JP3752187B2 - 固形粉末化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素化合物処理粉体、有機変性粘土鉱物及び油剤を各特定量含有する粉末組成物と、揮発性溶剤とを混合して容器又は中皿に充填し、該揮発溶剤を除去することにより成形されることを特徴とする固形粉末化粧料に関するものであり、更に詳しくは、成形時に表面にヒビ割れや容器又は中皿との間にスキマを生じることなく、耐衝撃性に優れ、化粧崩れの無い優れた固形粉末化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固形粉末化粧料の成形方法は、粉体と油剤を含有する粉末組成物を圧縮成形する乾式成形法、粉体と油剤を含有する粉末組成物と揮発性溶剤とを混合してスラリーを調製し、これを容器又は中皿に充填し、該揮発性溶剤を乾燥により除去して成形する湿式成形法等が、一般的に用いられている。前記湿式成形法は、前記乾式成形法に比べて、弾力を有する粉体やアスペクト比(板状比)が高い薄片状粉体等を多量に含有する場合でも、良好な成形物を得ることができる優れた成形方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記湿式成形法による固形粉末化粧料は、揮発性溶剤の除去時に内容物が収縮することにより、ヒビ割れが発生したり、内容物と容器又は中皿との間にスキマができる等の課題を有していた。このような課題の解決方法として、特開平9−255528号公報では、高アスペクト比の粉体と球状粉体を組み合わせる方法が知られていた。しかし、この方法では、含有する粉体が限定されてしまい、多種多様の化粧料を具現化することが困難であった。更に、この方法は、球状粉体を多量に含有するため、経時的に化粧崩れを生じる場合があった。
【0004】
また、有機変性ベントナイト等の有機変性粘土鉱物を結合剤として用いる方法も知られていた。しかし、この方法では、揮発性溶剤の除去によるヒビ割れを防止することはできず、結果として耐衝撃性が満足できる水準には無かった。
【0005】
このため、湿式成形法による固形粉末化粧料において、表面にヒビ割れやスキマを生じることなく、耐衝撃性に優れ、化粧崩れの無い優れた固形粉末化粧料の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、粉体として、フッ素化合処理粉体及び有機変性粘土鉱物を用いることにより、揮発性溶剤の除去が容易になり、結果として、表面にヒビ割れやスキマを生じることなく、耐衝撃性に優れる固形粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)フッ素化合物処理粉体 5〜99.49質量%
(b)有機変性粘土鉱物 0.01〜10質量%
(c)油剤 0.5〜30質量%
を含有する粉末組成物と、揮発性溶剤とを混合して容器又は中皿に充填し、該揮発性溶剤を除去することにより成形されることを特徴とする固形粉末化粧料を提供するものである。
【0008】
また、前記揮発性溶剤が軽質流動イソパラフィンであることを特徴とする前記固形粉末化粧料を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(a)のフッ素化合物処理粉体は、粉体をフッ素化合物で処理した粉体であり、撥水・撥油性の粉体であり、湿式成形時に、揮発性溶剤の除去を妨げることが少ないため、内容物の収縮が少なく、表面のヒビ割れやスキマの発生が抑制できるものである。また、成分(a)の粉体は、化粧崩れを防止することにも優れる粉体である。
【0010】
成分(a)において、フッ素化合物により処理される粉体は、通常化粧料に使用されるものであれば、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、コンジョウ、群青、無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、カオリン、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、スメクタイト、ベントナイト、タルク、石膏、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ポリスチレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー等の有機粉体類等、及びこれら粉体を一種又はは二種以上複合化した粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0011】
成分(a)において、前記粉体を処理するフッ素化合物は、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルコール、パーフルオロエポキシ化合物、パーフルオロアルキル硫酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチルアクリレート、テトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0012】
