JP2000063547A - プラスティック支持体、それを用いたハロゲン化銀写真感光材料及び磁気記録媒体 - Google Patents

プラスティック支持体、それを用いたハロゲン化銀写真感光材料及び磁気記録媒体

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JP2000063547A
JP2000063547A JP10237123A JP23712398A JP2000063547A JP 2000063547 A JP2000063547 A JP 2000063547A JP 10237123 A JP10237123 A JP 10237123A JP 23712398 A JP23712398 A JP 23712398A JP 2000063547 A JP2000063547 A JP 2000063547A
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Hirokazu Koyama
博和 小山
Yoshikazu Kondo
慶和 近藤
Kazuhiro Fukuda
和浩 福田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスティック支持体に表面処理を施すこと
によって、下引層を設ける必要がなくとも接着性の優れ
たプラスティック支持体を提供し、更にそれを用いて、
多層構成層の各層間においても接着性に優れたハロゲン
化銀写真感光材料や磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 500〜800Torrの気圧下で、導
入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとし
てガス中放電プラズマ処理を50W・min/m2以上
500W・min/m2未満で表面に施したことを特徴
とするプラスティック支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面処理を施し、下
引層を必要としないプラスティック支持体に関し、接着
性に優れたハロゲン化銀写真感光材料、磁気記録媒体及
びハロゲン化銀乳剤層を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に疎水性プラスティック支持体にハ
ロゲン化銀写真感光材料の構成層や磁気記録媒体の構成
層を接着させることは非常に難しく、特にゼラチン等の
親水性バインダー層を接着させるのは困難である。磁気
記録媒体においては、フィルム表面を何度も磁気ヘッド
で擦られるが、これに耐えるだけの接着性が要求され
る。また、ハロゲン化銀写真感光材料は、乾燥状態にお
いては勿論のこと、現像処理浴の酸性液やアルカリ性液
に浸漬され、処理液中や処理後においても接着性が良好
に維持されることが要求される。更に、最近のAPSと
よばれるハロゲン化銀感光層を有する磁気記録媒体にお
いては、磁気記録媒体材料の上記のような接着性の他
に、磁気記録媒体がハロゲン化銀写真感光材料の現像処
理を受けるため、処理後においても磁気記録層の接着性
が損なわれることがあってはならない。ポリマーがポリ
エチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの
ようなポリエステル支持体においては、上記の要求を満
たす接着性を得ることは極めて難しい。
【0003】プラスティック支持体とハロゲン化銀写真
感光材料や磁気記録媒体の構成層を接着させる技術とし
て、プラスティック支持体表面にあらかじめコロナ放電
処理、真空グロー放電処理、紫外線処理、電子線処理な
どの前処理を施す技術や、前処理後に下引層を設けるこ
とによって接着性を向上させる技術等が知られている。
しかしながら、プラスティック支持体に下引層を塗設す
る設備はかなり大きなものになり、ハロゲン化銀写真感
光材料や磁気記録媒体にとってコスト的に負担になる場
合が多い。
【0004】こうした背景において、下引層なしの表面
処理技術が模索されている。
【0005】例えば、最もよく知られている方法として
コロナ放電処理があり、特公昭48−5043号、同4
7−51905号、特開昭47−28067号、同49
−83769号、同51−41770号、同51−13
1576号等公報にその技術が開示されている。コロナ
放電処理はオープンな状態で、プラスティック支持体を
搬送させながら処理でき小さく簡単な設備で行えること
から極一般的な処理方法として使用されている。しかし
ながら、このコロナ放電処理は前記構造物を直接プラス
ティック支持体に接着させる程の能力はなく、下引層の
助けが必要となる。
【0006】下引層を必要としない表面処理方法として
真空グロー放電処理方法が知られている。例えば、特開
昭53−13672号及び特開平7−223761号公
報、米国特許第4,993,267号、同3,837,
886号及び同4,451,497号明細書等に開示さ
れている。しかしながら、真空グロー放電は、処理部を
真空に維持しなければならないという設備上、また、取
り扱い上大きな欠点がある。真空を維持しながら処理す
る方法としては、処理する支持体、装置全体を真空チャ
ンバー内に入れてしまうバッチ処理と真空処理室に外部
から支持体を連続供給するインライン処理とがある。バ
ッチ処理は、連続で長尺処理することが困難で、1回の
処理毎に真空を解除しなければならない等の問題があ
り、生産性の観点から工業的に不向きである。インライ
ン処理する方法としては、例えば特開平7−22376
1号公報に記載されているが、真空を維持するのが困難
でそれを解決するためには装置が非常に高価で複雑な設
備となる。また、何本ものロールが支持体処理面に接触
するため、処理効果が劣化したり、傷が出来たりする。
【0007】これに対して、大気圧またはその近傍の圧
力下でプラスティック支持体をグロー放電処理する技術
が、特公平4−74372号、特開平8−188659
号、同9−258376号等公報に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】大気圧またはその近傍
の圧力下でのグロー放電処理について、特開平8−18
8659号及び同9−258376号公報には、ヘリウ
ムと酸素及び/又は窒素との混合ガス中で大気圧近傍の
ガス圧中でグロー放電処理する技術が開示されている
が、ヘリウムが高価なため、コスト的な負荷が大きくな
り、あまり実用的ではない。また特公平4−74372
号公報には、希ガス類元素(アルゴンが好ましい)を2
0モル%以上含有するガス圧力が100〜1000To
rrで、500W・min/m2以上の出力でグロー放
電させる技術が開示されているが、プラスティック支持
体(以降、単に支持体ということもある)がポリエステ
ル支持体の場合、出力が強過ぎてピンホールが出来た
り、ハロゲン化銀乳剤層や磁気記録層などのハロゲン化
銀写真感光材料あるいは磁気記録媒体の構成層の接着性
が劣り、また現像処理などの湿潤状態での接着性もハロ
ゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体の通常の製品レベ
ルには達しなかった。
【0009】このように下引層が不用で、大気圧または
その近傍下で、設備的に安価な処理装置で処理し、かつ
接着性に優れたプラスティック支持体の処理方法の開発
が望まれ、それによって処理されたプラスティック支持
体が求められていた。
【0010】本発明の目的は、プラスティック支持体に
表面処理を施すことによって、下引層を設ける必要がな
くとも接着性の優れたプラスティック支持体を提供し、
更にそれを用いて、多層構成層の各層間においても接着
性に優れたハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の事情に鑑
みてなされたものであり、下記の構成により達成するに
至った。
【0012】(1)500〜800Torrの気圧下
で、導入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガ
スとしてガス中放電プラズマ処理を50W・min/m
2以上500W・min/m2未満で表面に施したことを
特徴とするプラスティック支持体。
【0013】(2)ポリエステルからなることを特徴と
する(1)に記載のプラスティック支持体。
【0014】(3)少なくとも1面に隣接してゼラチン
を全バインダーに対して30〜100重量%含有する親
水性層を有することを特徴とする(1)または(2)に
記載のプラスティック支持体。
【0015】(4)親水性層が、ガラス転移温度60℃
以下のポリマーを全バインダーに対して5〜70重量%
含有することを特徴とする(3)に記載のプラスティッ
ク支持体。
【0016】(5)親水性層が、オイル物質をゼラチン
に対する重量比として0.10〜0.85含有すること
を特徴とする(3)または(4)に記載のプラスティッ
ク支持体。
【0017】(6)前記親水性層の上に1層以上のゼラ
チン含有層を有し、該ゼラチン含有層の少なくとも1層
が硬膜剤を含有することを特徴とする(3)乃至(5)
の何れか1項に記載のプラスティック支持体。
【0018】(7)親水性層が導電性帯電防止剤を含有
する帯電防止層であることを特徴とする(3)乃至
(6)の何れか1項に記載のプラスティック支持体。
【0019】(8)少なくとも1面に隣接してガラス転
移温度80℃以下のポリマーを全バインダーに対し70
重量%以上含有するポリマー層を有することを特徴とす
る(1)または(2)に記載のプラスティック支持体。
【0020】(9)前記ポリマー層が導電性帯電防止剤
を含有する帯電防止層であることを特徴とする(8)に
記載のプラスティック支持体。
【0021】(10)導電性帯電防止剤が、イオン性導
電性ポリマーであることを特徴とする(7)または
(9)に記載のプラスティック支持体。
【0022】(11)導電性帯電防止剤が、コロイド状
金属酸化物ゾルまたは結晶性金属酸化物微粒子であるこ
とを特徴とする(3)乃至(10)の何れか1項に記載
のプラスティック支持体。
【0023】(12)(1)乃至(11)に記載のプラ
スティック支持体の少なくとも1面に少なくとも1層の
ハロゲン化銀乳剤層を有することを特徴とするハロゲン
化銀写真感光材料。
【0024】(13)(1)乃至(11)に記載のプラ
スティック支持体の少なくとも1面に磁気記録層を有す
ることを特徴とする磁気記録媒体。
【0025】(14)(1)乃至(11)に記載のプラ
スティック支持体の片面に少なくとも1層のハロゲン化
銀乳剤層と他の片面に磁気記録層を有することを特徴と
する磁気記録媒体。
【0026】以下に本発明について詳述する。
【0027】本発明の一つは、搬送しているプラスティ
ック支持体の少なくとも一面に、500〜800Tor
rの大気圧及びその近傍下でガス中放電によるプラズマ
処理を施したプラスティック支持体である。
【0028】先ず、本発明の大気圧及びその近傍の圧力
下でのガス中放電プラズマ処理について図1を用いて説
明するが、図1に限定するものではなく、特願平10−
