JP2000251619A - 電子放出素子、および該電子放出素子を用いた電子源、並びに該電子源を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子、および該電子放出素子を用いた電子源、並びに該電子源を用いた画像形成装置

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JP2000251619A
JP2000251619A JP4836199A JP4836199A JP2000251619A JP 2000251619 A JP2000251619 A JP 2000251619A JP 4836199 A JP4836199 A JP 4836199A JP 4836199 A JP4836199 A JP 4836199A JP 2000251619 A JP2000251619 A JP 2000251619A
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electron
layer
substrate
emitting device
electrodes
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JP4836199A
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English (en)
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Masabumi Kiyougaku
正文 教學
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出時の発熱による基板の熱変形を抑
制し、電子放出素子における放出電流の減少を抑制す
る。 【解決手段】 基体と、基体上に配された、基体よりも
熱膨張係数の小さい第一の層と、第一の層上に配された
ナトリウム含有量が2%以下の第二の層と、第二の層上
に配された一対の電極と、第二の層上に配され、一対の
電極と電気的に接続された導電性膜とを有する電子放出
素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面伝導型電子放
出素子および該電子放出素子を用いた電子源、並びに該
電子源を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金
属型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子
放出素子等がある。FE型の例としては[W.P.Dy
ke&W.W.Dolan:”Field emiss
ion”,Advance in Electoron
Physics,8,89(1956)]あるいは
[C.A.Spindt:”PHYSICAL Pro
perties of thin−film fiel
d emission cathodeswith m
olybdenium cones”,J.Appl.
Phys.,47,5248(1976)]等に開示さ
れたものが知られている。
【0003】MIM型の例としては[C.A.Mea
d:”Operation of Tunnel−Em
ission Devices”,J.Apply.P
hys.,32,646(1961)]等に開示された
ものが知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
[M.I.Elinson:Recio Eng. E
lectron Phys.,10,1290,(19
65)]等に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fi
lms”,9,317(1972]、In23 /Sn
2 薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:”IEEE Trans.E
D Conf.”519(1975)]、カーボン薄膜
によるもの[荒木久他:真空、第26巻、第1号、22
頁(1983)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図8に
模式的に示す。同図において81は基板である。84は
導電性薄膜で、幅Wの広い部位82を有するH型形状の
パターンに、スパッタで形成された金属酸化物薄膜等か
らなり、通電処理により電子放出部83が形成される。
なお、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、
W’、0.1mmで設定されている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜84を予め通
電フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部
83を形成するのが一般的であった。即ち、前記導電性
薄膜84両端に直流電圧或いはパルス電圧を印加し、導
電性薄膜84を局所的に破壊、変形もしくは変質させ
て、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部83を形成
するのである。このとき、導電性薄膜84の一部に亀裂
が発生し、微小間隔が形成される。
【0008】前記微小間隔を形成した表面伝導型電子放
出素子は、上述導電性薄膜84に電圧を印加し、素子に
電流を流すことにより、上述の電子放出部83の微小間
隔付近より電子を放出させるものである。
【0009】以上のような電子放出素子を複数個形成し
た電子源基板を用いれば、蛍光体などからなる画像形成
