JP3084467B2 - 物性情報測定装置 - Google Patents
物性情報測定装置Info
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Description
料の表面の物性情報を得ることが可能な走査型プローブ
顕微鏡に関する。
できる原子間力顕微鏡(Atomic ForceMicroscope ; AFM)
は、1986年にGbinnig C.F Quate らによって発明
された。このAFMの応用でP−N接合の表面電位をサ
ブナノメータの高分解能で測定した例が Y.Martin et a
l(Appl.phys.Letle.,52,1103 1988)によって示され最近
では、H.Yokoyama et al(Mal,Electronics.Bioelectron
ics,3,79 1992)によってアルミニウムと白金の接触電位
差を測定している。図2に、横山らの装置構成を示す。
び探針3の間に、探針励振用の交流電圧(VAC sinω)
を発振器4より、及び試料電位調節用の直流電位(V
Bias)を直流バイアス電源5を用いて印加できるように
し、探針3を試料の極近傍に近づけると、静電結合によ
って探針が強制励振を起こす。この振幅を光テコ6等の
変位検出系で検出し、ロックインアンプ7によって励起
周波数の2ω成分を検出し試料と探針間の静電容量の勾
配を、励起周波数のω成分をロックインアンプ8より探
針直下の表面電位Vsとして求めるものである。これら
静電容量の勾配と表面電位を画像化するために、静電容
量の勾配
軸サーボ系9及びピエゾスキャナー10を使い制御し、
この時の表面電位の分布を求めている。表面電位を求め
る方法としては、試料電位調節用の直流電源5に既知の
電位を与えてキャリブレーションを行う方法(キャリブ
レーション法)又は励起周波数のω成分がゼロになるよ
うに試料電位調節用の直流電源5をフィードバック制御
する方法(フィードバック法)が用いられている。
流電圧として5〜10kHzを用いプローブを励起し、
その変位信号をロックインアンプで検出している。従っ
てこの励起周波数に対して充分なS/N比を得るために
は、ロックインアンプの時定数を10〜20msec以上に
設定する必要があり、200×200の画素の画像を測
定するのに7〜14分も要してしまう。又、前記の試料
電位調節用の直流電源5のフィードバック制御を行うと
画像の得られる時間は、このフィードバック系の応答を
含めてさらに遅れてしまう。又、従来技術では、表面の
電位差分布だけしか求められなかった。
題点を鑑み、高速で試料表面の誘電率及び表面電位の分
布を求める装置に関するものである。
成するために、図2に示す2台のロックインアンプの代
わりに、図1に示す離散的フーリエ変換を用いたアナロ
グ演算器17を使用し、高速に光テコの信号周波数2ω
及びω成分を得る。また試料電位調節用の直流電源バイ
アス電源5又は割算器5aを有する。
器17が高速に(時定数約1msec)ω及び2ωの周波数
成分を検出する。一方、前記割算器は、ω及び2ωの振
幅を割算し演算操作することにより試料の表面電位の分
布を求める。
す。試料1は試料台2の上に載せられ、必要に応じて試
料面と試料台で導通を取る。導電性のレバー及び探針3
と試料1又は試料台の間に、探針励振用の交流電圧(V
AC sinω)を発振系4より、試料電位調節用の直流電圧
(VBias)を電源5より印加する。探針を試料に近づけ
ると、試料と探針間の静電的結合が増加し、探針が強制
振動を起こす。この振幅を光テコ6等の変位検出系で検
出し、この振幅信号周波数成分ω及び2ωを離散的フー
リエ変換を用いたアナログ演算器17(以下アナログ演
算器17と記す)により検出する。得られたω成分は表
面電位を、2ω成分は探針と試料間の静電容量の探針試
料方向(z方向)の勾配となる。これら静電容量の勾配
と表面電位を画像化するためには、静電容量の勾配
ーボ系9及びピエゾスキァーナ10を使い制御しながら
x,y方向にx,yラスター走査系12を使用しラスタ
ー走査することにより、表面電位及び静電容量の面内分
布が得られる。一方、表面電位は割算器5aより演算操
作によっても同様に得られる。
性のレバーが受ける力は、
S とすると、 V=VDC+VACsinω ・・・・(2) VDC=VBias+VS ・・・・(3) となり、強制振動による。探針振幅は、
