以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
実施形態に係る画像形成装置は、円筒状支持体、前記円筒状支持体上に設けられた感光層、及び保護層を有する円筒状の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の周面を帯電させるための帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記電子写真感光体の周面に露光光を照射することによって前記電子写真感光体の周面に静電潜像を形成するための露光手段と、前記露光手段によって形成された前記電子写真感光体の周面の静電潜像をトナーにより現像することによって前記電子写真感光体の周面にトナー像を形成するための現像手段と、前記現像手段によって形成された前記電子写真感光体の周面のトナー像を転写材に転写するための転写手段と、前記電子写真感光体の周面の残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段がクリーニングブレードであり、前記トナーが少なくとも粒径の異なる微粒子を2種類以上含有するものであり、前記微粒子の遊離量がトナー1gに対して3mg以上であり、前記電子写真感光体の保護層が少なくとも硬化型樹脂からなり、前記電子写真感光体が表面に凸部を有するものであり、且つ、前記2種以上の微粒子の平均一次粒子径[nm]をR1、R2で表し、前記電子写真感光体の凸高さをR3で表した場合に、R1<20nm<R3<R2を満たすことを特徴とするものである。かかる構成によれば、小粒径化、優れた低温定着性、優れた流動性、及び優れた耐フィルミング性を発揮して、良好な画像を長期間に渡って形成することができる。
このような効果が得られる理由としては、以下の要因が挙げられる。
高画質画像の要求が高まるにつれてトナーの小粒径化が進んだことから、小粒径のトナーのクリーニング性が困難になってきた。更に、省エネルギー化の観点から低温定着性も進められてきた。そこで、互いに粒径の異なる小粒径の外添剤と大粒径の外添剤とをトナーに添加することで、トナーのクリーニング性を向上させる。また、低温定着性を発揮するトナーは、流動性や耐熱保存性が低下する傾向にあるが、これについては、外添剤を比較的多く添加することで対応することが可能である。このようにして、耐クリーニング性や優れた低温定着性を満足することができるものの、外添剤の電子写真感光体への負荷は大きいものとなる。外添剤は、現像工程でトナーとともに電子写真感光体に転移した後、電子写真感光体に強く押し当てられているクリーニングブレードのエッジ部に蓄積する。蓄積した外添剤は、前記エッジ部で凝集しながら成長していき、やがてクリーニングブレードと電子写真感光体との当接部に進入して擦られて電子写真感光体の表面に固着する。固着した外添剤の凝集体は、それ自体が後続の外添剤を塞き止める働きをして、自らの成長を促してやがて外添剤フィルミングを形成する。この外添剤フィルミングは、白抜け画像や高湿環境での画像ボケを発生させるという問題を引き起こす。
そこで、実施形態に係る画像形成装置では、トナーに外添剤として互いに粒径の異なる無機微粒子を添加し、現像時のトナー1gに対する無機微粒子の遊離量を3mg以上にし、電子写真感光体の保護層を少なくとも硬化型樹脂を含有する材料で構成している。更に、電子写真感光体の表面に凸形状を形成し、凸形状の高さR3と、無機微粒子の粒径R1、R2との関係として、R1<20nm<R3<R2を満足させている。現像時のトナー1gに対する無機微粒子の遊離量を3mg以上とすることで、トナー粒子母体に対してフリーに動くことが可能な無機微粒子を十分に存在させることで、トナーの耐熱保存性、流動性、及びクリーニング性を向上させることができる。また、トナーに互いに粒径の異なる無機微粒子(例えばシリカ微粒子)を2種類以上添加したことで、トナーの耐熱保存性や流動性を更に向上させて、クリーニング性の余裕度を高めることができる。
このように十分量の無機微粒子を添加したトナーでは、電子写真感光体に対する負荷を増加させて無機微粒子(外添剤)のフィルミングが発生し易くなる。しかし、実施形態に係る画像形成装置では、電子写真感光体の表面に凸形状を形成し(単位面積あたりに所定の密度で並ぶ複数の凸)、その凸高さR3と、無機微粒子の平均一次粒子径R1、R2との関係として、R1<20nm<R3<R2という関係を具備させている。これにより、フィルミングの発生を抑えることが可能になる。電子写真感光体の表面に凸形状を形成していない場合、トナー粒子母体から遊離して電子写真感光体の表面に付着した無機微粒子は、クリーニングブレードのエッジ部に蓄積した後、電子写真感光体の表面に固着する。そして、経時的に成長してやがて外添剤フィルミングを形成してしまう。これに対し、電子写真感光体の表面に凸形状を設けると、クリーニングブレードと電子写真感光体の表面との当接部に対して無機微粒子を負荷無くすり抜けさせることでエッジ部に溜まる無機微粒子の量を低減する。R3<R1<R2という条件にした場合には、電子写真感光体の凸高さR3が、外添剤の平均一次粒子径よりも小さいことから、電子写真感光体の表面に凸形状を設けて有していない場合と同様に、エッジ部における無機微粒子の蓄積が起こり、外添剤フィルミングが発生してしまう。また、R1<R2<R3という条件にした場合には、トナーに添加している無機微粒子のうち、小粒径の粒子、大粒径の粒子の何れも前記当接部に進入させることが可能であるが、進入後に電子写真感光体の表面に固着する。そして、電子写真感光体の全面に外添剤フィルミングが発生してしまう。この理由は明らかではないが、次のように考えられる。即ち、クリーニングブレードのエッジ部における外添剤の蓄積量が少ない状態では、エッジ部の電子写真感光体への引込みが強くなる。この結果、大粒径の無機微粒子が前記当接部を通過する際の電子写真感光体への押圧力が強くなって、電子写真感光体の全面に外添剤フィルミングが発生しているものと考えられる。また、R1<R2<R3という条件では、外添剤が前記当接部に良好に進入することから、当接部をすり抜けたとしての、その後に帯電手段の帯電部材に付着することになる。これにより、帯電部材に対する外添剤の付着が増加して、電子写真感光体の帯電不良による画像劣化を起こしてしまう。
一方、R1<R3<R2という条件を満足させた場合には、小粒径及び大粒径のうち、小粒径の無機微粒子だけが前記当接部をすり抜けるようになり、大粒径の無機微粒子はクリーニングブレードのエッジ部に堰き止められる。これにより、エッジ部の引込みを抑えてブレード先端の挙動を安定化させることで、無機微粒子の電子写真感光体への固着を抑えて、良好なクリーニング性を維持することができる。更に、フィルミングの発生を抑制することが可能になることから、電子写真感光体を削って表面をリフレッシュする必要がなく、クリーニングブレードの電子写真感光体に対する押圧力も従来に比べて弱めることが可能になるため、良好なクリーニング性を保つことが可能になる。電子写真感光体として、硬化型樹脂を含有する保護層を具備するものを用いることで、それらの効果の持続性を飛躍的に向上させて、長期間に渡って外添剤フィルミングの発生を抑える。これにより、高画質の画像を長期間に渡って維持することができる。
また、トナーの軟化指数Ctが80℃〜100℃であることが好ましい。軟化指数Ctは、50kg/cm2荷重における流出開始温度Tfbである。軟化指数Ctが、80℃〜100℃であることで、十分な低温定着性を確保することができる。軟化指数Ctについては、次の方法で評価することが好ましい。即ち、島津製作所製フローテスター;CFT−500Dを用いる。この装置は、錠剤化したトナーに荷重をかけながら昇温する事で溶融したトナーをダイ穴から流出させてプランジャーの降下量を評価し、トナーの粘弾性特性(温度依存性)を評価する(図9)。流出終了に至る降下量を大きく変化させる温度が一般に流出開始温度Tfbとして定義される。
1)サンプル
トナー1gを直径1cmの円柱の錠剤状に加圧成型して用いた。
2)温度条件
50℃から3℃/minの昇温速度で流出終了温度まで。
3)ダイ穴径
0.5mm
4)ダイ長さ
10mm
5)余熱時間
200s
実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段を少なくとも有するものである。更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を設けてもよい。
以下、実施形態に係る画像形成装置におけるトナーの外添剤(無機微粒子)、電子写真感光体について説明する。以下に特筆しない構成については、従来から公知のものを使用することができる。
トナーに外添剤として添加される無機微粒子について説明する。無機微粒子の材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などを例示することができる。例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などである。これらの中でも、シリカ、アルミナ、チタニアが好適であり、特に、シリカが好適である。
無機微粒子としては、互いに粒径の異なる少なくとも2種類のものが用いられる。一方は、クリーニング性を向上させるための微粒子であり、他方は流動性を向上させるための微粒子である。クリーニング性を向上させるための微粒子は、平均一次粒子径が80〜500[nm]の範囲の無機微粒子である。平均粒径が80[nm]未満であると、熱的又は機械的な衝撃に弱くなる。また、500[nm]を越えると、トナー粒子表面を他の部材と接触させることが阻害される結果、定着性が低下する。加えて、トナーの流動性が著しく低下する。
流動性を向上させるために添加される微粒子は、平均一次粒子径が10〜20[nm]の無機微粒子である。平均一次粒子径が10〜20[nm]である無機微粒子は、トナーの流動性を良好に向上させることが可能である。平均一次粒子径が10[nm]未満であると、良好な流動性を発揮できるものの、現像工程におけるストレスによるトナー粒子母体への無機微粒子の埋没が発生する。これにより、トナー粒子の非静電的付着力が増加して、電子写真感光体上でのフィルミングの発生が起こり易くなることから、好ましくない。また、平均一次粒子径が20[nm]以上であると、無機微粒子をトナー粒子表面に付着させて接触面積を低下させることで流動性を向上させるという機能を十分に発揮させることが困難になることから、好ましくない。
無機微粒子の粒径測定については、次のようにして行う。TEM(透過型電子顕微鏡、日立製H−9000NAR)によって無機微粒子を観察しながら、無作為に100個を選択する。そして、画像処理ソフト(ニコレ社画像解析装置 Luzex AP)によってそれぞれの粒径を算出して、100個あたりの個数平均粒径を求める。無機微粒子の添加量は100重量部のトナーに対して、0.5〜5重量部の範囲が好適である。
トナーに無機微粒子を外添する方法としては、トナー粒子と無機微粒子とを混合した後、ヘンシェルミキサー等を用いて攪拌する方法を用いればよい。無機微粒子は複数種類を同時に添加して混合することも可能であるが、1種類ずつ混合する方が、狙いの機能を発揮し易い。
トナー粒子としては、従来から公知のものを使用することができる。粉砕法によるトナー、重合法によるトナーの何れであってもかまわない。低温定着性、小粒径、且つ高円形度による高画質を実現するには、重合法によるトナーが好ましい。この場合、外添剤(無機微粒子)の添加量を多くする傾向になることから、上述した効果をより有効に発揮することが可能となる。
本発明における遊離量は、「現像前のトナーの外添剤量」〕から「現像後にクリーニングブレードによって電子写真感光体から回収されるトナー中の外添剤量」を差し引いた外添剤量を1gあたりのトナー量に換算して計算されるものである。「現像前のトナー」は、画像形成装置に備え付けられたトナーを蓄える容器中のトナーである。例えばトナーボトル中のトナーである。また、「現像後にクリーニングブレードによって電子写真感光体から回収されるトナー」は、現像手段によって現像に寄与したトナーが、クリーニングブレードによって電子写真感光体から回収されるトナーである。画像形成装置内においてクリーニングブレードによって実際に回収されるトナー中の外添量を測定することで、電子写真感光体への外添剤の付着によるトナーからのシリカの減少を直接的にみることができる。