部材と組み合わせることで画像形成装置を構成すること
ができる。
【0010】しかしながら、上述のM.ハ−トウエルの
電子放出素子にあっては、安定な電子放出特性および電
子放出効率について、必ずしも満足のゆくものが得られ
ておらず、これを用いて高輝度で動作安定性に優れた画
像形成装置を提供するのは極めて難しいのが実状であっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】電子放出素子を適用し
た画像形成装置が、画像を安定して表示するためには、
安定した電子放出特性を更に長時間保持し続けられる技
術が望まれている。
【0012】このような応用に用いるためには、実用的
な電圧(例えば10Vないし20V)で十分な放出電流
Ieが得られること、放出電流Ieおよび素子電流If
が駆動中に大きく変動しないこと、長時間にわたり放出
電流Ieおよび素子電流Ifが劣化しないことが求めら
れる。
【0013】基板として、低熱膨張係数の部材、例えば
石英(SiO2 )を用い、該基板上に電子放出素子を形
成した場合、即ち放出電流の減少としての素子の劣化が
抑制されることがわかっている。
【0014】放出電流の減少の原因は明らかではない
が、要因の一つとして、駆動に伴う導電性膜および電子
放出部近傍の基板の形態変化が考えられる。これは、駆
動時の電圧印加によって流れる電流によって、電子放出
部近傍で発熱による温度上昇が生じ、それに伴って電子
放出部直下の基板部が熱せられる。更に、駆動時に印加
される電圧は、パルス状電圧であり、電子放出部では、
温度上昇・降下が繰り返される結果、基板部の熱膨張・
収縮が繰り返し生じ、電子放出部近傍の基板の形態変化
が引き起こされる。
【0015】これに対し、低熱膨張係数の部材を用いれ
ば、パルス駆動時の熱膨張、収縮の繰り返しによる素子
部の形態変化が抑制される結果、劣化が抑制されると考
えられる。
【0016】一方、特に、表面伝導型電子放出素子を構
成する導電性薄膜が基板表面に接して配される場合に
は、基板として低コストの青板ガラスなどのNaを含有
する基板を用いると、素子形成時の熱工程、あるいは素
子を駆動した時の熱が基板表面にも伝わり、ナトリウム
金属やナトリウム化合物の析出等が生じ、その一部が導
電性薄膜中に含有され易い。導電性薄膜にNaが含有さ
れた場合には、導電性薄膜の電気的性質が変わり、フォ
ーミング工程等の素子形成プロセスの不安定化や、電子
放出特性の変動や劣化の原因となる。
【0017】そこで、安定な電子放出特性と、低コスト
を得ようとすると、表面伝導型電子放出素子を構成する
導電性薄膜が基板表面に接して配される場合には、基体
である青板ガラス基板上にNa含有量が少なく、かつ低
熱膨張係数を有する、例えば前述したSiO2 層を形成
し、その上に導電性薄膜を形成する構成が考えられる。
【0018】ところが、製造方法にもよるが、Na含有
量が少なく、かつ低熱膨張係数を有するSiO2 層を青
板ガラスなどの基体上に被膜する場合、膜厚が増加する
につれ、均一なコート層を厚く形成することは技術的に
困難であり、またコスト的にも実用上好ましくない。
【0019】また、低熱膨張係数の層を薄くした場合、
前述の熱による青板ガラスの熱膨張/収縮により、低熱
膨張係数の層も熱膨張/収縮を起こしてしまう。
【0020】本発明の目的は、上記従来技術の課題を解
決し、基体上のコート層が薄い基板においても電子放出
時の発熱による基板の熱変形を抑制し、ひいては放出電
流の減少を抑制し得る劣化の少ない電子放出素子、電子
源および画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の電子放出素子は基体と、基体上に配され基
体よりも熱膨張係数の小さい第一の層と、第一の層上に
配されたナトリウム含有量が2%以下の第二の層と、第
二の層上に配された一対の電極と、第二の層上に配され
一対の電極と電気的に接続された導電性膜とを有するこ
とを特徴とする。
【0022】ここで、本発明の電子放出素子は、通常、
導電性膜の一部に間隙を有し、その間隙の近傍より電子
を放出するものである。また、本発明の電子源は複数の
電子放出素子が配列形成された電子源において、電子放
出素子が、上記本発明の電子放出素子により構成される
ことを特徴とする。
【0023】本発明の画像形成装置は、電子源と、画像
形成部材とを有する画像形成装置において、電子源が、
上記本発明の電子源により構成されることを特徴とす
る。
【0024】
【発明の実施形態】基体よりも熱膨張係数の小さい第一
の層は、基体の熱物性の影響を、ナトリウム含有量が2
%以下の第二の層へ及ぶことを阻止する。従って、第一
の層は、該第一の層上に直接素子を作成するには必ずし
も好ましくはない材料を用いることが可能である。
【0025】基体よりも低熱膨張係数を有する第一の層
は、ナトリウム含有量2%以下の第二の層に、基体の熱
物性の影響が及ぶことを緩和し、結果として電子放出特
性の劣化を抑制することができる。
【0026】また、素子電流による発熱が素子が直接接
している層に伝わったときに、基体の熱変形を、この第
一の層が変形しないことによって緩和することができ
る。従って、基体材料としては、素子を支える構造とし
ての役割を担えればよく、比較的熱変形の大きい材料を
使用することが可能となる。
【0027】また、このとき前記ナトリウム含有量が2
%以下の第二の層は、SiO2 を主体とするガラスであ
ることが望ましい。SiO2 が、最表面層として存在す
ることにより、電子放出素子を形成するときの活性化工
程が良好に行われ、且つ素子劣化が抑制されるることが
実験的に認められている。
【0028】ここでいう活性化処理工程とは、この工程
により、素子電流Ifおよび放出電流Ieが著しく変化
