JP3765190B2 - ポリエステル支持体の表面処理方法、ポリエステル支持体、それを用いたハロゲン化銀写真感光材料及び磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体あるいはハロゲン化銀写真感光材料に有用な、ポリエステル支持体の表面処理方法に関し、詳しくは、ガス中放電プラズマ処理し、表面を活性化するポリエステル支持体の表面処理方法に関する。更には、それにより表面処理されたポリエステル支持体、また、そのポリエステル支持体を使用したハロゲン化銀写真感光材料及び磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
疎水的なポリエステル支持体にハロゲン化銀写真感光材料の構成層や磁気記録媒体の構成層を接着させることは非常に難しく、特にゼラチン等の親水性バインダー層を接着させるのは困難である。磁気記録媒体においては、フィルム表面が何度も磁気ヘッドで擦られるが、これに耐えるだけの接着性が要求される。また、ハロゲン化銀写真感光材料は、乾燥状態においては勿論のこと、現像処理浴の酸性液やアルカリ性液に浸漬され、処理液中や処理後においても接着性が良好に維持されることが要求される。更に、最近のAPSと呼ばれるハロゲン化銀感光層を有する磁気記録媒体においては、磁気記録媒体材料の上記のような接着性の他に、磁気記録媒体がハロゲン化銀写真感光材料の現像処理を受けるため、処理後においても磁気記録層の接着性が損なわれることがあってはならない。ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル支持体においては、上記の要求を満たす接着性を得ることは極めて難しい。
【0003】
ポリエステル支持体とハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体の構成層を接着させる技術として、ポリエステル支持体表面にあらかじめコロナ放電処理、真空グロー放電処理、紫外線処理、電子線処理などの前処理を施す技術や、前処理後に下引層を設けることによって接着性を向上させる技術等が知られている。しかしながら、ポリエステル支持体に下引層を塗設する設備はかなり大きなものになり、ハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体にとってコスト的に負担になる場合が多い。
【0004】
こうした背景において、下引層なしの表面処理技術が模索されている。
【0005】
例えば、最もよく知られている方法としてコロナ放電処理があり、特公昭48−5043号、同47−51905号、特開昭47−28067号、同49−83769号、同51−41770号、同51−131576号等公報にその技術が開示されている。コロナ放電処理はオープンな状態で、ポリエステル支持体を搬送させながら処理出来、小さく簡単な設備で行えることから極一般的な処理方法として使用されている。しかしながら、このコロナ放電処理は前記構造物を直接ポリエステル支持体に接着させる程の能力はなく、下引層の助けが必要となる。
【0006】
下引層を必ずしも必要としない表面処理方法として真空グロー放電処理方法が知られている。例えば、特開昭53−13672号及び特開平7−223761号公報、米国特許第4,993,267号、同3,837,886号及び同4,451,497号明細書等に開示されている。しかしながら、真空グロー放電は、処理部を真空に維持しなければならないという設備上、また、取り扱い上大きな欠点がある。真空を維持しながら処理する方法としては、処理する支持体、装置全体を真空チャンバー内に入れてしまうバッチ処理と真空処理室に外部から支持体を連続供給するインライン処理とがある。バッチ処理は、連続で長尺処理することが困難で、1回の処理毎に真空を解除しなければならない等の問題があり、生産性の観点から工業的に不向きである。インライン処理する方法としては、例えば特開平7−223761号に記載されているが、真空を維持するのが困難なことで、それを解決するためには装置が非常に高価で複雑な設備となる。また、何本ものロールが支持体処理面に接触するため、処理効果が劣化したり、傷が出来たりする。
【0007】
これに対して、大気圧またはその近傍の圧力下でプラスティックフィルムをグロー放電処理する技術が、特公平4−74372号、特開平8−188659号、同9−258376号等公報に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この大気圧またはその近傍下での処理は、真空下での処理よりも設備的、作業性、生産性等の観点から好ましい方法ではあるが、前記公報の方法では、電極間に供給するヘリウムガスが非常に高価であり工業的に採算の取れる方法とはいえず、更に使用したガスが電極間に残存し、安定した処理が行えず、電極の汚れや、異物の付着など長時間安定生産するには難しいという欠点がある。また系外に漏れるガスが大気放出され、環境に与える影響も心配される。またこの方法では、処理を安定させるために電極間の間隙を狭めると、アーク放電が起こり易く、プラズマの発生が起こりにくくなり、フィルムや電極に、傷や穴などの欠陥を与えてしまう虞もある。また処理されたフィルムが巻取られる際、表面が若干でも活性化されるとクッツキ易くなり、ブロッキングが起こり易くなり、処理後のフィルムが取り扱いにくいという欠点がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、ポリエステル支持体の表面を活性化して、下引層が必ずしもなくとも親水性ポリマーまたは疎水性ポリマー等のポリマーバインダー層を容易に接着し得る表面処理方法を提供することであり、第2の目的は、コストが易く、安定に、しかも環境に優しい放電処理によりポリエステル支持体の表面を活性化する表面処理方法を提供することである。また第3の目的は表面処理された表面がブロッキングなしに巻き取れる表面処理方法を提供することにある。更に、第4の目的は放電処理により表面を容易に活性化し易いポリエステル支持体を提供することにあり、その処理された支持体を使用した耐擦り傷に優れた磁気記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に鑑み、ポリエステル支持体の表面処理方法を鋭意検討した結果、大気圧またはその近傍下でポリエステル支持体の表面活性化が優れた処理法方法を見出し、更にポリエステル支持体の結晶化度と屈折率が表面活性化に影響のあることを見出した。また上記のポリエステル支持体を用いて耐擦り傷性に優れた磁気記録媒体を作製することを見出した。
【0011】
本発明は、下記の構成により達成される。
【0012】
(1)結晶化度80%以下のポリエステル支持体を連続搬送しつつ、支持体の少なくとも1面を、500〜800Torrの気圧下でガス中放電プラズマ処理する際、導入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとし、且つ50W・min/m2以上500W・min/m2未満で処理を施すことを特徴とするポリエステル支持体の表面処理方法。
【0013】
(2)処理されるポリエステル支持体の厚さ方向の屈折率が、1.48〜1.57の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
【0014】
(3)処理中の支持体の温度が該支持体のガラス転移点(絶対温度のTg)の±30%の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
【0015】
(4)処理した後巻き取るまでの間に、処理された面にポリマーバインダー層を少なくとも1層設けることを特徴とする(1)乃至(3)の何れか1項に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
【0016】
(5)ポリマーバインダー層の少なくとも1層が硬膜剤を含有することを特徴とする(4)に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
【0017】
