JPH11268115A - ポリエステルフィルム、磁気記録媒体及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ポリエステルフィルム、磁気記録媒体及びハロゲン化銀写真感光材料

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JPH11268115A
JPH11268115A JP7576098A JP7576098A JPH11268115A JP H11268115 A JPH11268115 A JP H11268115A JP 7576098 A JP7576098 A JP 7576098A JP 7576098 A JP7576098 A JP 7576098A JP H11268115 A JPH11268115 A JP H11268115A
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JP
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magnetic recording
film
polyester film
deformation
recording layer
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JP7576098A
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Makoto Honda
本田  誠
Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
Hidetoshi Ezure
秀敏 江連
Toshiaki Shibue
俊明 渋江
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐擦り傷性が優れたポリエステルフィルム、
及びその上に設けられた磁気記録層が耐擦り傷性を有
し、入出力が誤りなく出来そして信頼性の高い、ハロゲ
ン化銀乳剤層や磁気記録媒体を有するハロゲン化銀写真
感光材料を提供する。 【解決手段】 表面に押し込み変形が与えられた時の全
変形量のうちの弾性変形量の割合を60%以上として製
膜されたことを特徴とするポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルフィル
ム及び磁気記録媒体に関する。特にハロゲン化銀写真感
光材料のポリエステルフィルム支持体、ポリエステルフ
ィルム支持体を有する磁気記録媒体、及び磁気記録媒体
を有するハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルム、特にポリエチレ
ンテレフタレート(以降略してPETとすることがあ
る)やポリエチレンナフタレート(同様にPENとする
ことがある)は優れた機械的性質、寸法安定性、光学的
性質等を持っていることから、ハロゲン化銀写真感光材
料や磁気記録媒体の支持体として使用されている。ハロ
ゲン化銀写真感光材料、また磁気記録媒体を有するハロ
ゲン化銀写真感光材料も、塗布、加工、処理、プリン
ト、再生等において高速で走行させて取り扱うことが多
くなってきた。それに伴いポリエステルフィルムあるい
はその加工品の表面に傷が付き易くなって来た。
【0003】特に、磁気記録媒体では、磁気ヘッドに通
して、高速に入力と出力をするために、磁気記録媒体と
磁気ヘッドとが常に最適な状態にある必要がある。しか
しながら、磁気記録媒体を構成しているポリマーバイン
ダー中の酸化鉄と磁気ヘッドとが高速で接触して磁気記
録媒体表面に擦り傷が付き易く、磁気記録層が支持体か
ら剥離したりすることがある。また、上記ポリエステル
フィルムは巻癖が付き易く、巻癖の強い磁気記録媒体を
ヘッドに密着走行させるには、ヘッドのバックロールの
押さえる荷重を大きくしなければならず、更に磁気記録
媒体表面が傷つき易くなる。
【0004】磁気記録媒体に擦り傷のような損傷がある
と、出力において誤った信号を伝達することになり、磁
気記録媒体から情報を得る分野では重大な問題となる。
【0005】最近、ハロゲン化銀写真感光材料に磁気記
録媒体を設けて、撮影などの情報をプリント時に呼び出
すようにした新しいシステムが市場で用いられるように
なり、撮影条件を正確に再生し、プリント品質を高める
ことがなされている。このようなシステムにおいて磁気
記録媒体の損傷は致命的であり、上記と合わせてこれら
の問題を解決することが求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの課題につい
て、ポリエステルフィルムについては、ポリエステルフ
ィルムの転移点以下の温度で熱処理(アニール)するこ
とによって、巻き癖を付きにくくしたり、また磁気記録
層に付く傷については、磁気記録層の最表面を滑り易く
する技術等により課題の解決をしようとしていたが、こ
れらの技術で全てが解決された訳でもなく、更なる改良
が求められている。
【0007】本発明は、上記のような従来のポリエステ
ルフィルム及びその上に塗設された磁気記録層は擦り傷
が付き易いという課題に対してなされたものである。特
に、そのようなポリエステルフィルムの上に磁気記録層
のある磁気記録媒体の傷の付き易さを改良し、磁気記録
媒体の信号の入出力の信頼性を高めることが課題であ
る。
【0008】従って、本発明の目的は、耐擦り傷性が優
れたポリエステルフィルム、及びその上に設けられた磁
気記録層が耐擦り傷性を有し、入出力が誤りなく出来そ
して信頼性の高い、ハロゲン化銀乳剤層や磁気記録媒体
を有するハロゲン化銀写真感光材料を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁気記録
媒体の入出力を安定にし、信頼性を確保するために、磁
気記録層を改善するという手段ではなく、ポリエステル
フィルム自身の改質を目的として、物理的、機械的性質
の優れたポリエステルフィルムにすることによって、そ
の上に設けられた磁気記録層の同性質をも向上させるこ
とが出来ることを見いだし、本発明を達成した。すなわ
ち、本発明者らは、微小硬度計を用いることによって、
今まで観察し得なかった微小変形量が測定できるように
なり、与える押し込み微小変形量と擦り傷との関係を検
討した結果、下記のような製法あるいは処理方法で、本
発明の微小硬度計で測定した粘弾性的性質と擦り傷の付
きにくい性質との関係を知り得ることが出来、本発明に
至った。
【0010】下記の構成により本発明を達成した。
【0011】(1)表面に押し込み変形が与えられた時
の全変形量のうちの弾性変形量の割合が60%以上とし
て製膜されたことを特徴とするポリエステルフィルム。
【0012】(2)該全変形量が、負荷荷重500mg
かつ負荷速度0.5gf/secで加重したとき1.0
μm以下として製膜されたことを特徴とする(1)に記
載のポリエステルフィルム。
【0013】(3)製膜工程の溶融押し出し工程の後、
熱固定工程の前に、水蒸気噴霧処理をして製膜されたこ
とを特徴とする(1)または(2)に記載のポリエステ
ルフィルム。
【0014】(4)2軸延伸工程で、縦及び横方向いず
れの延伸倍率も3.0〜5.5倍として製膜されたこと
を特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の
ポリエステルフィルム。
【0015】(5)ポリエステルがポリエチレン−2,
6−ナフタレートであることを特徴とする(1)乃至
(5)のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【0016】(6)(1)乃至(5)のいずれか1項に
記載のポリエステルフィルムの上に磁気記録層を設けた
ことを特徴とする磁気記録媒体。
【0017】(7)前記磁気記録層の表面に押し込み変
形が与えられた時の全変形量のうち弾性変形量の割合が
60%以上であることを特徴とする(6)に記載の磁気
記録媒体。
【0018】(8)前記磁気記録層の表面に押し込み変
形が与えられた時の全変形量が、負荷荷重500mg及
び負荷速度0.5gf/secで負荷をかけた時、1.
