JP3788471B2 - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明はインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に係り、特に多相駆動の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置及びこの装置を使用したインクジェット記録方法に関する。
従来から、普通紙を代表とする様々な記録媒体に対して印刷可能な記録装置として、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドの記録媒体に対向する面に設けられたノズルから色材であるインクを直接記録媒体に対して吐出して、記録媒体上に着弾、浸透若しくは定着させることで記録媒体上に画像を形成する記録装置であり、工程の単純さ、印刷時における静粛性及び印字、印画品質の点で非常に優れた特徴がある。
このようなインクジェット記録装置としては、高画質の画像を得るために、記録ヘッドにおいてノズルを高密度に設けたものがあった。しかし、記録ヘッドにおけるノズルの密度を高くするほど、同時に駆動するノズル数が多くなるため、立ち上がり時に流れる電流が増大することによって記録ヘッドの駆動回路の負担が大きくなる。
そこで、記録ヘッドの駆動回路の負担を抑えるため、記録ヘッドの各ノズル列を異なるタイミングで駆動して記録するインクジェット記録装置が知られている(特許文献1及び特許文献2)。特許文献1のインクジェットヘッドは、主走査方向に並んだ2つのノズル列のうち、副走査方向に並んだ3個のノズルごとに1相、2相、3相と駆動される3相駆動となっている。また、特許文献2のプリンターヘッドも、A,B,Cの順にノズルが駆動される3相駆動となっている。
このような3相駆動の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置においては、従来、記録ヘッドのノズルは各相のノズルごとに主走査方向に位置をずらして配置するいわゆるスタガ配置とされており、また、図28に示すような周期で記録を行うように記録ヘッドのノズルからのインク吐出が制御されていた。図28において、ノズル100aは1相目、ノズル100bは2相目、ノズル100cは3相目に駆動されるように制御されている。また、STB1はノズル100a、STB2はノズル100b、STB3はノズル100cの位相の切り替えをするストローブ(STB)パルスを示すものである。
図28において、各位相のノズル100a100b100cはストローブパルス幅におけるいずれかのタイミングで位相の切り替えが行われるように制御されている。すなわち、この位相の切り替えは周波数に相当し、ストローブパルス幅は各位相の周期に相当する。従来の記録方法においては、1相目、2相目、3相目に駆動されるノズル100a100b100cが副走査方向の画素を直線状に記録するために、1画素分の時間内でストローブパルスにより位相を3回切り替えるように制御されていた。
このような位相の切り替えにより、主走査方向の上流側からノズル100a100b100cの順番でインクが吐出されると、1相目のノズル100aよりも2相目のノズル100bからは遅れてインクが吐出されるが、ノズル100bはスタガピッチの分だけ記録画素位置が主走査方向と逆方向にずれており、この分を移動するのに時間がかかるため、結果としてノズル100aが吐出した記録画素と副走査方向に隣接する画素が記録されるようになっていた。同様に3相目のノズル100cからは2相目のノズル100bより遅れてインクが吐出されるが、ノズル100bと比較するとノズルピッチの分だけ記録画素位置が主走査方向と逆方向にずれているため、ノズル100bが吐出した記録画素と副走査方向に隣接する画素が記録されるようになっていた。このように、従来のインクジェット記録装置によればノズルのスタガピッチを利用して画素を直線状に記録することができるようになっていた。
そして、このようなインクジェット記録装置によれば、図29に示すような方法で画素が記録されていた。すなわち、まず1走査目において、3相駆動される3つのノズルの組(G1〜3)ごとに、1相目、2相目、3相目と順に駆動されたノズルが画素を副走査方向に直線状に記録される。そして、走査方向に記録ヘッド6が搬送された後に、2走査目として同じ動作を繰り返し、3走査目も同様な方法で記録される。
こうして各位相ごとに時間差を設けてスタガ配置された記録ヘッドのノズルを駆動すると、1相目より2相目を遅らせて駆動し、さらに2相目より3相目を遅らせて駆動した場合でも、2相目、3相目のノズルがスタガピッチの幅を移動する分時間がかかるので、これにより記録時間が調整され、各位相のノズルは副走査方向に直線状に画素を記録することができるようになっていた。
なお、本願出願において、スタガ配置されたノズルを有するシリアル方式の記録ヘッドにおける主走査方向の上流及び下流とは、主走査方向への記録ヘッドの走査におけるスタガ配置されたノズルのより前方及びより後方をいい、例えば、図28の場合、記録ヘッドが図の左から右に走査している場合には、主走査方向の上流側のノズルはノズル100a、主走査方向の下流側のノズルはノズル100cであり、記録ヘッドが図の右から左に走査している場合には、ノズル100cが主走査方向の上流側のノズル、ノズル100aが主走査方向の下流側のノズルとなる。
しかし、従来のようにスタガ配置された多相駆動の記録ヘッドのノズルによって画素を直線状に記録しようとした場合、1画素分の時間内で各位相を切り替える必要があることから、キャリッジの主走査方向の速度は記録ヘッドのノズル駆動周波数によって制限されていた。すなわち、駆動相数が少なければストローブパルスの切り替え回数は少なく、一画素分の時間(画素クロック)に対して、ストローブパルス幅が相対的に広くなることから、その分キャリッジ速度を上げることができた。一方、駆動相数が多ければストローブパルスの切り替え回数は多く、ストローブパルス幅が相対的に狭くなることから、その分キャリッジ速度は下がっていた。
また、キャリッジの主走査方向の速度は記録ヘッドのノズルのスタガピッチによっても制限されていた。すなわち、記録ヘッドのノズルがスタガピッチの幅だけ移動している時間に1画素を記録しなければならないため、1画素分のインクを吐出するのに必要な時間において、最大でもスタガピッチの幅しか移動することができないということになる。このため、キャリッジ速度の上限はスタガピッチを1画素分のインクの吐出に必要な時間で除した値となっていた。
その一方で、キャリッジ速度を上げるためにスタガピッチを大きくとると記録ヘッドが大型化してしまい、また、新たにスタガピッチの大きい記録ヘッドをつくる製造技術を要するという問題があった。
このように、多相駆動のインクジェット記録装置においてヘッドノズルがスタガ配置とされている場合は、キャリッジ速度の限界はノズル駆動周波数及びスタガピッチに依存していたため、キャリッジ速度を上げようとしても、自ずと限界が生じていた。
ここで、従来からシリアル方式のインクジェット記録装置においては、いわゆるマルチパス記録が行われている。マルチパス記録とは、ノズル列のノズルを数ブロックに分割しこれら分割したノズルに画像記録データの分担を分散させて用紙の送りを上記分割した1ブロック分毎に間欠搬送するようにして画像記録を行う画像記録方法である。このマルチパス記録によれば、本来は同一ノズルで画像記録する同一ラインの画素を複数に分割し、分割した部分毎に異なるノズルで画像記録するため、ノズル配置のばらつきや一部ノズルに吐出不良がある場合でもこれらを平均化して見た目に各個の記録画素の位置ずれが目立たないようにすることができる。このように、シリアル方式のインクジェット記録装置においてはキャリッジの複数回走査が前提となっていた。
一方、前記シリアル方式のインクジェット記録装置のみならず、例えば、多相駆動の記録ヘッドを用いたライン方式のインクジェット記録装置においても同様の問題を抱えていた。つまり、スタガ配置された多相駆動の記録ヘッドのノズルによって画素を直線状に記録しようとした場合、1画素分の時間内で各位相を切り替える必要があり、記録媒体の搬送方向の搬送速度は記録ヘッドのノズル駆動周波数によって制限される。駆動相数が少なければ搬送速度を上げることでき、駆動相数が多ければその分搬送速度は低下する。
また、搬送速度はスタガピッチによって制限され、搬送速度の上限はスタガピッチを1画素分のインクの吐出に必要な時間で除した値となる。そして、搬送速度を上げるためにスタガピッチを大きくとると記録ヘッドが大型化してしまう。
このように、スタガ配置された多相駆動の記録ヘッドのノズルによって画素を直線状に記録しようとすると、ライン方式のインクジェット記録装置でも、或いは前述したシリアル方式のインクジェット記録装置でも、ともに搬送速度やキャリッジ速度、すなわち記録速度がノズル駆動周波数とスタガピッチに依存するため、記録速度に限界が生じることは避けられなかった。
そこで、本発明は、記録ヘッドのスタガピッチに依存することなく記録速度を上げることができ、高画質の記録を生産性よく得ることができるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
前述の問題を解決するために、請求項1に記載のインクジェット記録装置は、駆動位相ごとに記録媒体との相対的移動方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルを形成してなる記録ヘッドと、記録媒体を搬送させる搬送装置と、前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記記録ヘッドのノズルを記録媒体との相対的移動方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、インクジェット記録装置であって、駆動位相ごとに主走査方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルを形成してなるシリアル方式の記録ヘッドと、前記記録ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査機構と、前記主走査方向と直交する副走査方向に前記記録媒体を搬送させる搬送装置と、前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録し、前記搬送装置によって記録媒体を搬送しながら複数回走査することによって記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記記録ヘッドのノズルを主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェット記録装置であって、前記制御部は、基準位置とする任意の画素を1としたときに基準位置から主走査方向に何番目の画素であるかを示す記録画素位置Xは、
X={(i−1)×f+P−1}×D+1
となり、前記記録ヘッドの走査数Sは、
S=f×D×R/R
又は
S=f×D×P/P
となるように制御することを特徴とする。
ただし、
i:主走査方向に同一ノズルで記録した画素のうち基準位置から何番目の画素であるか
D:各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)
f:ヘッド駆動相数
P:駆動位相(基準位置の画素を記録するために駆動する位相をP=1としてP=fまで駆動順に割り振った位相番号)
S:記録ヘッドの走査数
:副走査方向のヘッドの解像度
:副走査方向の記録解像度
:副走査方向に隣り合うノズルの平均ピッチ
:副走査方向の記録画素ピッチ
請求項4に記載の発明は、インクジェット記録装置であって、駆動位相ごとに主走査方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を形成してなるシリアル方式の記録ヘッドと、前記記録ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査機構と、前記主走査方向と直交する副走査方向に前記記録媒体を搬送させる搬送装置と、前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部とを有し、前記記録ヘッドは、同一種のインクを吐出する前記ノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、前記各ノズル列のノズル位置が主走査方向で一致するように構成されており、かつ、前記制御部は、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するように制御し、かつ、前記記録ヘッドのノズルを主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェット記録装置であって、前記制御部は、前記記録ヘッドの主走査方向の1走査で記録幅分の全画素を記録するように制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドは、前記ノズル列の間隔が主走査方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成されていることを特徴とする。
ただし、nは自然数
