JP3782401B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置、特にキャパシタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、キャパシタの誘電体膜に強誘電体膜を用いた強誘電体メモリ(FeRAM:Ferroelectric Random Access Memory)の開発が進められている。
【0003】
強誘電体メモリに用いられる代表的な強誘電体膜としては、Pb(ZrxTi1-x )O3 膜(PZT膜)或いは、SrBi2Ta2O9 膜(SBT膜)があげられる。PZTはペロブスカイト化合物であり、SBTは疑似ペロブスカイト構造を持つBi層状化合物である。
【0004】
強誘電体膜としてPZT膜を用いた場合、疲労特性の改善等の観点から、電極にはSrRuO3 膜(SRO膜)等の導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜が用いられる。例えば、特許文献1及び特許文献2には、SRO膜とPt膜との積層膜を電極に用いた強誘電体キャパシタが記載されている。
【0005】
しかしながら、Pt膜上に形成されたSRO膜上に、良好な結晶性及び配向性を有するPZT膜を形成することは容易ではない。そのため、優れたインプリント特性や保持特性等を有する、信頼性の高いキャパシタを形成することが困難であった。このような問題は、SRO膜とPt膜との組み合わせに限らず、導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜と貴金属膜(或いは貴金属酸化物膜)との組み合わせにおいて一般的に生じ得るものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−208725号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−260954号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜と貴金属膜(或いは貴金属酸化物膜)との積層構造をキャパシタの電極に用いた場合、良好な結晶性を有する導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜を形成することが困難であった。そのため、結晶性に優れたPZT膜等の誘電体膜を形成することが困難であり、キャパシタの特性や信頼性が著しく劣化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に対してなされたものであり、キャパシタの特性や信頼性を向上させることが可能な半導体装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられ、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に設けられた誘電体膜とを含むキャパシタと、を備え、前記下部電極は、貴金属膜及び貴金属酸化物膜の中から選択された導電膜と、前記誘電体膜と前記導電膜との間に設けられたSRO膜からなるペロブスカイト型金属酸化物膜と、前記導電膜と前記金属酸化物膜との間に設けられたTi膜からなる金属膜と、を備え、前記金属酸化物膜の厚さは5nm以下であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1(a)〜図1(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【0014】
まず、図1(a)に示すように、p型シリコン基板(半導体基板)100上に、STI(Sallow Trench Isolation)構造の素子分離領域101を形成する。続いて、MISトランジスタを以下のようにして形成する。
【0015】
まず、ゲート絶縁膜102として、熱酸化により厚さ6nm程度のシリコン酸化膜を形成する。続いて、ゲート絶縁膜102上に、砒素をドープしたn+ 型多結晶シリコン膜103を形成する。さらに、多結晶シリコン膜103上にWSix 膜104及びシリコン窒化膜105を形成する。その後、多結晶シリコン膜103、WSix 膜104及びシリコン窒化膜105を、通常の光リソグラフィー法及びRIE法により加工して、ゲート電極を形成する。続いて、全面にシリコン窒化膜106を堆積する。さらに、RIEを行い、ゲート電極の側壁上にシリコン窒化膜106からなる側壁スペーサを形成する。なお、詳細な説明は省くが、本工程において、イオン注入及び熱処理により、ソース/ドレイン領域107が形成される。
【0016】