(6)ポリマーバインダーが官能基を有していることを特徴とする(4)または(5)に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
【0018】
(7)ポリマーバインダー層の少なくとも1層が帯電防止剤を含有することを特徴とする(4)乃至(6)の何れか1項に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
【0019】
(8)(1)乃至(7)の何れか1項に記載の表面処理を施したことを特徴とするポリエステル支持体。
【0020】
(9)(8)に記載のポリエステル支持体に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する事を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0021】
(10)(8)に記載のポリエステル支持体の片面に磁気記録層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【0022】
(11)磁気記録層と反対側面に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有することを特徴とする(10)に記載の磁気記録媒体。
【0023】
以下に本発明について詳述する。
【0024】
本発明の一つは、搬送している結晶化度80%以下のポリエステル支持体表面に500〜800Torrの大気圧及びその近傍下で、ガス中放電プラズマ処理を施す際に導入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとし、かつ50W・min/m2以上500W・min/m2未満で処理を施す表面処理方法である。
【0025】
先ず、本発明の大気圧及びその近傍の圧力下でのガス中放電プラズマ処理について図1を用いて説明するが、図1に限定するものではなく、特願平10−94468号及び同10−97426号に記載の装置を参考にすることが出来る。その1例としての図1に示した装置を用いて、搬送しているポリエステル支持体を、大気圧またはその近傍下の500〜800Torrの気圧下で、ガス中放電プラズマ処理する際の導入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンとして、一対の電極間で放電させ、その放電が恰も真空下で起こるグロー放電に似た放電が起こりプラズマが発生し、そのプラズマによりポリエステル支持体の表面を処理活性化する。図1を説明する。図1はガス中放電プラズマ処理装置の概略断面図で、回転する第1電極3の円周と対向している複数個の円筒状の第2電極2とガス導入口5を有している。搬送されているポリエステル支持体1がガイドロール6に導かれ、回転する第1電極3の円周に密着して同期して回転移動し、その第1電極3に対向するように間隙が10mm以下の距離に位置する複数の円筒状の第2電極2との間に、処理ガス4がガス導入口5から導入され、ガス中放電プラズマ処理が行われる。図1にはこのガス中放電プラズマ処理装置が二つあるが、2番目の処理装置はポリエステル支持体の反対面を処理するもので、このようにして両面処理されるようになっている。複数の第2電極2の外側には、図示してない供給手段から供給される処理ガス4を、噴出させるためのガス導入口5が設けられている。このガス導入口5から噴出された処理ガス4が、第1電極3と複数の第2電極2との間の間隙を満たされる。そして、第1電極3は、複数の第2電極2との間に電源周波数1〜100kHz(好ましくは1〜10kHz)を印加することにより、第1電極3の回転とともに連続搬送されているポリエステル支持体1の複数の第2電極2に対向する面に対して放電が施される。この際、対向する電極間の一定間隙の中を安定して一定速度でポリエステル支持体を搬送させること、一定の組成の圧力の処理ガス(混合ガス)を安定に供給すること、アーク放電の発生を抑制し、真空グロー放電に似た安定した放電をさせること、ポリエステル支持体が第1電極に密着していること等によって良質のプラズマを発生させ、ポリエステル支持体の面が処理される活性化されたポリエステル表面を得ることが出来る。また処理に使用したガスはそのまま放出させずに回収して再利用することも行うことにより(図示されていない)、環境問題またコストの面からも好ましい。
【0026】
第2電極2の本数は、第1電極3の直径、第2電極2の直径、そこにかける電圧、出力やガス濃度などによって変化するが、放電する際の第2電極同士の干渉などが起こらないようにして、最大限に効果を発揮出来るように本数を決めればよい。
【0027】
本発明に使用するガス中放電プラズマ処理装置の電極の材質は、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属と誘電体(例えばセラミックなど)とから形成されている。誘電体の厚みは、好ましくは0.5〜3mmであるが、その材質または厚さは導入されるガスの組成、間隙、電源条件などによっても適点が異なる。電極の形は平板状でも、円筒状、棒状であってもよい。電極間の間隙は10mm以下が好ましい。
【0028】
本発明のガス中放電プラズマ処理は大気圧またはその近傍下において行うものであり、経済的かつ生産効率が優れている。真空グロー放電処理のような高価な設備、また真空密閉系による長尺ものが連続的に出来ないという生産効率の悪い設備を使用することなく出来るところが、特徴的である。また高圧系での技術については真空系と同様であり、また危険性、技術の不確実性から使用しえない。
【0029】
本発明のガス中放電プラズマ処理の放電強度は、アーク放電も起こらず安定した効果的な処理を行うには、50W・min/m2以上500W・min/m2未満が好ましい。この範囲でガス中放電プラズマ処理を行うことにより、処理の均一性、ダメージなく仕上げることが出来、しかも優れた接着性を得ることが出来、例えば、500W・min/m2以上では、処理強度が強すぎて、支持体にピンホールが発生したりしてダメージを受け易い。特公平4−74372号公報の記載によれば500W・min/m2以上でなければ接着性がよくならないということであるが、本発明においては500W・min/m2以上だとピンホールが多発し、使用に耐えないものが出来、該公報と本発明とは全く違う技術なのかも知れない。
【0030】
本発明のガス中放電プラズマ処理する対電極間隙に導入する不活性ガスは50圧力%以上あることが好ましく、処理を効率的に行い、かつ均一で安定して行うには60圧力%以上、更には65圧力%が好ましい。本発明においては、特開平8−188659号公報に記載されている大気圧近傍でのグロー放電を行う際使用するヘリウムガスと異なり、アルゴンガスを使用することが特徴的である。アルゴンガスはヘリウムのように高価でなく、また回収が容易でリサイクルも出来、コスト的に有利であるばかりでなく、ヘリウムより原子量が大きく、一原子気体としての大きさも大きく、処理の際、ポリエステル支持体の表面にアルゴンが叩きつけられた時エッチングが起こり表面に凹凸を生じ、ヘリウムでは見られない処理として有効な効果がある。また不活性希ガスにはこの他ネオン、クリプトン、キセノン等があるが、原子の大きさが表面に叩きつけられた際のエッチング効果に過不足を生じ、アルゴンによる表面処理能力には及ばないばかりか、プラズマを発生させるためには、高出力、高周波数が必要になり表面処理が強すぎポリエステル支持体にダメージを与えてしまう。またコスト的にもアルゴンが最も好ましい。本発明においては、他の不活性ガスのヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスを、他の不活性ガスを50圧力%未満含有させることが出来る。また、必要に応じて、他のガス(活性ガス)として、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気、アンモニアガス、ケトンを含むガス、炭化水素を含むガス、水蒸気を混合して処理を行ってもよい。これらのガスは2種以上用いてもよい。これらガスのうち、窒素ガス、水素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気が特に好ましい。これらを目的に応じてアルゴンガスを50圧力%以上含有する不活性ガスと混合して処理することにより、ポリエステル支持体表面に発現する活性基をコントロールすることが出来る。
