JP3776166B2 - 表面処理装置及び表面処理方法 - Google Patents

表面処理装置及び表面処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理槽に被表面処理物を浸漬して表面処理を行う表面処理装置及び表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車の車体のような大型の部材に対する電着塗装は、図13に示すように、処理液を充填した処理槽500内へ被処理物である車体502を浸漬しながら搬送して行っている。この方法では、車体502を、そのままハンガ504でつり下げ(横吊り)、オーバーヘッドコンベア506を用いて搬送しながら、搬送経路に設けられた処理槽500に浸漬する。従って、処理液に車体502全体を浸漬することができるため、処理ムラがなく、迅速に処理することができるという利点がある。
【0003】
しかし、上記横吊り法では、ルーフ、フード裏等に空気が溜まりやすく、所謂エアーポケットが発生しやすい。このため、エアーポケットの泡跡により品質を維持することが難しいという問題を有する。また、出槽角度が浅いためゴミ・ブツ等が付着し、処理ムラが生じやすいこと、及び出槽角度が浅いために出槽の際に処理液が大量に持ち出されるため処理液の無駄が多いこと、また、広い工程スペースを必要とすること等が問題となっている。
【0004】
これを改良するために、処理槽に浸漬し車体を水平軸回りに回動させることが提案されている(例えば、実開平4−21559号公報参照)。車体を回動することによってエアーポケットが発生しにくく、泡跡による処理ムラを抑えることができる。しかし、処理槽に対して車体を水平状態で下降させ浸漬させているので昇降時の抵抗が大きい。
【0005】
そこで、図14に示されるような縦吊り法が提案されている。縦吊り法では、ホイスト604に連結された固定部605を介して車体602を縦吊りし、オーバーヘッドコンベア607のレールに沿ってホイスト604を移動させることにより、車体602を搬送する。ホイスト604は、ホイスト走行により搬送可能となっており、処理槽上に到達するとモータの駆動によりチェン606を伸長させ、固定部605を処理槽600に向けて下降させる。これにより、車体602を浸漬するようになっており、この結果、出槽時において持ち出される処理液の量を減らすことができる。
【0006】
しかし、縦吊り法では、横吊り法で問題となったルーフ及びフード裏におけるエアーポケットの発生を排除することができるが、車体の形状に起因する他の部分のエアーポケットの発生を排除することができないという欠点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため、縦吊り法であっても横吊り法のいずれの方法で行っても、エアーポケットの発生を完全に排除するために車体の構造を検討する必要があり、モデルチェンジ等を行った場合には、電着つきまわりテスト、評価、設備変更、検討等の工程が必要となり、手間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、被表面処理物の形状にかかわらず、全ての被表面処理物でエアーポケットに起因した泡跡の発生を排除し、仕上がり品質がよく、効率的な表面処理が達成可能である表面処理装置及び表面処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の表面処理装置は、被表面処理物を保持する保持台と、前記保持台を吊下する吊下手段と、記保持台を回動させる回動手段と、前記吊下手段を搬送経路に従って搬送する搬送手段と、前記吊下手段を上下動させて前記被表面処理物を入出槽させる昇降手段と、前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御する回動制御手段と、を有することを特徴としている。
また、請求項2記載の表面処理装置は、被表面処理物を保持する保持台と、前記保持台を吊下する吊下手段と、前記保持台を回動させる回動手段と、前記吊下手段を上下動させて前記被表面処理物を入出槽させる傾斜部を備えた搬送経路に従って前記吊下手段を搬送する搬送手段と、前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御する回動制御手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1および2の発明によれば、保持台が回動手段によって回動することができるので、例えばオペレータが操作することによって、処理槽に対して入槽するときに回動して被表面処理物の長手方向を縦方向とする縦吊り状態で入槽し、処理槽内で保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽することができる。処理槽内で回動することにより、被表面処理物の形状に起因したエアーポケットの発生を排除することができる。また、縦吊り状態で入出槽するので、入出槽時の液面に対する抵抗を小さくすると共に出槽の際に被表面処理物と共に持ち出される処理液の量を大幅に減少させることができる。従って、被表面処理物の形状にかかわらず、全ての被表面処理物でエアーポケットに起因した泡跡の発生を排除し、仕上がり品質がよく効率的な表面処理を行うことができる。
【0011】
請求項記載の表面処理装置は、請求項1および2において、記保持台の入槽位置を検出する第1の検出手段を前記搬送経路途中に設け、前記回動制御手段は、前記第1の検出手段からの信号に基づいて前記保持台を回動させて、前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御することを特徴としている。
【0012】
請求項の発明では、回動制御手段により、被表面処理物が縦吊り状態で入槽し、入槽後回動し横吊り状態にされた後、縦吊り状態で出槽するので、少ない抵抗力で確実に入出層すると共に出槽時に被表面処理物と共に持ち出される処理液の量を一層大幅に減らすことができる。また、第1の検出手段のみで入出槽を実行可能にすると共に処理槽内での回動も実行可能にするので、少ない部品数で効率よく自動的に処理を行うことができる。
