO、MgO−Al、FeO−TIO、TIO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。
これら粒子の中でも、ケイ素含有粒子を用いることが好ましい。
また、同様な目的で、表面保護層には、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
また、表面保護層には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層の透明性の点で0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。
これらの金属酸化物粒子は、シランカップリング剤で表面処理されていてもよい。このシランカップリング剤としては、例えば、分子構造中にアクリロイル基、メタクリロイル基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも一つを有するシランカップリング剤などが挙げられる。
表面保護層を形成するために用いる、特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物は、表面保護層形成用塗布液として調製されることが好ましい。
この表面保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレンなどの芳香族;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系;エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系;イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系;等の溶媒などの単独又は混合溶媒を用いて調製される。
また、前述の成分を反応させて塗布液を得るときには、各成分を単純に混合、溶解させるだけでもよいが、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下で、好ましくは10分以上100時間以下、より好ましくは1時間以上50時間以下の条件で加温してもよい。また、この際に超音波を照射することも好ましい。
特定の電荷輸送材料(a)を含有する組成物からなる表面保護層形成用塗布液は、被塗布面を形成する電荷輸送層の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、熱を付与してラジカル重合を生起させる方法が用いられ、これにより、当該塗膜を重合、硬化させる。
熱により塗膜を重合、硬化させる際、加熱条件は50℃以上であることが好ましい。この温度以下であると硬化膜の寿命が短く好ましくない。特に、加熱温度としては、100℃以上170℃以下が、強度、電気特性、硬化膜の表面性の点から好ましい。
上記のような、重合、硬化反応の際には、熱によって発生したラジカルが失活することなく連鎖反応を行えるよう、真空、或いは、不活性ガス雰囲気下など酸素濃度が好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下、最も好ましくは500ppm以下の低酸素濃度で行われる。
以上、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物(硬化膜)について、特定の電荷輸送材料(a)を含む組成物の硬化物を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有し、同一分子内に電荷輸送性骨格を有さない化合物を含む組成物の硬化物が挙げられる。この場合、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有し、同一分子内に電荷輸送性骨格を有さない化合物と、非反応性の電荷輸送材料および各種粒子(金属粒子、金属酸化物粒子、樹脂粒子、ケイ素含有粒子など)の少なくとも一種とを含む組成物の硬化物であってもよい。
アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する電荷輸送性を有さない化合物としては、例えば、前述の1官能、又は、2官能以上の多官能の、アクリレート又はメタクリレートのモノマー、オリゴマー、及びポリマーと同様の化合物が挙げられる。
非反応性の電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料が挙げられる。
各種粒子としては、前述の金属粒子、金属酸化物粒子、樹脂粒子、及びケイ素含有粒子から選択される少なくとも一種が挙げられ、具体的には、前述の各種粒子と同様の粒子が挙げられる。また、例えば、金属酸化物粒子を含む場合、カップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子を用いてもよく、例えば、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するシランカップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子が挙げられる。
表面保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
[帯電手段]
図1に示す画像形成装置においては、帯電手段として、帯電ロール2Y、2M、2C、2Kを用いているが、この形態に限定されるものではない。
帯電手段の他の例としては、例えば、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用されてもよい。
また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等が用いられてもよい。
[静電潜像形成手段]
図1に示す画像形成装置においては、静電潜像形成手段として、レーザ光線3Y、3M、3C、3Kを照射しうる露光装置3を用いているが、この形態に限定されるものではない。
露光装置としては、例えば、電子写真感光体の表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
[現像手段]
現像手段(現像装置)としては、例えば、特定感光体に現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。
現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置に使用される現像剤は、後述する特定トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。
[転写手段]