次に、図1(b)に示すように、CVD(化学的気相成長)法により全面にシリコン酸化膜108を堆積し、さらにCMP法により平坦化処理を行う。続いて、一方のソース/ドレイン領域107に達するコンタクトホールをシリコン酸化膜108に形成する。その後、スパッタリング法或いはCVD法によりチタン膜を堆積する。続いて、フォーミングガス中で熱処理を行うことによりチタン膜を窒化して、TiN膜110を形成する。さらに、CVD法によりタングステン膜111を堆積する。続いて、CMP法によりコンタクトホール外のTiN膜110及びタングステン膜111を除去し、コンタクトホール内にTiN膜110及びタングステン膜111を残す。これにより、一方のソース/ドレイン領域107に接続されたプラグが形成される。その後、全面にCVD法によりシリコン窒化膜112を堆積する。さらに、もう一方のソース/ドレイン領域107に達するコンタクトホールを形成する。続いて、上述した方法と同様の方法により、TiN膜114及びタングステン膜115をコンタクトホール内に形成する。これにより、他方のソース/ドレイン領域107に接続されたプラグが形成される。
【0017】
次に、図1(c)に示すように、厚さ10nmのチタン膜116、貴金属膜として厚さ100nmのプラチナ膜117、金属膜として厚さ2nmのチタン膜118、及び導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜として厚さ2.5nmのSrRuO3 膜(SRO膜)119を、スパッタリング法によって順次堆積する。続いて、酸素雰囲気中でのRTA(Rapid Thermal Annealing)により、SRO膜119の結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜119を堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜119を容易に形成することが可能である。その後、キャパシタの誘電体膜としてPb(ZrxTi1-x )O3 膜(PZT膜)120をスパッタリング法により形成する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、PZT膜120の結晶化を行う。続いて、SRO膜121をスパッタリング法により堆積する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、SRO膜121の結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜121を堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜121を容易に形成することが可能である。続いて、プラチナ膜122をスパッタリング法によって堆積する。
【0018】
次に、CVD法によって全面にシリコン酸化膜(図示せず)を堆積する。さらに、光リソグラフィー法とRIE法によって、シリコン酸化膜をパターンニングする。続いて、パターニングされたシリコン酸化膜をマスクとして、RIE法により、プラチナ膜122、SRO膜121及びPZT膜120をエッチングする。さらに、光リソグラフィー法とRIE法により、SRO膜119、チタン膜118、プラチナ膜117及びチタン膜116をパターニングする。
【0019】
このようにして、チタン膜116、プラチナ膜117、チタン膜118及びSRO膜119の積層構造を有する下部電極と、強誘電体膜(PZT膜120)と、SRO膜121及びプラチナ膜122の積層構造を有する上部電極とを備えた強誘電体キャパシタが形成される。
【0020】
その後、全面にCVD法によりシリコン酸化膜123を堆積する。続いて、エッチング時にPZT膜120に生じたダメージを回復するために、酸素雰囲気下で650℃程度の熱処理を行う。さらに、上部電極とプラグ(タングステン膜115)とを接続する配線124を形成する。その後の工程は図示しないが、ドライブ線及びビット線の形成、メタル配線の形成等を行い、オフセット構造を有する強誘電体メモリが完成する。
【0021】
以下、本実施形態に係る強誘電体キャパシタの特性向上効果について、図5〜図7を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の比較例として、シリコン基板上に、SiO2 膜、チタン膜(厚さ10nm)、プラチナ膜(厚さ100nm)、SRO膜(厚さ10nm)及びPZT膜(厚さ130nm)を順次形成した試料を作製した。SRO膜及びPZT膜に関しては、アモルファス膜をスパッタリングによって形成した後、酸素雰囲気中でのアニールにより結晶化を行った。また、本実施形態に対応する試料として、シリコン基板上に、SiO2 膜、チタン膜(厚さ10nm)、プラチナ膜(厚さ100nm)、チタン膜(厚さ1.5nm)、SRO膜(厚さ2.5nm)及びPZT膜(厚さ130nm)を順次形成した試料を作製した。SRO膜に関しては、基板温度550℃で、In-situ結晶化プロセスのスパッタリングにより形成した。PZT膜に関しては、アモルファス膜をスパッタリングによって形成した後、酸素雰囲気中でのアニールにより結晶化を行った。
【0023】
図5は、このようにして得られた試料のXRDパターンを示したものである。比較例(試料A)のPZT膜は、ランダム配向であり、良好な結晶性は得られていない。これに対して、本実施形態(試料B)のPZT膜では、(111)配向のピークが観察され、極めて良好な結晶性が得られた。