3が平らな試料1と向き合っているとすると針と試料の
間の静電容量のz方向の勾配は
=一定と仮定し、ロックインアンプ2ω項の出力は、 V 2ω∝(VAC 2 /2)(1/k)(ε0 πR/z0 2) ∝(a/z0 2) ・・・・(6) a:比例定数 となり、V 2ωを一定になるように、Z軸サーボ系9及
びピエゾアクチュエータ10を制御することにより、探
針と試料の距離を一定に制御することができる。従っ
て、上記制御をしながらx・yのラスター走査を行え
ば、2ω項よりは、試料表面の凹凸像が得られる。
とすると Vω∝2VDCVAC(1/k)(ε0 πR/Z0 2) ・・・・(7) 今、VAC,ε0 ,z0 ,kが一定であるから、 Vω∝2(VBias+VS )b ・・・・(8) b:比例定数 となる。キャリブレーション法では、VS =0の時、V
Biasに既知の値を与え比例係数bを算出する。又、フィ
ードバック法では、常にVω=0になるように、VBias
をフィードバック制御し、VBias=−VS より表面電位
を直読する。
ドバックも不要な割算器による演算操作による表面電位
の求め方を説明する。式(6),(7)より Vω/V2 ω=4VDC/VAC=α ・・・・(9) 式(9)、(3)より、 Vs =β(αVAC/4) −VBias ・・・・(10) 今、VAC,α,VBias既知及びβの実測より表面電位V
s が求まる。尚、βはレバーをω、及び2ωで励起し、
振動させた時の振幅の比であり、2ωがレバーの機械的
共振周波数ω0 より小さい時、(2ω≦ω0)β≒1であ
る。又、レバーのQ値及び機械的共振周波数が既知の場
合は、数7、(12)より求めてもよい。
発振系4、直流バイアス(VBias)電源5及び周波数
ω、2ωの各成分の電圧振幅を検出するロックインアン
プ7、8の役割を担う制御回路部分である図2の18に
ついて詳細に説明する(図4)。
を有する正弦波交流電圧を発生する発振器(例えばディ
テル社製 ROJ1K)であり、発振器21には減衰器
22が接続され、減衰器22の出力は、導電性の探針3
に印加される。また、前記発振器21に接続され、入力
電圧A,Bに対する出力電圧CがC=A・B/10で与
えられる第1の乗算器23(例えば、アナログデバイセ
ズ社製 AD532)では、発振器21および図1のプ
リアンプ11の出力zが入力され、両者の積の1/10
の信号が出力される。第1の乗算器23の出力は時定数
1msの第1のローパスフィルタ24に送られて平滑化
され、さらに第2の増幅器25により適切に増幅され、
ω周波数成分の信号とし、図1、図2の直流バイアス電
源5又は図2の割算器5aに出力される。この間の入出
力の関係を数式を用いて表現すると、次のようになる。
と探針3間の静電的結合による力に対応しており、運動
による逸脱エネルギーはないため、VAC sinωtとzの
ω成分との間の位相のずれはない。従って、数8の右辺
括弧内のzのフーリエ正弦積分は、zのω成分の振幅を
表している。
おいて2つに分岐され、それぞれ第2の乗算器27に入
力され、第2の乗算器27は発振器21から発生された
正弦波電圧を2乗した値の1/10の電圧を出力する。
第2の乗算器27には、時定数1msの第2のローパス
フィルタ28が接続され、乗算器27からの信号を平滑
化して出力する。符号29は減算器であり、第2の乗算
器27および第2のローパスフィルタに接続されて両者
の差を出力する。減算器29には、−2倍の利得を有す
る反転増幅器30が接続されている。発振器21から反
転増幅器30に至る入出力関係を数式を用いて表現すれ
ば、
とすれば反転増幅器30の出力は、振幅が10Vで周波
数が元の正弦波に比べて2倍の余弦波として与えられ
る。符号31は第3の乗算器であり前記反転増幅器30
と図2のプリアンプ11とに接続され、両者の積の1/
10の電圧を出力する。第3の乗算器31には時定数
0.5msの第3のローパスフィルタ32が接続され、
zの2ω成分の振幅を検出する。すなわち、
エ余弦積分は、zの2ω成分の振幅を表している。第3
のローパスフィルタ32の出力は第2の増幅器33を介
してピエゾ制御回路9に送られ、ピエゾスキャナー10
のz方向サーボ制御信号として用いられる。次に試料表
面の電位分布と同時に誘電率分布を求める方法を説明す
る。
の方式は各画素ごとに試料の凹凸(d)及び静電容量の
z方向の勾配を一定にする距離(z)を求める。手順
