JP3774723B2 - 電子放出素子の製造方法およびそれを用いた電子源並びに画像表示装置の製造方法、該製造方法によって製造された画像表示装置を用いた情報表示再生装置 - Google Patents

電子放出素子の製造方法およびそれを用いた電子源並びに画像表示装置の製造方法、該製造方法によって製造された画像表示装置を用いた情報表示再生装置 Download PDF

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Description

本発明は電子放出素子の製造方法およびそれを用いた電子源並びに画像表示装置の製造方法に関する。そして、また、本発明は該画像表示装置を用いた情報表示再生装置に関する。
電子放出素子の一つとして表面伝導型電子放出素子がある。その製造方法としては、例えば特許文献1、2に開示されているように、一対の電極間を接続する導電性膜に電流を流すことで発生するジュール熱を用いて導電性膜の一部に間隙を形成する「フォーミング工程」を行い、さらに、「活性化工程」と呼ばれる処理を施すことで電子放出部を形成する。
「活性化工程」は、炭素含有ガスを含む雰囲気下で、「フォーミング工程」と同様、「フォーミング工程」を終えた導電性膜にパルス電圧の印加を繰り返すことで行うことができる。この処理により、雰囲気中に存在する炭素含有ガスに由来する炭素或いは炭素化合物からなる炭素膜が、「フォーミング工程」により形成された間隙内及び間隙近傍の導電性膜上に堆積する。これにより、素子電流If,放出電流Ieが著しく変化し、より良好な電子放出特性を得ることができるようになる。尚、素子電流Ifとは、一対の電極間に電圧を印加した際に、一対の電極間に流れる電流である。また、放出電流Ieは、一対の電極間に電圧を印加した際に、電子放出素子から放出される電流を指す。
特許文献1や特許文献2では、「活性化工程」などの電子放出素子の製造工程における電圧印加工程を、複数の電子放出素子を共通の配線に接続し、この配線を通じて複数の電子放出素子に同時に電圧の印加を行っている。そのため、配線抵抗に起因した電圧降下により各電子放出素子に実効的に印加される電圧が、所望の値からずれてしまうことが教示されている。そして、特許文献1や特許文献2では、各電子放出素子に流れる電流If(或いは各電子放出素子に接続する配線に流れる電流)を測定し、その測定値に基づいて、配線による電圧降下分を補償して、各電子放出素子(或いは各電子放出素子に接続する配線)に電圧を印加することを教示されている。
このような処理を経て作製された複数の電子放出素子を備える電子源は、例えばフラットパネルディスプレイ(平板型画像表示装置)等の画像表示装置に適用される。この様な画像表示装置においては、表示画像の均一性は、各電子放出素子の電子放出特性に依存する。従って、電子放出素子の製造方法においては、所望の電子放出特性を再現性高く実現する手法が求められる。そして、また、同一基板上に配列される複数の電子放出素子を備える電子源の製造方法においては、電子放出素子間の電子放出特性差を、より低くする手法が求められる。
特開2000−311593号公報 特開2000−306500号公報
しかしながら、電子放出特性のより一層の均一性および再現性の向上を成し遂げるためには、上述した電圧印加工程における配線抵抗などによる電圧降下の要因を更に詳細に考慮すると、個々の電子放出素子を構成する電極の抵抗並びに導電性膜の抵抗も考える必要がある。
そこで、電圧降下の影響を排除するためには,電子放出部に直列に接続された抵抗をすべて考慮する必要がある。これらすべての抵抗と同時に、素子電流Iを計測することにより、より精度の高い電圧の補償を行うことが可能となる。
特に、上述の導電性膜は非常に薄い膜でもあるため、その抵抗は、「活性化工程」中に一定であるとは限らない。例えば電極間を流れる電流(素子電流I)の変化に応じて、導電性膜等に変化を生じ、抵抗が変化してしまう場合も考えられる。しかしながら、従来の手法では、このような導電性膜等の抵抗が変化してしまう場合には、この抵抗変化に応じて配線に印加する電圧を補償(制御)することが難しかった。
本発明は、「活性化工程」中における、電子放出部に実効的に印加される電圧が所望の値となるように、印加電圧を調整する製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために成された本発明は、即ち、素含有ガスを含む雰囲気中において、間隙を挟んで対向して配置された第1導電膜と第2導電膜との間に電を印加する電圧印加工程を含む電子放出素子の製造方法であって、前記電圧印加工程は、(A−1)第1設定電圧および該第1設定電圧とは異なる電圧値である第2設定電圧を前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加することによって、該第1設定電圧および第2設定電圧に応じて前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に流れる第1計測電流および第2計測電流を求める第1計測工程と、(B−1)前記第1設定電圧および前記第2設定電圧の印加に対応して、前記間隙に実効的に印加される第1実効電圧および第2実効電圧を、前記第1計測電流および前記第2計測電流と前記第1設定電圧および前記第2設定電圧とから算定し、該算定した結果を基に下記式1を満たすβeffectを求める第1算定工程と、を含み、前記βeffectと所定の値βsetとの間に差がある場合に、その差を低減するように前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加する新たな第1設定電圧および新たな第2設定電圧を設定し、(A−2)該新たに設定した第1設定電圧および該新たに設定した第2設定電圧を前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加することによって、前記新たに設定した第1設定電圧および該新たに設定した第2設定電圧に応じて前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に流れる第1計測電流および第2計測電流を新たに求める第2計測工程と、(B−2)前記新たに設定した第1設定電圧および前記新たに設定した第2設定電圧の印加に対応して、前記間隙に実効的に印加される第1実効電圧および第2実効電圧を、前記新たに求めた第1計測電流および前記新たに求めた第2計測電流と、前記新たに設定した第1設定電圧および前記新たに設定した第2設定電圧と、から新たに算定し、該算定した結果を基に下記式1を満たすβeffectを新たに求める第2算定工程と、を行うことを特徴とするものである。
βeffect={(1/第1実効電圧)−(1/第2実効電圧)}/{ln(第2計測電流/第2実効電圧の2乗)−ln(第1計測電流/第1実効電圧の2乗)} ・・・式1
また、本発明において、前記第1実効電圧は、下記式2におけるRunknownとして予め設定した初期値R1を代入し、設定電圧と計測電流として、前記第1設定電圧と前記第1計測電流との組合せを代入することで得られる値であり、前記第2実効電圧は、下記式2におけるRunknownとして予め設定した初期値R1を代入し、設定電圧と計測電流として、前記第2設定電圧と前記第2計測電流の組合せを代入することで得られる値である、ことを特徴とするものである。
実効電圧=設定電圧−計測電流×Runknown・・・式2
また、本発明において、前記新たに設定した第1設定電圧および前記新たに設定した第2設定電圧は、前記βeffectが前記βsetよりも大きい場合には、Runknownとして前記R1の値よりも大きい値であるR2を代入すると共に、実効電圧と計測電流として、前記第1実効電圧と前記第1計測電流との組合せおよび前記第2実効電圧と前記第2計測電流との組合せを、それぞれ式2に代入することで、得られる値であり、あるいは、前記βeffectが前記βsetよりも小さい場合には、Runknownとして前記R1の値よりも小さい値であるR3を代入すると共に、実効電圧と計測電流として、前記第1実効電圧と前記第1計測電流との組合せおよび前記第2実効電圧と前記第2計測電流との組合せを、それぞれ式2に代入することで、得られる値である、ことを特徴とするものである。
また、本発明において、前記βeffectと前記βsetとの間に差がある場合に、前記電圧印加工程は、前記βeffectと前記βsetとの差がなくなるまで、または、収束するまで繰り返されることを特徴とするものである。
また、本発明において、「前記第1設定電圧および前記第2設定電圧は、1つの階段状パルスの中に含まれた状態で、所定の間隔で繰り返し前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加されること」、「前記βeffectが、前記βsetの±50%内になるまで前記第1計測工程と前記第1算定工程とを繰り返すこと」、「前記第1設定電圧または前記第2設定電圧は、15V以上60V以下であること」、「前記R1が0以上40kΩ以下であること」、「前記βsetが0.00338以上0.00508以下であること」をもその特徴とする。
さらに本発明の別の態様としては、複数の電子放出素子を備える電子源の製造方法であって、前記複数の電子放出素子の各々が上述の本発明の電子放出素子の製造方法により製造されることをも、その特徴とする。そして、また、上記電子源の製造方法においては、前記複数の電子放出素子のうちの所定数毎に、上述の本発明の電子放出素子の製造方法を用いて、製造されることをも、その特徴とする。
また、本発明の別の態様としては、電子源と発光体とを備える画像表示装置の製造方法であって、前記電子源が上記電子源の製造方法により製造されることをも、その特徴とするものである。
また、本発明の別の態様としては、受信した放送信号に含まれる映像情報、文字情報および音声情報の少なくとも1つを出力する受信器と、該受信器に接続された画像表示装置とを少なくとも備える情報表示再生装置であって、前記画像表示装置が上述の画像表示装置の製造方法により製造されたものであることをも、その特徴とする。
上記本発明の製造方法によれば、電子放出素子の電子放出特性のばらつきを抑制することができ、その結果、均一性の高い電子源およびこれを用いた画像表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、電子放出素子を再現性良く形成することができる。また、具体的には、電子放出素子に直列に接続された未知の抵抗が経時的に変化する場合においても、「活性化工程」中において、電子放出部に実効的に印加される電圧を所望の値となるように制御することができる。
以下、本発明の電子放出素子の製造方法の一例について、図3を用いて、各工程毎に、より詳細に説明する。
(工程1)基板1上に第1電極2および第2電極3を形成する(図3(a))。
具体的には、基板1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等により電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて電極2、3を形成する。
基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSiO膜を積層したもの、アルミナ等のセラミックス、Si基板等を用いることができる。
電極(2、3)の材料としては、一般的な導体材料を用いることができる。例えば、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、A、Cu、Pd等の金属または合金、Pd、Ag、Au、RuO、Pd−Ag等の金属または金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In−SnO等の透明導電体およびポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択することができる。
電極(2、3)間の間隔L、電極2,3の幅(電極2と電極3が対向する方向に対して直角な方向の長さ)W、導電性膜4の幅W’等は、応用される形態等を考慮して設計される。
電極(2、3)間の間隔Lは、好ましくは100nmから900μmの範囲で、より好ましくは電極2,3間に印加する電圧等を考慮して1μmから100μmの範囲である。
電極(2、3)の幅Wは、電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、1μmから500μmの範囲であることが好ましい。電極2,3の膜厚は、10nmから10μmの範囲とすることが好ましい。
(工程2)第1電極2と第2電極3とをつなぐように導電性膜4を形成する(図3(b))。
具体的には、まず、電極2、3を設けた基板1上に、有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機金属溶液には、導電性膜4の材料の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。次いで有機金属膜を焼成処理した後に、リフトオフ、エッチング等により所望形状にパターニングし、導電性膜4を形成する。有機金属溶液の塗布方法としては、ディッピング法、スピンナー法、インクジェット法等を用いることもできる。
導電性膜4の膜厚は、電極2,3の端部(段差部)の被覆や、抵抗値や、後述するフォーミング条件等によって適宜選択されるが、5nm以上50nm以下であることが好ましい。
また、導電性膜4の抵抗値は、後述する工程3において「フォーミング処理」を行う場合には、フォーミング工程を行いやすくするために、ある程度の大きさであることが好ましく、具体的には10Ω/□〜10Ω/□であることが好ましい。この反面、「フォーミング処理」後(間隙5を形成した後)の導電性膜4は、電極2,3を介して間隙5に十分な電圧を印加できるように、低抵抗であることが好ましい。