請求項7に記載の発明は、インクジェット記録装置であって、駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルを形成してなるライン方式の記録ヘッドと、搬送方向に前記記録媒体を搬送させる搬送装置と、前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録し、前記搬送装置によって記録媒体を搬送しながら複数の前記記録ヘッドによって記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記記録ヘッドのノズルを搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、インクジェット記録装置であって、駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を形成してなるライン方式の記録ヘッドと、搬送方向に記録媒体を搬送させる搬送装置と、前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録し、前記搬送装置によって記録媒体を搬送しながら記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部とを有し、前記記録ヘッドは、同一種のインクを吐出する前記ノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、前記各ノズル列のノズル位置が搬送方向で一致するように構成されており、かつ、前記制御部は、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するように制御し、かつ、前記記録ヘッドのノズルを搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドは、前記ノズル列の間隔が搬送方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成されていることを特徴とする。
ただし、nは自然数
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置であって、前記制御部は、駆動位相を切り替える周期をT、記録画素クロック周期をT´、各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)をD、駆動相数をfとすると、周期Tが
T=T´×{ (D−1 )+(f−1)/f}
となるように駆動位相を切り替えることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置であって、前記制御部は、前記記録ヘッドを3相駆動とすることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、インクジェット記録方法であって、駆動位相ごとに記録媒体との相対的移動方向にずらしたスタガ配置とされた複数のノズルを形成してなる記録ヘッドの駆動位相を、記録媒体との相対的移動方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して前記記録画素位置を記録するインク吐出工程と、を備えることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、インクジェット記録方法であって、駆動位相ごとに主走査方向にノズルをずらしたスタガ配置とされた複数のノズルを形成してなるシリアル方式の記録ヘッドの駆動位相を、主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、前記記録ヘッドを主走査方向に複数回走査し、記録媒体を副走査方向に搬送しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して前記記録画素位置を記録するインク吐出工程と、を備えることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のインクジェット記録方法であって、前記記録画素位置の決定工程は、基準位置とする任意の画素を1としたときに基準位置から主走査方向に何番目の画素であるかを示す記録画素位置Xは、
X={(i−1)×f+P−1}×D+1
となり、前記記録ヘッドの走査数Sは、
S=f×D×R/R
又は
S=f×D×P/P
となるように記録画素位置を決定することを特徴とする。
ただし、
i:主走査方向に同一ノズルで記録した画素のうち基準位置から何番目の画素であるか
D:各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)
f:ヘッド駆動相数
P:駆動位相(基準位置の画素を記録するために駆動する位相をP=1としてP=fまで駆動順に割り振った位相番号)
S:記録ヘッドの走査数
:副走査方向のヘッドの解像度
:副走査方向の記録解像度
:副走査方向に隣り合うノズルの平均ピッチ
:副走査方向の記録画素ピッチ
請求項15に記載の発明は、インクジェット記録方法であって、駆動位相ごとに主走査方向にノズルをずらしたスタガ配置とされた同一種のインクを吐出する複数のノズルよりなるノズル列を駆動相数の倍数備え、各ノズル列のノズル位置が主走査方向で一致するように構成されたシリアル方式の記録ヘッドの駆動位相を、主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、前記記録ヘッドを主走査方向に走査しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するインク吐出工程と、を備えることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のインクジェット記録方法であって、前記インク吐出工程は、前記記録ヘッドの主走査方向の1走査で記録幅分の全画素を記録することを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項15又は16に記載のインクジェット記録方法であって、前記位相切替工程は、前記ノズル列の間隔が主走査方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成された記録ヘッドに対して行われることを特徴とする。
ただし、nは自然数
請求項18に記載の発明は、インクジェット記録方法であって、駆動位相ごとに搬送方向にノズルをずらしたスタガ配置とされた複数のノズルを形成してなるライン方式の記録ヘッドの駆動位相を、搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、記録媒体を搬送方向に搬送しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して前記記録画素位置を記録するインク吐出工程と、を備えることを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、インクジェット記録方法であって、駆動位相ごとに搬送方向にノズルをずらしたスタガ配置とされた同一種のインクを吐出する複数のノズルよりなるノズル列を駆動相数の倍数備え、各ノズル列のノズル位置が搬送方向で一致するように構成されたライン方式の記録ヘッドの駆動位相を、搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、記録媒体を搬送方向に搬送しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するインク吐出工程と、を備えることを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載のインクジェット記録方法であって、前記位相切替工程は、前記ノズル列の間隔が搬送方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成された記録ヘッドに対して行われることを特徴とする。
ただし、nは自然数
請求項21に記載の発明は、請求項12〜20のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法であって、前記位相切替工程は、駆動位相を切り替える周期をT、記録画素クロック周期をT´、各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)をD、駆動相数をfとすると、周期Tが
T=T´×{ (D−1 )+(f−1)/f}
となるように駆動位相を切り替えることを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項1221のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法であって、前記位相切替工程は、前記記録ヘッドを3相駆動することを特徴とする。
請求項1又は請求項12に記載の発明によれば、記録ヘッドを多相駆動する場合に、シリアル方式であれば主走査方向に記録画素をずらしながら記録し、ライン方式であれば記録媒体の搬送方向に記録画素をずらしながら記録することから、従来のように1画素分の時間内に位相の切り替えを行う必要はなく、従来よりも各位相のストローブパルス幅を画素クロックに対して相対的に広くとることができ、ノズルを駆動する各位相の周期を長くとることができる。また、駆動相数を増やした場合でも、ずらし画素や走査数を増やすことで、ストローブパルス幅を画素クロックに対して相対的に広くとることができるため、従来よりもノズルを駆動する各位相の周期を長くとることができる。
そのため、1画素分の時間内に各駆動位相の切り替えを行う必要がないことから、シリアル方式におけるキャリッジ速度またはライン方式における記録媒体の搬送速度、すなわち記録速度が従来のようにスタガピッチに依存することがなくなり、記録速度を上げることが可能となる。また、高画質の記録を行うためには記録ヘッドにおけるノズルの密度を高くする必要があるが、そのようなノズルの密度が高い記録ヘッドでも、多相駆動とし、前記のように駆動位相ごとに記録画素をずらして記録を行うことにより、高画質の記録を生産性よく得ることができる。
ここで、ノズルが3相駆動とされている場合は、実際にとれるピッチは上記画素ピッチとスタガピッチとの差となるから、35.278−11.759=23.519μmとなる。すなわち、スタガピッチの2倍となっていることから、従来の記録方法よりもキャリッジ速度や記録媒体の搬送速度の上限値を2倍にすることができる。
また同様に、駆動相数が4の時は3倍、5の時は4倍というように、キャリッジ速度や記録媒体の搬送速度の上限は(駆動相数−1)倍とすることができる。
また、記録ヘッドのノズルを記録媒体との相対的移動方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することで、記録を間に合わせるために各位相の切り替えを急激に行う必要はなく、各位相の周期を長くとることによって、キャリッジ速度や記録媒体の搬送速度を上げることができる。
請求項2又は請求項13に記載の発明によれば、多相駆動の記録ヘッドにおいても1画素分の時間内に各位相の切り替えを行う必要がないことから、キャリッジ速度がスタガピッチに依存することはなくなる。
また、ストローブパルス幅が画素クロックに対して相対的に広くとれることから、ストローブパルス幅を一定にした場合はキャリッジ速度を上げることができる。
このため、記録ヘッドにおけるノズルの密度が高い場合でも、多相駆動とし、駆動位相ごとに主走査方向に記録画素をずらして複数回走査することにより、高画質の記録を得ることができる。
ここで、ノズルが3相駆動とされている場合は、実際にとれるピッチは上記画素ピッチとスタガピッチとの差となるから、35.278−11.759=23.519μmとなる。すなわち、スタガピッチの2倍となっていることから、従来の記録方法よりもキャリッジ速度の上限値を2倍にすることができる。
また同様に、駆動相数が4の時は3倍、5の時は4倍というように、キャリッジ速度の上限は(駆動相数−1)倍とすることができる。
また、記録ヘッドのノズルを主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することで、記録を間に合わせるために各位相の切り替えを急激に行う必要はなく、各位相の周期を長くとることによって、キャリッジ速度を上げることができる。
請求項3又は請求項14に記載の発明によれば、記録した画素の位置及び記録ヘッドの走査数を式で示すことにより請求項2又は請求項13に記載の発明の効果をより的確に発揮させることができる。
請求項4又は請求項15に記載の発明によれば、記録ヘッドが、同一種のインクを吐出するノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、各ノズル列のノズル位置が主走査方向で一致するように構成されていて、異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置が記録されるため、記録ヘッドの1走査で記録ヘッドの副走査方向の記録幅分の全画素に対して記録を行うことができる。
また、請求項2や請求項3、請求項13や請求項14に記載の発明の効果を発揮することが可能であると同時に、複数回の走査で1つの画像を記録する場合、記録ヘッドの往復の走査における主走査方向の位置ずれや記録媒体の斜行或いは記録ヘッドの取り付け不良等で、記録媒体上に記録された画像に縦方向(副走査方向)の揺れ、すなわち、例えば直線であるべき線が左右に歪んだ状態に記録されることが生じる可能性が残るが、本請求項に記載の発明では、前述したように1走査で記録幅分の全画素の記録を行うことで画像の揺れの発生を効果的に抑制することができ、高画質の記録を生産性よく得ることが可能となる。