2μm以下であることを特徴とする(6)または(7)
に記載の磁気記録媒体。
【0019】(9)前記磁気記録層が、溶融ポリエステ
ルを冷却ドラム上に押し出して製膜されたポリエステル
フィルムの該ドラム側の面に、設けられたことを特徴と
する(6)乃至(8)のいずれか1項に記載の磁気記録
媒体。
【0020】(10)前記磁気記録層が、ポリエステル
フィルムの、グロー放電処理が施された面に、設けられ
たことを特徴とする(6)乃至(9)のいずれか1項に
記載の磁気記録媒体。
【0021】(11)(6)乃至(10)のいずれか1
項に記載の磁気記録媒体のポリエステルフィルム上の磁
気記録層を有する側の面と反対の側の面に多層のハロゲ
ン化銀乳剤層及び非感光層を有することを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0022】本発明を詳述する。
【0023】まず、本発明の押し込み変形量について説
明する。
【0024】本発明に規定される押し込み変形量の数値
は、(株)アカシ製の微小硬度計MZT−3を用い、2
8℃、30%RHという条件で測定し、図1のような
「変形量(深さ)〜時間曲線」グラフから求めたもの
で、これを本発明の数値として用いた。
【0025】図中; 横軸:時間軸(t) 縦軸:変形量(押し込み深さ)(h) t1〜t0:徐々に荷重をある定速度(荷重速度)で増加
させる時間 h1〜h0:ある定速度で徐々に荷重が増加して膜が変形
した変形量 A:荷重の増加をやめた点(t1,h1)で定荷重に切り
替えた点 t1:増加荷重を定荷重に切り替えた時刻 h1:増加荷重を定荷重に切り替えた時の変形量 B:脱荷重をした点(t2,h2) t2:定荷重を脱重に切り替えた時刻 h2:定荷重を脱重に切り替えた時の変形量 t2〜t1:一定荷重のままにした時間(保持時間) h2〜h1:一定荷重のままにしてさらに増加していく変
形量 C:減少した変形量がほぼ一定になる点(t3,h3) t3:脱重して変化量がほぼ一定になり計測を終了した
時刻 h3:脱重してほぼ一定となった変化量 t3〜t2:脱重したままの時間 h3〜h2:脱重して減少して行く変化量 t3〜t0:荷重がかかっている時間(荷重除去時間)。
【0026】本発明の実際の測定に用いる荷重条件; 圧子種類:Vickers 基準荷重:試験に用いる荷重の2% 荷重速度:0.5gf/sec 保持時間(t2〜t1):3秒 荷重除去時間(t3〜t2):3秒。
【0027】上記の事項につき粘弾性的な意味について
述べる。
【0028】A(t1,h1)は定速度で増加してある荷
重に達した時の押し込みを与えた変形量を表し、それは
塑性変形量分と弾性変形量分との和である。
【0029】B(t2,h2)はAから加重の増加を止め
てそのまま保持した時(一定荷重を3秒間保持した時
間)の押し込みを与えた全変形量を表し、更にクリープ
変形量分だけ変形量が増し、塑性変形量分+弾性変形量
分+クリープ変形量分の和である。
【0030】C(t3,h3)はBから脱重してほぼ一定
になった時(脱重から3秒後の点)の残っている変形量
を表し、塑性変形分を表している。
【0031】本発明の押し込み変形量の規定のために使
用する微小硬度計MZT−3での測定は、今まで計るこ
とが難しかった被測定面の垂直方向のミクロな被荷重深
さを読み取ることが出来る。従来の表面強度試験は、最
終変形量である塑性変形量(キズ)が同じであれば、強
度的に異なった試料でも同一の硬さ値を示すものとして
いた。しかし、高分子材料を中心とする有機材料あるい
はそれらの複合材料には粘弾性的性質があるが、塑性変
形量(キズ)のみの観察では、弾性的及び粘性的性質を
知ることはできなかった。
【0032】そこで、本発明に用いる押込み試験では、
材料の変形の性質として、3つの変形量(弾性変形量、
塑性変形量、クリープ変形量)の考え方を用い、弾性、
塑性変形プロセスを同時に測定することで、従来の硬さ
値では得られなかった機械的強度(表面物性値)、特に
材料の弾性的及び粘性的性質を得ることが可能となっ
た。
【0033】押し込みの全変形量が、負荷荷重500m
gかつ負荷速度0.5gf/secで加重するという条
件は、実際の傷の付き方と本発明の測定方法の相関関係
を求めて来た結果得られたものである。押し込み変形を
測定する場合、例えば、最大荷重を大きくして行けば、
当然全変形量は大きくなり、また負荷速度を早くするこ
とによって同じ最大荷重でも全変形量が大きくなった
り、保持時間を長くすれば、クリープ変形量が大きくな
ったりする。負荷速度は早すぎると膜やフィルム表面の
物性が区別できなくなる他、膜が破壊されてしまうこと
がある。従ってフィルム表面や膜の固さ、あるいは知り
たい物性に合わせて適当な測定条件を探す必要があっ
た。そこで、次のようなことを考慮にいれて、条件設定
を行った。各試料間での物性の違いが検出出来るこ
と、特に塑性変形、弾性変形の試料間の違いを感度よ
く検出出来ること、フィルムが破壊されないこと、
比較試料の最終変形量が市販のオートネガキャリア等に
通した場合に付く傷の変形量、形と同等になるように設
定する等である。
【0034】本発明のポリエステルフィルムは、弾性変
形量が従来のポリエステルフィルムよりも大きく、擦り
傷が入りにくい。その結果として、高速搬送や磁気ヘッ
ドとの接触においても傷が付きにくくなり、またハロゲ
ン化銀写真感光材料としての巻癖も付きにくく、現像時
の擦り傷耐性も向上し、ハンドリングもし易くなる。更
に、ポリエステルフィルムに押し込む力がかかった後で
も、押し込まれた跡に変形が残りにくいことがわかっ
た。
【0035】本発明者らは、本発明のポリエステルフィ
ルムを支持体として使用し、磁気記録層をその上に設け
た場合、その磁気記録層に押し込み変形を与えても、磁
気記録層に深い傷が残りにくいことを見出した。つまり
下地の性質が上物の性質に著しく影響することを見出し
たのである。例えば、磁気記録媒体の磁気記録層の擦り
傷性がそのものの強さであると思われていた従来の考え
方が見直されるものと考えている。
【0036】本発明のポリエステルフィルムに傷が付き
にくくする手段として、ポリエステルフィルムを製膜中
の溶融押し出し工程の後、熱固定工程の前までのいずれ
の工程において(以降製膜中のフィルムをウエブと呼ぶ
こととする)でも、ウエブに水蒸気を噴霧することによ
り達成されるが、このことは、ウエブの極表面の分子が
何らかの変化(明確ではないが加水分解の可能性も考え
られる)をして、その後の延伸工程あるいは熱固定工程
で、表面が結晶化しやすくなり(分子が小さくなったと
したら)、表面に保護的な結晶性の高い硬い層ができる
ためではないかと発明者らは考えている。
【0037】本発明のウエブに水蒸気を噴霧する時間
は、製膜速度が0.1m/秒以上と考えて、1秒〜10
00秒が好ましく、更に好ましくは10秒〜300秒で
ある。また、噴霧するタイミングは、好ましくは2軸延
伸工程直前あるいは延伸中であり、生産効率、処理の効
率からみて、縦延伸前あるいは横延伸直前が好ましく、
2回以上に分けて行ってもよい。
【0038】本発明の押し込み変形を与えた全変形量の
うち弾性変形量が60%以上のポリエステルフィルム
は、例えば、特開平6−240020号公報に記載され
ているような方法で、結晶化度の異なるポリエステルが
押し出し時に最表面層になるように積層製膜を行っても
得られる。しかし、この方法ではサイロ、乾燥機や押し
出し機を少なくとも2基設備しなくてはならず、設備コ
ストの面からあまり好ましい方法とはいえない。
【0039】また、もう一つの手段としては、2軸延伸
工程での延伸倍率を3.0〜5.5倍とすることで、上
記押し込み変形量を小さくさせることが出来ることを見
いだし、更にこれに上記のように水蒸気を噴霧すること
によってその効果は大きくなる。
【0040】本発明を説明するために、本発明のポリエ
ステルフィルムは、まず、ポリエステル樹脂を合成し
て、次いでそれを用いてフィルムに製膜することによっ
て得られるが、その過程を簡単に述べる。
【0041】本発明のポリエステルフィルムに用いるポ
リエステル樹脂の合成において、エステル化反応、エス
テル交換反応、重縮合にはそれぞれ公知の触媒を使用す
ることが出来る。更に公知の熱安定剤、酸化防止剤、帯