94468号に記載の装置を参考にすることが出来る。
その1例としての図1に示した装置を用いて、大気圧ま
たはその近傍下の500〜800Torrの気圧下で、
ガス中放電プラズマ処理する際の導入する不活性ガスの
50圧力%以上をアルゴンとして、かつ50W・min
/m2以上500W・min/m2未満で、一対の電極間
を搬送されているプラスティック支持体に対して放電さ
せるが、その放電が恰も真空下で起こるグロー放電に似
た放電が起こりプラズマが発生し、プラズマによりプラ
スティック支持体の表面を処理活性化する。図1を説明
する。図1はガス中放電プラズマ処理装置の概略断面図
で、回転する第1電極3の円周と対向している複数個の
円筒状の第2電極2とガス導入口5を有している。搬送
されているプラスティック支持体1がガイドロール6に
導かれ、回転する第1電極3の円周に密着して同期して
回転移動し、その第1電極3に対向するように間隙が1
0mm以下の距離に位置する複数の円筒状の第2電極2
との間に、処理ガス4がガス導入口5から導入され、ガ
ス中放電プラズマ処理が行われる。図1にはこのガス中
放電プラズマ処理装置が二つあるが、2番目の処理装置
はプラスティック支持体の反対面を処理するもので、こ
のようにして両面処理されるようになっている。複数の
第2電極2の外側には、図示してない供給手段から供給
される処理ガス4を、噴出させるためのガス導入口5が
設けられている。このガス導入口5から噴出された処理
ガス4が、第1電極3と複数の第2電極2との間の間隙
を満たされる。そして、第1電極3は、複数の第2電極
2との間に電源周波数1〜100kHz(好ましくは1
〜10kHz)を印加することにより、第1電極3の回
転とともに連続搬送されているプラスティック支持体1
の複数の第2電極2に対向する面に対して放電が施され
る。この際、対向する電極間の一定間隙の中を安定して
一定速度でプラスティック支持体を搬送させること、一
定の組成の圧力の処理ガス(混合ガス)を安定に供給す
ること、アーク放電の発生を抑制し、真空グロー放電に
似た安定した放電をさせること、プラスティック支持体
が第1電極に密着していること等によって良質のプラズ
マを発生させ、プラスティック支持体の面が処理される
活性化されたプラスティック表面を得ることが出来る。
また処理に使用したガスはそのまま放出させずに回収し
て再利用することも行うことにより(図示されていな
い)、環境問題またコストの面からも好ましい。
【0029】本発明のガス中放電プラズマ処理は大気圧
またはその近傍下において行うものであり、経済的かつ
生産効率が優れている。真空グロー放電処理のような高
価な設備、また真空密閉系による長尺ものが連続的に出
来ないという生産効率の悪い設備を使用することなく出
来るところが、特徴的である。また高圧系での技術につ
いては真空系と同様であり、また危険性、技術の不確実
性から使用しえない。
【0030】本発明のガス中放電プラズマ処理の放電強
度は、アーク放電も起こらず安定した効果的な処理を行
うには、50W・min/m2以上500W・min/
2未満が好ましい。この範囲でガス中放電プラズマ処
理を行うことにより、処理の均一性、ダメージなく仕上
げることが出来、しかも優れた接着性を得ることが出
来、例えば、500W・min/m2以上では、処理強
度が強すぎて、フィルムにピンホールが発生したりして
ダメージを受け易い。特公平4−74372号公報の記
載によれば500W・min/m2以上でなければ接着
性がよくならないということであるが、本発明において
は500W・min/m2以上だとピンホールが多発
し、使用に耐えないものが出来、該公報と本発明とは全
く違う技術なのかも知れない。
【0031】第2電極2の本数は、第1電極3の直径、
第2電極2の直径、そこにかける電圧、出力やガス濃度
などによって変化するが、放電する際の第2電極同士の
干渉などが起こらないようにして、最大限に効果を発揮
出来るように本数を決めればよい。
【0032】本発明に使用するガス中放電プラズマ処理
装置の電極の材質は、ステンレス、アルミニウム、銅等
の金属から形成され、更に第1電極3及び第2電極2の
片方または両方が誘電体(例えばセラミックなど)に全
体または一部分被覆されている。誘電体の厚みは、好ま
しくは0.5〜3mmであるが、その材質または厚さは
導入されるガスの組成、間隙、電源条件などによっても
適点がことなる。電極の形は平板状でも、円筒状、棒状
であってもよい。電極間の間隙は10mm以下が好まし
い。
【0033】本発明のガス中放電プラズマ処理する対電
極間隙に導入する不活性ガスは50圧力%以上あること
が好ましく、処理を効率的に行い、かつ均一で安定して
行うには60圧力%以上、更には65圧力%が好まし
い。本発明においては、特開平8−188659号公報
に記載されている大気圧近傍でのグロー放電を行う際使
用するヘリウムガスと異なり、アルゴンガスを使用する
ことが特徴的である。アルゴンガスはヘリウムのように
高価でなく、また回収が容易でリサイクルも出来、コス
ト的に有利であるばかりでなく、ヘリウムより原子量が
大きく、一原子気体としての大きさも大きく、処理の
際、プラスティック支持体の表面にアルゴンが叩きつけ
られた時エッチングが起こり表面に凹凸を生じ、ヘリウ
ムでは見られない処理として有効な効果がある。また不
活性希ガスにはこの他ネオン、クリプトン、キセノン等
があるが、これらの原子は大きさ、質量が適当でないた
め、表面に叩きつけられた際のエッチング効果に過不足
を生じ、アルゴンによる表面処理能力には及ばないばか
りか、プラズマを発生させるためには、高出力、高周波
数が必要になり表面処理が強すぎプラスティック支持体
にダメージを与えてしまう。またコスト的にもアルゴン
が最も好ましい。本発明においては、他の不活性ガスの
ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス
を、他の不活性ガスを50圧力%未満含有させることが
出来る。また、必要に応じて、他のガス(活性ガス)と
して、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気、ア
ンモニアガス、ケトンを含むガス、炭化水素を含むガ
ス、水蒸気ガスを混合して処理を行ってもよい。これら
のガスは2種以上用いてもよい。これらガスのうち、窒
素ガス、水素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気ガスが特に
好ましい。これらを目的に応じてアルゴンガスを50圧
力%以上含有する不活性ガスと混合して処理することに
より、プラスティック支持体支持体表面に発現する活性
基をコントロールすることが出来る。
【0034】本発明の大気圧下ガス中放電プラズマ処理
は特願平10−94468号に記載されている方法、装
置によって行うことが出来るがこれらに限定されるもの
ではない。
【0035】本発明の表面処理の際のプラズマの発生
は、Optical Emission Spectr
oscopy法(略してOES)、あるいはPhoto
electoron Spectroscopy法(光
電子分光法)(略してPES)の測定により知ることが
出来る。
【0036】本発明のガス中放電プラズマ処理によりプ
ラスティック支持体表面に発現する活性基については光
電子分光法(ESCA)により知ることが出来る。例え
ばVG社製ESCALAB−200Rが使用できる。
【0037】なお、上記の真空グロー放電処理のように
密閉系で行う場合には、処理がバッチ式となり、一定の
長さのプラスティック支持体の処理しか出来ず、その都
度処理容器を大気圧に解放し、非効率的であるばかりで
なく、導入したガスの濃度組成が変化し、均一性が保持
出来ないという欠点がある。
【0038】本発明のプラスティック支持体としては、
ハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体に用いられる
ものならば制限なく使用し得る。例えば、ポリエチレン
テレフタレート(以降、PETと略すこともある)、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート(以降、PENと略
すこともある)、PETとPENの混合ポリエステル、
変性ポリエステル等のポリエステル系の支持体。セルロ
ーストリアセテート(以降、TACと略すこともある)
のようなセルロースエステル系の支持体などが挙げるこ
とが出来る。更には、ピロメリット酸あるいはその無水
物とジアミンの反応などで得られるポリイミドフィルム
やポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、
ポリオレフィンフィルムを使用することが出来る。これ
らのうちポリエステルを主成分とするポリエステル支持
体が好ましい。
【0039】本発明に有用なポリエステル支持体を構成
するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で
あれば、さらに他の共重合成分が共重合されていても良
いし、他のポリエステル、またはポリエステル以外のポ
リマーが混合されていてもよい。
【0040】本発明に有用なポリエステル支持体は、構
成成分のジカルボン酸とジオールとのエステル化及び重
縮合により得られたポリエステルを溶融したシートを2
軸延伸製膜法により得られるフィルム支持体である。
【0041】構成成分の一つのジカルボン酸としては、
透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、テレフ
タル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が、またもう
一つの構成成分のジオールとしては、上記同様な点から
エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールが好ましい。これらジカルボン酸とジオールを適宜
組み合わせてエステル化及び重縮合したポリエステルが
好ましい。中でも、PET;PEN;テレフタル酸及び
2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコール
からなるポリ(テレフタレート−コ−2,6−ナフタレ
ート);PETとPENの分子量の異なるものの混合物
を溶融時エステル交換したコポリエステル;エチレンテ
レフタレートとシクロヘキサンジメタノールとエチレン
グリコールとのコポリエステル、エチレン−2,6−ナ
フタレートとシクロヘキサンジメタノールとエチレング
リコールとのコポリエステル;エチレングリコールとシ
クロヘキサンジメタノールのジオールとテレフタル酸と
2,6−ナフタレンジカルボン酸のジカルボン酸との混
合ポリエステルが好ましい。これらのうち、全ポリエス
テルに対してエチレンテレフタレートユニット及び/ま
たはエチレン−2,6−ナフタレートユニットが70重
量%以上含有されていると、透明性、機械的強度、寸法
安定性等に優れたポリエステルフィルムが得られ好まし
い。
【0042】また、特開平6−240020号公報に記