は、ある任意の画素で導電性探針3と試料1又は試料台
2間の交流電圧(VAC sinω)及び直流電圧(VBias)
をゼロにし、探針3を試料1面に接続させ、レバーの反
りが一定の値になるようにZ軸サーボ系9がピエゾスキ
ャナー10を使い制御する。この時の制御電圧が試料の
凹凸情報(d)を与える(コンタクトモード)。
固定しオフセット電圧発生器15より一定の電圧を与え
試料面より所定の距離だけ離す。次に発振器4より交流
電圧(VAC sinω)を印加する。探針が数5で示す振幅
で振動を開始し、ここでV2wの値が所定の値になるよう
にZ軸サーボ系9を解除し、オフセット電圧発生器15
の電圧をゼロに戻しながら、Z軸サーボ系9及びヒエゾ
スキャナー10を制御する。この時の制御電圧が試料と
探針間の静電容量を一定するための情報(z)を得る
(キャパシタンスモード)。
情報を測定し、一画面の情報を得る。前記方法は各画素
ごとに(d)及び(z)の情報が求まるが、測定時間が
長くなる。試料面の熱による移動が無視できる場合は、
各ラスター走査ごと、あるいは一画面ごとに探針の距離
を制御しコンタクトモードとキャパシタンスモードを切
り換えて別々にdとzの情報を測定しても良い。
率の分布を求める。以下の解析は図2又は図5で示す画
像処理演算処理系13で行う。以下に誘電率を求めるア
ルゴリズムを示す。図6に示すように基板上に高さ誘電
率の異なるものが平行に並んだモデル(パラレルモデ
ル)及び図7に示す誘電率が異なるものが積層した(ス
タックモデル)の2つについて示す。図6、図7に示す
ような試料の断面は、図2、図5の画像処理系13で処
理する。
タクトモードでの探針の軌跡を(d)、キャパシタンス
モードの針の軌跡を(z)とする。図6の領域0、1、
2、n−1、nにおける誘電率をε0 、ε1 、ε2 〜ε
n-1 、εn と、試料の厚さをd1 、d2 〜dn-1 、dn
とし、キャパシタンスモードの探針の軌跡と試料表面ま
での距離をz0 、z1 、z2 〜zn-1 、zn とする。ま
た各領域における基板と試料の間の静電容量が等しいの
で境界1で、 z0 =z1 +(ε0 /ε1 )d1 ・・・・(15) Δz1 =z1 +d1 −z0 =d1 (1−(ε0 /ε1 ))・・・・(16) Δz1 /d1 =(1−ε0 /ε1 ) ・・・・(17) が成り立つ。
率)が既知のため(17)式よりε1 が求まる。同様に境
界2で演算を行うと、 z1 + (ε0 /ε1)d1 =z2 + (ε0 /ε2)d2 ・・・・(18) Δz2 =(d2 +z1 )−(d1 +z1 ) ・・・・(19)
る。
る。前記と同様にコンタクトモードでの探針の軌跡を
(d)、キャパシタンスモードでの針の軌跡を(z)と
する。領域0、1、2〜n−1、nにおける誘電率をε
0 、ε1 、ε2 〜εn-1 、εn とし、試料の厚さを
d1 、d2 〜dn-1 、dn とし、キャパシタンスモード
の探針の軌跡と試料表面までの距離をz0 、z1 、z2
〜zn-1 、zn とする。また各領域における基板と試料
間の静電容量が等しいので境界1で、 z0 =z1 + (ε0 /ε1)d1 ・・・・(15) Δz1 /d=(1−ε0 /ε1 ) ・・・・(17) が成り立つ。
率)が既知のため、(17)式よりε1が求まる。同様に
境界2で演算を行うと、 z1 =z2 + (ε0 /ε2)d2 ・・・・(23) Δz2 =z2 +d2 −z1 =d2 (1− (ε0 /ε2))・・・・(24) (Δz2 /d2)=(1− (ε0 /εn )) ・・・・(25) 今、d2 、Δz2 、ε0 既知よりε2 が求まる。同様に
境界nで演算を行うと、 (Δzn /dn ) =(1− (ε0 /εn )) ・・・・(26) 今、Δzn 、dn 、ε0 既知よりεn が求まる。
いる場合は前記のモデルを適応して各領域の誘電率を求
めることができる。以上変位検出方式を光テコを用いた
系に基づいて説明したが、探針の変位検出に関しては光
干渉計等の他の技法を用いることもできる。
検出を離散的フーリエ変換回路に代替したことにより、
検出時定数を約1/10に減少することができる。この
結果、1画面測定に要する時間を数10分から数分に短
縮することができる。
は、離散的フーリエ変換回路の出力をそのまま使えるた
め、回路系が単純化され、結線が単純になるとともに、
