JP3919792B2 - 電子放出素子、電子源、画像表示装置、及び、それらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像表示装置、及び、それらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面伝導型の電子放出素子、該電子放出素子を用いてなる電子源及び画像表示装置、並びに、それらの製造方法に関する。
従来より、基板面上で互いに間隔を置いて配置された一対の導電体間の基板面に溝を有し、該導電体間に所定の電圧を印加することによって、前記導電体部分より電子を放出する電子放出素子が知られている(特許文献1参照)。
図9に、上記特許文献1に開示された電子放出素子の構成を示す。図中、101は基板、102,103は素子電極、104は導電性膜、105はカーボン膜、106は溝、107は電子放出部である。また、図9(a)は当該素子の平面模式図であり、(b)は(a)中のB−B’断面模式図である。
図9の電子放出素子の製造方法としては、基板101上に素子電極102,103を形成し、該素子電極102と103とを連絡するように連続する導電性膜104を形成した後、該素子電極102,103間にフォーミング電圧を印加して間隙を形成し(フォーミング工程)、さらに炭素化合物含有雰囲気下において該素子電極102,103間に両極性の電圧パルスを印加することにより、両電極側の導電性膜104上に炭素を主成分とするカーボン膜105を堆積させる(活性化工程)。この時、導電性膜104に形成された間隙下の基板101には活性化時の熱により基板の材質が変質した溝106が形成される。
特開2000−231872号公報
本発明は、安定性の点において改善された電子放出素子と該電子放出素子を用いてなる電子源及び画像表示装置、並びに、それらの製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、安定性、特に高効率でかつ高寿命の点において改善された電子放出素子該電子放出素子を用いてなる電子源及び画像表示装置、並びに、それらの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の第1は、基板上に互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜と、該間隔領域内及び該導電性膜上に前記間隔より狭い第二の間隔を有して配置された一対のカーボン膜とを備えた電子放出素子であって、前記一対のカーボン膜のうちの一方のカーボン膜の頂部が他方のカーボン膜の頂部よりも高く、前記基板が、前記間隔領域から前記頂部が高いカーボン膜を備えた導電性膜の当該基板と接する領域の下方に向かって延びて当該基板と接する領域の下方に達している溝を前記間隔に沿って有していることを特徴とする。
本発明の第2は、基板上に複数の電子放出素子を備えた電子源であって、該電子放出素子が、前記本発明第1の電子放出素子であることを特徴とする。
本発明の第3は、基板上に複数の電子放出素子を備えた電子源と、該電子放出素子から放出された電子によって発光する発光部材とを備えた画像表示装置であって、該電子源が、前記本発明第2の電子源であることを特徴とする。
本発明の第4は、基板上に互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜と、該一対の導電性膜のそれぞれを被覆するカーボン膜とを備えた電子放出素子の製造方法であって、炭素化合物ガスを含む雰囲気中で、基板上に互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜間に両極性の電圧パルスを印加する工程を有し、該両極性の電圧パルスにおいて、当該電子放出素子の駆動時に印加される電圧パルスとは逆極性の電圧パルスを印加後に当該電子放出素子の駆動時に印加される電圧パルスと同極性の電圧パルスを印加するまでの休止期間が、前記同極性の電圧パルスを印加後に前記逆極性の電圧パルスを印加するまでの休止期間よりも短く、且つ、前記同極性の電圧パルスのパルス幅が、前記逆極性の電圧パルスのパルス幅より大きいことを特徴とする。
本発明の第5は、基板上に、互いに間隔を有して配置された一対の導電部材と、該一対の導電部材のそれぞれを被覆する炭素を主成分とする膜とを備えた電子放出素子を複数備えた電子源の製造方法であって、該電子放出素子を、前記本発明第4の電子放出素子の製造方法により製造することを特徴とする。
本発明の第6は、基板上に、互いに間隔を有して配置された一対の導電部材と、該一対の導電部材のそれぞれを被覆する炭素を主成分とする膜とを備えた電子放出素子を複数備えた電子源と、該電子放出素子から放出された電子によって発光する発光部材とを備えた画像表示装置の製造方法であって、該電子源を、前記本発明第5の電子源の製造方法により製造することを特徴とする。
本発明の電子放出素子は、非対称な電子放出部を有し、荷電粒子の衝突による劣化を抑える構造を有するため、従来よりも安定な電子放出特性が得られる。よって、本発明の電子放出素子を用いて、低消費電力、低コストでより安定した画像表示装置が得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1に、本発明の電子放出素子の一実施形態の構成を示す。図中、1は基板、2,3は素子電極、4は導電性膜、5はカーボン膜、6は溝、7は電子放出部である。また、図1(a)は当該素子の平面模式図であり、(b)は(a)中のA−A’断面模式図である。
本発明の電子放出素子の製造方法を、図1の素子の製造工程を例に挙げて説明する。
(工程1)
基板1上に素子電極2,3を形成する。基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラスやNa等の不純物含有量を減少したガラスにSiO2層やSiN層を積層した基板、アルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることができる。