載されているような積層構成を有するポリエステルであ
ってもよい。この場合、ポリエステルとしての共重合成
分として、スルホフタル酸ナトリウム、ポリエチレング
リコール等共重合成分として組み込むことによって親水
性のポリエステルとなり、この親水性ポリエステルを外
側に、そして芯としてポリエチレンテレフタレートやポ
リエチレンナフタレートのような剛性のある材料を用い
ることによって親水性を有するポリエステル支持体を作
ることが出来、本発明においても好ましく用いられる。
【0043】本発明に有用なポリエステル支持体のガラ
ス転移温度(Tg)は、50〜230℃が好ましく、支
持体の熱安定性、寸法安定性、剛性等の性質から特に7
0〜180のものが実用上特に好ましい。Tgは示差走
査熱量計で測定される。
【0044】本発明に有用なポリエステル支持体には、
ライトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有さ
せることが好ましい。このような目的で配合される染料
としては、その種類に特に限定があるわけではないが、
支持体の製造上、耐熱性に優れていることが必要であ
り、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げられ
る。また、色調としては、一般のハロゲン化銀写真感光
材料に見られるようにグレー染色が好ましい。
【0045】本発明に使用されるポリエステル支持体の
厚みは特に限定がある訳ではないが、用途に応じて厚さ
は異なり、好ましい厚さは20〜200μmであり、特
にハロゲン化銀カラー写真感光材料には60〜125μ
mの厚さが好ましい。
【0046】本発明に有用なポリエステル支持体のヘイ
ズは3%以下が好ましく、更に好ましくは1%以下であ
る。上記ポリエステル支持体を用いて、ハロゲン化銀写
真感光材料から写真用印画紙に焼付けた場合鮮明な画像
が得られる。ヘイズはASTM−D1003−52によ
って測定される。
【0047】本発明に有用なポリエステル支持体の製造
方法は公知の方法で行うことが出来る。例えば、特公昭
57−28336号、特開平1−244446号及び同
4−220329号公報に記載されている製膜方法を参
考にして製造することが出来る。
【0048】本発明の表面処理されたプラスティック支
持体は、下引層を必要とすることなく、表面処理した面
に直接ハロゲン化銀写真感光材料の構成層や磁気記録媒
体の構成層を設けることが出来るわけであるが、必要に
応じて、従来からハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録
媒体で使用されている下引層を設けてもかまわない。
【0049】本発明の一つ発明は、500〜800To
rrの大気圧あるいはその近傍下のガス中放電プラズマ
処理したプラスティック支持体面に隣接して、全バイン
ダーに対して30〜100重量%のゼラチンを含有する
親水性層を有するプラスティック支持体であって、この
親水性層より上の、構成層の接着性を向上させることが
出来る。ここで、バインダーとは、親水性層を形成可能
な親水性の高分子材料であって、ハロゲン化銀写真感光
材料あるいは磁気記録媒体に含有される、例えば、ハロ
ゲン化銀粒子、カプラー、染料、オイル、磁性粉、研磨
剤、マット剤、導電剤、界面活性剤等のハロゲン化銀粒
子や添加剤は概念的に含まない。言うまでもなく、バイ
ンダーには上記添加剤を含有させてもよい。
【0050】本発明の親水性層に使用されるゼラチン
は、ハロゲン化銀写真感光材料、食品やその他種々の目
的に使用されているものであれば制限なく使用出来る。
ゼラチンとしては、アルカリ処理のオセインゼラチンや
ハイドゼラチン、酸処理ピッグスキンゼラチンなどを挙
げることが出来、更にこれらのゼラチンを化学修飾した
アセチル化ゼラチンやフタル化ゼラチン等も挙げること
が出来る。
【0051】ゼラチン以外のバインダーとして、親水性
層塗布液のゼラチン水溶液に溶解するか、または安定に
分散するポリマーが好ましい。例えば、アルギン酸ナト
リウム、寒天、澱粉、ペクチン、κカラギーナン、カル
ボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、フタリルセルロースナトリウム、ポリビニル
アルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、ポリビニ
ルピロリドン、ポリイミダゾール等を挙げることが出来
る。
【0052】本発明の親水性層の塗布液は水系で調製さ
れ、この塗布液の安定性、または添加剤の系中での安定
性に影響しない範囲であれば、水と相溶性の有機溶媒を
使用してもよい。例えば、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコールやアセトン等である。
【0053】本発明の親水性層の膜厚は乾燥膜厚として
0.01〜10μm程度がよく、特に0.05〜5μm
が好ましい。
【0054】この処理された支持体面に隣接する親水性
層とその上の構成層との接着が、ハロゲン化銀写真感光
材料あるいは磁気記録媒体の構成層によっては、必ずし
も完全でない場合がある。このことは、その上の構成層
の物理的性質に依存し、上の層で発生した力を緩和出来
ずに接着性が劣化するのではないかと本発明者らは考え
ている。その考えに基づいて力を緩和するような添加物
を支持体と隣接する親水性層に添加することによって、
実際に接着性をさらに向上することが出来ることを見出
した。
【0055】即ち、本発明の親水性層に、力を緩和し得
る比較的軟らかいポリマーや、オイルを添加することに
よって、その上の構成層との接着性向上することが出来
たのである。
【0056】他の本発明は、支持体と隣接する親水性層
が、ガラス転移温度(以降、Tgと略すことがある)が
60℃以下のポリマーを全バイダーに対して5〜70重
量%含有することによって、前記親水性層とその上のハ
ロゲン化銀写真感光材料あるいは磁気記録媒体の構成層
との接着性を向上することが出来るプラスティック支持
体。本発明の前記親水性層に混合するポリマーのTgは
60℃以下が好ましいが、更に、十分に力を緩和させる
ためには40℃以下のポリマーが好ましい。
【0057】Tg60℃以下のポリマーを構成するモノ
マーあるいはポリマー構成成分には次のようなものを挙
げることが出来る。
【0058】付加重合のエチレン性不飽和モノマーとし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリ
ル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベ
ンジル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘ
キシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル
酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸
エステル類;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソ
プレン等のオレフィンまたはジオレフィン類;ビニルメ
チルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテ
ル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニ
ル等のビニルエステル類;メチルビニルケトン、エチル
ビニルケトン、プロピルビニルケトン等のビニルケトン
類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等
のスチレン類;アクリルアミド、N−メチルアクリルア
ミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリ
ルアミド、ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルア
クリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−
モルホリノアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルア
ミド、ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタ
クリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N
−モルホリノメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリ
ルアミド等のアクリルアミド類、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、クロロプレン等のハロゲン化ビニルまたはオレ
フィン類等を挙げることが出来る。なお、ここではノル
マル(n)、イソ(i)、セカンダリー(s)、ターシ
ャリー(t)については省略したが、何れの異性体も使
用し得る。
【0059】縮合重合系では、ポリエステルのジカルボ
ン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、
ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジ
カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニル
ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、
ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカ
ルボン酸等を、ジオール成分として、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4,4′−
ジ−β−ヒドロキシエチル)フルオレフィン、ジエチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノ
ン、シクロヘキサンジオール等を挙げることが出来る。
またカルボキシグリコール、多官能性アルコール、アミ
ンおよびアミノアルコールも使用出来る。なお、これら
のモノマーの詳細については「高分子データハンドブッ
ク[基礎編]」高分子学会編(培風館)を参考にでき
る。
【0060】上記モノマーを組み合わせて、あるいはポ
リエステル構成成分を組み合わせて付加重合、あるいは
縮合重合して得られるTgが60℃以下の本発明に有用
なポリマーの例を下記に示すが、本発明においてはこれ
らに限定されるものではない。なお、括弧内はTgで℃
が略されている。ここに記載したTgはホモポリマーの
場合はPolymer Handbook(ポリマー・
ハンドブック)Third Edition(サード・
エディション)A Wiley−Interscien
ce Publication(出版:ア・ウィリー−
インターサイエンス・パブリケーション)、209〜2
77頁を参考にした。またコポリマーの場合には、A.