導電性膜4の材料としては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au等の金属や、PdO、SnO、In等の酸化物や、HfB等の硼化物や、TiC、SiC等の炭化物や、TiN等の窒化物や、Si、Ge等の半導体等が挙げられる。
また、導電性膜4の形成方法としては、インクジェット塗布法、スピンコート法、ディッピング法、真空蒸着法、スパッタリング法等、様々な手法が適用可能である。
上記導電性膜4の材料の中でも、PdOは、(1)有機Pd化合物を含む膜を大気中で焼成することにより容易に膜状に形成できること、(2)半導体であるため比較的電気伝導度が低く、上記範囲のシート抵抗値を得るための膜厚のプロセスマージンが広いこと、(3)後述する間隙5の形成後、容易に還元して金属Pdとすることができるので、間隙5の形成後の膜抵抗を低減しやすく、しかも耐熱性も上昇すること、等の利点が挙げられることから、好適な材料である。
尚、上述した電極2、3は、導電性膜4に安定に電圧を供給するためのものである。そのため、導電性膜4に安定に電圧を供給することができれば、電極2、3は必ずしも必要としない。即ち、導電性膜4が電極2、3の機能を兼ねることもできる。その場合は、上述した電極2、3は省略する。
(工程3)つづいて、導電性膜4に、第2の間隙5を形成する(図3(c))。
第2の間隙5の形成方法は、フォトリソグラフィー法や電子線を用いたリソグラフィー法や、FIB(集束イオンビーム)を用いた加工法など、様々な手法を採用することができる。ここでは、導電性膜4に電流を流すことで間隙5を形成する方法を説明する。
この様に導電性膜4に電流を流すことで間隙5を形成する方法を「フォーミング工程」と呼ぶ。この方法は、例えば、電極2、3間に、不図示の電源を用いて、電圧を印加することで導電性膜4に電流を流し、その結果生じるジュール熱を用いて導電性膜4の一部に、第2の間隙5を形成する手法である。
「フォーミング工程」は、パルス電圧を繰り返し印加することにより行うことが好ましい。「フォーミング工程」に用いることのできるパルス電圧波形の例を図4(a)および図4(b)に示す。図4(a)は、パルス波高値を一定にしたパルス電圧を繰り返し印加する場合を示している。また、図4(b)は、パルス波高値を漸増させながら、パルス電圧を繰り返し印加する場合を示している。
図4(a)におけるT1及びT2は、パルス幅とパルス間隔である。通常T1は1μsec以上10msec以下に設定され、T2は10μsec以上100msec以下に設定される。用いる波高値は、電子放出素子の形態に応じて適宜選択することができる。このような条件で、例えば、数秒から数十分間パルス電圧を繰り返し印加することで「フォーミング工程」が行われる。パルス波形は三角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波形を採用することができる。図4(b)におけるT1及びT2は、図4(a)に示したものと同様とすることができる。波高値は、例えば0.1Vづつ、漸増させることができる。
この工程により、導電性膜4は、第2の間隙5を境に、第1導電膜4aと第2導電膜4bとに分割される。尚、第1導電膜4aと第2導電膜4bは完全に分離されてなくても、電子放出特性にそれほど影響がなければ、微小な領域で繋がっている場合もある。
導電性膜4として金属酸化物を用いた場合は、水素等の還元性を有するガスを含む雰囲気下で「フォーミング工程」を行うと、導電性膜4を還元しつつ間隙5を形成することができるので好ましい。この結果、工程2の段階では金属酸化物を主成分としていた導電性膜4が、「フォーミング工程」を終えた後には、金属を主成分とする導電膜4a、4bとなり、電子放出素子を駆動する際の寄生抵抗分を低減することができる。また、導電膜4a、4bを完全に還元するための工程を付加することもできる。
「フォーミング工程」の終了は、印加するパルス電圧の休止期間に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流(電極2,3間を流れる電流)を測定し、抵抗値を求め、例えば「フォーミング工程」前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で終了とすることができる。
本工程によって、間隙5の幅(第1導電膜4aと第2導電膜4bとの間隔)は100nm未満に形成される。このような間隙5は、前述した電子線を用いたリソグラフィー法や、FIB(集束イオンビーム)を用いた加工法等の高精度なパターニングが可能な手法を用いれば、上記「フォーミング工程」を用いなくても良い。しかしながら、簡易に、そして短時間に間隙5を形成する上では、上記「フォーミング工程」を用いることが好ましい。
(工程4)次に、本発明の顕著な特徴である「活性化工程」と呼ばれる処理を施し、間隙5内の基板1上、および間隙5近傍の第1及び第2導電膜4a、4b上に炭素膜(6a、6b)を形成する(図3(d))。炭素膜6aと炭素膜6bとの間には第1の間隙7が形成される。
本発明における「活性化工程」は、炭素含有ガスを含む雰囲気中で、詳しくは後述するβeffectが所望の値になるように、電源51から出力する電圧の制御を行いながら、第1導電膜4aと第2導電膜4bとの間(第1電極2と第2電極3との間)に、繰り返し電圧を印加することで行うことができる。この様に、βeffectが所望の値になるように出力電圧を制御することで、「活性化工程」中において間隙7に実効的に印加される実効電圧V’を所望の値になるように制御することができる。
具体的には、「活性化工程」において、パルス電圧を発生する電源51を第1電極2と第2電極3とに接続し、電源51から予め設定した設定電圧Vを発生させて、第1電極2と第2電極3との間にパルス電圧を繰り返し印加することで行うことができる(図3(d)参照)。
尚、第1の間隙7は、典型的には、第2の間隙5内に配置され、その幅は第2の間隙5の幅よりも狭い。尚、第1の間隙7の幅(第1炭素膜6aと第2炭素膜6bとの間隔)は、50nm以下であり、安定な電子放出を低い駆動電圧で実現する上では、好ましくは、実用的には、3nm以上10nm以下である。また、図2(a)、図2(b)においては、第1炭素膜6aと第2炭素膜6bとが完全に分離されて示されているが、完全に分離されておらず、電子放出特性にそれほど影響がなければ、微小な領域で繋がっていても良い。このため、「活性化工程」で形成される炭素膜(6a、6b)は、「第1の間隙7を備える炭素膜(6a、6b)」と言うこともできる。
尚、「活性化工程」においては、炭素膜(6a、6b)が、徐々に堆積されて行き、最終的な幅が規定された間隙7を備えた炭素膜(6a、6b)が形成されると考えられる。そのため、炭素膜(6a、6b)の形状も、第1の間隙7の形状(幅)も、「活性化工程」の開始時点と終了時点とでは基本的に異なると考えられる。
「活性化工程」における雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる。また、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な炭素含有ガスを導入することによっても得られる。「活性化工程」における、好ましい炭素含有ガスの圧力は、電子放出素子の応用形態、真空容器の形状や、炭素含有ガスの種類などにより異なるため適宜設定される。
炭素含有ガスとしては、炭素化合物ガスを用いることができる、炭素化合物としては、有機物質を用いることが好ましい。有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来る。より、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどC2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどC2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等あるいはこれらの混合物が使用できる。
本発明の特徴の一つは、前述したように、「活性化工程」において、後述するβeffectが所望の値になるように、電源51から出力する設定電圧Vを制御することで、結果として、「活性化工程」中に、第1の間隙7に実効的に印加される実効電圧V’を制御するものである。
以下に、本発明の「活性化工程」における制御方法の前提並びに考え方について、図7、図8(a)〜図8(c)、図12を用いて、説明する。
図7、図8(a)〜図8(c)は、本発明の「活性化工程」において、電源51から発生させるパルスの例を示している。尚、「活性化工程」において電源51から発生させるパルスの波形や種類は、これらに限るものではない。
図8(a)は、1つのパルス中に異なる2つの電圧(V1、V12)を有する、階段状のパルスを電源51から繰り返し出力する場合の例である。図7は、図8(a)のパルスに加え、電圧V1の極性を反転した電圧V4を加えた例である。また、図8(b)は、各々の電圧(V1、V12)が異なる、2つの独立したパルスを一つのセットとして、このセットを電源51から繰り返し出力する場合の例である。また、図8(c)は詳しくは後述するが、それぞれが異なる電圧(V1、V12、Vact)を有するパルスを電源51から繰り返し出力する場合の例である。この様に、本発明の「活性化工程」においては、電源51から出力するパルスは、それぞれが互いに異なる電圧を有する、3種類以上のパルスであっても良い。尚、図8(a)では、2つの電圧(V1、V12)を有する階段状のパルスを示したが、3つ以上の異なる電圧(V1、V12、V13・・・・)を有する階段状のパルスであっても良い。
尚、図7、図8(a)〜図8(c)の各例において、電圧V1を、電源51から発生される「第1設定電圧」と記すこととし、電圧V12を、電源51から発生される「第2設定電圧」と記すことにする。「第1設定電圧」と「第2設定電圧」は同じ極性であることが求められる。即ち、図7の例においては、V4は、「第1設定電圧」でも「第2設定電圧」にも相当しない。
そして、後述する本発明の特徴であるβeffectの制御においては、図7、図8(a)〜図8(c)に示した様に、少なくとも互いに異なる電圧(第1設定電圧V1、第2設定電圧V12)を有するパルスを電源51から出力する必要がある。
尚、図8(c)に示す様に、第1設定電圧V1、第2設定電圧V12よりも高い電圧を有するパルスを電源51から出力する場合には、「活性化工程」で形成される炭素膜(6a、6b)の形状および間隙7の幅(第1炭素膜6aと第2炭素膜6bとの間隔)は、設定電圧V1、V12の影響よりも、この高い電圧を有するパルスの影響をより強く受けると考えられる。
そこで、本発明においては「活性化工程」で電源51から出力するパルスに含まれる電圧の中で最も高い電圧を「Vact」と記すこととする。尚、図7、図8(a)、図8(b)では、設定電圧V1が電源51から出力されるパルスに含まれるの中で最も高い電圧であるので、設定電圧V1が「Vact」に相当することになる。しかし、設定電圧V12が設定電圧V1よりも高い場合には、設定電圧V12がVactに相当する。但し、図7の例においては、マイナスの極性において、最大となる電圧はV4である。そのため、図7の例においてはV1とV4がVactに相当する。
従って、本発明の「活性化工程」においては、図8(c)の様に、炭素膜(6a、6b)の堆積を主に司るパルス(「Vact」を含むパルス)と、後述するβeffectの値を算出するためのパルス(第1設定電圧V1、第2設定電圧V2を含むパルス)とを分離することもできる。この様な場合においては、炭素膜(6a、6b)の堆積を主に司るパルスは周期的に電源51から出力しながら、βeffectの値を算出するためのパルスはβeffectの値を算出したい所望のタイミングで電源51から出力する方法を採用することができる。また、本発明の「活性化工程」においては、図7や図8(a)の様に、炭素膜(6a、6b)の堆積を主に司るパルスに前述した第1設定電圧V1を兼ねさせ、そして、βeffectの値を算出するために必要な第2設定電圧を炭素膜(6a、6b)の堆積を司るパルスに含ませる(図7や図8(a)のような階段状のパルスを用いる)方法を採用することもできる。あるいは、図8(b)のように、炭素膜(6a、6b)の堆積を主に司るパルスに前述した第1設定電圧V1を兼ねさせ、βeffectの値を算出するために必要な第2設定電圧を炭素膜(6a、6b)の堆積を司るパルスとは分離して電源51から出力する方法も採用することができる。
また、図7、図8(a)〜図8(c)に示す例においては、電源51から出力する電圧を固定しているが、例えば、「フォーミング工程」において図4(b)を用いて説明したパルスの例にあるように、「活性化工程」においても、時間経過と共に電源51から出力する電圧を上昇させることも可能である。このような場合においては、Vactが時間経過と共に上昇することになる。
また、図8(b)のように、第1設定電圧V1のパルスと第2設定電圧V2のパルスとの間に電圧を出力しない期間を長くすると、後述するβeffectの算定に誤差が生じる場合もあるので電圧を出力しない期間は十分に短くすることが望まれる。尚、ここで言う、「十分に短い期間」とは、「活性化工程」において用いる炭素含有ガスの種類や炭素含有ガスの分圧などに依存するので適宜設定されるが、実用的には10msec以下を指す。従って、典型的には、図8(b)の様に第1設定電圧V1のパルスと第2設定電圧V2のパルスとが分離されている場合や、図8(c)のようにVactのパルスと第1設定電圧V1のパルスとが分離されている場合には、その間隔(インターバル)は10msec以下に設定されることが好ましい。この十分に短い期間から外れると、新たな炭素化合物などが間隙7内に堆積するなどして間隙7の形状が変化するために、第1設定電圧V1で測定した条件と、第2設定電圧V2で測定した条件とが異なってしまうために、後述するβeffectの算定に誤差が生じる可能性があると推測される。