トナー中の無機微粒子からなる外添剤として例えばシリカを測定する場合には、次の測定装置を用いることができる。即ち、蛍光X線分析装置(例えば株式会社リガク社製 蛍光X線分析装置ZSX 400など)、誘導プラズマ発光分析法(例えばエスアイ・ナノテクノロジー製 ICP−AES SPS5100型など)などである。
以下、蛍光X線分析装置を用いた測定例について説明する。まず、検量線を作成する。検量線用サンプルについては、一定量のエチルセルロース樹脂と所定量のシリカ微粒子とを混合し、所定の型に入れて圧をかけてペレット状サンプルを作製する。このサンプルを蛍光X線によって測定して、シリカのピーク強度に基づいて検量線を作成する。実サンプルであるトナー中のシリカ量を測定するには、検量線作成時に作製したペレット状のサンプル量と同じ重さのトナーを所定の型に入れ、圧を加えながら成型して同じ大きさにした後、蛍光X線分析装置を用いて、同様にして測定する。
トナーが少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有することで、樹脂をよりシャープメルトにする設計が可能になることからより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点は50〜100℃の範囲にあることが必要であり、55〜90℃の範囲にあることがより望ましく、60〜85℃の範囲にあることがさらに望ましい。融点が50℃を下回ると、保管トナーにブロックキングが生じるなどのトナー保管性や、定着後の定着画像の保管性が困難となる。また、融点が100℃を超える場合では十分な低温定着性が得られない。なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融点については、示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
本発明における「結晶性ポリエステル樹脂」には、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)が該当する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
前記多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるが、この限りではない。
また、3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。さらに、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
また、多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより望ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融解温度が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより望ましい。
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より望ましくは90%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類等が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度を180〜230℃として行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。重合性単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
本発明に用いる結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、3.0〜30.0mgKOH/gの範囲であることが望ましく、6.0〜25.0mgKOH/gの範囲にあることがより望ましく、8.0〜20.0mgKOH/gの範囲にあることがさらに望ましい。酸価が3.0mgKOH/gよりも低いと水中への分散性が低下するため、湿式製法での粒子の作製が非常に困難となる場合がある。また凝集の際における重合粒子としての安定性が著しく低下するため、効率的なトナーの作製が困難になる場合がある。一方、酸価が30.0mgKOH/gを超えると、トナーとしての吸湿性が増してしまい、トナーとしての環境影響を受けやすくなることがある。
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000〜35,000であることが望ましい。分子量(Mw)が、6,000未満であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下する場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が35,000を超えると、溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、結果として低温定着性が損なわれる場合がある。
上記重量平均分子量(Mw)については、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行った。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
トナーにおける結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、3〜40質量%の範囲であることが望ましく、より望ましく4〜35質量%の範囲であり、さらに望ましくは5〜30質量%の範囲である。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3質量%未満であると、十分な低温定着性が得られない場合があり、40質量%より多いと、十分なトナー強度や定着画像強度が得られず、また帯電性への悪影響も生じてしまう場合がある。
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とするものであることが望ましい。さらにこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが望ましく、90mol%以上であることがより望ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類を好適に用いることができる。
電子写真感光体の表面に被覆される保護層の材料として硬化性樹脂を用いた場合には、耐摩耗性を向上させて、上述した効果の持続性を向上させることが可能になる。
保護層の材料として、架橋樹脂を用いてもよい。塗料がコーティングされた後、重合反応又は重縮合反応によって架橋構造を正規せしめた樹脂である。樹脂膜に架橋構造を持たせると、強靱な耐摩耗性を得ることができる。また、架橋性の電荷輸送材料が配合されることから、電荷輸送層と類似の電荷輸送性を発揮することができる。
保護層に含有させる電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送性化合物を用いることができる。重合性又は架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の化合物、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の化合物などが挙げられる。得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性などの観点から、正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料との組み合わせを用いることが好ましい。正孔輸送性基およびアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を架橋させる系が特に好ましい。熱、光、放射線を用いて架橋硬化を行うことができる。架橋性樹脂は3次元に架橋されていることが好ましい。
架橋樹脂のバインダー材料について説明する。3官能以上のバインダー成分には、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有させるとよい。これにより架橋膜自体の耐摩耗性を向上させたり、強靱性を増大させたりすぐことが可能になる。電荷輸送性構造を具備しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが好ましい。これらについては、東京化成社等の試薬メーカー、日本化薬社KAYARD DPCAシリーズ、同DPHAシリーズ等として入手することができる。硬化を促進させたり、安定化させたりする狙いで、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社イルガキュア184等の開始剤を全固形分に対して5〜10wt%程度加えてもよい。
架橋性の電荷輸送材料としては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の化合物、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の化合物が挙げられる。電荷輸送構造を含み(メタ)アクリロイルオキシ基を一つ以上有する化合物を利用することができる。また、電荷輸送構造を含まない(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有するモノマーやオリゴマーと併用した組成にしてもよい。少なくとも塗工液中にそのような化合物を含有させて、熱、光、電子線、あるいはγ線等の放射線などによってエネルギーを与えて架橋、硬化を促進させることが可能である。
架橋樹脂塗料を調製する際に使用する分散溶媒としては、モノマーを十分に溶解するものが好ましい。上述のエーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、1−メトキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類などを挙げることができる。これらのうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
架橋樹脂材料を製膜する際、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のUV照射光源を利用することができる。また、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせた可視光光源の選択も可能である。照射光量は50[mW/cm2]以上、1000[mW/cm2]以下が好ましい。50[mW/cm2]未満では、硬化反応に時間を要してしまう。また、1000[mW/cm2]を超えると、反応の進行が不均一となり、架橋樹脂膜に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりする。また、急激な架橋によって内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