このようなフッ素化合物は、市販品として、パーフルオロアルキルリン酸塩であるアサヒガードAG530(旭ガラス社製)、パーフルオロアルキルシランであるLP−8T(信越シリコーン社製)、パーフルオロポリエーテルであるフォンブリンHC/05(アウジモント社製)等が挙げられる。また、パーフルオロアルキルリン酸塩とパーフルオロアルキルエチルアクリレートを組み合わせて処理した粉体であるNFP処理粉体(ダイキン工業社製)等が挙げられる。
【0013】
成分(a)において、粉体にフッ素化合物を処理する方法は、特に限定されず、通常公知の方法を用いることができるが、例えば、乾式処理法、湿式処理法、噴霧式処理法等が挙げられる。乾式処理法とは、粉体とフッ素化合物とを混合機中で直接混合し処理する方法等である。また、湿式処理法とは、水、アルコール、アセトン、ヘキサン、トルエン等の溶媒中にフッ素化合物を分散又は溶解し、次いで、この溶媒中に粉体を分散させ、均一混合後、該溶媒を除去する方法等である。更に、噴霧式処理法とは、フッ素化合物を直接噴霧するか、水、アルコール、アセトン、ヘキサン、トルエン等の溶媒中にフッ素化合物を分散又は溶解し、次いで、この溶媒を粉体に噴霧し、該溶剤を除去する方法等である。
【0014】
成分(a)において、粉体に処理するフッ素化合物の処理量は、粉体が撥水性及び撥油性を帯びるのに必要な量であり、0.001〜30質量%(以下単に%という)が好ましく、0.1〜8%が特に好ましい。成分(a)における処理量が、この範囲であると、化粧崩れ防止、耐衝撃性等のより向上する固形粉末化粧料を得ることができる。
【0015】
本発明の粉末組成物における、成分(a)の含有量は5〜99.49%であり、好ましくは15〜80%である。成分(a)の含有量が、5%未満では、ヒビ割れ防止効果が得られず、好ましくない。
【0016】
本発明に用いられる成分(b)の有機変性粘土鉱物は、膨潤性層状ケイ酸塩等の粘土鉱物の層間金属イオンを第4級アルキルアンモニウムイオン等のカチオンで置換したものであり、湿式成形法において粉体同士の結合剤として用いられるものである。成分(b)における粘土鉱物は、層間に水を取り込んで膨潤する性質を示す層状ケイ酸塩であり、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト型粘土やフッ素を導入した膨潤性雲母等が挙げられる。これらの粘土鉱物は、天然由来、合成品の何れでも良い。
【0017】
このような粘土鉱物は、例えば、下記一般式(1)で示されるもの等が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】
また、成分(b)において前記粘土鉱物を変性するカチオンとしては、第4級アルキルアンモニウムイオン等が挙げられ、具体的には、下記一般式(2)で示されるもの等が挙げられる。
【0020】
【化2】
【0021】
前記一般式(2)におけるアルキル基は、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチルオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、オクタデシル等が挙げられる。
【0022】
成分(b)の粘土鉱物をカチオンで変性させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示すような方法が挙げられる。粘土鉱物を水中に分散させ、この懸濁液に第4級アルキルアンモニウム塩を添加し、十分に混合する方法、第4級アルキルアンモニウム塩溶液中に、粘土鉱物懸濁液を添加し、十分に混合する方法等が挙げられる。尚、前記変性反応は、室温で充分進行するが、必要に応じて加温してもよい。加温する場合の最高温度は、用いられる第4級アルキルアンモニウム塩の耐熱性に支配され、その分解点以下であれば任意に設定が可能である。次いで固液を分離し、生成物を水洗浄して、副成電解質を充分に除去する。これを乾燥し、必要に応じて粉砕して用いる。
【0023】
成分(b)において、粘土鉱物を変性する第4級アルキルアンモニウム塩の添加量は、第4級アルキルアンモニウムイオンとして、粘土鉱物のカチオン交換容量と当量用いることが好ましい。より具体的には、粘土鉱物のカチオン交換容量に対する第4級アルキルアンモニウム塩の添加量は0.5〜1.5倍量(モル当量換算)が好ましく更には0.8〜1.4倍量(モル当量換算)であることが好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(b)は、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトであるベントン38(エレメンティスジャパン社製)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトであるベントン27(エレメンティスジャパン社製)、トリオクチルメチルアンモニウムヘクトライト等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0025】
本発明の粉末組成物における、成分(b)の含有量は0.01〜10%である。成分(b)の含有量が0.01%未満では、耐衝撃性が良好にならず、10%を超えて含有しても、耐衝撃性の効果は大きく変わるものでは無い。
【0026】
本発明に用いられる成分(c)の油剤は、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキレングリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0027】