【0013】
請求項記載の表面処理装置は、請求項1および2において、前記保持台の入槽位置を検出する第1の検出手段、および前記保持台の出槽位置を検出する第2の検出手段を前記搬送経路途中に設け、前記回動制御手段は、前記第1の検出手段からの信号に基づいて前記保持台を回動させて、前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、前記第2の検出手段からの信号に基づいて被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御することを特徴としている。
【0014】
請求項記載の発明によれば、縦吊り状態で入槽した後、入槽から出槽までの間、回動手段を回動させて横吊り状態にした後、出槽位置において縦吊り状態で出槽することができる。また、第1の検出手段および第2の検出手段を設けたため、これにより、縦吊り状態での入出槽と処理槽内部での回動とを自動的に行うことができる。また、回動中でも搬送を継続させるので、搬送が停止することなく処理を継続することができ、複雑な機構を必要とせずに連続的に複数の被表面処理物の表面処理を行うことができる。
【0015】
請求項記載の表面処理装置は、請求項1乃至において、前記保持台が、前記保持台に載置された前記被表面処理物の長手方向に移動可能な調節部材と、前記調節部材に、該調節部材の移動方向に直交する方向で移動可能に設けられ、前記調節部材上に載置された被表面処理物の保持箇所を保持する保持部材と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項の発明によれば、移動可能な調節部材と被表面処理物の一部を保持する保持部材とが保持台に備えられているので、被表面処理物の保持箇所に合わせて調節部材を移動して確実に保持部材で被表面処理物を保持台に保持することができる。これにより、被表面処理物の形状が変更されても設定された保持箇所に合わせて保持部材を移動することができるので、被表面処理物の形状に拘わらず保持台に被表面処理物を保持することができる。
【0017】
請求項記載の表面処理装置は、請求項1乃至において、前記回動手段、前記吊下手段に対して前記保持台を回転可能に支持する回動軸と、前記回動軸と同軸的に設けられたスプロケットと、前記吊下手段の上端部に設けられた駆動源と、前記スプロケットに前記駆動源の回転力を伝達するチェンと、前記駆動源の駆動量を制御し、前記保持台を所定の角度に回動させる駆動制御手段と、を含んで構成たことを特徴としている。
【0018】
請求項の発明によれば、駆動制御手段によって駆動源が所定量駆動することによりチェンを介してスプロケットが回転して回転軸と共に保持台が回動するので、簡単な機構で保持台を回動することができる。また駆動源を吊下手段の上端部に配置することによって、保持台が処理液に浸漬されることに伴って吊下手段の下端部から処理液に浸漬しても駆動源が処理液に浸漬することがなく、駆動源が処理液の影響を受けることがない。また、チェンを処理液に反応しない材質、例えば樹脂製のものとすることによって、処理によるチェンの劣化及び塗料付着を防止することもできる。
また、請求項7記載の表面処理装置は、請求項1乃至5において、前記回動手段を、前記保持台に固定された円弧状のラックと、前記吊下手段に回転可能に支持され且つ前記ラックと歯合されたピニオンと、前記ピニオンを回転駆動する駆動モータと、を含んで構成したことを特徴としている。
【0019】
請求項記載の表面処理方法は、被表面処理物を吊り下げて搬送経路上を搬送しながら、表面処理液が充填された処理槽に前記被表面処理物を入槽して処理液に浸漬して表面処理を行う表面処理方法において、前記処理槽に対して、前記被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記処理槽内部において、処理液に浸漬された前記被表面処理物を回動して横吊り状態にした後、前記処理槽に対して、前記被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させること、を特徴としている。
【0020】
請求項の発明によれば、被表面処理物を所謂縦吊り状態で入槽し、処理槽内で回動して横吊り状態にした後、縦吊り状態で出槽するので、入出槽時の処理液面に対する抵抗を小さくすると共に液抜け性を向上させることができ、処理液の持ち出し量を少なくすることができる。また、処理槽内で回動することによって被表面処理物の形状に起因するエアーポケットの発生を排除することができる。ここで、処理槽内の回動を例えば180°の回動にすることで、保持台に保持された被表面処理物が逆さまになることがなく、簡単に被表面処理物を保持することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下に図面を参照して、車体の塗装処理、特に電着(下塗り)処理に適用した場合を例に、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0022】
図1には、本発明が適用可能な電着処理のための処理装置10が示されている。処理装置10には、電着塗料が充填された処理槽12が配設されており、処理槽12の上方にはコンベア16が配設されている。コンベア16は、処理槽12での表面処理を行う車体14を、図示しない駆動手段によって図1矢印Aで示す方向に搬送するようになっている。
【0023】
処理槽12の側壁には図示しない電極が配設されて、処理液を正に帯電させている。一方、後述するフリーレール94には図示しない集電バーが配設されて、処理対象の車体14が負に帯電するようになっている。これにより、処理液に浸漬することによって車体14に対して電着塗装が行われるようになっている。
【0024】
コンベア16のレール18には、車体14を支持するハンガ20が吊り下げられるようになっている。
【0025】
図2(A)に示されるように、ハンガ20には、車体14を載置するベース24とこれを保持するハンガアーム22とが備えられている。
【0026】