素子電極2,3としては、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd、Ru等の金属或いはこれらの合金等が好適であり、或いは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体やITOなどの透明導電体を用いることができる。
素子電極2,3間隔L、素子電極幅W等は、応用される形態等を考慮して設計される。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、数μmから数十μmの範囲とすることができる。素子電極幅Wは、電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とすることができる。素子電極2,3の膜厚dは、数十nmから数μmの範囲とすることができる。
(工程2)
素子電極2,3を連絡する連続した導電性膜4を形成する。
導電性膜4としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好ましい。導電性膜4の膜厚は、素子電極2,3へのステップカバレージ、及び後述するフォーミング工程の処理条件等を考慮して適宜選択されるが、好ましくは0.1nmから100nmであり、より好ましくは1nmから50nmである。
導電性膜4を構成する材料としては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23、RuO2等の酸化物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等が挙げられる。
また、導電性膜4は、1×107Ω/□以下のシート抵抗値を示すのが好ましい。尚、シート抵抗値とは、幅w,長さlの薄膜の抵抗をRとした場合に、R=Rs(l/w)を満たすRsをいう。
この導電性膜4のシート抵抗値は、後述するフォーミング工程において、良好な間隙が形成できる抵抗値として制限される。良好な間隙を形成するには、1×103〜1×107Ω/□の抵抗値であることが好ましい。
一方、電子放出部7を形成した後は、素子電極2,3を通じて印加される電圧が十分に電子放出部7に印加されるのが好ましく、導電性膜4の抵抗値はより低いほうが好ましい。
このため、導電性膜4は1×103〜1×107Ω/□の抵抗値を持つ金属酸化物半導体薄膜として形成し、後述するフォーミング工程後に還元して、より低抵抗な金属薄膜として用いるのが好ましい。
従って、最終的な状態での導電性膜4の抵抗値の下限は特に限定されない。尚、ここで言う導電性膜4の抵抗値とは、間隙を含まない領域で測定される抵抗値を意味している。
(工程3)
素子電極2,3間にフォーミング電圧を印加して導電性膜4の一部を変形・変質させて間隙を形成し、電子放出部7を形成する。この工程をフォーミング工程という。
フォーミング工程において、素子電極2,3間に印加する電圧はパルス電圧が好ましい。この時、パルス波高値を一定とする場合と、パルス波高値を増加させながら印加する場合とがある。パルス電圧の印加方法及び印加するパルス電圧の電圧値、パルス幅、パルス間隔は、導電性膜4の材料や膜厚、抵抗値等に応じて適宜選択される。また、フォーミング工程は真空中、もしくは水素などの還元性気体を含む雰囲気中で行うのが好ましい。
(工程4)
フォーミング工程後、活性化工程を行う。具体的には、炭素化合物ガスを含む雰囲気中にて、素子電極2,3間に両極性の電圧パルスを印加し、導電性膜4の間隙内及び導電性膜4上に炭素を主成分とするカーボン膜5を堆積させる。尚、当該工程においては、素子電極2と導電性膜4、及び、素子電極3と導電性膜4とがそれぞれ導電部材を形成しており、これら一対の導電部材間に両極性の電圧パルスを印加しているとも言える。
ここで、炭素とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するものであり、HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、及び非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)である。
本発明において、活性化工程に用いる両極性のパルスは、当該電子放出素子の駆動時の電圧パルスの極性と所定の関係にあることを特徴とする。
図2に本発明において活性化工程に用いられる電圧パルス波形の一例を、また、図3に図2と組み合わせて用いられる駆動時の電圧パルス波形の一例を示す。
本発明において活性化工程に用いる電圧パルスは、
(1)駆動時の電圧パルスVdrvと同極性の電圧パルスV1の絶対値が、逆極性の電圧パルスV2の絶対値より大きい、或いは、
(2)駆動時の電圧パルスと逆極性の電圧パルスV2印加後、同極性の電圧パルスV1印加までの休止期間T2が、同極性の電圧パルスV1印加後、逆極性の電圧パルスV2印加までの休止期間T4よりも短い、のいずれかを満たしている。
尚、(1)の場合にはT2≦T4、(2)の場合には|V1|≧|V2|で設定されるが、好ましくは、(1)と(2)の両方を満たすようにパルス波形を設定する。
活性化工程に用いられる電圧パルスにおいて、|V1|は22〜30V、|V2|は20〜24Vの範囲で設定される。また、パルス幅T1は0.01msec〜0.2msec、パルス幅T3は0.1msec〜2msec、パルス間隔T2は0.01msec〜0.2msec,パルス間隔T4は0.01msec〜120msec、1周期(T1+T2+T3+T4)は好ましくは2msec〜120msec範囲で設定される。
また、パルス幅については(1)、(2)のいずれにおいてもT1<T3に設定する。
上記したような、非対称な電圧パルスを印加することで、導電性膜4に非対称にカーボン膜5が堆積され、電子放出部7が形成される。即ち、素子電極2,導電性膜4,カーボン膜5からなる導電体、及び、素子電極3,導電性膜4,カーボン膜5からなる導電体が、互いに間隔を有して配置した構造であって、一方の導電体(図1においては素子電極2側)の頂部(基板1から最も離れた位置)が、他方の導電体(図2においては素子電極3側)の頂部よりも高い構造が形成される。同時に、活性化時の熱の発生が交互に非対称に生ずるので、基板1の変質が導電体(素子電極2+導電性膜4)の下部にかけて生じる結果、前記間隔領域から前記一方の導電体の当該基板と接する領域の下方に向かって延びる溝6が、導電体間の間隔に沿って形成されると考える。尚、この溝6は、図1に示す通り、その最深部が、前記一方の導電体の当該基板と接する領域の下方に位置する形態であることが好ましい。
