JP3720895B2 - エアバッグ用織物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエアーバッグ用織物の製造方法に関するものである。
【0002】
さらに詳しくはエアバッグ作動時、顔面に擦過傷を生じさせず、顔面の保護に優れたエアーバッグ用織物の製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
近年、自動車衝突時の乗員安全確保のため、エアバッグシステムが実用化されている。通常、エアバッグは折りたたまれて格納されており、衝突を検知すると高圧ガスにより膨張して、乗員の安全を確保するように設置されている。従って、エアバッグ織物に要求される重要特性としては、高圧ガスの通気阻止性が高く、また瞬間的な膨張に耐えうる耐衝撃性、長期間格納が可能な耐久性を有していることがあげられる。最近ではこうした基本特性のほかに、バッグ作動時、顔面に接触する際、擦過傷を生じない織物が要求されている。
【0004】
特開平6―146132号公報「ノンコートエアバッグ基材」には、エラストマー樹脂などで表面をコートした基布と同程度の高圧ガスの通気阻止性を維持しつつ、基布の風合いを柔らかくすることにより擦過傷を生じない基材が開示されている。この方法は電子線照射処理により、基布またはフィルムを架橋させるものであるが、設備面、生産性の点で問題がある。
【0005】
一方、比較的風合いの柔らかいノンコート基布に関しては、特開平6―306728号公報「エアバッグ用基布」をはじめ、いくつかの提案がなされているが、ノンコート基布では高圧ガスの通気阻止性を得るため、高密度で織る必要があるがこの際基布表面が緻密になり、擦過傷の原因になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は高圧ガスの通気阻止性が高く、また瞬間的な膨張に耐えうる耐衝撃性を維持し、かつエアバッグ作動時、顔面に擦過傷を生じさせず、顔面の保護に優れたエアバッグ用織物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、乾熱収縮率の異なる二種類以上の合成繊維糸条を用いてエアバッグ用織物を製造するに際し、低収縮性繊維を縦糸、緯糸の少なくとも一方に交織し、該織物を熱セット加工するによって、織物表面に低収縮性繊維からなるループを形成させ、表面を嵩高にすることにより、エアバッグ作動時、衝撃を吸収し、顔面の擦過を和らげ、擦過傷を生じさせず、顔面の保護に優れたエアバッグ用織物を見いだし、本発明に到達したのである。
【0008】
すなわち、本発明は、180℃の乾熱収縮率が5〜20%であり、繊度が210〜840デニールである高収縮性合成繊維糸条を用いてエアバッグ用織物を製造するに際し、180℃の乾熱収縮率が、該高収縮性糸条のそれよりも5〜15%小さくかつその値が0〜5%である低収縮性糸条を、経糸又は/及び緯糸の構成本数の2〜30%を占めるごとく、交織した織物を乾熱処理することを特徴とするエアバッグ用織物の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のエアバッグ用織物を構成する繊維はポリエチレンテレフタレートのホモポリエステル、ポリエステルの繰り返し単位を構成する酸成分にイソフタル酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸またはアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを共重合したポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6およびナイロン6とナイロン6・6共重合体、ナイロンにポリアルキレングリコール、ジカルボン酸やアミン酸などを共重合したポリアミド繊維、パラフェニレンテレフタルアミドおよび芳香族エーテルとの共重合などに代表されるアラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリエーテルケトン繊維、などをいう。これらの繊維の中でポリエステル繊維およびポリアミド繊維がエアーバッグ用織物に優れる。
【0011】
かかる繊維には糸条の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されている各種添加剤を含んでも良い。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。
【0012】