そのため、好ましくは、図7、図8(a)、図8(c)の様に、第1設定電圧と第2設定電圧とが連続した階段状のパルスを用いる。尚、図8(c)の場合には、Vactと第1設定電圧との間に電圧を出力しない期間があるので、この場合も同様に、電圧を出力しない期間は十分に短くする(典型的には10msec以下にする)ことが望まれる。そのため、図7または図8(a)に示すパルス波形を用いることが好ましい。図7に示す波形であると、極性が異なる電圧V4も電源51から出力するので、十分な量の炭素膜6aと炭素膜6bを形成することができるので、電子放出特性の劣化が少なく、良好な電子放出特性を得ることができるので好ましい。尚、V4の電圧の絶対値は、必ずしもV1の絶対値と等しくする必要はない。
また、電源51から出力する電圧のうち、少なくとも、Vactに相当する電圧の絶対値は、実用的には、15[V]以上60[V]以下に設定される。そしてまた、Vactの絶対値は、前述した「フォーミング工程」で電源51から出力した電圧の絶対値よりも高くなる。
また、電源51から第1設定電圧V1を発生した際に、この第1設定電圧V1に対応して第1導電膜4aと第2導電膜4bとの間を流れる電流(「電極2と電極3間、あるいは間隙7を流れる電流」と言い換えることもできる)として計測される電流を、第1計測電流I1と記すこととする。また、同様に、電源51から第2設定電圧V12を発生した際に、この第2設定電圧V12に対応して第1導電性膜4aと第2導電性膜4bとの間を流れる電流値として計測される電流を、第2計測電流I12と記すこととする。
そして、電源51から第1設定電圧V1を発生することによって、間隙7に実効的に印加される電圧を、実効電圧V1’と記すこととする。また、同様に、電源51から設定電圧V12を発生することによって、間隙7(第1炭素膜6aの端部と第2炭素膜6bの端部との間)に実効的に印加される電圧を、実効電圧V12’と記すこととする。尚、「活性化工程」の極めて初期の段階においては、炭素膜(6a、6b)がほとんど堆積していない場合もあるので、その様な初期段階においては、第1間隙7は第2間隙5と実質的に置き換えて考えることができる。
間隙7に実効的に印加される実効電圧(V1’、V12’)は、電源51から出力される設定電圧(V1、V12)よりも低くなる。この理由としては、電源51から間隙7までの間には、配線、電極(2,3)、導電膜(4a、4b)が存在するため、これらの抵抗による電圧降下が挙げられる。特に、導電膜(4a、4b)は、上記工程2で説明した様に、非常に薄い膜であるので、「活性化工程」中に印加される電流や電圧等によって、形状の変化などを引き起こし、その抵抗値が「活性化工程」中に変動することが考えられる。そこで、「活性化工程」中における実効電圧を所望の値に制御することができれば、電子放出素子の電子放出特性の再現性を向上することができ、結果、多数の電子放出素子からなる電子源を形成する場合においても、均一性の高い電子源を得ることができる。
図1には、上述した実効電圧V’(V1’、V12’)と計測電流I(I1、I12)を用いて、横軸に実効電圧V’の逆数を記入し、縦軸には計測電流Iを実効電圧V’の2乗で除した値の対数値を記入している。
図1中の2点を通る直線の傾きを考えた場合、その傾きは下記式(3)中の“−B/β”となる。
I=A×(βV’)×exp(−B/(βV’)) ・・・式(3)
ここで、Iは上記計測電流(I1、I12)であり、V’は上記実効電圧(V1’、V12’)であり、A及びBは、間隙7近傍の材料並びに放出面積に依存する定数である。βは間隙7近傍の形状に依存するパラメーターであり、実効電圧V’とβの積が間隙7に印加される電界強度となる。Bは定数であるので、結局、図1における傾きは、“−1/β”に比例する、と考えることができる。実効電圧V’とβの積が電界強度となることから、「活性化工程」においては、前述した「Vact」が十分に短い間隔で電源51から繰り返し出力されている状態においては、電界強度が一定という条件が成立するものと考えられる。そのため、このような条件下では、実効電圧V’とβの何れかが決まれば、もう一方も決まることになる。
そこで、「活性化工程」において、上記βを所望の値になるように電源51から出力する電圧(第1設定電圧V1、第2設定電圧V12、Vactなど)を制御することで、結果として、「活性化工程」中に間隙7に印加される実効電圧V’を制御することができる。そのため、電源51から出力する波形としては、図7、図8(a)、図8(b)に示したような、第1設定電圧がVactを兼ねている場合の方が、図8(c)のように第1設定電圧とVactが分離されている場合よりも制御が、より単純にすることができるので好ましい。
尚、βeffect=β/Bと書き示すことにすると、βeffectはβに比例しているので、βeffectの値を制御することで、間隙7に印加される実効電圧V’を制御可能であることがわかる。ところで、前述したように、図1中の2点を通る直線の傾きは、“−B/β”で表されるので、βeffectは、図1中の2点を通る直線の傾きから算出することができる。即ち、βeffectを書き示すと、下記式(1)となる。
βeffect=−1/{[ln(I1/V1’)−ln(I12/V12’)]/(1/V1’−1/V12’)}
=(1/V1’−1/V12’)/{ln(I12/V12’)−ln(I1/V1’)}・・・・式(1)
そこで、本発明における「活性化工程」は、上記βeffectの値を算出し、この値が所望の値になるように電源51から出力する電圧(第1設定電圧V1、第2設定電圧V12など)を制御することで、結果として、間隙7に印加される実効電圧V’(V1’、V12’など)を制御するものである。
ところで、式(1)からβeffectの値を算出するには、実効電圧V’(V1’、V12’)を予め算出しておく必要がある。
そこで、次に、第1設定電圧V1、実効電圧V1’、第1計測電流I1の関係、あるいは第2設定電圧V12、実効電圧V12’、第2計測電流I12の関係を整理する。
前述したように、設定電圧V(V1、V12)と実効電圧V’(V1’、V12’)の違いは、間隙7に直列に接続された抵抗成分による電圧降下が原因と考えることができる。そこで上記抵抗成分の値をRunknownと記すことにすると、実効電圧V’(V1’、V12’)は下記式(2)の様に表すことができる。
実効電圧V’=設定電圧V−計測電流I×Runknown・・・式(2)
つまり、Runknownをパラメーターとして、設定電圧V(V1、V12)と計測電流I(I1、I12)から、間隙7に印加される実効電圧V’(V1’、V12’)を推測することが可能となる。なお、Runknownで示される抵抗は、配線の抵抗や、電極(2、3)の抵抗、そして導電性膜(4a、4b)の抵抗など、電源51と間隙7との間の抵抗である。
これらの抵抗の中で、とりわけ導電性膜(4a、4b)の抵抗は、「活性化工程」中において、常に一定であるとは限らない。つまり、「活性化工程」中に、導電性膜(4a、4b)の抵抗が変化する可能性がある。
このような場合にも、本発明においては、βeffectの値を制御する際にRunknownの値を変数とすることで、実効電圧を推測することが可能となる。
以上の内容を踏まえて、本発明の「活性化工程」における、より具体的な制御方法の一例を図3と、図12のフローチャートとを用いて説明する。
まず、「活性化工程」を開始するに当り、「活性化工程」において制御するβeffectの目標値βsetを予め決めておく。βsetを決めることで、目標とする実効電圧V’も決まる。また、この時に、間隙7に接続する抵抗成分の値Runknownの初期値を決めておく。
(step1)
電源51から設定電圧を有するパルスを出力する。
このパルスは、図7、図8(a)〜図8(c)を用いて前述したような、互いに異なる電圧(第1設定電圧(V1)、第2設定電圧(V2))を有する1乃至複数種類のパルスである。設定電圧としては、更に、第3設定電圧(V3)、第四設定電圧(V4)など、電圧の異なる多数の設定電圧を更に用いることもできる。異なる設定電圧を多数出力することで、step4におけるβeffectの算出結果の精度を増すことができる。
(step2)
step1で出力された設定電圧(第1設定電圧、第2設定電圧)に応じて、電極2、3間を流れる電流である計測電流(第1計測電流(I1)、第2計測電流(I12))を計測する。
尚、設定電圧としてn種類の電圧を用いたのであれば、計測電流もn種類となる。しかし、n種類の計測電流の中から所望の2つを選択する方法を採用しても良い。
(step3)
設定電圧(V1、V2)、計測電流(I1、I12)から、実効電圧(V1’、V12’)を算出する。
実効電圧の算出においては、前述した式(2)を用いる。式(2)におけるRunknownの初期値としては、例えば、配線の抵抗、電極(2、3)の抵抗、そして導電性膜(4a、4b)の抵抗の推測値の和R1を設定することができる。
(step4)
step3で算出した実効電圧(V1’、V12’)と、計測電流(I1、I12)から、βeffectを算出する。
βeffectの算出においては、前述した式(1)を用いる。
(step5)
step4で算出したβeffectと、予め決定していた目標値(βset)とを比較する。βeffectとβsetとの間に差がある場合は、step6に進み、差がない場合は、step9に進む。
尚、本発明においては、最終的に得たい電子放出素子の仕様によっては、βeffectの値がβsetと完全に等しくなくとも予め設定した範囲内に収まれば良い場合もある。完全に等しくすることが理想ではあるが、そのために、時間があまりにもかかってしまったり、コストが上昇するのは好ましくない。そのため、step5において、βeffectの値がβsetの許容範囲内にあることを確認した時点で、step9に進むこともできる。
(step6)
βeffectがβsetよりも大きい場合には、step7Aに進み、βeffectがβsetよりも小さい場合には、step7Bに進む。
(step7A、7B)
βeffectがβsetよりも大きい場合には、step4で採用したRunknownの値が小さいためであるので、step4で採用したRunknownの値に補正値(△R)を加えて、Runknownの値を上げる(step7A)。一方、βeffectがβsetよりも小さい場合には、step4で採用したRunknownの値が大きいためであるので、step4で採用したRunknownの値から補正値(△R)を引いて、Runknownの値を下げる(step7A)。
ここで、βeffectの算出値とβsetの値が一致しない場合を考えてみる。この場合、その要因として、step3で算出した実効電圧が、目標とする実効電圧と異なっている場合が考えられる。このような場合は、電圧降下の影響を誤って見積もった場合に生じることがある。そこで、βeffectの算出値とβsetの値が一致あるいはβeffectの算出値とβsetの値とが近づくように、電源51から出力される設定電圧値を変更すればよい。その変更の方法としては、上述のRunknownの値を変更する方法を用いることができる。
つまり、式(1)から導き出されるβeffectの計算値とβsetの値が一致、あるいはその差が小さくなるようにRunknownの値を変更し、なおかつ該Runknownと電流の積で示される電圧降下を補償するように設定電圧値を変更していけばよい。
この手法によれば、たとえRunknownの値が変化した場合にも適応可能である。いま、Runknownの初期値をR1と記述した場合、式(1)から導き出されるβeffectの値がβsetの値よりも大きい場合には、実効電圧が、式(2)から算出された実効電圧の値よりも低いと判断される。この原因は、式(2)で、予め想定したRunknownの初期値(R1)が低かったと考えられる。そのため、Runknownの値を、初期値(R1)よりも大きな値であるR2に変更すればよい。逆に、式(1)から導き出されるβeffectの値がβsetの値よりも小さな場合には、実効電圧が、式(2)から算出された実効電圧の値よりも高いと判断される。この原因は、式(2)で、予め想定したRunknownの初期値(R1)が高かったと考えられる。そのため、Runknownの値を、R1よりも小さな値であるR3に変更すればよい。尚、Runknownの初期値(R1)としては、実用的には、0Ω以上40kΩ以下に設定される。
このような変更に応じて、電源51から出力する設定電圧を調整することが可能になる。この場合に、R2−R1、あるいはR3−R1で示される補正値(ΔR)は、たとえば、βeffectとβsetの差に応じて決定することが可能である。
(step8)
step7A又は7Bで変更された、抵抗値(R2或いはR3)を、式(2)に代入して、新たな設定電圧を算出する。そして、この新たな設定電圧を、電源51から出力する設定電圧として用いて、再度、step1の工程に戻る。
上記step1〜step8の制御工程を1サイクルとして、βeffectの値がβsetの値と等しくなるか、或いは、βeffectの値が予め設定した範囲内に収まるまで、上記サイクルを繰り返す。
(step9)
step5で、βeffectの値が、βsetの値と等しいか、予め設定した範囲内に収まっていることを確認した後、電源51からの電圧の出力を停止する。
以上の工程で、本発明における「活性化工程」は、基本的に、完了することができる。
しかしながら、例えば、step4で算出したβeffectの値が、βsetの値と等しい、或いは、予め設定した範囲内に収まっている場合であっても、所望の放出電流Ie及び/又は所望の素子電流Ifに到達していない場合もある。