【0031】
本発明の大気圧下ガス中放電プラズマ処理は特願平10−94468号及び同10−97426号に記載されている方法、装置によって行うことが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の表面処理の際のプラズマの発生は、Optical Emission Spectroscopy法(略してOES)、あるいはPhotoelectoron Spectroscopy法(光電子分光法)(略してPES)の測定により知ることが出来る。
【0033】
本発明のガス中放電プラズマ処理によりプラスティック支持体表面に発現する活性基については光電子分光法(ESCAないしはXPS)により知ることが出来る。例えばVG社製ESCALAB−200Rが使用できる。
【0034】
なお、上記の真空グロー放電処理のように密閉系で行う場合には、処理がバッチ式となり、一定の長さのプラスティック支持体の処理しか出来ず、その都度処理容器を大気圧に解放し、非効率的であるばかりでなく、導入したガスの濃度組成が変化し、均一性が保持出来ないという欠点がある。
【0035】
本発明に用いられるポリエステル支持体のポリエステルは、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有することが好ましい。
【0036】
ポリエステルの主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることが出来る。また、ポリエステルの主要な構成成分のジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることが出来る。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/または2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコール及び/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート(以降PETと略すことがある)やポリエチレン−2,6−ナフタレート(以降PENと略すことがある)、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなるコポリマーポリエステル、あるいはこれらを主要な構成成分とする2種以上の混合ポリエステルが好ましい。このコポリマーポリエステルは、全ポリエステルユニットに対してエチレン−2,6−ナフタレートユニットを70重量%以上含有していると、透明性、機械的強度または寸法安定性等が非常に優れたポリエステル支持体が得られる。ポリエチレンテレフタレートを主構成成分とするポリエステル支持体に比べ、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを主構成成分とするポリエステル支持体の方が機械的強度や耐熱性に優れていることは良く知られており本発明には好ましい。また重合度の異なるPENとPETを製膜時に溶融状態でエステル交換が行われたポリエステル支持体も本発明には好ましく用いられる。
【0037】
本発明のポリエステル支持体の結晶化度は、下記式で定義される。
【0038】
X=100×(ρ−ρa)/(ρc−ρa)
ここで、ρ、ρa及びρcは、
ρ :測定ポリエステル支持体の密度(g/cm3)
ρa:非晶密度(g/cm3)
ρc:結晶密度(g/cm3)
である。例えば、PENのρaは1.325(g/cm3)、PETのρaは1.335(g/cm3)、また、PENのρcは1.407(g/cm3)、PETのρcは1.455(g/cm3)である。
【0039】
本発明のポリエステル支持体の結晶化度は、製膜工程の熱固定温度条件を調整する方法により出来るが、この他、原料の分子量を意図的に調製し、異なる分子量を持つ2種類以上の化合物を併用しても結晶化度は制御出来る。更に分子構造中に調節し意図的に公知の(例えば上記の)官能基や極性基あるいは、分岐構造に変性制御した化合物を導入することでも、結晶化度は制御出来るし、主構成成分の1部を前記のように変性制御した化合物に置き換えても制御出来る。更に、低分子量化合物を添加することでも、分子同士の相互作用を調製することが出来、結晶化度が制御出来る。ポリエステルを構成するジカルボン酸成分とジオール成分を調製しても同様に制御出来る。本発明ではこの方法に限定されるものではなく他の方法も使用することが出来る。
【0040】
今まで高い結晶化度のポリエステル支持体への接着は困難であったが、本発明のガス中放電プラズマ処理により、80%という高い結晶化度にまで接着性を向上させることが出来ることを見出し、80%以下の結晶化度ポリエステル支持体の利用が可能となった。
【0041】
本発明のポリエステル支持体はフィルム状でも、紙基体にポリエステル樹脂が溶融被覆したものも使用出来る。フィルム状のポリエステルの結晶化度については上記の如くであるが、ポリエステル樹脂被覆印画紙に被覆されているポリエステルの結晶化度は紙基体にポリエステル樹脂を溶融被覆するだけで、温度の調節を充分行い、しかも延伸も熱固定も行わないので結晶化はほとんど進まず、結晶化度はほぼ0である。もちろん本発明のガス中放電プラズマ処理を施すことによってポリエステル樹脂被覆印画紙のポリエステル表面についても充分な接着性が得られる。
【0042】
もう一つの本発明は、本発明のガス中放電プラズマ処理をすることによって、厚さ方向の屈折率が1.48〜1.57の範囲のポリエステル支持体にまで接着性向上のための範囲を拡大することが出来る。通常のポリエステル支持体の屈折率の範囲は極狭いものであったが、ガス中放電プラズマ処理により広範囲の屈折率のポリエステル支持体の接着性を向上させることが出来る。なお、屈折率はアッベ屈折計で測定することによって知ることが出来る。
【0043】
厚さ方向の屈折率は、ポリエステル支持体の結晶化度や延伸による面内配向
度によって変化させることが出来る。結晶化度が高いほど、また面内配向度が高いほど、厚さ方向の屈折率は大きくなる。ここで、面内とは、支持体を延伸する方向のことであり、例えば2軸延伸では、1軸延伸時の長手方向(X方向)と2軸延伸時の幅手方向(Y方向)からなる面のことであり、簡単にXY面と表す。また、面内配向度とは、分子構造の配列が前述したXY面内にどのくらい向かっているかを示すものである。厚さ方向とはXY面に垂直な方向(Z方向)のことを指す。従って、厚さ方向の屈折率は、結晶化度や面内配向度によって制御することが可能となる。よって、厚さ方向の屈折率のことなるポリエステル支持体は容易に製造することが出来る。
【0044】
また、本発明のガス中放電プラズマ処理の表面改質効率、生産性あるいは均一性を向上するためには、また処理されたフィルムの品質を良好に維持するためには、処理時のポリエステル支持体の絶対温度のTgの±30%の範囲で制御することが好ましい。Tgの−30%を下回る温度であると表面改質効果が不十分で、また+30%を越える温度であるとポリエステル支持体が変色したり、亀裂によるダメージを受けたり、また平面性も損なわれたりする。
【0045】
本発明に用いられるフィルム状のポリエステル支持体は、機械的強度、寸法安定性、熱的性質などを満足させるために、前記結晶化度、厚さ方向の屈折率を考慮して、延伸工程において、面積比で16倍以下の範囲で延伸を行うことが好ましい。
【0046】
ポリエステル支持体の製膜工程あるいは紙基体ポリエステル樹脂被覆印画紙支持体において、ポリエステルに、必要に応じて、マット剤、帯電防止剤、滑り剤、界面活性剤、安定剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、導電性物質、粘着性付与剤、軟化剤、流動性付与剤、増粘剤、酸化防止剤、白色顔料等を添加してもよい。
【0047】