尚、図1の電子放出素子は、素子電極2側に駆動時と同極性の電圧パルスを印加している。
本発明に係る活性化工程においては、真空容器内をターボ分子ポンプなどのオイルフリーポンプで排気しながら、該容器内に炭素化合物ガスを所定の圧力となるように導入して行われる。
活性化工程に用いる適当な炭素化合物としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、ベンゾニトリル、トルニトリル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等或いはこれらの混合物を使用できる。
この時の好ましい炭素化合物ガスの分圧は、真空容器の形状や、炭素化合物の種類などにより異なるため、場合に応じて適宜設定される。
このようにして形成された電子放出素子は、その構成が単純であり、しかもその製造が容易であるため、大面積にわたり多数の電子放出素子を配列形成できる。そこで基板上に複数の電子放出素子を形成し、各電子放出素子間を配線で電気的に接続することにより、大面積の電子源を容易に形成することができる。
基板上に複数個の電子放出素子を配置した電子源において、電子放出素子の配列については種々のものを採用できるが、その一例として、図7に示すように、電子放出素子74をマトリクス状に配置した電子源が挙げられる。図中、71は電子源基体、52は行方向(Y方向)配線、53は列方向(X方向)配線、74は電子放出素子である。同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の一方は、共通の行方向配線52に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他方は、共通の列方向配線53に接続される。このような配線方法は単純マトリクス配線と呼ばれている。
前述の電子放出素子を複数個単純マトリクス配線した電子源において、マトリクス中の任意の電子放出素子を駆動したい場合には、駆動したい電子放出素子が結線された列方向配線53に電圧Vxを印加し、これと同期して、駆動したい電子放出素子が結線された行方向配線52には、電圧Vxとは極性が反対の電圧−Vyを印加する。この時、駆動したい電子放出素子には差分の電圧(Vx+Vy)が印加される。また、駆動したい電子放出素子と同じ列に配された電子放出素子にはVxの電圧が印加され、駆動したい電子放出素子と同じ行に配された電子放出素子にはVyの電圧が印加される。電圧Vx及びVyを、電圧(Vx+Vy)においては所望の電子放出量が得られ、電圧Vx及びVyにおいてはほとんど電子放出されないような電圧値に設定することにより、所望の電子放出素子より選択的に電子放出させることができる。
このように前述の電子放出素子を単純マトリクス配置した電子源は、その構成及び駆動方法が簡単であるため、電子放出素子より放出された電子によって発光する発光部材と組み合わせることで画像表示装置を構成することができる。
先ず図5を用いて、本発明の電子源の構成について説明する。図5は、図7に示した単純マトリクス構成の電子源の一実施形態の平面模式図であり、図中、54は層間絶縁層であり、図1、図7と同じ部材には同じ符号を付した。尚、便宜上、図1のカーボン膜5や溝6については省略した。
図5の電子源の製造工程を図6を用いて説明する。尚、図1と同じ符号を付した部材の素材については、先の電子放出素子の製造工程と同様であり、説明を省略する。
〔工程1〕
基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法やスパッタリング法とフォトリソグラフィー技術との組み合わせ、または印刷法等を用いて、素子電極2、3を形成する〔図6(a)〕。
〔工程2〕
素子電極2、3を設けた基板1上に、真空蒸着法やスパッタリング法とフォトリソグラフィー技術との組み合わせ、または印刷法等を用いて、金属などの導電性材料からなる列方向配線53を形成する〔図6(b)〕。
〔工程3〕
真空蒸着法やスパッタリング法とフォトリソグラフィー技術との組み合わせ、または印刷法等を用いて、酸化シリコン、酸化鉛等を主成分とする絶縁性材料からなる層間絶縁層54を形成する〔図6(c)〕。層間絶縁層54は、行方向配線52と列方向配線53の交差部を覆うように形成され、両配線間の電位差に耐え得るように、材料、膜厚、製法が適宜設定される。また、一方の素子電極2と行方向配線52との電気的接続をとるためのコンタクトホール55を形成する。
〔工程4〕
層間絶縁層54の上に、列方向配線53と同様にして、行方向配線52を形成する〔図6(d)〕。行方向配線52と列方向配線53は、電子放出素子の一対の素子電極2、3にそれぞれ電気的に接続される。
〔工程5〕
次に、素子電極2、3間に導電性膜4を形成する。〔図6(e)〕。導電性膜4の形成は、導電性膜4を構成する材料を、スパッタリング法、真空蒸着法、化学的気相堆積法等により成膜する方法や、導電性膜4を構成する材料を含む化合物溶液をディッピング法、スピンコート法や、インクジェット塗布方法などを用いて塗布する方法等により行うことができる。
〔工程6〕
フォーミング工程を施す。フォーミング工程は、行方向配線52と列方向配線53を通じて、各電子放出素子の素子電極2、3間に電圧を印加することにより行うことができる。これにより各電子放出素子の導電性膜4が局所的に破壊されて間隙が生じ、電子放出部7が形成される〔図5〕。
〔工程7〕
次に活性化工程を施す。活性化工程は、炭素化合物を含む雰囲気中で、行方向配線52と列方向配線53を通じて、各電子放出素子の素子電極2、3間に電圧を印加することにより行う。この工程により、フォーミング工程において形成された間隙内及びその近傍に、炭素及び/または炭素化合物が堆積し、カーボン膜5が形成される。
図4は、活性化工程における電圧印加手段と電子源との接続図である。図4において、41は電子源基体、42は活性化ドライバ、43,47はパルス発生器、44はライン選択部、45は電流測定部、46は制御装置である。