【0024】
また、本実施形態の比較例として、シリコン基板上に、SiO2 膜、チタン膜(厚さ10nm)、プラチナ膜(厚さ100nm)、SRO膜(厚さ10nm)、PZT膜(厚さ130nm)、SRO膜(厚さ10nm)及びプラチナ膜(厚さ50nm)を順次形成した試料(PZTキャパシタ)を作製した。また、本実施形態に対応する試料として、シリコン基板上に、SiO2 膜、チタン膜(厚さ10nm)、プラチナ膜(厚さ100nm)、チタン膜(厚さ1.5nm)、SRO膜(厚さ2.5nm)、PZT膜(厚さ130nm)、SRO膜(厚さ10nm)及びプラチナ膜(厚さ50nm)を順次形成した試料(PZTキャパシタ)を作製した。SRO膜に関しては、In-situ結晶化プロセスのスパッタリングにより形成した。PZT膜に関しては、アモルファス膜をスパッタリングによって形成した後、酸素雰囲気中でのアニールにより結晶化を行った。
【0025】
図6は、このようにして得られた試料のヒステリシス特性を示したものである。比較例(図6(a))の試料に比べて、本実施形態(図6(b))の試料では、スイッチング電荷量及び角型比(squareness)ともに大幅に改善されている。なお、角型比は、ヒステリシスカーブにおける反転電荷量(Q0)と非反転電荷量(Q1)との比(Q0/Q1)に対応したものである。
【0026】
図7は、上記本実施形態の試料(PZTキャパシタ)の信頼性評価(スタティックスインプリント試験)の結果を示したものである。図7(a)は、試験前の試料のヒステリシス特性を示したものであり、スイッチング電荷量Qswは44.2μC/cm2 、角型比Q0/Q1は4.17であった。図7(b)は負書き込み後に、試料を150℃で100時間保持した後のヒステリシス特性を示したものであり、スイッチング電荷量Qswは35.9μC/cm2 、角型比Q0/Q1は3.55であった。図7(c)は正書き込み後に、試料を150℃で100時間保持した後のヒステリシス特性を示したものであり、スイッチング電荷量Qswは39.4μC/cm2 、角型比Q0/Q1は3.49であった。図7(a)、図7(b)及び図7(c)の結果からわかるように、スイッチング電荷量Qsw及び角型比Q0/Q1ともに僅かに低下しているだけである。したがって、良好なインプリント特性を有するPZTキャパシタを実現可能である。
【0027】
以上のように、SRO膜とプラチナ膜との間にチタン膜を設けることで、キャパシタの特性を向上させることができる。以下、この特性向上効果について、さらに説明する。
【0028】
導電性ペロブスカイト型金属酸化物の生成自由エネルギーの第1原理計算の結果から、導電性ペロブスカイト型金属酸化物(一般式ABO3 で表される)の熱力学的な安定性は、Bサイト元素の酸化物(BOx )の熱力学的な安定性に比例することがわかっている。また、Aサイト元素は、アルカリ土類元素や希土類元素などであり、極めて安定な酸化物を形成する。したがって、導電性ペロブスカイト型金属酸化物の安定性は、Bサイト元素の酸化物の安定性によって決まると考えてよい。
【0029】
図14は、種々の金属元素について、25℃における単純酸化物の1酸素分子当たりの生成エンタルピーを示したものである。図14に示した数値の絶対値が大きいほど、酸化物の安定性が高い。すなわち、図14に示した数値の絶対値が大きいほど、金属元素が酸化物を生成するときのギブスの自由エネルギーの減少量が大きい。
【0030】
図14からわかるように、SROのBサイト元素であるRuでは-72.8(kcal/mol)であり、Tiでは-225.8(kcal/mol)である。すなわち、Ti酸化物の方がRu酸化物よりも安定性が高い。上述したように、導電性ペロブスカイト型金属酸化物の熱力学的な安定性は、Bサイト元素の酸化物の熱力学的な安定性に比例することがわかっている。したがって、SROに含まれるRuの少なくとも一部をTiに置換することにより、SROの安定性が高くなる。
【0031】
Tiが存在しない場合には、SROの安定性が低いため、RuO2 等を多く含んだ結晶性の低いSRO膜上にPZT膜が形成され、良好な結晶性を有するPZT膜が得られない。本実施形態では、SRO膜とプラチナ膜との間にチタン膜を設けているため、熱処理等によってSRO膜に含まれるRuの一部がTiに置換される。そのため、Tiを含有することでSRO膜の安定性が向上し、良好な結晶性を有するSRO膜上にPZT膜を形成することができる。その結果、PZT膜の結晶性が向上し、インプリント特性や保持特性等のキャパシタの特性が向上すると考えられる。
【0032】
次に、良好なキャパシタ特性を得るための、SRO膜の膜厚及びチタン膜の膜厚について説明する。
【0033】
図8は、SRO膜の厚さを変化させたときの、角型比Q0/Q1及びPZT(111)強度を示した図である。図9は、SRO膜の厚さを変化させたときの、インプリント後のスイッチング電荷量(Qswafter imprint)とインプリント前のスイッチング電荷量(Qswinitial)との比(Qswafter imprint/Qswinitial)を示した図である。図8及び図9いずれも、チタン膜の厚さは3nmである。