転写手段としては、図1に示す画像形成装置においては、中間転写体を用いた中間転写方式が採用されており、一次転写ロール5Y、5M、5C、5K、及び、二次転写ロール26を用いているが、この形態に限定されるものではない。
転写手段の他の例としては、例えば、転写コロトロンや転写ロール等を用いた直接転写方式、記録媒体を静電的に吸着して搬送し感光体上のトナー像を転写する転写ベルト方式を利用した転写手段などが挙げられる。
転写手段には、例えば、ロールの他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が使用される。
ここで、中間転写方式を採用した際の中間転写体としては、図1に示すように、画像形成装置においては、中間転写ベルト20を用いているが、実施形態はこれに限定されるものではない。
中間転写ベルトとしては、半導電性を付与した、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むものが使用される。
また、中間転写体の形態としては、ベルト状に限定されず、ドラム状のものを用いてもよい。
[特定クリーニング手段]
特定クリーニング手段は、クリーニングブレードを有し、クリーニングブレードの先端を特定感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させて特定感光体の表面の残留物を除去するものである。
以下、図5を参照して、特定クリーニング手段について説明する。
図5は、図1に示す感光体クリーニング装置6Yが特定クリーニング手段である場合のクリーニングブレードの設置態様を示す概略構成図である。
図5に示すように、クリーニングブレード6YBの先端は、感光体1Yの回転方向(矢印方向)と対向する方向を向いており、この状態で感光体1Yの表面に接触している。
クリーニングブレード6YBと感光体1Yとの間の角度θは、5°以上35°以下に設定されることが好ましく、10°以上25°以下に設定されることがより好ましい。
また、クリーニングブレード6YBの感光体1Yに対する押し付け圧Nは、0.6gf/mm以上6.0gf/mm以下に設定されることが好ましい。
ここで、上記角度θとは、具体的には、図5に示すように、クリーニングブレード6YBの先端と感光体1Yとの接触部における接線(図5中の一点鎖線)とクリーニングブレードの非変形部とでなす角の角度を指す。
また、上記押し付け圧Nとは、図5に示すように、クリーニングブレード6YBが感光体1Yに接触する位置において感光体1Yの中心に向けて押し付ける圧力(gf/mm)である。
なお、本実施形態におけるクリーニングブレードは、弾性を有する板状物である。
クリーニングブレードを構成する材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ポリウレタンゴム等の弾性材料が用いられ、中でも、耐摩耗性、耐欠け性、耐クリープ性等の機械的性質に優れる、ポリウレタンゴムが好ましい。
クリーニングブレードは、特定感光体と接触する面とは反対の面側に支持部材(図5中では不図示)が接合しており、この支持部材により支持されている。
この支持部材により、クリーニングブレードが、感光体に対し上記押し付け圧にて押し付けられる。
支持部材としては、アルミニウム、ステンレス等の金属材料が挙げられる。
なお、支持部材とクリーニングブレードとの間には、両者の接着を接合するための接着剤等による接着層を有していてもよい。
特定クリーニング手段は、クリーニングブレードとこれを支持する支持部材以外にも公知の部材を含んでいてもよい。
[定着手段]
図1に示す画像形成装置においては、定着手段として、定着ロール対28が用いているが、実施形態はこれに限定されない。
定着手段としては、熱ローラ対、加圧ローラ対、加圧加熱ロール対等の接触型定着装置や、フラッシュ定着器等の非接触定着装置など、公知の定着装置が広く適用されるが、前述した定着温度を達成するためには、加熱手段を含む定着装置であることが好ましい。
なお、定着手段としては、ロール対の形態でなくともよく、例えば、加熱加圧ロールと加圧ベルトとを組合せた定着装置や、加圧ロールと加熱加圧ベルトとの組合せた定着装置であってもよい。
(特定トナーを有する現像剤)
本実施形態に係る画像形成装置に収容される現像剤は、以下に示す特定トナーを有する。
まず、特定トナーについて説明する。
特定トナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含む。
そして、特定トナーは、平均円形度が0.955以上0.971以下であり、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上40個数%以下であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%以下であるトナー粒子を含む。
以下、特定トナーの詳細について説明する。
特定トナーは、上記のように、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上40個数%以下を満たす。この条件(以下、「M割合」とも称する)は、トナー粒子の粒度分布の中央付近において、トナー粒子の円形度が高い(球形に近い)ものが特定割合で存在していることを意味している。
また、特定トナーは、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%以下を満たす。この条件(以下、「L割合」とも称する)は、トナー粒子の粒度分布の粗大側において、トナー粒子の円形度が低い(凹凸が多い)ものが特定割合以下であることを意味している。
特定トナーは、高温高湿環境下での像流れの発生を抑制する点で、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上30個数%以下であることが好ましく、16個数%以上25個数%以下であることが好ましい。また、同様の点で、粒径が7.5μm以上15μm未満であり、かつ円形度が0.900以上で0.940未満のトナー粒子の存在割合は、2個数%以下であることが好ましく、1個数%以下であることがより好ましく、0個数%であることがさらに好ましい。なお、これらトナー粒子の存在割合は、トナー粒子全体に対する存在割合である。
なお、特定トナーは、後述のトナー粒子中の結着樹脂のガラス転移温度、分子量等の選択、及び凝集・合一工程における温度と時間とを制御することにより、平均円形度が0.955以上0.971以下であり、上記のM割合およびL割合を満足し得る。
ここで、トナー粒子の粒径、円形度、及び平均円形度は、測定対象となるトナーのトナー粒子に対して、Sysmex社製FPIA−3000を用いて求める。