図2(A)及び(B)に示されるように、コンベア16の内部には、トロリー26が収容されている。トロリー26は、軸26Aを介して支持部28に連結されており、トロリー26がコンベア16内部を移動することにより、コンベア16のレール18に沿って支持部28を搬送するようになっている。
【0027】
支持部28には、垂直方向を長手方向とするシャフト30の一端を介してハンガーアーム22が連結されている。
【0028】
ハンガアーム22は、レール18に対して水平方向に延出した水平部22Aと下方へ垂直に延出した垂下部22Bとから構成されている。垂下部22Bの先端には、車体14を載置するベース24が取り付けられている。
【0029】
図3に示されるように、ベース24は、矩形状の枠体32と一対の固定部材34とで構成されている。枠体32とハンガアーム22との連結位置は、ベース24に車体14を載置したときに車体14の重心の位置と一致するようになっている。
【0030】
固定部材34は、枠体32の幅方向(矢印W方向)を長手方向とした矩形状の部材であり、固定部材34の長手方向両端部には支持軸36が突設されている。枠体32には長手方向(矢印L方向)に沿って長円状の調節孔38が設けられており、支持軸36が調節孔38に沿って移動可能に挿入されている。調節孔38の内周面には、表面に凹凸が形成されたラック部40が設けられており、また、支持軸36の外周面に形成されたギア部36Aと噛み合っている。これにより、支持軸36の位置が固定され、車体14の長さに応じて位置決めされた後、固定できるようになっている。
【0031】
固定部材34の上面には、固定部材34の長手方向に沿ってガイド溝42が設けられており、ガイド溝42には、ベース24に載置された車体14の一部を保持する一対の楔状のチャック44の基部が挿入されるようになっている。
【0032】
また、固定部材34の内部には、チャック44の移動機構(図示せず)が収容されており、チャック44をガイド溝42に沿って各々移動させるようになっている。これにより、チャック44の位置を調節して固定し、車体14の一部を挟持し、また離反方向に移動させて保持状態を解除するようになっている。
【0033】
図4に示されるように、車体14をベース24に載置する際には、アーム48Aを備えた載置装置48が用いられる。アーム48Aの下方にはベース24を間においてチャッキングロック装置50が配置されている。
【0034】
チャッキングロック装置50には、載置した車体14の固定箇所に合わせてチャック44の移動機構を駆動させる爪52が備えられている。爪52は、車体14がベース24上に載置される際に、チャック44の移動機構と連結され、チャック44の位置を調整する(図3において矢印W方向)。また、固定部材34の内部に設けられたチャック44の図示しない移動機構に連結して、固定部材34の位置を調整する(図3において矢印L方向)。チャッキングロック装置50には、予め車体14の形状(車種)に基づいて定められた固定箇所が記憶されており、処理対象となる車体14に合わせてチャック44を移動するようになっている。
【0035】
図2(B)に示されるように、ハンガアーム22の水平部22Aには、回転駆動モータ54が配置されている。回転駆動モータ54の内部にはモータ本体とモータ本体に接続された減速機(共に図示せず)とが密閉されて収容されている。これにより、モータ本体及び減速機に塗料が付着しないようになっている。減速機はモータ本体の駆動に基づく回転数を適当な回転数に減速するようになっている。回転駆動モータ54の駆動軸56には、スプロケット58が取り付けされている。回転駆動モータ54は、コントローラ68(図5参照)に接続されており、コントローラ68からの指示に基づいて駆動・停止するようになっている。
【0036】
回転駆動モータ54の他端側にはエンコーダ66が連結されている。エンコーダ66は、回転駆動モータ54の回転数をパルス信号に変換するようになっている。エンコーダ66にはコントローラ68(図5参照)が接続されており、エンコーダ66からのパルス信号がコントローラ68に入力するようになっている。コントローラ68では、このパルス信号に基づいて回転駆動モータ54の回転数を検出できるようになっている。
【0037】
一方、ベース24には、ハンガアーム22との連結部分に回転軸60が備えられている。この回転軸60に取り付けられたスプロケット61と回転駆動モータ54に取り付けられたスプロケット58との間には、樹脂製のチェン62が巻きかけられている。これにより、駆動モータ54が駆動してスプロケット58が回動すると、スプロケット61と共に回転軸60が回転するようになっている。
【0038】
図3に示すように、回転軸60先端の給電用密閉装置64には枠体32が連結されている。これにより、電着液をシールドしてベース24への通電を確保している。
【0039】
従って、スプロケット61が、スプロケット58及びチェン62を介して所定の回転数に基づいて回転することによって、枠体32が回動するようになっており、これにより、ベース24のハンガ22に対する角度が変更されるようになっている。
【0040】
また、図1に示されるように、処理槽12とレール18との間にはフリーレール94が配設されている。フリーレール94は、図示しない支持部材によって処理槽12の上に支持されている。フリーレール94の内部には、無端の搬送チェン95が収容されており、フリーレール94の一端から他端に移動するようになっている。また、フリーレール94の両端部は、各々処理槽12の入槽位置及び出槽位置に対応して配置されている。
【0041】
フリーレール94は、処理槽12と平行して延設されており、レール18とフリーレール94との間には、レール90A、92Aが各々配設されている。レール90A、92Aは、各々一対のレールで構成されている。また、レール90A、92Aには、各々ドロップリフター90、92が取り付けられており、図示しない昇降機構によって、各々一対のレール90A、92Aに沿ってレール18とフリーレール94との間を移動するようになっている(図1における矢印B及び矢印C参照)