【0034】
図8からわかるように、SRO膜が5nm程度より厚くなると、角型比Q0/Q1が大きく低下する。また、図9からわかるように、SRO膜が5nm程度より厚くなると、Qswafter imprint/Qswinitial が大きく低下する。したがって、SRO膜の厚さは、5nm以下であることが望ましい。また、図8からわかるように、SRO膜が3nm程度より厚くなると、PZT(111)強度が低下する。したがって、SRO膜の厚さは、3nm以下であることがより望ましい。また、SRO膜を設けない場合には、当然のことながら特性は劣化する。したがって、SRO膜の厚さの下限は、SRO膜の1分子層の厚さであることが望ましい。具体的には、SRO膜の厚さは、0.4nm以上であることが望ましい。なお、上述した厚さは、SRO膜以外の導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜についても同様にあてはまる。
【0035】
図10は、チタン膜の厚さを変化させたときの、角型比Q0/Q1及びPZT(111)強度を示した図である。図11は、チタン膜の厚さを変化させたときの、インプリント後のスイッチング電荷量(Qswafter imprint)とインプリント前のスイッチング電荷量(Qswinitial)との比(Qswafter imprint/Qswinitial)を示した図である。図10及び図11いずれも、SRO膜の厚さは2.5nmである。
【0036】
図10からわかるように、チタン膜が3nm程度より厚くなると、PZT(111)強度が大きく低下する。また、図11からわかるように、チタン膜が3nm程度以上になると、Qswafter imprint/Qswinitial が大きく低下する。したがって、チタン膜の厚さは、3nm以下であることが望ましい。また、図10からわかるように、チタン膜の厚さが2nm程度より厚くなると、角型比Q0/Q1が低下する。したがって、チタン膜の厚さは、2nm以下であることがより望ましい。また、チタン膜を設けない場合には、当然のことながら特性は劣化する。したがって、チタン膜の厚さの下限は、チタン膜の1分子層の厚さであることが望ましい。具体的には、チタン膜の厚さは、0.06nm以上であることが望ましい。なお、上述した厚さは、後述するチタン以外の金属元素で形成された金属膜についても同様にあてはまる。
【0037】
図12は、SRO膜の厚さを変化させたときの、SRO膜表面の平均粗さを示した図である。ここでは、粗さをrms(root-mean-square)で表している。チタン膜の厚さは3nmである。図12からわかるように、SRO膜が5nmよりも厚くなると、SRO膜表面の平均粗さが増大するが、SRO膜の厚さが5nm以下の場合には、SRO膜表面の平均粗さは0.5nm以下の一定値となる。
【0038】
図13は、チタン膜の厚さを変化させたときの、SRO膜表面の平均粗さを示した図である。SRO膜の厚さは2.5nmである。図13からわかるように、チタン膜が3nmよりも厚くなると、SRO膜表面の平均粗さが増大するが、チタン膜の厚さが3nm以下の場合には、SRO膜表面の平均粗さは0.5nm以下の一定値となる。
【0039】
以上の結果から、SRO膜表面の平均粗さは0.5nm以下であることが望ましい。
【0040】
以上のように、本実施形態では、SRO膜とプラチナ膜との間にチタン膜を設け、且つSRO膜の厚さを5nm以下とすることにより、SRO膜の安定性及び結晶性が向上する。その結果、SRO膜上に優れた結晶性を有するPZT膜を形成することができ、特性や信頼性に優れたキャパシタを形成することができる。また、チタン膜の厚さを3nm以下とすることにより、キャパシタの特性や信頼性をより確実に向上させることができる。
【0041】
(実施形態2)
図2(a)〜図2(c)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【0042】
図2(a)及び図2(b)の工程は、第1の実施形態の図1(a)及び図1(b)の工程と実質的に同様であり、それらの説明は省略する。
【0043】
図2(b)の工程の後、図2(c)に示すように、厚さ10nmのチタン膜116、及び貴金属膜として厚さ100nmのプラチナ膜117を、スパッタリング法によって順次堆積する。続いて、導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜として、厚さ3nmのチタンがドープされたSRO膜(Sr(Ru,Ti)O3 膜)119aを、スパッタリング法によって堆積する。続いて、酸素雰囲気中でのRTAにより、チタンがドープされたSRO膜119aの結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜119aを堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜119aを容易に形成することが可能である。