白色顔料は無機物質のものがよく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等を挙げることが出来る。好ましくは酸化チタンである。酸化チタンにはアナターゼ型をルチル型とがあり、特に好ましくはアナターゼ型である。このような酸化チタンをポリエステル樹脂にと溶融混練して白色ポリエステル樹脂ペレットをつくり、フィルムの場合には溶融押し出し後、通常の2軸延伸、熱固定を行い、白色の不透明のフィルム状ポリエステル支持体を得ることが出来、また、ポリエステル被覆印画紙支持体の場合には、前記ペレットを溶融した後、良質のパルプから作られた紙基体に押し出し密着させることによって得られる。なお、ポリエステル被覆印画紙支持体の場合には裏面にポリエステルあるいはポリエチレン樹脂を被覆して耐水性をもたせることが出来る。
【0048】
本発明に用いられるポリエステル支持体の膜厚は、使用目的に応じて必要な強度を有する様に設定すればよく、カラーネガフィルムやリバーサルフィルム等に代表される撮影用ロール状フィルムに用いられる場合には、20〜125μm、また医用や印刷用フィルムに用いられる場合には、50〜200μmであることが好ましい。また白色ポリエステル支持体の場合には反射ポジ画像を形成する写真用支持体で厚さは50〜300μmが好ましい。ポリエステル樹脂被覆印画紙支持体は紙の厚さの他、樹脂層として20〜200μmが好ましい。
【0049】
本発明に使用されるフィルム状のポリエステル支持体は、支持体の巻き癖をつきにくくするために、ロール状に巻いた支持体を熱処理することが好ましく、ガス中放電プラズマ処理を施す前後どちらで行っても良い。熱処理の温度はポリエステル支持体のTg(絶対温度の)より下の温度で行うのが好ましく巻き癖を低減することが出来る。ガス中放電プラズマ処理前に熱処理を行う場合には、ガス中プラズマ処理時の温度をポリエステル支持体の絶対温度のTgの−30〜±0%の温度範囲にすることが、巻き癖低減効果を保持するするために好ましい。またガス中放電プラズマ処理後に熱処理を行う場合には、ガス中放電プラズマ処理時のポリエステル支持体の温度の制約が少なくなり、表面改質度を高めるためにもTgの±30%の温度範囲にすることが好ましい。
【0050】
本発明のガス中放電プラズマ処理されたポリエステル支持体は表面活性度が高く、処理後巻き取ることによって支持体同士が接触してブロッキングを避けるために、またガス中放電プラズマ処理済み支持体を外部に販売する場合に、親水性ポリマーや疎水性ポリマーのポリマーバインダー層を塗設することが好ましい。ガス中放電プラズマ処理が塗布設備の前に設置されるのが好ましく、下引層を塗布することなく、インラインでハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体を作製することが出来るが、目的によっては、下引層を塗設してもよい。
【0051】
本発明のガス中放電プラズマ処理したポリエステル支持体同士が接触する前に塗布するポリマーバインダー層の疎水性ポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、放射線硬化性ポリマー、熱硬化性ポリマー、その他の反応性ポリマーなどを挙げることが出来る。熱可塑性ポリマーとしては、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニルポリマー、酢酸ビニルービニルアルコールコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコールターポリマー体等のビニル系ポリマーあるいはコポリマー、セルロースナイトレート、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース誘導体、、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレンターポリマー、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンターポリマー、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリエステルポリウレタンコポリマー、ポリエーテルポリウレタンコポリマー、ポリカーボネートポリウレタンコポリマー、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、スチレンーブタジエンコポリマー、ブタジエンーアクリロニトリルコポリマーやシリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー等を挙げることが出来る。これらは単独または2種類以上併用して使用することが出来る。
【0052】
放射線硬化ポリマーとしては、電子線、紫外線などの放射線によって硬化するポリマーで、アクリル型、無水マレイン酸型、ウレタンアクリル型、エーテルアクリル型、エポキシアクリル型、エポキシ型等を挙げることが出来る。
【0053】
また熱硬化性ポリマー、その他の反応性ポリマーとしては、フェノールポリマー、アミノポリマー、エポキシポリマー、ポリウレタン系硬化型ポリマー、イソシアネート系硬化型ポリマー、メラミンポリマー、尿素ポリマー、アルキッドポリマー、シリコーン系硬化型ポリマー、オキサゾリン系硬化型ポリマーなどが挙げられる。これら単独または2種類以上併用して使用することが出来る。
【0054】
本発明のガス中放電プラズマ処理したポリエステル支持体同士が接触する前に塗布するポリマーバインダー層の親水性ポリマーとしては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以降RDと略す)No.17643(No.を略す)、26頁、およびRD18716、651頁に記載されている水溶性ポリマーやラテックスポリマーを挙げることが出来る。
【0055】
水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉等の天然加工物、ポリビニールアルコール、アクリル酸系コポリマー、無水マレイン酸コポリマー等付加重合ポリマー類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースエーテル類、金属スルホ置換ジカルボン酸を含むジカルボン酸とエチレングリコールのようなジオールとの水溶性ポリエステル類等を挙げることが出来る。これら水溶性ポリマーの中で、ゼラチンが最も好ましい。ゼラチンは、無変性のものであっても、変性されたものであってもよい。また、その一部をコロイド状アルブミン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、寒天、アルギン酸ソーダ、デンプン誘導体、デキストランなどの糖誘導体、合成親水性コロイド、例えば、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、アクリル酸系コポリマー体、ポリアクリルアミドまたはこれらの誘導体、部分加水分解物、ゼラチン誘導体などで置き換えたものでもよい。
【0056】
ラテックスポリマーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、酢酸ビニル、ブタジエン、スチレンまたはスチレン誘導体等のモノマーを適宜組み合わせて乳化重合したラテックスポリマーが挙げられる。
【0057】
上記列挙の親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーは、その分子中に極性基を有していてもよい。極性基としては、エポキシ基、−COOM、−OH、−NR2、−NR3X、−SO3M、−OSO3M、−PO3M3、−OPO3M(Mは各々、水素原子、アルカリ金属又はアンモニウムを、Xはアミン塩を形成する酸を、Rは各々、水素原子、アルキル基を表す)等が挙げられ、これにより該ポリマーバインダー層内の架橋を促進したり、種々の添加剤の混合状態を安定化したり、また上の層とのアフィニティーを増したりすることが出来る。
【0058】
本発明に使用する塗布液のポリマーは、硬膜剤により硬膜(架橋)をしてもよく、特にゼラチンを含む親水性ポリマーは架橋し易く、硬膜するのが好ましい。
【0059】
硬膜剤としては、アルデヒド系化合物類、ケトン化合物類、反応性ハロゲンを有する化合物類、反応性オレフィンを持つ化合物類、N−メチロール化合物、イソシアネート化合物類、アジリジン化合物類、酸誘導体類、エポキシ化合物類、ムコハロ酸類、メラミン化合物類、金属アルコキシ化合物類、クロム明礬、硫酸ジルコニウム、カルボキシル基活性型硬膜剤等を挙げることができる。