パルス発生器43とライン選択部44は活性化ドライバ42により、パルス発振とライン選択の切り替えの周期が同期するようになっている。
パルス発生器43により生成されたパルス電圧は、ライン選択部44に入力され、出力端子Sy1〜Symのいずれかに出力される。出力端子Sy1〜Symは、それぞれ電子源基体41の行方向配線Dy1〜Dymに接続されている。列方向配線Dx1〜Dxnは共通結線されてグランドレベルに接続されている。
ライン選択部44において、出力端子Sy1〜Symは、それぞれ不図示のスイッチsw1〜swmに接続されており、各スイッチはパルス発生器43の出力部、またはグランドレベルのいずれかに接続され、活性化ドライバ42により各スイッチの切り替えが独立に制御される。これにより、電子源基体41の行方向配線に順次パルス電圧が印加される。
電流測定部45は、各行方向配線Dy1〜Dymに流れる素子電流の測定部である。素子電流の測定値は制御装置46に読み込まれ、制御装置46はこの測定値を基に活性化ドライバ42の動作を制御する。例えば、パルス電圧を印加する行方向配線の選択や、パルス発生器43より出力されるパルス電圧の波形等の制御を行う。また例えば、別のパルス発生器47より発生される別のパルス電圧を印加するように制御する。
以上のようにして、電子源基体41の行方向配線に順次パルス電圧を印加しながら活性化を行う。
〔工程8〕
活性化工程後に、好ましくは安定化工程を行う。この工程は、真空容器内の炭素化合物を排気する工程である。ここで、真空容器を排気する真空排気装置については、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることができる。
真空容器内の有機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で1×10-6Pa以下が好ましく、さらには1×10-8Pa以下が特に好ましい。
さらに、真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した炭素化合物分子を排気しやすくするのが好ましい。
このときの加熱条件は、150℃〜350℃で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素或いは炭素化合物の堆積を抑制でき、また真空容器や基板などに吸着したH2O,O2なども除去でき、結果として素子電流If及び放出電流Ieが安定する。
次に、このようにして製造される電子源を用いて構成した画像表示装置について、図8を用いて説明する。図8において、81は電子源基体71を固定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプレート(発光部材)である。82は支持枠であり、この支持枠82には、リアプレート81、フェースプレート86が低融点のフリットガラスなどを用いて、接合される。87は高圧端子、88は外囲器である。
外囲器88は、上述の如く、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81で構成される。
リアプレート81は、主に電子源基体71の強度を補強する目的で設けられるため、電子源基体71自体で十分な強度を持つ場合は、別体のリアプレート81は不要とすることができる。
すなわち、電子源基体71に直接支持枠82を封着し、フェースプレート86、支持枠82及び電子源基体71で外囲器88を構成しても良い。
また、フェースプレート86とリアプレート81との間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器88を構成することもできる。
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
工程(a)
青板ガラス上に厚さ500nmのシリコン酸化膜をCVD法で形成した基板1を洗剤と純水により洗浄した後、素子電極2、3のリフトオフ用パターンをフォトレジスト(RD−2000N−41;日立化成社製)で形成し、真空蒸着法により、厚さ5nmのTi、厚さ100nmのPtを順次堆積した。
次いで、フォトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Pt/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔L=20μm、素子電極の幅W=200μmの素子電極2,3を形成した。
工程(b)
次いで、金属成分としてAgを含むペースト材料(NP−4028A;ノリタケ(株)製)を用い、スクリーン印刷法により列方向配線53のパターンを形成し、印刷後、110℃で20分乾燥し、次いで熱処理装置によりピーク温度480℃、ピーク保持時間8分間の条件で上記ペーストを焼成して列方向配線53を形成した。
工程(c)
次に、PbOを主成分とするペーストを用い、層間絶縁層54のパターンを印刷して工程(b)と同様の条件で焼成し、層間絶縁層54を形成した。
この層間絶縁層54は、少なくとも行方向配線52と列方向配線53の交差部を含む領域を覆うように、且つ一方の素子電極2と行方向配線52との電気的接続をとるためのコンタクトホール55を開けて形成した。
工程(d)
絶縁層54の上に、列方向配線53と同様の材料を用い、スクリーン印刷法により行方向配線52のパターンを印刷し、印刷後、110℃で20分乾燥し、次いで熱処理装置によりピーク温度480℃、ピーク保持時間8分間の条件で上記ペーストを焼成して行方向配線52を形成した。
工程(e)
次に、各電子放出素子の素子電極2,3間に、バブルジェット(登録商標)方式の噴射装置を用い、パラジウム錯体溶液(酢酸パラジウムモノエタノールアミン錯体をIPAと水の混合溶液に溶解したもの)を滴下した後、300℃で15分間加熱焼成処理をして、酸化パラジウムからなる導電性膜4を形成した。また、こうして形成された導電性膜4の平均膜厚は8nmであった。
工程(f)
上述のようにして、電子放出素子、配線及び層間絶縁層を形成した基板を、真空容器内に設置し、容器内を真空ポンプにて排気した。容器内の圧力が2×10-3Paに到達したところで排気用のバルブを閉め、容器内に2%H2混合N2ガスを導入しながら、容器外端子を通じて、行方向配線52及び列方向配線53間に電圧を印加し、電子放出素子のフォーミングを行った。