架橋樹脂膜中には、必要に応じて、電荷発生層に用いられるのと同様の、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物やレベリング剤を添加することが可能である。また電荷輸送層に用いられるのと同様の、高分子化合物を添加することも可能である。これらの化合物を、単独または二種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物およびレベリング剤を併用すると感度劣化をきたすケースが多い。このため、それらの使用量としては、塗料総固形分中の0.1〜20[wt%]、好ましくは0.1〜10[wt%]がよい。また、レベリング剤の使用量としては、0.1〜5wt%程度が適当である。
電子写真感光体の表面に設けられる凸形状の高さR3について説明する。実施形態に係る画像形成装置の電子写真感光体の表面に設けられる凸部の形成方法としては、凸部に要求される要件を満たすものであれば特に制限はない。但し、表面層(保護層)の材料にフィラー(心材)を含有させることによってフィラーの上部を突出させて凸部を形成する方法が好ましい。凸部を形成するためのフィラーの材料としては、次のようなものを用いることができる。即ち、有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、カーボン微粒子などが挙げられる。カーボン微粒子は、炭素を主成分とする粒子である。例えば、非晶質、ダイヤモンド、グラファイト、無定型炭素、フラーレン、ツェッペリン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等を含有する粒子である。これらの中で、水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する粒子は、機械的及び化学的な耐久性に優れている。水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン膜は、SP3軌道を有するダイヤモンド構造、SP2軌道を有するグラファイト構造、非晶質カーボン構造などの類似構造を混在させた粒子のことである。ダイヤモンド状カーボンもしくは非晶質カーボン微粒子は、炭素だけで構成されるものではなく、水素、酸素、窒素、フッ素、硼素、リン、塩素、臭素、沃素等の他の元素を含有するものであってもよい。
無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラー微粒子の硬度の観点からすると、無機材料を用いることが好ましい。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンがよい。また、コロイダルシリカやコロイダルアルミナなどの微粒子も有効である。
フィラーの平均一次粒子径としては、0.03〜1.0[μm]であることが光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。
フィラー材料の濃度は、高いほど耐摩耗性を高くするが、高すぎる場合には、残留電位が上昇したり、表面層の書き込み光透過率が低下したりといった副作用を生じる場合がある。また、フィラー濃度が低すぎる場合には、表面凸形状の形勢頻度が少なくなり、外添剤のブレードエッジ部での分離率が低下するので好ましくない。従って、全固形分に対して、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%程度がよい。
これらのフィラー微粒子については、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理することが、フィラー微粒子の分散性の点から好ましい。フィラー微粒子の分散性の低下は、残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下、塗膜欠陥、耐摩耗性の低下などを引き起こすことから、高耐久化や高画質化を妨げる可能性がある。
フィラー微粒子の表面処理剤としては、従来から公知のものを使用することができる。中でも、フィラー微粒子の絶縁性を維持できるものが好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等である。それらと、シランカップリング剤との混合物でもよい。また、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等でもよい。また、それらの混合物であってもよい。以上の材料は、フィラー微粒子の分散性及び画像ボケの点から好ましい。シランカップリング剤による表面処理は、画像ボケの影響を強くするおそれがあるが、上述した表面処理剤とシランカップリング剤との混合物を用いることで、その影響を抑制することが可能になる。
使用する表面処理剤の量については、使用するフィラー微粒子の平均一次粒子径によって異なるが、3〜30[wt%]が適しており、5〜20[wt%]がより好ましい。表面処理剤の量がそれよりも少ないと、フィラー微粒子の分散効果が得られ難くなる。また、多いと、残留電位の著しい上昇を引き起こしてしまう。フィラ−微粒子の材料は単独もしくは2種類以上混合して用いることが可能である。
フィラー微粒子の粒径については、次のようにして測定する。即ち、TEM(透過型電子顕微鏡、日立製H−9000NAR)によってフィラー微粒子を観察しながら、無作為に100個を選択する。それらについて、画像処理ソフト(ニコレ社画像解析装置 Luzex AP)によって粒径を算出して、100個あたりの個数平均粒径を求める。
電子写真感光体の周面に形成された凸部の高さR3は、例えば、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡等を用いて測定することができる。レーザー顕微鏡としては、例えば、次のものを使用することが可能である。即ち、超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000及び超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス社製):走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)社製):リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスH1200(レーザーテック(株)社製)等である。
光学顕微鏡としては、例えば、次のものを使用することが可能である。即ち、デジタルマイクロスコープVHX−500及びデジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス社製):3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)社製)等である。
電子顕微鏡としては、例えば、次のものを使用することが可能である。即ち、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800及び3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス社製):走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製):走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所社製)等である。
原子力間顕微鏡としては、例えば、次のものを使用することが可能である。即ち、ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス社製):走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製):走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所社製)等である。分子間力プローブ顕微鏡システムMFP−3D−SA−J(株式会社アサイラムテクノロジー)でもよい。以上に例示した顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の凸部の高さR3を計測することができる。
凸部の高さR3については、上述した顕微鏡を用いて得られる表面のプロファイルに基づいて算出する。図1は、高さR3の算出方法を説明するための模式図である。凸部の高さR3は、任意の凸部の頂点を通るプロファイル上において、その両端の裾の最下点を基準線とした場合における、基準線から凸部の頂上までの距離(y1又はy2)である。裾野の高さが一致しない場合には、その平均高さ((y1+y2)÷2)を基準線とする。電子写真感光体の凸部の高さR3を求める場合、任意の10個の凸部についてそれぞれ高さを測定し、それらの平均値を高さR3とする。
図2は、実施形態に係る画像形成装置(タンデム型フルカラー画像形成装置)の要部構成を示す要部構成図である。図2において、画像形成装置は、中間転写ベルト31を用いた中間転写方式で転写材(例えば記録紙)に画像を形成するものである。画像形成装置は、転写手段30を備えている。この転写手段30は、ベルトループ内側に配設された複数のローラによって無端状の中間転写ベルト31を張架している。中間転写ベルト31は、図中時計回り方向に無端移動する。中間転写ベルト31の上方には、中間転写ベルト31の表面移動方向に沿って、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像を作像するための4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kが配設されている。以下、色分け符号であるY,M,Cについては、適宜省略する。
各プロセスカートリッジ20には、それぞれ電子写真感光体1が設けられている。それぞれの電子写真感光体1は、図中反時計回り方向に回転駆動される。その周囲には、公知の帯電手段2、現像手段3、クリーニング装置4がそれぞれ設けられている。また、4つのプロセスカートリッジ20の上方には図示しない光書込ユニットが設けられている。
電子写真感光体1は図中反時計回り方向に回転しながら、その表面が帯電手段によって一様帯電せしめられる。一様帯電した電子写真感光体1の表面は不図示の光書込ユニットよって照射されたレーザー光によって静電潜像を担持する。この静電潜像は、現像手段3によって現像されてトナー像になる。
Y,M,C,K用の電子写真感光体上でそれぞれ現像されたY,M,C,Kトナー像は、中間転写ベルト31の表面に重ね合わせて1次転写される。中間転写ベルト31には、次転写装置40が当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップに送り込まれる転写材に対し、中間転写ベルト31上のトナー画像が一括2次転写される。転写材は、2次転写装置40の2次転写ベルト41や、搬送装置50によって図中右側から左側に向けて搬送された後、定着手段60によって表面にトナー画像が定着せしめられる。定着手段60は、定着部材たる定着ローラを加熱しながら転写材に押し当てて、トナー画像を転写材表面に定着させるものである。
電子写真感光体1は反時計回りに回っている。同図には示されていないが、トナーには少なくとも2種の外添剤が添加されており、電子写真感光体1の表面層には所定の密度で並ぶ複数の凸部が形成されている。トナーに添加されている外添剤(無機微粒子)の平均一次粒子径R1、R2と、凸部の高さR3とには、R1<20nm<R3<R2という関係が成立している。
滑剤供給手段について説明する。実施形態に係る画像形成装置においては、滑剤を電子写真感光体表面1に供給するための滑剤供給手段10を、それぞれのプロセスカートリッジに備えていてもよい。図3は、滑剤供給手段10の要部構成を電子写真感光体1とともに示す構成図である。同図において、滑剤供給手段10は、塗布部材としてのファーブラシ10a、固形滑剤10b、滑剤をファーブラシ10aに向けて押圧する加圧バネ10cなどを有している。固形滑剤10bは、図紙面に直交する方向に延在する角棒状に成型されたものである。ファーブラシ10aは電子写真感光体1の表面にブラシ先端を当接させながら回転する。そして、軸を中心に回転するのに伴って、ブラシによって固形滑剤10bから粉末潤滑剤を掻き取りながら、電子写真感光体1の表面との当接位置まで搬送して電子写真感光体表面1に塗布する。固形滑剤10bを経時的にファーブラシ10aによって掻き削って減少させても、ファーブラシ10aに固形滑剤10bを確実に接触させるように、加圧バネ10cによって所定の圧力で固形滑剤10bをファーブラシ10aに押圧している。これにより、ファーブラシ10aによって微量の滑剤粉末を均一に掻き取らせることができる。