請求項5又は請求項16に記載の発明によれば、同一種のインクを吐出するノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、各ノズル列のノズル位置が主走査方向で一致するように構成された記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインクを吐出して異なる記録画素位置を記録し、記録ヘッドの1走査で記録ヘッドの副走査方向の記録幅分の全画素に対して記録を行うことができる。そのため、前記画像の揺れの発生を効果的に抑制し、請求項4又は請求項15に記載の発明の効果をより有効に発揮させることができる。
請求項6又は請求項17に記載の発明によれば、記録ヘッドが、例えば、駆動相数が3であればノズル列の間隔が画素ピッチの4倍、7倍等、また駆動相数が4であればノズル列の間隔が5倍、9倍等になるように構成されるため、異なるノズル列に属するノズルから吐出されたインクが同じ記録画素位置に着弾することがなく、しかも、隣接するノズル列に属するノズルにより記録された記録画素位置のすぐ隣りの記録画素位置を記録するようにすることができ、前記請求項4又は5、又は請求項15又は16に記載の発明の効果を的確に発揮させることが可能となる。
請求項7又は請求項18に記載の発明によれば、ライン方式の記録ヘッドを有するインクジェット記録の場合でも、記録ヘッドの多相駆動において1画素分の時間内に各位相の切り替えを行う必要がないことから、記録媒体の搬送速度がスタガピッチに依存することはなくなる。
また、ストローブパルス幅が画素クロックに対して相対的に広くとれることから、ストローブパルス幅を一定にした場合は搬送速度を上げることができる。
このため、記録ヘッドにおけるノズルの密度が高い場合でも、多相駆動とし、駆動位相ごとに搬送方向に記録画素をずらして記録することにより、高画質の記録を得ることができる。
また、ノズルがスタガ配置された記録ヘッドを使用することから、モードの切り替えのみによって従来のインクジェット記録装置による記録モードも容易に使用することができる。
ここで、ノズルが3相駆動とされている場合は、実際にとれるピッチは上記画素ピッチとスタガピッチとの差となるから、35.278−11.759=23.519μmとなる。すなわち、スタガピッチの2倍となっていることから、従来の記録方法よりも記録媒体の搬送速度の上限値を2倍にすることができる。
また同様に、駆動相数が4の時は3倍、5の時は4倍というように、記録媒体の搬送速度の上限は(駆動相数−1)倍とすることができる。
また、記録ヘッドのノズルを搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することで、記録を間に合わせるために各位相の切り替えを急激に行う必要はなく、各位相の周期を長くとることによって、記録媒体の搬送速度を上げることができる。
請求項8又は請求項19に記載の発明によれば、請求項7や請求項18の場合と同様にしてインクジェット記録を行うが、記録ヘッドが、同一種のインクを吐出するノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、各ノズル列のノズル位置が搬送方向で一致するように構成されていて、異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置が記録される。そのため、ライン方式のインクジェット記録装置においても、記録ヘッドの下方を搬送される記録媒体に対して全画素分の記録を行うことができ、請求項7や請求項18に記載の発明の効果をより的確に発揮させることができる。
請求項9又は請求項20に記載の発明によれば、記録ヘッドは、例えば、駆動相数が3であればノズル列の間隔が画素ピッチの4倍、7倍等、また駆動相数が4であればノズル列の間隔が5倍、9倍等になるように構成されるため、異なるノズル列に属するノズルから吐出されたインクが同じ記録画素位置に着弾することがなく、しかも、隣接するノズル列に属するノズルにより記録された記録画素位置のすぐ隣りの記録画素位置を記録するようにすることができ、前記請求項8又は請求項19に記載の発明の効果を的確に発揮させることが可能となる。
請求項10又は請求項21に記載の発明によれば、駆動位相を切り替える周期は、請求項10又は請求項21に示した式によって表されることがわかる。
請求項11又は請求項22に記載の発明によれば、3相駆動の記録ヘッドを使用して請求項1〜10又は請求項1221と同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態)
以下、この発明の第1の実施形態について、図1〜図7を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の概略構成図である。
インクジェット記録装置1は、記録媒体Pの搬送方向と直交する方向(主走査方向)に記録ヘッド6を走査させながらインクを吐出して画像を形成するシリアル方式のインクジェット記録装置である。このインクジェット記録装置1には、図1に示すように、記録媒体Pを下方から支持するプラテン2が設けられている。プラテン2における記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)の上流及び下流には、記録媒体Pを搬送するローラなどの搬送装置3が、プラテン2を挟むように配置されている。また、プラテン2の上方には、主走査方向に延在する一対のガイドレール4が設けられている。このガイドレール4には、キャリッジ5が主走査方向に往復自在となるように支持されている。
キャリッジ5には、各色毎のインク(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)を吐出する複数のシリアル方式の記録ヘッド6が、プラテン2により支持された記録媒体Pと記録ヘッド6のインク吐出面とが対向するように搭載されている。
ここで、本発明のインクジェット記録装置には、紫外線の被照射により硬化する光硬化型インク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)が好適に使用されるが、本実施形態においては、酸素による重合反応の阻害作用が少なく低照度の紫外線でも長時間照射することで硬化できるエネルギー蓄積型のカチオン重合系インクが特に好適に使用される。
また、キャリッジ5には、記録ヘッド6の両側に位置するように、記録媒体Pに着弾したインクに光を照射してインクを硬化させるための照射装置7が設けられている。照射装置7の内部には、光源が備えられており、この光源としては紫外線、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する蛍光灯、水銀ランプ、メタルハイドランプなどを使用することができるが、本実施形態においては光源として紫外線を使用している。
図2に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置は制御部8を備えている。制御部8には、画像処理部9、記録ヘッド6を駆動するヘッド駆動部10、記録ヘッド6、主走査機構11、搬送装置3及び照射装置7が電気的に接続されており、制御部8は上記各構成部をそれぞれ駆動制御するようになっている。
画像処理部9は、ホストシステム12からインタフェース(I/F)13を介して送られる符号化された入力画像データを、インクジェット記録装置1で処理できるデータ形式にするために復号化してヘッド駆動部10に送るようになっている。ホストシステム12にはネットワークを通じて外部装置(図示せず)が接続されており、ホストシステム12及び外部装置は、記録用の画像データをインクジェット記録装置1に送るほか、インクジェット記録装置1の全体の動作制御を行うための入力を行うようになっている。また、ホストシステム12及び外部装置においては、記録ヘッド6を駆動する駆動周波数の設定のための入力などを行うことも可能となっている。
記録ヘッド6はいわゆるシリアル式ヘッドとなっており、記録ヘッド6のインク吐出面には、記録媒体に対してインクを吐出する複数のノズルが副走査方向に直線状に配列されている(図3参照)。
ヘッド駆動部10は、制御部8から送られる信号に基づいて、画像処理部9で得られた記録画像に関するデータを記録するように、記録ヘッド6の圧電素子に対するパルス電圧の印加により記録ヘッド6のノズルからのインク吐出を制御するようになっている。
主走査機構11は、キャリッジ5を駆動する駆動モータ(図示せず)を備えており、制御部8がこの駆動モータを駆動制御することによって、キャリッジ5がガイドレールに沿って主走査方向に走査されるようになっている。
搬送装置3は、記録媒体Pを所定の単位送り量で繰り出すように周期的に回転駆動する搬送モータや搬送ローラ(いずれも図示せず)を備えており、制御部8がこの搬送モータを駆動制御することによって、画像記録時において記録媒体Pを間欠的に搬送することができるようになっている。
照射装置7は、記録媒体Pに着弾したインクに光源から紫外線を照射して、インクを硬化させるようになっている。
制御部8は、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)などからなり、ROMに記録された処理プログラムをRAMに展開してCPUによりこの処理プログラムを実行するようになっている。制御部8は、画像記録時にキャリッジを主走査方向に往復駆動させるように主走査機構11を制御すると共に、記録媒体Pを副走査方向に搬送させるように搬送装置3を制御するようになっている。また、ホストシステム12又は外部装置において設定された駆動周波数などの指示信号をヘッド駆動部10に送り、ヘッド駆動部10から所定の画像記録情報に基づいて記録ヘッド6の圧電素子に対してパルス電圧を印加させ、記録ヘッド6のノズルから所定の周期でインクが吐出されるように制御するようになっている。
本実施形態のインクジェット記録装置1は、制御部8によって記録ヘッド6が多相駆動となるように制御されている。すなわち、例えば3相駆動ならば、3つのノズルを一組として、副走査方向に直線状に配列された記録ヘッド6のノズルのうち、1つ目のノズル及びこの1つ目のノズルに対して副走査方向に2つずつ間隔をあけて配置されているノズルから1相目として同時にインクが吐出され、次に1つ目のノズルと副走査方向に隣接する2つ目のノズル及びこの2つ目のノズルに対して副走査方向に2つずつ間隔をあけて配置されているノズルから2相目として同時にインクが吐出され、さらに3つ目のノズルに対して副走査方向に2つずつ間隔をあけて配置されているノズルから3相目として同時にインクが吐出されるように制御されている。
また、本実施形態においては、制御部8によって、駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を開始するように、記録ヘッド6のノズルからのインク吐出が制御されている。
図3は、本実施形態におけるノズルからのインク吐出の制御部8による制御の一例であり、記録ヘッド6に直線状に配置されたノズルのうち3相駆動される3つのノズルによる記録画素を示したものである。図3においては、制御部8によりノズル21aが1相目、ノズル21bが2相目、ノズル21cが3相目にインクを吐出するように制御されている。
また、図3においては、各位相ごとに主走査方向において画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御されている。
すなわち、図3においてSTB1はノズル21a、STB2はノズル21b、STB3はノズル21cの位相の切り替えをするストローブパルスを示すものであるが、各位相のノズル21a,21b,21cは、このストローブパルス幅におけるいずれかのタイミングで位相の切り替えが行われるように制御されている。この位相の切り替えは周波数に相当し、ストローブパルス幅は各位相の周期に相当する。
このように、ノズル21a,21b,21cと副走査方向の上方から順に位相を切り替えて、各位相ごとに主走査方向に隣接する画素から記録していくと、各位相ともストローブパルス幅として1画素分の時間をすべて使うことができる。すなわち、制御部8が主走査方向に隣接する画素を記録するように記録ヘッド6のノズルからのインク吐出を制御することによって、各位相ごとの周期を画素クロックに対して相対的に広くとることができる。
さらに、制御部8によってインターリーブ3となるようにノズルからのインク吐出が制御されている。ここで、インターリーブとは、走査方向に隣接する複数の画素を複数回走査して記録するものをいい、このうちインターリーブ3とは、走査方向に対する吐出を2画素おきとすることにより、走査方向に隣接する複数の画素を3回走査して記録するものである。
このように、制御部8によって3相駆動で各位相ごとに主走査方向に1画素ずらして記録が開始され、かつインターリーブ3となるようにノズル21a,21b,21cが制御されることにより、1走査目では図3に示すように斜めに画素が記録され、2走査目では1つずつ隣りの画素が記録され、3走査目ではその隣りの画素が記録されて、3走査することによってすべての画素が記録されるようになっている。
このような制御部8によるノズルからのインク吐出の制御によって記録された記録画素について、基準位置とする任意の画素を1としたときに基準位置から主走査方向に何番目の画素であるかを示す記録画素位置X及び記録するのに必要なキャリッジの走査数Sは、以下の式によって求められる。
X={(i−1)×f+P−1}×D+1…(1)
また、
S=f×D×R/R…(2)
又は
S=f×D×P/P…(3)
ただし、
i:主走査方向に同一ノズルで記録した画素のうち基準位置から何番目の画素であるか