上記Sysmex社製FPIA−3000は、水などに分散させた粒子をフロー式画像解析法によって測定する方式を採用したもので、吸引された粒子懸濁液をフラットシースフローセルに導き、シース液によって偏平な試料流に形成する。その試料流にストロボ光を照射することにより、通過中の粒子を対物レンズを通してCCDカメラで、静止画像として少なくとも5000個のトナー粒子に対して撮像する。撮像された粒子像は、2次元画像処理され、投影面積と周囲長から円相当径を算出する。円相当径は、撮影された各々の粒子に対して、2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
本実施形態では、上記円相当径を各トナー粒子の粒径とし、円形度は下記式(1)により求めた。さらに各トナー粒子についての各々のデータを統計処理することによって、一定粒径範囲、円形度範囲ごとの存在割合(個数%)を求めることができる。以下、同様である。
式(1):円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(A×π)1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
また、特定トナーは、高温高湿環境下での像流れの発生を抑制する点で、円形度が0.900以上0.950未満のトナー粒子の存在割合がトナー粒子全体に対して5個数%以上15個数%以下(より好ましくは、10個数%以上15個数%以下)、かつ円形度が0.950以上1.000以下のトナー粒子の存在割合がトナー粒子全体に対して75個数%以上85個数%以下(より好ましくは、78個数%以上85個数%以下)であることが好ましい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
トナー粒子の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を用いると共に、電解液はISOTON‐II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。測定に際しては、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量%水溶液2ml中に測定試料を10mg加える。これを上記電解液100ml中に添加した測定試料を調整し、測定試料を懸濁した電解液を超音波分散機で1分間分散処理を行う。そして、上記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径50μmのアパーチャーを用いて1.0μm以上30μm以下の粒子の粒度分布を測定して、体積平均分布を求める。測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し体積基準で小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径(D50v)を測定試料の体積平均粒径とする。
以下、特定トナーの構成成分について説明する。
特定トナーは、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含むトナー粒子を有する。特定トナーは、トナー粒子の表面に付着する外添剤を有していてもよい。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂を含む。結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。具体的には、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これら結晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、結着樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを併用することがよい。
結着樹脂において、結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に対して、含有量が1質量%以上10質量%以下(好ましくは2質量%以上9質量%以下)の範囲で用いることがよい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量がこの範囲であると、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下、前述のM割合およびL割合の範囲に制御しやすくなる。
なお、樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
−結晶性ポリエステル樹脂−
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。測定方法は、後述の非晶性ポリエステルで説明する重量平均分子量と同様の方法で測定される。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度が上記範囲であれば、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下であり、前述のM割合(粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合)、及びL割合(粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合)を上記範囲に制御し易い。また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が上記範囲であれば、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下であり、前述のM割合およびL割合を上記範囲に制御し易い。
なお、例えば、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が大きすぎる場合、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下の範囲内において、球形に近いトナー粒子が得られ難くなる。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、後述の非晶性ポリエステル樹脂と同様に、周知の製造方法により得られる。
−非晶性ポリエステル樹脂−
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