する工程である。活性化工程は、有機物質を含有する雰
囲気下で、フォーミング処理同様、素子にパルス電圧の
印加を繰り返す工程である。この工程により、雰囲気中
に存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素
子の少なくとも電子放出部に堆積し、素子電流If、放
出電流Ieが著しく変化し、より良好な電子放出特性を
得ることができるようになる。
【0029】前述の第二の層として、ナトリウム含有量
が2%以下の材料を用いることで、ナトリウム金属やナ
トリウム化合物の析出を抑え、電子放出素子の導電性薄
膜中へのナトリウムの混入を防ぐことができる。これに
より、フォーミングや活性化の工程での不安定性が低減
され、安定で再現性の良い電子放出素子を作製すること
ができる。
【0030】また、電子放出素子の駆動中の発熱による
ナトリウムの更なる析出も防止できるため、長時間にわ
たり、安定で良好な電子放出特性を得ることができる。
【0031】ナトリウム含有量が2%以下の材料として
は、例えば、アルカリ金属元素を実質上含まない無アル
カリガラス、アルカリ金属元素を多く含むがナトリウム
の含有比率が2%以下であり、カリウム、ルビジウム、
セシウムを含むガラス、石英ガラスなどを言うが、特に
ガラス材料に限定されるものではなく、電子放出に影響
を与えない程度の絶縁性を有する金属酸化物等も含む。
【0032】第二の層のナトリウム含有量を2%を上限
にする理由を以下に記す。導電性膜はパラジウムを主体
とすることが望ましく、特に前述のフォーミング時の導
電性膜には、PdO微粒子膜が好ましく用いられる。P
dOは、有機パラジウム化合物の大気中焼成により容易
に薄膜形成できること、半導体であるため比較的電気伝
導度が低くフォーミングに有する電力が低いこと、間隙
部形成時あるいはその後、容易に還元して金属パラジウ
ムとすることができるので膜抵抗を低減し得ること、等
から導電性薄膜に好適な材料として用いられる。
【0033】ところが、このPdO微粒子膜の耐久性
は、電子放出素子として用いるのに十分なものである
が、ナトリウムがPdO微粒子膜中に混入することによ
って、電気特性が不安定となる。
【0034】PdO微粒子膜にナトリウムが混入した場
合、如何なる理由で上述の問題が発生するかは、必ずし
も明確ではない。しかしながら、膜中にナトリウムが
0.1%を超える量含有されると、電気抵抗は最大で一
桁程度下がり、フォーミング工程、あるいは後述する活
性化工程が極めて不安定なものとなる。さらには、上述
のように、還元により膜抵抗を低減させようとした場
合、極めて長い還元時間を呈するようになる。
【0035】従って、本発明における第二の層に含有で
きる最大のナトリウム含有量は、上記フォーミング、活
性化工程、および駆動時においても、導電性薄膜4に含
有されるナトリウムの濃度が0.1%を超えない量に制
限される。
【0036】予備検討として、SiO2 −Na2 O二成
分ガラスにおいてナトリウム含有量を種々変えた基板を
用意し、後述する加熱工程を経た上でPdO微粒子膜中
のナトリウム混入量を二次イオン質量分析(SIMS)
で測定したところ、PdO微粒子膜中のナトリウム混入
量が0.1%を超えないためには、基体中のナトリウム
含有量の最大値は2%以下である知見を得たため、本発
明の第二の層のナトリウム含有量の上限を2%としてい
る。
【0037】一方、基体よりも低熱膨張係数の第一の層
は、導電性であっても、絶縁性であってもよい。特に、
導電性である場合には、該基体よりも熱膨張係数の小さ
い第一の層の電位を規定することが可能となり、以下に
示す利点があるので好ましい。
【0038】即ち、長時間の駆動によって動作が不安定
になり、素子を劣化させる要因の一つとして放電があげ
られるが、放電は電子放出素子が形成された基板の表面
電位が変動した場合に起こりやすい。そこで、表面電位
の変動を抑制すれば、放出された電子の軌道を安定化
し、かつ放電を効果的に抑制することができる。そのた
めに、低熱膨張係数である第一の層を導電性とし、その
電位を規定することが有効である。
【0039】上記、低熱膨張係数である物質として炭素
を主体とする材料を挙げることができる。即ち、非晶質
炭素、グラファイト、ダイアモンド等を挙げることがで
きる。これらの物質は、熱膨張係数が小さいので、熱に
よる変形を抑制することができる。また、炭素を主体と
する材料は、その作成方法、および結晶構造によって、
導電率が異なる。従って、作成方法によって、導電率を
制御して形成することが可能である。また、上記構成に
おいて、基体よりも熱膨張係数の小さい第一の層が、電
子放出素子近傍にのみ形成することができる。
【0040】これは、実際に第一の層が必要となるの
は、駆動時に発熱する電子放出部近傍のみであるからで
ある。従って、電子放出部以外の電極の下部などは、第
一の層が必ずしも存在しなくてもよい。
【0041】基体よりも熱膨張係数の小さい第一の層が
全面に形成されている場合、基体あるいは、ナトリウム
含有量が2%以下の第二の層との熱膨張係数の違いなど
によって、電極等の形成のための成膜プロセス時に、温
度上昇によって熱膨張係数の違いのために、第一の層或
いは第二の層の一部に応力が集中し、第二の層に亀裂が
生じたり、更には剥離を起こしてしまうことがあるが、
第一の層を形成する面積を小さくすることで回避するこ
とができる。
【0042】
【実施例】(実施例1)本発明の第1の実施例における
平面型表面伝導型電子放出素子の構成を図1のに模式図
示す。図1(a)は平面図、図1(b)は断面図であ
る。基体11には青板ガラスを用いた。青板ガラスは、
ガラス材料の中では熱膨張係数が約94×10-7/℃と
比較的大きいが、安価な材料であるので基体材料として
