JP3795766B2 - 2本針オーバーロックミシン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、空環縫い込み機能を備えた2本針オーバーロックミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のミシンとしては、特公平2−30277号公報に開示されているように、針板の一部として形成された外爪と、摺動可能に設けた中爪と、針板より手前に配置された空環保持兼切断器とを備えている。外爪は布送り方向に沿って延設されており、中爪は外爪に平行に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、縫製後の空環操作時に中爪を手動操作機構によって手前に後退させなければならず、その時に作業者は布地を両手で扱うことができなかった。また、ソレノイドで中爪を適宜のタイミングで摺動させるためには制御装置を必要とし、原価コスト増大等の問題が生じていた。
従って、本発明の課題は、安価な構造で作業者による布地の操作性を損なうことなく中爪を操作できる2本針オーバーロックミシンを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、開放型の針孔を有する針板の一部として形成され布送り方向に沿って延設された外爪と、外爪に平行しその延設方向に沿って摺動可能に設けられた中爪と、針板より手前に配置された空環保持兼切断器とを備えた2本針オーバーロックミシンにおいて、前記ミシンが、針板の上方に配置された押え金と、押え金を針板に付勢する付勢部材と、ミシン機枠の背面に回動可能に支承され付勢部材の付勢力に抗して押え金を針板より上昇させる押上げレバーとを備え、前記中爪と押上げレバーとを連結させ、押上げレバーの操作により押え金を上昇させた時に中爪の先端部を針板の開放型針孔より没するようにしたことを特徴とする。
【0005】
なお、中爪の基端部を、針板の手前で水平軸回りに回動可能に支承された支持片に連結させ、支持片と押上げレバーに連結のリンク部材とをワイヤで接続させるのが望ましい。また、押上げレバーとリンク部材とを段付ネジと長孔とを介して連結させ、中爪の前進を支持片に付設の付勢具に抗して行わせるのが望ましい。さらに、押え金を押え台の先端に回動可能に支承させ、ミシン機枠に回動可能に支承された揺動軸のクランク腕に押え台を連結させ、押上げレバーの操作により押え金を上昇させた時、揺動軸の被係止部を、揺動軸に対して回動可能に支承され押上げレバーに連結された腕の係止部に係合させるのが望ましい。
【0006】
【作用】
本発明によれば、押上げレバーを操作して押え金を上昇させると、中爪の先端部が針板の開放型針孔より没する。この操作を縫製作業の終了後に行うと、布地に連なる空環の基端部は中爪より容易に抜き出される。そして、作業者が布地を布送り出し側に引張ると、布地に連なる空環は外爪より抜き出される。それから、作業者は、布地を針板の手前側に掛け廻し、針板より手前に配置された空環保持兼切断器で布地に連なる空環を切断させ同時に保持させる。この作業者の操作時において、空環は中爪で支えることなく移動することとなる。また、段部を有する布地の縫製中においては、両係止部の係合状態が変更されるだけで中爪は針板の開放型針孔より没しない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る2本針オーバーロックミシンの要部を示す側面図である。作業面Xは針板1(図6参照)を有しており、外爪1aは針板1の一部として形成されている。針板1は、送り歯用の溝(図示せず)を有しており、ネジ1bで固定されている。外爪1aは、図6に示すように、針落ちN1,N2の隣接部を起点とし、布送り方向Fに沿って延設されている。この外爪1aに平行して中爪3が配置されている。中爪3は、針板1の開放型針孔に出没可能となるように外爪の延設方向に沿って摺動可能に設けられている。中爪3の基端部3aは窪み部よりなり、窪み部は図2に示すように支持片4に形成されたピン5に係合されている。支持片4は、針板1の手前で回動可能に支承された水平軸6に固定されている。
【0008】
針板1の上方には押え金2が配置されている。押え金2は、押え台7の先端にネジ8で固定された押えホルダ9に回動可能に支承されている。押え台7は、図3に示すように、クランク腕10に回動可能に支承されている。クランク腕10は、揺動軸11に固着され、揺動軸11はミシン機枠Aに圧入された筒体12に回動可能に支承されている。揺動軸11の一端には運動伝達部材13がネジ14で取付けられている。腕15は揺動軸11に対して回動可能に支承され、腕15の係止部15aは運動伝達部材13の被係止部13aに係合するようにしてある。腕15は連杆16を介して押上げレバー17に連結されている。押上げレバー17は、段付ネジ18を介してミシン機枠の背面に回動可能に支承され、足踏みペダル等で操作できるようにしてある。
【0009】
付勢部材19は、図4に示すように、ミシン機枠A頭部の筒体20に配置されている。筒体20の上部は調節ネジ21で塞がれており、調節ネジ21は固定ネジ22の弛緩時に上下位置を調節できる。バネ23は、その筒体20内に嵌挿され、ロッド24を押え台7に付勢させている。これにより、付勢部材19は押え金2を針板1に付勢させることとなる。
【0010】