V.Tobolsky(エイ、ヴイ、トボルスキイ)
著、「Properties and Structu
re of Polymer」(プロパーチーズ・アン
ド・ストラクチャー・オブ・ポリマー)、A Wile
y−Interscience Publicatio
n(出版:ア・ウィリー−インターサイエンス・パブリ
ケーション)、55頁;または、L.E.Nielse
n(エル・エー・ニールセン)化学同人、小野木重治
訳、26頁(1965)に記載の共重合物の計算式を参
考にTgを計算して示した。
【0061】本発明に使用出来るTg60℃以下のポリ
マーの例を以下に挙げる。( )内の数字はP−1〜1
9までは、コポリマーの組成比で重量比として、またP
−20と21はモル比として表されている。最後の数字
はTgで℃で表されている。
【0062】 P−1 ポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート)(75:25) 59 P−2 ポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート)(60:40) 38 P−3 ポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート)(40:60) 14 P−4 ポリ(スチレン−コ−ブチルアクリレート)(80:20) 54 P−5 ポリ(スチレン−コ−ブチルアクリレート)(50:50) 3 P−6 ポリ(メチルアクリレート−コ−(t)ブチルアクリレート −コ−メタクリル酸(20:65:15) 53 P−7 ポリ(メチルアクリレート−コ−(t)ブチルアクリレート −コ−メタクリル酸(45:45:10) 38 P−8 ポリ(メチルアクリレート−コ−(t)ブチルアクリレート−コ−メタ クリル酸(65:30:5) 26 P−9 ポリ(スチレン−コ−(n)ブチルアクリレート−コ− グリシジルメタクリレート)(40:30:30) 21 P−10 ポリ(メチルアクリレート−コ−(n)ブチルアクリレート −コ−アクリル酸)(40:40:20) 18 P−11 ポリ(メチルアクリレート−コ−(n)ブチルアクリレート−コ− メタクリル酸−コ−アクリルアミド(40:40:10:10) 25 P−12 ポリ(エチルアクリレート−コ−メタクリル酸)(95:5) −18 P−13 ポリ(エチルアクリレート−コ−メタクリル酸)(75:25) 12 P−14 ポリ(エチルアクリレート−コ−メタクリル酸−コ− アクリルアミド)(60:10:30) 22 P−15 ポリ(ビニリデンクロライド−コ−メチルメタクリレート) (90:10) −9 P−16 ポリ(ビニリデンクロライド−コ−(n)ブチルアクリレート) (90:10) −22 P−17 ポリ(ビニリデンクロライド−コ−アクリロニトリル−コ− メタクリル酸)(60:30:10) 24 P−18 ポリ(ビニリデンクロライド−コ−アクリロニトリル−コ− メタクリル酸)(80:15:5) 2 P−19 ポリ(ビニリデンクロライド−コ−アクリロニトリル−コ− メタクリル酸)(90:5:5) −7 P−20 コポリエステル;テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウム スルホイソフタル酸−エチレングリコール/ネオペンチルグリ コール)[(78:17:5):(80:20)] 45 P−21 コポリエステル[(テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウム スルホイソフタル酸)−(エチレングリコール/ジエチレングリ コール)][(55:36:9):(80:20)] ポリエステル市販品(東洋紡(株)製) バイロナールMD1100、40 バイロナールMD1400、23 バイロナールMD1930、−10 本発明の親水性層に添加するポリマーとしては、付加重
合の場合には、乳化重合して得られたポリマーラテック
スが好ましく、また縮合重合物の場合には、親水性ポリ
マー(例えば親水性ポリエステル)を溶媒中に溶解して
水に分散したポリマー微粒子のものが好ましい。
【0063】本発明のTg60℃以下ポリマーは、親水
性層の全バインダーに対して5〜70重量%含有するこ
とが好ましく、親水性層の上のハロゲン化銀写真感光材
料または磁気記録媒体の構成層の接着性を向上させるに
適した量である。
【0064】また他の本発明は、親水性層にオイル物質
を添加することによって、支持体に隣接する親水性層と
その上の構成層との接着性を向上することが出来るプラ
スティック支持体である。
【0065】この接着性の原理は前のTg60℃以下の
ポリマーを添加するのと同様なものと本発明者らは考え
ている。本発明の親水性層に添加されるオイル物質は、
水不溶の油状物質で、乳化分散された油滴として、詳し
くは親水性層のゼラチンバインダー中に油状として独立
して分散された微粒子油滴となっている。具体的には、
高沸点を有する液体で、ハロゲン化銀写真感光材料にし
ばしばカプラーを溶解分散させるために用いられる高沸
点溶媒もオイル物質である。
【0066】本発明で使用する微粒子油滴の大きさは、
平均粒径が0.01〜1μmの範囲のものが好ましく、
更に好ましくは0.1〜1μmである。なお、微粒子油
滴平均粒径は、例えば、レーザードップラーによる粒径
測定方式のコールターモデルN4サブミクロンパーティ
クルアナライザにより測定出来る。
【0067】本発明に使用する微粒子油滴を形成するオ
イル物質としては、常圧での沸点が180℃以上のもの
が好ましく、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、
コハク酸、マレイン酸、フマル酸、マゼライン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸等のジカルボン
酸のジアルキルエステル類、燐酸のトリアリールエステ
ル類、グリセリンのトリアルキルエステル類、パラフィ
ン、フッ素化パラフィン、シリコンオイル等がハロゲン
化銀写真感光材料に対して悪影響がなく、入手し易いこ
と、化学的に安定で取り扱い易いことなどの点から好都
合に使用し得る。具体的には、グルタル酸ジメチル、グ
ルタル酸ジエチル、アジピン酸ジアミル、アジピン酸ジ
(n)オクチル、セバチン酸ジ(n)オクチル、セバチ
ン酸ジブチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジ
エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル
酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル
酸ジ(n)オクチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタ
ル酸ジブチル、テレフタル酸ジエチル、燐酸トリクレジ
ル、燐酸トリフェニル、トリ酪酸グリセリン、トリプロ
ピオン酸グリセリン、パラフィン、フッ素化パラフィ
ン、シリコンオイル等を挙げることが出来るが、これら
に限定されるものではない。
【0068】本発明に使用する微粒子油滴を形成する方
法は、公知の任意の方法を用いることができるが、代表
的な方法としては、例えば、1種または2種以上のオイ
ル物質を有機溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、シク
ロヘキサノール、ジメチレングリコールモノアセテー
ト、ニトロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、シクロ
ヘキサンテトラヒドロフラン、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、プロピルアルコール、フッ素化アルコー
ル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサ
ン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等)に溶解し、アニオン系界面活性剤(アルキル
ベンゼンスルホン酸やアルキルナフタレンスルホン酸の
ような)、ノニオン系界面活性剤(ソルビタンセスキオ
レイン酸エステルやソルビタンモノラウリン酸エステル
のような)から選ばれる少なくとも一つを含有させたゼ
ラチン水溶液に混合し、分散機(例えば、高速回転ミキ
サー、コロイドミルまたは超音波分散装置等)で乳化分
散して得られる。得られたオイル物質のゼラチン分散液
を親水性層塗布液に添加し、ガス中放電プラズマ処理し
たプラスティック支持体面に、親水性層として塗布し、
乾燥させると溶解に使用した有機溶媒は蒸発して殆ど親
水性層中には残存しなくなる。
【0069】本発明で使用するオイル物質は、接着性が
向上するのに十分な量として、またオイル物質が層の外
にしみ出す、いわゆる発汗現象が起こらない量として、
親水性層中のゼラチンに対するオイル物質の重量比を決
めるのがよく、その比は0.1〜0.85であることが
好ましく、0.20〜0.60であることがより好まし
い。また、オイル物質中に、種々の写真添加剤を含有せ
しめてもよい。写真用添加剤としては、紫外線吸収剤、
現像抑制剤放出型化合物(いわゆるDIR化合物)、ハ
イドロキノン誘導体の如きステイン防止剤、色素褪色防
止剤、酸化防止剤等がある。また、色濁り防止剤を含有
することも好ましい。色濁り防止剤としては、特開平5
−216184号公報に記載された、発色現像主薬の酸
化体と反応し且つ画像濃度を付与しない化合物が挙げら
れ、ハイドロキノン系化合物、ピロガロール系、カテコ
ール系化合物、スルホニルアミノ系化合物)、カップリ
ング型化合物及びヒドラジン系化合物等が挙げられる。
【0070】本発明の処理された支持体に隣接する親水
性層には、必要に応じて従来公知の添加剤、例えば染
料、マット剤活性剤、可塑剤等を添加してもよい。
【0071】更にもう一つの本発明は、ガス中放電プラ
ズマ処理された支持体に隣接しある親水性層の上の1層
以上のゼラチンを含有する層を有し、これらのゼラチン
含有層の少なくとも1層が硬膜剤を含有することによ
り、隣接した親水性層とその上の層との接着を向上させ
ることが出来るプラスティック支持体である。本発明の
支持体に隣接した親水性層が、硬膜剤を含有していて
も、またなくてもよい。隣接親水性層が応力緩和を起こ
させるTgが60℃以下のポリマーやオイル物質などを
含まない場合、前記親水性層とその上のゼラチンを含有
する層との接着性向上させる方法として、親水性層の上
のゼラチン含有する層の少なくとも1層に硬膜剤を含有