D:各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数
f:ヘッド駆動相数
P:駆動位相(基準位置の画素を記録するために駆動する位相をP=1としてP=fまで駆動順に割り振った位相番号)
S:記録ヘッドの走査数
:副走査方向のヘッドの解像度
:副走査方向の記録解像度
:副走査方向に隣り合うノズルの平均ピッチ
:副走査方向の記録画素ピッチ
図6は、副走査方向のノズル数を256ノズル、ノズル解像度を360dpi、ノズルピッチを70.56μm、記録解像度を主走査方向・副走査方向共に360dpiとした例であり、図3に示したように、制御部8が記録ヘッド6を3相駆動のインターリーブ3で駆動し、各位相ごとに主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍、すなわち主走査方向に画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにインク吐出を制御した場合の記録画素位置を示すものである。
例えばこの図6において、左上端の記録画素を基準位置として、1走査目に記録される画素のうち2番目(i=2)に記録される画素の位置Xは、式(1)にi=2,f=3,P=1,D=1を代入すると、X=4となる。すなわち、1走査目に記録される画素のうち2番目に記録される画素は、先程の基準位置の画素から数えて主走査方向に4つ目の画素となる。
なお、図4のように制御部8が各位相ごとの記録画素の主走査方向におけるずらし量を主走査方向における画素幅の2倍(2画素)とした場合は、基準位置を2種類とることによって式(1)を適用することができる。すなわち、ずらし量2画素の場合は、主走査方向に1画素おきに並んだ画素について式(1)の関係が成りたっている。同様に、ずらし量をn画素とした場合も、基準位置をn種類とることによって式(1)を適用することができる。
さらに、走査数Sについては、式(2)にf=3,D=1,R=360dpi,R=360dpiとして計算すると、S=3となり、3回の走査で全画素を記録することができることがわかる。また、図6において、副走査方向の記録画素ピッチPは25400μm/360dpi=70.56μmであり、副走査方向に隣り合うノズルの平均ピッチPも25400μm/360dpi=70.56μmであることから、P/P=1である。したがって、式(3)にf=3,D=1,P/P=1を代入すると、やはりS=3となり、同様に3回の走査で全画素を記録することができる。
一方、図7は、副走査方向のノズル数を256ノズル、ノズル解像度を360dpi、ノズルピッチを70.56μm、記録解像度を主走査方向・副走査方向共に720dpiとした例であり、制御部8が記録ヘッド6を3相駆動のインターリーブ3で駆動し、各位相ごとに主走査方向に画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにインク吐出を制御した場合の記録画素位置を示すものである。
本実施形態においても、上記式(1)によって主走査方向の基準位置からの記録画素位置Xを求めることができる。例えば、図7において、左上端の1走査目の記録画素を基準位置として、1走査目に記録される画素のうち2番目(i=2)に記録される画素の位置Xは、式(1)にi=2,f=3,P=1,D=1を代入すると、X=4となる。すなわち、1走査目に記録される画素のうち2番目に記録される画素は、先程の基準位置の画素から数えて主走査方向に4つ目の画素となる。
さらに、走査数Sについては、図7においては副走査方向の記録解像度が2倍とされているので、式(2)にf=3,D=1,R=720dpi,R=360dpiとして計算すると、S=6となり、6回の走査で全画素を記録することができることがわかる。また、図7において、副走査方向の記録画素ピッチPは、Pの1/2になっていることがわかる。したがって、式(3)にf=3,D=1,P/P=2を代入すると、やはりS=6となり、同様に6回の走査で全画素を記録することができる。
また、図4は本実施形態における制御部8によるノズルからのインク吐出の制御についての他の例であり、制御部8によりノズル22aは1相目、ノズル22bは2相目、ノズル23cは3相目にインクを吐出するようにノズルからのインク吐出が制御され、各位相ごとに主走査方向において画素幅の2倍(2画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御されている。
さらに、制御部8によってインターリーブ6となるようにノズルからのインク吐出が制御されている。ここで、インターリーブ6とは、走査方向に対する吐出を5画素おきとすることにより、走査方向に隣接する複数の画素を6回走査して記録するものである。
図4において、STB1はノズル22a、STB2はノズル22b、STB3はノズル22cの位相の切り替えをするストローブパルスを示すものである。このように、ノズル22a,22b,22cと副走査方向の上方から順に位相を切り替えて、各位相ごとに主走査方向に1画素分間隔をおいて記録していくと、各位相ともストローブパルス幅として2画素分の時間をすべて使うことができ、ストローブパルス幅すなわち各位相の周期を画素クロックに対して相対的に広く取ることができるようになっている。
また、図5は本実施形態における制御部8によるノズルからのインク吐出の制御についての他の例であり、制御部8によりノズル23aが1相目、ノズル23bが2相目、ノズル23cが3相目、ノズル23dが4相目に駆動される4相駆動となるようにノズルからのインク吐出が制御され、各位相ごとに主走査方向において画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御されている。
さらに、制御部8によってインターリーブ4となるようにノズルからのインク吐出が制御されている。ここで、インターリーブ4とは、走査方向に対する吐出を3画素おきとすることにより、走査方向に隣接する複数の画素を4回走査して記録するものである。
図5において、STB1はノズル23a、STB2はノズル23b、STB3はノズル23c、STB4はノズル23dの位相の切り替えをするストローブパルスを示すものである。このように、ノズル23a,23b,23c,23dと副走査方向の上方から順に位相を切り替えて、各位相ごとに主走査方向に隣接する画素から記録していくと、図3の場合と同様に、各位相ともストローブパルス幅として1画素分の時間をすべて使うことができる。このため、ストローブパルス幅すなわち各位相の周期が長く取ることができるようになっている。
次に、前述のインクジェット記録装置1を用いた本発明に係るインクジェット記録方法について説明する。なお、以下の説明においては便宜的に記録媒体Pに対してすべての画素を記録することとする。
図6は副走査方向のノズル数及び画素数共に256とした例である。
まず、ホストシステム12又は外部装置から制御部8に所定の画像記録情報が入力されると、制御部8は記録ヘッド6を記録媒体Pの記録開始位置まで移動させる。
そして、記録が開始されると、記録ヘッド6は1走査目において1相目に駆動されるノズル24aによって1行目の主走査方向の記録画素を2画素おきに記録し、2相目に駆動されるノズル24bによって2行目の主走査方向の記録画素を2画素おきに記録し、3相目に駆動されるノズル24cによって3行目の主走査方向の記録画素を2画素おきに記録する。つまり、各位相ごとに主走査方向に1画素ずらした位置から記録を開始する。このような動作を繰り返すと、各位相のノズルによって記録された画素は斜めに並んだ状態となる。次に、搬送装置3は副走査方向に85画素分記録媒体Pを搬送する。そして、2走査目において、各位相共に主走査方向のそれぞれの行において1走査目の記録画素位置と主走査方向に隣接する画素を記録していく。次に、搬送装置3は再び副走査方向に85画素分記録媒体Pを搬送し、記録ヘッド6は、3走査目において残りの画素を記録していく。このようにして、記録ヘッド6が3走査することによって全画素が記録される。
記録中において、照射装置7が記録媒体Pに着弾したインクに紫外線を照射して、インクを硬化させる。
なお、本実施形態において、走査ごとの記録媒体Pの送り量を85画素分とすると、副走査方向の画素数が256であることから、3走査した場合に1画素分(1ノズル分)余ることになる。このため、各走査において副走査方向の上端又は下端のノズルからインクは吐出されないようになっている。
図7は副走査方向のノズル数を256、画素数を512とした例である。この場合の記録方法について、上記と相違する点を説明する。
図7において、記録が開始されると、記録ヘッド6は、1走査目において1相目に駆動されるノズル25aによって1行目の主走査方向の画素を2画素おきに記録し、2相目に駆動されるノズル25bによって3行目の主走査方向の画素のうち1相目の記録画素と主走査方向に隣接する画素を2画素おきに記録し、3相目に駆動されるノズル25cによって5行目の主走査方向の画素のうち2相目の記録画素と主走査方向に隣接する画素を2画素おきに記録する。このような記録方法によれば、1走査目の記録画素は主走査方向の行において1行おきに斜めに記録される。次に、搬送装置3は副走査方向に85画素分記録媒体Pを搬送する。そして、記録ヘッド6は2走査目において、各位相共に主走査方向のそれぞれの行において1走査目の記録画素位置と主走査方向に隣接する画素を記録していく。次に、搬送装置3は再び副走査方向に85画素分記録媒体Pを搬送し、記録ヘッド6は3走査目において、各位相共に主走査方向のそれぞれの行において2走査目の記録画素位置と主走査方向に隣接する画素を記録していく。この動作を繰り返すと、6走査することによってすべての画素が記録される。
なお、本実施形態において、走査ごとの記録媒体Pの送り量を85画素分とすると、副走査方向の画素数が512であることから、3走査した場合に2画素分(1ノズル分)余ることになる。このため、各走査において副走査方向の上端又は下端のノズルからインクは吐出されないようになっている。
以上述べたように、本実施形態のインクジェット記録装置1及びインクジェット記録方法によれば、多相駆動される記録ヘッド6の副走査方向に直線状に配置されたノズルにより、駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながらインクを吐出して記録していくと、1画素分の時間内に各位相の切り替えを行う必要がないことから、キャリッジ速度がスタガピッチに依存することはなくなり、記録ヘッド6を駆動する各位相の周期を長くとることができる。このため、記録ヘッド6におけるノズルの密度が高い場合でも、多相駆動とし、駆動位相ごとに主走査方向に記録画素をずらして複数回走査させることにより、高画質の記録を生産性よく得ることができる。
すなわち本実施形態のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法によれば、位相の切り替えに1画素分の時間をすべて使うことができるため、キャリッジ速度は従来のようにスタガピッチに依存せず、画素ピッチに依存することになる。スタガピッチは一般的に十数ミクロンであり、スタガピッチ=主走査方向の画素ピッチ/駆動相数であるから、主走査方向の画素ピッチを1インチ(25400μm)/720dpi、駆動相数を3とするとスタガピッチは11.759μmである。そして、従来のインクジェット記録装置においては、このスタガピッチにキャリッジ速度が依存していた。一方、画素ピッチは1インチ(25400μm)/720dpi=35.278μmである。このように、画素ピッチはスタガピッチの3倍となっていることから、本実施形態のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法によれば、従来よりもキャリッジ速度の上限値を3倍にすることができる。
また、本実施形態のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法による記録画素位置Xは式(1)によって表され、キャリッジの走査数Sは式(2)又は(3)によって表される。
(第2の実施形態)
以下、この発明の第2の実施形態について、図8〜図12を参照しながら説明する。
本実施形態におけるインクジェット装置1は、シリアル方式のインクジェット記録装置であり、プラテン2、搬送装置3、ガイドレール4及びキャリッジ5を備え、キャリッジ5に記録ヘッド6及び照射装置7が搭載されている点においては第1の実施形態と同様である。
ただし、本実施形態においては、記録ヘッド6のノズルがスタガ配置とされている。スタガピッチは主走査方向の記録画素ピッチを駆動相数で除した値となっており、本実施形態においては主走査方向の画素ピッチが1インチ(25400μm)/720dpiとしているので、駆動相数を3とした場合、スタガピッチは11.759μmとなる。
また、図2に示すように、インクジェット記録装置1が制御部8を備えており、制御部8には、画像処理部9、記録ヘッドを駆動するヘッド駆動部10、記録ヘッド6、主走査機構11及び搬送装置3が電気的に接続されており、制御部8は上記各構成部をそれぞれ駆動制御するようになっている点も第1の実施形態と同様である。
さらに、本実施形態のインクジェット記録装置1は、制御部8によって記録ヘッド6が多相駆動となるように制御されており、駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を開始するように、記録ヘッド6のノズルからのインク吐出が制御されている点も第1の実施形態と同様である。