その後、キャパシタの誘電体膜としてPb(ZrxTi1-x )O3 膜(PZT膜)120をスパッタリング法により形成する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、PZT膜120の結晶化を行う。続いて、SRO膜121をスパッタリング法により堆積する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、SRO膜121の結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜121を堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜121を容易に形成することが可能である。続いて、プラチナ膜122をスパッタリング法によって堆積する。
【0044】
次に、CVD法によって全面にシリコン酸化膜(図示せず)を堆積する。さらに、光リソグラフィー法とRIE法によって、シリコン酸化膜をパターンニングする。続いて、パターニングされたシリコン酸化膜をマスクとして、RIE法により、プラチナ膜122、SRO膜121及びPZT膜120をエッチングする。さらに、光リソグラフィー法とRIE法により、チタンがドープされたSRO膜119a、プラチナ膜117及びチタン膜116をパターニングする。
【0045】
このようにして、チタン膜116、プラチナ膜117及びチタンがドープされたSRO膜119aの積層構造を有する下部電極と、強誘電体膜(PZT膜120)と、SRO膜121及びプラチナ膜122の積層構造を有する上部電極とを備えた強誘電体キャパシタが形成される。
【0046】
その後、全面にCVD法によりシリコン酸化膜123を堆積する。続いて、エッチング時にPZT膜120に生じたダメージを回復するために、酸素雰囲気下で650℃程度の熱処理を行う。さらに、上部電極とプラグ(タングステン膜115)とを接続する配線124を形成する。その後の工程は図示しないが、ドライブ線及びビット線の形成、メタル配線の形成等を行い、オフセット構造を有する強誘電体メモリが完成する。
【0047】
このように、本実施形態では、チタンがドープされたSRO膜とプラチナ膜との積層構造を用いており、SRO膜の厚さを変化させたときの各種特性は、図8及び図9と同様の傾向を示すと考えられる。したがって、本実施形態においても、SRO膜の膜厚は第1の実施形態と同様、5nm以下とすることが望ましく、3nm以下とすることがより望ましい。また、SRO膜の厚さは、0.4nm以上であることが望ましい。これらの厚さは、SRO膜以外の導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜についても同様にあてはまる。
【0048】
したがって、本実施形態においても、第1の実施形態で説明したのと同様の理由により、SRO膜の安定性及び結晶性が向上し、特性や信頼性に優れたキャパシタを形成することができる。
【0049】
(実施形態3)
図3(a)〜図3(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【0050】
図3(a)及び図3(b)の工程は、第1の実施形態の図1(a)及び図1(b)の工程と実質的に同様であり、それらの説明は省略する。
【0051】
図3(b)の工程の後、図3(c)に示すように、厚さ10nmのチタン膜116、貴金属膜として厚さ100nmのイリジウム膜117a、貴金属膜として厚さ50nmのプラチナ膜117b、金属膜として厚さ2nmのチタン膜118、及び導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜として厚さ3nmのSrRuO3 膜(SRO膜)119を、スパッタリング法によって順次堆積する。続いて、酸素雰囲気中でのRTA(Rapid Thermal Annealing)により、SRO膜119の結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜119を堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜119を容易に形成することが可能である。その後、キャパシタの誘電体膜としてPb(ZrxTi1-x )O3 膜(PZT膜)120をスパッタリング法により形成する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、PZT膜120の結晶化を行う。続いて、SRO膜121をスパッタリング法により堆積する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、SRO膜121の結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜121を堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜121を容易に形成することが可能である。続いて、プラチナ膜122をスパッタリング法によって堆積する。