させることによって解決出来ることを本発明者らは見出
した。
【0072】これらのゼラチン層に添加する硬膜剤とし
ては、ゼラチンと反応して硬膜する硬膜剤であれば制限
なく使用できるが、それら代表的な硬膜剤としては、ア
ルデヒド系、アジリジン系(例えば、PBレポート、1
9921、米国特許第2,950,197号、同2,9
64,404号、同2,983,611号及び同3,2
71,175号の各明細書、特公昭46−40898号
及び特開昭50−91315号の各公報に記載のも
の)、イソオキサゾール系(例えば、米国特許第3,3
31,609号明細書に記載のあるもの)、エポキシ系
(例えば、米国特許第3,047,394号、西独特許
第1,085,663号及び英国特許第1,033,5
18号の各明細書、更に特公昭48−35495号公報
に記載のもの)、ビニルスルホン系(例えば、PBレポ
ート19,920、西独特許第1,100,942号、
同2,337,412号、同2,545,722号、同
2,635,518号、同2,742,308号、同
2,749,260号及び英国特許第1,251,09
1号の各明細書、また特公昭49−13563号及び同
48−110996号、更に、米国特許第3,539,
644号及び同3,491,911号の各明細書に記載
のもの)、アクリロイル系(例えば、特公昭53−77
8号公報及び米国特許第3,640,720号明細書に
記載のもの)、カルボジイミド系(例えば、米国特許第
2,938,892号、同4,043,818号及び同
4,061,499号各明細書に記載のもの)、トリア
ジン系(例えば、西独特許第2,410,973号、同
2,553,915号及び米国特許第3,325,28
7号の各明細書、更に特開昭52−12722号公報に
記載のもの)、オキサゾリン系(例えば、特開平5−2
95275号公報に記載のもの)、高分子型(例えば、
英国特許第822,061号、米国特許第3,623,
878号、同3,396,029号及び同3,226,
234号の各明細書、特公昭47−18578号、同4
7−18579号及び同47−48896号の各公報に
記載のもの)、イソシアネート系、ポリアミド−エピク
ロルヒドリン樹脂(例えば、特開昭51−3619号記
載のもの)、反応性のハロゲンを有する化合物、その他
マレイミド系、アセチレン系、メタンスルホン酸エステ
ル系、N−メチロール系の硬膜剤を挙げることが出来
る。
【0073】なお、本発明の処理された支持体に隣接す
る親水性層にも、その上のゼラチンを含有する層との接
着性を損なわない程度に上記と同様な硬膜剤を添加して
もかまわない。
【0074】より更なる他の本発明は、ガス中放電プラ
ズマ処理を施した支持体面に隣接する層を、Tg80℃
以下のポリマーを全バインダーに対して70重量%以上
含有するポリマー含有層とすることによっても、その上
の層の接着性を向上することも出来るプラスティック支
持体である。Tg80℃以下のポリマーは、前述Tg6
0℃以下のポリマーの構成成分あるいはモノマー自身
を、Tgが80℃以下になるように組み合わせてつくる
ことによって作製することが出来る。ポリマーの例を下
記に示す。組成比、Tgの示し方は前述Tg60℃以下
の場合と同様である。
【0075】 P−22 ポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート)(80:20)66 P−23 ポリ(スチレン−コ−(n)ブチルアクリレート)(90:10) 75 P−24 ポリ(スチレン−コ−(n)ブチルアクリレート−コ−グリシジル メタクリレート)(60:20:20) 74 P−25 ポリ(スチレン−コ−(n)ブチルアクリレート−コ− メタクリル酸)(80:15:5) 68 P−26 コポリエステル[(テレフタル酸/イソフタル酸)−(エチレン グリコール/ジエチレングリコール)][(90:10): (86:14)] 63 P−27 コポリエステル[(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸/ 4,4′−ジフェニルカルボン酸)−(エチレングリコール/ ネオペンチルグリコール)][(50:50):(60:40)] 70 ポリエステル市販品(東洋紡績(株)製) バイロナールMD1200、67 前述のTg60℃以下のポリマーも使用出来ることは言
うまでもない。
【0076】Tg80℃以下のポリマーを全バインダー
の70重量%以上含有させた残りのバインダーとして
は、ゼラチン、水溶性ポリマー等を挙げることが出来、
ハロゲン化銀写真感光材料やゼラチンをバインダーとす
る磁気記録媒体の場合には、ゼラチンや水溶性ポリマー
が好ましく、疎水性ポリマーを使用している磁気記録媒
体においては、親水性の物質は混合しても、あるいは疎
水性ポリマーがほとんどの層であってもよい。
【0077】また更なる他の本発明は、支持体のガス中
放電プラズマ処理面に隣接して帯電防止層を設けたプラ
スティック支持体である。本発明に有用な帯電防止層は
処理された支持体との接着性が優れ、更にその上のゼラ
チンを含有する層との接着性もよく、更に前記発明のゼ
ラチンを含有する層にTg60℃以下のポリマーを含有
させたり、オイル物質を添加させたり、上のゼラチンを
含有する層に硬膜剤を添加させたりすることによって、
帯電防止層とその上の層との接着性を更に強固にするこ
とが出来ることを本発明者は見出した。つまり、本発明
の支持体に隣接する親水性層あるいはTg80℃以下の
ポリマー層が帯電防止層であることによって、接着性に
優れ、かつ静電気の障害なしにハロゲン化銀乳剤層を設
けることが出来、また微細なゴミ等の異物の吸着を防ぐ
ことが出来、磁気記録層の入出力エラーなどのノイズ防
止能を有するハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体
を作製することが出来る。
【0078】本発明の支持体に隣接する帯電防止層に有
用な導電性帯電防止剤は、一般にハロゲン化銀写真感光
材料に有用な導電性帯電防止剤、あるいは導電性帯電防
止組成物のほとんどを用いることが出来る。例えば、特
公昭47−28937号及び同49−23828号公報
に記載のスチレン−マレイン酸ナトリウム、特開昭53
−82876号公報に記載のビニルベンジルスルホン酸
ナトリウム共重合体、特公昭48−23451号公報に
記載のスチレンスルホン酸ナトリウムの重合体あるいは
共重合体等のアニオン系導電性帯電防止剤;特開昭51
−42535号、同54−159222号及び同55−
7763号公報に記載のアイオネン重合物(例えば、ト
リエチレンジアミンとキシリデンジクロライドとの重合
物)、米国特許第2,882,157号明細書に記載の
例えば、ポリメタクリロイルエチルジエチルメチルアン
モニウムメチルスルホネート、特公昭60−51693
号、特開昭61−223736号及び同62−9346
号公報に記載の第4級アンモニウム基を側鎖に持つ架橋
型共重合体粒子(例えば、コポリマー〔N,N,N−ト
リメチル−N−ビニルベンジルアンモニウムクロライド
−コ−ジビニルベンゼン〕)、特開平7−28194号
公報に記載のアイオネン重合体架橋型あるいはアイオネ
ン重合体を側鎖に持つ共重合体粒子等のカチオン帯電防
止剤(例えば、ポリビニルベンジルクロライドと末端N
−(トリエチレンジアミンとキシリデンジクロライドと
の重合物)との架橋反応物)、特公昭57−12979
号公報に記載のアルミナゾルを主成分とするもの、特公
昭35−6616号公報に記載のSnO2ゾル、特開昭
57−104931号公報に記載のZnO、SnO2
TiO2、Al23、In23、SiO2、MgO、Ba
O、MoO3、ZiO2等の微粒子金属酸化物、特公昭5
5−5982号公報に記載のV25等の金属酸化物帯電
防止剤、特公昭52−32572号公報に記載の高級脂
肪アルコールリン酸エステル帯電防止剤、特開平2−2
52726号公報に記載のポリ(イソチアナフテン)
系、特開平2−255770号公報あるいは同2−30
8246号公報に記載のポリ(チオフェン)系等の共役
二重結合導電性高分子等を挙げることが出来る。上記記
載の導電性帯電防止剤の中でもイオン導電性ポリマー、
コロイド状金属酸化物ゾルまたは結晶性金属酸化物微粒
子が好ましい。これら金属酸化物帯電防止剤は、特にゼ
ラチンやセルロースジアセテートに混合した場合、非常
によく分散し、導電性が現像処理後においてもあり、本
発明の帯電防止層に好ましく用いられる。
【0079】上記プラスティック支持体を用いたハロゲ
ン化銀写真感光材料も本発明である。では、本発明のプ
ラスティック支持体に形成するハロゲン化銀写真感光材
料について述べる。本発明の500〜800Torrの
大気圧あるいはその近傍の圧力範囲で、ガス中放電プラ
ズマ処理したプラスティック支持体の少なくとも1面に
ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料
に関する。
【0080】ハロゲン化銀乳剤層としては、X線用ハロ
ゲン化銀乳剤層、印刷感材用ハロゲン化銀乳剤層、ネガ
カラーハロゲン化銀乳剤層、ポジカラーハロゲン化銀乳
剤層、感熱ハロゲン化銀乳剤層等を挙げることが出来
る。これらのハロゲン化銀乳剤層は1層の場合もあれ
ば、2層以上の乳剤層が積層されている場合がある。例
えばカラーネガハロゲン化銀乳剤層では少なくとも6層
あるいはそれ以上もある。これらの多層のハロゲン化銀
乳剤層は非感光層が間に挟まれて積層している場合が多
い。ハロゲン化銀乳剤層以外の各構成層としては、ハレ
ーション防止層、クロスオーバー光カット層、、紫外線
防止層、中間層、保護層、保護層上層、帯電防止層、光
吸収層、バック層、バック層上層等を挙げることが出来
る。これらの層はハロゲン化銀乳剤層と用途に応じて組
み合わされ、多層のハロゲン化銀写真感光材料が構成さ
れる。
【0081】本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料
のハロゲン化銀乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロー
ジャー(以降「RD」と、またNo.を略記する)N
o.17643、22〜23頁(1978年12月)
“I.乳剤製造(Emulsion preparat
ion and types)”及び同No.1871
6、648頁、グラフキデ著『写真の物理と化学』ポー
ルモンテル社刊(P.Glafkides、Chemi
c et Phisique Photographi
que、Paul Montel、1967)、ダフィ
ン著『写真乳剤化学』フォーカルプレス社刊(G.F.