その様な場合においては、所望の放出電流Ie及び/又は所望の素子電流Ifに到達するまで、上記したサイクルを繰り返し続けることが好ましい。この様にβeffectの値はβsetの値と等しくなった、あるいは、予め設定した範囲内に収まってはいるが、所望の放出電流Ie及び/又は所望の素子電流Ifに到達していない電子放出素子に対して、次のサイクルのstep1において出力する設定電圧としては、1つ前のサイクルのstep1において出力した設定電圧と等しい電圧を用いることができる。この様なサイクルを、所望の放出電流Ie及び/又は所望の素子電流Ifに到達するまで繰り返していると、βeffectの値がずれてくる場合もある。その場合には、step5でβeffectとβsetとが異なることが確認されるので、その時点でstep6に移行すればよい。そして、所望の放出電流Ie及び/又は所望の素子電流Ifに到達し、且つ、βeffectの値がβsetの値と等しくなった、あるいは、予め設定した範囲内に収まった、時点で「活性化工程」を終了する。
また、例えば、多数の電子放出素子に対して、同時に「活性化工程」を施す(あるいは、多数の電子放出素子を同時に炭素含有雰囲気に曝す)場合においては、全ての電子放出素子の「活性化工程」が同時に完了するとは限らない。例えば、一部の電子放出素子が他の電子放出素子よりも、βeffectの値がβsetの値と等しくなるのに要する時間、或いは予め設定した範囲内に収まるのに要する時間が早い場合もある。
その様な場合においては、既に、βeffectの値がβsetの値と等しくなった、あるいは、βeffectの値が予め設定した範囲内に収まった電子放出素子に対して、他の全ての電子放出素子のβeffectの値がβsetの値と等しいか、βeffectの値が予め設定した範囲内に収まるまで、上記したサイクルを続けることが好ましい。この様に、既に、βeffectの値がβsetの値と等しくなった、あるいは、βeffectの値が予め設定した範囲内に収まった電子放出素子に対して、次のサイクルのstep1において出力する設定電圧としては、1つ前のサイクルのstep1において出力した設定電圧と等しい電圧を用いることができる。勿論、この様なサイクルを、他の全ての電子放出素子のβeffectの値がβsetの値と等しいか、βeffectの値が予め設定した範囲内に収まるまで繰り返していると、βeffectの値がずれてくる場合もある。その場合には、step5でβeffectとβsetとが異なることが確認されるので、その時点でstep6に移行すればよい。
さらに、多数の電子放出素子に対して同時に「活性化工程」を施す(あるいは、多数の電子放出素子を同時に炭素含有雰囲気に曝す)場合においては、上述した様に、βsetと等しくなる(或いは許容範囲に収まる)迄の時間差が生じる場合に加え、前述した様な、所望の放出電流Ie及び/又は所望の素子電流Ifに到達する迄の時間差も生じる場合もある。
この様な場合においても、全ての電子放出素子の放出電流Ie及び/或いは素子電流Ifと、βeffectとが、所望の値になるまで、上述したサイクルを繰り返すことで、均一性の高い電子源を形成することができる。
以上に述べた「活性化工程」を行うことで、電子放出素子の製造における、再現性を向上することができる。また、複数の電子放出素子において、βeffectを揃えることができる。その結果、「活性化工程」において印加する実効電圧V’をそろえることが可能となる。ひいては、「活性化工程」において印加する実効電圧V’が異なることに起因する電子放出特性のばらつきを低減することが可能となる。
なお、本発明においては、「活性化工程」を開始した直後からしばらくの間(パルス電圧印加の初期)においては、βeffectが大きく観測される場合がある。これは、「活性化工程」の初期においては、炭素膜(6a、6b)がほとんど堆積していない、あるいは、前述した第1の間隙7の幅(第1炭素膜6aと第2炭素膜6bとの間隔)にまで達していないためであると思われる。そのため、その様な場合には、例えば、以下の(A)または(B)のいずれかの制御サイクルを用いればよい。
(A)βeffectが所望の範囲内(実用的にはβset±50%内)になるまでは、図12で示した、step1〜step4を繰り返す。そして、βeffectが上記所望の範囲内になったことをstep4で確認してから、上述したstep5以降に進み、βeffectの計算値とβsetの値が一致、あるいはその差が小さくなるように設定電圧を変更する制御を開始する。
(B)βeffectが所望の範囲内(実用的にはβset±50%内)になるまでは、Runknownの初期値として、例えば、配線の抵抗や電極(2、3)の抵抗、そして導電性膜(4a、4b)の抵抗の和などから推測される値(R1)を設定し、このR1とstep2で計測される計測電流I(I1、I12)との積で表される電圧降下分を設定電圧に加算するという制御サイクルを繰り返す。そして、βeffectが上記所望の範囲内になったことをstep4で確認してから、上記したstep5以降に進み、βeffectの計算値とβsetの値が一致、あるいはその差が小さくなるように設定電圧を変更する制御を開始する。
また、Runknownの補正方法に関して、例えば、Runknownの補正値(△R)をβeffectとβsetの差を算出し、この値にあらかじめ設定した係数kをかけたもの(k×|βeffect−βset|)として制御することもできる。kの値としては、1以上100000以下、好ましくは100以上20000以下が実用的な範囲である。この範囲を外れると本発明の活性化工程に要する時間が極端に長くなってしまったり、βeffectの値が収束しなくなってしまう場合がある。係数kを適宜設定することで、「活性化工程」を開始初期(パルス電圧印加の初期)から上述した制御を開始することも可能である。このような場合は、例えば、「活性化工程」の初期においては、上記係数を小さく設定することにより、Runknownの補正値(ΔR)を小さくし、「活性化工程」がある程度進んだ時点で、上記係数の値を上げることで対応することができる。
βsetの範囲に関しては、実効電圧V’として20V〜30Vの範囲の電圧を間隙7に印加することを想定すると、実用的には、0.00338以上0.00508以下とすることが好ましい。
また、設定電圧V並びにRunknown関しては、両者の値と、実効電圧V’並びに計測電流Iにより式(2)の関係が成り立つので、独立に範囲を設定することは困難であるが、例えば設定電圧Vに関して,上述の実効電圧V’の範囲においては、設定電圧Vが60[V]以下である。また、第一設定電圧V1と第2設定電圧V12は異なる電圧であり、なおかつ式(3)の関係を満足する電圧であるためには、設定電圧は15[V]以上である。この値は、設定電圧Vの最大値が20[V]のときに流れる電極2、3間を流れる計測電流Iの約2%を検出できる電圧に相当する。
また、Runknownの初期値(R1)の範囲に関しては、上述の設定電圧Vと、電流Iに依存するが、例えば実用的な範囲を考慮すると、計測電流Iが100[mA]とすると300[Ω]以下、計測電流Iが1[mA]とすると40[kΩ]以下である。また、R1の下限は、0[Ω]とすることもできる。
本発明の「活性化工程」で形成される炭素膜(6a、6b)は、炭素及び/又は炭素化合物を含む膜であり、実用的には、炭素及び/又は炭素化合物を主体とする膜である。
ここで、炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG、PG、GCを包含する(HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。))、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)である。
また、炭素膜(6a、6b)の膜厚は、200nm以下の範囲とするのが好ましく、100nm以下の範囲とすることがより好ましい。
(工程5)
次に、工程1〜工程4を経て得られた電子放出素子は、好ましくは、「安定化工程」を行うことが好ましい。
この工程は、主には、真空容器内の炭素化合物および/あるいは電子放出素子を形成した基板1上に残留した炭素化合物を排気する工程である。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1×10−6Pa以下が好ましい。
真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが工程1〜4を経て形成した電子放出素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。
真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、80℃以上好ましくは150℃以上350℃以下で、できるだけ長時間処理するのが望ましい。
「安定化工程」を行った後の、電子放出素子の駆動時の雰囲気は、上記「安定化工程」終了時の雰囲気を維持するのが好ましい。しかしながら、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、また真空容器や基板などに吸着したHO、Oなども除去でき、結果として素子電流If, 放出電流Ieが、安定する。
上述した工程を経て得られた本発明の電子放出素子の基本特性について図5、図6を参照しながら説明する。
図5は、真空処理装置の一例を示す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能をも兼ね備えている。図5においても、図2に示した部位と同じ部位には図2で付した符号と同一の符号を付している。
図5において、55は真空容器であり、56は排気ポンプである。真空容器55内には上記工程1〜工程5を経て形成された電子放出素子が配されている。51は、電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50は電極2、3間を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は、電子放出素子より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は放出電流Ieを測定するための電流計である。アノード電極の電圧は1kV以上20kV以下の範囲が好ましく、アノード電極と電子放出素子との距離Hは1mm以上10mm以下の範囲として測定を行う。
真空容器55内には、不図示の真空計等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになっている。排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータリーポンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。ここに示した基板1を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。従って、この真空処理装置を用いると、前述の工程3〜工程5も行うことができる。
図6は、図5に示した真空処理装置を用いて測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。図6においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示している。なお、縦軸および横軸ともリニアスケールである。
図6からも明らかなように、本発明の製造方法で得られる電子放出素子は、放出電流Ieに関して三つの特徴的性質を有する。
即ち、
(1)ある電圧(「しきい値電圧」と呼ぶ。図6中のVth)以上の電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。
(2)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
(3)アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
以上の説明より理解されるように、本発明の製造方法で得られる電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像表示装置等、多方面への応用が可能となる。
尚、本発明の製造方法により形成した電子放出素子においては、実効電圧V’を制御した極性と同一の極性で駆動することが好ましい。つまり、例えば、図7で示したようなパルスを用いて、「活性化工程」を行った場合においては、電極2,3のうち、V1、V2を印加した側の電極を、駆動の際に高い電位を印加する電極とする。即ち、例えば、電極2に+V1[V]、+V12[V]を印加したのならば、電子放出素子の駆動時においては、電極2の電位が電極3の電位よりも高くなるようにして電子を放出させることが好ましい。
次に、本発明の製造方法により作成することのできる、複数の電子放出素子を備えた電子源並びに画像表示装置について以下に説明する。
図10に、本発明に係る画像表示装置を構成する外囲器100の一実施形態を模式的に示した斜視図である。尚、図10は、理解を容易にするため、外囲器100の一部を切除または省略して示している。図10に示されるように、リアプレート91には、本発明の製造方法で得られる多数の電子放出素子107で構成された電子源が配置されている。また、94はY方向配線、96はX方向配線、102はフェースプレート、103はガラス基板、104は蛍光膜、105はメタルバック、106は支持枠である。
このような外囲器100は、フェースプレート102とリアプレート91とを封着することによって得ることができる。そして、一般には、フェースプレート102とリアプレート91との距離を規定するために、支持枠106を間に挟んで封着する。また、大型の外囲器を形成する場合には、さらに、スペーサと呼ばれる支持部材を、外囲器内部において、フェースプレート102とリアプレート91との間に配置される。