好んで用いられる。また、基体11として、Na等の不
純物含有量を減少したガラス等を用いることもできる
が、特にガラス材料に限定されるものではない。
【0043】低熱膨張係数の第一の層16として、炭素
層を形成した。炭素の熱膨張係数は、炭素の結晶状態に
よって異なるが、おおむね60×10-7/℃以下であ
る。また、第二の層17として、第一の層16上にNa
含有量が2%以下のSiO2 層を形成した。
【0044】また、比較のために、第一の層を形成せず
に、青板基体上に直接、SiO2 層を3000Å積層し
た基板を作成し、参照用基板とした。このとき、SiO
2 層の形成は、上記の基板と同様に行った。以後の行程
は、第一の層を有する基板と同様に行った。
【0045】電極12,13の材料としては、ごく一般
的な導体材料を用いることができる。ここでは、耐温度
安定性、および耐酸化安定性を考慮してPtを用いた。
導電性薄膜14には、良好な電子放出特性を得るため
に、微粒子で構成された微粒子膜が好ましく用いられ
る。
【0046】導電性薄膜14の熱的安定性は電子放出特
性の寿命を支配する重要なパラメータであるため、導電
性薄膜14の材料としてより高融点な材料を用いるのが
望ましい。しかしながら、通常、導電性薄膜14の融点
が高いほど通電フォーミングが困難となり、間隙部形成
のためにより大きな電力が必要となる。さらに、その結
果得られる電子放出部(不図示)は、電子放出し得る印
加電圧(しきい値電圧)が上昇するという問題が生じる
場合がある。
【0047】従って、導電性薄膜14の材料は、適度に
高い融点を有し、比較的低いフォーミング電力で良好な
電子放出特性を有する間隙部が形成可能な材料・形態の
ものを選ぶのがよい。
【0048】また、導電性薄膜14の膜厚は、素子電極
12,13へのステップカバレージ、素子電極12,1
3間の抵抗値および後述するフォーミング条件等を考慮
して設定されるが、良好な電子放出特性を得るために
は、数nm程度の微粒子で構成された数nm〜数十nm
程度の微粒子膜が好ましく用いられる。
【0049】上述の条件に対し、PdOは、有機パラジ
ウム化合物の大気中焼成により容易に薄膜形成できるこ
と、半導体であるため比較的電気伝導度が低くフォーミ
ングに有する電力が低いこと、間隙部形成時あるいはそ
の後、容易に還元して金属パラジウムとすることができ
るので膜抵抗を低減し得ること、等から導電性薄膜14
に好適な材料として用いることができる。
【0050】本実施例の電子放出素子の製造方法を図2
を参照しながら説明する。まず、基体11上に低熱膨張
係数の第一の層16として、炭素層を形成した。炭素層
16は、通常のRFスパッタ装置を用いて、炭素を10
00Å積層することによって形成した。ここで、スパッ
タ条件は、基板温度:室温、背圧:〜1×10-6Tor
r、Ar:0.33Pa、RFパワー:400Wに設定
した。このとき、成膜レートは33Å/minであった
(図2(a))。
【0051】次に、第二の層17として、SiO2 層を
形成した。SiO2 層17は、上記低熱膨張係数の第一
の層16上に、RFスパッタ装置を用いて、3000Å
積層することによって形成した。ここで、スパッタ条件
は、基板温度:室温、背圧〜1×10-6Torr、A
r:0.27Pa、O2 :0.13Pa、RFパワー:
400Wに設定した。このとき、成膜レートは35Å/
minであった。
【0052】上記工程により、基体11上に、基体より
低熱膨張係数の第一の層16、およびナトリウム含有量
が2%以下の第二の層17からなる基板を形成した(図
2(b))。
【0053】次に、対向する電極12,13を作成す
る。そのために、基体11を洗剤、純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等に
より電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術を用
いて基体11上に電極12,13を形成した(図2
(c))。図1に示す電極の間隔L、電極長さW、およ
び膜厚d(不図示)は、電子放出部を形成する微小間隔
の長さおよび深さを規定するものであり、電極の抵抗
値、電子放出特性を考慮して決められる。ここでは、L
は20μm、Wは300μm、膜厚dは10nmとし
た。
【0054】次に、導電性膜14を形成する。そのため
に、電極12,13を設けた基体11に、有機金属溶
液、ここでは有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形
成した。有機金属溶液には、前述の導電性膜14の材料
の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液を用いるこ
とができ、ここでは、有機金属化合物として有機パラジ
ウム(Pd)を用いた。有機金属膜を加熱焼成処理し、
リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、導電
性膜14即ちPd膜を形成した(図2(d))。ここ
で、導電性膜14の幅W’は100μmに設定した。
【0055】次に、導電性膜14に微小間隔を形成する
ことによって、微小間隔を有する電子放出部を形成す
る。微小間隔の形成には通電処理を用いた微小間隔の形
成方法を用いた。
【0056】電極12,13間に、電源(不図示)を用
いて電圧を印加する。導電性膜14に通電を行うと、導
電性膜14に、局所的な破壊、変形もしくは変質等の構
造の変化が起った結果、微小間隔が形成される。
【0057】通電処理における電圧波形を図5に示す。
電圧波形は、三角波のパルス波形とし、パルス波高値を
定電圧としたパルスを連続的に印加した。
【0058】図5においてパルス幅T1は1μsec.