Duffin、PhotographicEmulsi
on Chemistry、Focal Press
1966)、ゼリクマンら著『写真乳剤製造と塗布』フ
ォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et
al、Making and Coating Ph
otographic Emulsion、Focal
Press、1964)などに記載された方法を用い
て調製することができる。
【0082】乳剤は米国特許第3,574,628号、
同3,665,394号及び英国特許第1,413,7
48号明細書に記載された単分散乳剤も好ましい。
【0083】ハロゲン化銀乳剤には、物理熟成、化学熟
成及び分光増感を行うことが出来る。このような工程で
使用される添加剤は、RD17643、同18716及
び同308119に記載されている。
【0084】本発明のハロゲン化銀写真感光材料がハロ
ゲン化銀カラー写真感光材料である場合、使用すること
ができる写真用添加剤も上記RDに記載されている。ま
た、種々のカプラーを使用することができ、その具体例
もRD17643及びRD308119に記載されてい
る。
【0085】また、これら添加剤は、RD30811
9、1007頁、XIV項に記載されている分散法などに
より、写真感光層に添加することができる。
【0086】ハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前
述のRD308119、II−K項に記載されているフィ
ルター層や中間層などの補助層を設けることができる。
【0087】ハロゲン化銀カラー写真感光材料を構成す
る場合、前述のRD308119VII−K項に記載され
ている順層、逆層、ユニット構成などの様々な層構成を
とることが出来る。
【0088】この発明のハロゲン化銀写真感光材料を現
像処理するには、例えばT.H.ジェームズ著、セオリ
イ・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス第4版
(The Theory of The Photog
raphic ProcessFourth Edit
ion)291〜334頁、及びジャーナル・オブ・ザ
・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journal
of the American Chemical
Society)第73巻、3,100頁(195
1)に記載されている、それ自体公知の現像剤を使用す
ることができる。また、カラー写真感光材料は前述のR
D17643、28〜29頁、RD18716、615
頁及びRD308119、XIXに記載された通常の方法
によって、現像処理することができる。
【0089】更に、上記プラスティック支持体を用いた
磁気記録媒体も本発明である。では、この磁気記録媒体
の磁気記録層について説明する。磁気記録層に用いられ
る磁性体微粉末としては、金属磁性体粉末、酸化鉄磁性
体粉末、Coドープ酸化鉄磁性体粉末、二酸化クロム磁
性体粉末、バリウムフェライト磁性体粉末などが使用で
きる。これらの磁性体粉末の製法は既知であり、本発明
で用いられる磁性体粉末についても公知の方法にしたが
って製造することができる。
【0090】磁性体粉末の形状・サイズは特に制限はな
く、広く用いることができる。形状としては針状、米粒
状、球状、立方体状、板状などいずれの形状を有するも
のであってもよいが、針状、板状であることが電磁変換
特性上好ましい。結晶子サイズ、比表面積ともに特に制
限はない。磁性体粉末は表面処理されたものであっても
よい。例えば、チタン、珪素、アルミニウムなどの元素
を含む物質で表面処理されたものでもよいし、カルボン
酸、スルホン酸、硫酸エステル、ホスホン酸、燐酸エス
テル、ベンゾトリアゾールなどの含チッ素複素環をもつ
吸着性化合物のような有機化合物で処理されていてもよ
い。磁性体粉末のpHも特に制限はないが、5〜10の
範囲にあることが好ましい。
【0091】磁性体粒子のサイズについては、そのサイ
ズと透明性との間に相関があることが「テレビジョン」
第20巻、第2号「超微粒子半透明磁気記録媒体の特性
とその応用」に記載されている。例えば、γ−Fe23
の針状粉末においては粒子サイズを小さくすると光透過
率が向上する。
【0092】米国特許第2,950,971号明細書に
は、疎水性バインダー中に分散された磁性酸化鉄からな
る磁気層が赤外線を透過させることが記載されており、
米国特許第4,279,945号明細書には、磁気層中
における磁性体粒子の濃度が比較的多い場合にも粒子サ
イズを小さくすると波長632.8nmのヘリウム・ネ
オンレーザー光の透過性がよくなることが記載されてい
る。
【0093】本発明のガス中プラズマ処理が両面になさ
れた支持体面に隣接して設けられた片面の親水性層の上
にはハロゲン化銀乳剤をはじめとする各種機能層が設け
られたハロゲン化銀写真感光材料に、他の片面の親水性
層の上に磁気記録層が設けられた磁気記録媒体(上記A
PSのこと)において、特にハロゲン化銀カラー写真感
光層の画像形成領域に磁気記録層(反対面に)を設ける
場合、赤色領域だけでなく、緑色領域や青色領域の光透
過率も高くなければならない。赤色領域、緑色領域及び
青色領域の光透過率を高くするためには、磁性体粒子の
粒径を小さくすると共に、磁性体粒子の塗設量も制限さ
れなければならない。
【0094】磁性体粒子は、ある程度以上に粒径を小さ
くすると必要な磁気特性が得られなくなる。したがっ
て、磁性体粉末の粒径は必要な磁気特性が得られる範囲
で小さくすることが好ましい。また、磁性体粒子の塗設
量も、ある程度以上に少なくすると必要な磁気特性が得
られなくなるので、必要な磁気特性が得られる範囲で少
なくすることが好ましい。
【0095】実用的には、磁性体粉末の塗設量は0.0
01〜3g/m2であり、より好ましくは0.01〜1
g/m2である。
【0096】磁気記録層に用いる疎水性バインダーとし
ては、従来、磁気記録媒体用として使用されている公知
の熱可塑性樹脂、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、そ
の他の反応型樹脂及びこれらの混合物を使用することが
できる。
【0097】熱可塑性樹脂は、Tgが−40〜200
℃、好ましくは60〜120℃であるものであり、重量
平均分子量は10000〜300000であるものが好
ましく、さらに好ましくは、重量平均分子量が5000
0〜200000のものである。
【0098】本発明における磁気記録層の疎水性バイン
ダーは、セルロースエステルを主成分とすることが好ま
しく、具体的には、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピ
オネート等のセルロースアセテート系;硝酸セルロー
ス;硫酸セルロース、及びそれらの混合エステル等があ
り、好ましくはセルロースジアセテート、セルロースア
セテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネ
ート、特にはセルロースジアセテートである。
【0099】磁気記録層の疎水性バインダーは架橋剤
(硬膜剤)によって硬膜してもよい。使用できる硬膜剤
としては、アルデヒド系化合物類、ケトン化合物類、反
応性のハロゲンを有する化合物類、反応性のオレフィン
を持つ化合物類、N−ヒドロキシメチルフタルイミド、
N−メチロール化合物、イソシアナート類、アジリジン
化合物類、酸誘導体類、エポキシ化合物類、ハロゲンカ
ルボキシアルデヒド類及び無機化合物類等硬膜剤を挙げ
ることができ、ハロゲン化銀写真感光材料に用いる硬膜
剤も使用し得る。
【0100】この中でも、磁気記録層のバインダーに対
してはイソシアネート類が好ましい。イソシアネート類
の硬膜剤としてはトリレンジイソシアネート、4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの2量
体、3量体(例えば(株)日本ウレタン製ミリオネート
シリーズ)、更にはこれらとポリアルコールとの反応生
成物(例えば、(株)日本ウレタン製コロネートシリー
ズ)などを挙げることが出来る。
【0101】硬膜剤は、通常、疎水性バインダーに対し
て0.01〜30重量%用いられ、好ましくは0.05
〜20重量%である。
【0102】磁性体粉末は、必要に応じ溶剤を用いて結
合剤中に分散され、塗布液が形成される。磁性体粉末の
分散にはボールミル、ホモミキサー、サンドミルなどを
用いることができる。この場合、磁性体粒子を破損する
ことなく、できるだけ磁性体粒子一個一個をバラバラに
して分散することが好ましい。
【0103】本発明に係わる磁気記録媒体は、光学的に
透明性が必要であり、磁気記録層のバインダー1重量部
に対して、磁性体粉末を1〜1/20重量部用いるのが
好ましい。更には好ましくは、磁性体粉末を1/2〜1
/15重量部である。
【0104】磁気記録層の厚みは、0.1〜10μmが
好ましく、より好ましくは0.2〜5μm、更に好まし
くは0.5〜3μmである。
【0105】磁気記録層を形成する塗布液には、磁気記
録層に、潤滑性の付与、帯電防止、接着防止、摩擦・磨
粍特性向上などの機能を持たせるために、潤滑剤、帯電
防止剤など種々の添加剤を添加することが出来る。ま
た、塗布液には他に、例えば、磁気記録層に柔軟性を与
えるために可塑剤を、塗布液中での磁性体の分散を助け
るために分散剤を、磁気ヘッドの目づまりを防止するた
めの研磨剤を添加することが出来る。
【0106】必要に応じて磁気記録層に隣接する最外層
に保護層を設けて耐傷性を向上させるために、滑り剤と
して知られる化合物を用いてもよく、高級脂肪酸エステ
ルが好ましく用いられる。また、磁気記録層をストライ
プ状に設ける場合、磁気記録層のストライプの段差をな
くために、この上に磁性体を含有しない透明なポリマー
層を設けてもよい。この場合、この透明ポリマー層に上
記のような添加剤を加え各種の機能を持たせてもよい。
【0107】しかしながら、磁気記録媒体の膜付き、目
詰まり防止、耐擦り傷性なども支持体のガス中放電プラ
ズマ処理、それに隣接する層やその上の層等の影響を受
け易い。そこで、上記各発明を組み合わせることによっ