実施形態に係る画像形成装置には、電子写真感光体1の表面に塗布した滑剤粉末の定着性を向上させるための滑剤定着手段を設けてもよい。この滑剤定着手段としては、クリーニングブレード4aのような板状部材をトレーリング方式で電子写真感光体1の表面に当接させる方式のものや、ゴムロールを電子写真感光体1の表面に押し当てる方式のものを例示することができる。
固形滑剤10bの材料としては、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる。特に、電子写真感光体1の摩擦係数を大きく低減することが可能な金属石鹸類、中でもステアリン酸金属塩、更にはステアリン酸亜鉛が好ましい。
滑剤供給手段10によって電子写真感光体1の表面に塗布された粉末滑剤は、電子写真感光体1表面からのトナーのクリーニング性に余裕度を上げたり、電子写真感光体1表面の摩耗を抑制したりする効果をもたらすことは従来から知られている。
実施形態に係る画像形成装置においては、既に述べたように、R1<20nm<R3<R2という条件を具備している。かかる構成では、トナー粒子表面から外添剤の無機微粒子が遊離した際に、小粒径(R1)の無機微粒子だけがクリーニングブレードと電子写真感光体1表面との当接部を負荷無くすり抜ける。すり抜けた小粒径の無機微粒子が電子写真感光体1の表面移動に伴って滑剤供給手段10のファーブラシ10aとの接触位置に到達すると、ファーブラシ10aがその無機微粒子を電子写真感光体表面から掻き取りながら滑剤粉末を電子写真感光体1表面に塗布する。このとき、外添剤の小粒径の無機微粒子が固形滑剤10bに摺擦することで、固形滑剤10bから滑剤粉末を均一に削り取る効果を高める。これにより、微小な塗布量であっても、滑剤粉末を電子写真感光体1の表面に均一に塗布することができる。
実施形態に係る画像形成装置は、非画像形成時の所定のタイミングで、電子写真感光体1を画像形成時とは逆方向に表面移動(逆回転)させる制御手段を備えている。図4は、画像形成時に電子写真感光体1を反時計回りに正回転させている時のクリーニングブレード4aの状態を示す模式図である。同図において、矢印Aは電子写真感光体1の正回転方向を示している。一般的に、電子写真感光体1の正回転時に、クリーニングブレード4aにおいて電子写真感光体1と接しているエッジ部は図のように変形する。電子写真感光体1の回転が止まってもエッジ部は変形した状態を保っている。このように、エッジ部には画像形成時以外においても電子写真感光体1に常に力を加えて、電子写真感光体1の劣化を促進させる主要因になる。
図5は、電子写真感光体1を画像形成時とは逆の矢印B方向に逆回転させた時におけるクリーニングブレード4aの先端の形状を示す模式図である。電子写真感光体1を逆回転させると、図示のように、エッジ部がストレスを低減する形状に変化する。非画像形成時には、制御手段がこのような状態にすることから、電子写真感光体1の劣化を大幅に抑えることができる。また、エッジ部の引き込みも解消することから、クリーニングをより確実に実施できるようになる。
電子写真感光体1の逆回転については、プリントジョブを終了した直後に実施することが好ましい。プリントジョブは、連続した一連の作像動作であり、例えば50枚の転写材(例えば記録紙)に連続してプリントを行った場合には、50枚目のプリント動作を終了した時点で電子写真感光体1を逆回転させる。このような電子写真感光体1の逆回転を実施することにより、作像の効率を低下させることなく、電子写真感光体1の劣化を抑えることができる。
電子写真感光体1の逆回転を、プリントジョブの開始前に実施するようにしてもよい。プリントジョブの開始前としては、画像形成装置の電源投入時を例示することができる。また、電源投入後、ウォームアップ動作として電子写真感光体1を所定時間だけ正回転させる構成では、その正回転の終了後に逆回転させるようにしてもよい。このような逆回転を行うことで、作像の効率を低下させることなく、電子写真感光体1の劣化を抑えることができる。
電子写真感光体1の正回転や逆回転については、駆動モーターの駆動を制御手段によって制御することで行われる。電子写真感光体1を矢印B方向に逆回転させる際の電子写真感光体1の表面移動距離については、次のように設定することが望ましい。即ち、電子写真感光体1を矢印B方向に逆回転させることでクリーニングブレード4aのエッジ部を図5に示される形状から図6に示される形状に変化させることが可能な距離である。かかる距離は、1mm以上であり、好ましくは1〜10mmである。1mm以上逆移動させることによりクリーニングブレード4aを完全に伸び切った状態にすることができることから、10mmを超えて逆移動させる必要はない。なお、前記「距離」は、電子写真感光体1の円周上の任意の点Pが逆回転によって点Qに移動する際の円周上の長さを意味している。
クリーングブレード4aの構造について説明する。図6は、クリーニングブレード4aを具備するブレード部材40を示す斜視図である。また、図7は、電子写真感光体1の表面に当接している状態のクリーニングブレード4aを示す側面図である。また、図8は、クリーニングブレード4aにおける電子写真感光体1との4a−1を示す拡大側面図である。
ブレード部材40は、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー4bと、短冊形状の弾性ブレードからなるクリーニングブレード4aとを具備している。クリーニングブレード4aは電子写真感光体1との接触部4a−1に、後述する含浸処理がなされている。また、ブレード先端面4a−2と、ブレード下面4a−3とには、ブレード長手方向にわたって表面層(図中斜線で示される層)が形成されている。
クリーニングブレード4aは、ホルダー4bの一端側に接着剤などによって固定されており、ホルダー4bの他端側は、図示しないクリーニング装置のケースに片持ち支持されている。クリーニングブレード4aとしては、電子写真感光体1の偏心や電子写真感光体1の表面の微小なうねりなどに追随できるように、高い反発弾性体率を有するものが好ましい。アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどの一般的な合成ゴム材料からなるものがよい。より好ましくは、ウレタン基を含むゴムであるウレタンゴムである。
クリーニングブレード4aにおける電子写真感光体1との接触部4a−1への含浸処理は、ハケ塗り、スプレー塗工、ディップ塗工などにより、少なくともアクリル又はメタクリル系モノマーの何れかを含浸させて架橋させることが可能である。アクリル又はメタクリル系モノマーは、熱、光、電子線などのエネルギーを加えることにより、架橋反応を起こす。
前述のアクリルやメタクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらを単独又は2種類以上混合して使用してもよい。
このような構成により、クリーニングブレード4aの電子写真感光体1との接触部4a−1が電子写真感光体1の表面移動方向に変形するのを抑制することができる。さらに、経時の運転に伴う表面層の摩耗によって内部が露出した場合でも、内部への含浸作用により、同様に変形を抑制することができる。
表面層(図中斜線で示される層)については、次のようにして設ける。まず、クリーニングブレード4aに少なくともアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液の何れかに所定時間だけ浸漬させて風乾させる。その後、スプレー塗工、ディップ塗工、あるいはスクリーン印刷等により、クリーニングブレード4aの電子写真感光体1との接触部4a−1を被覆する。このように、少なくともアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液の何れかにに浸漬させる工程で、基材とアクリル層、メタクリル樹脂層、又はアクリル及びメタクリル樹脂の混合層とを製膜する。その後、塗工において、アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層を完成させる。
架橋樹脂を硬化させるために熱及び光エネルギーを加えるタイミングとしては、基材を少なくともアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液の何れかに所定時間だけ浸漬させた後が挙げられる。また、アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層を形成した後でもよい。
基材を少なくともアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液の何れかに所定時間だけ浸漬させて形成されたアクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層の膜厚は、次のようにして制御することが可能である。即ち、樹脂液を構成するアクリル又はメタクリル系モノマーの溶媒種、固形分濃度、浸漬時間、温度等で制御することが可能である。
基材と、アクリル層、メタクリル樹脂層、又は前記混合層との合計厚は、5[μm]以上、100[μm]以下が適切であり、10[μm]以上、30[μm]以下がより好ましい。合計厚が10[μm]よりも薄い場合には、クリーニングブレード4aの摩耗を低減する効果が得られにくくなる。また、100[μm]を超える場合には、クリーニングブレード4aの硬度が大きくなり過ぎて、電子写真感光体1への負荷が増加する。これにより、電子写真感光体1の摩耗量を大きくしたり、低温環境下で異音を発生させたり、クリーニングブレード4aに微小なクラックを発生させたりする。
アクリル層、メタクリル樹脂層、又は前記混合層は、少なくともアクリル又はメタクリル表面樹脂の何れかを塗工した際にも形成することができる。この場合、それら塗膜の厚みは測定限界以下になることが多い。塗膜の厚みが1[μm]以下であると、前述した効果が得られなくなる。
基材と、アクリル層、メタクリル樹脂層、又は前記混合層との合計厚の測定方法としては、特開2011−138110号に開示されている顕微IR用いる方法を採用することが可能である。アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層については、基材をアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液に所定時間だけ浸漬させた状態でも形成可能であるが、この場合、膜厚が薄くなり過ぎることがある。そこで、基材を少なくともアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液の何れかに所定時間浸漬させて、アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層を形成した後、少なくともアクリル又はメタクリル系架橋性樹脂液の何れかを塗工して、層を形成することが好ましい。
アクリル層、メタクリル表面樹脂層、又は混合層の材料は、前述した含侵材料と同種のアクリル系又はメタクリル系モノマーを塗工し、熱、光、電子線などのエネルギーを加えることによって形成される。アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層の厚みは、0.5[μm]以上、1.0[μm]以下であることが好ましい。厚みがそれよりも薄い場合には、クリーニングブレード4aの摩耗を低減する効果が得られにくくなる。また、それよりも厚い場合には、経時的にブレードエッジ部の捲れやクラックなどを進行させる問題が発生する。
アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層を形成する際、基材とアクリル又はメタクリル樹脂の製膜時に薄膜が形成される。この薄膜の厚みが0.1[μm]以下であると、前述した効果が得られなくなる。アクリル層、メタクリル樹脂層、又は混合層の膜厚については、断面を切断し、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡画像によって測定することが可能である。
以下、実施例を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
電子写真感光体1を製造した。具体的には、アルミニウムシリンダー上に後述する組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布して乾燥させた。そして、厚み3.5[μm]の下引き層、厚み0.2[μm]の電荷発生層、及び厚み23[μm]の電荷輸送層を形成した。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行った後、下引き層については130[℃]、電荷発生層にについては95[℃]、電荷輸送層については120[℃]の条件でそれぞれ20分乾燥させた。
下引き層用塗工液は、次の組成からなる。酸化チタン(CR−EL、平均一次粒子径=約0.25μm、石原産業(株)製):50重量部、アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、固形分濃度=50%、大日本インキ化学工業(株)製):14重量部、メラミン樹脂(L−145−60、固形分濃度=60%、大日本インキ化学工業(株)製):8重量部、及び2−ブタノン:70重量部である。
電荷発生層塗工液を次のように製造した。チタニルフタロシアニン結晶を次の組成及び後述する条件にて分散させて、電荷発生層用塗工液を作製した。使用したチタニルフタロシアニンは、X線回折スペクトル測定により、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θ=27.2±0.2°の範囲に最大ピークを有するとともに、最低角=7.3±0.2°にピークを有する。更に、9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、7.3°のピークと、9.4°のピークとの間にピークを有さず、且つ26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニンである(X線回折スペクトル測定条件:X線管球:Cu,電圧:50kV,電流:30mA,走査速度:2°/分,走査範囲:3°〜40°,時定数:2秒)。組成は次の通りである。チタニルフタロシアニン結晶:15重量部、ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1):10重量部、及び2−ブタノン:280重量部である。市販のビーズミル分散機に直径0.5[mm]のPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及び前述した顔料を投入する。そして、ローター回転数1200[rpm]の条件で30分間分散させて、電荷発生層用塗工液を作製した。
なお、電荷発生層の膜厚は、780[nm]における電荷発生層の透過率が25[%]になるように調整した。電荷発生層の透過率については、次のようにして評価した。まず、後述する組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに対して電子写真感光体1の作製と同じ条件で塗工する。そして、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780[nm]の透過率を評価する。
電荷輸送層塗工液の組成は、次の通りである。ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10重量部、化1の構造式で表される低分子電荷輸送物質:10重量部、テトラヒドロフラン:80重量部、及び1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−1CS、信越化学工業製):0.2重量部である。
次に、架橋型表面層を形成した。まず、架橋型電荷輸送層塗工液を上述した導電性支持体、下引き層、電荷発生層、及び電荷輸送層の積層上に塗布する。そして、UVランプ(バルブ種 Hバルブ FusionUVシステムズ社製)を用いて、ランプ出力=200[W/cm]、照度=450[mW/cm2]、照射時間=30秒の条件で光照射する。その後、130℃20分の条件で乾燥して架橋型表面層を形成した。架橋型表面層の厚みは5[μm]であった。架橋型電荷輸送層塗工液は、後述する組成の分散溶液を調整した後、VIBRAX VXR basic(IKA製)を用い、1500[回転/min]で2時間分散させた後、架橋型電荷輸送層塗工液に添加して調整した。
分散溶液の組成は次の通りである。テトラヒドロフラン:20重量部、アルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製):5重量部、及び分散剤BYK−P104(BYK製):0.02重量部である。
表面層用塗工液を次の組成で製造した。化2で示される構造式の電荷輸送物質:8.3重量部、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマー:20重量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)重合開始剤:0.5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)テトラヒドロフラン:100重量部、及び上述した分散液:150重量部(アルミナ微粒子の含有量が保護層の約5重量%になる処方量)である。
以上のように作製した電子写真感光体1の凸部の高さR3を、分子間力プローブ顕微鏡システムMFP−3D−SA−J(株式会社アサイラムテクノロジー)を用いて測定した結果、高さR3は35[nm]であった。
次に、現像剤の一部として用いる磁性キャリアを製造した。磁性キャリアの組成は次の通りである。アクリル樹脂溶液(固形分50wt%):21.0重量部、グアナミン溶液(固形分70wt%):6.4重量部、アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)]:7.6重量部、シリコーン樹脂溶液[固形分23wt%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]:65.0重量部、アミノシラン[固形分100wt%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]:1.0重量部、トルエン:60重量部、及びブチルセロソルブ:60重量部である。これらをホモミキサーで10分間だけ分散させた後、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂のブレンド被覆膜形成溶液を得た。芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2O3)48.0:平均粒径;35μm]を用い、上述した被覆膜形成溶液を芯材表面上の膜厚が膜厚0.15[μm]になるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布して乾燥させた。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩いで解砕して、キャリアを得た。結着樹脂膜厚の測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。こうして、重量平均粒径35[μm]のキャリアを得た。
次に、トナーAを製造した。まず、有機微粒子エマルションを合成した。具体的には、撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水:683重量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業社製):11重量部、メタクリル酸:166重量部、アクリル酸ブチル:110重量部、及び過硫酸アンモニウム:1重量部を仕込んだ。そして、3800[回転/分]の条件で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。それを加熱して、系内温度75℃まで昇温させて、4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液:30重量部を加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下、微粒子分散液1という)を得た。この微粒子分散液1の体積平均粒径をLA−920で測定したところ、110[nm]であった。微粒子分散液1の1重量部を乾燥させて樹脂分を単離した。その樹脂分のガラス転移点Tgは58℃であり、重量平均分子量は13万であった。
次に、水相を調製した。具体的には、水:990重量部、微粒子分散液1:83重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON−7 三洋化成工業社製):37重量部、及び酢酸エチル:90重量部を混合撹拌して乳白色の液体を得た。これを水相1とした。
次に、フッ素系活性剤水溶液を調製した。具体的には、N,N,N,−トリメチル−[3−(4−ペルフルオロノネニルオキシベンズアミド)プロピル]アンモニウム、ヨージド製品名フタージェント310(ネオス社製):10重量部、及びメタノール:297重量部を容器に入れた。そして、50℃に加熱し透明になるまで攪拌した。得られたフッ素系活性剤メタノール溶液を、攪拌しているイオン交換水:693重量部に滴下し、滴下終了後50℃で30分攪拌して、フッ素系活性剤水溶液1を得た。
次に、低分子ポリエステルを合成した。具体的には、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を具備する反応容器中に、次の組成を加えた。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:229重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物:529重量部、テレフタル酸:208重量部、アジピン酸:46重量部、及びジブチルチンオキサイド:2重量部である。そして、常圧で230℃で7時間だけ反応させた後、10〜15mmHgまで減圧して5時間反応させた。更に、反応容器に無水トリメリット酸:44重量部を入れて、180℃、常圧で3時間反応させて低分子ポリエステル1を得た。低分子ポリエステル1は、数平均分子量=2300、重量平均分子量=6700、ガラス転移点Tg=43℃、酸価25というものであった。
次に、中間体ポリエステル及びプレポリマーを合成した。具体的には、冷却管、撹拌機及びび窒索導入管を具備する反応容器中に、次の組成を入れた。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:682重量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:81重量部、テレフタル酸:283重量部、無水トリメリット酸:22重量部、及びジブチルチンオキサイド2重量部である。そして、常圧、230℃の条件で7時間反応させた後、10〜15mmHgまで減圧して5時間反応させて中間体ポリエステル1を得た。この中間体ポリエステル1は、数平均分子量=2200、重量平均分子量=9700、ガラス転移点Tg=54℃、酸価0.5、水酸基価52であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を具備する反応容器中に、中間体ポリエステル1:410重量部、イソホロンジイソシアネート:89重量部、酢酸エチル:500重量部を入れた。そして、100℃で5時間反応させてプレポリマー1を得た。このプレポリマー1の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