ドロップリフター90、92は、図示しない昇降機構に接続された箱状の装置であり、図示しないハンガ移動機構を備えている。ハンガ移動機構は、ハンガ20をドロップリフター90、92へ引き込むと共に、収容されたハンガ20を所定方向へ押し出すことができるようになっている。これにより、レール18又はフリーレール94に沿って搬送してきたハンガ20が、ドロップリフター90、92に収容されるようになっており、また、収容されたハンガ20が、フリーレール94又はレール18へ移動するようになっている。
【0042】
図5に示されるように、ハンガ20には図示しないCPU、RAM、ROMから構成され、各構成機器の駆動を監視・制御するコントローラ68が備えられている。
【0043】
また、コントローラ68には、位置センサ70が接続されている。位置センサ70は、ハンガ22が搬送されるコンベア16のレール18及びフリーレール94の近傍に設けられた発光器71A、71B、71C、71D(図1参照)からの光を感知してオン信号を出力するようになっている。これにより、コントローラ68は、移動経路上のハンガアーム22の位置を検出することができるようになっている。
【0044】
図1に示されるように、発光器71Aは処理槽12よりも上流側の第1の位置80に配置され、発光器71Bは処理槽12のうち上流側端部近傍の第2の位置82に配置され、発光器71Cは処理槽12のうち下流側端部近傍の第3の位置84に配置され、発光器71Dは処理槽12よりも下流側の第4の位置86に配置されている。これらの位置に配置された発光器71A、71B、71C、71Dからの光を位置センサ70が検出することによって、コントローラ68がハンガ20の位置を認識することができるようになっている。
【0045】
従って、コントローラ68は、位置センサ70によって検出される位置に基づいて回転駆動モータ54の駆動を制御して、エンコーダ66からのパルス信号に基づいてベース24の回動角度を調整するようになっている。また、コントローラ68は、ドロップリフター90、92の図示しない昇降機構に接続しており、搬送量と処理装置10における位置とに基づいてドロップリフター90、92を昇降させて、ハンガ20を処理槽12に向けて上下動するようになっている。
【0046】
これにより、図6に示すように、車体14の長手方向が搬送方向と一致する所謂横吊り状態を維持していた車体14(図1参照)は、第1の位置80を通過することにより回動して、車体14を縦吊り状態にするようになっている(車体14A参照)。これにより、第2の位置82において車体14を浸漬する際には、縦吊り状態で処理液に浸漬することができるようになっている。
【0047】
処理槽12内部では、即ち第2の位置82から第3の位置84までの間に、車体14は図6において時計回りに回動するようになっている(車体14B、14C、14D、14E、14F参照)。これにより、発生した泡が車体14の形状に拘わらず車体14の内部に溜まらないようになっている。
【0048】
また、第3の位置84を通過することにより回動して、結果的に入槽時の状態から180°回動した状態となり、車体14は縦吊り状態で出槽するようになっている(車体14G参照)。
【0049】
なお、入槽時及び出槽時では、車体14よりも、車体14を固定するベース24が処理槽12の側壁に接近するようになっている。これにより、入槽する位置及び出槽する位置を最も処理槽12の側壁側に接近することができ、処理槽12の溶液を有効に使用することができる。
【0050】
次に本実施の形態の作用について説明する。
ハンガ20に対してコントローラ68から回動の指示が与えられると、回動駆動モータ54が駆動を開始し、減速機により適当な回転数に変換された後、変換後の回転数で回転軸60が回転し、ベース24が回転軸60廻りに回動する。
【0051】
回転駆動モータ54はエンコーダ66により回転量が測定されており、回転駆動モータ54の回転が所定の量に到達すると、コントローラ68が回転駆動モータ54に対して停止を指示する。これにより、ベース24の回動が停止し、車体14が縦吊り状態となる。
【0052】
次にハンガ20を用いた車体14の搬送について説明する。
チャックロック装置50上にハンガ20のベース24を配置すると、チャックロック装置50の爪52がチャック44の移動機構に連結される。
【0053】
次に処理対象の車体14を載置装置48によって運搬してベース24上に配置すると、車体14の種類に応じてチャックロック装置50の爪52がチャック44を移動させ、車体14を挟持させる。これにより、ベース24上に車体14が保持される。
【0054】
車体14がベース24上に保持されると、図示しないドロップリフターによってハンガ20をレール18上に配置する。コンベア16が作動すると、ハンガ20がレール18に沿って所定の搬送速度で処理槽12へ向けて搬送を開始する。ハンガ20の搬送が開始されることによって、表面処理工程に移行し、図7に示される回動を含む表面処理が開始される。
【0055】
図7に示されるように、処理槽12に対して表面処理の際に行われる回動工程は、処理槽12の車体14を浸漬する入槽時の回動工程180と、処理槽12内部に浸漬された車体14に対して表面処理を行う際の処理槽内回動工程182と、表面処理を終了した車体14を処理槽12から取り出す出槽時の回動工程184とで構成されている。
【0056】
次に図8及び図9を参照して、回動を含む表面処理について説明する。
車体14をベース24上に固定したハンガ20が搬送を開始すると、図8に示す入槽時の回動工程に移行し、ステップ200において、第1の位置80に到達したか否かが判断される。ハンガ20がレール18に沿って搬送し、第1の位置80に配置された発光器71Aからの光を位置センサ70が感知してコントローラ68にオン信号を出力すると、第1の位置80に到達したことが認識される。第1の位置80に到達したことが認識されると判断が肯定されて、ステップ202に移行する。
【0057】
ステップ202では、ベース24の回動が指示され、ステップ204において、車体14が縦吊り状態になったが否かが判断される。コントローラ68からの回動の指示に基づいて、第1の位置80から第2の位置82までの距離を搬送する間に回転軸60廻りにベース24が回動し、ベース24上に載置された車体14を、前部を下方にした縦吊り状態にする。