フォーミングの電圧は−14V、パルス幅1msecの矩形波とし、パルス間隔は50msecとした。またこの時、列方向配線53を共通化してグランドレベルに接続し、行方向配線52を順次選択しながら上記電圧の印加を行った。
フォーミング処理中は、同時に、パルス間に1Vの抵抗測定パルスを挿入して抵抗を測定し、1素子あたりの測定値が、約1MΩ以上になった時に、電圧の印加を終了した。以上により、各電子放出素子の導電性膜4に間隙を形成した。
この後、容器内に2%H2混合N2ガスを2×104Paまで導入した後、30分間保持して、導電性膜4を還元した。
工程(g)
続いて、真空容器内を真空ポンプにて排気し、容器内の圧力が2×10-5Paに到達したところで、トルニトリルをスローリークバルブを通して真空容器内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。
次に、図4に示したように、容器外端子を通じて、列方向配線53(Dx1〜Dxn)を共通化してグランドレベルに接続し、各行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次パルス電圧を印加して活性化処理をおこなった。
この時のパルス電圧としては、図2に示した両極性のパルス電圧を用いた。パルス電圧V1=−22V、V2=+22V、T1=0.1msec、T2=0.1msec、T3=1msec、T4=18.8msec、1周期=20msecで行った。活性化は30分、上述したパルスをかけ続けた。その後、活性化工程を終了した電子源基体を真空容器より取り出して、任意の5素子について、SEM観察を行った。
断面観察を行うために、FIB加工技術を用いて、任意の電子放出部の構造をスライスした。その結果、ほとんどの構造が模式的に示した図1の構造をしており、溝6は斜めに入っており、溝の最深部はPd薄膜の下部にあった。
工程(h)
活性化工程を終えた電子源基体を再び真空容器内に設置し、真空容器内を排気しながら、電子源基体を300℃、また真空容器を200℃で10時間加熱して安定化処理をおこなった。
以上のようにして作製した電子源について、同真空容器内で電子放出特性を評価した。容器外端子を通じて電子放出素子に電圧を印加し、この時電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定した。また、電子源基体の上方2mmの位置にアノード電極を設置し、アノード電極に電圧を印加して電子放出素子から放出される放出電子(Ie)を測定した。電子放出特性測定時の真空装置内の圧力は2×10-8Pa以下であった。
先ず、予備的駆動として、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5Vでパルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−14Vでパルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を10パルスずつ印加した。続いて、別の列方向配線(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、全ての電子放出素子に21.5Vのパルス電圧を10パルスずつ印加した。この時非選択の配線はグランドレベルに接続した。
次に、同様に、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5V、パルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−10.5V、パルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を300秒間ずつ印加した。続いて、別の列方向配線(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、全ての電子放出素子に18Vのパルス電圧を印加して素子を駆動した。この時、各電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定すると共に、アノード電極に1kVの電圧を印加して、放出電流(Ie)の測定をおこなった。測定された素子電流If及び放出電流Ieより求めた電子放出効率(=Ie/If)の平均値は0.4%であり、良好な電子放出特性が得られた。
(実施例2)
実施例1の工程(a)〜工程(f)と同様にして、基板上に電子放出素子を形成し、フォーミング工程までを行った。続いて以下の工程を行った。
工程(g)
真空容器内を真空ポンプにて排気し、容器内の圧力が2×10-5Paに到達したところで、トルニトリルをスローリークバルブを通して真空容器内に導入し、1×10-4Paを維持した。
次に、図4に示したように、容器外端子を通じて、列方向配線53(Dx1〜Dxn)を共通化してグランドレベルに接続し、各行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次パルス電圧を印加して活性化処理をおこなった。
この時のパルス電圧としては、図2に示した両極性のパルス電圧を用いた。パルス電圧V1=−23V、V2=+21V、T1=0.1msec、T2=0.1msec、T3=1msec、T4=18.8msecで行った。
このようにして40分間パルス電圧を印加して活性化を終了した。
活性化工程を終了した電子源基体を真空容器より取り出して、任意の5素子について、SEM観察を行った。また、断面観察を行うために、FIB加工技術を用いて、任意の電子放出部の構造をスライスした。その結果、ほとんどの構造が模式的に示した図1の構造をしており、溝6は斜めに入っており、溝6の最深部はPd薄膜の下部にあった。
工程(h)
電子源基体を再び真空容器内に設置し、真空容器内を排気しながら、電子源基体を300℃、また真空容器を200℃で10時間加熱して安定化処理を行った。