〜10msec.、パルス間隔T2は10μsec.〜
10msec.の範囲で自由に設定される。三角波の波
高値は、導電性膜の材質、膜厚に応じて選択されるが、
ここでは10Vに設定した。
【0059】以上の条件のもと、数秒から数十分間パル
ス電圧を印加する。微小間隔の形成の完了は、電圧印加
時の電流値を測定しておき、電流値がある設定値以下に
なったことをもって判定した。
【0060】上記のように形成された微小間隔を有する
導電性膜に対して、炭素を主成分とする導電性皮膜15
を有する電子放出部を形成する(図2(e))活性化工
程を施す。この工程は、たとえば特開平7−23525
5号公報に開示されているように、雰囲気中に存在する
有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子の少なく
とも微小間隔近傍に堆積させる工程であり、素子電流I
f,放出電流Ieが、著しく変化し、良好な電子放出特
性を得ることができる。
【0061】導電性皮膜は、有機物質ガスを含有する雰
囲気下で、パルス電圧の印加を繰り返すことで形成する
ことができる。このとき、パルス電圧印加時に微小間隔
を流れる電流によって有機物質が分解し、炭素或いは炭
素化合物が一時的に形成され、該炭素或いは炭素化合物
が微小間隔近傍に堆積する。
【0062】有機物質としては、アルカン、アルケン、
アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アル
コール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノ
ール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げるこ
とが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなど
n2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピ
レンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水
素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノー
ル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等あるいはこれらの混合
物が使用できる。
【0063】ここでは、イオンポンプなどにより一旦十
分に排気した真空中に、有機物質気体としてアセトンを
導入し、1×10-5Paに保持した。印加パルス電圧
は、通電処理を行ったときに用いたパルス波形と同様に
三角波である。ただし、パルス幅1msec.、パルス
間隔10msec.、パルス波高値は15Vとした。上
記導電性皮膜の形成工程は、所定の素子電流Ifに到達
するまで行った。
【0064】次に、上述した工程を経て得られた電子放
出素子の基本特性を取得するために図6に示す評価装置
を用いた。
【0065】この評価装置は、真空装置と素子特性測定
装置としての機能を兼ね備えている。図6において、図
1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一
の符号を付している。即ち、11は電子放出素子を構成
する基体であり、12および13は電極、14は導電性
膜、15は導電性皮膜である。
【0066】51は、電子放出素子に素子電圧Vfを印
加するための電源、57は電極12、13間の導電性膜
14を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、5
4は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕
捉するためのアノード電極である。53はアノード電極
54に電圧を印加するための高圧電源、52は素子の電
子放出部より放出される放出電流Ieを測定するための
電流計である。アノード電極54の電圧を1kVとし、
アノード電極54と電子放出素子との距離Hを2mmと
して測定を行った。
【0067】まず、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆
積を抑制するために、真空容器55内の有機物質排気を
行った。真空容器55を排気する真空排気装置56に
は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与え
ないように、オイルを使用しない真空排気装置としてソ
ープションポンプを用いた。
【0068】真空容器55内の有機成分の分圧は、上記
の炭素および炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で
1×10-8Pa下にした。この時、真空容器55全体を
200℃以上で加熱して、真空容器55の内壁や、電子
放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくした。
【0069】図7は、図6の評価装置を用いて測定され
た放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を
模式的に示した図である。図7においては、放出電流I
eが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位
で示している。なお。縦・横軸ともリニアスケールであ
る。
【0070】図7からも明らかなように、上記工程を経
て形成された電子放出素子は、素子電圧に対して、素子
電流Ifおよび放出電流Ieは非線型であり、ある電圧
のしきい値(Vth)以上の素子電圧を印加すると急激
に素子電流Ifおよび放出電流Ieが増加する。また、