支持片4の下端部はワイヤ25に接続され、ワイヤ25はケーシング26の中に挿通されている。ケーシング26は、ミシン機枠Aの側方に固定された第1ケーシング受け27とミシン機枠Aの背面に固定された第2ケーシング受け28との間に接続されている。この第1ケーシング受け27に支持片4に付設の圧縮バネ31(付勢具)が接続され、両部材4,27が弾性的に反発しあっている。ワイヤ25のタイコ部25aはリンク部材29に接続され、押上げレバー17に締付けられたピン27はリンク部材29の長孔29aに係合されている。
【0011】
なお、空環保持兼切断器30は、針板1より手前に配置されており、布地に連なる空環を切断するとともに保持する。なお、本実施の形態においては詳述していないが、押上げレバー17と糸調子器の弛緩部材とを作動的に連結し、押上げレバー17の操作時に糸調子器の糸張力を解放するようにしておくと、布地に連なる空環の基端部を外爪より抜き出しやすくなる。
【0012】
以上に述べた2本針オーバーロックミシンにつき、その作用を説明する。縫製中においては押上げレバー17は操作されず、押え金2は針板1に付勢されている。従って、中爪3の先端部は、針板1の開放型針孔に出現しており、布地を下方から支持することとなる。縫製作業が終了すると、作業者は、足踏みペダル等により押上げレバー17を操作する。これにより、中爪3の先端部が針板1の開放型針孔より没され、布地に連なった空環の基端側は中爪3より抜き出される。
【0013】
次に、作業者は、布地を送り出し側に引張り、布地に連なる空環の基端部を外爪1aより抜き出す。その後、布地を針板1の手前側に持ってくることになる。この時、中爪3を針板の開放型針孔より没させたままにしておくと、布地に連なる空環は中爪3で支えることなく移動されることとなる。布地に連なる空環は針板1の手前に配置された空環保持兼切断器30で切断され、ミシン側に残った空環Cは、図6の(a)に示すように、そこで保持されることとなる。
【0014】
次の布地を作業面X上にセットしてから押上げレバー17の操作により押え金2を針板1に付勢させると、中爪3の先端部は、図6の(b)に示すように、針板1の開放型針孔に出現し縫製中と同様に布地Wを下方から支持することとなる。また、段部を有する布地の縫製中においては、揺動軸11に取付けられた運動伝達部材の被係止部13aと、押上げレバー17に連杆16を介して連結された腕の係止部15aとの係合状態が変更されるだけで、中爪3先端部は針板1の開放型針孔より没しない。従って、布地の凹凸や種類に拘わらず中爪3を利用した縫製を行うことができる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、制御装置等を介せず単に押上げレバーの操作のみで中爪を針板の開放型針孔より出没させるので、作業者による布地の操作性を損なうことなく縫製作業後の操作をおこなうことができる。また、中爪と押上げレバーとの連結にワイヤが利用されることで、その構造を安価にすることができる。さらに、段部を有する布地の縫製中においては、両係止部の係合状態が変更されるだけとなるので、中爪が針板の開放型針孔より没しないこととなり、その結果、中爪を利用した縫製を確実に行うことができる。その他、押上げレバーとリンク部材とが長孔と段付ネジとを介して連結されることで、中爪自体が針板の開放型針孔より没しても押え金が上昇しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2本針オーバーロックミシンの要部を示す側面図である。
【図2】同上ミシンの内部概要を示す部分断面図である。
【図3】同上ミシンの押え機構を示す分解立体図である。
【図4】同上ミシンの付勢部材を示す分解立体図である。
【図5】同上ミシンの背面図である。
【図6】(a),(b)とも同上ミシンの操作による作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1 針板
1a 外爪
2 押え金
3 中爪
4 支持片
7 押え台
10 クランク腕
11 揺動軸
13a 被係止部
15 腕
15a 係止部
17 押上げレバー
19 付勢部材
25 ワイヤ
29 リンク部材
30 空環保持兼切断器
Claims (4)
- 開放型の針孔を有する針板の一部として形成され布送り方向に沿って延設された外爪と、外爪に平行しその延設方向に沿って摺動可能に設けられた中爪と、針板より手前に配置された空環保持兼切断器とを備えた2本針オーバーロックミシンにおいて、前記ミシンが、針板の上方に配置された押え金と、押え金を針板に付勢する付勢部材と、ミシン機枠の背面に回動可能に支承され付勢部材の付勢力に抗して押え金を針板より上昇させる押上げレバーとを備え、前記中爪と押上げレバーとを連結させ、押上げレバーの操作により押え金を上昇させた時に中爪の先端部を針板の開放型針孔より没するようにしたことを特徴とする2本針オーバーロックミシン。
- 中爪の基端部が、針板の手前で水平軸回りに回動可能に支承された支持片に連結され、支持片と押上げレバーに連結のリンク部材とがワイヤで接続されている請求項1記載の2本針オーバーロックミシン。
- 押上げレバーとリンク部材とが段付ネジと長孔とを介して連結されており、中爪の前進が支持片に付設の付勢具に抗して行われている請求項2記載の2本針オーバーロックミシン。
- 押え金が押え台の先端に回動可能に支承され、押え台が、ミシン機枠に回動可能に支承された揺動軸のクランク腕に連結され、押上げレバーの操作により押え金を上昇させた時、揺動軸の被係止部が、揺動軸に対して回動可能に支承され押上げレバーに連結された腕の係止部に係合している請求項1または2に記載の2本針オーバーロックミシン。
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