計器の相対的な較正が不要になるという利点も得られ
る。又、従来マクロ的な情報しか得られなかった試料の
誘電率分布をサブミクロン以下の分解能で得られるよう
になった。
Claims (4)
- 【請求項1】 試料を配置する試料台と、前記試料に対
向して設けられた導電性の探針が先端についた弾性的レ
バーと、前記レバーに正弦波電圧を印加する発振器と、
前記レバーの変位又は振幅を検出する変位検出手段と、
この変位又はレバーの振動振幅を一定に制御するサーボ
系及びピエゾアクチュエータと、上記レバーを試料面と
垂直方向に正弦波状に強制振動させる手段と、前記ピエ
ゾアクチュエータ上に固定された前記試料と探針の間に
直流電圧を与える手段と、レバーの振動振幅を離散的フ
ーリエ変換を用いたアナログ演算器にて測定し、試料表
面の表面電位及び誘電率の分布を演算する演算手段とか
ら成ることを特徴とする物性情報測定装置。 - 【請求項2】 前記レバーの振動振幅を離散的フーリエ
変換を用いるアナログ演算器は前記発振器及び前記変位
検出手段に接続され、両者の出力を乗算する第1の乗算
器と、第1の乗算器に接続されるとともに、第1の乗算
器の出力を平滑化する第1のローパスフィルタと、前記
第1のローパスフィルタに接続された第1の増幅器と、
前記発振器に接続されるとともに、前記発振器の出力を
二乗する第2の乗算器と、前記第2の乗算器に接続さ
れ、その出力を平滑化する第2のローパスフィルタと、
前記第2の乗算器及び前記第2のローパスフィルタに接
続され両者の差信号を出力する減算器と、前記変位検出
器および減算器に接続され両者の出力の乗算をする第3
の乗算器と、第3の乗算器に接続されるとともに、第3
の乗算器の出力を平滑化する第3のローパスフィルタ
と、前記第3のローパスフィルタに接続された第2の増
幅器と前記第2の増幅器の出力を割算する割算器あるい
は、試料電位調整用のフィードバック回路に与え、又前
記第3の増幅器の出力を前記ピエゾアクチュエータを制
御するサーボ系に出力する回路系より成ることを特徴と
する請求項1記載の物性情報測定装置。 - 【請求項3】 前記離散的フーリエ変換を用いるアナロ
グ演算器の第1の増幅器より得られる信号を、前記第2
の増幅器で得られる信号で割算を行い、この係数より演
算操作することにより、試料の表面電位の分布を求める
ことを特徴とする請求項2記載の物性情報測定装置。 - 【請求項4】 前記離散的フーリエ変換を用いるアナロ
グ演算器の第2の増幅器の出力と、試料表面の凹凸情報
を各画素ごとに求め、演算操作することにより試料の誘
電率の分布を求めることを特徴とする請求項2記載の物
性情測定装置。
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JP04348584A JP3084467B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 物性情報測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06201373A JPH06201373A (ja) | 1994-07-19 |
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04348584A Expired - Fee Related JP3084467B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 物性情報測定装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3084467B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3402512B2 (ja) | 1994-05-23 | 2003-05-06 | セイコーインスツルメンツ株式会社 | 走査型プローブ顕微鏡 |
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-
1992
- 1992-12-28 JP JP04348584A patent/JP3084467B2/ja not_active Expired - Fee Related
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