【0060】
使用出来る硬膜剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物類、ジアセチル、シクロペンタンジオンの如きケトン化合物類、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号、同2,732,303号、英国特許第974,723号、同1,167,207号明細書等に記載されている反応性のハロゲンを有する化合物類、ジビニルスルホン、5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,635,718号、同3,232,763号、英国特許第994,869号明細書等に記載されている反応性のオレフィンを持つ化合物類、N−ヒドロキシメチルフタルイミド、米国特許第2,732,316号、同2,586,168号明細書等に記載されているN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書に記載されているイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号明細書等に記載されているアジリジン化合物類、米国特許第2,725,294号、同2,725,295号明細書等に記載されている酸誘導体類、米国特許第3,091,537号明細書に記載されているエポキシ化合物類、ムコクロル酸のようなハロゲンカルボキシアルデヒド類を挙げることができる。また、無機系硬膜剤を使用することもでき、無機系硬膜剤としては、クロム明バン、硫酸ジルコニウムなどが挙げられ、特公昭56−12853号、同58−50699号、特開昭52−54427号、同58−32699号、特開昭60−225148号、同51−126125号、同52−54427号公報、ベルギー特許第825,726号、米国特許3,321,313号明細書等に記載されているカルボキシル基活性型硬膜剤なども挙げることが出来る。
【0061】
また、疎水性ポリマーに対する架橋剤としては、イソシアネート化合物が代表的であり、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びこれらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルの反応生成物)、更にこれらのイソシアネートの縮合により生成したポリイソシアネートなどを挙げることが出来る。
【0062】
硬膜剤はポリマーバインダー層を強靭にしたり、水性の現像処理などに対し不溶化させたり、隣接層との接着性を高めたりして、現像処理後の接着性を向上させる役割を果たす。硬膜剤(架橋剤)は2種類以上併用して使用してもよい。硬膜剤は、通常ポリマーに対して0.01〜30重量%用いられる。また硬膜剤を反応させるために、熱処理、放射線処理、その他の反応性処理を行ってもよい。
【0063】
本発明のガス中放電プラズマ処理を行った後に塗設されるポリマーバインダー層のうち少なくとも1層が帯電防止層であることが好ましく、次の工程での塵埃の付着を妨げ、良好な品質の製品を仕上げるためにも、重要なポリマーバインダー層である。帯電防止剤としては、公知のイオン伝導性帯電防止剤、電子伝導性帯電防止剤なら無機化合物、有機化合物を問わず制限なく使用できる。但し、何れの帯電防止剤を使用して磁気記録媒体やハロゲン化銀写真感光材料の帯電防止層として適用する場合には、赤色スペクトル領域、緑色スペクトル領域、青色スペクトル領域、その他のスペクトル領域、つまりハロゲン化銀写真感光材料が感光する光波長(スペクトル)領域全てにおいて光透過率が高いものでなければならない。
【0064】
本発明に使用できる帯電防止剤としては、特公昭47−28937号及び同49−23828号公報記載のスチレン〜マレイン酸ナトリウムコポリマー、特開昭53−82876号公報記載のビニルベンジルスルホン酸ナトリウムコポリマー、特公昭48−23451号公報記載のスチレンスルホン酸ナトリウムのホモポリマーあるいはコポリマー等のアニオン系帯電防止剤、特開昭51−42535号、同54−159222号、同55−7763号公報等に記載のアイオネン重合物(例えば、トリエチレンジアミンとキシリデンジクロライドとの重合物)、米国特許第2,882,157号明細書記載の例えば、ポリメタクロイルエチルジエチルメチルアンモニウムメチルスルホネート、特公昭60−51693号、特開昭61−223736号及び同62−9346号公報記載の第4級アンモニウム基を側鎖に持つ架橋型コポリマー体粒子(例えば、コポリマー〔N,N,N−トリメチル−N−ビニルベンジルアンモニウムクロライド−コ−ジビニルベンゼン〕)、特開平7−28194号公報記載のアイオネン重合体架橋型あるいはアイオネン重合体を側鎖に持つコポリマー粒子等のカチオン帯電防止剤(例えば、ポリビニルベンジルクロライドと末端N−(トリエチレンジアミンとキシリデンジクロライドとの重合物)との架橋反応物)、特公昭57−12979号公報に記載のアルミナゾルを主成分とするもの、特開昭57−104931号公報記載のZnO、SnO2、TiO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、ZiO2等の微粒子金属酸化物あるいは結晶性金属酸化物、特公昭55−5982号公報記載のV2O5等の金属酸化物帯電防止剤、特公昭52−32572号公報記載の高級脂肪アルコールリン酸エステル帯電防止剤、特開平2−252726号公報記載のポリ(イソチアナフテン)系、特開平2−255770号及び同2−308246号公報記載のポリ(チオフェン)系等の共役二重結合導電性高分子等を挙げることが出来る。本発明においては、導電性が優れていること、また現像液のような水性の処理液中を通した後でも、導電性を失わない金属酸化物系の導電性帯電防止剤が好ましく用いられる。
【0065】
本発明のガス中放電プラズマ処理を行った後に塗設されるポリマーバインダー層の少なくとも1層にマット剤を添加することによって、面同士の接触による接着性防止、搬送性や巻き取り易さ等が向上するので好ましい。
【0066】
マット剤としては特開平4−124644号公報記載のマット剤が一般的に用いられる。好ましくは、シクロヘキサノン、メチエチルケトン、アセトンなどのケトン類やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類で溶解しない無機物マット剤、架橋性の有機物マット剤が好ましい。又、その粒径は0.5〜3μmが好ましい。
【0067】
本発明のガス中放電プラズマ処理を行った後に塗設される少なくとも1層のポリマーバインダー層が磁気記録層を有する磁気記録媒体であってもよい。磁気記録媒体は磁気記録層や研磨剤層、帯電防止層、滑り剤層、などから構成されている。磁気記録層は主にバインダーと磁性粉からなっている。
【0068】