なお、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度が上記範囲であれば、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下であり、前述のM割合およびL割合を上記範囲に制御し易い。また、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が上記範囲であれば、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下であり、前述のM割合およびL割合を上記範囲に制御し易い。なお、例えば、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が大きすぎる場合、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下の範囲内において、球形に近いトナー粒子が得られにくくなる。
非晶性ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
なお、特定トナーがトナー粒子と外添剤とを含む場合、トナーダム中において、外添剤がトナー粒子よりもクリーニングブレードと特定感光体とのニップ部側(例えば、図6に示すニップ部113A近傍)に存在し易くなる。そのため、前述のトナー粒子の形状による作用に加えて、外添剤によるクリーニング作用により感光体表面から放電生成物がより除去され易くなることで、高温高湿環境下での像流れの発生がより抑制され易くなる。また、外添剤として、研磨剤粒子(例えば、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸金属塩粒子など)等を含むと、高温高湿環境下での像流れの発生がさらに抑制され易くなる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(特定トナーの製造方法)
次に、特定トナーの製造方法について説明する。
特定トナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。例えば、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液、着色剤の粒子(以下「着色剤粒子」とも称する)が分散された着色剤粒子分散液、及び離型剤の粒子(以下「離型剤粒子」とも称する)が分散された離型剤粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で、樹脂粒子、着色剤粒子、及び離型剤粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
なお、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステルとを併用する場合、樹脂粒子分散液として、予め、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステルとを混合した樹脂粒子分散液を準備してもよい。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
ここで、融合・合一工程において、凝集粒子分散液に対する温度と時間との積(総熱量)によって、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下であり、前述のM割合(粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合)、及びL割合(粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合)を制御し得る。高温度で長時間の加熱をするほど、トナー粒子は球形に近い形状に近づくが、温度と時間の積が大き過ぎると、特に、トナー粒子の平均円形度が、上記範囲を満足し難くなる。そのため、トナー粒子の平均円形度が0.955以上0.971以下の範囲を満足するように、凝集粒子分散液に対する温度と時間との積を調整して、前述のM割合およびL割合を制御し得る。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、特定トナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<現像剤>
現像剤は、前述した特定トナーを有するものである。
現像剤は、特定トナーのみを有する一成分現像剤であってもよいし、特定トナーとキャリアとを有する二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、特定トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、特定トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
以上、図面を参照して、本実施形態に係る画像形成装置について一例を挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」とは、特に断りがない限り、「質量部」を意味する。
<トナーの作製>
(結晶性ポリエステル樹脂(A)の作製)
まず、三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100質量部と、ヘキサンジオール67.8質量部と、ジブチルすずオキサイド0.10質量部とを窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら、185℃で5時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて、6時間反応させた後、冷却して得た、重量平均分子量が33700の結晶性ポリエステル樹脂(A)を用意した。
(非晶性ポリエステル樹脂(1)の作製)
また、三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル60質量部、フマル酸ジメチル82質量部、ドデセニルコハク酸無水物34質量部と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物137質量部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物191質量部と、ジブチルすずオキサイド0.5質量部とを窒素雰囲気下で、反応により生成された水は系外へ除去しながら、180℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら230℃まで温度をあげて、3時間反応させた後、冷却して得た、重量平均分子量が22100の非晶性ポリエステル樹脂(1)を用意した。
(着色剤粒子分散液の作製)