【0052】
次に、CVD法によって全面にシリコン酸化膜(図示せず)を堆積する。さらに、光リソグラフィー法とRIE法によって、シリコン酸化膜をパターンニングする。続いて、パターニングされたシリコン酸化膜をマスクとして、RIE法により、プラチナ膜122、SRO膜121及びPZT膜120をエッチングする。さらに、光リソグラフィー法とRIE法により、SRO膜119、チタン膜118、プラチナ膜117b、イリジウム膜117a及びチタン膜116をパターニングする。
【0053】
このようにして、チタン膜116、イリジウム膜117a、プラチナ膜117b、チタン膜118及びSRO膜119の積層構造を有する下部電極と、強誘電体膜(PZT膜120)と、SRO膜121及びプラチナ膜122の積層構造を有する上部電極とを備えた強誘電体キャパシタが形成される。
【0054】
その後、全面にCVD法によりシリコン酸化膜123を堆積する。続いて、エッチング時にPZT膜120に生じたダメージを回復するために、酸素雰囲気下で650℃程度の熱処理を行う。この熱処理の際に、酸素がPZT膜120の下方にも達するが、イリジウム膜117aの酸素バリア作用により、タングステンプラグ115の酸化が防止される。その後の工程は図示しないが、タングステン膜111に接続されるコンタクトの形成、ドライブ線及びビット線の形成、メタル配線の形成等を行い、COP(Capacitor On Plug)構造を有する強誘電体メモリが完成する。
【0055】
このように、本実施形態では、SRO膜、チタン膜、プラチナ膜及びイリジウム膜の積層構造を用いており、SRO膜の厚さを変化させたときの各種特性は、図8及び図9と同様の傾向を示すと考えられる。したがって、本実施形態においても、SRO膜の膜厚は第1の実施形態と同様、5nm以下とすることが望ましく、3nm以下とすることがより望ましい。また、SRO膜の厚さは、0.4nm以上であることが望ましい。これらの厚さは、SRO膜以外の導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜についても同様にあてはまる。また、チタン膜の厚さを変化させたときの各種特性も、図10及び図11と同様の傾向を示すと考えられる。したがって、本実施形態においても、チタン膜の膜厚は第1の実施形態と同様、3nm以下とすることが望ましく、2nm以下とすることがより望ましい。また、チタン膜の厚さは、0.06nm以上であることが望ましい。なお、これらの厚さは、後述するチタン以外の金属元素で形成された金属膜についても同様にあてはまる。
【0056】
したがって、本実施形態においても、第1の実施形態で説明したのと同様の理由により、SRO膜の安定性及び結晶性が向上し、特性や信頼性に優れたキャパシタを形成することができる。
【0057】
(実施形態4)
図4(a)〜図4(c)は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【0058】
図4(a)及び図4(b)の工程は、第1の実施形態の図1(a)及び図1(b)の工程と実質的に同様であり、それらの説明は省略する。
【0059】
図4(b)の工程の後、図4(c)に示すように、厚さ10nmのチタン膜116、貴金属膜として厚さ100nmのイリジウム膜117a、貴金属膜として厚さ50nmのプラチナ膜117bを、スパッタリング法によって堆積する。続いて、導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜として、厚さ3nmのチタンがドープされたSRO膜(Sr(Ru,Ti)O3 膜)119aを、スパッタリング法によって順次堆積する。続いて、酸素雰囲気中でのRTAにより、チタンがドープされたSRO膜119aの結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜119aを堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜119aを容易に形成することが可能である。その後、キャパシタの誘電体膜としてPb(ZrxTi1-x )O3 膜(PZT膜)120をスパッタリング法により形成する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、PZT膜120の結晶化を行う。続いて、SRO膜121をスパッタリング法により堆積する。さらに、酸素雰囲気中でのRTAにより、SRO膜121の結晶化を行う。なお、例えば550℃の温度でSRO膜121を堆積することにより、結晶性に優れたSRO膜121を容易に形成することが可能である。続いて、プラチナ膜122をスパッタリング法によって堆積する。
【0060】