電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、染料、等を添加しても
よい。エステル化反応は特に触媒を添加しなくても進行
するが、下記の触媒を用いることにより効率よく反応を
進めることが出来る。例えば、エステル交換反応の触媒
としては、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸マグネシ
ウム、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸カルシ
ウム及び酸化鉛等が一般に使用出来る。これらを単独で
使用しても混合してもよい。また、重縮合反応触媒に
は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三弗化アン
チモン、硫化アンチモン、アンチモントリブチレート、
アンチモンエチレングリコレート、アンチモン酸カリウ
ム、酢酸アンチモン、三塩化アンチモン、二酸化ゲルマ
ニウム、三酸化ゲルマニウム、酢酸マンガン、酢酸亜
鉛、酢酸鉛、安息香酸アルカリ金属塩、チタンアルコキ
シド、及びチタン酸のアルカリ金属塩等が一般に使用出
来る。これらは、単独で使用しても混合して使用しても
よい。
【0042】熱安定化剤として、燐酸、亜燐酸もしくは
これらのエステル化合物を添加してもよい。例えば燐酸
トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニル等を挙
げることが出来る。またトリメチルアンモニウムハイド
ロオキサイドも有用である。酸化防止剤としては、公知
のヒンダードフェノール類を添加してもよい。例えば、
イルガノックス1010、スミライザーBHT、スミラ
イザーGA−80等の商品名で市販されているものを使
用することが出来る。
【0043】本発明のポリエステルフィルムに使用する
ポリエステルは、例えば、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸あるいはそのメチルエステルとエチレングリコール
を、エステル化反応またはエステル交換反応させること
により、オリゴマーを得、次いで真空下で重縮合反応さ
せて合成することが出来る。すなわち、エステル交換反
応は、二塩基酸とエチレングリコールを、1〜2kg/
cm2の加圧下あるいは大気圧下で、180〜280℃
(好ましくは230〜270℃)で0.5〜8時間(好
ましくは2〜4時間)反応させ、アルコールの溜出を終
了させることにより行う。エステル化反応は、同様に水
の溜出を終了させることにより行う。ついで反応槽内の
圧力を50〜1mmHgの真空にすると共に、240〜
290℃に昇温し、必要により1mmHg以下の高真空
にして、合計1〜3時間加熱してポリエステル樹脂を得
る。
【0044】本発明のポリエステルフィルムに用いるポ
リエステル樹脂としては、PET、PEN、シクロヘキ
サン−1,4−ジメタノールとテレフタル酸あるいは/
及びナフタレン−2,6−ジカルボン酸とのポリエステ
ル、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸とエチレ
ングリコールのポリエステル(テレフタル酸とナフタレ
ン−2,6−ジカルボン酸のモル比0.7:0.3〜
0:1.0)、テレフタル酸とエチレングリコール及び
ビスフェノールAのポリエステル(エチレングリコール
とビスフェノールAのモル比0.6:0.4〜0.8:
0.2)が好ましい。
【0045】本発明のポリエステルフィルムのTgは、
90℃以上200℃以下のものが好ましい。一般ユーザ
ーが使用する条件で考えられる最高の温度は、真夏の炎
天下での車中、特にダッシュボードの上に置かれたカメ
ラで、その温度は80℃以上にもなるといわれている。
この様な場所に置かれる事を考慮して、ポリエステルフ
ィルムのTgを80℃より高いところに設定しておくこ
とが好ましい。この条件に耐えられるポリエステルとし
ては、例えば、PENや、PENとPETの混合物
(6:4〜8:2)等を挙げることが出来るが、特に、
PENが耐熱性からも、工業的製品として流通している
ことからも好ましい。
【0046】ハロゲン化銀写真感光材料の写真用支持体
としてポリエステルフィルムが使用される場合、ハロゲ
ン化銀写真感光材料のポリエステルフィルムの断裁面か
ら光が内部まで進入するいわゆるライトパイピング現象
があるが、この漏光がハロゲン化銀写真乳剤層にカブリ
を生じさせる。これを防止するために、フィルムを製膜
段階から着色することによって、またフィルム支持体に
ハロゲン化銀乳剤層を塗布する前に着色層を設けるなど
が行われている。ポリエステルフィルムの場合には、重
合時に染料を入れて着色樹脂を作る方法や、製膜前にポ
リエステル樹脂と染料をまぶしてから、約300℃で溶
融をして押出しフィルムとする方法などがある。そのた
めに耐熱性の染料(着色剤)が用いられる。染料として
は、アンスラキノン系やペリノン系の染料が耐熱性で好
ましく用いられる。例えば、Bayer社製MACRO
LEXシリーズ、住友化学株式会社製のSUMIPLA
STシリーズ、三菱化成株式会社製のDiaresin
シリーズ等の中から一種類単独で、もしくは二種類以上
の染料の必要な色調となるように混合して用いるのが好
ましい。
【0047】また、ポリエステルフィルム製膜時に、必
要に応じて易滑性を付与することもある。そのために、
ポリエステルに対して不活性の無機粒子を添加する外部
粒子添加法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析
出させる内部粒子析出法、あるいは界面活性剤などをフ
ィルム表面に塗布する方法等が一般的に用いられるが、
析出する粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒
子析出法が、フィルムの透明性を損なうことなく易滑性
を付与できるので好ましい。
【0048】本発明のポリエステルフィルムは、二軸方
向に配向された二軸延伸ポリエステルフィルムである。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、重縮合されたポリエ
ステル樹脂を、あらかじめ乾燥させた樹脂を、樹脂の融
点(Tm;℃)から(Tm+70)℃の温度で、例えば
PENでは、280〜330℃で押出機内で熔融し、冷
却ドラムの上にダイ(例えばコートハンガーダイ)から
シート状に押出した後、30〜110℃で固化して無定
型シートを作製する。次いで、(Tg−10)℃から
(Tg+70)℃、実際には100〜140℃の温度で
2〜5倍に縦方向(長尺方向)に一軸延伸を行い、次い
でTg〜(Tg+70)℃,120〜160℃の温度で
2〜5倍に横方向(幅方向)に二軸めの延伸を行い、二
軸延伸を完了させた後、165〜290℃で熱固定処理
することによって、二軸延伸ポリエステルとして得られ
る。これらの方法は、特開昭50−109715号、同
50−95374号公報に記載されておりこれらの方法
を用いることが出来る。
【0049】前述の本発明の性質を持つポリエステルフ
ィルムは、上記製膜工程の押出後から熱固定前のいずれ
かのところで水蒸気噴霧処理を行うものと、縦横共延伸
倍率を高倍率の3.5〜5.5倍にすることによって得
られ、好ましくは3.3〜4.0倍で、水蒸気処理と高
延伸の両方を行うことによって更に優れた性質のポリエ
ステルフィルムを得ることが出来る。
【0050】得られた本発明の水蒸気処理と高延伸を施
したポリエステルフィルム(a)は図2に示すように、
押し込みの全変形量に対する弾性変形量の比(a2
1)が大きく、通常のフィルムの場合(b)はその割
合(b2/b1)が比較的小さい。ここで、図2は、本発
明の上記水蒸気処理と高延伸倍率で延伸したポリエステ
ルフィルム(a)と通常のポリエステルフィルム(b)
とを比較した「変形量(深さ)〜時間曲線」比較図であ
る。
【0051】ポリエステルフィルムは巻癖が付きやす
く、ハロゲン化銀写真感光材料ではポリエステルフィル
ムを写真用支持体とするためには、ポリエステルの転移
点以下の温度でポリエステルフィルムロールをまたはハ
ロゲン化銀写真感光材料をアニール処理することによっ
て巻癖を改善することが行われているが、この処理には
時間がかかることと、大きな処理室が必要となる。つま