本発明に係わる磁気記録媒体に使用する磁性粉としては、金属磁性粉、酸化鉄磁性粉、Coドープ酸化鉄磁性粉、二酸化クロム磁性粉、バリウムフェライト磁性粉等を挙げることが出来る。これらの磁性粉の製法は既に知らており、本発明に係わる磁気記録媒体の磁性粉についても公知の方法に従って製造することが出来る。磁性粉の形状・サイズは、特に制限なく用いることができる。形状としては、針状、米粒状、球状、立法体状、板状等何れの形状を有するものであってもよいが、針状、板状であることが電磁変換特性上好ましい。結晶サイズ、比表面積とも共に特に制限はない。これらの磁性粉をハロゲン化銀写真感光材料に使用するる場合には、前記帯電防止層の場合と同様に、ハロゲン化銀写真感光材料が感光する光波長(スペクトル)領域全てにおいて光透過率が高いものでなければならない。光波長領域全てにおいて光透過率も高くするためには、磁性粉粒子サイズを小さくすると共に、磁性粉塗布量も制限される。磁性粉を形成する磁性体粒子は、ある限度以上に粒径を小さくすると必要な磁気特性が得られなくなる。従って、磁性体粒子の粒径は必要な磁気特性が得られる範囲で小さくすることが好ましい。また、磁性体粒子の塗布量も、ある限度以上に少なくすると必要な磁気特性が得られなくなるので、必要な磁気特性が得られる範囲で少なくすることが好ましい。実用的には、磁性粉の塗布量は0.001〜3g/m2であり、より好ましくは0.01〜1g/m2であり、特に好ましくは0.01〜0.2g/m2である。磁性粉のpHも、特に制限ないが、5〜10の範囲にあるのが好ましい。金属磁性粉としては、例えば、金属分が75重量%以上であり、金属分の80重量%以上が強磁性金属あるいは合金(Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Fe−Niなど)であり、20重量%以下で他の成分(Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、B、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、P、La、Ce、Pr、Nd、Te、Bi等)を含むものを挙げることが出来る。また、強磁性金属分が少量の水酸化物、または酸化物を含むものであってもよい。酸化鉄磁性体及びCoドープ酸化鉄磁性体の酸化鉄としては、例えば、γ−酸化鉄が挙げられる。これら酸化鉄中において2価の鉄/3価の鉄の比は特に制限されない。磁性粉を金属アルコキシ化合物及び/またはカルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、ホスホン酸、リン酸エステル、ベンゾトリアゾールなどの含チッ素複素環をもつ吸着性化合物等のような有機化合物で被覆処理しても良い。金属アルコキシ化合物としては、特願平9−294013号記載のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤を挙げることが出来る。また被覆処理方法には、直接処理法とインテグラルブレンド法があり、直接処理法としては乾式法、スラリー法あるいはスプレー法等があり、これらの方法で行うことが出来る。また上記物質を単独または混合して使用してもよい。
【0069】
上記物質を磁性粉と混合するには、ポリマーと共に溶媒と混合分散するのがよく、ボールミル、ホモミキサー、サンドミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レディミキサー、V型ブレンダー、オープンニーダー、加圧ニーダー、ディゾルバー、超音波ミキサー等の分散機を用いて混合分散するのがよい。各種塗布方法の塗布適性に応じた粘度の塗布液に加工するのがよい。この際、溶媒は必要に応じて2種類以上併用してもよい。溶媒としては、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、i−ブチルアルコール、i−プロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−i−プロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール、モノエチルエーテル等のエステル系;エーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン、イオン交換水、純水、蒸留水、水などを使用することが出来る。
【0070】
本発明に係わる磁気記録層塗布液をポリエステル支持体上に塗布する方法としては、特願平9−294013号[0091]欄に記載の方法を用いて塗布することが出来、その他、エアードクターコーティング、ブレードコーティング、エアーナイフコーティング、スクイズコーティング、含侵コーティング、リバースロールコーティング、トランスファーロールコーティング、グラビアコーティング、キャストコーティング、スプレイコーティング等の方法で行うことが出来る。多条のストライプ塗布を行うには、これらの塗布ヘッドを多連にすればよい。ストライプ塗布の具体的な方法としては、例えば、特開昭48−25503号、同48−25504号、同48−98803号、同50−138037号、同52−15533号、同51−3208号、同51−6239号、同51−65606号、同51−140703号及び特公昭29−4221号公報、また米国特許第3,062,181号及び同3,227,165号明細書等の記載を参考にすることが出来る。また塗布液とポリエステル支持体形成用のポリエステル樹脂の溶液と共流延してポリエステル支持体を作製してもよい。
【0071】
本発明の好ましい磁気記録層を有する磁気記録媒体の態様としては、ガス中放電プラズマ処理した支持体の上に導電性帯電防止層を塗設した上に磁気記録層を設けるのが好ましい。
【0072】
磁気記録層には、研磨剤を添加するのが好ましい。研磨剤としては、モース硬度が5以上、好ましくは6以上の無機粉末が挙げられ、具体的には、酸化アルミニウム(α−アルミナ、γ−アルミナ、コランダムなど)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化鉄(α−Fe2O3)、二酸化珪素、二酸化チタンなどの酸化物、炭化珪素、炭化チタンなどの炭化物、ダイアモンドなどの微粉末を挙げることが出来る。これら研磨剤の平均粒径は0.001〜1.2μmが好ましく、粒径分布や種類の異なる研磨剤を併用してもよい。研磨剤の塗布量は0.001〜1g/m2が好ましく、より好ましくは、0.003〜0.5g/m2である。
【0073】
本発明のガス中放電プラズマ処理を行った後に塗設されるポリマーバインダー層の少なくとも1層が滑り剤を含有する層である場合、または磁気記録層や帯電防止層の上に滑り層を設けた場合、ポリエステル支持体、ハロゲン化銀写真感光材料、磁気記録媒体の擦り傷を軽減することが出来る。滑り剤としては、ポリシロキサン等のシリコンオイル、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック微粉末、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、フルオロカーボン類が挙げられる。例えばカルナウバワックスは優れた滑り性を実現出来るので好ましい。これらは、混合して用いてもよい。
【0074】
また、ポリマーバインダー層のうち少なくとも1層が界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、アルキレンオキサイド系、グリセリン系及びグリシドール系等のノニオン系界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環化合物の塩類、ホスホニウム又はスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤;カルボキシル基、燐酸基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニオン系界面活性剤;アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類等の両性界面活性剤等を挙げることが出来る。
【0075】
本発明のガス中放電プラズマ処理されたポリエステル支持体に、または該ポリエステル支持体の上に磁気記録層を塗設した磁気記録媒体に、ハロゲン化銀乳剤層を設けてハロゲン化銀写真感光材料としてもよい。ハロゲン化銀写真感光材料としては、白黒撮影用ハロゲン化銀写真感光材料、カラーネガまたはリバーサル撮影用ハロゲン化銀乳剤層、カラーペーパー用ハロゲン化銀写真感光材料、映画用ハロゲン化銀写真感光材料、医療用ハロゲン化銀写真感光材料、印刷用ハロゲン化銀写真感光材料、マイクロ写真用ハロゲン化銀写真感光材料等が挙げられる。
【0076】
次に本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料について述べる。
【0077】