放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存する。
【0071】Vfを15V、アノード電極54への印加
電圧Vaを1kVに固定して、電子放出をさせ、Ifお
よびIeの時間変化を計測し、IfおよびIeが1/2
に減少するまでの時間を計測した。
【0072】その結果、基体11より低熱膨張係数の第
一の層16を含まない参照基板上に形成した素子に比較
して、IfおよびIeの劣化が抑制された。
【0073】(実施例2)本発明の第二の実施例におけ
る平面型表面伝導型電子放出素子の構成を図3のに模式
図示す。図3(a)は平面図、図3(b)は断面図であ
る。なお、同図において、図1における電子放出素子の
部位と共通する部位には、同じ番号を付した。
【0074】本実施例においては、基体11より低熱膨
張係数の第一の層16を、電子放出部近傍にのみ形成し
た。
【0075】図3に示すように、基体11上には、第一
の層16、ナトリウム含有量が2%以下の第二の層17
が順次積層されている。12,13は電極であり、電極
を跨ぐように導電性膜14が形成されている。導電性膜
14中に、電子放出部(不図示)が形成されている。た
だし、第一の層16は、基板全面を覆っているのではな
く、導電性膜14近傍にのみ形成されている。
【0076】本実施例の電子放出素子の製造方法を図4
を参照しながら説明する。まず、青板ガラス基体11上
に、低熱膨張係数の第一の層16としてスパッタ法を用
いて炭素層を形成する(図4(a))。ただし、本実施
例においては、低熱膨張係数の第一の層16は、電子放
出部近傍の狭領域にのみ形成する(図4(b))。成膜
条件は、実施例1における炭素層の形成と同様とする。
【0077】低熱膨張係数の第一の層16の形成には、
通常のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。
例えば、ポジ型フォトレジストを青板基板上に塗布し、
第一の熱変形層を形成するパターンに対応する開口部を
設け、スパッタリング法によって炭素層を成膜し、その
後フォトレジストを有機溶剤で溶解して、レジスト上の
炭素をリフトオフして除去する。
【0078】また、数十素子程度の比較的小さな基板に
おいては、更に、素子密度が比較的小さな場合では、簡
便には、第一の層16を形成する部分に開口を有するマ
スクを作成し、青板ガラス基体11上に該マスクを配
し、その上にスパッタリング法によって、炭素を成膜す
ることによって第一の層16を形成することができる。
ただし、この方法ではマスク端での炭素の回り込みが生
じる恐れがあるが、本発明の趣旨においては、第一の層
16の端部での形状に厳密性は要求されない。
【0079】次に、上記のように形成された、第一の層
16が形成された基体11上に、ナトリウム含有量が2
%以下の第二の層17を形成する。ここでは、第二の層
17としてSiO2 ガラスを用い、基体11上にスパッ
タリング法によって積層した(図4(c))。
【0080】本実施例では、基体より低熱膨張係数の第
一の層16を厚さ1000Å、ナトリウム含有量が2%
以下の第二の層17を厚さ3000Åで成膜した。上記
のように作成した基板上に、電極13,14(図4
(d))および導電性薄膜14(図4(e))を形成し
た。
【0081】ここでは、電極13,14のパターンは、
対向する電極12,13の間隔Lを20μm、長さWを
100μmに設定した。電子放出素子は、該対向電極1
2,13間に形成される。これらの値から、基体11よ
り低熱膨張係数の第一の層16は、電子放出部を形成す
るべき電極間のギャップ位置に、幅40μm、長さ15
0μmにわたって形成されるように設定した。
【0082】次に、実施例1同様に、電極13,14に
電圧を印加し、フォーミング、および活性化を行って、
導電性膜14中に電子放出部(不図示)を形成した。
【0083】なお、低熱膨張係数の第一の層16を、基
板全面ではなく、局所的に形成したことによって、ナト
リウム含有量が2%以下の第二の層17と基体11との
密着性が向上し、電子放出素子の形成プロセスにおい
て、膜はがれ等による素子の崩壊を防止することができ
た。
【0084】本実施例における電子放出素子を、実施例
1で行ったのと同様の方法で評価した。その結果、基体
11より低熱膨張係数の第一の層16を含まない参照基
板上に形成した素子に比較して、IfおよびIeの劣化
が抑制され、第一の層16を電子放出素子近傍にのみ形
成することによっても、劣化を抑制することができるこ
とがわかった。
【0085】(実施例3)本実施例にかかわる電子放出
素子を複数配列形成した電子源の構成を、図9に示す。
図9における各々の素子の断面図は図3(b)と同様で
ある。本実施例における図9に示した電子源基板の1素
子を拡大した時の製造方法の模式図を、図10、11に
示している。また、本実施例の画像形成装置の模式図を
図12に示す。以下、図9、図10、図11、図12を
用いて、本発明に関わる電子源、および画像形成装置の
基本的な構成および製造法を説明する。図9は簡便のた
め、4×3個の電子放出素子がマトリクス状に配列形成
して示しているが、本実施例は、多数の電子放出素子を
単純マトリクス配置した電子源基板および画像形成装置
の例である。
【0086】工程−a 清浄化した青板ガラス基体の全面に、第一の層である低
熱膨張係数の層として炭素層を、実施例1と同様に形成
した。次いで、第一の層が形成された青板ガラス基体の
全面に、第二の層としてSiO2 層を実施例2と同様に
1000Å形成し、基板1を得た。さらに、上記基板1
のSiO2 層上に、スパッタ法により厚さ5nmのT
i、厚さ50nmのPtを順次堆積した。その後、素子
電極2,3のパターンをフォトレジストで形成し、ドラ
イエッチング処理によって素子電極2,3のパターン以