り多量にハロゲン化銀写真感光材料を生産する場合には
更に広い空間が必要となる。
【0052】本発明の上記2つの手段で作られたポリエ
ステルフィルムはこのアニール処理の時間をかなり低減
することが出来、時間と空間とが少なく済み経済的であ
る。
【0053】アニール処理としては、特開平6−351
14号及び同6−51438号公報、また公開技報94
−6023号等に記載されている方法で行うことが出来
る。
【0054】この現象は、本発明の水蒸気噴霧処理、ま
たは高延伸倍率で延伸したポリエステルフィルムは表面
に結晶化度の高い層が出来ると考えられているから、ア
ニール処理によって、残りの非結晶部分の再配列が少し
進み、上記二つの手段を組み合わせ、更にアニール処理
をすることによって更にこの現象が進み、巻癖を低減さ
せる時間が短縮出来る、と本発明者らは考えている。
【0055】ポリエステルフィルムの巻癖の大小を示差
走査熱量計で測定されるTg近傍の吸熱ピークが現れる
ことによって観察されるが、この吸熱ピークが大きい程
巻癖が付きにくくなると言われている。実際に吸熱量を
測定すると、本発明のポリエステルフィルムは通常のポ
リエステルフィルムの吸熱量100mcal/gよりも
200〜700mcal/gと大きく、巻癖の付きにく
さとこの吸熱量と相関を得ることが出来た。ポリエステ
ルフィルムにPENフィルムを用いた場合にはこの吸熱
量の結果から時間として2/3に短縮出来ることがわか
った。本発明のポリエステルフィルムの場合の吸熱量は
200〜1000mcal/g程度であり、好ましくは
200〜700mcal/gの範囲である。
【0056】通常のアニール条件は、Tgが120℃の
PENの場合、温度をある幅として、40〜50時間程
度が必要であるが、本発明では、16〜32時間で済
む。
【0057】本発明の磁気記録媒体、及び本発明のハロ
ゲン化銀写真感光材料の磁気記録媒体は、上記本発明の
ポリエステルフィルムの上に磁気記録層を設けられた磁
気記録媒体である。
【0058】これより以降、磁気記録媒体または磁気記
録層という場合は、特に断らない限り本発明のハロゲン
化銀写真感光材料の磁気記録媒体または磁気記録層を含
むこととする。
【0059】本発明の磁気記録媒体は、押し込み変形に
よる傷が付きにくいため、磁気記録媒体から、または磁
気記録媒体への情報の入出力も正常に行われ信頼性の高
い磁気記録媒体が得られる。入出力を安定にするため
に、従来磁気記録媒体に用いられていた種々の技術を適
用出来る。例えば、磁気記録層に架橋剤、滑り剤、マッ
ト剤、研磨剤等を適宜添加することは、磁気記録層の信
頼安定性を保つためにも好ましく、従来から言われてい
た欠陥、例えば架橋剤による脆弱性、滑り剤の脱落によ
る入出力や他面の感光層への影響、接着性等について
も、本発明のポリエステルフィルムを用いることによる
擦り傷の付きにくさを更に高めることが出来、好まし
い。
【0060】本発明のポリエステルフィルムは処理され
た表面が通常のポリエステルフィルムと異なり、通常の
やり方では磁気記録層の接着性が劣ることがわかった。
これを解決手段として、本発明者は鋭意検討した結果次
の二つの手段が有効であることを見出した。
【0061】その一つは、ポリエステルフィルム製膜時
の面に関するものである。ポリエステルフィルムは、一
般にポリエステル樹脂を300℃位に熱して溶融し、溶
融したままダイから冷却されたドラムの上に押し出し、
以後2軸延伸、熱固定、冷却し巻き取る工程を経るが、
ポリエステルフィルムは冷却ドラム面側をドラム面また
はD面、とその反対側の面は空気に曝されている面側を
エアー面またはA面の二つ面を持っている。一般的には
この両面には性質上ほとんど差がないとされているが、
本発明のように傷の付きにくいフィルムとした場合に
は、その上に磁気記録層を設けると接着性に差が出来、
本発明のポリエステルフィルムにはD面が好ましく良好
な接着性を示すことがわかった。
【0062】もう一つは、表面処理に関することであ
る。一般的にポリエステルフィルム上に磁気記録層及び
下引層を接着するために、薬品処理、機械的処理、コロ
ナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロ
ー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、濃酸処
理、オゾン酸化処理等の表面活性化処理を施し、更に下
引層の塗設等が行われている。
【0063】本発明のポリエステルフィルムに対して種
々の表面処理を行った結果、グロー放電処理が接着性に
優れた効果を示すことがわかった。グロー放電は下引層
の塗布直前に行うことが好ましい。グロー放電処理は、
コロナ放電処理、火炎処理等と比べると、フィルムの表
面活性能力に優れ、放電が均一なため活性面もより均一
に形成され易い。特にフィルムを高速で搬送を行った場
合に有効である。グロー放電処理の方法は、特開平7−
3056号または同9−204005号公報に記載され
ている方法で行うことが出来る。
【0064】本発明に用いられる磁気記録層には磁性材
料を分散、塗膜とするために樹脂バインダが用いられ
る。バインダーとしては熱可塑性樹脂が一般に用いられ
るが、放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、反応型樹脂等
が好ましく用いられ、単独で用いても混合して用いても
良い。
【0065】上記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合樹脂、部分
加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化
ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニル−アク
リロニトリル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール
共重合樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−塩
化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
などのビニル系重合体あるいは共重合体樹脂、セルロー
スナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネ
ート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂などの
セルロース誘導体樹脂、マレイン酸及び/またはアクリ
ル酸の共重合樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、ア
クリロニトリル−スチレン共重合樹脂、塩素化ポリエチ
レン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリスチレン−ス
チレン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン
−スチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセ
タール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル
ポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポ
リカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチ
レン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル
樹脂などのゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹
脂などを挙げることが出来る。熱可塑性樹脂のTgは−
40℃〜180℃の範囲のものがよく、より好ましくは
30℃〜150℃のものである。また熱可塑性樹脂の重
量平均分子量は500〜300000のものが好まし
く、1000〜200000のものがより好ましい。こ
れらの樹脂は、溶媒溶液として、または水系樹脂エマル
ジョンとして用いられる。
【0066】放射性硬化型樹脂は、電子線、紫外線など
