JP3745718B2 - 走査型力顕微鏡のプローブ・ティップの動きを制御する方法 - Google Patents

走査型力顕微鏡のプローブ・ティップの動きを制御する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ACモードで動作する走査型力顕微鏡のプローブ・ティップの動きを制御する方法に関し、特に、このような顕微鏡についての自動表面係合に関し、さらには、このような顕微鏡のための振幅復調に関する。
【0002】
【従来の技術】
非接触または繰返し接触の走査型力顕微鏡は、典型的に、AC検出モードで動作しており、遠端にプローブ・ティップを有するカンチレバーが、その共振周波数でまたは共振周波数付近で振動し、プローブ・ティップの振動の振幅は、種々の方法の1つによって検出される。プローブ・ティップが試料表面に接近すると、その振動振幅は、プローブ・ティップと試料表面との間の相互作用の関数となる。非接触走査型力顕微鏡においては、遠距離相互作用力の勾配が、カンチレバーの共振特性を変化させ、これが振動の振幅を変化させる。繰返し接触走査型力顕微鏡では、プローブ・ティップと試料表面との間の近距離反発相互作用は、カンチレバーの振動を減衰して、これがプローブ・ティップの振動の振幅を減少させる。したがって、プローブが試料表面にわたって走査されるときに、振動の振幅を調整するには、サーボ制御ループが設けられて、プローブ・ティップと試料表面との間に離間距離を保持し、これにより試料表面の特性を示すマップを作製することを可能にする。
【0003】
ACモード走査型力顕微鏡を制御する、振動周波数のようなパラメータを最適化することは、正確な測定値を得るために重要である。非接触ACモードにおいて、高感度サーボ制御を得るためには、振動周波数は、振幅を周波数の関数として示す共振曲線の傾きが最も大きい値で、動作するのが好ましい。さらに、プローブ・ティップを、試料表面に接触させることなく、できるだけ接近させてプローブ・ティップを試料表面に係合させることが望ましい。繰返し接触モードでは、プローブ・ティップの試料表面との係合は、プローブ・ティップの重大な損傷、または測定される試料への損傷を避けるように制御される。
【0004】
非接触ACモードでは、プローブ・ティップが試料表面に係合する前に、動作周波数は、共振曲線の最も急峻な点に相当する値に設定される。しかし、プローブ・ティップが試料表面に近づくにつれて、増大する力勾配が、共振特性を変化させ、共振曲線を下方にシフトし、したがって共振が低い周波数で発生する。
【0005】
振動カンチレバーへの力場内の勾配の影響は、“Scanning Probe Microscopy and Spectroscopy―Methods and Applications,Cambridge University Press,1994,on pages 241−243”にR.Wiesendangerによって報告されている。このような場では、有効バネ定数は、次式で与えられる。
【0006】
【数1】
Figure 0003745718
【0007】
上記式において、cは力場がない場合のカンチレバーの有効バネ定数であり、ceff は力場がある場合のカンチレバーの有効バネ定数である。プローブ・ティップが試料表面に引かれる引力場では、カンチレバーは効果的に軟化される。プローブ・ティップが試料表面によって反発される反発力場では、カンチレバーが効果的に硬化される。
【0008】
カンチレバー/質点系の振動の共振周波数の変化は、次式で与えられる。
【0009】
【数2】
Figure 0003745718
【0010】
上記式では、mは有効質量であり、ω0 は力勾配がない場合の系の共振周波数である。
【0011】
非接触ACモードで試料表面に接近するこの例では、力勾配は引力であり、したがって有効バネ定数は低下し、カンチレバーの有効固有周波数を下げる。プローブ・ティップが試料表面にさらに近くなると、共振周波数は低下し、カンチレバーが駆動される一定周波数からさらに離れる。固有周波数のかなりの低下は、サーボ制御の感度をかなり低下させる。これは、振動周波数(ω)の関数としての振動振幅(A)の曲線の傾き(dA/dω)の値の減少による。感度の低下は、試料表面に接近する過程で試料に近接してプローブ・ティップを適切に固定する能力を低下させる。プローブ・ティップを係合の所望レベルに固定する前に、プローブ・ティップが試料表面にしばしば接触する。さらに、プローブ・ティップが試料表面に接近するときに、強い遠距離相互作用を受けると、共振周波数は急激にシフトし、動作周波数での振幅変化を急激に減少させる。十分なレベルの振動を保持するためには、カンチレバーを振動させる励振エネルギは、かなり増大しなければならず、場合によっては装置の駆動回路から得られないレベルにまで増大しなければならない。この問題は、従来のロックイン回路が振幅復調に用いられるときに、特に厳しい。というのは、ロックイン復調器の出力からの振幅信号が、振動振幅のみならず、駆動信号と振動信号との間の位相角にも依存するからである。共振シフトが発生すると、位相角が変化して、ロックイン出力信号が、実際の振動振幅よりも、より速く減少する。
【0012】
プローブ・ティップと試料表面との係合パラメータ、例えば係合の度合い、および共振シフトの量を自動的に検出することのできる方法が必要とされる。このような方法は、振動周波数,プローブ・ティップと試料表面との離間距離,励振レベルのようなシステム・パラメータをリアルタイムで調整して、試料表面をプローブ・ティップに係合させる過程で、動作状態を最適状態に保持するのに用いるために必要とされる。
【0013】
図1は、走査型力顕微鏡においてティップ振動の振幅を決定するために用いられる従来の装置を示す図である。図2は、この装置における信号の波形図である。走査型力顕微鏡では、試料表面の外形、あるいは試料の電気的または磁気的特性から生じる力場を表す、調べるべき信号は、プローブに供給される振動信号によって変調される。したがって、この装置は、一般に、復調器と呼ばれる。
【0014】
図1の装置において、図2(A)に示されるティップ振動信号2が、第1の入力ライン3から供給され、第2入力ライン6から供給される図2(B)の方形波信号5と、ミクサ4で乗算される。方形波信号5は、ティップ振動信号2と同じ周波数を有し、±1の振幅を有する。ティップ振動は、発振器からの励振信号の結果であるので、同一周波数を有する発振器の出力は、また、方形波信号5として用いられる。図2(C)に示される中間信号7は、ローパスフィルタ8を経て出力され、ティップ振動信号の振幅を表す出力信号を形成する。この方法では、振動信号2の負の部分が、(−1)を乗算されて反転され、入力信号2の正の部分および負の部分が、中間信号7の正の部分を形成している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この方法に対する問題は、ティップ振動信号と方形波信号とが同期する場合にのみ、振幅が適切に検出されることである。方形波信号5は、係合プロセスの間および試料の表面を走査する次のプロセスの間に、ティップ振動信号2の位相角が自由空間で振動するカンチレバーに一致するように作られるが、振動ティップと試料表面との間の相互作用は、ティップを振動させる信号である方形波信号5と、測定されたティップ振動を表す信号2との間の位相角に変化を生じさせる。位相角の変化は、中間信号7の部分を、負の部分として低下させる。負の部分は、振動信号2の正の部分に方形波5の負の部分を乗算することにより、および振動信号2の負の部分に方形波5の正の部分を乗算することによって形成される。