ここで、図8は本実施形態における制御部8によるノズルからのインク吐出の制御の一例であり、記録ヘッド6にスタガ配置されたノズルのうち、3相駆動される3つのノズルによる記録画素を示したものである。図8においては、制御部8によりノズル26cが1相目、ノズル26bが2相目、ノズル26aが3相目に駆動されるようにインクの吐出が制御されている。すなわち、記録ヘッド6のノズルが、主走査方向の下流側に配置されたノズル26cから順に位相を切り替えて駆動されるように制御されている。
さらに制御部8によって3相駆動で各位相ごとに主走査方向において画素幅の1倍(1画素)ずらして記録が開始され、かつインターリーブ3となるようにノズル26a,26b,26cからのインク吐出が制御されることにより、1走査目では図8に示すように斜めに画素が記録され、2走査目では1つずつ隣りの画素が記録され、3走査目ではその隣りの画素が記録されて、3走査することによってすべての画素が記録されるようになっている。
また、本実施形態は記録ヘッド6のノズルがスタガ配置とされている以外は第1の実施形態と同様であるので、本実施形態の制御部8の制御による記録画素位置が上記式(1)〜(3)を満たす点でも第1の実施形態と同様である。
図12は、図8に示したように、制御部8が記録ヘッド6を3相駆動のインターリーブ3で駆動し、各位相ごとに主走査方向において画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するように記録ヘッド6にスタガ配置されたノズルからのインクの吐出を制御した場合の記録画素位置を示すものである。
例えばこの図12において、左上端の記録画素を基準位置として、1走査目に記録される画素のうち2番目(i=2)に記録される画素の位置Xは、式(1)にi=2,f=3,P=1,D=1を代入すると、X=4となる。すなわち、1走査目に記録される画素のうち2番目に記録される画素は、先程の基準位置から主走査方向に4つ目の画素となることがわかり、第1の実施形態の図6において計算したのと同様の結果となる。走査数Sについても、式(2)にf=3,D=1,R=360dpi,R=360dpiを代入するとS=3となり、式(3)にf=3,D=1,P/P=1を代入するとS=3となる点で第1の実施形態と同様である。
次に、図8において、STB1はノズル26a、STB2はノズル26b、STB3はノズル26cの位相の切り替えをするストローブ(STB)パルスを示すものである。図8に示すように、ノズル26c,26b,26aと主走査方向の下流側から順に位相を切り替えて、各位相ごとに主走査方向に隣接する画素から記録していくと、2画素分の時間内に位相の切り替えを3回行うことになる。ここで、2画素分の時間内に位相の切り替えが3回行われるのは、記録ヘッドのノズルがスタガ配置とされている場合は、スタガピッチがある分、2相目、3相目のノズルが早く主走査方向に移動するため、その分切り替えを速く行う必要があり、また、3相目から1相目への切り替えを行う際は、スタガピッチがある分1相目のノズルが主走査方向に遅れているため、1画素分の時間は位相の切り替えがない休止時間となるためである。
したがって、ストローブパルス幅、すなわち記録時の各位相の切り替え周期Tは、記録画素クロック周期を(ヘッドの走査速度に対して記録画素ピッチを移動する時間と同じ)T´、駆動相数をfとすると、式(4)によって求めることができる。
T=T´×{ (D−1 )+(f−1)/f}…(4)
すなわち、図8においては、3相駆動なのでf=3、ずらし画素は1なのでD=1を代入すると、T=2/3×T´となり、記録画素クロック周期の2/3の時間で各位相の切り替えが行われている。
このような記録方法によれば、2画素分の時間内に3回の切り替えが行われるため、図28に示した1画素分の時間内に3回切り替えを行っていた従来の記録方法に比べると、ストローブパルス幅を画素クロックに対して相対的に広く取ることができる。したがって、各位相の切り替え周期を長く取ることができる。
また、図9は本実施形態における制御部8によるノズルからのインク吐出の制御についての他の例であり、制御部8によりノズル27cが1相目、ノズル27bが2相目、ノズル27aが3相目に駆動される3相駆動となるようにノズルからのインク吐出が制御され、各位相ごとに主走査方向において画素幅の2倍(2画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御され、インターリーブ6として走査方向に隣接する複数の画素を6回走査することによって全画素が埋められるようになっている。
図9において、STB1はノズル27a、STB2はノズル27b、STB3はノズル27cの位相の切り替えをするストローブパルスを示すものである。このように、ノズル27c,27b,27aと主走査方向の下流側から順に位相を切り替えて、各位相ごとに主走査方向に2画素分間隔をおいて記録していくと、位相の切り替えをするストローブパルスは5画素分の時間内に位相の切り替えを3回行うことになる。ここで、5画素分の時間内に位相の切り替えが3回行われるのは、記録ヘッドのノズルがスタガ配置とされている場合はスタガピッチがある分、2相目、3相目のノズルが早く主走査方向に移動するため、その分切り替えを速く行う必要があり、また、3相目から1相目への切り替えを行う際は、スタガピッチがある分1相目のノズルが主走査方向に遅れているため、1画素分の時間は位相の切り替えがない休止時間となるためである。
ここで、この場合も記録時の各位相の切り替え周期Tについて上記式(4)を適用することができる。すなわち、図9においては、3相駆動なのでf=3、ずらし画素は2なのでD=2を代入すると、T=(1+2/3)×T´となり、記録画素クロック周期の5/3の時間で各位相の切り替えが行われている。
このような記録方法によれば、5画素分の時間内に3回の切り替えが行われるため、図8の場合と同様に、図28に示した1画素分の時間内に3回切り替えを行っていた従来の記録方法に比べると、ストローブパルス幅を画素クロックに対して相対的に広く取ることができる。したがって、各位相の切り替え周期を長く取ることができる。
また、図10は本実施形態における制御部8によるノズルからのインク吐出の制御についての他の例であり、制御部8によりノズル28dが1相目、ノズル28cが2相目、ノズル28bが3相目、ノズル28aが4相目に駆動される4相駆動となるようにノズルからのインク吐出が制御され、各位相ごとに主走査方向において画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御されており、インターリーブ4として走査方向に隣接する複数の画素を4回走査することにより全画素が記録されるようになっている。
図10において、STB1はノズル28a、STB2はノズル28b、STB3はノズル28c、STB4はノズル28dの位相の切り替えをするストローブパルスを示すものである。このように、ノズル28d,28c,28b,28aと主走査方向の下流側から順に位相を切り替えて、各位相ごとに主走査方向に隣接する画素から記録していくと、位相の切り替えをするストローブパルスは3画素分の時間内に位相の切り替えを4回行うことになる。ここで、3画素分の時間内に位相の切り替えが4回行われるのは、記録ヘッドのノズルがスタガ配置とされている場合はスタガピッチがある分、2相目、3相目、4相目のノズルが早く主走査方向に移動するため、その分切り替えを速く行う必要があり、また、4相目から1相目への切り替えを行う際は、スタガピッチがある分1相目のノズルが主走査方向に遅れているため、1画素分の時間は位相の切り替えがない休止時間となるためである。
ここで、この場合も記録時の各位相の切り替え周期Tについて上記式(4)を適用することができる。すなわち、図10においては、4相駆動なのでf=4、ずらし画素は1なのでD=1を代入すると、T=3/4×T´となり、記録画素クロック周期の3/4の時間で各位相の切り替えが行われている。
このような記録方法によれば、3画素分の時間内に4回の切り替えが行われるため、図8の場合と同様に、図28に示した1画素分の時間内に3回切り替えを行っていた従来の記録方法に比べると、ストローブパルス幅を画素クロックに対して相対的に広く取ることができる。したがって、各位相の切り替え周期を長く取ることができる。
ここで、記録ヘッド6のノズルがスタガ配置とされている場合に各位相ごとのノズルからのインク吐出を主走査方向の下流側から順に行うのは、図11のように各位相ごとのノズルからのインク吐出を主走査方向の上流側から順に行うとすると、ノズル29aにより記録した後、ノズル29b、ノズル29cはスタガピッチがある分だけ主走査方向への移動に時間がかかり、ストローブパルス幅が画素クロックに対して相対的に広くなる。そして、ノズル29cが記録した時には、ノズル29aがスタガピッチの分だけ先に進んでしまっているため、ノズル29cによって記録した後、再びノズル29aによって記録する場合に、高い周波数で急激にストローブパルスを切り替えなければ記録が間に合わなくなる。したがって、1相目から3相目までストローブパルス幅を画素クロックに対して相対的に広く取るために、本実施形態においては各位相ごとのノズルからのインク吐出をすべて主走査方向の下流側から行うようになっている。
次に、前述のインクジェット記録装置1を用いた本発明に係るインクジェット記録方法について、第1の実施形態と相違する点を説明する。なお、以下の説明においては便宜的に記録媒体Pに対してすべての画素を記録することとする。
記録が開始されると、記録ヘッド6は1走査目において1相目に駆動されるノズル30cによって3行目の主走査方向の記録画素を2画素おきに記録し、2相目に駆動されるノズル30bによって2行目の主走査方向の記録画素を2画素おきに記録し、3相目に駆動されるノズル30aによって1行目の主走査方向の記録画素を2画素おきに記録する。つまり、各位相ごとに主走査方向に1画素ずらした位置から記録を開始する。このような動作を繰り返すと、各位相のノズルによって記録された画素は斜めに並んだ状態となる。次に、搬送装置3は副走査方向に85画素分記録媒体Pを搬送する。そして、2走査目において、各位相共に主走査方向のそれぞれの行において1走査目の記録画素位置と主走査方向に隣接する画素を記録していく。次に、搬送装置3は再び副走査方向に85画素分記録媒体Pを搬送し、記録ヘッド6は、3走査目において残りの画素を記録していく。このようにして、記録ヘッド6が3走査することによって全画素が記録される。
なお、本実施形態においても、3走査した場合に1画素分(1ノズル分)余るため、各走査において副走査方向の上端又は下端のノズルからインクは吐出されないようになっている。
以上述べたように、本実施形態のインクジェット記録装置1及びインクジェット記録方法によれば、第1の実施形態と同様に、キャリッジ速度がスタガピッチに依存することはなくなり、記録ヘッド6を駆動する各位相の周期を長くとることができる。
また、記録画素位置Xは式(1)によって、キャリッジの走査数は式(2)又は(3)によって表される点でも同様である。
さらに、本実施形態では記録ヘッド6のノズルにスタガが設けられていることから、駆動位相を切り替える周期は、式(4)によって表される。
また、本実施形態においては、スタガ配置されたノズルの主走査方向の下流側から駆動するため、記録を間に合わせるために各位相の切り替えを急激に行う必要はなく、各位相の周期を長くとることによって、キャリッジ速度を上げることができる。
また、ノズルがスタガ配置とされている場合は、実際にとれるピッチは上記画素ピッチとスタガピッチとの差となるから、35.278−11.759=23.519μmとなる。すなわち、スタガピッチの2倍となっていることから、本発明の記録方法によれば、従来の記録方法よりもキャリッジ速度の上限値を2倍にすることができる。同様に、駆動相数が4の時は3倍、5の時は4倍というように、キャリッジ速度の上限は(駆動相数−1)倍とすることができる。
なお、上記の実施の形態においては、キャリッジが主走査方向における双方向に走査されて記録を行う場合の一方向について説明したが、キャリッジが反対方向に走査されて記録を行うときも同様である。この場合は、位相の切り替え順を逆にすることによって上記と同様の作用効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、この発明の第3の実施形態について、図13〜図20を参照しながら説明する。
本実施形態におけるインクジェット装置1は、シリアル方式のインクジェット記録装置であり、プラテン2、搬送装置3、ガイドレール4及びキャリッジ5を備え、キャリッジ5に記録ヘッド6及び照射装置7が搭載されている点においては第1の実施形態と同様である。
ただし、本実施形態においては、記録ヘッド6は、同一種のインクを吐出するノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備えている。ノズルは各ノズル列ごとに直線状に配置されている。以下では、駆動相数が3であり、ノズル列が3列の場合について述べる。
同一種のインクを吐出するノズルよりなるノズル列を3列設けるためには、例えば、図13に示すように、1個の記録ヘッド6に同一色のインクを吐出する3列のノズル列14a,14b,14cを形成しておき、それを各色ごとにキャリッジ5に搭載するように構成すればよい。
また、図14に示すように、キャリッジ5に同一色のインクを吐出する3個の記録ヘッド6a,6b,6cを搭載し、3個の記録ヘッド6a,6b,6cにそれぞれ1列ずつノズル列15a,15b,15cをヘッド別に形成するように構成することも可能である。以下、両者を代表して、図13に示す記録ヘッド6の場合について説明する。