の放射線によって硬化される樹脂で、ウレタンアクリレ
ート系、ポリオールアクリレート系、エポキシアクリレ
ート系樹脂等があり、これらが用いられる。これらの樹
脂は前記の熱硬化型あるいは反応性型としても用いられ
る。
【0067】この他に、本発明に用いる磁気記録層に使
用できる親水性バインダーとして、リサーチ・ディスク
ロージャー(以降RDと略す)No.17643、26
頁及び同No.18716、651頁に記載されている
水溶性ポリマーを挙げることが出来る。水溶性ポリマー
として、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、
アルギン酸ソーダ、澱粉、ポリビニルアルコール、アク
リル酸系共重合体、無水マレイン酸共重合体等が挙げら
れ、セルロース誘導体としては、セルロースメチルエー
テル、カルボキシメチルセルロース、セルロースヒドロ
キシエチルエーテル、セルロースヒドロキシプロピルエ
ーテル、水溶性ポリエステル等を挙げることが出来る。
【0068】本発明において特に有用なバインダーとし
ては、セルロースジアセテートに代表されるようなセル
ロースエステル類、あるいはゼラチンまたはゼラチン誘
導体のような透明なバインダーが好ましく用いられる。
【0069】磁気記録層を形成するための磁性粒子の分
散、磁気粒子分散液の混練、塗布溶液に使用する有機溶
媒は、バインダーやその他の添加剤を溶解させるため
に、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;i−プロパノール、n−ブタノール、i
−ブチルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、酢
酸−n−ブチル、酢酸−i−プロピル等のエステル類;
グリコールメチルエーテル等のエーテル類;トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類;メチレンクロライド、
エチレンクロライド等の塩素化炭化水素類等を挙げるこ
とが出来る。
【0070】本発明の磁気記録媒体のバインダーは硬化
剤(架橋剤)で硬化することによってタフな磁気記録層
被膜とすることが出来る。硬化剤としては、例えば、ホ
ルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きケトン化合
物類、ビス(2−クロルエチル尿素)、2−ヒドロキシ
−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特
許第3,288,775号、同2,732,303号、
英国特許第974,723号、同1,167,207号
等明細書などに記載されている反応性ハロゲンを有する
化合物類、ジビニルスルホン、5−アセチル−1,3−
ジアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジ
ン、米国特許第3,635,718号、同3,232,
763号、英国特許第994,869号明細書などに記
載されている反応性オレフィンを持つ化合物類、N−ヒ
ドロキシメチルフタルイミド、米国特許第2,732,
316号、同2,586,168号明細書などに記載さ
れているN−メチロール化合物、米国特許第3,10
3,437号明細書などに記載されているイソシアネー
ト類、米国特許第3,017,280号、同2,98
3,611号明細書などに記載されているアジリジン化
合物類、米国特許第2,725,294号、同2,72
5,295号明細書などに記載されている酸誘導体類、
米国特許第3,091,537号明細書などに記載され
ているエポキシ化合物類、ムコクロル酸のようなハロゲ
ンカルボキシアルデヒド類を挙げることが出来る。ま
た、無機化系架橋剤を使用することもでき、無機化系架
橋剤としては、クロム明バン、硫酸ジルコニウムが挙げ
られる。また、特公昭56−12853号、同58−3
2699号公報、ベルギー特許第825,726号明細
書、特開昭60−225148号、同51−12612
5号公報、特公昭58−50699号公報、特開昭52
−54427号公報、米国特許3,321,315号明
細書に記載されているカルボキシル基活性型架橋剤など
も挙げることが出来る。これらの中で、イソシアネート
架橋剤が好ましい。ミリオネットMRシリーズ((株)
日本ポリウレタン工業製)のような多官能ポリイソシア
ネート架橋剤を用いるのが特に好ましい。
【0071】磁気記録層に用いられる架橋剤の量は、バ
インダー樹脂固形分に対して0.01〜60重量%がよ
く、好ましくは0.05〜50重量%である。
【0072】磁気記録層には研磨剤も用いられる。研磨
剤としては、有機粒子研磨剤や無機粒子研磨剤が用いら
れ、モース硬度5以上、好ましくは6以上の非磁性無機
粒子研磨剤が好ましく、具体的には、酸化アルミニウム
(α−アルミナ、γ−アルミナ、コランダム)、酸化ク
ロム(Cr23)、酸化鉄(α−Fe23)、二酸化珪
素、二酸化チタン等の酸化物、ダイアモンド等の微粉末
を挙げることが出来る。これらの平均粒径は0.01μ
m以上5.0μm以下が好ましく、0.1μm以上5.
0μm以下ならば更に好ましい。磁性体粉末に対して
0.5〜300重量%の範囲で添加することができる。
【0073】本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性
体粉末は、強磁性酸化鉄粉末Coドープの強磁性酸化鉄
微粉末、強磁性二酸化鉄微粉末、強磁性二酸化クロム微
粉末、強磁性金属粉末、バリウムフェライト等が好まし
く用いられる。これらの強磁性粉末は公知の方法に従っ
て製造することが出来る。その形状としては、針状、米
粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよいが、針状
または板状が電磁変換特性上好ましい。結晶子サイズや
被表面積についても特に制限はないが、結晶子サイズで
400オングストローム以上BET値で20m2/g以
上のものが好ましく、30m2/g以上が特に好まし
い。また、強磁性粉末のpHや表面処理についても特に
制限無く用いることができる。好ましいpHの範囲は5
〜10である。強磁性酸化鉄微粉末の場合は2価の鉄/
3価の鉄の比率は特に制限無く用いることが出来る。強
磁性粉末の使用量は、本発明の場合には、通常の磁気記
録媒体1m2当り4×10-4g以上用いるのがよいが、
上限は透明性の点から436nm波長光の光学濃度が
1.5以下で、1m2当り4g前後が好ましい。
【0074】本発明の磁気記録層は、必要に応じて、滑
り剤を含有させることにより摩擦係数が低下して、磁気
記録媒体の走行性及び耐久性が一段と向上する。滑り剤
として高級脂肪酸、高級脂肪酸とアルコールとによる高
級脂肪酸エステル、脂肪酸と高級アルコールとの高級ア
ルコールエステル、また高級脂肪酸と高級アルコールと
の高級脂肪酸高級アルコールエステルを含有させても良
い。この高級脂肪酸は、一塩基性であってもよいし、二
塩基性であってもよいが、好ましくは高級脂肪酸または
高級アルコールの炭素原子数は8〜30、特に好ましく
は12〜22で一塩基性のものがよい。また1種単独で
使用してもよいし、2種以上を混合してもよい。磁気記
録層には前記脂肪酸と脂肪酸エステルを共に用いても、
他の潤滑剤と共に用いてもよい。
【0075】また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料
に用いられる磁気記録層側の最表面層に上記の滑り剤を
含む層を設けてもよい。
【0076】上記化合物に加えて、例えば米国特許第
3,042,522号、同3,080,317号、同
4,004,927号、同4,047,958号、同
3,489,487号、英国特許第955,061号、
同1,143,118号等明細書、特開昭60−140
341号公報等に記載のシリコーン系滑り剤、米国特許
第2,454,043号、同2,732,305号、同
2,976,148号、同3,206,311号、独国
特許第1,284,295号、同1,284,294号
等明細書に記載の高級脂肪酸系、アルコール系及びアミ
ド系滑り剤、英国特許第1,263,722号、米国特
許第3,933,516号等に記載の金属石鹸、米国特
許2,588,765号、同3,121,060号、英