【0058】
ベース24が回動して車体14が縦吊り状態になった場合に判断は肯定されてステップ206に移行し、ベース24の回動が停止し、ステップ208において、第2の位置82に到達したか否かが判断される。
【0059】
ステップ208において、ハンガ20が第2の位置82(入槽位置)に到達し、第2の位置82に備えられた発光器71Bを位置センサ70が感知すると、判断は肯定されてステップ210に移行する。このとき、ハンガ20はレール18からドロップリフター90に乗り移る。
【0060】
ステップ210では、ハンガ20が収容されたドロップリフター90が下降を開始する。ドロップリフター90に連結された図示しない昇降機構が作動すると、ドロップリフター90はハンガ20を収容した状態で、レール90Aに沿って下降する。ドロップリフター90の下降に伴って、ベース24が処理槽12の底面に向けて下降し、ベース24に固定された車体14が、処理槽12に充填された処理液に対して縦吊り状態で、前部から少しずつ浸漬される。
【0061】
ドロップリフター90が下降を開始すると、ステップ212において、下降が完了したか否かが判断される。ドロップリフター90が、レール90Aに沿って下降してレール90Aの最下端部に到達すると、判断は肯定されてステップ214に移行する。このとき、車体14は完全に処理液に浸漬される。また、ドロップリフター90は、レール90Aの最下端でハンガ20をフリーレール94へ押し込み、ハンガ20はドロップリフター90からフリーレール94へ移動する。
【0062】
ステップ214では、車体14が処理液に完全に浸漬された状態でフリーレール94に沿ってハンガ20の搬送が開始され、処理槽12内におけるベース24の回動が指示される。ハンガ20は、フリーレール94内部の搬送チェン95に保持され、搬送チェーンが移動することによってフリーレール94に沿って移動する。処理槽12内での回動は、ハンガ20が処理槽12内部を搬送しながらベース24が入槽時の回動とは反対回りに回動して、車体14を縦吊り状態から横吊り状態、更に縦吊り状態(車体14の前部が上方に配置)にする。このように回動させることによって車体14内部の全ての泡が処理液液面に移動し、エアーポケットの発生を防止する。
【0063】
処理槽12内におけるベース24の回動が指示されると、図9に示す出槽時の回動工程に移行し、ステップ216において、第3の位置84に到達したか否かが判断される。ハンガ20が搬送されて第3の位置84に到達すると、判断が肯定されてステップ218に移行する。
【0064】
ステップ218では、ベース24の回動が指示されて、ステップ220において、車体14が縦吊り状態になったか否かが判断される。処理槽12内部での回動によって車体14が処理液に対して縦吊り状態にない場合には縦吊り状態にまで回動した後に、又は、処理槽12内部での回動によって既に車体14が処理液に対して縦吊り状態になったときには、判断は肯定されてステップ222に移行し、回動の停止が指示される。これにより、車体14は処理液に対して縦吊り状態を維持する。このとき、ハンガ20は搬送を継続してレール92Aの最下端に到達し、レール92Aに最下端に配置されたドロップリフター92に押し込まれる。
【0065】
回動の停止が指示されると、ステップ224において、ドロップリフター92が上昇を開始し、車体14は縦吊り状態で処理液から出槽する。フリーレール94からドロップリフター92に移動されたハンガ20は、ドロップリフター92が、図示しない上昇機構によってレール92Aに沿って上昇すると、ドロップリフター92の上昇に伴って、車体14が上昇する。ここで車体14は縦吊り状態であるため、処理液が大量に持ち出されることがない。ドロップリフター92Aがレール92Aの最上端に到達すると、ドロップリフター92からレール18へ移され、レール18に沿って搬送を継続する。
【0066】
次にステップ226において、第4の位置86に到達したか否かが判断される。第4の位置86は処理槽12の下流側の位置であり、車体14が処理槽12から縦吊り状態で出槽された後、ハンガ20が搬送されて第4の位置86に到達すると、判断は肯定されてステップ228に移行する。
【0067】
ステップ228では、ベース24が回動され、ステップ230において、車体14が横吊り状態になったか否かが判断され、横吊り状態になった場合には判断は肯定されてステップ232に移行し、回動が停止される。これにより、縦吊り状態となっていた車体14が処理前の搬送時と同様に横吊り状態に戻され、出槽時の回動が終了すると共に一連の処理が完了する。
【0068】
このように、車体14を処理液に対して縦吊り状態で入槽及び出槽することによって抵抗を少なくして高速で入出槽することができ、特に出槽時には、液抜け性が向上されて処理液の持ち出し量を減少させることができる。また、処理槽12の内部で回動することにより、車体14の内部の泡を処理液の液面に向けて移動させ、車体14の形状の違いによって特定箇所に発生しがちであったエアーポケットを防止することができる。
【0069】
また、ハンガー22、チェン62、スプロケット58、61に付着した塗料は、次の洗浄工程において、車体14の洗浄と同時に洗浄することができるので、これらの部材に付着した塗料の洗浄工程を別途設けることなく、連続使用して別の車体14を搬送することができる。
【0070】
また、処理装置10は、この電着(下塗り)工程に他の工程、例えばシャワー工程、乾燥工程を連結することによって、これらの工程においても自在に角度付け及び回動することができ、各工程において十分な品質を確保することができる。
【0071】
このため、1)電着塗装つきまわり評価検討作業を大幅に削減し、塗料、水、エアー抜きのための構造設計の負担を軽減し、更に、プレス型及び車体14の構造の簡素化を図ることができるため、車体14の開発コストの削減を達成することができる:2)防錆品質を向上させると共に外観品質も共に向上させることができる:3)持ち出し量減少により電着塗料、前処理薬剤の使用量を低減し、排水処理装置の負荷ひいては排水処理費を低減することができる、等により、工業性能の向上を大幅に図ることができる。