【0016】
したがって、係合および走査の間に、方形波信号5をティップ振動信号2と常に同相に保つ方法が必要とされる。
【0017】
米国特許第5,262,643号明細書は、ターゲット表面上に、振動カンチレバーとティップとを有する検出プローブを自動的に位置決めする非接触ステップ状方法を開示している。この方法は、接近の際に、音響相互作用およびファンデルワールス(Van der Waals)相互作用を用いており、したがって検出プローブは、かなり最適化されたティップ対ターゲット表面の距離にまで下げられる。この装置は、振動カンチレバーとターゲット表面との間の力の相互作用を用いて、検出プローブをターゲット表面上に自動的に位置決めする。自動位置決め手順は、非常に正確な3つのステップで行われる。第1のステップでは、例えば光学フォーカシング装置によって決定されるように、ターゲット表面上の測定位置に振動検出プローブを迅速に下げる。第2および第3のステップは、振動カンチレバーの振動の振幅を用いる。この場合、接近検出プローブの位置は、振動カンチレバーの振動の振幅をトラッキングし、および振幅−距離の勾配(dA/dD)をトラッキングすることによって制御される。この勾配は、励振信号をA.C.状に変化させ、振動カンチレバーの振動の振幅に、増分変化を最初に発生させることによって、測定される。勾配は、ティップとターゲット表面との間のギャップの増分変化に対する、振動の振幅の増分変化の比として確立される。
【0018】
しかし、米国特許第5,262,643号明細書の方法を用いて、試料表面に接近させる過程で、力−距離の勾配(dF/dD)の増大に対するdA/dD勾配の増大の影響は、振動カンチレバーの共振周波数の対応する減少によって対抗される。このような減少は、共振周波数を、接近過程でカンチレバーが振動する周波数から遠ざけ、dA/dD勾配の感度を減少して、力−距離勾配を変化させる。したがって、振動カンチレバーの共振周波数の変化の影響を測定し、およびこのような変化を補償するために、駆動周波数を変える方法が必要とされる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、走査型力顕微鏡は、検査すべき試料の表面の近くに振動プローブ・ティップを駆動するときに接近モードで動作し、試料の特性を測定するために試料表面に沿って振動プローブ・テッィプを動かすときに走査モードで動作する。接近モードでは、ティップ振動の周波数は、好適に変化して、プローブ・ティップの運動と、カンチレバーによりプローブ・ティップを振動させるアクチュエータの運動との間に一定の位相角を保持する。走査モードでの動作は、接近モードの動作に続き、走査モードでのプローブ・ティップの振動は、接近モードで用いられた最終の周波数である。
【0020】
本発明の一態様によれば、AC検出モードで、走査型力顕微鏡のティップを自動係合する方法を提供する。この場合、プローブ・ティップは、励振セグメントに供給される励振電圧信号によって、共振周波数で、または共振周波数の近くで振動される。
【0021】
この方法の第1の要素は、ティップ対表面の離間距離の関数としての振動振幅(A)の曲線の傾き(dA/dZ)の値の測定を容易にする、ティップ対表面の離間距離の変調を含んでいる。この傾きパラメータは、ティップと試料表面との間の相互作用の程度に関する情報を与える。通常、このパラメータの大きな値は、ティップと表面との間のより強い相互作用を、したがってティップと表面との間のより小さい離間距離を示している。したがって、このパラメータは、試料表面へのテッィプの係合を増大させるプロセスを停止するために用いられる。
【0022】
この方法の第2の要素は、位相−周波数サーボアルゴリズムを用いて、共振周波数のシフトをモニタし、したがって駆動周波数をリアルタイムで調整して、駆動周波数を常に、動作の所望領域に保持する。
【0023】
この方法の第3の要素は、新しい振動振幅復調方法である。従来のロックイン検出方法とは異なり、この方法は、ティップ対表面の相互作用により生じる位相角の変化によって汚染されていない振幅信号を与える。
【0024】
この方法の第4の要素は、ティップが試料表面に衝突するのを防止しながら、係合速度を増大できるステップ・サイズ・スケールのアルゴリズムである。
【0025】
この方法の第5の要素は、係合過程で、一定レベルの振動振幅を保持する、振幅−励振サーボアルゴリズムである。
【0026】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明が用いられる走査型力顕微鏡10を示す図である。この装置10は、米国特許出願第05/867,138号明細書に記載されている装置に対しいくつかの点で類似しており、バイモル圧電アクチュエータ12を有し、このアクチュエータには、カンチレバー14がその基端16に取付けられている。プローブ・ティップ18は、カンチレバー14の遠端20に取付けられている。測定プロセス中、プローブ・ティップ18は、試料26の表面24に係合して、振動される。バイモル圧電アクチュエータ12は、その基端で、遠距離Z方向圧電アクチュエータ30に取付けられている。アクチュエータ30は、試料表面24へのプローブ・ティップ18の初期接近のために用いられるZ方向駆動モータ32に取付けられている。駆動モータ32の動作には、プローブ・ティップ18を試料表面24に接近させることである。駆動モータ32の動作は、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の相互作用によってプローブ・ティップ18の振動が影響を受けるような、試料表面24の近くにまでプローブ・ティップ18が移動すると、終了する。バイモル圧電アクチュエータ12は、励振セグメント34と、ディザリング・セグメント36とを有している。
【0027】
プローブ・ティップ18を係合させるプロセスの最終部分の際に、本発明に従って動作する走査型力顕微鏡10では、第1周波数でのプローブ・ティップ18の振動は、第1の周波数よりもかなり低い第2の周波数を有するディザリング信号を付加することによって好適に変更される。図2の装置においては、第1周波数での振動は、励振駆動信号を励振セグメント34へ供給することによって実現され、一方、第2の周波数でのこの振動の変更は、ディザリング駆動信号をディザリング・セグメント36へ供給することによって実現される。したがって、試料表面24との係合の過程で、励振セグメント34およびディザリング・セグメント36は、プローブ・ティップ18の変更された振動を発生し、一方、プローブ・ティップ18は、初めにZ方向駆動モータ32によって、次に遠距離Z方向圧電アクチュエータ30によって、試料表面24の方へ移動される。
【0028】
例えば、振動セグメント34によりカンチレバー12に加えられる第1の周波数の振動は、カンチレバー12のバネ定数および質量により、およびプローブ・ティップ18の質量により、代表的には50〜500kHzの範囲にあり、一方、ディザリング・セグメント36により加えられる第2周波数の振動は、5〜50Hzの範囲にある。
【0029】
プローブ・ティップ18を試料表面24の近くに持ってくるプロセスと、試料の特性を調べるために試料表面24を走査する次のプロセスとは、演算装置38によって制御される。この演算装置は、コード化されたMODE DATAを発生する。このデータは、プローブ・ティップ18が試料表面の近くに移動されるときに、装置が接近モードの第1または第2の部分にあるか、あるいは試料表面24が検査されるときに、走査モードにあるかを指示している。