国特許第1,198,387号明細書に記載のエステル
系、エーテル系滑り剤、米国特許第3,502,473
号、同3,042,222号明細書等に記載のタウリン
系滑り剤も使用出来る。
【0077】これらの化合物及び滑り剤はメタノール、
エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類;メチレンクロライド、四塩化炭素
等のハロゲン炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサ
ン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化
水素等の溶媒に溶解して塗設することが出来る。
【0078】特に、滑り層として、先に記載した磁気記
録層に用いられるバインダーに上記脂肪酸または脂肪酸
エステルを含有させた層を塗設することが好ましい。こ
の場合、この層に上記の有機粒子研磨粒子と無機粒子研
磨粒子を含有させても良い。
【0079】本発明に使用する磁気記録層の厚みは2μ
m以下0.1μm以上が好ましい。磁性粒子の塗布量は
10〜1000mg/m2、好ましくは15〜300m
g/m2、特に好ましくは20〜100mg/m2であ
る。
【0080】磁性粒子は酸化鉄を主成分としたものであ
るが、内部にアルミニウム、カルシウム、珪素を微量ド
ーピングしたものは、好ましく用いられる。また、磁性
粒子の針状比は1〜7が好ましい。
【0081】磁性粒子を含有したドープを流延して乾燥
し磁気記録層を形成する過程において、対抗する磁石に
よって規則的に磁性粒子を配向させてもよいし、ランダ
ムな磁場を与えて、いわゆるランダマイズ処理を施すこ
とも出来る。
【0082】本発明の磁気記録媒体を有するハロゲン化
銀写真感光材料は、本発明のポリエステルフィルム支持
体の一方の側に複数層のハロゲン化銀乳剤層の感光層及
び複数層の非感光層が設けられており、他の面側には帯
電防止層や磁気記録層が塗設されている。
【0083】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
用いるハロゲン化銀乳剤は、RD308119に記載さ
れているものを用いることができる。以下に記載箇所を
示す。
【0084】 〔項 目〕 〔RD308119のページ〕 ヨード組織 993I−A項 製造方法 〃 〃 及び994 E項 晶癖 正常晶 〃 〃 双晶 〃 〃 エピタキシャル 〃 〃 ハロゲン組成 一様 993I−B項 一様でない 〃 〃 ハロゲンコンバージョン 994I−C項 〃 置換 〃 〃 金属含有 995I−D項 単分散 995I−F項 溶媒添加 〃 〃 潜像形成位置 表面 995I−G項 内面 〃 〃 適用感材 ネガ 995I−H項 ポジ(内部かぶり粒子含) 〃 〃 乳剤を混合して用いる 〃I−J項 脱塩 〃II−A項 本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成、化学
熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような
工程で使用される添加剤は、RD17643,1871
6及び308119に記載されている。
【0085】以下に記載箇所を示す。
【0086】 [項 目] [RD308119の頁][RD17643][RD18716] 化学増感剤 996 III−A項 23 648 分光増感剤 996 IV−A−A,B,C, D,H,I,J項 23〜24 648〜9 強色増感剤 996 IV−A−E,J項 23〜24 648〜9 かぶり防止剤 998 VI 24〜25 649 安定剤 998 VI 24〜25 649 本発明に係わるハロゲン化銀乳剤層に用いられる公知の
写真用添加剤も上記RDに記載されている。以下に関連
のある記載箇所を示す。
【0087】 [項 目] [RD308119の頁][RD17643][RD18716] 色濁り防止剤 1002 VII−I項 25 650 色素画像安定剤 1001 VII−J項 25 増白剤 998 V 24 紫外線吸収剤 1003 VIII−C, XIIIC項 25〜26 光吸収剤 1003 VIII 25〜26 光散乱剤 1003 VIII フィルタ染料 1003 VIII 25〜26 バインダ 1003 IX 26 651 スタチック防止剤 1006 XIII 27 650 硬膜剤 1004 X 26 651 可塑剤 1006 XII 27 650 潤滑剤 1006 XII 27 650 マット剤 1007 XVI 現像剤 1011 XXB項 (感材中に含有) ハロゲン化銀乳剤層には種々のカプラーを使用すること
ができ、その具体例は、上記RDに記載されている。以
下に関連ある記載箇所を示す。
【0088】 [項 目][RD308119の頁][RD17643][RD18716] イェローカプラー 1001 VII−D項 VIIC−G項 マゼンタカプラー 1001 VII−D項 VIIC−G項 シアンカプラー 1001 VII−D項 VIIC−G項 カラードカプラー 1002 VII−G項 VIIG項 DIRカプラー 1001 VII−F項 VIIF項 BARカプラー 1002 VII−F項 その他の有用残基 放出カプラー 1001 VII−F項 アルカリ可溶 カプラー 1001 VII−E項 本発明に係る写真フィルムへの添加剤としては、RD3
08119のXIVに記載されている分散法などにより、
添加することができる。
【0089】ハロゲン化銀写真感光材料には前述RD3
08119VII−K項に記載されているフィルター層や
中間層等の補助層を設けることが出来る。また本発明に
係わるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD1
7643の28〜29頁、RD18716の647頁及
びRD308119のXIXに記載された通常の方法によ
って、現像処理することが出来る。
【0090】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施方法を示すが、
本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】[測定・評価方法] 〈高速耐擦り傷性試験測定〉擦り傷試験機のHEIDO
N−14DR(新東科学(株)製)を用いて、試験試料
フィルム上にアルミナ粉末15gを振りまき、その後、
金属ヘッドに荷重500gをかけ、相対速度150mm
/秒で試料フィルム上を繰返し移動させた試料フィルム
を目視で観察し、傷がつき始めたパス数を高速耐擦り傷
性として評価した。数値が大きいほど高速耐擦り傷性は
良好である。
【0092】〈エンタルピー変化量の測定・評価〉
(株)リガク製DSC8230型DSCを用い示差走査
熱量分析行い、アニール熱処理した試料フィルムのエン
タルピー変化量を求めた。試料フィルム10mgを窒素
気流で10℃/分で昇温し、Tg近傍で吸熱ピークを観
測する。この吸熱ピークの吸熱量がエンタルピー変化量
と一致する。
【0093】〈巻癖のカール度の測定・評価〉各試料フ
ィルムを24mm×1500mmサイズに切った後、7
mmφ(1/r=285)のアルミ製の巻芯に巻き付
け、試料フィルムの末端をセロファンテープで留め、8
0℃、2時間加熱器に入れてコアセット処理をした。コ
アセット処理後、23℃、55%RHの条件下に1時間
放置して、試料フィルムをアルミ巻芯から外し、試料フ
ィルムの最も芯部の巻癖の強い部分を幅2mm、長さ
(カール方向)30mmの大きさに切り出し、カールゲ
ージを用いてカール値(1/m)を測定した。巻癖のカ
ール度は下記の様に評価を行った。
【0094】 レベル カール度(1/m) 1: 100以上 2: 75〜99 3: 61〜745 4: 60以下 〈押し込み試験評価〉前述のように、測定評価を行っ
た。
【0095】実施例1 《ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの作
製》 (フィルム−1の作製)2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量
部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水和物0.