更に、シアン顔料(銅フタロシアニン、C.I.Pigment blue15:3、大日精化社製)50質量部と、非イオン性界面活性剤ノニポール400(花王社製)5質量部と、イオン交換水200質量部とを混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散し、水分量を調整して得られた着色剤粒子分散液を用意した。
(離型剤粒子分散液の作製)
パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9,融点77℃)60質量部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)4質量部と、イオン交換水200質量部とを混合した溶液を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で120℃、350kg/cm、1時間の条件にて分散処理して得られた、体積平均粒径が250nmの離型剤が分散した、分散液中の離型剤濃度が20質量%となるように水分量が調整された離型剤粒子分散液を用意した。
(ロジン分散液の作製)
ロジン(ハリマ化成社製)100質量部と、メチルエチルケトン78質量部とを三口フラスコに収容し、攪拌ながら樹脂を溶解させた後、イオン交換水350質量部を加え、加温した。その後ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて分散を行った後、脱溶媒を行った。体積平均径は185nmであった。これにイオン交換水を加え固形分濃度が25%のロジン分散液を作製した。
(結晶性/非晶性混合ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)の作製)
結晶性ポリエステル樹脂(A)5質量部と、非晶性ポリエステル樹脂(1)95質量部と、メチルエチルケトン50質量部と、イソプロピルアルコール15質量部とを三口フラスコに収容し、攪拌しながら60℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液25質量部を加え、さらにイオン交換水400質量部を徐々に加えて転相乳化を行い、その後減圧し、脱溶媒することで、体積平均粒径が158nmの結晶性/非晶性混合樹脂粒子が分散された、固形分濃度が25%の結晶性/非晶性混合ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)を作製した。
(非晶性樹脂粒子分散液(A2)の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部に変更した以外は、結晶性/非晶性混合ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径が175nmの非晶性ポリエステル樹脂粒子が分散された、固形分濃度が25%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A2)を作製した。
(トナー粒子1の作製)
この結晶性/非晶性混合ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)720質量部と、着色剤粒子分散液50質量部と、離型剤粒子分散液70質量部と、ロジン分散液6部と水ガラス(日産化学社製、スノーテックス(登録商標)OL)2.2部とカチオン界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50)1.5質量部とを丸型ステンレス製フラスコに収容し、0.1規定の硫酸を添加してpHを3.8に調整した後、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液30質量部を添加し、その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した。加熱用オイルバス中で1℃/分で40℃まで加熱し、40℃で30分間保持した後、この分散液中に、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A2)を緩やかに160質量部追加して、さらに1時間保持した。
その後、0.1規定の水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整した後、攪拌を継続しながら1℃/分で88℃まで加熱して4時間保持した後、20℃/minの速度で20℃まで冷却し、これをろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させてトナー粒子1を得た。なお、トナー粒子1における結晶性ポリエステル樹脂はトナー中の結着樹脂に対して、4.1質量部であった。
トナー粒子1は、体積平均粒径が5.5μm、平均円形度0.963、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が25%であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が1.1%であった。
また、トナー粒子1のトナー粒子全体に対する円形度が0.900以上0.950未満の割合、及び、トナー粒子全体に対する円形度0.950以上1.000以下の割合についても測定した。結果を表1に示す。
なお、表1に示す全てのトナーのトナー粒子は、既述の測定方法により、体積平均粒径の測定を行った。
また、表1に示す全てのトナーは、トナー粒子100質量部に対して、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製)1.2質量部が、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製)を使用して周速30m/s、5分の条件で添加してトナーとした。
さらに、外添剤が添加されたトナー8質量部と、キャリア100質量部とを混合して二成分現像剤を作製した。キャリアは、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100質量部と、トルエン14質量部と、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000)2質量部とを、まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで攪拌させて分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダー(井上製作所製)に入れて、60℃において30分攪拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させ、その後105μmで篩分して得た。
(トナー粒子2の作製)