【0030】
接近モードおよび走査モードの際に、ドライバ回路40によって電圧信号が供給される圧電励振セグメント34によって、プローブ・ティップ18は、矢印39の係合方向およびこれとは反対方向に振動する。ドライバ回路40は、発振器41により駆動される。発振器は、演算装置38からデジタル−アナログ変換器41aを経て与えられるGAIN CONTROL信号に従って設定された出力レベルを好適に有している。矢印39の係合方向およびこれとは反対の方向における、プローブ・ティップ18の振動運動は、レーザ検出器42によって測定される。レーザ検出器は、光学手段を用いて、プローブ・ティップ18の運動を示す動き信号を生成する。光学手段は、光路長の変化を示すために、例えばインターフェロメトリを用いることができる。あるいはまた、斜め入射のレーザビームが、プローブの表面で反射して光検出器に入射する位置を用いて、プローブ位置の変化を調べることができる。いずれの場合においても、出力は、プローブ・ティップ18と共に動く反射面43の動きに基づいている。レーザ検出器は、バンドパス・フィルタを有しており、このフィルタは、励振セグメント34を駆動する信号の範囲内の周波数を含む出力信号を通過させ、この範囲から離れた周波数の通過を阻止する。レーザ検出器42の出力は、図4で詳細に説明される復調器44に入力として与えられる。復調器44の出力は、比較回路46への、およびアナログ−デジタル変換器47を経て演算装置38への、振動振幅を示す入力として用いられる。
【0031】
接近モードの初期の部分の間では、プローブ・ティップ18が、初期接近モータ32によって、矢印39の係合方向に駆動される。モータ32は、演算装置38からのMOTOR CONTROL信号に応じて、モータドライバ回路59によって動作される。また、接近モードのこの初期部分の間、演算装置38からのMODE DATAに応じて、モードスイッチ60が、ディザリング・セグメント36を動作するドライバ61への入力を遮断するので、ディザリング・セグメント36は動作しない。接近モードのこの初期部分は、次のようなときに、MOTOR CONTROL信号がターンオフして、終了する。すなわち、アナログ−デジタル変換器47を経て演算装置38に与えられる振幅信号が、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の相互作用が、プローブ・ティップ18の測定振動の振幅に変化を生じさせる程に、プローブ・ティップ18が試料表面24に接近したことを示したときである。
【0032】
接近モードの最終部分の間では、プローブ・ティップ18は、Z軸圧電ドライバ30によって、矢印39の係合方向に駆動される。ドライバ30には、垂直運動ドライバ62によって、電圧信号が供給される。この電圧信号は、演算装置38からのコード化されたVERTICAL MOTION DATAに応じて、発生される。このコード化された信号は、デジタル−アナログ変換器64でアナログ信号に変換され、MODE DATAに応じて動作するスイッチ65により、垂直運動ドライバ62に与えられる。接近モードのこの最終部分では、演算装置38からのMODE DATAは、また、モードスイッチ60により、ディザリング・セグメント36を発振器66によって駆動可能にし、プローブ・ティップ18のディザリング振動運動を生じさせる。接近モードのこの最終部分は、以下に説明する自動接近の特徴に従って、好適に終了する。
【0033】
走査モードの動作中、励振ディザリング信号がターンオフして、ディザリング・セグメント36は、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の距離を所定の範囲内に保持するために好適に用いられ、試料表面24のトポグラフィの変化に従ってプローブ・ティップ18を上下に移動させる。これらのトポグラフィの変化は、試料26の横方向走査運動の際に遭遇されるからである。比較回路46は、演算装置38からデジタル−アナログ変換器68を経て送られてきた制御信号と、復調器44からの出力との間の差である補正信号を発生する。制御信号は、プローブ・ティップ18が動作される振動振幅を決定する設定レベルを与える。比較回路46からの補正信号は、積分器70に入力として供給される。積分器70では、補正信号に関連した設定振幅からの振動振幅の動きによって要求される変化の累積が生成され記憶される。走査モードにおける顕微鏡の動作中は、常に、積分器70の出力は、試料表面24の局部的に測定された高さを表している。積分器70の出力は、アナログ−デジタル変換器72に入力として供給される。変換器72は、演算装置38に入力としてデジタルZ−POSITION DATAを与える。
【0034】
走査中、スイッチ回路60は、積分器54からの出力信号をドライバ回路61に供給し、ディザリング・セグメント34がプローブ・ティップ14を、演算装置38から比較回路46に入力として与えられた制御信号に相当するレベルに出力を保持するように移動させる。すなわち、復調器44からの振幅信号が非常に高いと、プローブ・ティップ14は矢印39の方向に下げられ、振幅信号が非常に低いと、プローブ・ティップは矢印39とは反対の方向に上げられる。
【0035】
演算装置38は、アナログ−デジタル変換器72の出力をサンプリングして、垂直ドライバ61に供給される電圧を決定する。この電圧は、圧電アクチュエータ・セグメント36内に発生される変位を指示し、およびこのセグメント36は、試料12の走査運動中にサーボループにより駆動されて、試料表面24に対し所定レベルの係合を保持するので、アナログ−デジタル変換器72からのZ位置データは、試料表面24のレベルの正確な記述を与える。
【0036】
走査中、試料26は、試料表面24が振動プローブ・ティップ18の下で測定されるように移動される。この移動は、横方向運動アクチュエータ78を用いることによって実現される。アクチュエータ78は、互いに直交するX方向運動およびY方向運動を与え、これら方向はまた、矢印39によって示される係合方向に対して直交している。例えば、試料26は、レーザパターンの形で試料表面24上に形成されたラインが、振動プローブ・ティップ18によって接触されるように、移動することができる。圧電横方向運動アクチュエータ78は、横方向運動ドライバ80によって駆動される。このドライバ80は、デジタル−アナログ変換器82からの信号によって駆動される。演算装置38からのLATERALMOTION DATAは、X方向での試料26の所望の位置にデコードされる特定のビットを含み、他のビットは、Y方向での試料26の所望の位置にデコードされる。
【0037】
演算装置33は、種々の測定から得られるデータが記憶される内部ランダムアクセスメモリ84と、コンピュータ読取り可能な手段86に格納されたプログラムを読取る手段と、測定結果を表示する表示装置88とを有している。
【0038】