リアプレート91上には、電子放出素子107の一方の電極93に接続されたY方向配線(下配線)94が設けられており、さらに、その上に、絶縁層(不図示)を介して、X方向配線(上配線)96が設けられている。尚、X方向配線(上配線)96は、Y方向配線94と交差する方向に配置されており、絶縁層に設けられたコンタクトホール(不図示)を介して他方の電極92に接続される。このようにすることで、各電子放出素子107は、Y方向配線94及びX方向配線96を介して電極92、93間に電圧を印加することで、選択的に駆動することができるようになっている。Y方向配線94およびX方向配線96の材料、膜厚、配線幅等は適宜設定される。また、Y方向配線94およびX方向配線96、絶縁層の形成方法の例としては、印刷法やスパッタリング法とフォトリソグラフィ技術の組み合わせ等を用いることができる。
上記リアプレート91と対向して、ガラス等の透明な絶縁性のフェースプレート103が配置されている。フェースプレート103の内面には、蛍光体層104と、メタルバック105が設けられている。尚、メタルバック105は、前述したアノード電極に相当する導電性膜である。106は支持枠であり、リアプレート91およびフェースプレート103と、フリットガラス等の接着剤で封着されており、内部が気密に保持された外囲器100を構成している。尚、フェースプレート103とリアプレート91との間隔は1mm以上10mm以下で選択された値に維持されることが好ましい。
上記リアプレート91、支持枠106およびフェースプレート103で囲まれた外囲器100の内部空間は真空に保持される。この真空雰囲気は、リアプレート791またはフェイスプレート103に排気管を設けておき、内部を真空排気した後、排気管を封止することが形成することができる。また、支持枠106とリアプレート91とフェースプレート103の封着を真空チャンバー中で行うことで、内部が真空に維持された外囲器100を、上記排気管を用いずに容易に形成することができる。
画像の表示は、上記の外囲器100に、各電子放出素子107を駆動するための駆動回路を接続し、Y方向配線94およびX方向配線96を介して所望の電極92、93間に電圧を印加することで電子放出部から電子を発生させると共に、高圧端子Hvからアノード電極であるメタルバック105に5kV以上30kV以下の高電圧を印加して電子ビームを加速し、蛍光体層104に衝突させることで行うことができる。
蛍光体層104は、画像表示装置によってカラー表示を行いたい場合は、3原色の蛍光体を所望の周期に配列することで得ることができる。そして、各色の蛍光体間には光吸収層を配置することが好ましい。光吸収層としては、典型的には黒色の部材を用いることができる。黒色の部材としてはカーボンを用いることができる。
また、フェースプレート103とリアプレート91との間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器100を構成することができる。
また、図10を用いて説明した本発明の外囲器(画像表示装置)100を用いて情報表示再生装置を構成することができる。
具体的には、テレビジョン放送などの放送信号を受信する受信装置と、受信した信号を選曲するチューナーと、選曲した信号に含まれる映像情報、文字情報および音声情報の少なくとも1つを、外囲器(画像表示装置)100に出力して表示および/あるいは再生させる。この構成によりテレビジョンなどの情報表示再生装置を構成することができる。勿論、放送信号がエンコードされている場合には、本発明の情報表示再生装置はデコーダーも含むことができる。また、音声信号については、別途設けたスピーカーなどの音声再生手段に出力して、外囲器(画像表示装置)100に表示される映像情報や文字情報と同期させて再生する。
また、映像情報または文字情報を外囲器(画像表示装置)100に出力して表示および/あるいは再生させる方法としては、例えば以下のように行うことができる。まず、受信した映像情報や文字情報から、外囲器(画像表示装置)100の各画素に対応した画像信号を生成する。そして生成した画像信号を、外囲器(画像表示装置)100の駆動回路に入力する。そして、駆動回路に入力された画像信号に基づいて、駆動回路から外囲器(画像表示装置)100内の各電子放出素子に印加する電圧を制御して、画像を表示する。
ここで述べた画像表示装置の構成は、本発明を適用可能な画像表示装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。また、本発明の画像表示装置は、テレビ会議システムやコンピュータ等の表示装置等としても用いることができる。
本発明の画像表示装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピュータ等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プリンタとしての画像形成装置等としても用いることができる。
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
電子放出素子として図2に示すタイプの電子放出素子を作成した。図2(a)は平面模式図を示し、図2(b)は断面模式図を示している。図2において、1は基板、2、3は電極、4aは第1導電膜、4bは第2導電膜、6aは第1炭素膜、6bは第2炭素膜、5は第2の間隙、7は第1の間隙である。
本実施例においては、1つの電子放出素子を、以下の工程に従い作成した。
(工程1)
基板1として、SiOを67%と、KOを4.4%とNaOを4.5%含み、歪み点が570℃である基体上にSiOをスパッタリング蒸着法で積層したものを使用した。
(工程2)
上記基板1上に、スパッタリング蒸着法により、Tiを厚さ5nmで、Ptを厚さ50nmで順次堆積した。電極2、3および電極間隔Lとなるべきパターンをホトレジストで形成し、次にArイオンによるドライエッチングを行い、電極間隔Lは30μmとし、電極幅Wを1000μmとした電極2、3を形成した(図3(a))。
(工程3)
有機Pd溶液を、基板1上にスピンナーにより回転塗布し、300℃で12分間の加熱焼成処理を行った。また、こうして形成した導電性膜4(主元素をPdとした膜)のシート抵抗値は1×10Ω/□であった。
(工程4)
工程3で得られた導電性膜4を、レーザーによる直接パターニングを行って、所定のパターンに形成した(図3(b))。導電性膜4の幅W’は600μmとした。
(工程5)
次に、上述の基板1を図5で説明した測定評価装置にセットし、真空ポンプ56により排気して内部が1×10−3Paの真空度に達した後に、98%の窒素ガスと2%の水素ガスとを含む混合ガスを内部に導入した。水素によって導電性膜4の還元が促進され酸化パラジウムがパラジウムに変化する。還元後に電極2、3間の抵抗を測定したところ、60[Ω]であった。このあと、再び真空ポンプにより1×10−3Paの真空度に達するまで内部を排気した後に、電源51を用いて電極2、3間に電圧を印加し、「フォーミング工程」を行い、第2の間隙5を形成した(図3(c))。本実施例では、パルス幅T1を1[msec]、パルス間隔T2を50[msec]とした矩形パルスを、波高値を0.1[V]ステップで昇圧させて、「フォーミング工程」を行った。このあと、評価装置内部を1×10−6Paまで排気した。
(工程6)
続いて、トルニトリルをアンプルに封じたものをスローリークバルブを通して、図5に示した評価装置55内に導入し、内部を1.3×10−4Paに維持した。次に、図7に示した波形のパルスを電源51から出力して「活性化工程」を行った(図3(d))。図7に示した波形は、「活性化工程」の開始直後であって、未だ本発明の制御を行っていない時において、電源51から出力された波形を示している。図7で、第1設定電圧V1は23[V]、第2設定電圧V12は21[V]である。また、V4は、V1と絶対値の等しい逆極性の電圧である、−23[V]とした。またパルス幅T1は1[msec]、T12は0.1[msec]、T3は0.1[msec]とした。周期は20[msec]とし、本実施例における「活性化工程」の所要時間は45分間であった。
本実施例の「活性化工程」において行った制御を以下に詳細に述べる。
(step0)
まず、初期設定を行った。具体的には、βset=0.00441、Runknown=0に設定した。
(step1)
電源51から図7に示した波形(上記設定電圧V(V1、V12、V4))の出力を開始した。
(step2)
出力された設定電圧V(V1、V12、V4)の各々に応じて流れる電流I(I1、I12、I4)を計測した。
(step3)
そして、設定電圧V(V1、V12)及び計測電流I(I1、I12)から実効電圧V’(V1’、V12’)を次の式を用いて算出した。
V1’=V1−I1×Runknown
V12’=V12−I12×Runknown
unknown=0と設定してあるので、この段階で得られる、実効電圧V’(V1’、V12’)はそれぞれ、設定電圧V(V1、V12)と等しくなる。
(step4)
実行電圧V’から、βeffectを算出した。尚、上記step2及びstep3で行う、実効電圧V’の算出並びに電流の計測は、約2秒周期で行った。
そして、step4におけるβeffectの算出結果が、βeffect≦0.00662になるまで、上記step1からstep4を繰り返した。βeffect≦0.00662になるまでに要した時間は、電源51から図7に示した波形の出力を開始してから約3分であった。尚、この間、Runknown=0に固定した。
βeffect≦0.00662になったのを確認してから、次のstep5に移った。
(step5〜7)
まず、βeffectの値とβsetの値とを比較し、βeffectの値とβsetの値が異なっていた場合に、Runknownの値を変更(補正)する処理を行った。
具体的には、Runknownの補正値(変更幅)をΔRとし、kを定数として、下記式(3)にて表されるΔRを算出する。そして得られたΔRをRunknownに加算して、補正した新たなRunknownを算出した。
ΔR=k×(βeffect−βset) 式(3)
本実施例においては、k=10000に設定した。
(step8)
上記式(3)を用いて補正した新たなRunknownと、step2で計測した計測電流I(I1、I12)及び、step3で算出した実効電圧V’(V1’、V12’)を、以下の関係式に代入することで、次のサイクルのstep1において電源51から出力する新たな設定電圧V(V2、V22)を算出した。尚、新たな設定電圧V(V2、V22)を算出する上で用いた、実効電圧V’(V1’、V12’)はstep3で述べた様に、設定電圧V(V1、V12)と等しい。そのため、V1’は23[V]であり、V12’は21[V]である。
V1’=V2−I1×Runknown
V12’=V22−I12×Runknown
そして、次の制御サイクル(新たな制御サイクル)のstep1において電源51から出力する電圧を、上記step8で算出した新たな設定電圧V(V2、V22)に置き換えて、電源51からの出力を開始することで新たな制御サイクルを開始した。その後は、上記step2〜step4迄を再度行い、βeffectの値を算出した。尚、この制御サイクルのstep3においては、Runknownは上記step7で算出した新たなRunknownを採用した。つまり、この制御サイクルのstep3において用いるRunknownは前の制御サイクルのstep7で算出した新たなRunknownを用いる。尚、前のサイクルでは、βeffect≦0.00662になるまで、step1からstep4を繰り返したが、このサイクルにおいては、step1からstep4を繰り返さずに単純にβeffectの値を算出した。そして、step5に移行して、βeffectとβsetとが同一か否かを判定し、異なっていればstep6〜step8を開始した。そして、また、新たな制御サイクルのstep1〜step5を開始した。
以上述べた、新たな制御サイクルを繰り返すことによって、βeffectとβsetと等しくなるまで、「活性化工程」の制御を行った。そして「活性化工程」の開始から45分経過した時点で、step5における算出結果が、βeffect=βsetになったので、「活性化工程」を終了した。
表1には、「活性化工程」の開始から5分間隔で算出または計測された、βeffect、Runknown(単位はΩ)、I1(単位はmA)を示す。
Figure 0003774723
表1から、「活性化工程」開始5分後には、βeffectが概ねβsetと一致するように制御がなされたことがわかる。また、Runknownが時間の経過と共に増加していることがわかる。本実施例においては、Runknownの初期値を0としていたが、βeffectの値をβsetとの差が低減するように制御することにより、Runknownの値を随時変更している。βeffectが所望の値βsetと一致するように制御されていることにより、βsetに対応した実効電圧V’が間隙7に印加することが可能となる。なお、上述の抵抗変化は、「活性化工程」中における導電性膜4の変化に起因して生じていると推測される。
本実施例より、間隙7に直列に接続された抵抗成分を求め、その分の電圧補償を実施することが可能であり、ひいては間隙7に所望の実効電圧を印加可能であることがわかる。
(実施例2)
本実施例においては、実施例1の(工程5)までは同様の製造方法を採用して、図2に示すタイプの電子放出素子を5つ(電子放出素子B、C、D、E、F)作成した。このため、以下では(工程1〜5)については、説明を省略する。
なお、(工程5)で、還元後に電極2、3間の抵抗を測定したところ、電子放出素子B、C、D、E、Fそれぞれにおいて、61Ω、60Ω、61Ω、62Ω、61Ωであった。
(工程5)の「フォーミング工程」を終えた後、各電子放出素子に以下に示す「活性化工程」を行った。