次に、ケチミンを合成した。まず、撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン:170重量部と、メチルエチルケトン:75重量部を仕込んだ。そして、50℃で4時間半反応させてケチミン化合物1を得た。このケチミン化合物1のアミン価は417であった。
次に、マスターバッチ(MB)を合成した。まず、水1200:重量部、カーボンブラック(Printex35 デクサ社製)〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕:600重量部、及びポリエステル樹脂:1200重量部を加えた。そして、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)でそれらを混合し、得られた混合物を2本ロールによって120℃で1時間だけ混練した後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して、マスターバッチ1を得た。
次に、油相1を作製した。まず、撹拌棒及び温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1:378重量部、カルナバワックス:95重量部、酢酸エチル:947重量部を仕込んだ。そして、撹拌下80℃まで昇温させた後、80℃のままで5時間反応させた後、1時間で30℃まで冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1:500重量部、及び酢酸エチル:500重量部を仕込んで、1時間混合して原料溶解液1を得た。この原料溶解液1:1324重量部を容器に移した。そして、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、及び3パスという条件で、カーボンブラックやワックスを分散させた。更に、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液:1324重量部を加え、上述した条件のビーズミルで2パスだけ分散させて、「顔料・ワックス分散液1」を得た。「顔料・ワックス分散液1」の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
次に、乳化反応や脱溶剤を行った。まず、「顔料・ワックス分散液1」:749重量部、プレポリマー1:115重量部、及びケチミン化合物1:2.9重量部を容器に入れた。そして、TKホモミキサー(特殊機化社製)にて6200[rpm]の条件で3分間混合した後、容器に水相1:1200重量部を加え、TKホモミキサーで回転数15000rpmで35分間だけ混合して乳化スラリー1を得た。その後、撹拌機及び温度計をセットした容器に乳化スラリー1を投入し、30℃で10時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行なって分散スラリー1を得た。
次に、洗浄処理、フッ素活性剤処理、乾燥、及び風篩を行った。まず、分散スラリー1:100重量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水:100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後に濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液:100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。このときに得られた濾過ケーキに10%塩酸:100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後に濾過した。このときに得られた濾過ケーキにイオン交換水:300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後に濾過する操作を2回繰り返して、濾過ケーキ1を得た。更に、濾過ケーキ1:630重量部、及びイオン交換水:2928重量部を容器に入れ、スリーワンモータ(新東科学社製)で攪拌(回転数:400rpmで5分)して30℃に加熱した。回転数や温度を保ちながらフッ素系活性剤水溶液1:11重量部を滴下した。滴下終了後に60分間攪拌し、濾過を行ったフッ素系活性剤処理後濾過ケーキ1を得た。このフッ素系活性剤処理後濾過ケーキ1を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。そして、目開き75μmメッシュで篩いにかけてトナーを得た。
このトナー:100重量部に対して、平均一次粒子径19nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)を1.0重量部入れた。そして、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製 FM20C)にて混合し、次に平均粒径120nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理):1.5重量部を入れて同様に混合した。最後に、平均一次粒子径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理):0.5重量部を入れて同様に混合してから篩いにかけてトナーAを作製した。混合条件は、周速30m/sec、30秒回転、60秒回転停止、のセットを3回繰り返して混合した。トナーAの軟化指数は107℃であった。
遊離量測定のための検量線を次のようにして作成した。まず、エチルセルロース100重量部に対して、平均一次粒子径120nmのシリカを1重量部、2重量部、4重量部、6重量部、10重量部だけ添加したサンプルをそれぞれ用意した。そして、それぞれ圧を加えてペレット状のサンプルにした。蛍光X線分析装置(例えば株式会社リガク社製 蛍光X線分析装置ZSX 400)でそれぞれの分光を測定して、シリカのピーク強度に対するシリカ量のシリカ用検量線を作成した。次に、エチルセルロース:100重量部に対して、平均一次粒子径が15nmのチタンを1重量部、2重量部、4重量部、6重量部、10重量部だけ添加したサンプルをそれぞれ混合して、先と同様に分光を測定して、チタン用検量線を作成した。
以上のように作製した電子写真感光体1と、現像剤とを、(株)リコー製Imagio MP C5000を潤滑剤レスに改造してチューニングした実験機にセットした。そして、100%画像濃度チャートを5000枚出力したり、50000枚出力したりした。外添剤遊離量を測定するために、5000枚出力後に評価機内のクリーニングブレードに蓄積したトナーを回収した。回収したトナーを3g秤量し、ペレット状のサンプルを作製し、蛍光X線分析装置(例えば株式会社リガク社製 蛍光X線分析装置ZSX 400)で測定した。実機評価前と評価後の差分から得られた外添剤のシリカの遊離量はトナー1gに対して8.0mgであった。チタンの遊離量は、トナー1gに対して0.6mgであった。
次に、実機評価後の電子写真感光体の表面を光学顕微鏡(リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスH1200(レーザーテック(株))にて5000枚出力時、50000枚出力時にそれぞれ観察した。そして、異物が付着しているかを確認した結果、いずれも異物が全く付着していなかった。
次に、50000枚出力後に電子写真感光体を実験機から取り出し、50000枚出力前後の感光層の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー製)を用いて行った。
[実施例2]
トナーに添加する無機微粒子(外添剤)として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=50nm(X−24:信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は実施例1と同様の実験を行った。
[実施例3]
トナーに添加する無機微粒子として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=80nm(X−24 信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[実施例4]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製)を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.3μm(スミコランダム AA−03 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[実施例5]
無機微粒子として用いる平均一次粒子径=19nmのシリカ:0.5重量部を、平均一次粒子径=120nmのシリカ0.7重量部に変えた点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例1]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製)を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径=31nm(NanoTek シーアイ化成製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例2]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.7μm(スミコランダム AA−07 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例3]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、マンガン微粒子(平均一次粒子径:56nm(NanoTek シーアイ化成製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例4]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、シリカ微粒子(平均一次粒子径:9nm(NanoTek シーアイ化成製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例5]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.5μm(スミコランダム AA−05 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例6]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.6μm(スミコランダム AA−06 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例7]
外添剤として用いる無機微粒子として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=50nm(X−24 信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、実施例4と同様の実験を行った。
[比較例8]
外添剤として用いる無機微粒子として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=80nm(X−24 信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、この点の他は、実施例4と同様の実験を行った。