以上の説明では、走査モードでの動作中に遭遇する表面トポグラフィの変化に応じて、矢印39の係合方向、およびこれとは反対方向の運動を与えるのに用いられるディザリング・セグメント36について述べたが、あるいはまたZ軸圧電アクチュエータ30を、このために用いることができる。この場合、スイッチ65は、積分器70の出力を、垂直運動ドライバ62に送り、スイッチ60は、積分器の出力をディザリング・ドライバ61へ送る回路を開く。これらスイッチ60,65の両方は、演算装置38からのMODE DATAに応じて、動作する。ディザリング・セグメント・アクチュエータ36は、表面トポグラフィの微小な変化に応じて急激に働き、およびZ軸圧電アクチュエータ30は低速で大きな線形範囲にわたって動くので、この目的にはどのアクチュエータ36,30を用いるかの決定は、測定すべき試料表面の特性に基づいて好適に行われる。本発明の範囲内では、走査型力顕微鏡は、この目的には、これらアクチュエータ36,30の両方ではなく、いずれかのみを用いることができる。
【0039】
図4は、図3の復調器44のブロック図である。本発明により構成された復調器44は、図1および図2で説明した従来の復調器に比べて、次のような重要な利点を与える。すなわち、振動を生じさせるのに用いられる発振器信号に対してこれら振動の位相角の変化にかかわらず、振動信号の振幅の正確な指示を与えることである。走査型力顕微鏡のこの例では、位相角のこのような変化は、振動プローブ・ティップと試料表面との間の相互作用により生じる力により発生することが予測される。
【0040】
図5は、0゜位相角の状態下で、復調器44内で発生する信号を示す図である。図6は、0゜より大きい位相角の状態下で、復調器内で発生する信号を示す図である。
【0041】
図3〜図6において、方形波信号の形での発振器41の出力は、入力ライン102を経て復調器44に与えられ、可変位相調整回路104に入力として供給される。この可変位相調整回路104は、ライン102上の入力と、第1の乗算器106への出力との間の位相角を調整する。レーザ検出器42からの出力信号(振動プローブ・ティップ18の動きを示す)は、リミッタ112へ延びる入力ライン110を経て、復調器44に入力として供給される。このリミッタ112の出力信号113(方形波信号に近い)が、第2の乗算器114に入力として供給される。可変位相調整回路104の出力は、90゜位相調整回路116を経て送られ、第2の乗算器114の他の入力を形成する。
【0042】
図5に示すように、可変位相調整回路104からの出力信号(図示せず)が、リミッタ112からの出力信号113と同相であるならば、90゜位相調整回路116からの出力信号118と、リミッタ112からの出力信号とを乗算することにより、第2の乗算器114から、0ボルトラインの両側で同じ曲線を有する出力信号120が得られる。このような信号120が、ローパスフィルタ122に送られて、信号を平均化すると、0電圧信号が、積分器108に入力として供給される。
【0043】
他方、図6に示すように、可変位相調整回路104からの出力信号(図示せず)が、レーザ検出器42からの振動信号と同相でないならば、90゜位相調整回路116からの出力信号124と、リミッタ112からの出力信号113とを乗算することにより、第2の乗算器114から、0ボルトラインの両側で同じ曲線を有さない出力信号126が得られる。この例では、振動信号と信号124との間の位相角は、90゜より大きく、信号126がローパスフィルタ122を通過すると、積分器108への負の入力信号が得られる。
【0044】
ローパスフィルタ122の出力は、可変位相調整回路104の出力と、入力振動信号との間の位相差を示す誤差信号を与える。積分器108は、ローパスフィルタ122からの誤差信号を累積し、可変位相調整回路104の出力と入力ライン110上の振動信号との間の位相角差を示す出力電圧を与える。積分器108からの出力電圧は、可変位相調整回路104に供給され、この回路104の位相調整プロセスを実行して、回路104からの出力信号の位相角を調整して、回路104の出力信号とリミッタ112からの出力信号との間の位相角の変化を補正する。このようにして、可変位相調整回路104からの出力信号は、入力ライン110上の振幅信号に同相にロックされた中間信号となる。したがって、入力ライン110からの振動信号が、第1の乗算器106で中間信号によって乗算され、図2について説明したような結果が得られる。この場合、第2のローパスフィルタ125からの出力信号が、振動信号と発振器41の出力信号との間の位相差にもかかわらず、振動信号の振幅の正確な値を与える。
【0045】
積分器108の出力は、また、差動増幅器126への入力として与えられる。この増幅器126への他の入力は、演算装置38からのSETPOING信号から、デジタル−アナログ変換器128内で発生された位相角である。差動増幅器126の出力は、アナログ−デジタル変換器130への入力として与えられる。変換器130は、レーザ検出器42からの振動信号の実際の位相角と、SETPOINT信号によって表される位相角との間の差を示すコード化された信号を、演算装置38に戻す。
【0046】
図7は、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の係合の種々の状態下で、プローブ・ティップ18(図3に示す)の振動振幅(A)を、振動周波数(ω)の関数として示す図である。
【0047】
図7において、最も右側の曲線138は、試料表面と相互作用がない、試料表面から十分に離れた自由空間でカンチレバー14が振動する場合の振幅関数を示している。最大の負の傾きを有する曲線138上の点142に相当する周波数140で、カンチレバー14が振動すると、係合プロセスが開始する。この周波数140は、自由空間での振動状態下でのカンチレバー14の固有周波数144より少し上にある。
【0048】
図8は、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の相互作用によって生じる力(F)を、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の距離(Z)の関数として表す曲線145を示す図である。力(F)の負の値は、力が引力であり、力(F)の正の値は、力が反発力であることを示している。この力曲線の傾き(dF/dZ)は、力場に勾配が存在することを示している。力場の勾配は、カンチレバー14の有効剛性を変えることによって、カンチレバー14の共振周波数を変更する。この傾き(dF/dZ)は、点146と点147との間の離間距離Zが小さくなるに従って、連続的に大きくなる。
【0049】
図3〜図8において、プローブ・ティップ18は、試料表面24から比較的遠くに、例えば図8の点146にある間は、ディザリング・セグメント36に供給されるディザリング信号によってプローブ・ティップ振動を変化させても、影響は少ないかまたはない。というのは、大きな係合力が生じないからである。しかし、試料表面が接近するにつれて、離間距離(Z)の値は小さくなり、力曲線の傾き(dF/dZ)は大きくなる。その結果、カンチレバー14の共振周波数は、プローブ・ティップ18がディザリング・セグメント36のディザリング運動によって、試料表面24から離れるとき、振幅(A)を周波数(ω)の関数として示す曲線154上の周波数152にまで減少し、およびプローブ・ティップ18がディザリング運動によって試料表面24の方へ動くときに、曲線158上のより低い共振周波数156にまで減少する。カンチレバー14が依然として駆動周波数144で振動すると、ディザリングによって試料表面24からプローブ・ティップ18が離れるときに発生する振動振幅(A)と、プローブ・ティップが試料表面24の方に動くときに発生する振動振幅(A)との間に、振幅差(ΔA)が発生する。この振幅差(ΔA)は、ディザリングによって離間距離差(ΔZ)にわたって、プローブ・ティップ18が動くときに発生する。したがって、離間距離(Z)の関数としての振幅(A)の曲線の傾き(dA/dZ)は、ディザリングによる振幅差(ΔA)と、ディザリングによる離間距離差(ΔZ)との比(ΔA/ΔZ)によって近似される。したがって、励振セグメント34に与えられる信号により生じるティップ16の振動の振幅は、ディザリング・セグメント36に与えられる信号の周波数で変調され、振幅の変化は、曲線145の傾きによって決定される。