本実施例においては、各電子放出素子に既知の抵抗値を持つ抵抗を接続して、抵抗ばらつきを意図的に作り出した。
具体的には、電子放出素子B、C、D、Eの夫々と電源51との間に、100Ω、220Ω、270Ω、330Ωの抵抗を挿入した。なお、電子放出素子Fについては、抵抗を挿入しなかった。これら5つの電子放出素子について、以下に示す「活性化工程」を施した。
(工程6)
トルニトリルをアンプルに封じたものをスローリークバルブを通して評価装置55内に導入し、内部を1.3×10−4Paに維持した。次に、各電子放出素子(B、C、D、E、F)に対して、実施例1と同様に図7に示した波形のパルス電圧を電源51から出力して「活性化工程」を行った。
図7に示した波形は、「活性化工程」の開始直後であって、未だ、本発明の制御を行っていない時において、電源51から出力された波形を示している。図7において、第1設定電圧V1は23[V]、第2設定電圧V12は21[V]である。また、V4は、V1と絶対値の等しい逆極性の電圧である、−23[V]とした。またパルス幅T1は1[msec]、T12は0.1[msec]、T3は0.1[msec]とした。周期は20[msec]とし、本実施例における「活性化工程」の所要時間は45分間であった。
なお、本実施例では、放出電流Ieを測定する目的で、「活性化工程」中、アノード64に100[V]を印加した。
本実施例において行った制御を以下に詳細に述べる。なお、制御には使用しないが、放出電流Ieを、第1設定電圧V1の出力のタイミングに合わせて計測した。
(step0)
まず、初期設定を行った。初期設定はすべての電子放出素子(B、C、D、E、F)を同じにした。具体的には、βset=0.00441、Runknown=0に設定した。
(step1)
電源51から図7に示した波形(上記設定電圧V(V1、V12、V4))の出力を開始した。
(step2)
出力された設定電圧V(V1、V12、V4)の各々に応じて流れる電流I(I1、I12、I4)を計測した。
(step3)
そして、設定電圧V(V1、V12)及び計測電流I(I1、I12)から実効電圧V’(V1’、V12’)を次の式を用いて算出した。
V1’=V1−I1×Runknown
V12’=V12−I12×Runknown
unknown=0と設定してあるので、この段階で得られる、実効電圧V’(V1’、V12’)は、それぞれ、設定電圧V(V1、V12)と等しくなる。
(step4)
実行電圧V’(V1’、V12’)から、βeffectを算出した。尚、上記step2及びstep3で行う、実効電圧V’の算出並びに電流の計測は、約2秒周期で行った。
そして、「活性化工程」の開始(step1の開始)から5分後に、次のステップに移った。
(step5〜7)
まず、step4で算出したβeffectの値とβsetの値とを比較し、βeffectの値とβsetの値が異なっていた場合に、Runknownの値を変更(補正)する処理を行った。
具体的には、Runknownの補正値(変更幅)をΔRとし、kを定数として、下記式(3)にて表されるΔRを算出する。そして得られたΔRをRunknownに加算して、補正した新たなRunknownを算出した。
ΔR=k×(βeffect−βset) 式(3)
本実施例においては、k=10000に設定した。
(step8)上記式(3)を用いて補正した新たなRunknownと、step2で計測した計測電流I(I1、I12)及び、step3で算出した実効電圧V’(V1’、V12’)を、以下の関係式に代入することで、次のサイクルのstep1において電源51から出力する新たな設定電圧V(V2、V22)を算出した。尚、新たな設定電圧V(V2、V22)を算出する上で用いた、実効電圧V’(V1’、V12’)はstep3で述べた様に、設定電圧V(V1、V12)と等しい。そのため、V1’は23[V]であり、V12’は21[V]である。
V1’=V2−I1×Runknown
V12’=V22−I12×Runknown
そして、次の制御サイクル(新たな制御サイクル)のstep1において電源51から出力する電圧を、上記step8で算出した新たな設定電圧V(V2、V22)に置き換えて、電源51からの出力を開始することで新たな制御サイクルを開始した。その後は、上記step2〜step4迄を再度行い、βeffectの値を算出した。尚、この制御サイクルのstep3においては、Runknownは上記step7で算出した新たなRunknownを採用した。つまり、この制御サイクルのstep3において用いるRunknownは前の制御サイクルのstep7で算出した新たなRunknownを用いる。尚、前のサイクルでは、電圧印加開始(step1の開始)から5分経過するまで、step5に移行しなかったが、この新たなサイクルにおいては、step4の後、直ちにstep5に移行し、βeffectの値を算出した。そして、step5に移行して、βeffectとβsetとが同一か否かを判定し、βeffect とβsetとが異なっていればstep6〜step8を開始した。そして、また、新たな制御サイクルのstep1〜step5を開始した。
以上述べた、新たな制御サイクルを、電圧の印加から45分経過するまで、繰り返すことによって、βeffectとβsetとの差が減少するように、「活性化工程」の制御を行った。そして「活性化工程」の開始から45分経過した時点で、「活性化工程」を終了した。
表2に、各電子放出素子における、電圧印加を停止する(「活性化工程」を終了する)直前のβeffectと実効電圧V1’(単位はV)、並びにRunknown(単位はΩ)の演算結果と、I1(単位はmA)、並びに放出電流Ie(単位はμA)の計測値を示す。
Figure 0003774723
表2から、各電子放出素子(B,C,D,E,F)すべてについて、βeffectが概ねβsetと一致するように制御がなされたことが読み取れる。本実施例においては、Runknownの初期値を0としていたが、βeffectの値とβsetとの差が低減するように、ある所定の期間(45分間)、制御することにより、Runknownの値を随時変更していることがわかる。
その結果、Runknownが概ね付与した抵抗の大きさに応じて算出されている。このことは、各電子放出素子に直列に接続された抵抗の値がたとえ不明であっても、本発明の制御方法を用いて、βeffectを所望の値であるβsetに一致するように、あるいはβeffectとβsetとの差を低減するように制御されている限り、βsetに対応した実効電圧を間隙7に印加することが可能であることを意味する。
さらに、I1の値を見ると、各電子放出素子(B、C、D、E、F)間の均一性が高い事がわかる。これは、各電子放出素子の「活性化工程」中に、間隙7に印加された実効電圧が概ねそろっていたためだと考えられる。また、放出電流Ieの値を見てみると、各電子放出素子(B、C、D、E、F)間の均一性が高い事がわかる。これは、各電子放出素子の「活性化工程」中に、間隙7に印加された実行電圧が概ねそろっていたためだと考えられる。
これらの結果から、活性化工程」中に、間隙7に印加される実効電圧をそろえることにより、放出電流Ieまでそろえることができ、結果的に放出電流Ieを素子電流Ifで割ることにより算出される電子放出効率のそろった電子放出素子を再現性良く作成可能であることがわかる。このことから、本発明を適用することにより、電子放出特性のそろった電子放出素子を提供可能となることがわかる。
なお、電子放出素子Fと、実施例1で作成した電子放出素子を比較すると、βeffect、並びにI1が概ね一致しており、よい再現性を示すことが確認された。
また、本実施例で付加した抵抗の値は、上述の値に限られるものではなく、より大きなものであっても、本発明の制御方法によってβeffectを制御すれば、間隙7に印加される実効電圧V’を制御することができる。
(参考例1)
本参考例1では、抵抗値がある値から変動せず、一定であるものと仮定して、印加する電圧の補償を行った場合を示す。従って、本参考例1では、実施例1や実施例2にあるような、抵抗値Runknownの値を推定する制御を含むものではない。
参考較例1として、実施例1の(工程5)までは同様の製造方法を採用して、図2に示すタイプの電子放出素子を2つ(電子放出素子G、H)作成した。このため、以下では(工程1〜5)については、説明を省略する。
なお、(工程5)で、還元後に電極2、3間の抵抗を測定したところ、電子放出素子G、Hそれぞれ62Ω、60Ωであった。(工程5)の「フォーミング工程」を終えた後、各電子放出素子(G、H)に以下に示す「活性化工程」を行った。
本参考例においては、各電子放出素子に既知の抵抗値を持つ抵抗を接続して、抵抗ばらつきを意図的に作り出した。具体的には、電子放出素子G、Hの夫々と電源51との間に、100Ω、330Ωの抵抗を挿入した。これら2つの電子放出素子について、以下に示す「活性化工程」を施した。
(工程6)
トルニトリルをアンプルに封じたものをスローリークバルブを通して評価装置55内に導入し、内部を1.3×10−4Paに維持した。次に、各電子放出素子(G、H)に対して、実施例1と同様に図7に示した波形のパルス電圧を電源51から出力して「活性化工程」を行った。
図7に示した波形は、活性化工程」の開始直後であって、未だ、本発明の制御を行っていない時において、電源51から出力された波形を示している。図7において、第1設定電圧V1は23[V]、第2設定電圧V12は21[V]である。また、V4は、V1と絶対値の等しい逆極性の電圧である、−23[V]とした。またパルス幅T1は1[msec]、T12は0.1[msec]、T3は0.1[msec]とした。周期は20[msec]とし、本参考例における「活性化工程」の所要時間は45分間であった。
なお、本参考例においては、放出電流Ieを測定する目的で、「活性化工程」中、アノード64に100[V]印加した。
そして、本参考例においては、各電子放出素子に接続する抵抗の抵抗値を270Ωと仮定して、その抵抗値による電圧降下分を補うように、電源51から出力する電圧に上乗せして「活性化工程」を行った。そのため、各電子放出素子(G、H)に実際に接続した抵抗は、夫々、100Ωと330Ωであるので、電子放出素子(G)に対して印加される電圧(補償電圧)は高くなり、一方、電子放出素子(H)に対して印加される電圧(補償電圧)は低くなる。
これは、電子放出素子(G)の抵抗値を、実際に付加している抵抗値100Ωよりも大きな値であるものと認識して印加電圧の補償を行うことに相当するので、過補償となる。つまり電子放出素子(G)に印加される補償電圧が、適正な値よりも大きくなる。一方、電子放出素子(H)については、抵抗値を、実際に付加している抵抗値330Ωよりも小さな値であるものと認識して印加電圧の補償を行うことに相当するので、補償電圧が、適正な値よりも小さくなる。
また、抵抗値は常に270Ωであると仮定したため、βeffectの算出は行わなかった。
設定電圧V1の出力に応じて検出される電流I1のみを検出した。設定電圧V1から間隙7に印加されていると考えられる実効電圧V1’は、次の式を用いて算出した。
V1’=V1−I1×270
尚、実効電圧V1’並びに計測電流I1の算定および測定は、約2秒周期で行った。そして、実効電圧V1’の算定結果が、23[V]になる様に、上記式を用いて、電源51から出力される設定電圧を2秒周期で制御した。即ち、「活性化工程」の初期においては、電源51から出力される第1設定電圧は23[V]であるので、電源51から出力する電圧を上昇させる制御(電圧補償)を行うことになる。このような制御を「活性化工程」の開始(電圧印加開始)から45分経過した時点で終了し、「活性化工程」を完了した。
表3に、「活性化工程」終了(電圧印加を停止する)直前のI1(単位はmA)、並びに放出電流Ie(単位はμA)の計測値を示す。
Figure 0003774723
表3でI1の値を見ると、電子放出素子間で大きく異なっている事がわかる。これは、電子放出素子Gと電子放出素子Hのそれぞれに印加された実効電圧がそろっていなかったためだと考えられる。また、放出電流Ieの値を見てみると、I1ほどではないが、異なっている事がわかる。これらの結果より、放出電流Ieを素子電流Ifで割ることにより算出される電子放出効率が大きく異なった電子放出素子となってしまっていることがわかる。このことから、実効電圧V’をそろえるように「活性化工程」を制御することが重要であることがわかる。
(実施例3)
本実施例においては、実施例1の(工程5)までは同様の製造方法を採用して、図2に示すタイプの電子放出素子を3つ(電子放出素子J、K、L)作成した。このため、以下では(工程1〜5)については、説明を省略する。
なお、(工程5)で、還元後に電極2、3間の抵抗を測定したところ、電子放出素子J、K、Lそれぞれにおいて、60Ω、62Ω、63Ωであった。
(工程5)の「フォーミング工程」を終えた後、各電子放出素子に以下に示す「活性化工程」を行った。
本実施例においては、各電子放出素子に対して、「活性化工程」中に電源51から出力する電圧をかえた。具体的には、電子放出素子J、K、Lに、夫々、20[V]、22[V]、24[V]を、第1設定電圧V1として印加した。これら3つの電子放出素子に対して、実施した「活性化工程」を以下に説明する。
(工程6)
トルニトリルをアンプルに封じたものをスローリークバルブを通して評価装置55内に導入し、内部を1.3×10−4Paに維持した。次に、各電子放出素子(J、K、L)夫々に対して、実施例1と同様に図7に示した波形のパルス電圧を電源51から出力して「活性化工程」を行った。
図7に示した波形は、「活性化工程」の開始直後であって、未だ、本発明の制御を行っていない時において、電源51から出力された波形を示している。図7において、電子放出素子Jについては、第1設定電圧V1=20[V]、第2設定電圧V12=18[V]、V4=−20[V]である。電子放出素子Kについては、第1設定電圧V1=22[V]、第2設定電圧V12=20[V]、V4=−22[V]である。電子放出素子Lについては、V1=24[V]、V12=21[V]、V4=−24[V]である。またパルス幅T1は1[msec]、T12を0.1[msec]、T3を0.1[msec]とした。周期は20[msec]とし、時間は45分間とした。