1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行
った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05重
量部、リン酸トリメチルエステル0.03重量部を添加
した。次いで徐々に昇温、減圧にし、290℃、0.0
5mmHgの条件で重合を行ない固有粘度0.60のポ
リエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0096】これを、150℃で8時間真空乾燥した
後、300℃でTダイから溶融押出し、50℃の冷却ド
ラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未
延伸ウエブを得、続いてこの未延伸ウエブをロール式縦
延伸機で135℃で縦方向に3.3倍延伸した。更に続
いて、テンター式横延伸機で第一延伸ゾーン145℃で
総横延伸倍率の50%延伸し、続いて第二延伸ゾーン1
55℃で総横延伸倍率が3.3倍となるように延伸し、
次いで、100℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定
ゾーン200℃で5秒間、第二熱固定ゾーン240℃で
15秒間熱固定し、横方向に5%弛緩処理をしながら室
温まで30秒かけて徐冷して巻き取り、厚さ85μmの
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。
このフィルムをフィルム−1とした。なお、冷却ドラム
に密着させた時、シートの(仕上がりフィルムの)ドラ
ム面側をD、空気(エアー)面側をAと試料番号の後ろ
につける。
【0097】(フィルム−2の作製)縦延伸工程の直前
で、ウエブの両面に水蒸気噴霧処理をした以外は、フィ
ルム−1と同様に作製し、これをフィルム−2とした。
【0098】(フィルム−3の作製)延伸倍率を縦方向
3.6倍、横方向3.6倍とした以外はフィルム−1と
同様に作製し、フィルム−3とした。
【0099】(フィルム−4の作製)縦延伸工程の直前
で、ウエブの両面に水蒸気噴霧処理をした以外は、フィ
ルム−3と同様に作製し、フィルム−4とした。
【0100】(フィルム−11〜14の作製)上記巻き
取られたフィルム1〜4を、それぞれ110℃で48時
間熱処理し、それぞれのフィルムを;フィルム−1に対
応するものを、フィルム−11とし、フィルム−2に対
応するものを、フィルム−12とし、フィルム−3に対
応するものを、フィルム−13とし、フィルム−4に対
応するものを、フィルム−14とした。
【0101】(フィルム−15の作製)上記巻き取られ
たフィルム−4を、110℃で32時間熱処理し、フィ
ルム−15とした。
【0102】これらのフィルムをそれぞれの試験の大き
さに切り出し、各評価を行い、その結果を下記表1に示
した。
【0103】
【表1】
【0104】(結果)本発明の延伸前に水蒸気処理を行
ったポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム(P
ENフィルム)(フィルム−12)は比較フィルム−1
1に比べ、押し込み試験の弾性変形%が大きく、全変形
量が小さくなっており、高速耐擦り傷性がかなり向上し
ている。延伸倍率が3.6×3.6のフィルム−13は
フィルム−12程ではないが、やはり向上している。水
蒸気処理と延伸高倍率のフィルム−14と15は更にこ
れらの結果が向上している。またこれらの試料は全てア
ニール処理がなされており、巻癖は付きにくくなってい
るが、それでも本発明のフィルム−12、13、14は
比較フィルム−11に比べると巻癖がつきにくくなって
いる。また、フィルム−14はアニール時間が110
℃、48時間処理したものであるが、フィルム−15は
同32時間処理したもので、本発明の製膜時に水蒸気処
理及び高延伸倍率で製膜したこれらのフィルムはアニー
ル時間を低減してもほとんど巻癖及びエンタルピー変化
量の差がほとんどなく、巻癖低減のためのアニール時間
を大幅に減らすことが出来る。
【0105】実施例2 〈ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの表面
処理〉実施例1のフィルムのフィルム−11及び14の
両面に以下の方法でグロー放電処理を行った。断面が直
径2cmの円柱状の長さ120cmの棒状電極を10c
m間隔に4本絶縁板上に固定し、この電極を真空タンク
内に固定した。この電極面から15cm離れ、電極面と
正対するように、フィルムを2秒間の表面処理が行われ
るように走行させた。
【0106】真空槽内の圧力0.2Torr、放電周波
数30kHz、出力2500W、処理強度0.5kV・
A・分/m2でプラズマ処理を行った。これらのフィル
ムをそれぞれフィルム−21とフィルム−24とした。
【0107】また、比較用フィルムとしてフィルム−1
1と14の両面に12W/m2/分でコロナ放電処理を
し、それぞれフィルム−31とフィルム−34とした。
【0108】 《下引層塗布液の調製》 〈下引層塗布液B−1の調製〉 ブチルアクリレート30重量%、t−ブチルアクリレート20重量%、 スチレン25重量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート25重量% の共重合体ラテックス液(固形分30%) 125g 化合物(UL−1) 0.4g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.05g 水で仕上げる 1000ml 〈下引層塗布液B−2の調製〉 ゼラチン 10g 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g 化合物(UL−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で仕上げる 1000ml
【0109】
【化1】
【0110】〈導電防止層塗布液の調製〉ジカルボン酸
成分としてテレフタル酸ジメチル60モル%、イソフタ
ル酸ジメチル30モル%、5−スルホイソフタル酸ジメ
チルのナトリム塩10モル%、グリコール成分としてエ
チレングリコール50モル%、ジエチレングリコール5
0モル%を常法により共重合した。この共重合体を95
℃の熱水中で3時間撹拌し、15重量%の水分散液Aと
した。
【0111】 酸化スズ−酸化アンチモン複合微粒子(平均粒径0.2μ)の 水分散液(固形分40重量%) 109g 水分散液A 67g 水で仕上げる 1000ml 《下引層及び導電防止層の塗布》表面処理したポリエス
テルフィルム21、24、31及び34の両面に下引塗
布液B−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布
し、その上に12W/m2/分でコロナ放電処理を施
し、片面に下引塗布液B−2(ハロゲン化銀乳剤層側
用)を、また他の面に導電防止層塗布液(磁気記録層側
用)を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布した。下
引層及び導電防止層を塗設した試料の番号を上記下引済
みフィルム21、24、31、及び34とした。
【0112】《磁気記録層の塗設》下引済みフィルム2
1、24、31、及び34の帯電防止層上に下記組成の
磁気記録層塗布液を精密イクストルージョンコーターを
用い乾燥膜厚1.2μmとなるように塗布し、乾燥と同
時に塗膜が未乾燥のうちに配向磁場で中で塗布方向へ磁
性体を配向させ、磁気記録再生時の高出力化を図った。
【0113】 〈磁気記録層塗布液の調製〉 コバルト含有ガンマ酸化鉄 (平均長軸長0.12μm、短軸長0.015μm、 Fe2 +/Fe3 +=0.2、比表面積40m2/g、Hc=750Oe) 10重量部 アルミナ(α−Al23、平均粒径0.2μm) 3重量部 ジアセチルセルロース(帝人(株)製) 150重量部 ポリウレタン(N3132、日本ポリウレタン(株)製) 15重量部 ステアリン酸 2重量部 シクロヘキサノン 920重量部 アセトン 920重量部 上記を良く混合分散した後、サンドミルで分散後、ポリ
イソシアネート系架橋剤ミリオネートMR−400
((株)日本ポリウレタン工業製、固形分(100%)
を25重量部添加した後、充分撹拌混合して磁気記録層
塗布液とした。
【0114】〈潤滑層の塗設〉前記各フィルムの磁気記
録層の上に下記の組成の潤滑剤塗布液(以下ワックス
液)を調製し、該ワックスの付量が15mg/m2とな
るように塗布した。ワックス塗布後の原反を100℃の
熱処理ゾーンに5分間通して乾かした後、60℃のオー
ブンで3日間放置し、イソシアネートの架橋反応を充分
に行った。
【0115】〈ワックス液の調製〉 〈ワックス液〉下記に示すようにワックス液を調製し
た。