本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以降「RD」と、またNo.を略記する)17643、22〜23頁(1978年12月)“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”及びRD18716、648頁、グラフキデ著『写真の物理と化学』ポールモンテル社刊(P.Glafkides、Chemic et Phisique Photographique、Paul Montel、1967)、ダフィン著『写真乳剤化学』フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin、Photographic Emulsion Chemistry、Focal Press 1966)、ゼリクマンら著『写真乳剤製造と塗布』フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al、Making and Coating Photographic Emulsion、Focal Press、1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0078】
乳剤は米国特許第3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許第1,413,748号明細書に記載された単分散乳剤も好ましい。
【0079】
ハロゲン化銀乳剤には、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことが出来る。このような工程で使用される添加剤は、RD17643,同18716及び同308119に記載されている。
【0080】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料がハロゲン化銀カラー写真感光材料である場合、使用することができる写真用添加剤も上記RDに記載されている。また、種々のカプラーを使用することができ、その具体例もRD17643及びRD308119に記載されている。
【0081】
また、これら添加剤は、RD308119、1007頁、XIV項に記載されている分散法などにより、写真感光層に添加することができる。
【0082】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述のRD308119、II−K項に記載されているフィルター層や中間層などの補助層を設けることができる。
【0083】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料を構成する場合、前述のRD308119VII−K項に記載されている順層,逆層,ユニット構成などの様々な層構成をとることが出来る。
【0084】
この発明のハロゲン化銀写真感光材料を現像処理するには、例えばT.H.ジェームズ著、セオリイ・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス第4版(The Theory of The Photographic ProcessFourth Edition)291〜334頁、及びジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journal of the American Chemical Society)第73巻、3,100頁(1951)に記載されている、それ自体公知の現像剤を使用することができる。また、カラー写真感光材料は前述のRD17643、28〜29頁、RD18716、615頁及びRD308119、XIXに記載された通常の方法によって、現像処理することができる。
【0085】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限るものではない。
【0086】
[接着性の評価]
各試料を23℃、55%RHの環境下で12時間放置する。その後、同じ環境下で以下の手順で接着性を評価する。
【0087】
図2は接着性を評価するための試料の概念的断面図である。支持体11の上の塗布層12を有する試料にカミソリの切れ目13を支持体面に対して45゜の角度で深さ方向に支持体の厚さの約5%程度に切れ目の深さ14に入れ、市販の25.4mm幅、100mm長さのセロファンテープ15を切れ目の上に約50mmの長さで貼り、約5kg/cm2以上の圧力で、先が丸く堅い物体で擦り圧着してセロファンテープ接着部16を作り、引き剥がすために浮かせてあるセロファンテープの部分17を手で持って45゜の切れ目と反対の方向(支持体面と平行に)に強く早く引っ張って剥がす。この時のセロファンテープ接着部の面積に対する剥離された面積の割合を接着レベルとして下記の5段階に設定し、評価する。現像処理後の接着性は下記現像処理を行った後に、同様に評価した。
【0088】
A:全く剥離がない
B:剥離面積が5%未満
C:剥離面積が5%以上10%未満
D:剥離面積が10%以上50%未満
E:剥離面積が50%以上。
【0089】
(現像処理)
<現像処理>
1. カラー現像 ・・・・ 3分15秒 38.0±0.1℃
2. 漂 白 ・・・・ 6分30秒 38.0±3.0℃
3. 水 洗 ・・・・ 3分15秒 24〜41℃
4. 定 着 ・・・・ 6分30秒 38.0±3.0℃
5. 水 洗 ・・・・ 3分15秒 24〜41℃
6. 安 定 ・・・・ 3分15秒 38.0±3.0℃
7. 乾 燥 ・・・・ 50℃以下
各工程に用いる処理液組成を以下に示す。
【0090】
<発色現像液>
<漂白液>
エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム塩 100.0g
エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10.0g
臭化アンモニウム 150.0g
氷酢酸 10.0g
水を加えて1リットルとし、アンモニア水を用いてpH6.0に調整する。
【0091】
<定着液>
チオ硫酸アンモニウム 175.0g
無水亜硫酸ナトリウム 8.5g
メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g
水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH6.0に調整する。
【0092】
<安定液>
ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml
コニダックス(コニカ株式会社製) 7.5ml
水を加えて1リットルとする。
【0093】
[磁気ヘッド目詰まり出力評価]
作製した磁気記録媒体を2.54cm幅、長さ50mに裁断し、磁気記録装置に入れ6kHzの方形波信号を100mm/秒の搬送速度で記録した。次に磁気読みとりヘッドで、方形波信号を同一速度で読みとり、その時の出力を初期値と比較した。
【0094】
実施例1
<ポリエステル支持体の作製>
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水和物0.1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05重量部、リン酸トリメチルエステル0.03重量部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧にし、290℃、0.05mmHgの条件で重合を行ない固有粘度0.60のPEN樹脂を得た。
【0095】
これを、150℃で8時間真空乾燥した後、300℃でTダイから溶融押出し、50℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、シート状に冷却固化させ、未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、135℃で縦方向に3.3倍延伸した。
【0096】
得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン145℃で総横延伸倍率の50%延伸し、更に第二延伸ゾーン155℃で総横延伸倍率3.3倍となるように延伸した。次いで、100℃で2秒間熱処理し、更に第一熱固定ゾーン200℃で5秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン240℃で15秒間熱固定した。次いで、横方向に5%弛緩処理しながら室温まで30秒かけて徐冷して、厚さ85μmの支持体aを得た。
【0097】