[比較例9]
平均一次粒子径=19nmのシリカ:0.3重量部を、平均一次粒子径=120nmのシリカ:0.5重量部に変えた点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[比較例10]
電子写真感光体の架橋型表面層を、後述する組成の保護層に変えた点の他は、実施例1と同様の実験を行った。なお、保護層は、電荷輸送層上に後述する組成の保護層塗工液をスプレー塗工によって5μm形成したものである。
その保護層塗工液の組成は次の通りである。アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製):4重量部、化3の構造式の電荷輸送物質:4重量部、ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製):6重量部、テトラヒドロフラン:220重量部、及びシクロヘキサノン:80重量部である。これらを、アルミナボールを用いたボールミルによって16時間分散した後、保護層塗工液1として用いた。
以上のように作製した電子写真感光体の表面における凸部の高さR3を、分子間力プローブ顕微鏡システムMFP−3D−SA−J(株式会社アサイラムテクノロジー)を用いて測定した結果、高さR3は33nmであった。
実施例1〜5、及び比較例1〜10の結果を表1に示す。
[実施例6]
キャリア2を製造した。芯材として、Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm)5,000重量部を用いた。被覆材として、トルエン300重量部、ブチルセロソルブ300重量部、アクリル樹脂溶液(組成比(モル比)メタクリル酸:メタクリル酸メチル:2−ヒドロキシエチルアクリレート=5:9:3、固形分50%トルエン溶液、Tg38℃)60重量部、N−テトラメトキシメチルベンゾグアナミン樹脂溶液(重合度1.5、固形分77%トルエン溶液)15重量部、及びアルミナ粒子(平均一次粒子径0.30μm)15重量部をスターラーで10分間分散して調製されたコート液を用いた。前記芯材と、前記コート液とを、流動床内において回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、前記コート液を前記芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で220℃、2時間の条件で焼成し、[キャリア2]を得た。
次に、トナーBを製造した。まず非晶性セグメントA1を合成した。具体的には、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコールと、ジカルボン酸としてテレフタル酸ジメチル及びアジピン酸ジメチルとを、次のように仕込んだ。即ち、テレフタル酸ジメチルとアジピン酸ジメチルとのモル比(テレフタル酸ジメチル/アジピン酸ジメチル)が90/10であり、且つOH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.2になるように仕込んだ。そして、仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドと共に、メタノールを流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、20mmHg〜30mmHgの減圧下にて4時間反応させ、線状の非晶性ポリエステル樹脂である[非晶性セグメントA1]を得た。得られた樹脂は、酸価(AV)1.08mgKOH/g、水酸基価(OHV)23.3mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)59.2℃であった。
その後、結晶性セグメントC1を合成した。具体的には、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,6−ヘキサンジオールと、ジカルボン酸としてアジピン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1になるように仕込んだ。そして、仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドと共に、水を流出させながら反応させた。最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下にて5時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂C1]である[結晶性セグメントC1]を得た。得られた樹脂は、酸価(AV)0.45mgKOH/g、水酸基価(OHV)29.1mgKOH/g、融点(Tm)56.7℃であった。
次に、ブロック共重合樹脂B1を合成した。具体的には、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、[非晶性セグメントA1]1,300gと、[結晶性セグメントC1]700gとを仕込み、60℃で2時間、10mmHgで減圧乾燥を行った。窒素解圧後、モレキュラーシーブス4Aにて脱水処理を行った酢酸エチル2,000gを投入し、窒素気流下、均一になるまで溶解させた。次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート136gを系に投入し、目視下にて均一になるまで撹拌した。その後、触媒として2−エチルヘキサン酸スズを樹脂固形分の質量に対して100ppm投入し、80℃まで昇温させ、リフラックス下で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去し、[ブロック共重合樹脂B1]を得た。
次に、ワックス分散液を調製した。具体的には、冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋株式会社製)20部、及び酢酸エチル80重量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った。その後、ウルトラビスコミル(アイメックス社製)にて、湿式粉砕した。粉砕条件は、送液速度1.0kg/時間、ディスク周速度:10m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回である。湿式粉砕の後、酢酸エチルを加えて固形分濃度を調整し、固形分濃度20%の[ワックス分散液]を得た。
次に、着色剤マスターバッチP1を調製した。具体的には、[ブロック共重合樹脂B1]100重量部、カーボンブラック(Printex35 デクサ製)100重量部、及びイオン交換水30重量部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス、日本コークス工業株式会社製)を用いて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[着色剤マスターバッチP1]を得た。
次に、油相2を調製した。具体的には、温度計及び攪拌機を装備した容器に、[ブロック共重合樹脂B1]94重量部、及び酢酸エチル81重量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液]を25重量部、及び[着色剤マスターバッチP1]12重量部を加えた。そして、50℃にてTK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相2]を得た。なお、[油相2]の温度は容器内にて50℃に保つようにした。
次に、水相2を調製した。具体的には、撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に、イオン交換水75重量部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%分散液(三洋化成工業株式会社製)3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム(セロゲンBS−H−3、第一工業製薬株式会社製)1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)16重量部、及び酢酸エチル5重量部を40℃で混合撹拌させて水相溶液([水相2])を得た。
次に、乳化スラリー2を調製した。具体的には、[水相2]全量へ、50℃に保った[油相2]50重量部を加え、45℃〜48℃にてTKホモミキサー(プライミクス株式会社製)で回転数12,000rpmで1分間混合して、[乳化スラリー2]を得た。
次に、スラリー2を調整した。具体的には、拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー2]を投入し、50℃で2時間脱溶剤して、[スラリー2]を得た。この[スラリー2]100重量部を減圧濾過し濾過ケーキ2を得た。その濾過ケーキ2について、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキ2にイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキ2に10%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキ2に10%塩酸100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキ2にイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、[濾過ケーキ3]を得た。
次に、トナー母体粒子2を作製した。具体的には、得られた[濾過ケーキ3]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmのメッシュで篩い、[トナー母体粒子2]を得た。
次に、トナーBを作製した。具体的には、トナー母体粒子2の100重量部に対して、平均一次粒子径19nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)1.0重量部を入れ、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製 FM20C)にて混合した。その後、平均粒径120nmのシリカ微粉体(ヘキサメチルジシラザン処理)1.5重量部を入れて同様に混合した。最後に、平均一次粒子径15nmの酸化チタン微粉体(イソブチルトリメトキシシラン処理)0.5重量部を入れて同様に混合して、トナーBを得た。得られたトナーBの軟化指数は86℃であった。
トナーBとキャリア2とを混合した現像剤を用いた点の他は、実施例1と同様の実験を行った。
[実施例7]
トナー母体粒子2に添加する無機微粒子(外添剤)として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=50nm(X−24:信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[実施例8]