【0116】 C613CH(OH)(CH210COOC4061 0.7重量部 n−C50101(CH2CH2O)16H(活性剤) 1重量部 キシレン 2.5重量部 シクロヘキサノン 0.7重量部 プロピレングリコールモノエチルメーテル 35.1重量部 この溶液を高速攪拌ホモジナイザーにて充分分散した。
その後、下記の溶剤で希釈し、再度高速攪拌ホモジナイ
ザーで分散した。
【0117】 シクロヘキサノン 350重量部 分散した上記溶液に下記の素材を添加し攪拌混合してワ
ックス液を得た。
【0118】〈ワックス塗布液〉上記のワックス液に下
記のものを添加し、攪拌混合してワックス塗布液とし
た。
【0119】 アセトン 600重量部 セルロースジアセテート 3重量部 多官能ポリイソシアネート架橋剤ミリオネートMR−400((株) 日本ポリウレタン工業製、固形分100%) 0.5重量部 以上のワックス塗布液を磁気記録層の上に塗設して、各
フィルムを磁気記録層フィルム21、24、31及び3
4とし作製した。なお、前述のように、ポリエステルフ
ィルム製膜時のA及びDをフィルム番号の後ろに付け
た。
【0120】これらの磁気記録層フィルムの磁気記録層
の反対側にコニカ(株)製のカラーネガフィルムJX4
00の感光層及び非感光層を塗布し、磁気記録層の付い
たハロゲン化銀カラー写真感光材料を作製した。フィル
ム番号はそのままとした。
【0121】感光層の塗設してある磁気記録層フィルム
をコニカ製KP−500A型ミニラボ自動現像機に通
し、同様な試験を行った。
【0122】[磁気記録層の膜付き試験評価]23℃、
55%RHの環境下で、試料フィルムを12時間調湿し
た。各試料の磁気記録層の表面からカミソリで45°の
角度で長さ15mmの切れ目を入れ、この上に24mm
のセロファンテープを貼り付け、堅い丸い底のようなも
ので十分擦り、180°方向に素早く引き剥がし、下記
のランクで評価した。
【0123】 A:全然剥離しなかった B:未剥離部分が80%以上99%以下 C:未剥離部分が60%以上79%以下 D:剥離部分が59%以上あった。
【0124】上記磁気記録層フィルムの評価の結果を表
2に示した。
【0125】
【表2】
【0126】表2から判るように、本発明のポリエステ
ルフィルムの上に塗設されている磁気記録層の押し込み
変形量は小さく、しかも押し込みの全変形量に対する弾
性変形量の割合が大きく、傷の付きにくい磁気記録層を
得ることができた。
【0127】磁気記録層フィルム−24の様な水蒸気処
理及び高倍率延伸のポリエステルフィルムのドラム面側
にしかもその面にグロー放電処理した側に設けられ、か
つワックス層を設けた磁気記録層の接着性は高速耐傷性
試験や膜付き試験でも優れた性質を示した。本発明の押
し込み変形量に対する弾性変形の割合が大きいポリエス
テルフィルムの磁気記録層の接着性の劣化もドラム面ま
たはグロー放電処理によりより強固になることがわか
り、本発明の物性のフィルムが有効に利用できることが
分かった。なお、ミニラボ現像処理後の結果は全く変わ
らなかったので、表2には掲載しなかった。
【0128】
【発明の効果】押し込み全変形量が小さく、該変化量に
対する弾性変形量の割合が大きいように、延伸前から熱
固定の間で水蒸気処理を行い、及び/または高延伸率で
二軸延伸を行って製膜したポリエステルフィルム、及び
そのフィルムの上に設けられた磁気記録層も同様な性質
を有し、高速で扱われた時に発生し易い擦り傷に対し、
優れた強さを持つフィルムと磁気記録媒体を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】「変形量(深さ)〜時間曲線」グラフ。
【図2】「変形量(深さ)〜時間曲線」比較図。
【符号の説明】
(t) 時間軸 (h) 変形量(押し込み深さ) A 荷重の増加をやめた点(t1,h1)で定荷重に切り
替えた点 t1 増加荷重を定荷重に切り替えた時刻 h1 増加荷重を定荷重に切り替えた時の変形量 B 脱荷重をした点(t2,h2) t2 定荷重を脱重に切り替えた時刻 h2 定荷重を脱重に切り替えた時の変形量 C 減少した変形量がほぼ一定になる点(t3,h3) t3 脱重して変化量がほぼ一定になり計測を終了した
時刻 h3 脱重してほぼ一定となった変化量 (a) 本発明の水蒸気処理と高延伸を施したポリエス
テルフィルムの曲線 (b) 通常のフィルムの曲線 (a1) 本発明の水蒸気処理と高延伸を施したポリエ
ステルフィルムの全変形量 (a2) 本発明の水蒸気処理と高延伸を施したポリエ
ステルフィルムの弾性変形量 (b1) 通常のフィルムの全変形量 (b2) 通常のフィルムの弾性変形量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/633 G11B 5/633 5/70 5/70 5/704 5/704 // B29K 67:00 B29L 7:00 (72)発明者 渋江 俊明 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に押し込み変形が与えられた時の全
    変形量のうちの弾性変形量の割合を60%以上として製
    膜されたことを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 該全変形量が、負荷荷重500mgかつ
    負荷速度0.5gf/secで加重したとき1.0μm
    以下として製膜されたことを特徴とする請求項1に記載
    のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 製膜工程の溶融押し出し工程の後、熱固
    定工程の前に、水蒸気噴霧処理をして製膜されたことを
    特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 2軸延伸工程で、縦及び横方向いずれの
    延伸倍率も3.0〜5.5倍として製膜されたことを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエ
    ステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルがポリエチレン−2,6−
    ナフタレートであることを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    ポリエステルフィルムの上に磁気記録層を設けたことを
    特徴とする磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記磁気記録層の表面に押し込み変形が
    与えられた時の全変形量のうち弾性変形量の割合が60
    %以上であることを特徴とする請求項6に記載の磁気記
    録媒体。
  8. 【請求項8】 前記磁気記録層の表面に押し込み変形が
    与えられた時の全変形量が、負荷荷重500mg及び負
    荷速度0.5gf/secで負荷をかけた時、1.2μ
    m以下であることを特徴とする請求項6または7に記載
    の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記磁気記録層が、溶融ポリエステルを
    冷却ドラム上に押し出して製膜されたポリエステルフィ
    ルムの該ドラム側の面に、設けられたことを特徴とする
    請求項6乃至8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記磁気記録層が、ポリエステルフィ
    ルムの、グロー放電処理が施された面に、設けられたこ
    とを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の
    磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項6乃至10のいずれか1項に記
    載の磁気記録媒体のポリエステルフィルム上の磁気記録
    層を有する側の面と反対の側の面に多層のハロゲン化銀
    乳剤層及び非感光層を有することを特徴とするハロゲン
    化銀写真感光材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006274113A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JPWO2016166931A1 (ja) * 2015-04-13 2018-02-08 ソニー株式会社 磁気記録媒体
JP2020012087A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 東洋紡株式会社 フレキシブルディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム

Cited By (3)

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