【0072】
従って、被処理物の形状にかかわらず全ての被表面処理物において、エアーポケットに起因した泡跡の発生を排除し、仕上がり品質がよく、効率的な表面処理を行うことができる。
【0073】
本実施の形態では、位置センサ70による搬送経路上の位置の検出を4ヵ所で行ったが、入槽時及び出槽時の2つに減らしてもよい。この場合には、入槽時の検出位置により搬送を停止し縦吊り状態に回動して入槽し、出槽時の検出位置まで搬送しながら回動し、出槽時の検出位置で搬送を停止して縦吊り状態に回動して出槽する。これにより、処理に必要な部品数を減らして前記と同様な効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、処理槽12内部で車体14を、入槽時の状態から180°の回動を行ったが、処理槽12の大きさ及びハンガ20の搬送速度によっては、180°の回動を複数回行ってもよい。例えば、180°に回動した後に反対方向に更に180°回動することもできる。これにより、車体14を逆さ状態にすることなく、必要以上の保持力が要求されることがない。また、効率的に一層エアーポケットの発生を防止することができる。更に、車体14の形状や処理対象によっては、180°以下の回動とすることによって、効率よく処理を行うこともできる。
【0075】
また、本実施の形態では、ハンガ20をドロップリフター90、92によって昇降させてベース24に固定された車体14を処理液に浸漬させたが、車体14を処理槽12に浸漬することができれば他の方法でもよい。例えば、巻き上げ部材を用いてハンガアーム22と支持部28との間の距離を変更させることによって車体14の入出槽を行ってもよい。
【0076】
更に、本実施の形態では、車体14の回動を、スプロケット58、61に巻きかけられた無端のチェン61を介して、回転駆動モータ54の回転に基づいて行ったが、これに限定されない。
【0077】
例えば図10に示されるような回動装置280を用いることができる。回動装置280は、ベース24と同様の機構を備えたベース282の長手方向の寸法を直径とする円弧状のラック284と、これに噛み合うピニオン286と、を備えている。車体14(図示せず)を固定するベース282の略中央には回転軸288が配置されており、ベース282は回転軸288を軸心として回動するようになっている。
【0078】
ピニオン286は、ハンガアーム(垂下部)290の略中央に取り付けられており、ベルト294を介して、ピニオン286の上方のハンガアーム(垂下部)290に取り付けられた駆動モータ292と連結している。駆動モータ292には、図示しないモータ本体と減速機とが収容されており、モータ本体の回転数が減速機により適当な回転数に減速されて、ピニオン286に伝達されるようになっている。
【0079】
ここで、駆動モータ292が駆動すると、適当な回転数に減速され、ベルト294を介してピニオン286が回転するようになっている。ピニオン286が回転すると、ラック284がピニオン286の回転に伴って移動し、これにより、ベース282が回転軸288を軸心として回動できるようになっている。
【0080】
これにより、前記同様にベース282を回動することができ、前記同様の効果を得ることができる。また、ピニオン286が、ハンガアーム290の上部に配置されるので、ベース282に固定された車体14(図示せず)を処理槽12に浸漬したときに液面よりも上方に配置させることができる。これにより、ピニオン286を液面に付かないようにすることができるので、洗浄を容易に行うことができる。
【0081】
本実施の形態では、処理槽12に対して車体14を搬送しながら表面処理をしたが、表面処理を実施する際にハンガ20の搬送を停止した状態で行うこともできる。この場合には、処理槽12に対してハンガ20を入出槽させるための発光器71を1つ設ければよく、処理槽12の上方に配置された発光器71を検出した場合に縦吊り状態で入槽させて処理槽12に浸漬させた後、その場で回動させ、所定量の回動が行われた後に縦吊り状態にして出槽することができる。これにより、発光器71の数を更に減らして上述と同様の効果を得ることができる。
【0082】
本実施の形態では、発光機71を用いて位置を検出したが、位置を検出することができるものであれば、全て用いることができる。例えば、リミットスイッチとすることができる。
【0083】
[第2の実施の形態]
図11には、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置300が示されている。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態に係る処理装置10において用いられたものと同一の構成及び効果を有するものについては同一の符号を付して、説明を省略する。
【0084】
処理装置300には、ハンガ301を搬送するためのレール302が設けられている。レール302には処理槽12の底部に向けて湾曲した処理部304が設けられている。
【0085】
処理部304は、ハンガ301を下方及び上方へ案内する傾斜部304A及び車体14を一定の高さで搬送する水平部304Bで構成されており、これにより、レール302に従って搬送するハンガ301が処理部304においてベース24に載置された車体14を処理液に浸漬することができるようになっている。
【0086】
ハンガ301は、シャフト306を備えている。シャフト30は、レール302にハンガ301を走行するトロリー26に連結された支持部28に接続されている(図2参照)。
【0087】
支持部28の図11奥側には、ベース24の回動を制御し、ハンガ301の搬送速度を制御するためのコントローラ308が備えられている。レール302上のハンガ301の位置は、レール302近傍に設けられた発光器71A、71B、71C、71Dをコントローラ308の図11奥側に設けられた位置センサ70(図2(B)参照)が検出することによって、認識できるようになっている。
【0088】