本発明の粉末組成物における、成分(c)の含有量は0.5〜30%であり、好ましくは2〜20%である。成分(c)の含有量が0.5%未満では、化粧崩れ防止効果、耐衝撃性が良好とならず、30%を超えて含有すると、ヒビ割れを生じるため、好ましくない。
【0028】
本発明の粉末組成物には、上記成分(a)〜(c)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に使用される成分、成分(a)及び成分(b)以外の粉体、水性成分、水溶性高分子、界面活性剤、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル−シリコーングラフト共重合体等の被膜形成剤、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン等の保湿剤、α−トコフェロール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤、香料等を適宜配合することができる。
【0029】
本発明の粉末組成物の調製方法は、特に限定されないが、成分(a)〜(b)及びその他の粉体を混合し、これに成分(c)及びその他成分を添加し、均一分散し粉砕する方法等が挙げられる。
【0030】
本発明は、粉末組成物と揮発性溶剤とを混合して容器又は中皿に充填し、該揮発性溶剤を除去することにより成形されることを特徴とする固形粉末化粧料である。本発明において、容器又は中皿は、前記粉体組成物を充填するものであり、容器に直接充填してもよいし、金皿や樹脂皿等の中皿に充填した後、これを容器に装着することも可能である。
【0031】
本発明に用いられる揮発性溶剤としては、沸点が250℃以下の揮発性化合物が好ましく、具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、水、n−ブタノール、軽質流動イソパラフィン等の低沸点炭化水素、低重合度のジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン、低沸点パーフルオロポリエーテル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これら揮発性溶剤として、軽質流動イソパラフィンを選択すると、ヒビ割れ防止効果がより優れるため好ましい。
【0032】
本発明における、粉末組成物と揮発性溶剤との混合比は、粉末組成物を容器又は中皿に充填するために、流動性を付与する程度に任意に選択されるが、概ね1:0.3〜1:1.5が好ましい。この範囲であれば、揮発性溶剤の除去が良好である。
【0033】
また、本発明において、粉末組成物と揮発性溶剤を混合する際に、成分(b)は膨潤した状態で含有させることが好ましく、このために、成分(b)と成分(c)は、予めデスパーミキサー等を用いて、十分に混合することが好ましい。
【0034】
更に、前記粉末組成物と揮発性溶剤との混合物を容器又は中皿に充填する際、表面を平滑にするためにパッド等を用いて弱くプレスすることが好ましい。更に、そのプレス時に、多孔質プレスヘッドや吸収体を用いて、揮発性溶剤を吸収させることもできる。そして、揮発性溶剤を除去するための乾燥条件は、揮発性溶剤の沸点や比熱に応じて適宜設定されるが、軽質流動イソパラフィンの場合、50〜70℃にて10〜20時間程度である。
【0035】
本発明の固形粉末化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、日焼け止め料、コンシーラー等が挙げられる。また本発明の固形粉末化粧料の形状は、ケーキ状、スティック状、ペンシル状等が挙げられる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例及び比較例:ケーキファンデーション
表1及び表2に示す組成及び下記調製方法により、ケーキファンデーションを調製し、化粧崩れの無さ、ケーキ表面の状態、耐衝撃性の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価し、結果を併せて表1及び表2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
(製造方法)
A:成分1〜11を混合する。
B:成分13〜14を加熱し、混合する。
C:Bに成分12を添加して、ディスパーミキサーにて分散する。
D:AにCを添加し、粉砕して粉末組成物を得た。
E:前記粉末組成物100部に対して、溶剤65部を添加し、混合してスラリー状とする。
F:Eを金皿に充填し、70℃で一昼夜乾燥し、揮発性溶剤を除去してケーキファンデーションを得た。
【0040】
(評価方法:化粧崩れの無さ)
前記実施例1〜9及び比較例1〜7のケーキファンデーションを化粧品評価専門パネル20名に使用してもらい、化粧塗布直後の状態と塗布5時間後の状態を比較して、「化粧崩れの無さ」について、各パネルが各ファンデーション毎に以下の評価基準により評点を付し、そして全パネルの評点の平均点を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
<評価基準>
内 容 評 点
非常に良好 : 5
良好 : 4
普通 : 3
やや不良 : 2
不良 : 1
<判定基準>