以上のようにして作製した電子源について、同真空容器内で電子放出特性を評価した。容器外端子を通じて電子放出素子に電圧を印加し、この時電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定した。また、電子源基体の上方2mmの位置にアノード電極を設置し、アノード電極に電圧を印加して電子放出素子から放出される放出電流(Ie)を測定した。電子放出特性測定時の真空装置内の圧力は2×10-8Pa以下であった。
先ず、予備的駆動として、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5Vでパルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−15Vでパルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を10パルスずつ印加した。続いて、別の列方向配線53(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、全ての電子放出素子に22.5Vのパルス電圧を10パルスずつ印加した。この時非選択の配線はグランドレベルに接続した。
次に、同様に、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5V、パルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−11.5V、パルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を60秒間ずつ印加した。続いて、別の列方向配線53(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、すべての電子放出素子に19Vのパルス電圧を印加して素子を駆動した。この時、各電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定すると共に、アノード電極に1kVの電圧を印加して、放出電子(Ie)の測定をおこなった。測定された素子電流If及び放出電流Ieより求めた電子放出効率(Ie/If)の平均値は0.5%であり、良好な電子放出特性が得られた。
(実施例3)
実施例2と同様にして、活性化工程まで行った電子源基体71を作製した。
次に、電子源基体71をリアプレート81上に固定した後、電子源基体71の2mm上方にフェースプレート86を支持枠82、排気管(不図示)を介して固定し外囲器88を形成した。また、リアプレート81とフェースプレート86との間には、スペーサ(不図示)を配置し、大気圧に耐えられる構造とした。また、外囲器88内には容器内を高真空に保つためのゲッター(不図示)を配置した。リアプレート81と支持枠82とフェースプレート86の接合にはフリットガラスを用い、アルゴン雰囲気中で420℃に加熱することにより封着を行った。
次に、作製した外囲器88内の雰囲気を排気管を通じ真空ポンプにて排気しながら、パネル全体を250℃に加熱した後、室温まで降温して内部を10-7Pa程度の圧力とした後、排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器88の封止を行った。最後に封止後の圧力を維持するために、高周波加熱によりゲッターを加熱してゲッター処理を行った。このようにして図8に示すような画像表示装置を作製した。
以上のようにして完成した画像表示装置において、実施例2と同様にして、予備的駆動を行い、実施例2と同様にして、素子電流、放出電流及び非選択電流を測定したところ、実施例2と同等の特性が得られた。
次に、列方向配線53に情報信号を印加し、行方向配線52に走査信号を印加しながら電子放出素子を順次駆動した。この時情報信号としては、+7.5Vのパルス電圧を用い、走査信号としては−11.5Vのパルス電圧を用いた。また、高圧端子87を通じてメタルバック85に10kVの電圧を印加して、放出電子を蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示した。アノード電圧10kVにおける電子放出効率は5%と高く、明るい画像を表示することができた。また、1000時間駆動後に輝度の低下を計測したところ、5%以内の変化率であった。
(実施例4)
実施例1の工程(a)〜工程(f)と同様にして、基板上に電子放出素子を形成し、フォーミング工程までを行った。続いて以下の工程を行った。
工程(g)
真空容器内を真空ポンプにて排気し、容器内の圧力が2×10-5Paに到達したところで、トルニトリルをスローリークバルブを通して真空容器内に導入し、6×10-4Paを維持した。
次に、図4に示したように、容器外端子を通じて、列方向配線53(Dx1〜Dxn)を共通化してグランドレベルに接続し、各行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次パルス電圧を印加して活性化処理をおこなった。
この時のパルス電圧としては、図2に示した両極性のパルス電圧を用いた。パルス電圧V1=−23V、V2=+21V、T1=0.01msec、T2=0.01msec、T3=0.1msec、T4=2.3msecで行った。
このようにして10分間パルス電圧を印加して活性化を終了した。
活性化工程を終了した電子源基体を真空容器より取り出して、任意の5素子について、SEM観察を行った。また、断面観察を行うために、FIB加工技術を用いて、任意の電子放出部の構造をスライスした。その結果、ほとんどの構造が模式的に示した図1の構造をしており、溝6は斜めに入っており、溝6の最深部はPd薄膜の下部にあった。
工程(h)
電子源基体を再び真空容器内に設置し、真空容器内を排気しながら、電子源基体を300℃、また真空容器を200℃で10時間加熱して安定化処理を行った。
以上のようにして作製した電子源について、同真空容器内で電子放出特性を評価した。容器外端子を通じて電子放出素子に電圧を印加し、この時電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定した。また、電子源基体の上方2mmの位置にアノード電極を設置し、アノード電極に電圧を印加して電子放出素子から放出される放出電流(Ie)を測定した。電子放出特性測定時の真空装置内の圧力は2×10-8Pa以下であった。