外のPt/Ti堆積層を除去し、最後にフォトレジスト
パターンを除去して、素子電極2,3を形成した(図1
0(a))。
【0087】工程−b 素子電極2,3を形成した基体1上に、スクリーン印刷
により、配線62のパターンをAgぺーストを用いて形
成し、乾燥後、500℃で焼成し、Agからなる所望の
形状の配線62を形成した(図10(b))。
【0088】工程−c 次に層間絶縁層64のパターンを、スクリーン印刷によ
り、ガラスペーストを用いて形成し、乾燥後、500℃
で焼成した。十分な絶縁性を得るために、再度、ガラス
ペーストを印刷、乾燥、焼成を繰り返して、ガラスから
なる所望の形状の層間絶緑層64を形成した(図10
(c))。
【0089】工程−d 層間絶縁層64を形成した部位において下配線62と交
差するように、上配線63のパターンを、スクリーン印
刷により、Agペーストを用いて形成し、乾燥後、50
0℃で焼成し、Agからなる所望の形状の上配線63を
形成した。以上の工程により、素子電極2,3が配線6
2,63によってマトリックス状に結線された、基板が
形成できる(図11(d))。
【0090】工程−e 次に、導電性薄膜4を素子電極2,3のギャップ間にま
たがるように形成した。導電性薄膜4の形成は、有機パ
ラジウム溶液をインクジェット法により所望の位置に塗
布し、350℃で30分間の加熱焼成処理をした。こう
して得られた導電性薄膜4はPdOを主成分とする微粒
子からなり、膜厚は約10nmであった。以上の工程に
より基板1上に下配線62、層間絶縁層64、上配線6
3、素子電極2,3、導電性薄膜4を形成し、フォーミ
ング前の電子源基板を作製した(図11(e))。
【0091】以下に、上記フォーミング前の電子源基板
を用いて、画像形成装置を構成した例を、図12を用い
て説明する。
【0092】以上のようにして作製したフォーミング前
の電子源基板71をリアプレート72上に固定した後、
電子源基板1の5mm上方に、フェースプレート77
(ガラス基板74の内面に蛍光膜75とメタルバック7
6が形成されて構成される)を支持枠73を介し配置
し、フェースプレート77、支持枠73、リアプレート
72の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で38
0℃で30分焼成することで封着した。またリアプレー
ト72への電子源基板1の固定もフリットガラスで行っ
た。
【0093】蛍光膜75は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ形
状を採用し、先にブラックストライプを形成し、その間
隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜75を作製した。ブ
ラックストライプの材料として通常良く用いられている
黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラス基板74に蛍
光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。
【0094】また、蛍光膜75の内面側には通常メタル
バック76が設けられる。メタルバック76は、蛍光膜
75作製後、蛍光膜75の内面側表面の平滑化処理(通
常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真
空蒸着することで作製した。
【0095】フェースプレート77には、更に蛍光膜7
5の導伝性を高めるため、蛍光膜75の外面側に透明電
極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例で
は、メタルバック76のみで十分な導電性が得られたの
で省略した。前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0096】以上のようにして完成したガラス容器79
内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて
排気し、十分な真空度に達した後、容器外端子Doxl
ないしDoxmとDoylないしDoynを通じ素子電
極2,3間に電圧を印加し、導電性薄膜4をフォーミン
グ処理した。フォーミング処理の電圧波形は、図5と同
様である。
【0097】本実施例ではT1をlmsec、T2を1
0msecとし、約1×10-5Torrの真空雰囲気下
で行った。その後、一旦、真空ポンプにて排気しなが
ら、ガラス容器79全体を200℃で2時間加熱した。
このとき、PdOを主成分とする導電性薄膜4は熱還元
され、Pdを主成分とする膜となった。
【0098】次に、パネル内の圧力が10-8Torr台
に達するまで排気を続けた後、パネルの排気管より、全
圧が1×10-6Torrとなるように有機物質をパネル
内に導入し、維持した。容器外端子DoxlないしDo
xmとDoylないしDoynを通じ素子電極2、3間
に、15Vの波高値のパルス電圧を印加し、活性化処理
を行った。このように、フォーミング、活性化処理を行
ない、間隙部5を形成した(図11(f))。
【0099】次に10-6Torr程度の圧力まで排気
し、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着
し外囲器79の封止を行った。
【0100】最後に封止後の圧力を維持するために、高
周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0101】以上のように完成した本発明の画像表示装
置において、各電子放出素子には、容器外端子Doxl
ないしDoxm、DoylないしDoynを通じ、走査
信号および変調信号を不図示の信号発生手段より、それ
ぞれ印加することにより、電子放出させ、高圧端子78