【0050】
図9は、プローブ・ティップ18が試料表面24に接近する過程において、演算装置38によって実行されるルーチンのステップを示すフローチャートである。このルーチンは、第1のルーチン148を含み、この第1のルーチンでは、プローブ・ティップ18は、初期接近モータ32によって、係合の中間レベルにまで移動される。第2のルーチン149が続き、このルーチンでは、プローブ・ティップ18は、走査プロセスに必要とされる係合のレベルにまで移動される。
【0051】
図3および図9において、接近プロセスを開始する決定がなされて、スタートブロック150でプロセスが開始する。次に、ステップ152で、励振セグメント34による励振がターンオンされ、ステップ154で、駆動モータ32が始動する。ステップ156で、ティップ18の振動の振幅(A)が評価されて、所定のしきい値より低下した振幅(A)によって示されるパラメータが実行される程十分に、ティップ18が試料表面24に接近したか否かを判定する。ティップ18がそこまで接近していなければ、判定ブロック158から、ステップ156に戻り、モータ32を駆動し続ける。ティップがそこまで接近していれば、判定ブロック158からステップ160に進み、モータ32の動作を停止させる。この箇所から、遠距離圧電アクチュエータ30を用いて、プローブ・ティップ18を試料表面24に接近させるプロセスを続ける。
【0052】
図3および図9に続いて、さらに図8において、係合距離に対する力の微分(dF/dZ)を示す曲線145の傾きが、係合距離が値146から値147に減少するに従って、連続的に増大するので、dA/dZの対応する値は、この範囲にわたって連続的に増大しなければならない。したがって、離間距離に対する所定レベルの振幅微分係数(dA/dZ)は、振幅差と離間距離差との比(ΔA/ΔZ)のしきい値によって表される。ここに、距離差(ΔZ)は、ディザリング・セグメント36に与えられる信号によるディザリングによってプローブが移動される予測距離により決定され、振幅差(ΔA)は、ディザリング運動によって発生する振幅変調のレベルによって決定される。
【0053】
したがって、ステップ160でモータ32が停止した後、ステップ162でディザリング・セグメント36に信号を供給することによって、ディザリングが開始される。ディザリングによる振幅変調は、ステップ164で評価される。判定ブロック166で判定されるように、比(ΔA/ΔZ)が所定のしきい値よりも大きいならば、係合プロセスは、ステップ168で停止する。係合プロセスを停止させることは、係合距離(Z)がその現在値で残されることを意味し、およびディザリング信号が終了することを意味する。判定ブロック166で判定されるように、比(ΔA/ΔZ)が所定のしきい値より大きくなければ、圧電アクチュエータ30に供給される駆動電圧は、ステップ170で増分量だけ増大される。したがって、ティップ18は、試料表面24に1ステップ接近するように動く。このプロセスは、比(ΔA/ΔZ)が所定のしきい値よりも大きくなるまで繰り返される。
【0054】
本発明の好適な実施例によれば、ステップ170で用いられるステップ・サイズは、ステップ164で測定された比(ΔA/ΔZ)の実際の値の間の比較によって、(ΔA/ΔZ)のしきい値に近づくに従って、ステップ・サイズを小さくするように、決定される。例えば、パラメータ(n)を、(ΔA/ΔZ)の測定値とそのしきい値との間の比として定義すると、ステップ・サイズは次のように形成される。
【0055】
【数3】
Figure 0003745718
【0056】
上記式において、指数(K)は、線形スケールに対しては1に等しく、非線形スケールに対しては1より大きい。スケールされたステップのサイズを決定するために、パラメータ(MIN STEP)が選ばれる。この方法は、しきい値に近づくときに、低速の係合を保持して、プローブ・ティップ18が試料表面24に衝突するのを防止しながら、比(ΔA/ΔZ)が、しきい値よりも十分小さくなるときに、係合の速度がかなり増大することを可能にする。
【0057】
図10および図11は、プローブ・ティップ18の振動の振幅(A)を示し、および励振セグメント34に供給される駆動信号とプローブ・ティップ18の運動との間の位相角(φ)を示している。
【0058】
図3,図10,図11において、プローブ・ティップ18が試料表面24に接近するプロセスは、曲線138の最も急な負の傾斜に相当する励振周波数140で振動するカンチレバーにより開始される。なお、曲線138は、カンチレバー14の自由振動の状態下で、周波数(ω)の関数として振動振幅(A)を示している。ある環境の下では、プローブ・ティップ18は試料表面にさらに接近して移動されるので、周波数(ω)の関数として振動振幅(A)を示す曲線は、曲線176で示されるように、かなり低い周波数に移動する。この曲線の移動は、力勾配(dF/dZ)が、特に大きい特性長、すなわち長い相互作用距離を有するときに、特に生じる。
【0059】
カンチレバー14が、接近の際に元の駆動周波数140で普通に振動するならば、新しい曲線176上の点178は、この曲線上では下側にあるので、ディザリングによる離間距離(Z)の変化に対する振動(A)の変調の感度がかなり低くなる。この状態は、比(ΔA/ΔZ)が大きくなり、図9のステップ166で比較が行われるしきい値を越えるのを阻止するので、プローブ18が試料表面24に衝突して、プローブ18および試料26が損傷する可能性がある。
【0060】
図11の曲線180は、自由振動曲線138の状態下で、位相角(φ)を示している。周波数140での共振状態で、この位相角(φ)は、90゜の値を有しており、励振セグメント34からカンチレバー14に与えられる力は、ティップ18の速度の方向にある。励振周波数(ω)が、共振周波数より減少すると、位相角(φ)は、漸近的に0゜の値に接近する。0゜の値では、ティップ18と、励振セグメント34の遠端とは、同相で動く。励振周波数(ω)が、共振周波数より増大すると、位相角(φ)は、180゜の値に漸近的に接近する。したがって、接近プロセスにおいて用いられる初期励振周波数140は、90゜よりやや大きい位相角182に関係する。
【0061】
この接近プロセスにおいて、振幅関数は、曲線138によって表される関数から、曲線176により表される関数に移動するので、曲線180によって表される位相角関数は、振動関数と共に移動し、位相角(φ)を、位相角182のレベル以上に増大させる。
【0062】
図12は、本発明の好適な形態に従って、遠距離圧電アクチュエータ32によって移動されるプローブ・ティップ18を試料表面24に接近させる過程において演算装置38で実行されるルーチンのブロック図である。このルーチンは、図9のサブルーチン149と共に、マルチタスクにより動作し、これら2つのルーチンの交互動作を与えることができ、あるいは図12のルーチンのステップを、図9のルーチン149のステップ内に置くことができる。
【0063】