記録ヘッド6は、各ノズル列14a,14b,14cのノズル位置が主走査方向で一致するように構成されている。また、本実施形態では、記録ヘッド6は、各ノズル列14a,14b,14cの間隔Lが主走査方向の画素ピッチの(駆動相数×n+1)倍となっている。なお、nは自然数である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に主走査方向の画素ピッチは1インチ(25400μm)/720dpiとされているので、例えば、駆動相数を3、nを1とした場合、駆動相数×n+1=4となり、ノズル列の間隔Lは141.11μmとなる。本実施形態では、n=3の場合、すなわち、駆動相数×n+1=10で、ノズル列の間隔Lは352.78μmとされている。
図2に示すように、インクジェット記録装置1が制御部8を備えており、制御部8には、画像処理部9、記録ヘッドを駆動するヘッド駆動部10、記録ヘッド6、主走査機構11及び搬送装置3が電気的に接続されており、制御部8は上記各構成部をそれぞれ駆動制御するようになっている点も第1の実施形態と同様である。
さらに、本実施形態のインクジェット記録装置1は、制御部8によって記録ヘッド6が多相駆動となるように制御されており、駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を開始するように、記録ヘッド6のノズルからのインク吐出が制御されている点も第1の実施形態と同様である。
ただし、本実施形態では、記録ヘッド6の異なるノズル列に属するノズルから吐出されたインクが記録媒体上の同一の記録画素位置に記録されることはなく、記録媒体上の異なる記録画素位置を記録するように構成されている。特に、異なるノズル列に属し主走査方向で同じノズル位置にあるノズル同士は、駆動位相ごとに主走査方向で異なる記録画素位置を記録するようになっている。
本実施形態における制御部8によるノズルからのインク吐出の制御は、各ノズル列単位では第1の実施形態で示したように行われるようになっており(図3等参照)、図13においては、制御部8によりノズル列14aのノズル31a、ノズル列14bのノズル32a、ノズル列14cのノズル33aが1相目、ノズル31b,32b,33bが2相目、ノズル31c,32c,33cが3相目に同時にインクを吐出するように制御されている。
また、本実施形態においても、図3に示した制御部8によるノズルからのインク吐出の制御のように、各位相ごとに主走査方向において画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御されており、この点も第1の実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態においては、図3に示したSTB1でノズル31a,32a,33a、STB2はノズル31b,32b,33b、STB3はノズル31c,32c,33cの位相の切り替えを行うようになっており、各位相のノズル31a〜33cは、このストローブパルス幅におけるいずれかのタイミングで位相の切り替えが行われるように制御されている。なお、この位相の切り替えは周波数に相当し、ストローブパルス幅は各位相の周期に相当する。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1を用いた本発明に係るインクジェット記録方法について説明する。なお、以下の説明においては前述の第1の実施形態の場合と同様に、便宜的に記録媒体Pに対してすべての画素を記録することとする。
まず、ホストシステム12又は外部装置から制御部8に所定の画像記録情報が入力されると、制御部8は、記録ヘッド6の駆動位相を切り替えるごとに記録ヘッド6のノズルによる記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍、すなわち、前述したように本実施形態では1倍ずつ、つまり画素幅分ずつずらすように記録画素位置を決定し、記録ヘッド6を記録媒体Pの記録開始位置まで移動させる。
続いて、制御部8は、記録ヘッド6の駆動位相を図3に示したように切り替えながら記録ヘッド6を主走査方向に走査させ、記録ヘッド6のノズル31a〜33cからインクを吐出させて、記録ヘッド6の異なるノズル列14a,14b,14cに属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録する。
ここで、前述したノズル列の間隔Lとして、n=1の場合、すなわちノズル列の間隔が主走査方向の画素ピッチ3個分あいているとし、ノズル列14aのノズル31a、ノズル列14bのノズル32a及びノズル列14cのノズル33aに注目すると、最初にストローブパルスSTB1により駆動位相が切り替えられると、3つのノズルから図15(A)に矢印で示す3個の記録画素位置にインクが吐出される。
続いて、再びストローブパルスにより位相が切り替えられると、前記3つのノズルから図15(B)に矢印で示すさらに3個の記録画素位置が記録され、さらなるストローブパルスによる位相の切り替えで図15(C)、(D)に矢印で示す3個ずつの記録画素位置にインクが吐出されて記録されていく。
このように記録を行うと、図15(D)における記録画素位置A以降のすべて記録画素位置に対して、ノズル列14a〜14cのいずれかのノズル列のノズルによりインクが吐出され記録される。これを各ノズル列のすべてのノズルについて表示すると、図16に示すように、前記第1の実施形態の図6と同様の結果が得られる。図14に示したような記録ヘッド6a,6b,6cにそれぞれ1列ずつノズル列15a,15b,15cがベッド別に形成されている場合も、図17に示すように同様にすべての記録画素位置に対して記録を行うことができる。
その際、本実施形態の本実施形態のインクジェット記録装置1及びそれを用いたインクジェット記録方法では、第1及び第2の実施形態とは異なり、図15(A)〜(D)或いは図16や図17から分かるように、記録ヘッド6の主走査方向の1走査で記録ヘッド6の副走査方向の記録幅分の全画素を記録することができる。
なお、本実施形態においても、ノズルからのインク吐出を、例えば、図15(A)〜(D)に示したように記録ヘッド6の1走査で全画素を記録する代わりに、例えば、1走査で全画素の半数を記録して次の1走査で残りの画素を記録するように構成するなど、複数回の走査で記録を行うように構成することも可能である。
以上述べたように、本実施形態のインクジェット記録装置1及びそれを用いたインクジェット記録方法によれば、制御部8による制御の方法は第1の実施形態の場合と同じであるから、第1の実施形態の効果、すなわち、1画素分の時間内に各位相の切り替えを行う必要がないことからキャリッジ速度がスタガピッチに依存することがなくなり、記録ヘッド6を駆動する各位相の周期を長くとることができるという効果、及び、それにより記録ヘッド6におけるノズルの密度が高い場合でも、多相駆動とし、駆動位相ごとに主走査方向に記録画素をずらして記録することで高画質の記録を生産性よく得ることができるという効果を発揮することができる。
また、第1の実施形態のように、複数回の走査で1つの画像を記録する場合、記録ヘッド6の往復の走査における主走査方向の位置ずれや記録媒体Pの斜行、或いは記録ヘッド6の取り付け不良等で、特に記録媒体上に記録された画像に縦方向(副走査方向)の揺れ、すなわち、例えば直線であるべき線が左右に歪んだ状態に記録されることが生じる可能性が残る。しかし、本実施形態では、前述したように記録ヘッド6の主走査方向の1走査で記録ヘッド6の副走査方向の記録幅分の全画素を記録することが可能であり、このように1走査で記録を行うことで画像の揺れの発生を効果的に抑制することができ、高画質の記録を生産性よく得ることが可能となる。
なお、例えば、駆動相数が3の場合に、図18に示すように、その2倍の6列のノズル列14a〜14fからインクを吐出するように構成することも可能であり、この場合、第1の実施形態では6回の走査で1つの画像が記録されたところを1走査で記録することができ、より効率的な画像記録が可能となる。
また、上記第3の実施形態を、第2の実施形態のようにスタガピッチを用いて構成することも可能である。図19や図20に示すように、記録ヘッド6,6d,6e,6fはそれぞれ多相駆動可能とされており、同一種のインクを吐出するノズルよりなるノズル列16a,16b,16c,17a,17b,17cを備えており、ノズルがスタガ配置とされている。
また、ノズル列16a,16b,16cおよびノズル列17a,17b,17cのノズル位置は主走査方向で一致するように構成されており、ノズル列16a,16b,16cおよびノズル列17a,17b,17cの間隔Lは主走査方向の画素ピッチの(駆動相数×n+1)倍となっている(nは自然数)。
このような記録ヘッド6または記録ヘッド6d,6e,6fに対して、図8等に示したような制御を行うことにより、第2の実施形態に示した効果を有効に発揮させることができる。また、上記第3の実施形態で述べたように、このようなスタガ配置を用いた記録ヘッドにおいても記録ヘッドの主走査方向の1走査で記録ヘッドの記録幅分の全画素を記録することができるため、第2の実施形態のように複数回の走査で1つの画像を記録する場合に生じる可能性がある画像の揺れの問題を回避することがすることができ、より高画質の記録を生産性よく得ることが可能となる。
なお、図14および図20に示した形態においては、必ずしもノズル列の間隔Lを(駆動相数×n+1)倍にする必要はなく、例えば、各記録ヘッドに独立した駆動位相を入力して図17や図20に示したようにすべての記録画素位置に対して記録を行うように構成することも可能である。これは後述する第4の実施形態においても同様である。
(第4の実施形態)
以下、この発明の第4の実施形態について、図21〜図27を参照しながら説明する。
図21は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成図であり、同図に示すように、本実施形態におけるインクジェット記録装置40は、記録媒体Pを搬送させながらインクを吐出して画像を形成するライン方式のインクジェット記録装置である。なお、ライン方式のインクジェット記録装置における「上流」及び「下流」は、記録媒体の搬送方向を基準とする。すなわち、搬送方向の上流側とは図21ではより上方側をいい、搬送方向の下流側とは図中のより下方側をいう。
インクジェット記録装置40には、図21に示すように、記録媒体Pを下方から支持するプラテン41が設けられている。プラテン41における記録媒体Pの搬送方向の上流及び下流には、記録媒体Pを搬送するローラなどの搬送装置42が、プラテン41を挟むように配置されている。また、プラテン41の上方には、記録媒体Pの略全幅にわたって各色毎のインク(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)を吐出する複数の記録ヘッド43、44、45、46が記録媒体Pに対して略直交する方向に延在するように記録媒体Pの搬送方向の上流側から下流側にかけて配設されている。
記録ヘッド43〜46はいわゆるライン式ヘッドとなっており、本実施形態では、記録ヘッド43、44、45、46がそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を吐出するようになっている。各色に対応する記録ヘッドは、本実施形態では記録ヘッドの駆動相数が3であることから、実際には図22に示すイエローのインクを吐出する記録ヘッド43のようにそれぞれが搬送方向に並設された3本のラインヘッド43a,43b,43c等で構成されており、全12本のラインヘッドで1色分の記録ヘッドが構成されている。
記録ヘッドを構成するラインヘッドには、それぞれ1列ずつのノズル列が設けられており、搬送方向に並設された3本のラインヘッド同士では、そのノズル位置が搬送方向で一致するように構成されている。また、3本のラインヘッドの各ノズル列の間隔Lが搬送方向の画素ピッチの(駆動相数×n+1)倍となっている。なお、nは自然数である。
本実施形態では、第1〜第3の実施形態と同様に搬送方向の画素ピッチは1インチ(25400μm)/720dpiとされているので、例えば、駆動相数を3、nを1とした場合、駆動相数×n+1=4となり、ノズル列の間隔Lは141.11μmとなる。本実施形態では、n=100、すなわち、駆動相数×n+1=301で、ノズル列の間隔Lは10619μm=10.619mmとされている。
さらに、記録媒体Pの搬送方向の各記録ヘッド43、44、45、46のそれぞれ下流側には、記録媒体Pの略全幅にわたって延在して記録媒体Pに着弾したインクに光を照射してインクを硬化させるための照射装置47、48、49、50がそれぞれ設けられている。照射装置47等の内部には、光源が備えられており、この光源としては紫外線、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する蛍光灯、水銀ランプ、メタルハイドランプなどを使用することができるが、本実施形態においては光源として紫外線が使用されている。
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置40には、前記第1〜第3の実施形態と同様に、紫外線の被照射により硬化する光硬化型インク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)が好適に使用されるが、本実施形態においては、酸素による重合反応の阻害作用が少なく低照度の紫外線でも長時間照射することで硬化できるエネルギー蓄積型のカチオン重合系インクが特に好適に使用される。