て、優れた品質の磁気記録媒体を得ることが出来る。
【0108】本発明の最後は、上記プラスティック支持
体を用いた支持体の片面にハロゲン化銀乳剤層を有し、
その反対面に透明な磁気記録層を有する磁気記録媒体で
ある。これは前記APSに用いられる。本発明はこのA
PS用の磁気記録媒体に有用なプラスティック支持体を
提供出来る。
【0109】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0110】[接着性の評価]各試料を23℃、55%
RHの環境下で96時間放置する。その後、同じ環境下
で以下の手順で接着性を評価する。この試料を即日接着
性試験(T−0)とする。
【0111】図2は接着性を評価するための試料の概念
的断面図である。支持体11の上の塗布層12を有する
試料にカミソリの切れ目13を支持体面に対して45°
の角度で深さ方向に支持体の厚さの約5%程度に切れ目
の深さ14に入れ、市販の25.4mm幅、100mm
長さのセロファンテープ15を切れ目の上に約50mm
の長さで貼り、約5kg/cm2以上の圧力で、先が丸
く堅い物体擦って圧着してセロファンテープ接着部16
を作り、引き剥がすための浮かせてあるセロファンテー
プの部分17を手で持って矢印の方向(支持体面と平行
に)強く早く引っ張って剥がす。この時のセロファンテ
ープ接着部の面積に対して剥離された面積の割合を接着
レベルを5段階に設定し、評価する。
【0112】経時試験の代用として、試料を同上条件で
24時間調湿後、ポリエチレンラミネートの包装袋に密
閉して、55℃の72時間加熱し、開封後、同様に24
時間調湿して、同様に接着性試験を行い、経時接着性試
験(DT−72)とする。
【0113】A:全く剥離がない B:剥離面積が5%未満 C:剥離面積が5%以上10%未満 D:剥離面積が10%以上50%未満 E:剥離面積が50%以上。
【0114】[現像処理後の膜付きの評価]ハロゲン化
銀カラー写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層側の全層塗
設後の膜付き試験を、現像処理前と、下記現像処理後に
付いて上記膜付き試験のT−0と同様に評価を行う。
【0115】 (現像処理) 〈現像処理〉 1. カラー現像 ・・・・ 3分15秒 38.0±0.1℃ 2. 漂 白 ・・・・ 6分30秒 38.0±3.0℃ 3. 水 洗 ・・・・ 3分15秒 24〜41℃ 4. 定 着 ・・・・ 6分30秒 38.0±3.0℃ 5. 水 洗 ・・・・ 3分15秒 24〜41℃ 6. 安 定 ・・・・ 3分15秒 38.0±3.0℃ 7. 乾 燥 ・・・・ 50℃以下 各工程に用いる処理液組成を以下に示す。
【0116】 〈発色現像液〉 4−アミノ・3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル) アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0g 無水炭酸カリウム 37.5g 臭化ナトリウム 1.3g ニトリロ三酢酸・ナトリウム塩(1水塩) 2.5g 水酸化カリウム 1.0g 水を加えて1リットルとする(pH=10.1) 〈漂白液〉 エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水を用いてpH6.0に調整する。
【0117】 〈定着液〉 チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH6.0に調整する。
【0118】 〈安定液〉 ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ株式会社製) 7.5ml 水を加えて1リットルとする。
【0119】[磁気ヘッド通過に対する耐傷性]HEI
DONN−14DR((株)新東科学製)を用いてヘッ
ド荷重300g、速度100mm/秒でヘッドを100
回パスさせる。その後、傷の状態を4段階で評価した。
Bレベル以上であれば実害はないが、Aレベルであるこ
とが好ましい。
【0120】A:傷なし B:弱い傷 C:強い傷 D:ヘッドが通過した跡の膜が全面はがれている。
【0121】[導電性の評価]23℃、55%RHの環
境下でサンプルを12時間放置。その後、同じ環境下
で、川口電機(株)製テラオームメーターモデルVE−
30を用いて、その表面比抵抗を測定した。
【0122】[塗布性の評価]処理した支持体に隣接し
た親水性層の上に、磁気記録層塗布液を塗布し、5m2
を目視で磁気記録層を観察し、5m2当たりのゴミに起
因するハジキ状塗布異常部分の個数をカウントする。
【0123】A:全く見られない B:小さな異常箇所が5m2あたり、1個以下 C:小さな異常箇所が5m2あたり、2〜5個 D:異常箇所が5m2あたり6個以上10個未満 E:10個以上 実施例1 市販(帝人製)の厚さ85μmのPEN支持体をステン
レス製の巻き芯に巻き付け、110℃で48時間熱処理
した。別に厚さ100μmのPET支持体と下記PET
積層支持体を用意した。
【0124】PET積層支持体は、3層同時に押し出し
が出来る共押し出し機を用いて、35μmのPETフィ
ルムを15μmと40μmの変性ポリエステルで挟んで
積層して、通常のPETフィルムと同様に2軸延伸と熱
固定を行って製膜したものである。変性ポリエステル
は、コポリエステル[(テレフタル酸/5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル)−(エチレングリコール
/ポリエチレングリコール)]でその組成比(モル比)
が(95:5):(99.5:0.5)のものである。
【0125】これらの支持体を搬送しながら図1の装置
を用いて片面に、本発明のガス中放電プラズマ処理を表
1のような条件で行い、支持体a〜h(gとhは比較
例)を得、また比較として特公平4−74372号公報
記載の図と同様な装置を用い、該公報とほぼ同じ処理条
件(表1)及び、特開平8−188659号公報に記載
の図2の同様な装置を用い、該公報から読みった処理条
件(表1)で放電処理を行い、それぞれ支持体i及びj
を得た。
【0126】次に、支持体a〜jの処理面に親水性層の
ゼラチン含有塗布液gを20ml/m2の塗布量で塗布
し、上記の方法で支持体に対するゼラチンの接着性とピ
ンホールを評価した。
【0127】 〈親水性層Gのゼラチン含有塗布液g〉 ゼラチン 10g 水 24g メタノール 961g サリチル酸 3g ノニオン性界面活性剤(特公平3−27099号公報記載のI−13) 0.1g 結果を表1に示した。
【0128】
【表1】
【0129】(結果)この結果から本発明のガス中放電
プラズマ処理を行ったプラスティック支持体に塗設され
た親水性層は、処理フィルム支持体に強固に接着してい
た。またピンホールもなかった。これに対しHeを使用
した処理の比較例支持体iは接着性が悪く、また処理強
度600W・min/m2で処理を行った比較例はピン
ホールが多く発生し、また接着性も支持体の内部が壁解
し支持体が破壊された。
【0130】実施例2 実施例1に記載のガス中放電プラズマ処理された支持体
の上に隣接する親水性層として、実施例1の塗布液g、
下記の塗布液gp、塗布液go及び塗布液polをそれ
ぞれ、また更にその上に、下記の塗布液gu及びghを
それぞれ組み合わせて、上下層がそれぞれ乾燥膜厚が
0.5μmになるように同時重層塗布を行い、T−0と
DT−72の膜付き試験を行った。塗布液ghは塗布液
gを表4の如く何層か重層した上に塗布(全て同時重層
塗布)した。層は支持体に隣接した親水性層から遠くな
るに従い1、2、3・・・と付けた。
【0131】 〈Tg60度以下のポリマーを含有する親水性層GP塗布液gpの調製〉 ゼラチン 30g ポリマー (表2に記載) 化合物(C−9) 0.4g 水で1000gに仕上げる 〈オイル物質を含有する親水性層GO塗布液goの調製〉 ゼラチン 30g オイル物質 (表3に記載) 化合物(C−9) 水で1000gに仕上げる 〈親水性層の上の層GU塗布液guの調製〉 ゼラチン 30g 化合物(C−7) 0.1g 水で1000gに仕上げる 〈親水性層の上の硬膜剤を含有する層GH塗布液ghの調製〉 ゼラチン 30g 化合物(C−7) 0.1g 硬膜剤 (表4に種類、量を記載) 水で1000gに仕上げる 〈支持体にTg80℃以下のポリマーを主成分とする隣接ポリマー層POL塗布 液polの調製〉 ポリマー(表5に記載) 30g 化合物(C−9) 0.4g 水で1000gに仕上げる 比較としてポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート)
(95:5重量%)Tg=91℃のP−28も用いた。
【0132】上記の組成等を下記表2、表3、表4及び
表5に示す。なお試料番号をそれぞれ組み合わせた記号
を、例えばGP\GH−1のように記載した。これはG
Pの上にGHがあり、番号が1との意である。
【0133】
【化1】
【0134】膜付きの評価結果を表2〜5に示す。
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
【化2】
【0138】
【表4】
【0139】
【化3】
【0140】
【表5】
【0141】(結果)本発明のガス中放電プラズマ処理
した支持体に隣接して設けた親水性層の上のゼラチン層
中にTg60℃以下のポリマーを、オイル物質をまた硬
膜剤を添加混合した試料は親水性層とその上の層との接
着性がいずれも充分であった。代用経時の接着性でもよ
い結果を得た。しかしポリマーのTgが60℃を超えた
ものについては若干膜付きが低下しまた添加量の少ない
ものについてもやや劣る結果を得た。またオイル物質の
場合にはオイルを多く(比として0.85以上)DT−
72試験でオイル物質が表面にブリードアウト(発汗現
象)が見られた。硬膜剤を添加した場合では何れの試料
も良好な接着性を示していた。接着性試験で剥離したと
ころは全てGとGU、GPとGU、GOとGU、またG
とGHとの界面であった。単にG\GUの場合は他のも
の若干劣ってはいるが、かなりの接着性を示しているこ
とがわかる。本発明の以外の処理をした支持体上に上記
と同様の親水性層及びその上の層を設けた試料(No.