先ず、予備的駆動として、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5Vでパルス幅0.01msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−15Vでパルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を10パルスずつ印加した。続いて、別の列方向配線53(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、全ての電子放出素子に22.5Vのパルス電圧を1000パルスずつ印加した。この時非選択の配線はグランドレベルに接続した。
次に、同様に、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5V、パルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−11.5V、パルス幅0.1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を60秒間ずつ印加した。続いて、別の列方向配線53(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、すべての電子放出素子に19Vのパルス電圧を印加して素子を駆動した。この時、各電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定すると共に、アノード電極に1kVの電圧を印加して、放出電子(Ie)の測定をおこなった。測定された素子電流If及び放出電流Ieより求めた電子放出効率(Ie/If)の平均値は0.6%であり、良好な電子放出特性が得られた。
(実施例5)
実施例4と同様にして、活性化工程まで行った電子源基体71を作製した。
次に、電子源基体71をリアプレート81上に固定した後、電子源基体71の2mm上方にフェースプレート86を支持枠82、排気管(不図示)を介して固定し外囲器88を形成した。また、リアプレート81とフェースプレート86との間には、スペーサ(不図示)を配置し、大気圧に耐えられる構造とした。また、外囲器88内には容器内を高真空に保つためのゲッター(不図示)を配置した。リアプレート81と支持枠82とフェースプレート86の接合にはフリットガラスを用い、真空雰囲気中で420℃に加熱することにより封着を行った。
次に、作製した外囲器88内の雰囲気を排気管を通じ真空ポンプにて排気しながら、パネル全体を250℃に加熱した後、室温まで降温して内部を10-7Pa程度の圧力とした後、排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器88の封止を行った。最後に封止後の圧力を維持するために、高周波加熱によりゲッターを加熱してゲッター処理を行った。このようにして図8に示すような画像表示装置を作製した。
以上のようにして完成した画像表示装置において、実施例2と同様にして、予備的駆動を行い、実施例2と同様にして、素子電流、放出電流及び非選択電流を測定したところ、実施例2と同等の特性が得られた。
次に、列方向配線53に情報信号を印加し、行方向配線52に走査信号を印加しながら電子放出素子を順次駆動した。この時情報信号としては、+7.5Vのパルス電圧を用い、走査信号としては−11.5Vのパルス電圧を用いた。また、高圧端子87を通じてメタルバック85に10kVの電圧を印加して、放出電子を蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示した。アノード電圧10kVにおける電子放出効率は4%と高く、明るい画像を表示することができた。また、800時間駆動後に輝度の低下を計測したところ、5%以内の変化率であった。
(実施例6<参考例>
実施例1の工程(a)〜工程(f)と同様にして、基板上に電子放出素子を形成し、フォーミング工程までを行った。続いて以下の工程を行った。
工程(g)
真空容器内を真空ポンプにて排気し、容器内の圧力が2×10-5Paに到達したところで、トルニトリルをスローリークバルブを通して真空容器内に導入し、6×10-4Paを維持した。
次に、図4に示したように、容器外端子を通じて、列方向配線53(Dx1〜Dxn)を共通化してグランドレベルに接続し、各行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次パルス電圧を印加して活性化処理をおこなった。
この時のパルス電圧としては、図2に示した両極性のパルス電圧を用いた。パルス電圧V1=−23V、V2=+21V、T1=0.01msec、T2=0.01msec、T3=0.1msec、T4=0.01msecで行った。
このようにして1分間パルス電圧を印加して活性化を終了した。
活性化工程を終了した電子源基体を真空容器より取り出して、任意の5素子について、SEM観察を行った。また、断面観察を行うために、FIB加工技術を用いて、任意の電子放出部の構造をスライスした。その結果、ほとんどの構造が模式的に示した図1の構造をしており、溝6は斜めに入っており、溝6の最深部はPd薄膜の下部にあった。
工程(h)
電子源基体を再び真空容器内に設置し、真空容器内を排気しながら、電子源基体を300℃、また真空容器を200℃で10時間加熱して安定化処理を行った。
以上のようにして作製した電子源について、同真空容器内で電子放出特性を評価した。容器外端子を通じて電子放出素子に電圧を印加し、この時電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定した。また、電子源基体の上方2mmの位置にアノード電極を設置し、アノード電極に電圧を印加して電子放出素子から放出される放出電流(Ie)を測定した。電子放出特性測定時の真空装置内の圧力は2×10-8Pa以下であった。