図23に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置は、制御部51を備えている。制御部51には、画像処理部52、記録ヘッド43〜46を駆動するヘッド駆動部53、記録ヘッド43〜46、搬送装置42及び照射装置47〜50が電気的に接続されており、制御部51は上記各構成部をそれぞれ駆動制御するようになっている。
画像処理部52の機能は、前記第1〜第3の実施形態と同様であり、ホストシステム54からインタフェース(I/F)55を介して送られる符号化された入力画像データをインクジェット記録装置40で処理できるデータ形式にするために復号化してヘッド駆動部53に送るなどするようになっている。
ヘッド駆動部53は、制御部51から送られる信号に基づいて、画像処理部52で得られた記録画像に関するデータを記録するように、記録ヘッド43〜46の圧電素子に対するパルス電圧の印加により記録ヘッド43〜46のノズルからのインク吐出を制御するようになっている。
搬送装置42は、記録媒体Pを所定の単位送り量で繰り出すように回転駆動する搬送モータや搬送ローラ(いずれも図示せず)を備えており、制御部51がこの搬送モータを駆動制御することによって、画像記録時において記録媒体Pを搬送することができるようになっている。
制御部51は、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)などからなり、ROMに記録された処理プログラムをRAMに展開してCPUによりこの処理プログラムを実行するようになっている。制御部51は、画像記録時に記録媒体Pを搬送方向に搬送させるように搬送装置42を制御するようになっており、ホストシステム54又は外部装置において設定された駆動周波数などの指示信号をヘッド駆動部53に送り、ヘッド駆動部53から所定の画像記録情報に基づいて記録ヘッド43〜46の圧電素子に対してパルス電圧を印加させ、記録ヘッド43〜46のノズルから所定の周期でインクが吐出されるように制御するようになっている。
本実施形態における制御部51によるノズルからのインク吐出の制御は、各ノズル列単位では前記第3の実施形態で示したように行われるようになっており(図3参照)、図22のラインヘッド43a,43b,43c部分の拡大図である図24においては、制御部51によりノズル列18aのノズル34a、ノズル列18bのノズル35a、ノズル列18cのノズル36aが1相目、ノズル34b,35b,36bが2相目、ノズル34c,35c,36cが3相目に同時にインクを吐出するように制御されている。
また、本実施形態においても、図3に示した制御部8によるノズルからのインク吐出の制御のように、各位相ごとに搬送方向において画素幅の1倍(1画素)ずらした位置から記録を開始するようにノズルからのインク吐出が制御されており、この点も第3の実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態においては、図3に示したSTB1でノズル34a,35a,36a、STB2はノズル34b,35b,36b、STB3はノズル34c,35c,36cの位相の切り替えを行うようになっており、各位相のノズル34a〜36cは、このストローブパルス幅におけるいずれかのタイミングで位相の切り替えが行われるように制御されている。なお、この位相の切り替えは周波数に相当し、ストローブパルス幅は各位相の周期に相当する。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置40を用いた本発明に係るインクジェット記録方法について説明する。
まず、ホストシステム54又は外部装置から制御部51に所定の画像記録情報が入力されると、制御部51は、記録ヘッド43〜46の駆動位相を切り替えるごとに記録ヘッド43〜46のノズルによる記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍、すなわち、前述したように本実施形態では1倍ずつ、つまり画素幅分ずつずらすように記録画素位置を決定し、記録媒体Pを記録開始位置まで搬送する。
続いて、制御部51は、記録ヘッド43〜46の駆動位相を図3に示したように切り替えて画素幅分ずつずらしながら記録媒体Pを搬送方向に搬送させ、記録ヘッド43〜46のノズル34a〜36c等からインクを吐出させて、記録ヘッド43〜46の異なるノズル列18a,18b,18c等に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録する。
その際、前記図15(A)〜(D)に示したように各記録画素位置にインクが吐出されていく。これを各ノズル列のすべてのノズルについて表示すると、図24に示したようになる。
以上述べたように、本実施形態のインクジェット記録装置40及びそれを用いたインクジェット記録方法によれば、図24と第3の実施形態における図17とを比較して分かるように、主走査方向と搬送方向との違いはあるが、まったく同じ記録が得られる。これは、本実施形態の記録ヘッド43等を構成する3本1組のラインヘッド43a,43b,43cと、第3の実施形態のそれぞれ1列ずつノズル列15a,15b,15cを形成した3個の記録ヘッド6a,6b,6cとが基本的に同じ構造であり、その制御方法も同様に行ったことによる。
このように、第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
ただし、本実施形態のように記録ヘッドがライン式である場合、記録媒体Pの上方での記録ヘッドの走査は行われないため、例えば、図15(A)〜(D)に示したように、記録ヘッド43〜46の下方を記録媒体Pが通過した段階で全画素の記録が行われるように構成することが必要となる。つまり、第3の実施形態で述べたように、1走査で全画素数の半数を記録し、次の走査で残りの画素の記録を行うような記録方法は採用できない。
なお、本実施形態においても、記録ヘッドを3本のラインヘッドを1組にする代わりに1本のヘッドに3列のノズル列を形成したり、ノズル列をスタガ配置としたり、或いは、例えば駆動相数が3の場合にその2倍の6列のノズル列を設けたりすることは可能であり、適宜行われる。
また、そのように構成した場合でも、本実施形態及び前記第3の実施形態の効果はすべて発揮し得る。すなわち、1本のヘッドに3列のノズル列を形成する場合については、図示を省略するが、図24に示した1組3本のラインヘッドを1本のヘッドとし、それに3列のノズル列を形成することを想定すれば、本実施形態及び前記第3の実施形態の効果がすべて得られることは容易に理解できる。
また、ノズル列をスタガ配置とする場合は、例えば、図22の記録ヘッド43の3本のラインヘッド43a,43b,43cに設けたノズル列を、それぞれ図25に示すような駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とし、各ノズル列19a〜19cのノズル位置が搬送方向で一致するように構成する。また、ノズル列19a,19b,19cの間隔Lがそれぞれ搬送方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるようにラインヘッド19a〜19cを配置する(ただし、nは自然数)。
そして、ラインヘッド19a,19b,19cのノズル37a〜39cを3相駆動し、搬送方向の下流側に配置されたノズル(この場合は37a,38a,39a等)から順に位相を切り替えて駆動する。
すると、例えば、位置固定されたノズル37a,37b,37cからそれらの下方を搬送される記録媒体に対してインクをノズル37a,37b,37cの順に吐出すると、図26(A)〜(C)に時系列的に示すように、図8と同様に同一のノズルからは2画素おきに画素が記録され、各ノズル間では各位相ごとに搬送方向に隣接する画素が記録される。
また、ノズル列19bに属するノズル38a,38b,38cはノズル列19aに属するこれらのノズルと画素ピッチ×(駆動相数×n+1)だけ離間しているから、ノズル列19bに属するノズル38a,38b,38cは、ノズル37a,37b,37cにより記録された画素に対して搬送方向に隣接する画素を記録する。ノズル39a,39b,39cはさらにその隣りの画素を記録する。このようにして、図27に示すように記録ヘッド43の下方を搬送させる記録媒体の全画素が記録される。
このように、ライン方式の記録ヘッドを有するインクジェット記録装置においても第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、第3の実施形態および本実施形態の効果をすべて発揮することができる。
第1の実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を表す平面図である。 第1の実施形態のインクジェット記録装置の構成を表すブロック図である。 第1の実施形態でストレートノズルを3相駆動としインターリーブ3とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第1の実施形態でストレートノズルを3相駆動とし、ずらし量を2画素としてインターリーブ6とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第1の実施形態でストレートノズルを4相駆動としインターリーブ4とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第1の実施形態のストレートノズルによる記録方法で記録した画素を表す図である。 第1の実施形態のストレートノズルによる記録方法で副走査方向の解像度を2倍としてインターリーブ6とした場合の記録画素を表す図である。 第2の実施形態でスタガ配置されたノズルを3相駆動としインターリーブ3とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第2の実施形態でスタガ配置されたノズルを3相駆動とし、ずらし量を2画素としてインターリーブ6とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第2の実施形態でスタガ配置されたノズルを4相駆動としインターリーブ4とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第2の実施形態でスタガ配置されたノズルを逆位相順の3相駆動としインターリーブ3とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 第2の実施形態のスタガ配置されたノズルによる記録方法で記録した画素を表す図である。 第3の実施形態で3列のノズル列が設けられた記録ヘッドを表す図である。 第3の実施形態でそれぞれノズル列が設けられた3個の記録ヘッドを表す図である。 第3の実施形態で主走査方向に並んだ3つのノズルが記録媒体に記録を行っていく状態を表す図である。 第3の実施形態で記録ヘッドに設けられた3列のノズル列による記録方法で記録した画素を表す図である。 第3の実施形態で3つの記録ヘッドにそれぞれ設けられたノズル列による記録方法で記録した画素を表す図である。 第3の実施形態で6列のノズル列を用いた記録方法で記録した画素を表す図である。 第3の実施形態でスタガ配置された3列のノズル列が設けられた記録ヘッドを表す図である。 第3の実施形態でそれぞれスタガ配置された1列ずつのノズル列が設けられた3個の記録ヘッドを表す図である。 第4の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成図である。 図21のインクジェット記録装置の1色分の記録ヘッドの構成を示す図である。 第4の実施形態のインクジェット記録装置の制御構成を表すブロック図である。 図22の記録ヘッドの一部拡大図である。 第4の実施形態でノズルをスタガ配置にしたインクジェット記録装置の記録ヘッドの一部拡大図である。 図25のスタガ配置されたノズルを3相駆動としインターリーブ3とした場合の記録画素及びストローブパルスを時系列的に表す図である。 第4の実施形態のスタガ配置されたノズルによる記録方法で記録した画素を表す図である。 従来のスタガ配置されたノズルを3相駆動としインターリーブ3とした場合の記録画素及びストローブパルスを表す図である。 従来のスタガ配置されたノズルによる記録方法で記録した画素を表す図である。
符号の説明
1、40 インクジェット記録装置
2、41 プラテン
3、42 搬送装置
4 ガイドレール
5 キャリッジ
6、6a〜6c、43〜46 記録ヘッド
7、47〜50 照射装置
8、51 制御部
9、52 画像処理部
10、53 ヘッド駆動部
11 主走査機構
12、54 ホストシステム
13、55 インタフェース
14〜19 ノズル列
21〜39 ノズル
P 記録媒体
L ノズル列の間隔

Claims (22)

  1. 駆動位相ごとに記録媒体との相対的移動方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルを形成してなる記録ヘッドと、
    記録媒体を搬送させる搬送装置と、
    前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記記録ヘッドのノズルを記録媒体との相対的移動方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 駆動位相ごとに主走査方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルを形成してなるシリアル方式の記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査機構と、