トナー粒子1の作製において用いたロジン分散液6部を4.8部に、水ガラスを2.2部から3.4部に、また88℃で4時間加熱したのを85℃で3時間に変更した以外はトナー粒子1と同様にしてトナー粒子2を作製した。なお、トナー粒子2における結晶性ポリエステル樹脂はトナー粒子中の結着樹脂に対して、4.1質量部であった。
トナー粒子2は、体積平均粒径が5.8μm、平均円形度0.956、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が17%であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が2.8%であった。
また、トナー粒子2のトナー粒子全体に対する円形度が0.900以上0.950未満の割合、及び、トナー粒子全体に対する円形度0.950以上1.000以下の割合についても測定した。結果を表1に示す。
(トナー粒子3の作製)
トナー粒子1の作製において用いたロジン分散液6部を4.8部に、水ガラスを2.2部から5.8部に、また88℃で4時間加熱したのを85℃で3時間に変更した以外はトナー粒子1と同様にしてトナー3を作製した。なお、トナー粒子3における結晶性ポリエステル樹脂はトナー中の結着樹脂に対して、4.1質量部であった。
トナー粒子3は、体積平均粒径が5.8μm、平均円形度0.951、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が12%であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3.2%であった。
また、トナー粒子3のトナー粒子全体に対する円形度が0.900以上0.950未満の割合、及び、トナー粒子全体に対する円形度0.950以上1.000以下の割合についても測定した。結果を表1に示す。
(トナー粒子4の作製)
トナー粒子1の作製において用いたロジン分散液6部を7.8部に、水ガラスを2.2部から1.4部に、また88℃で4時間加熱したのを90℃で4時間に変更した以外はトナー粒子1と同様にしてトナー粒子4を作製した。なお、トナー粒子4における結晶性ポリエステル樹脂はトナー粒子中の結着樹脂に対して、4.1質量部であった。
トナー粒子4は、体積平均粒径が5.7μm、平均円形度0.970、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が38%であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が0.4%であった。
また、トナー粒子4のトナー粒子全体に対する円形度が0.900以上0.950未満の割合、及び、トナー粒子全体に対する円形度0.950以上1.000以下の割合についても測定した。結果を表1に示す。
(トナー粒子5の作製)
トナー粒子1の作製において用いたロジン分散液6部を7.8部に、水ガラスを2.2部から1.6部に、また88℃で4時間加熱したのを90℃で5時間に変更した以外はトナー粒子1と同様にしてトナー粒子5を作製した。なお、トナー粒子5における結晶性ポリエステル樹脂はトナー粒子中の結着樹脂に対して、4.1質量部であった。
トナー粒子5は、体積平均粒径が5.9μm、平均円形度0.973、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が43%であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が0.2%であった。
また、トナー粒子5のトナー粒子全体に対する円形度が0.900以上0.950未満の割合、及び、トナー粒子全体に対する円形度0.950以上1.000以下の割合についても測定した。結果を表1に示す。
<特定感光体の作製>
−下引層の形成−
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理を施した酸化亜鉛を得た。表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行い、アリザリンを付与させた酸化亜鉛を得た。
このアリザリンを付与させた酸化亜鉛:60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製):15質量部と、をメチルエチルケトン85質量部に混合した液38質量部とメチルエチルケトン:25質量部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。 得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、及びシリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):40質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ20μmの下引層を得た。
−電荷発生層の形成−
電荷発生材料としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−1)15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、室温(25℃)で乾燥して、厚さが0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
次に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)45質量部、及び結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万):55質量部をテトラヒドロフラン(THF)/トルエン混合溶剤(質量比70/30):800質量部、に加えて溶解し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
−表面保護層の形成−
(化合物A−4の合成)
200mlフラスコに、上記化合物(1)を10g、ヒドロキシエチルメタクリレート50g、テトラヒドロフラン20ml、アンバーリスト15E(ローム・アンド・ハース社製)0.5gを加え、室温(25℃)で24時間攪拌した。反応終了後、メタノール100mlを加え、析出した油状物をデカントで取り出した。この油状物をシリカゲルカラムクロマトにより精製して、油状の(A−4)を12g得た。得られた(A−4)のIRスペクトルを図7に示す。
特定の電荷輸送材料(化合物A−4)30質量部、コロイダルシリカ(商品名:PL−1、扶桑化学工業社製)0.2質量部、トルエン30質量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部、アゾイソブチロニトリル(10時間半減期温度:65℃)0.1質量部、及びV−30(和光純薬工業社製、10時間半減期温度:104℃)を加えて表面保護層形成用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層の上にスプレー塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、窒素気流下、酸素濃度110ppmで室温から150℃まで30分かけて加熱し、更に150℃で30分加熱処理して硬化させ、膜厚が10μmの表面保護層を形成した。