全パネルの評点の平均点 判 定
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
2.0以上〜3.5未満 : △
2.0未満 : ×
【0041】
(評価方法:表面状態)
前記実施例1〜9及び比較例1〜7のケーキファンデーションの表面を目視にて観察し、各ファンデーション毎に以下の4段階の判定基準により判定した。尚、ヒビ割れは、成形品表面に観察される亀裂であり、スキマは金皿と内容物の間の空間を意味する。
<判定基準>
表面状態 判 定
ヒビ割れ、スキマ無し : ○
僅かなヒビ割れやスキマ有り : △
大きなヒビ割れやスキマ有り : ×
【0042】
(評価方法:耐衝撃性)
前記実施例1〜9及び比較例1〜7のケーキファンデーションをそれぞれ5個用意し、金皿に充填した状態のまま、50cmの高さからアクリル板上に正立方向で自由落下させ、落下後の表面状態を観察し、各ファンデーション毎に以下の評価基準により評点を付し、そしてn=5の評点の平均点を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
<評価基準>
内 容 評 点
変化無し : 4
僅かにヒビ割れあるが、
使用性に問題無し : 3
ヒビ割れ、スキマ有り : 2
大きなヒビ割れやスキマ有り : 1
<判定基準>
n=5の評点の平均点 判 定
3.5以上 : ◎
3.0以上〜3.5未満 : ○
2.0以上〜3.0未満 : △
2.0未満 : ×
【0043】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明に係わる実施例1〜9のケーキファンデーションは、化粧崩れが無く、ヒビ割れやスキマが無く、耐衝撃性に優れる固形粉末化粧料であった。一方、成分(a)の代わりに、シリコーン処理粉体を用いた比較例1及び成分(a)の含有量が5%未満である比較例2では、揮発性溶剤の除去時に、内容物が収縮し、ヒビ割れとスキマを生じ、耐衝撃性も劣っていた。また、成分(b)を含有しない比較例3及び成分(b)の含有量が10%を超える比較例4では、耐衝撃性に劣り、表面のヒビ割れとスキマを生じていた。更に、従来技術である高アスペクト比の粉体と球状粉体を含有する比較例5では、化粧崩れを生じていた。そして、成分(c)を含有しない比較例6では、耐衝撃性に劣り、化粧崩れを生じていた。そして更に、成分(c)の含有量が30%を超える比較例7では、耐衝撃性に劣り、表面のヒビ割れとスキマを生じていた。
【0044】
【0045】
(製造方法)
A:成分1〜8を混合する。
B:成分9〜11を加熱し、混合する。
C:Bに成分12〜13を添加して、ディスパーミキサーにて分散する。
D:AにCを添加し、粉砕して粉末組成物を得た。
E:前記粉末組成物100部に対して、溶剤(デカメチルシクロペンタシロキサン)65部を添加し、混合してスラリー状とする。
F:Eを金皿に充填し、70℃で一昼夜乾燥し、揮発性溶剤を除去してケーキ白粉を得た。
【0046】
実施例10のケーキ白粉は、化粧崩れが無く、ヒビ割れやスキマが無く、耐衝撃性に優れる固形粉末化粧料であった。
【0047】
【0048】
(製造方法)
A:成分1〜7を混合する。
B:成分9〜11を加熱し、混合する。
C:Bに成分8及び成分12を添加して、ディスパーミキサーにて分散する。
D:AにCを添加し、粉砕して粉末組成物を得た。
E:前記粉末組成物100部に対して、溶剤(エタノール)75部を添加し、混合してスラリー状とする。
F:Eを金皿に充填し、50℃で5時間乾燥し、揮発性溶剤を除去してケーキアイシャドウを得た。
【0049】
実施例11のケーキアイシャドウは、化粧崩れが無く、ヒビ割れやスキマが無く、耐衝撃性に優れる固形粉末化粧料であった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の固形粉末化粧料は、成形時に表面にヒビ割れやスキマを生じることなく、耐衝撃性に優れ、化粧崩れの無い優れた固形粉末化粧料であった。
Claims (3)
- 次の成分(a)〜(c);
(a)撥水性及び撥油性を帯びるのに十分な量のパーフルオロアルキルリン酸塩、パーフ ルオロアルキルシラン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルコール、パ ーフルオロエポキシ化合物、パーフルオロアルキル硫酸塩、パーフルオロアルキル カルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチルアクリレート、テトラフルオロエチレ ン樹脂からなる群の一種又は二種以上のフッ素化合物で処理されたフッ素化合物
処理粉体 15〜80質量%
(b)有機変性粘土鉱物 0.01〜10質量%
(c)油剤 0.5〜30質量%
を含有する粉末組成物と、揮発性溶剤とを混合して容器又は中皿に充填し、該揮発性溶剤を除去することにより成形されること特徴とする固形粉末化粧料。 - 前記成分(a)におけるフッ素化合物の処理量が0.001〜30質量%である請求項1記載の固形粉末化粧料。
- 前記揮発性溶剤が軽質流動イソパラフィンであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の固形粉末化粧料。
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