ここで入槽時に通過する上流側の傾斜部304Aでは、ベース24上に固定された車体14を、傾斜部304A上の位置に基づいて図11において反時計回りに回動して、縦吊り状態を維持するようになっている(入槽時の回動)。これにより、処理槽12の処理液に対して車体14が縦吊り状態で浸漬されるようになっている。
水平部304Bでは、縦吊り状態で浸漬された車体14を180°回動するようになっている。即ち、車体14を入槽時の縦吊り状態から横吊り状態更に前側先端部を上方に向けた縦吊り状態にまで回動するようになっている。これにより、車体14の内部に貯留した泡が液面に向けて移動するようになっている。
【0089】
下流側の傾斜部304Aでは、入槽時と同様に、傾斜部304A上の位置に基づいてベース24を回動して、車体14が縦吊り状態を維持するようになっている(出槽時の回動)。これにより、処理槽12の処理液に対して車体14が縦吊り状態で取り出されるようになっている。
【0090】
次に図12を参照して本実施の形態の作用について説明する。なお、車体14のベース24上への載置等については第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0091】
車体14をベース24上に固定し、ハンガ20が搬送を開始すると、表面処理が開始され、ステップ350において、ハンガ301が第1の位置80に到達したか否かが判断される。ハンガ301がレール302に沿って搬送し、第1の位置80の受光器71Aを位置センサ70が検出すると判断が肯定される。
【0092】
判断が肯定されると、ステップ352において、入槽時の回動が指示される。ハンガ301は第1の位置80を通過すると、レール302に従って処理部304の傾斜部304Aを搬送する。ここでハンガ301のシャフト306は角度及び長さが固定されているため、車体14は傾斜部304Aの傾斜に従って斜めに保持された状態で搬送される。ここでベース24が傾斜部304Aの傾斜に合わせて回動し、車体14を処理液に対して略縦吊り状態を保持する。水平部304Bに接近するに従って、車体14は略縦吊り状態を維持したまま処理液に浸漬する。
【0093】
入槽時の回動が指示されると、ステップ354において、第2の位置82に到達したか否かが判断される。水平部304Bのうち上流側に設けられた発光器71Bを位置センサ70が検出した場合には判断は肯定される。
【0094】
判断が固定されると、ステップ356において処理槽内の回動が指示される。処理液に対して縦吊り状態で浸漬された車体14は、処理槽14内で搬送される間に図8において時計回りに180°回動する。
【0095】
処理槽内の回動が指示されると、ステップ358において、第3の位置84に到達したか否かが判断される。水平部304Bのうち下流側に設けられた発光器71Cを位置センサ70が検出した場合には判断は肯定される。
【0096】
判断が肯定されると、ステップ360において、出槽時の回動が指示される。ハンガ301は、水平部304Bに連続する傾斜部304Aの傾斜に沿って搬送される。ここでベース24は傾斜部304Aの傾斜に合わせて回動し、車体14を略縦吊り状態に保持する。車体14は略縦吊り状態で出槽する。
【0097】
出槽時の回動が指示され、出槽時の回動が行われると、ステップ362において、第4の位置86に到達したか否かが判断される。第4の位置86は、処理槽12及び処理部304の下流側の位置であり、この位置に設けられた発光器71Dを位置センサ70が検出すると、判断は肯定され、ステップ364に移行する。
【0098】
ステップ364では、回動が指示され、ステップ366において、車体14が横吊り状態になったか否かが判断される。略縦吊り状態で処理槽12から引き上げられたベース24が回動して、第4の位置86を通過した後に車体14の前側先端部を搬送進行方向に向けた横吊り状態になると判断は肯定され、ステップ368において、回動の停止が指示される。
【0099】
これにより、車体14は縦吊り状態で入槽及び出槽することにより少ない抵抗で処理液に車体14を浸漬することができ、処理槽12内で車体14を回動することによって、エアーポケットの発生を防止することができる。また、出槽時には車体14を縦吊り状態を維持して、液の持ち出しを最小限にすることができる。
【0100】
また、本実施の形態では、レール302に対してシャフト306の角度を固定した状態でハンガ301を搬送しているが、車体14を液面に対して縦吊り状態を維持するために、支持部28に対するシャフト306の角度、シャフト306に対するハンガアーム22の角度の少なくとも1つの角度を、ハンガアーム22の長手方向が処理槽12の底面に対する垂直方向と一致するように変更可能にしてもよい。例えばこれらのうちの1ヵ所に角度変更軸を備えさせて、常にハンガアーム22の長手方向が処理液の液面に対して垂直となるようにしてもよい。これにより、重力に基づいてハンガアーム22を垂下させて、ベース24の角度を単純な制御により調整することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、保持台が回動手段によって回動することができるので、入出槽時に縦吊り状態にして迅速に入出槽することができ、処理槽内において回動することによって被表面処理物の形状に起因したエアーポケットの発生を防止することができる。従って、被表面処理物の形状にかかわらず、全ての被表面処理物でエアーポケットに起因した泡跡の発生を排除し、仕上がり品質がよく効率的な表面処理を行うことができる。
【0102】
また、保持台に移動可能な調節部材と被表面処理物の一部を保持する保持部材とを備えることによって、被表面処理物の形状が変更されても設定された保持箇所に合わせて保持部材を移動することができ、被表面処理物の形状に拘わらず保持台に被表面処理物を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る処理装置の概要図である。