トナー母体粒子2に添加する無機微粒子として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=80nm(X−24 信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[実施例9]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製)を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.3μm(スミコランダム AA−03 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例11]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径=0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製)を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径=31nm(NanoTek シーアイ化成製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例12]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm 「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.7μm(スミコランダム AA−07 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例13]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、マンガン微粒子(平均一次粒子径:56nm(NanoTek シーアイ化成製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例14]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、シリカ微粒子(平均一次粒子径:9nm(NanoTek シーアイ化成製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例15]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.5μm(スミコランダム AA−05 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例16]
電子写真感光体における保護用塗工液のアルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製))を、アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.6μm(スミコランダム AA−06 住友化学製))に変えた。この点の他は、実施例6と同様の実験を行った。
[比較例17]
外添剤として用いる無機微粒子として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=50nm(X−24 信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、実施例9と同様の実験を行った。
[比較例18]
外添剤として用いる無機微粒子として、平均一次粒子径=120nmのシリカを、平均一次粒子径=80nm(X−24 信越化学工業製)のシリカに変えた点の他は、実施例9と同様の実験を行った。
[比較例19]
電子写真感光体の架橋型表面層を、後述する組成の保護層に変えた点の他は、実施例6と同様の実験を行った。なお、保護層は、電荷輸送層上に後述する組成の保護層塗工液2をスプレー塗工によって5μm形成したものである。その保護層塗工液2の組成は次の通りである。アルミナ微粒子(平均一次粒子径:0.1μm「バイカロックス 0.1CR」バイコウスキージャパン製)4重量部、化4の構造式の電荷輸送物質4重量部、ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製)6重量部、テトラヒドロフラン:220重量部、及びシクロヘキサノン:80重量部である。これらを、アルミナボールを用いたボールミルによって16時間分散した後、保護層塗工液2として用いた。
以上のように作製した電子写真感光体の表面における凸部の高さR3を、分子間力プローブ顕微鏡システムMFP−3D−SA−J(株式会社アサイラムテクノロジー)を用いて測定した結果、高さR3は33nmであった。
実施例6〜9、及び比較例11〜19の実験結果を次の表2に示す。
実施例6では、50000枚出力後まで電子写真感光体には全く異物がなかった。また、実施例7〜実施例9の電子写真感光体には5000枚出力後には全く異物がなかったが、50000枚出力後に異物が少し観察された。但し、画像への不具合はなかった。また、比較例11、比較例13、比較例14の電子写真感光体には、5000枚出力後時点でスジ状の異物が確認された。また、比較例12、比較例15〜18の電子写真感光体には、5000枚出力後時点で全面に異物が付着していた。また、比較例19の電子写真感光体には、5000枚出力後には全く異物がなかったが、50000枚出力後に異物は確認されなかったが、画像上全面に地汚れが発生した。これは、電子写真感光体の保護層5μmに対して摩耗量が5.9μmであり、保護層が消失したためである。
以上から明らかなように、電子写真感光体の保護層が少なくとも硬化型樹脂からなり、且つR1<20nm<R3<R2という条件を満たすことにより、軟化指数80℃以上100℃以下の低温定着トナーを用いても長期間に渡って良好な画像を形成することができる。このような高性能で且つ信頼性の高い画像形成装置やプロセスカートリッジを提供することができる。
Ricoh社製imagio MPC5000を潤滑剤レスに改造してチューニングした実験機を用いて、100%画像濃度チャートを3000枚出力した後、電子写真感光体上の異物の有無について評価した。異物が全くなく良好なものを◎、少しあるがほとんど観察できないものを○、観察できる異物があり、画像に白抜けが僅かにあるものを△、異物が多量に存在し、画像に白抜けが多数あるものを×として評価した。
実施例1〜実施例3では、50000枚出力後まで電子写真感光体には全く異物がなかった。実施例4の電子写真感光体には5000枚出力後には全く異物がなかったが、50000枚出力後に異物が少し確認されたが画像への不具合はなかった。比較例1、比較例3、比較例4の電子写真感光体には、5000枚出力後時点でスジ状の異物が確認された。比較例2、比較例5〜8の電子写真感光体には、5000枚出力後時点で全面に異物が付着していた。比較例9の電子写真感光体には、5000枚出力後時点で異物は確認されなかったが、画像上にクリーニング不良によるスジ状抜けが発生した。これは、外添剤遊離量が3mg以下であるためトナーの流動性が十分でないためである。比較例10の電子写真感光体には、5000枚出力後には全く異物がなかったが、50000枚出力後に異物は確認されなかったが、画像上全面に地汚れが発生した。これは、電子写真感光体の保護層5μmに対して摩耗量が5.9μmであり、保護層が消失したためである。
以上から明らかなように、トナー1gに対する無機微粒子(外添剤)の遊離量が3mg以上で、電子写真感光体の保護層が少なくとも硬化型樹脂からなり、且つR1<20nm<R3<R2という条件を満たすことにより、長期間に渡って良好な画像を形成することができる。このような高性能で且つ信頼性の高い画像形成装置やプロセスカートリッジを提供することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、円筒状支持体、前記円筒状支持体上に設けられた感光層、及び保護層を有する円筒状の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の周面を帯電させるための帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記電子写真感光体の周面に露光光を照射することによって前記電子写真感光体の周面に静電潜像を形成するための露光手段(例えば光書込ユニット)と、前記露光手段によって形成された前記電子写真感光体の周面の静電潜像をトナーにより現像することによって前記電子写真感光体の周面にトナー像を形成するための現像手段と、前記現像手段によって形成された前記電子写真感光体の周面のトナー像を転写材に転写するための転写手段と、前記電子写真感光体の周面の残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段がクリーニングブレードであり、前記トナーが少なくとも粒径の異なる微粒子を2種類以上含有するものであり、前記微粒子の遊離量がトナー1gに対して3mg以上であり、前記電子写真感光体の保護層が少なくとも硬化型樹脂からなり、前記電子写真感光体が表面に凸部を有するものであり、且つ、前記2種以上の微粒子の平均一次粒子径をR1、R2で表し、前記電子写真感光体の凸高さをR3で表した場合に、R1<20nm<R3<R2を満たすことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aであって、前記凸高さR3が、20nm以上300nm以下であることを特徴とするものである。
[態様C]
態様Cは、態様A又はBであって、前記凸部の材料がフィラーを含有するものであることを特徴とするものである。
[態様D]
態様Dは、態様A〜Cの何れかであって、前記電子写真感光体を複数備え、前記転写手段は、それぞれの電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材に重ねて転写するものであることを特徴とするものである。
[態様E]
態様Eは、態様A〜Dの何れかであって、前記帯電手段は、交番電圧を重畳した直流電圧を用いて前記周面を帯電させるものであることを特徴とするものである。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかであって、前記電子写真感光体上に滑剤を供給する滑剤供給手段を具備することを特徴とするものである。
[態様G]
態様Gは、態様Fであって、前記滑剤供給手段で用いられる滑剤が金属石鹸であることを特徴とするものである。
[態様H]
態様Hは、態様F又はGであって、前記滑剤供給手段は、前記電子写真感光体の周面における全域のうち、クリーニングブレードによるクリーニング処理が施された後、前記現像手段による現像処理が施される前の領域に滑剤を供給するものであることを特徴とするものである。
[態様I]
態様Iは、態様F〜Hの何れかにおいて、前記転写手段として、電子写真感光体上のトナー像を、中間転写体を介して転写材に転写するものを用い、且つ、前記中間転写体の表面に滑剤を供給する第2の潤滑剤供給手段を設けたことを特徴とするものである。
[態様J]
態様Jは、態様A〜Iの何れかであって、非画像形成時における前記電子写真感光体を所定のタイミングで画像形成時とは逆方向に表面移動させるように前記電子写真感光体の駆動を制御する制御手段を備えることを特徴とするものである。
[態様K]
態様Kは、態様Jであって、前記制御手段は、画像形成のために前記電子写真感光体を駆動させるのに先立って、前記電子写真感光体を前記逆方向に表面移動させる逆駆動を行うものであることを特徴とするものである。
[態様L]
態様Lは、態様J又はKであって、前記制御手段は、前記電子写真感光体を前記逆方向に表面移動させる際における表面移動距離を1〜10[mm]の範囲に制御するものであることを特徴とするものである。
[態様M]
態様Mは、態様A〜Lの何れかであって、前記クリーニングブレードは、短冊形状の弾性ブレードからなるものであり、弾性ブレードにおける前記電子写真感光体との接触部は、基材と、前記基材の表面上に被覆され、少なくともアクリル又はメタクリル樹脂を含有する材料からなる厚み1.0[μm]以上の層と、前記基材の表面上に被覆され、少なくともメタクリル樹脂を含有する厚み0.1[μm]以上の層とを有するものであることを特徴とするものである。
[態様N]
態様Nは、態様A〜Mの何れかであって、トナーの軟化指数Ctが80℃以上、100℃以下であることを特徴とするものである。
[態様O]
態様Oは、転写材に画像を形成するための画像形成方法であって、態様A〜Nの何れかを用いて画像を形成することを特徴とするものである。
[態様P]
態様Pは、電子写真感光体と、現像手段とを共通の保持体に保持して画像形成装置に対して一体的に着脱されるプロセスカートリッジにおいて、態様A〜Nの何れかに着脱されるように構成されていることを特徴とするものである。