を通じ、メタルバック76に5kV以上の高圧を印加
し、電子ビームを加速し、蛍光膜75に衝突させ、励起
・発光させることで画像を表示した。
【0102】本実施例における画像表示装置は、テレビ
ジョンとして十分満足できる輝度で良好な画像を長時間
にわたって安定に表示することができた。
【0103】
【発明の効果】本発明の電子放出素子においては、任意
の基体上に基体より低熱膨張係数の第一の層を設け、そ
の上にナトリウム含有量が2%以下の第二の層を設けて
基板として用いることによって、該基板上に形成された
電子放出素子は、電子放出時の発熱による基板の熱変形
を抑制でき、放出電流の減少を抑制することが可能とな
った。その結果、劣化の少ない電子放出素子を、熱変形
の比較的大きな基体上のコート層が薄い基板においても
得ることが可能となった。
【0104】また、本発明の電子放出素子においては、
任意の基体上の、電子放出部が形成されるべき位置の近
傍にのみ基体より低熱膨張係数の第一の層を設け、その
上にナトリウム含有量が2%以下の第二の層を設けて基
板として用いることによっても、該基板上に形成された
電子放出素子は、電子放出時の発熱による基板の熱変形
を抑制でき、放出電流の減少を抑制することが可能とな
った。その結果、基板に用いるコート層を薄くすること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の実施例における電子放出素子の構成を
示す模式的平面図および断面図である。
【図2】 第一の実施例における電子放出素子の製造方
法を示す模式図である。
【図3】 第二の実施例における電子放出素子の構成を
示す模式的平面図および断面図である。
【図4】 第二の実施例における電子放出素子の製造方
法を示す模式図である。
【図5】 本発明を適用可能な電子放出素子の製造に用
いた通電フォーミング処理における電圧波形である。
【図6】 真空処理装置および素子特性測定機能を備え
た評価装置である。
【図7】 放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係である。
【図8】 従来の表面伝導型電子放出素子としての典型
例である。
【図9】 第三の実施例における電子源の構成の一部を
示す図である。
【図10】 第三の実施例の電子源の製造工程を説明す
るための図である。
【図11】 第三の実施例の電子源の製造工程を説明す
るための図である。
【図12】 第三の実施例における画像形成装置の基本
構成を示す図である。
【符号の説明】
1,11:基体、2,12:電極A、3,13:電極
B、4,14,84:導電性膜、5,83:電子放出
部、15:導電性皮膜、16:基体より低熱膨張係数の
第一の層、17:ナトリウム含有量が2%以下の第二の
層、51:電源、52,57:電流計、53:高圧電
源、54:アノード電極、55:真空装置、56:排気
ポンプ、62:下配線、63:上配線、64:層間絶縁
層、71:電子源基板、72:リアプレート、73:支
持枠、74:ガラス基板、75:蛍光膜、76:メタル
バック、77:フェースプレート、78:高圧端子、7
9:外囲器、81:基板、82:幅Wの広い部位。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、該基体上に配された、該基体よ
    りも熱膨張係数の小さい第一の層と、該第一の層上に配
    されたナトリウム含有量が2%以下の第二の層と、該第
    二の層上に配された一対の電極と、該第二の層上に配さ
    れ、該一対の電極と電気的に接続された導電性膜とを有
    することを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記導電性膜の一部に間隙を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記導電性膜が、パラジウムを主体とす
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出
    素子。
  4. 【請求項4】 前記第一の層が、炭素を主体とすること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子放
    出素子。
  5. 【請求項5】 前記第二の層が、SiO2 を主成分とす
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    電子放出素子。
  6. 【請求項6】 前記基体がガラス基体であることを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子放出素
    子。
  7. 【請求項7】 前記電子放出素子が表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の電子放出素子。
  8. 【請求項8】 複数の電子放出素子が配列形成された電
    子源であって、該電子放出素子が、請求項1乃至7のい
    ずれかに記載の電子放出素子により構成されることを特
    徴とする電子源。
  9. 【請求項9】 電子源と、画像形成部材とを有する画像
    形成装置であって、該電子源が、請求項8に記載の電子
    源により構成されることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100860894B1 (ko) 2005-07-25 2008-09-29 캐논 가부시끼가이샤 전자방출소자, 그것을 이용한 전자원, 화상표시장치 및 정보표시장치, 및 이들의 제조방법

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