【図2】(A)は、本実施の形態に係るハンガの側面図、(B)はハンガの正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るハンガのベースの概略斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るハンガに車体を取り付けする際の状態を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態の処理装置の概略を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る表面処理を説明する概念図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る表面処理を説明する工程図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る表面処理(入槽時の回動及び処理槽内での回動)を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る表面処理(出槽時の回動)を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る他の回動装置の側面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る処理装置の概念図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係る表面処理を説明するフローチャートである。
【図13】従来における表面処理を説明する概念図である。
【図14】従来における他の表面処理を説明する概念図である。
【符号の説明】
10 処理装置
12 処理槽
14 車体(被表面処理物)
20 ハンガ(吊下手段)
22 ハンガアーム
24 ベース(保持台)
34 固定部材
54 回転駆動モータ
60 回転軸(回動手段)
68 コントローラ(回動制御手段、連結制御手段)
70 位置センサ
71A、71B、71C、71D 発光器
80 第1の位置
82 第2の位置
84 第3の位置
86 第4の位置
90、92 ドロップリフター(昇降手段)
94 フリーレール

Claims (8)

  1. 被表面処理物を保持する保持台と、
    前記保持台を吊下する吊下手段と、
    記保持台を回動させる回動手段と、
    前記吊下手段を搬送経路に従って搬送する搬送手段と、
    前記吊下手段を上下動させて前記被表面処理物を入出槽させる昇降手段と、
    前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御する回動制御手段と、
    を有する表面処理装置。
  2. 被表面処理物を保持する保持台と、
    前記保持台を吊下する吊下手段と、
    前記保持台を回動させる回動手段と、
    前記吊下手段を上下動させて前記被表面処理物を入出槽させる傾斜部を備えた搬送経路に従って前記吊下手段を搬送する搬送手段と、
    前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御する回動制御手段と、
    を有する表面処理装置。
  3. 記保持台の入槽位置を検出する第1の検出手段を前記搬送経路途中に設け、
    前記回動制御手段は、前記第1の検出手段からの信号に基づいて前記保持台を回動させて、前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御する
    請求項1または2記載の表面処理装置。
  4. 前記保持台の入槽位置を検出する第1の検出手段、および前記保持台の出槽位置を検出する第2の検出手段を前記搬送経路途中に設け、
    前記回動制御手段は、前記第1の検出手段からの信号に基づいて前記保持台を回動させて、前記保持台に保持された被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、前記保持台を回動させて横吊り状態にした後、前記第2の検出手段からの信号に基づいて被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させるように前記回動手段を回動制御する
    請求項1または2記載の表面処理装置。
  5. 前記保持台が、
    前記保持台に載置された前記被表面処理物の長手方向に移動可能な調節部材と、
    前記調節部材に、該調節部材の移動方向に直交する方向で移動可能に設けられ、前記調節部材上に載置された被表面処理物の保持箇所を保持する保持部材と、
    を備えた請求項1乃至4のいずれか1項記載の表面処理装置。
  6. 前記回動手段を、
    前記吊下手段に対して前記保持台を回転可能に支持する回動軸と、
    前記回動軸と同軸的に設けられたスプロケットと、
    前記吊下手段の上端部に設けられた駆動源と、
    前記スプロケットに前記駆動源の回転力を伝達するチェンと、
    前記駆動源の駆動量を制御し、前記保持台を所定の角度に回動させる駆動制御手段と、
    を含んで構成した請求項1乃至5のいずれか1項記載の表面処理装置。
  7. 前記回動手段を、
    前記保持台に固定された円弧状のラックと、
    前記吊下手段に回転可能に支持され且つ前記ラックと歯合されたピニオンと、
    前記ピニオンを回転駆動する駆動モータと、
    を含んで構成した請求項1乃至5のいずれか1項記載の表面処理装置。
  8. 被表面処理物を吊り下げて搬送経路上を搬送しながら、表面処理液が充填された処理槽に前記被表面処理物を入槽して処理液に浸漬して表面処理を行う表面処理方法において、
    前記処理槽に対して、前記被表面処理物をその長手方向を縦方向として入槽させ、
    前記処理槽内部において、処理液に浸漬された前記被表面処理物を回動して横吊り状態にした後、
    前記処理槽に対して、前記被表面処理物の最初に入槽させた部位が上側となるように回動させて被表面処理物をその長手方向を縦方向として出槽させること、
    を特徴とする表面処理方法。
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