図3,図10,図11,図12において、図12のルーチンでは、プローブ18の動きと、励振セグメント34を駆動する信号との間の位相角の変化を用いて、励振セグメント34を駆動する信号の周波数(ω)をいかに変化させて、周波数(ω)の関数としての振幅(A)の曲線の最も急な負の傾きを有する領域に相当する位相角で振動を保持するかを決定する。90゜よりやや大きい位相角182が、しきい周波数として選ばれる。図12のルーチンのステップ186で、位相角(φ)は、好適には、復調器44の一部を形成する差動増幅器126(図4に示す)の出力の使用によって、位相角(φ)が測定され、ステップ188で、測定された位相角(φ)は、所定のしきい位相角182と比較される。測定された位相角(φ)が、しきい位相角182より小さいと、ステップ186に戻り、測定処理および比較処理が繰り返される。測定位相角が、しきい位相182よりも大きいと、ステップ190で、所定の増分周波数(Δω)は、励振周波数から減算され、ステップ186に戻る前に、励振の新しい周波数を形成する。
【0064】
図9および図12に基づいて説明した方法が、組み合わされると、ディザリングの故に、および遠距離圧電アクチュエータ30により行われる運動の故に、試料表面24からプローブ・ティップ18を離間する距離が周期的に減少すると、位相角の測定が行われる。位相角を測定するプロセスを安定化するには、このような測定は、ディザリング・サイクル内の一定点で行うことが望ましい。例えば、ディザリングが、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の距離を、最小レベルに減少させる毎に、位相角が測定される。あるいはまた、位相角の測定は、ディザリングの影響を最小にするために、平均化することができる。
【0065】
図7〜図12に関連する説明は、カンチレバー14の共振周波数の減少の故に、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の離間距離として発生する振動振幅の減少と、励振セグメント34が駆動される周波数を減少させることによって、振幅の減少を補正する手段とを扱っている。さらに、接近過程で離間距離が減少するにつれて、ティップ振動の振幅が減少する。これは、ティップ18が試料表面24に接近するときに発生する増大したレベルの振動による。本発明の好適な態様によれば、励振セグメント34を駆動するこの電圧信号の振幅を減少させることによって、振幅の減少に対する補償が行われる。
【0066】
図13は、励振セグメント34を駆動する電圧信号の振幅を大きくすることによって、振幅補正が行われる場合の、試料表面24に接近するティップ18の振幅変化を示す。試料表面24に近づくにつれて、離間距離(Z)が減少する。振幅(A)は、実線192に従う。補正がなければ、振幅(A)は、点線194に従ってさらに減少するであろう。しかし、設定の実線196が交差した後は、振動振幅(A)の次の測定では、駆動信号の振幅の増大は、駆動信号の振幅の増分増大によって決定される増分ステップで、振幅(A)を上方に戻す。
【0067】
図14は、本発明の好適な形態に従って、遠距離圧電アクチュエータ32によって駆動されるプローブ・ティップ18が試料表面24に接近する過程で、演算装置38で実行される他のルーチンのブロック図である。このルーチンは、図9のサブルーチン149と共に、マルチタスクにより動作し、これら2つのルーチンの交互動作を与えることができ、あるいは図14のルーチンのステップを、サブルーチン149内に置くことができる。
【0068】
図3,図9,図14において、図14のルーチンは、振幅変化を追跡することが必要となると、ステップ198で、おそらく図9のサブルーチン149のスタートで開始する。ステップ200では、ティップ振動振幅(A)が評価される。この振幅が、実線196で示される所定の設定レベルよりも小さくなければ、判定ブロック202から戻り、周期的間隔で、ステップ200で振幅を評価する。この振幅が、所定の設定レベルよりも小さいと、ステップ204で、励振セグメント34を駆動する電圧信号の振幅が増大し、ステップ200に戻り、周期的間隔で振幅を評価し続ける。
【0069】
前述したことは、試料表面24へのプローブ・ティップ18の接近がいつ完了したかを判定するのに用いられる(ΔA/ΔZ)比を評価するためにディザリングを用いる図9のサブルーチン149と、励振セグメント34を駆動する電圧信号とティップ18の振動との間の位相角関係を保持するために、振動周波数を減少させる図12のサブルーチンと、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の係合が増大すると発生する減衰の増大を補償するために、励振セグメント34を駆動する電圧信号の振幅が増大する図14のサブルーチンとについてであった。これらルーチンは、演算装置38内で発生するマルチタスクで、個々にあるいは組み合わせて用いることができる。
【0070】
図15は、図9,図12,図14のサブルーチンの機能と共に、動作を簡単にするために、演算装置38内で交互に実行されるルーチンを示している。
【0071】
図3および図15において、図15のルーチンは、図9で述べたサブルーチン148で開始し、プローブ・ティップ18を、試料表面24との係合の初期レベルまたは中間レベルに駆動する。次に、ステップ216で、ディザリング・プロセスが開始し、低周波電圧信号が、ディザリング・圧電セグメント36に供給される。次に、ステップ218で、振動振幅(A)と、ディザリングによる振動振幅の変化(ΔA)と、励振アクチュエータ34を駆動する電圧信号とティップ18の振動との間の位相角(φ)とのパラメータを得る。この時点では、これらの測定パラメータは、ステップ220で用いられて、データをプロットまたは表示し、またはこれらパラメータに相当するデータが、次のプロットまたは表示のために記憶される。振幅パラメータの変化(ΔA)は、ディザリング・プロセスのサイクルで発生する変化として測定される。他のパラメータ(A,φ)は、ディザリングにより影響され、測定信号の平均として与えられて、ディザリングで発生する変化を滑らかにすることができ、あるいは、ディザリングが、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の間隔の最大の減少を与える時点のような、ディザリング・プロセスにおける特定の時点で測定される信号として与えることができる。
【0072】
次に、ステップ222で、振動振幅(A)のレベルが0に近いか否かの判定が行われる。0に近いと、ステップ224で、多数のステップだけ離間距離が増大される。この場合、離間距離はすでに非常に小さくなっているものと仮定している。次に、ステップ218で、パラメータの再測定に戻る。
【0073】
ステップ222で測定されるように、振幅(A)が0に近くないならば、ステップ226に進む。このステップでは、ディザリングによる振幅の変化(ΔA)が、走査プロセスに必要とされるこのパラメータの状態下でのこのパラメータのレベルを表すしきい値と比較される。ステップ226で測定されるように、この値がしきい値を越えるならば、ステップ228で、離間距離(Z)および周波数(ω)の値は保存され、次に実行されるプロセスにおいて用いられる。また駆動作用(励振)振幅が増大しているならば、この増大したレベルは、また、走査プロセスに用いるために保存される。次に、ステップ230において、図15のティップ接近ルーチンが終了され、プローブ・ティップ18は、走査中に試料表面を横断するのに必要とされる、試料表面24から離間された状態にされる。
【0074】