なお、本実施例では、放出電流Ieを測定する目的で、「活性化工程」中、アノード64に100[V]を印加した。
本実施例において行った制御を以下に詳細に述べる。なお、制御には使用しないが、放出電流Ieを、第1設定電圧V1の出力のタイミングに合わせて計測した。
(step0)
まず、初期設定を行った。初期設定では、すべての電子放出素子(J、K、L)において、Runknown=0とした。また、βsetは、電子放出素子Jでは0.00508に設定し、電子放出素子Kでは0.00461に設定し、電子放出素子Lでは0.00423に設定した。
(step1)
電源51から図7に示した波形(上記設定電圧V(V1、V12、V4))の出力を開始した。
(step2)
出力された設定電圧V(V1、V12、V4)の各々に応じて流れる電流I(I1、I12、I4)を計測した。
(step3)
そして、V(V1、V12)及び計測電流I(I1、I12)から実効電圧V’(V1’、V12’)を次の式を用いて算出した。
V1’=V1−I1×Runknown
V12’=V12−I12×Runknown
unknown=0と設定してあるので、この段階で得られる、実効電圧V’(V1’、V12’)は、それぞれ、設定電圧V(V1、V12)と等しくなる。
(step4)
実行電圧V’(V1’、V12’)から、βeffectを算出した。尚、上記step2及びstep3で行う、実効電圧V’の算出並びに電流の計測は、約2秒周期で行った。
そして、「活性化工程」の開始(step1の開始)から5分後に、次のステップに移った。
(step5〜7)
まず、step4で算出したβeffectの値とβsetの値とを比較し、βeffectの値とβsetの値が異なっていた場合に、Runknownの値を変更(補正)する処理を行った。
具体的には、Runknownの補正値(変更幅)をΔRとし、kを定数として、下記式(3)にて表されるΔRを算出する。そして得られたΔRをRunknownに加算して、補正した新たなRunknownを算出した。
ΔR=k×(βeffect−βset) 式(3)
本実施例においては、k=10000に設定した。
(step8)
上記式(3)を用いて補正した新たなRunknownと、step2で計測した計測電流I(I1、I12)及び、step3で算出した実効電圧V’(V1’、V12’)を、以下の関係式に代入することで、次のサイクルのstep1において電源51から出力する新たな設定電圧V(V2、V22)を算出した。尚、新たな設定電圧V(V2、V22)を算出する上で用いた、実効電圧V’(V1’、V12’)はstep3で述べた様に、設定電圧V(V1、V12)と等しい。
V1’=V2−I1×Runknown
V12’=V22−I12×Runknown
そして、次の制御サイクル(新たな制御サイクル)のstep1において電源51から出力する電圧を、上記step8で算出した新たな設定電圧V(V2、V22)に置き換えて、電源51からの出力を開始することで新たな制御サイクルを開始した。その後は、上記step2〜step4迄を再度行い、βeffectの値を算出した。尚、この制御サイクルのstep3においては、Runknownは上記step7で算出した新たなRunknownを採用した。つまり、この制御サイクルのstep3において用いるRunknownは前の制御サイクルのstep7で算出した新たなRunknownを用いる。尚、前のサイクルでは、電圧印加開始(step1の開始)から5分経過するまで、step5に移行しなかったが、この新たなサイクルにおいては、step4の後、直ちにstep5に移行し、βeffectの値を算出した。そして、step5に移行して、βeffectとβsetとが同一か否かを判定し、βeffectとβsetとが異なっていればstep6〜step8を開始した。そして、また、新たな制御サイクルのstep1〜step5を開始した。
以上述べた、新たな制御サイクルを測定周期毎に行い、電圧の印加から45分経過するまで、繰り返すことによって、βeffectとβsetとの差が減少するように、「活性化工程」の制御を行った。そして「活性化工程」の開始から45分経過した時点で、「活性化工程」を終了した。
表4に、各電子放出素子における、電圧印加を停止する(「活性化工程」を終了する)直前のβeffectと実効電圧V1'(単位はV)、並びにRunknown(単位はΩ)の演算結果と、I1(単位はmA)の計測値を示す。
Figure 0003774723
表4から、各電子放出素子(J、K、L)すべてについて、βeffectが概ねβsetと一致するように制御がなされたことが読み取れる。本実施例においては、Runknownの初期値を0としていたが、βeffectの値とβsetとの差が低減するように、ある所定の期間(45分間)、制御することにより、Runknownの値を随時変更した。その結果、Runknownが概ね同程度の値として算出されている。
本実施例においては、電源51から出力する電圧を、各々の電子放出素子で、異なった値に設定した。しかしながら、本発明の制御を実施することにより、Runknownが概ね同程度の値として算出されていることから、本発明の「活性化工程」中において、概ね電界強度が一定という条件が満足していることが推測される。
上述したように、本発明は、「活性化工程」において用いる電圧範囲は、特定の電圧に限定されるものではなく、適用可能なことがわかる。
なお、「活性化工程」において用いる電圧(電源51から出力する電圧)は、たとえば20V以上30V以下である場合には、前記βsetは0.00338以上0.00508以下に設定すればよい。
(実施例4)
本実施例では、図9(a)〜図9(e)、図10、図11を用いて電子源および画像表示装置を作成する例を説明する。各電子放出素子の「活性化工程」は、基本的に実施例1と同様の手法で行った。
図9(a)〜図9(e)は、「フォーミング工程」を施す前までにおける、マトリクス状に多数の電子放出素子を配列した電子源の各製造工程を示す平面模式図である。図9(e)は、「フォーミング工程」を施す前の電子源の様子を示している。図9(e)において、91は基板(リアプレート)、92、93は各電子放出素子を構成する第1電極および第2電極である。また、94はy方向配線、95は絶縁膜、96はX方向配線、97は各電子放出素子を構成する導電性膜である。
工程(a)
SiOを67%と、KOを4.4%とNaOを4.5%含み、歪み点が570℃であるガラス基板91上に、各々が一対の電極(92、93)を含むユニットを多数形成した(図9(a))。電極92、93は、基板91上に、スパッタ法によって先ず下引き層として厚さ5nmのTiを成膜し、その上に厚さ40nmのPtを成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。
本例では電極92、93との間隔(図2(a)におけるLに相当する)を10μm、長さ(図2(a)におけるWに相当する)を100μmとした。
工程(b)
次に、Y方向の複数の素子電極93を共通に接続する、複数本のY方向配線94を形成した(図9(b))。Y方向配線94は、銀(Ag)粒子を含有する感光性ぺーストを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光、現像し、この後480℃前後の温度で焼成して形成した。
工程(c)
Y方向配線94に交差するように、且つ後述するX方向配線96と素子電極92とが接続するように、当該接続部にコンタクトホールを開けて、層間絶縁層95を形成した(図9(c))。層間絶縁層95は、PbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光、現像し、これを480℃前後の温度で焼成して形成した。
工程(d)
次に、X方向配線96を、Y方向配線94に交差するように、層間絶縁層95上に形成した(図9(d))。具体的には、先に形成した層間絶縁層95の上に、銀(Ag)粒子を含有するぺーストをスクリーン印刷した後乾燥させ、480℃前後の温度で焼成した。層間絶縁層95のコンタクトホール部分で素子電極92と、X方向配線96とが接続された。
X方向配線96は、走査信号が印加される配線として用いられる。
このようにしてXYマトリクス配線を有する基板91が形成された。
工程(e)
次に、各電極92、93間を繋ぐように、液滴付与手段により、導電性膜97を構成する材料を含む液体を塗布した。具体的には、導電性膜97としてPd膜を得る目的で、有機Pd含有溶液を用いた。この溶液の液滴を液滴付与手段として、ピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置を用い、ドット径が60μmとなるように調整して電極92、93間に付与した。その後、この基板91を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして酸化パラジウム(PdO)とした。ドットの直径は約60μm、厚みは最大で10nmの膜が得られた。以上の工程により、PdOからなる導電性膜97が形成された(図9(e))。
工程(f)
次に、「フォーミング工程」を行った。
具体的な方法は、図5に示した装置と同様の構成の真空装置55内に上記基板91を配置し、電源51から、X方向配線96及びY方向配線94を介して各電極92,93間に通電する事によって、各導電性膜97に間隙(図2(a)の第2の間隙5に相当する)を形成した。この時、若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で「フォーミング工程」を行った。尚、「フォーミング工程」に用いた電圧波形は図4(b)に示した、パルス波高値を増加させながら印加する方法で、T1=1msec、T2=50msec、T3=49msecとし、矩形波の波高値は0.1Vステップで上昇させた。
工程(g)
次に「活性化工程」を行った。
真空装置55内にトルニトリルを導入し、電源51からX方向配線96及びY方向配線94を通じて、パルス電圧を電極92、93間に繰り返し印加することによって行った。この工程により、「フォーミング工程」で形成した間隙5内の基板91上及び間隙5近傍の導電性膜97上にカーボン膜を堆積させた。本工程ではp−トルニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空装置55内に導入し、1.3×10−4Paを維持した。
本実施例においては、実施例1で示したのと同様にして、「活性化工程」において、各電子放出素子の間隙7に概ね一定の電圧が印加されるように制御を行った。以下に、詳細に述べる。
まず、多数のX方向配線96の中から1本のX方向配線Xnを選択し、該X方向配線Xnの片側の端部に接続された電源から、図7に示した波形のパルスを出力した。尚、図7に示した波形は、「活性化工程」の開始直後であって、未だ本発明の制御を行っていない時において、電源から出力された波形を示している。図7において、第1設定電圧V1は23[V]、第2設定電圧V12は21[V]である。また、V4は、V1と絶対値の等しい逆極性の電圧である、−23[V]とした。またパルス幅T1は1[msec]、T12は0.1[msec]、T3は0.1[msec]とした。周期は20[msec]とし、本実施例における各X方向配線毎の「活性化工程」の所要時間は45分間とした。
X方向配線96や、Y方向配線94は有限の抵抗を有している。そのため、今、選択したX方向配線Xnに共通に接続している(並列に接続している)複数の電子放出素子においては、X方向配線Xnの電源が接続している箇所から遠い電子放出素子ほど、印加される電圧が小さくなる(電圧降下量が大きくなる)。
そこで、X方向配線Xnに電源から出力されるパルスのタイミングと同期させて、X方向配線Xnの電源が接続している箇所からX方向配線Xnに共通接続する各々の電子放出素子までの距離に比例して生じる電圧降下量を補うためのパルス電圧を、各Y方向配線94に印加する。そこで、本実施例では、電圧降下量を補うために各Y方向配線94に印加するパルスの電圧値を、本発明の制御法により決定し、そして、各電子放出素子の間隙7に実効的に印加される実行電圧V’を制御する。
具体的には、選択したX方向配線Xnに接続された複数の電子放出素子の各々と接続するY方向配線94の各々に流れる電流を計測する。この電流は、設定電圧V(V1、V12、V4)の各々に応じて検出される計測電流I(I1、I12、I4)である。
本実施例において行った制御を以下に詳細に述べる。
(step0)
まず、初期設定を行った。具体的には、βset=0.00441、Runknown=0と設定した。
(step1)
X方向配線96のうちから選択された1本のX方向配線Xnの端部に不図示の電源を接続すると共に、Y方向配線94の各々の端部にも不図示の電源を接続し、図7に示した波形のパルス(上記設定電圧V(V1、V12、V4))の印加を開始した。
(step2)
選択されたX方向配線Xnに印加された設定電圧V(V1、V12、V4)の各々に応じて、各Y方向配線94に流れる電流I(I1、I12、I4)を計測した。
(step3)
そして、設定電圧V(V1、V12)及び計測電流I(I1、I12)から、X方向配線Xnに接続する各電子放出素子の間隙7に実効的に印加される実効電圧V’(V1’、V12’)を次の式を用いて算出した。
V1’=V1−I1×Runknown
V12’=V12−I12×Runknown
unknown=0と設定してあるので、この段階で得られる、実効電圧V’(V1’
、V12’)はそれぞれ、設定電圧V(V1、V12)と等しくなる。