支持体aの縦方向延伸倍率、横方向総延伸倍率及び第一熱固定ゾーン、第二熱固定ゾーンのポリエステル支持体の作製条件を表1に記載したように変えた以外は支持体aと全く同様にして支持体b〜hを、また表1の条件でPETを作製し支持体iを得た。
【0098】
また、特開平5−204091号公報の実施例2と同様にPET樹脂被覆印画紙支持体jを作製した。すなわち、厚さ180μmの紙基体上に、酸化チタン(アナターゼ型)10重量部、PET重量90部を混練機で作製した白色ペレットを300℃で溶融押し出しして厚さ25μmの白色PET層を設け、他の面にPETを厚さ30μmになるように押し出して裏面PET層を設けてPET樹脂被覆印画紙支持体jとした。
【0099】
これらの支持体の物理的性質を表1に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
<ガス中放電プラズマ処理>
図1に示したようなガス中放電プラズマ処理装置を用いて表2に示す条件で、支持体a〜jを2秒間処理した。この処理された支持体の試料番号を処理支持体a−1〜j−1とした。
【0102】
【表2】
【0103】
処理支持体の平面性やピンホールを観察し、表3に結果を示した。
【0104】
<ポリマーバインダー層の塗設>
処理されたポリエステル支持体を巻き取る前に、乾燥膜厚0.2μmとなるように下記ポリマーバインダー層塗布液を、表3に示すような処理支持体a−1〜a−12とb−1〜j−1の各両面に塗布し、乾燥後、ステンレス製の直径20cmの巻芯に巻き付け、110℃で48時間熱処理を行い、表3に示す塗布支持体a−1−1〜a−12−2及びb−1−1〜j−1−1を作製した。
【0105】
【0106】
【化1】
【0107】
【化2】
【0108】
【化3】
【0109】
上記各処理支持体の平面性や欠陥を観察し、また塗布支持体のポリマーバインダー層との現像処理前後の接着性を調べた。結果を表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
(結果)
ガス中放電プラズマ処理部に導入する不活性ガスにヘリウムを100圧力%あるいはヘリウム45圧力%とアルゴン55圧力%使用した処理支持体a−2と3、また、処理強度が40W・min/m2の処理支持体a−6を使用したa−6−1は接着性は非常に悪かった。また放電強度が強過ぎる処理支持体a−7はピンホールが多発し、処理時の支持体の温度が高い処理支持体a−9は平面性が劣化した。更に、支持体の結晶化度が高過ぎる支持体f−1の塗布支持体f−1−1は接着性が非常に悪いことがわかった。本発明の処理を行った支持体を使用した処理支持体及び塗布支持体は何れも良好な結果を得た。
【0112】
実施例2
実施例1の処理支持体a−1及び塗布支持体a−1−1に、乾燥膜厚1.2μmとなるように塗布し、下記磁気記録層塗布液(m−1)を塗設し、更にその上に滑り層塗布液(o−1)をカルナウバワックスが10mg/m2となるように塗布し、その後60℃、5日間加熱処理を行い磁気記録媒体を得、またその反対面側にコニカカラーLX400と同じハロゲン化銀写真感光材料構成層を塗布し、ハロゲン化銀乳剤層を有する磁気記録媒体(M−1)を作製した。同様に表4の塗布支持体に磁気記録層とハロゲン化銀写真感光材料構成層を塗設しM−2〜7を作製した。
【0113】
なお、磁気記録層塗布液を構成する研磨剤、マット剤、磁性粉は、それぞれの塗布液の一部の溶媒やポリマーを用いて、予め一次粒子に分散してからその他の組成物と混合分散し、塗布液を作製した。
【0114】
以上の試料に付き、磁気記録層の接着性、磁気ヘッドの目詰まり出力を試験評価し、磁気記録層塗布液の塗布性を観察した。これらの結果を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
(評価結果)
結晶化度が高過ぎる磁気記録媒体M−5、導入不活性ガスを100圧力%のヘリウムとした磁気記録媒体M−6、また放電強度が40W・min/m2の磁気記録媒体M−7は何れも接着性は非常に悪く、磁気ヘッドの目詰まり出力も80%台と低かった。これに対して磁気記録媒体M−1〜4は接着性に優れ、目詰まり出力も高かった。しかし、M−1、2、5及び6は静電気によるゴミも吸引があったと思われ、若干の塗布異常のハジキ(クレーター)が若干見られた。
【0117】
【発明の効果】
ポリエステル支持体の結晶化度を80%以下とし、ガス中放電プラズマ処理を500〜800Torrという大気圧またはその近傍の気圧下で、処理部に導入する不活性ガスをアルゴン50圧力%以上とし、ガス中放電プラズマ処理強度を50W・min/m2以上500W・min/m2未満とすることにより、大気圧またはその近傍の気圧下で処理が出来、設備的にコストが安価で、優れた表面処理効果が得られ、接着性、磁気ヘッドの目詰まり出力が良好なポリエステル支持体の下引なしの表面処理方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス中放電プラズマ処理装置の概略断面図
【図2】接着性を評価するための試料の概念的断面図
【符号の説明】
1 プラスティック支持体
2 第2電極
3 第1電極
4 処理ガス
5 ガス導入口
6 ガイドロール
11 プラスティック支持体
12 塗布層
13 カミソリの切れ目
14 切れ目の深さ
15 セロファンテープ
16 セロファンテープ接着部
17 引き剥がすために浮かせてあるセロファンテープの部分
Claims (11)
- 結晶化度80%以下のポリエステル支持体を連続搬送しつつ、支持体の少なくとも1面を、500〜800Torrの気圧下でガス中放電プラズマ処理する際、導入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとし、且つ50W・min/m2以上500W・min/m2未満で処理を施すことを特徴とするポリエステル支持体の表面処理方法。
- 処理されるポリエステル支持体の厚さ方向の屈折率が、1.48〜1.57の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
- 処理中の支持体の温度が該支持体のガラス転移点(絶対温度のTg)の±30%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
- 処理した後巻き取るまでの間に、処理された面にポリマーバインダー層を少なくとも1層設けることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
- ポリマーバインダー層の少なくとも1層が硬膜剤を含有することを特徴とする請求項4に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
- ポリマーバインダーが官能基を有していることを特徴とする請求項4または5に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
- ポリマーバインダー層の少なくとも1層が帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のポリエステル支持体の表面処理方法。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の表面処理を施したことを特徴とするポリエステル支持体。
- 請求項8に記載のポリエステル支持体に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する事を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 請求項8に記載のポリエステル支持体の片面に磁気記録層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
- 磁気記録層と反対側面に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有することを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
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