この種の動作の背景を、図8および図9を参照して、さらに詳細に説明する。図15における振幅変化(ΔA)としきい値との比較は、図9のサブルーチン149における比(ΔA/ΔZ)の比較に相当している。これらのパラメータのいずれも、ルーチンのいずれに対しても用いることができる。というのは、いずれかのルーチンにおけるこれらのパラメータの使用は、例によって与えられるからである。ディザリングにより与えられる振動は、カンチレバー24の固有周波数よりもかなり小さいので、セグメント36に供給されるディザリング電圧信号と、ディザリングによるプローブ・ティップ18の動きとの間の位相角は、0に近い。さらに、ディザリング信号の周波数の小さい変化は、装置の利得、したがってディザリングによるティップ運動の振幅を変化させることを予測することはできない。この推論は、適切なしきい値との(ΔA)または(ΔA/ΔZ)の比較により、同じ結果が得られ、(ΔZ)の値は、定数として除去できることを示している。
【0075】
ステップ226で判断されるように、振幅差(ΔA)が所定のしきい値よりも大きくないならば、ステップ232へ進む。このステップでは、ティップ振動の振幅(A)と設定値との間の比較が行われる。この振幅(A)が設定値より小さいと判定されると、励振セグメント34を駆動する信号の振幅は、ステップ234において増大され、振動ティップ18と試料表面24との間の離間距離の減少による振動減衰の増大を克服する。ステップ234からステップ232に戻り、振幅(A)が再び測定される。ルーチンのこの部分の背景の十分な説明は、図14,図14に関連して既に与えられている。
【0076】
ステップ232で、振幅(A)が設定値よりも小さくないと判定されると、ステップ236に進む。このステップでは、励振セグメント34に供給される電圧信号とプローブ・ティップ18の振動との間の位相角(φ)が、この位相角(φ)に対する所定のしきい値と比較される。この位相角が、しきい値より大きいと、ステップ238で、励振セグメント34に供給される駆動電圧信号の周波数は、所定の増分値だけ減少する。これは、位相角(φ)の増大が、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の離間距離の低下に従って発生するカンチレバー14の共振周波数の低下に起因すると仮定した場合である。ステップ238からステップ236に戻り、処理の前に位相角(φ)が再び測定される。ルーチンのこの部分の背景のより十分な説明は、図10,図11および図12に関連して既に与えられている。
【0077】
ステップ236で、位相角(φ)が、位相角のために確立されたしきい値よりも小さいと判定されると、プローブ・ティップ18と試料表面24との間の離間距離は、ステップ240において、遠距離圧電アクチュエータ30を用いて、1ステップだけ減少される。このプロセスは繰り返され、ステップ226で、振幅差(ΔA)がしきい値レベルよりも大きいと判定されるまで、ステップ240で離間距離が減少され、ステップ230でルーチンから出る。
【0078】
ステップ230でルーチンから出た後、装置は、走査モードで試料表面24の検査を開始する準備ができている。走査モードでの動作は、ステップ228で保存された離間距離(Z)と振動周波数(ω)とで好適に開始される。
【0079】
本発明を、好適な形態の実施例で説明したが、以上の説明は一例であり、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、部品の組み合わせおよび配置を含む、構成,製造,使用の詳細において多くの変更を行うことができることがわかる。
【0080】
まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
(1)走査型力顕微鏡内のプローブ・ティップの動きを制御する方法であって、前記プローブ・ティップは、検査すべき試料の表面と、係合方向に係合するように動き、前記プローブ・ティップは、カンチレバーの遠端に取り付けられており、前記方法は、
a)前記カンチレバーの共振周波数よりもわずかに高い励振周波数で、および前記励振周波数よりもかなり低い重畳されたディザリング周波数で、前記係合方向と同じまたは反対方向に、前記プローブ・ティップを振動させるステップと、
b)前記ディザリング周波数での前記プローブ・ティップの振動に応じた、前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅の変化を測定するステップと、
c)前記振動の振幅の前記変化が所定のしきい値レベルより小さいならば、前記プローブ・ティップを前記係合方向に動かすようにアクチュエータを駆動するステップと、
d)前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動と、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号との間の位相差を周期的に測定するステップと、
e)前記位相差が所定のしきい値レベルより大きいならば、前記励振周波数を減少させるステップと、
f)振動の振幅の前記変化が、前記所定のしきい値レベルよりも大きいならば、前記係合方向における前記プローブ・ティップの運動を終了して、検査される前記試料の前記表面を測定するプロセスを開始するステップと、
を含む方法。
(2)前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅を周期的に測定するステップと、
振動の前記振幅が所定のしきい値レベルより小さいならば、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号の振幅を増大させるステップと、
をさらに含む上記(1)記載の方法。
(3)前記ステップb)は、前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動と、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号との間の位相差を測定するステップをさらに含み、
前記方法は、前記位相差を所定のしきい値と比較し、前記位相差が前記所定のしきい値を越えるならば、前記励振周波数を減少させるステップをさらに含む、上記(1)記載の方法。
(4)前記ステップb)は、前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅を測定するステップをさらに含み、
前記方法は、前記振動の前記振幅を所定のしきい値と比較し、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号の振幅を増大させるステップをさらに含む、
上記(3)記載の方法。
(5)前記振動の振幅が0に近いかどうかを調べ、前記振動の振幅が0に近いならば、前記プローブ・ティップと前記試料表面との間の離間距離を増大させるステップをさらに含む上記(4)記載の方法。
(6)前記ステップc)において、前記プローブ・ティップは、振動の振幅の前記変化と、前記所定のしきい値レベルとの間の比の関数として決定された距離にわたって、前記係合方向に動かされ、前記関数は、振動の振幅の前記変化が前記所定のしきい値レベルに近づくにつれて、前記距離を減少させる上記(1)記載の方法。
(7)走査型力顕微鏡内のプローブ・ティップの動きを制御する方法であって、前記プローブ・ティップは、検査すべき試料の表面と、係合方向に係合するように動き、前記プローブ・ティップは、カンチレバーの遠端に取り付けられており、前記方法は、