10、11、22、23、35)はいずれも接着性は悪
く、剥離したところは支持体面と親水性層界面との間で
あった。
【0142】処理した支持体にTg80℃以下のポリマ
ーを主成分とする層(POL)を設けた場合にも、DT
−72試験で若干下がるものの良好な接着性を示した。
また本発明以外の処理をした支持体に設けPOLは接着
性が悪く、支持体面とPOL界面との間で剥離した。
【0143】実施例3 実施例1で作製した支持体の上に支持体に隣接する親水
性層としての帯電防止層(A)を塗設した。帯電防止層
はゼラチンを主とするバインダー(AG)、Tgが60
℃以下のポリマーを混合使用(AGP)、またはオイル
物質を混合使用(AGO)し、更に帯電防止層がTg8
0℃以下のポリマーバインダーを使用(AP)のものも
作製した。導電性帯電防止剤には表6(化2)に記載し
たものを使用した。またこれらの層の上にはGUまたは
GHを実施例2と同様に同時重層により塗設した。各試
料につき、帯電防止層の上層に対する接着性と種々の添
加剤が混合している状態での表面比抵抗を評価した。
【0144】 〈帯電防止層A塗布液aの調製〉 バインダー(種類は表6に記載) 10g 導電性帯電防止剤 (種類と添加量は表6に記載) 化合物(C−9) 0.4g 水で1000gに仕上げる。
【0145】
【表6】
【0146】
【化4】
【0147】結果を表6に示す。
【0148】(結果)帯電防止層の表面比抵抗値はいず
れも使用した導電性帯電防止剤の種類に応じた値が得ら
れ、添加したものによって若干変化はあるものの満足行
く結果を得た。接着性については何れも良好であった。
試料No.48のAG\GUは実施例2と同様な結果で
あった。また本発明以外の処理をした支持体のものは何
れも接着性は悪く、剥離したところは、実施例2と同
様、支持体と親水性層またはポリマー層との界面との間
であった。
【0149】実施例4 実施例1で作製した支持体の上に隣接して実施例3で使
用した帯電防止層を塗設し、続けて下記磁気記録層塗布
液mを乾燥膜厚が1.2μmになるように、更にその上
に滑り層塗布液oを乾燥膜厚が0.02μmになるよう
に塗布し乾燥させた。磁気記録層の膜付き評価する試料
については、滑り層Oを塗設する前のものを使用した。
滑り層Oを塗設したものについては、耐擦り傷性試験、
塗布性について評価した。
【0150】 〈磁気記録層M塗布液mの調製〉 磁性体(Co−被着γ−Fe23、抗磁力900 Oe、 表面積40m2/g、短軸0.03μm) 4.8g 結合剤 セルロースジアセテート (酢化度55%、重量平均分子量180,000) 100g 架橋剤(種類を表7に記載) 17g 研磨粒子A(r2/r1=1.1、A123、中心粒径0.8μm) 1.2g 架橋性PMMA粒子(綜研化学(株)MX−150) 0.2g アセトン 1130g シクロヘキサン 280g を混合し、ディゾルバーで1時間混和し、その後サンド
ミルで2時間分散して塗布液とした。
【0151】 〈滑り層O塗布液oの調製〉 カルナウバワックス 7g トルエン 700g メチルエチルケトン 300g 結果を表7に示す。
【0152】
【表7】
【0153】
【化5】
【0154】(結果)これらの表からわかるように、本
発明の支持体は磁気ヘッドの耐擦り傷性にも優れ、特
に、支持体に隣接したの帯電防止層のバインダーがTg
60℃以下のポリマーを5重量%以上含有するもの、オ
イル物質とゼラチンとの重量比が0.10〜0.85の
もの、Tgが80℃以下のポリマーを70重量%以上含
有するものは、接着性と耐擦り傷性が優れていた。また
塗布性も導電性帯電防止剤の効果で塵埃の付着もなく、
良好であった。本発明以外の処理をした支持体を用いた
場合には、接着性も耐擦り傷性も悪い結果となった。
【0155】実施例5 実施例1で作製し処理した支持体bとiを準備する。こ
の二つの処理した支持体の一方の面にそれぞれ下記の帯
電防止層塗布液agp−1を乾燥膜厚が0.3μmにな
るように帯電防止層AGP−1を塗設し、またその上に
上記磁気記録層塗布液mを乾燥膜厚が1.2μm、滑り
層塗布液oを乾燥膜厚が0.02μmになるように重層
塗布した。
【0156】 〈帯電防止層塗布液agp−1の調製〉 ゼラチン 10g P−20 1g ANS−3 30g 水 10g メタノール 961g ノニオン界面活性剤(特公平3−27099号公報記載I−13) 0.1g 更に、この逆面にそれぞれ下記付き量のハレーション防
止層とコニカカラーJX−400と同一のハロゲン化銀
乳剤層と他の構成層(ハレーション防止層は除く)を同
時重層塗布を行った。
【0157】 〈ハレーション防止層の調製〉 ゼラチン 2g/m2 黒色コロイド銀 0.16g/m2 oil−1 0.16g/m2 UV−1 0.3g/m2 CM−2 0.123g/m2 CC−1 0.044g/m2 (オイル物質/ゼラチン=0.32重量比)
【0158】
【化6】
【0159】この試料の一部を下記現像処理を行い、ハ
ロゲン化銀写真感光材料構成層側の現像処理前後の、ま
た磁気記録層側の現像処理前後の接着性試験を行った。
また、磁気記録媒体構成層側の現像処理前後の磁気ヘッ
ド通過に対する耐擦り傷性も評価した。
【0160】結果を表8に示す。
【0161】
【表8】
【0162】(結果)この結果から、本発明の処理をし
た支持体を用いたハロゲン化銀写真感光材料の構成層の
現像処理前後とも接着性がよく、また磁気記録媒体とし
ての磁気記録層側の構成層の現像処理前後の接着性及び
磁気ヘッド通過に対する耐擦り傷性も良好であった。こ
れに対して本発明以外の処理をした支持体のものは何れ
も悪かった。
【0163】
【発明の効果】プラスティック支持体にガス中放電プラ
ズマ処理を施すことによって、下引層を設ける必要がな
くとも接着性の優れたプラスティック支持体を得ること
が出来、更に、処理面に塗設する親水性層やポリマー層
の上に多層構成層を設けた各層間においても接着性に優
れたハロゲン化銀写真感光材料や磁気記録媒体を得るこ
とが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス中放電プラズマ処理装置の概略断面図
【図2】接着性を評価するための試料の概念的断面図
【符号の説明】
1 プラスティック支持体 2 第2電極 3 第1電極 4 処理ガス 5 ガス導入口 6 ガイドロール 11 プラスティック支持体 12 塗布層 13 カミソリの切れ目 14 切れ目の深さ 15 セロファンテープ 16 セロファンテープ接着部 17 引き剥がすために浮かせてあるセロファンテープ
の部分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月16日(1999.9.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正内容】
【0071】更にもう一つの本発明は、ガス中放電プラ
ズマ処理された支持体に隣接る親水性層の上1層以
上のゼラチンを含有する層を有し、これらのゼラチン含
有層の少なくとも1層が硬膜剤を含有することにより、
隣接した親水性層とその上の層との接着を向上させるこ
とが出来るプラスティック支持体である。本発明の支持
体に隣接した親水性層、硬膜剤を含有していても、ま
たなくてもよい。隣接親水性層が応力緩和を起こさせる
Tgが60℃以下のポリマーやオイル物質などを含まな
い場合、前記親水性層とその上のゼラチンを含有する層
との接着性向上させる方法として、親水性層の上のゼ
ラチン含有する層の少なくとも1層に硬膜剤を含有さ
せることによって解決出来ることを本発明者らは見出し
た。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0142
【補正方法】変更
【補正内容】
【0142】処理した支持体にTg80℃以下のポリマ
ーを主成分とする層(POL)を設けた場合にも、DT
−72試験で若干下がるものの良好な接着性を示した。
また本発明以外の処理をした支持体に設けPOLは接
着性が悪く、支持体面とPOL界面との間で剥離した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正内容】
【0143】実施例3 実施例1で作製した支持体の上に支持体に隣接する親水
性層としての帯電防止層(A)を乾燥膜厚0.4μmと
なるように塗設した。帯電防止層はゼラチンを主とする
バインダー(AG)、Tgが60℃以下のポリマーを混
合使用(AGP)、またはオイル物質を混合使用(AG
O)し、更に帯電防止層がTg80℃以下のポリマーバ
インダーを使用(AP)のものも作製した。導電性帯電
防止剤には表6(化2)に記載したものを使用した。ま
たこれらの層の上にはGUまたはGHを実施例2と同様
に同時重層により塗設した。各試料につき、帯電防止層
の上層に対する接着性と種々の添加剤が混合している状
態での表面比抵抗を評価した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0145
【補正方法】変更
【補正内容】
【0145】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDT G03C 1/795 G03C 1/795 1/91 1/91 G11B 5/718 G11B 5/718

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 500〜800Torrの気圧下で、導
    入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとし
    てガス中放電プラズマ処理を50W・min/m2以上
    500W・min/m2未満で表面に施したことを特徴
    とするプラスティック支持体。
  2. 【請求項2】 ポリエステルからなることを特徴とする
    請求項1に記載のプラスティック支持体。
  3. 【請求項3】 少なくとも1面に隣接してゼラチンを全
    バインダーに対して30〜100重量%含有する親水性
    層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    プラスティック支持体。
  4. 【請求項4】 親水性層が、ガラス転移温度60℃以下
    のポリマーを全バインダーに対して5〜70重量%含有
    することを特徴とする請求項3に記載のプラスティック
    支持体。
  5. 【請求項5】 親水性層が、オイル物質をゼラチンに対
    する重量比として0.10〜0.85含有することを特
    徴とする請求項3または4に記載のプラスティック支持
    体。
  6. 【請求項6】 前記親水性層の上に1層以上のゼラチン
    含有層を有し、該ゼラチン含有層の少なくとも1層が硬
    膜剤を含有することを特徴とする請求項3乃至5の何れ
    か1項に記載のプラスティック支持体。
  7. 【請求項7】 親水性層が導電性帯電防止剤を含有する
    帯電防止層であることを特徴とする請求項3乃至6の何
    れか1項に記載のプラスティック支持体。
  8. 【請求項8】 少なくとも1面に隣接してガラス転移温
    度80℃以下のポリマーを全バインダーに対し70重量
    %以上含有するポリマー層を有することを特徴とする請
    求項1または2に記載のプラスティック支持体。
  9. 【請求項9】 前記ポリマー層が導電性帯電防止剤を含
    有する帯電防止層であることを特徴とする請求項8に記
    載のプラスティック支持体。
  10. 【請求項10】 導電性帯電防止剤が、イオン性導電性
    ポリマーであることを特徴とする請求項7または9に記
    載のプラスティック支持体。
  11. 【請求項11】 導電性帯電防止剤が、コロイド状金属
    酸化物ゾルまたは結晶性金属酸化物微粒子であることを
    特徴とする請求項3乃至10の何れか1項に記載のプラ
    スティック支持体。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11に記載のプラスティ
    ック支持体の少なくとも1面に少なくとも1層のハロゲ
    ン化銀乳剤層を有することを特徴とするハロゲン化銀写
    真感光材料。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至11に記載のプラスティ
    ック支持体の少なくとも1面に磁気記録層を有すること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至11に記載のプラスティ
    ック支持体の片面に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
    層と他の片面に磁気記録層を有することを特徴とする磁
    気記録媒体。
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