以上のようにして、特定感光体を得た。
<クリーニングブレードの作製>
ポリウレタン製で、硬度75度、347mm×10mm×2mm(厚み)の板状物をクリーニングブレードとして用いた。
<評価>
画像形成装置として、富士ゼロックス社製D136 Printerに、前述した特定感光体とクリーニングブレードとを取り付けた。また、現像装置内に前述したトナー1〜5を有する現像剤を収容した改造機を用意した。
クリーニングブレードは、その先端を感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させた。なお、クリーニングブレードは、角度θを23°、押し付け圧Nを2.6gf/mmとした。
また、画像形成の際の特定感光体の表面の回転速度は600mm/sとし、定着手段による定着温度は190℃又は175℃とした。
〔像流れの評価〕
像流れの評価は、A4用紙(富士ゼロックス社製 C2紙)を用いて、高温高湿環境下(温度28℃、湿度85%RH)において、画像濃度40%の全面ハーフトーン画像を2万枚プリントした後、同環境下にて24時間静置し、画像濃度40%の全面ハーフトーン画像を1枚プリントした画像を目視することにより評価した。評価基準は以下のとおりである。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:像流れ全くなし
B:画像上問題となる像流れなし
C:画像上問題となる像流れ発生
〔クリーニング性の評価〕
クリーニング性の評価は、A4用紙(富士ゼロックス社製 C2紙)を用いて、高温高湿環境下(温度28℃、湿度85%RH)において、画像濃度40%の全面ハーフトーン画像を2万枚プリントした後の特定感光体の表面を目視にて観察した。
−評価基準−
A:クリーニング性問題無し
B:微細なトナーすり抜けがあるが画像上問題無し
C:トナーすり抜けがあり、画像上筋が発生
表1中、「M割合」は、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合を、「L割合」は、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合を、「R」は円形度を、それぞれ表す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、高温高湿環境下での像流れの発生を抑制することが分かる。
1Y、1M、1C、1K 電子写真感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電潜像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
6YB クリーニングブレード
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 電子写真感光体
108 帯電装置(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電潜像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
118 露光のための開口部
117 筐体
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (7)

  1. 導電性基体上に、感光層及び表面保護層をこの順に備えた電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナー粒子を含むトナーを有する現像剤であって、前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、平均円形度が0.955以上0.971以下であり、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上40個数%以下であり、粒径が7.5μm以上15μm未満でかつ円形度が0.900以上0.940未満のトナー粒子の存在割合が3個数%以下である現像剤を収容し、前記現像剤により前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    クリーニングブレードを有し、前記クリーニングブレードの先端を前記電子写真感光体の回転方向と対向する方向に向けて接触させて前記電子写真感光体の表面の残留物を除去するクリーニング手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記表面保護層は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を含む組成物の硬化物から構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー粒子は、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上30個数%以下である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナー粒子は、粒径が4.5μm以上7.5μm未満でかつ円形度が0.980以上のトナー粒子の存在割合が16個数%以上25個数%以下である請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記トナー粒子は、円形度が0.900以上0.950未満のトナー粒子の存在割合が前記トナー粒子の全体に対して5個数%以上15個数%以下、円形度が0.950以上1.000以下のトナー粒子の存在割合がトナー粒子全体に対して75個数%以上85個数%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記トナー粒子は、円形度が0.900以上0.950未満のトナー粒子の存在割合が前記トナー粒子の全体に対して10個数%以上15個数%以下である請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂が前記結着樹脂の全体に対して1質量%以上10質量%以下の範囲で含有される請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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