次に、CVD法によって全面にシリコン酸化膜(図示せず)を堆積する。さらに、光リソグラフィー法とRIE法によって、シリコン酸化膜をパターンニングする。続いて、パターニングされたシリコン酸化膜をマスクとして、RIE法により、プラチナ膜122、SRO膜121及びPZT膜120をエッチングする。さらに、光リソグラフィー法とRIE法により、チタンがドープされたSRO膜119a、プラチナ膜117b、イリジウム膜117a及びチタン膜116をパターニングする。
【0061】
このようにして、チタン膜116、イリジウム膜117a、プラチナ膜117b、チタンがドープされたSRO膜119aの積層構造を有する下部電極と、強誘電体膜(PZT膜120)と、SRO膜121及びプラチナ膜122の積層構造を有する上部電極とを備えた強誘電体キャパシタが形成される。
【0062】
その後、全面にCVD法によりシリコン酸化膜123を堆積する。続いて、エッチング時にPZT膜120に生じたダメージを回復するために、酸素雰囲気下で650℃程度の熱処理を行う。この熱処理の際に、酸素がPZT膜120の下方にも達するが、イリジウム膜117aの酸素バリア作用により、タングステンプラグ115の酸化が防止される。その後の工程は図示しないが、タングステン膜111に接続されるコンタクトの形成、ドライブ線及びビット線の形成、メタル配線の形成等を行い、COP構造を有する強誘電体メモリが完成する。
【0063】
このように、本実施形態では、チタンがドープされたSRO膜、プラチナ膜及びイリジウム膜の積層構造を用いており、SRO膜の厚さを変化させたときの各種特性は、図8及び図9と同様の傾向を示すと考えられる。したがって、本実施形態においても、SRO膜の膜厚は第1の実施形態と同様、5nm以下とすることが望ましく、3nm以下とすることがより望ましい。また、SRO膜の厚さは、0.4nm以上であることが望ましい。これらの厚さは、SRO膜以外の導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜についても同様にあてはまる。
【0064】
したがって、本実施形態においても、第1の実施形態で説明したのと同様の理由により、SRO膜の安定性及び結晶性が向上し、特性や信頼性に優れたキャパシタを形成することができる。
【0065】
なお、上述した第1乃至第4の実施形態は、以下のような種々の変更が可能である。
【0066】
上記第1乃至第4の実施形態では、導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜としてSRO膜を用いたが、(La,Sr)CoO3 膜、BaRuO3 膜或いはLaNiO3 膜を用いてもよい。一般的には、Bサイト元素としてRu、Co及びNiの少なくとも一つを含んだ導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜を用いることが可能である。
【0067】
また、上記第1及び第2の実施形態では貴金属膜(導電膜)としてプラチナ膜(Pt膜)を、上記第3及び第4の実施形態では貴金属膜(導電膜)としてプラチナ膜及びイリジウム膜(Ir膜)を用いたが、貴金属膜としてはルテニウム膜(Ru膜)もあげられる。また、貴金属膜の代わりに、イリジウム酸化物膜(IrO2 膜)或いはルテニウム酸化物膜(RuO2 膜)といった貴金属膜酸化物膜を用いてもよい。
【0068】
また、上記第1及び第3の実施形態では金属膜としてチタン膜(Ti膜)を用い、上記第2及び第4の実施形態ではチタン(Ti)がドープされたSRO膜を用いたが、第2の金属元素としてTi以外の金属元素を用いてもよい。SrRuO3 膜等の導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜のBサイト元素を第1の金属元素とすると、第2の金属元素が酸化物を生成するときのギブスの自由エネルギーの減少量の方が、第1の金属元素が酸化物を生成するときのギブスの自由エネルギーの減少量より大きければよい。具体的には、第2の金属元素として、Tiの他、V、W、Zr、Cr、Mg、Hf、Mo、Mn、Ta或いはNbを適用可能である。
【0069】
また、上記第1乃至第4の実施形態では、誘電体膜(強誘電体膜)としてPZT膜(Pb(ZrxTi1-x )O3 膜)を用いたが、SBT膜(SrBi2Ta2O9 膜)を用いてもよい。一般的には、ペロブスカイト化合物膜或いはBi層状化合物膜を用いることが可能である。また、誘電体膜として高誘電体膜を用いてもよい。
【0070】
また、上記第1乃至第4の実施形態では、プラグとしてタングステンプラグを用いたが、ポリシリコンプラグを用いてもよい。
【0071】
また、上記第1及び第3の実施形態では、貴金属膜、金属酸化物膜及び金属膜をスパッタリング法で形成したが、これらをCVD法又はゾル−ゲル法によって形成してもよい。また、上記第2及び第4の実施形態では、貴金属膜及び金属酸化物膜をスパッタリング法で形成したが、これらを、CVD法又はゾル−ゲル法によって形成してもよい。
【0072】
また、金属酸化物膜をスパッタリング法で形成する場合には、基板温度を400℃以上とすることが望ましい。この場合、不活性ガス及び酸素ガスの混合ガス雰囲気において、スパッタリングを行うようにしてもよい。また、酸素ガス濃度が40%以下の混合ガス雰囲気において、スパッタリングを行うようにしてもよい。