先ず、予備的駆動として、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5Vでパルス幅0.01msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−15Vでパルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を10パルスずつ印加した。続いて、別の列方向配線53(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、全ての電子放出素子に22.5Vのパルス電圧を100パルスずつ印加した。この時非選択の配線はグランドレベルに接続した。
次に、同様に、列方向配線53の1つ(Dx1)を選択し、+7.5V、パルス幅1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を印加した。これと同期して、行方向配線52(Dy1〜Dym)に順次、−11.5V、パルス幅0.1msec、パルス間隔16.6msecのパルス電圧を60秒間ずつ印加した。続いて、別の列方向配線53(Dx2〜Dxn)に関して同様の作業を繰り返すことにより、すべての電子放出素子に19Vのパルス電圧を印加して素子を駆動した。この時、各電子放出素子に流れる素子電流(If)を測定すると共に、アノード電極に1kVの電圧を印加して、放出電子(Ie)の測定をおこなった。測定された素子電流If及び放出電流Ieより求めた電子放出効率(Ie/If)の平均値は0.5%であり、良好な電子放出特性が得られた。
本発明の電子放出素子の一実施形態の模式図である。 本発明にかかる活性化工程で用いられる電圧パルスの一例の波形図である。 本発明の電子放出素子の駆動波形図である。 本発明にかかる電子源基体の活性化工程における電圧印加手段と電子源との接続図である。 本発明の電子源の一実施形態の構成を示す模式図である。 図5の電子源の製造工程図である。 図5の電子源の製造工程図である。 図5の電子源の製造工程図である。 図5の電子源の製造工程図である。 図5の電子源の製造工程図である。 本発明の電子源の一実施形態の構成を示す模式図である。 本発明の画像表示装置の表示パネルの構成を示す模式図である。 従来の電子放出素子の一例の模式図である。
符号の説明
1,101 基板
2,102,103 素子電極
4,104 導電性膜
5,105 カーボン膜
6,106 溝
7,107 電子放出部
41 電子源基体
42 活性化ドライバ
43,47 パルス発生器
44 ライン選択部
45 電流測定部
46 制御装置
52 行方向配線
53 列方向配線
54 層間絶縁層
55 コンタクトホール
71 電子源基体
74 電子放出素子
81 リアプレート
82 支持枠
83 ガラス基板
84 蛍光膜
85 メタルバック
86 フェースプレート
87 高圧端子
88 外囲器

Claims (8)

  1. 基板上に互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜と、該間隔領域内及び該導電性膜上に前記間隔より狭い第二の間隔を有して配置された一対のカーボン膜とを備えた電子放出素子であって、前記一対のカーボン膜のうちの一方のカーボン膜の頂部が他方のカーボン膜の頂部よりも高く、前記基板が、前記間隔領域から前記頂部が高いカーボン膜を備えた導電性膜の当該基板と接する領域の下方に向かって延びて当該基板と接する領域の下方に達している溝を前記間隔に沿って有していることを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記溝の、前記基板の表面からの最深部が、前記一方の導電性膜の当該基板と接する領域の下方に位置している請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 基板上に複数の電子放出素子を備えた電子源であって、該電子放出素子が、請求項1または2に記載の電子放出素子であることを特徴とする電子源。
  4. 基板上に複数の電子放出素子を備えた電子源と、該電子放出素子から放出された電子によって発光する発光部材とを備えた画像表示装置であって、該電子源が、請求項に記載の電子源であることを特徴とする画像表示装置。
  5. 基板上に互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜と、該一対の導電性膜のそれぞれを被覆するカーボン膜とを備えた電子放出素子の製造方法であって、炭素化合物ガスを含む雰囲気中で、基板上に互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜間に両極性の電圧パルスを印加する工程を有し、該両極性の電圧パルスにおいて、当該電子放出素子の駆動時に印加される電圧パルスとは逆極性の電圧パルスを印加後に当該電子放出素子の駆動時に印加される電圧パルスと同極性の電圧パルスを印加するまでの休止期間が、前記同極性の電圧パルスを印加後に前記逆極性の電圧パルスを印加するまでの休止期間よりも短く、且つ、前記同極性の電圧パルスのパルス幅が、前記逆極性の電圧パルスのパルス幅より大きいことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  6. 前記同極性の電圧パルスの絶対値が、前記逆極性の電圧パルスの絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 基板上に、互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜と、該一対の導電性膜のそれぞれを被覆するカーボン膜とを備えた電子放出素子を複数備えた電子源の製造方法であって、該電子放出素子を、請求項5または6に記載の電子放出素子の製造方法により製造することを特徴とする電子源の製造方法。
  8. 基板上に、互いに間隔を有して配置された一対の導電性膜と、該一対の導電性膜のそれぞれを被覆するカーボン膜とを備えた電子放出素子を複数備えた電子源と、該電子放出素子から放出された電子によって発光する発光部材とを備えた画像表示装置の製造方法であって、該電子源を、請求項に記載の電子源の製造方法により製造することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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