    前記主走査方向と直交する副走査方向に前記記録媒体を搬送させる搬送装置と、
    前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録し、前記搬送装置によって記録媒体を搬送しながら複数回走査することによって記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記記録ヘッドのノズルを主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 前記制御部は、基準位置とする任意の画素を1としたときに基準位置から主走査方向に何番目の画素であるかを示す記録画素位置Xは、
    X={(i−1)×f+P−1}×D+1
    となり、前記記録ヘッドの走査数Sは、
    S=f×D×RP/Rn
    又は
    S=f×D×Pn/PP
    となるように制御することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
    ただし、
    i:主走査方向に同一ノズルで記録した画素のうち基準位置から何番目の画素であるか
    D:各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)
    f:ヘッド駆動相数
    P:駆動位相(基準位置の画素を記録するために駆動する位相をP=1としてP=fまで駆動順に割り振った位相番号)
    S:記録ヘッドの走査数
    n:副走査方向のヘッドの解像度
    P:副走査方向の記録解像度
    n:副走査方向に隣り合うノズルの平均ピッチ
    P:副走査方向の記録画素ピッチ
  4. 駆動位相ごとに主走査方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を形成してなるシリアル方式の記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査機構と、
    前記主走査方向と直交する副走査方向に前記記録媒体を搬送させる搬送装置と、
    前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部とを有し、
    前記記録ヘッドは、同一種のインクを吐出する前記ノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、前記各ノズル列のノズル位置が主走査方向で一致するように構成されており、
    かつ、前記制御部は、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するように制御し、かつ、前記記録ヘッドのノズルを主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記制御部は、前記記録ヘッドの主走査方向の1走査で記録幅分の全画素を記録するように制御することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記録ヘッドは、前記ノズル列の間隔が主走査方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のインクジェット記録装置。
    ただし、nは自然数
  7. 駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルを形成してなるライン方式の記録ヘッドと、
    搬送方向に前記記録媒体を搬送させる搬送装置と、
    前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録し、前記搬送装置によって記録媒体を搬送しながら複数の前記記録ヘッドによって記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記記録ヘッドのノズルを搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とされたインクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を形成してなるライン方式の記録ヘッドと、
    搬送方向に記録媒体を搬送させる搬送装置と、
    前記記録ヘッドを多相駆動し、1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として駆動位相を切り替えるごとに記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらしながら記録し、前記搬送装置によって記録媒体を搬送しながら記録を行うように前記記録ヘッドのノズルからのインク吐出を制御する制御部とを有し、
    前記記録ヘッドは、同一種のインクを吐出する前記ノズルよりなる駆動相数の倍数のノズル列を備え、前記各ノズル列のノズル位置が搬送方向で一致するように構成されており、
    かつ、前記制御部は、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するように制御し、かつ、前記記録ヘッドのノズルを搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に位相を切り替えて駆動することを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 前記記録ヘッドは、前記ノズル列の間隔が搬送方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
    ただし、nは自然数
  10. 前記制御部は、駆動位相を切り替える周期をT、記録画素クロック周期をT´、各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)をD、駆動相数をfとすると、周期Tが
    T=T´×{ (D−1 )+(f−1)/f}
    となるように駆動位相を切り替えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記制御部は、前記記録ヘッドを3相駆動とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 駆動位相ごとに記録媒体との相対的移動方向にずらしたスタガ配置とされた複数のノズルを形成してなる記録ヘッドの駆動位相を、記録媒体との相対的移動方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、
    1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、
    前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して前記記録画素位置を記録するインク吐出工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  13. 駆動位相ごとに主走査方向にずらしたスタガ配置とされた複数のノズルを形成してなるシリアル方式の記録ヘッドの駆動位相を、主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、
    1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、
    前記記録ヘッドを主走査方向に複数回走査し、記録媒体を副走査方向に搬送しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して前記記録画素位置を記録するインク吐出工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  14. 前記記録画素位置の決定工程は、基準位置とする任意の画素を1としたときに基準位置から主走査方向に何番目の画素であるかを示す記録画素位置Xは、
    X={(i−1)×f+P−1}×D+1
    となり、前記記録ヘッドの走査数Sは、
    S=f×D×RP/Rn
    又は
    S=f×D×Pn/PP
    となるように記録画素位置を決定することを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録方法。
    ただし、
    i:主走査方向に同一ノズルで記録した画素のうち基準位置から何番目の画素であるか
    D:各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)
    f:ヘッド駆動相数
    P:駆動位相(基準位置の画素を記録するために駆動する位相をP=1としてP=fまで駆動順に割り振った位相番号)
    S:記録ヘッドの走査数
    n:副走査方向のヘッドの解像度
    P:副走査方向の記録解像度
    n:副走査方向に隣り合うノズルの平均ピッチ
    P:副走査方向の記録画素ピッチ
  15. 駆動位相ごとに主走査方向にずらしたスタガ配置とされた同一種のインクを吐出する複数のノズルよりなるノズル列を駆動相数の倍数備え、各ノズル列のノズル位置が主走査方向で一致するように構成されたシリアル方式の記録ヘッドの駆動位相を、主走査方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、
    1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を主走査方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、
    前記記録ヘッドを主走査方向に走査しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するインク吐出工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 前記インク吐出工程は、前記記録ヘッドの主走査方向の1走査で記録幅分の全画素を記録することを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記位相切替工程は、前記ノズル列の間隔が主走査方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成された記録ヘッドに対して行われることを特徴とする請求項15又は16に記載のインクジェット記録方法。
    ただし、nは自然数
  18. 駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とされた複数のノズルを形成してなるライン方式の記録ヘッドの駆動位相を、搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、
    1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、
    記録媒体を搬送方向に搬送しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して前記記録画素位置を記録するインク吐出工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  19. 駆動位相ごとに搬送方向にずらしたスタガ配置とされた同一種のインクを吐出する複数のノズルよりなるノズル列を駆動相数の倍数備え、各ノズル列のノズル位置が搬送方向で一致するように構成されたライン方式の記録ヘッドの駆動位相を、搬送方向の下流側に配置されたノズルから順に切り替える位相切替工程と、
    1相目のインク吐出による記録画素位置を基準として、前記記録ヘッドの駆動位相を切り替えるごとに、前記記録ヘッドのノズルによる記録画素位置を搬送方向の記録解像度の画素幅の整数倍ずらすように記録画素位置を決定する記録画素位置の決定工程と、
    記録媒体を搬送方向に搬送しながら、前記記録ヘッドのノズルからインクを吐出して、前記記録ヘッドの異なるノズル列に属するノズルからのインク吐出により異なる記録画素位置を記録するインク吐出工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  20. 前記位相切替工程は、前記ノズル列の間隔が搬送方向の画素ピッチ×(駆動相数×n+1)となるように構成された記録ヘッドに対して行われることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録方法。
    ただし、nは自然数
  21. 前記位相切替工程は、駆動位相を切り替える周期をT、記録画素クロック周期をT´、各位相ごとの主走査方向の記録画素ずらし画素数(単位は記録解像度における画素数)をD、駆動相数をfとすると、周期Tが
    T=T´×{ (D−1 )+(f−1)/f}
    となるように駆動位相を切り替えることを特徴とする請求項12〜20のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  22. 前記位相切替工程は、前記記録ヘッドを3相駆動することを特徴とする請求項12〜21のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
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