【0073】
さらに、上記第1乃至第4の実施形態で述べた手法は、FeRAMの他、DRAMにも適用可能である。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出され得る。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば発明として抽出され得る。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、下部電極の一部に用いる導電性ペロブスカイト型金属酸化物膜の安定性及び結晶性を向上させることができ、キャパシタの特性や信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【図4】 本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示した断面図である。
【図5】 本発明の実施形態及び比較例に係り、XRDパターンの強度を示した図である。
【図6】 本発明の実施形態及び比較例に係り、ヒステリシス特性を示した図である。
【図7】 本発明の実施形態に係り、ヒステリシス特性の変化を示した図である。
【図8】 本発明の実施形態に係り、SRO膜の厚さを変化させたときの特性を示した図である。
【図9】 本発明の実施形態に係り、SRO膜の厚さを変化させたときの特性を示した図である。
【図10】 本発明の実施形態に係り、チタン膜の厚さを変化させたときの特性を示した図である。
【図11】 本発明の実施形態に係り、チタン膜の厚さを変化させたときの特性を示した図である。
【図12】 本発明の実施形態に係り、SRO膜の厚さを変化させたときの、SRO膜表面の平均粗さを示した図である。
【図13】 本発明の実施形態に係り、チタン膜の厚さを変化させたときの、SRO膜表面の平均粗さを示した図である。
【図14】 酸化物の生成エンタルピーを示した図である。
【符号の説明】
100…シリコン基板、 101…素子分離領域、
102…ゲート絶縁膜、 103…多結晶シリコン膜、
104…WSix 膜、 105、106、112…シリコン窒化膜、
107…ソース/ドレイン領域、 108、123…シリコン酸化膜、
110、114…TiN膜、 111、115…タングステン膜、
116、118…チタン膜、 117、117b、122…プラチナ膜、
117a…イリジウム膜、 119、121…SRO膜、
119a…チタンがドープされたSRO膜、 120…PZT膜
124…配線
Claims (9)
- 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に設けられ、下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に設けられた誘電体膜とを含むキャパシタと、
を備え、
前記下部電極は、貴金属膜及び貴金属酸化物膜の中から選択された導電膜と、前記誘電体膜と前記導電膜との間に設けられたSRO膜からなるペロブスカイト型金属酸化物膜と、前記導電膜と前記金属酸化物膜との間に設けられたTi膜からなる金属膜と、を備え、
前記金属酸化物膜の厚さは5nm以下である
ことを特徴とする半導体装置。 - 前記金属膜の厚さは3nm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記導電膜は、イリジウム膜、イリジウム酸化物膜、ルテニウム膜、ルテニウム酸化物膜及びプラチナ膜の中から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記誘電体膜は、ペロブスカイト化合物膜及びBi層状化合物膜の中から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記誘電体膜は、Pbを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記金属酸化物膜の表面粗さは、0.5nm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記半導体基板と前記キャパシタとの間に設けられた中間領域をさらに備え、前記中間領域は前記下部電極又は前記上部電極に電気的に接続されたプラグを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - 前記半導体基板上に設けられ、前記プラグに電気的に接続されたトランジスタをさらに備えた
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。 - 前記導電膜、前記金属酸化物膜及び前記金属膜の少なくとも一つは、スパッタリング法、CVD法又はゾル−ゲル法によって形成されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
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