(step4)
実行電圧V’から、βeffectを算出した。尚、上記step2及びstep3で行う、実効電圧V’の算出並びに電流の計測は、約2秒周期で行った。
そして、「活性化工程」の開始(step1の開始)から5分後に、次のステップに移った。
(step5〜7)
まず、step4で算出したβeffectの値とβsetの値とを比較し、βeffectの値とβsetの値が異なっていた場合に、Runknownの値を変更(補正)する処理を行った。
具体的には、Runknownの補正値(変更幅)をΔRとし、kを定数として、下記式(3)にて表されるΔRを算出する。そして得られたΔRをRunknownに加算して、補正した新たなRunknownを算出した。
ΔR=k×(βeffect−βset) 式(3)
本実施例においては、k=10000に設定した。
(step8)
上記式(3)を用いて補正した新たなRunknownと、step2で各Y方向配線94を流れる電流として計測した計測電流I(I1、I12)を、以下の関係式に代入することで、次のサイクルのstep1において各Y方向配線毎に印加すべき補償電圧ΔV(ΔV1、ΔV12)を算出した。
△V1=I1×Runknown
△V12=I12×Runknown
そして、次の制御サイクル(新たな制御サイクル)のstep1において各Y方向配線94に印加する電圧として、上記step8で算出した補償電圧ΔV(ΔV1、ΔV12)を用いて、各Y方向配線94に接続する電源から出力することで新たな制御サイクルを開始した。
その後は、上記step2〜step4迄を再度行い、βeffectの値を算出した。尚、この新たな制御サイクルのstep3においては、Runknownは上記step7で算出した新たなRunknownを採用した。つまり、この新たな制御サイクルのstep3において用いるRunknownは前のサイクルのstep7で算出した新たなRunknownを用いる。
尚、前のサイクルでは、電圧印加開始(step1の開始)から5分経過するまで、step5に移行しなかったが、この新たな制御サイクルにおいては、step4の後、直ちにstep5に移行し、βeffectの値を算出した。そして、step5に移行して、βeffectとβsetとが同一か否かを判定し、βeffectとβsetとが異なっていれば上記step6〜step8と同様のシーケンスを開始した。そして、また、新たな制御サイクルのstep1〜step5を開始した。
以上述べた、新たな制御サイクルを前述した測定周期毎に行い、電圧の印加開始から45分経過するまで、繰り返すことによって、βeffectとβsetとの差が減少するように、「活性化工程」の制御を行った。そして「活性化工程」の開始から45分経過した時点で、「活性化工程」を終了した。
そして、上記「活性化工程」と同様の手法を、順次選択したX方向配線毎に行うことで、全ての電子放出素子に対する「活性化工程」を行った。そして、その後、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
尚、上記した例では、X方向配線96の中から選択した1本のX方向配線Xnに接続する電子放出素子の「活性化工程」を完了してから、順次、他のX方向配線に接続する電子放出素子の「活性化工程」行う例を示した。しかしながら、X方向配線96の中から幾つかのX方向配線を選択し、この幾つかのX方向配線の各々に対する、パルスの印加タイミングをずらすことで、実質的に、同時に、選択した幾つかのX方向配線に共通に接続する電子放出素子の「活性化工程」を行うことも可能である。
また、本実施例では、既に「活性化工程」を終えたX方向配線に接続する電子放出素子に対しては、他の全ての電子放出素子の「活性化工程」が終わるまで、定期的に、本発明のβeffectとβsetとの差を低減する制御を行った。この手法により、「活性化工程」を1度終えた電子放出素子の電子放出特性(βeffect)が変動することを抑制した。
以上の工程で、電子源を有する基板(リアプレート)91を作成した。そして、次に「活性化工程」を終えた基板1を用いて図10に示した画像表示装置を構成する外囲器100を形成する工程に移る。
工程(h)
次に、フェースプレート102とリアプレート91とを封着し、図10に示した外囲器100を形成した。
本工程では、工程(a)〜工程(g)によって作成した電子源を備える基板(リアプレート)91と、ガラス基板103の内面に蛍光膜104とアルミニウムからなるメタルバック105が形成されたフェースプレート102とを真空チャンバー内において対向させ(図11(a))、次に、真空チャンバー内で、フェースプレート102とリアプレート91とを互いの距離が縮まるように押し付けながら加熱することで、封着した(図11(b))。尚、フェースプレート82とリアプレート91との間には、その間隔を規定するためのスペーサ101を多数配置した。また、フェースプレート102とリアプレート91との間を気密に保持すると共に、その間隔を2mmに維持するために、支持枠106も配置した。リアプレート91、支持枠106及びフェースプレート102の各接合部には、接着材とシール材とを兼ねてインジウムを用いた。
尚、前述の封着を行う際には、蛍光体と電子放出素子との位置合わせを十分に行う必要がある。
以上のようにして形成した本実施例の外囲器100に、配線96、94を介して駆動回路を接続することで画像表示装置を構成した。そして、各電子放出素子に、電圧を印加することにより、所望の電子放出素子から電子を放出させ、高圧端子Hvを通じ、アノード電極であるメタルバック105に、電子放出素子の電位との差が10kVになるように電圧を印加することによって、画像を表示させた。
本実施例で作成した画像表示装置に、画像を表示させたところ、極めて滑らかな画像を表示することができた。これは、隣接する画素の輝度にばらつきが少ないためである。そして、これは、各画素に対応する電子放出素子の特性の均一性が高いことに由来するものであり、「活性化工程」において、各電子放出素子に印加された実効電圧V’を概ね揃えることができたためだと考えられる。
尚、本発明が適用できる画像表示装置の構成は、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。
本発明を説明するグラフである。 本発明が適用される電子放出素子の構成を示す模式図である。 電子放出素子の製造工程を説明する模式図である。 「フォーミング工程」で用いることのできるパルス波形を説明する図である。 本発明を適用して形成した電子放出素子の電子放出特性を測定するための装置の模式図である。 本発明を適用して形成した電子放出素子の電子放出特性を説明するための模式図である。 本発明の「活性化工程」で用いることのできるパルス電圧の波形の例を説明するための図である。 本発明の「活性化工程」で用いるパルス電圧の波形の例を示す模式図である。 本発明を適用することができる電子源の製造工程を模式的に示す図である。 本発明における画像表示装置の一例を示す模式図である。 本発明における画像表示装置の製造工程を説明する模式図である。 本発明の「活性化工程」における制御の一例を模式的に示すフローチャートである。
符号の説明
1 基板
2 、3 電極
4a、4b 導電性膜
5、7 間隙
55、6a、6b 炭素膜

Claims (12)

  1. 炭素含有ガスを含む雰囲気中において、間隙を挟んで対向して配置された第1導電膜と第2導電膜との間に電圧を印加する電圧印加工程を含む電子放出素子の製造方法であって、
    前記電圧印加工程は、
    (A−1)第1設定電圧および該第1設定電圧とは異なる電圧値である第2設定電圧を前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加することによって、該第1設定電圧および第2設定電圧に応じて前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に流れる第1計測電流および第2計測電流を求める第1計測工程と、
    (B−1)前記第1設定電圧および前記第2設定電圧の印加に対応して、前記間隙に実効的に印加される第1実効電圧および第2実効電圧を、前記第1計測電流および前記第2計測電流と前記第1設定電圧および前記第2設定電圧とから算定し、該算定した結果を基に下記式1を満たすβeffectを求める第1算定工程と、を含み、
    記βeffectと所定の値βsetとの間に差がある場合に、その差を低減するように前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加する第1設定電圧および第2設定電圧を新たに設定し、
    (A−2)該新たに設定した第1設定電圧および該新たに設定した第2設定電圧を前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加することによって、前記新たに設定した第1設定電圧および該新たに設定した第2設定電圧に応じて前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に流れる第1計測電流および第2計測電流を新たに求める第2計測工程と、
    (B−2)前記新たに設定した第1設定電圧および前記新たに設定した第2設定電圧の印加に対応して、前記間隙に実効的に印加される第1実効電圧および第2実効電圧を、前記新たに求めた第1計測電流および前記新たに求めた第2計測電流と、前記新たに設定した第1設定電圧および前記新たに設定した第2設定電圧と、から新たに算定し、該算定した結果を基に下記式1を満たすβeffectを新たに求める第2算定工程と、
    を行うことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
    βeffect={(1/第1実効電圧)−(1/第2実効電圧)}/{ln(第2計測電流/第2実効電圧の2乗)−ln(第1計測電流/第1実効電圧の2乗)} ・・・式1
  2. 前記第1実効電圧は、下記式2におけるRunknownとして予め設定した初期値R1を代入し、下記式2における設定電圧と計測電流として、前記第1設定電圧と前記第1計測電流との組合せを代入することで得られる値であり、
    前記第2実効電圧は、下記式2におけるRunknownとして予め設定した初期値R1を代入し、下記式2における設定電圧と計測電流として、前記第2設定電圧と前記第2計測電流の組合せを代入することで得られる値である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
    実効電圧=設定電圧−計測電流×Runknown・・・式2
  3. 前記新たに設定した第1設定電圧および前記新たに設定した第2設定電圧は、
    前記βeffectが前記βsetよりも大きい場合には、Runknownとして前記R1の値よりも大きい値であるR2を代入すると共に、実効電圧と計測電流として、前記第1実効電圧と前記第1計測電流との組合せおよび前記第2実効電圧と前記第2計測電流との組合せを、それぞれ式2に代入することで、得られる値であり
    あるいは、
    前記βeffectが前記βsetよりも小さい場合には、Runknownとして前記R1の値よりも小さい値であるR3を代入すると共に、実効電圧と計測電流として、前記第1実効電圧と前記第1計測電流との組合せおよび前記第2実効電圧と前記第2計測電流との組合せを、それぞれ式2に代入することで、得られる値である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 前記βeffectと前記βsetとの間に差がある場合に、前記電圧印加工程は、前記βeffectと前記βsetとの差がなくなるまで、または、収束するまで繰り返されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 前記第1設定電圧および前記第2設定電圧は、1つの階段状パルスの中に含まれた状態で、所定の間隔で繰り返し前記第1導電膜と前記第2導電膜との間に印加されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 記βeffectが、前記βsetの±50%内になるまで前記第1計測工程と前記第1算定工程とを繰り返すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 前記第1設定電圧または前記第2設定電圧は、15V以上60V以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 前記R1が0以上40kΩ以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  9. 前記βsetが0.00338以上0.00508以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  10. 複数の電子放出素子を備える電子源の製造方法であって、前記複数の電子放出素子の各々が請求項1乃至9のいずれかに記載の製造方法により製造されることを特徴とする電子源の製造方法。
  11. 電子源と発光体とを備える画像表示装置の製造方法であって、前記電子源が請求項10に記載の製造方法により製造されることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  12. 受信した放送信号に含まれる映像情報、文字情報および音声情報の少なくとも1つを出力する受信器と、該受信器に接続された画像表示装置とを少なくとも備える情報表示再生装置であって、前記画像表示装置が請求項11に記載の製造方法によって製造された画像表示装置であることを特徴とする情報表示再生装置。
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