前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動と、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号との間の位相差を周期的に測定するステップと、
前記位相差が所定のしきい値レベルより大きいならば、前記励振周波数を減少させるステップと、
を含む方法。
(8)前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅を周期的に測定するステップと、
振動の前記振幅が所定のしきい値レベルより小さいと、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号の振幅を増大させるステップと、
をさらに含む上記(7)記載の方法。
(9)走査型力顕微鏡内のプローブ・ティップの動きを制御する方法であって、前記プローブ・ティップは、検査すべき試料の表面と、係合方向に係合するように動き、前記プローブ・ティップは、カンチレバーの遠端に取り付けられており、前記方法は、
前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅を周期的に測定するステップと、
振動の前記振幅が所定のしきい値レベルより小さいならば、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号の振幅を増大させるステップと、
を含む方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査型力顕微鏡において、ティップ振動の振幅を決定するのに用いられる従来の装置を示す図である。
【図2】(A)は図1の装置への第1の入力を与える振動変位信号を示す図であり、(B)は(A)の変位信号を生成するカンチレバー運動を発生するために用いられる発振器信号を示す図であり、(C)は図1の装置からの出力信号を示す図である。
【図3】本発明の走査型力顕微鏡を示す図である。
【図4】図3の走査型力顕微鏡内の復調器のブロック図である。
【図5】(A)は図4の復調器内のリミッタの出力信号を示す図であり、(B)は(A)の信号に対し90゜の位相角の関係を有する信号を示す図であり、(C)は(A)の信号と(B)の信号との乗算により得られる信号を示す図である。
【図6】(A)は図4の復調器内のリミッタの出力信号を示す図であり、(B)は(A)の信号に対し90゜より大きい位相角の関係を有する信号を示す図であり、(C)は(A)の信号と(B)の信号との乗算により得られる信号を示す図である。
【図7】試料表面との係合の種々の状態下で、ティップ振動の振幅を、駆動周波数の関数として示す図である。
【図8】振動プローブ・ティップと試料表面との間の相互作用力の変化を示す図である。
【図9】振動プローブ・ティップを試料表面に係合させるときに、走査型力顕微鏡内の演算装置で実行されるルーチンのフローチャートを示す図である。
【図10】試料表面との係合の変化による固有周波数の大きな変化が示されている点を除き、図7と同様の図である。
【図11】カンチレバーを振動させる信号と図10の振動ティップとの間の位相角を示す図である。
【図12】カンチレバーの振動の駆動周波数を減少させて、プローブ・ティップが試料表面に係合されるときの位相角の変化を補正するために、演算装置で実行されるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図13】振動プローブ・ティップの振幅を示す図であり、カンチレバーが駆動される振幅を増大させることによって、チップ振動振幅が補正される状態を示す。
【図14】図13に示される設定レベルにティップ振動の振幅を保持するために、演算装置で実行するサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図15】振動プローブ・ティップが試料表面と係合されるときに、演算装置で実行されるルーチンのフローチャートを示す図であり、ルーチンを経るときにいくつかのパラメータがチェックされ必要に応じて補正が行われる。
【符号の説明】
12 バイモル圧電アクチュエータ
14 カンチレバー
16 基端
18 プローブ・ティップ
20 遠端
24 試料表面
30 アクチュエータ
32 Z方向駆動モータ
34 励振セグメント
36 ディザリング・セグメント
38 演算装置
40 ドライバ回路
42 レーザ検出器
44 復調器
46 比較回路
47 アナログ−デジタル変換器
59 モータドライブ回路
61 ディザリング・セグメントを動作するドライバ
68 デジタル−アナログ変換器
70 積分器
72 アナログ−デジタル変換器
78 横方向運動アクチュエータ
80 横方向運動ドライバ

Claims (3)

  1. 走査型力顕微鏡内のプローブ・ティップの動きを制御する方法であって、前記プローブ・ティップは、検査すべき試料の表面と、係合方向に係合するように動き、前記プローブ・ティップは、カンチレバーの遠端に取り付けられており、前記方法は、
    a)前記カンチレバーの共振周波数よりも高い励振周波数で、および前記励振周波数よりも低い重畳されたディザリング周波数で、前記係合方向と同じまたは反対方向に、前記プローブ・ティップを振動させるステップと、
    b)前記ディザリング周波数での前記プローブ・ティップの振動に応じた、前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅の変化を測定するステップと、
    c)前記振動の振幅の前記変化が所定のしきい値レベルより小さいならば、前記プローブ・ティップを前記係合方向に動かすようにアクチュエータを駆動して、前記プローブ・ティップと前記試料表面との間の離間距離を1ステップ減少させるステップと、
    d)前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動と、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号との間の位相差を、前記離間距離を1ステップ減少させるたびに測定するステップと、
    e)前記位相差が所定のしきい値レベルより大きいならば、前記励振周波数を減少させるステップと、
    f) 前記励振周波数での前記プローブ・ティップの振動の振幅を、前記離間距離を1ステップ減少させるたびに測定するステップと、
    g) 振動の前記振幅が所定のしきい値レベルより小さいならば、前記励振周波数で前記プローブ・ティップを振動させる信号の振幅を増大させるステップと、
    )振動の振幅の前記変化が、前記所定のしきい値レベルよりも大きいならば、前記係合方向における前記プローブ・ティップの運動を終了して、検査される前記試料の前記表面を測定するプロセスを開始するステップと、
    を含む方法。
  2. 前記振動の振幅が0に近いかどうかを調べ、前記振動の振幅が0に近いならば、前記プローブ・ティップと前記試料表面との間の離間距離を増大させるステップをさらに含む請求項記載の方法。
  3. 前記ステップc)において、前記プローブ・ティップは、振動の振幅の前記変化と、前記所定のしきい値レベルとの間の比の関数として決定された距離にわたって、前記係合方向に動かされ、前記関数は、振動の振幅の前記変化が前記所定のしきい値レベルに近づくにつれて、前記距離を減少させる請求項1記載の方法。
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