本発明のエアバッグ用織物の製造方法においては乾熱収縮率の異なる二種類以上の合成繊維糸条を用いる。
【0013】
低収縮性繊維としては、180℃の乾熱収縮率が0〜5%であり、かつ高収縮性繊維に対して5〜15%小さいことが必要である。180℃の乾熱収縮率が5%より大きい場合、または高収縮性繊維に対して180℃の乾熱収縮率の差が5%未満の場合、基布表面に低収縮性繊維からなるループを十分形成できず、十分な嵩高性を得ることができない。また逆に180℃の乾熱収縮率が負つまり自己伸長する場合、高収縮性繊維との交点で目開きをおこしやすく、高圧ガスの通気阻止性を維持しがたくなる。高収縮性繊維に対して180℃の乾熱収縮率の差が15%より大きい場合、収縮ムラをおこしやすく、高圧ガスの通気阻止性を維持しがたくなる。さらにこの低収縮性繊維は単糸デニールが0.5〜2.0デニールであると繊維が柔らかく、顔面保護にさらに効果的となるので、特に好ましい。単糸デニールが0.5デニール未満の場合、エアバッグ用織物として高密度織物に製織する際、毛羽が発生しやすくなって安定に製織することができなくなる。
【0014】
一方、本発明のアエバッグ用織物の機械的特性は、主として構成する高収縮性繊維(180℃の乾熱収縮率は5〜20%である)の機械的特性に依存するが、エアバッグ用織物に必要な機械的特性を満足するものであれば、高収縮性繊維の機械的特性は特に制約を受けないが、切断強度として8g/de以上であるのが望ましい。
【0015】
繊維の繊度は、エアバッグ用織物の特性を満足するためには210〜840デニールである。
【0016】
本発明のエアバッグ用織物では上記低収縮性繊維を経糸、緯糸の少なくとも一方に構成本数の割合で2〜30%、好ましくは5〜15%交織させることが必要である。織物形態は特に制約を受けないが、低収縮性繊維の効果を発現させやすい平織が好ましい。
【0017】
該低収縮性繊維は1本1本織物組織に平均して混在する方が好ましいが、数本並べて交織してもよい。交織は経糸、緯糸の少なくとも一方でよいが経糸、緯糸の両方に交織するほうがさらにループを形成しやすく、嵩高が発現しやすく好ましい。低収縮性繊維の交織割合が2%未満の場合十分な嵩高性を得ることができず、十分な顔面保護とはならない。また30%を越える場合、乾熱熱処理後の織物が収縮ムラをおこしやすく、高圧ガスの通気阻止性を維持しがたい。
【0018】
交織織物のカバーファクターは2000〜2300であることが好ましい。ここでいうカバーファクターは経糸原糸のデニールの平方根と経糸密度(本/インチ)の積と緯糸原糸のデニールの平方根と緯糸密度(本/インチ)の積との和である。カバーファクターが2000未満であると高圧ガスの通気阻止性を維持しがたい。またカバーファクターが2300を越えると製織の際、高密度になりすぎ、安定した製織ができなくなる。
【0019】
得られた織物は150℃〜220℃で熱セットする。熱セット方法は接触方式、非接触方式いずれでもよいが安定した織物を得るためには熱ロールを使用した熱セット方式が好ましい。
【0020】
【発明の作用効果】
本発明にかかわるエアバッグ用織物は乾熱収縮率の異なる繊維を交織しているため熱セットによりその低収縮性繊維が大きく収縮せず、織物表面にループを形成し、平坦な織物が崇高な織物となる。これにより、表面に現れた繊維がエアバッグ作動時、クッション的役割をはたし、顔面を保護することができる。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、各測定項目は下記にしたがった。
【0022】
▲1▼乾熱収縮率
JIS L―1073―1977,6.12(2)のA法に準拠して測定した。
【0023】
▲2▼通気度
JIS L―1096のフラジール法で測定した。
【0024】
▲3▼擦過性
エアバッグ作動時に十分接触する距離にある金属板に、厚さ10mmの加硫したゴム(硬度70:横河ウェザック株式会社製YARN HARDNESSで測定した値)を固定し、エアバッグを作動させたとき、加硫ゴム表面にできるキズ(5mm以上)を目視判断で評価した。
キズ20箇所以上 × キズ5〜19箇所 △ キズ4箇所以下 ○
【0025】
[実施例1]
高収縮性繊維として繊度が420De、単糸の繊度が1.7De、強度が9.0g/De、切断伸度が14%、180℃乾熱収縮率が12%のポリエステル繊維に、繊度が420De、単糸の繊度が1.7De、強度が8.0g/De、切断伸度が30%、180℃乾熱収縮率が3.0%の低収縮性ポリエステル繊維を経糸、緯糸にそれぞれ14%交織、具体的には前者6本につき後者1本の割合で交織し、カバーファクターが2100で製織した。得られた織物を180℃に加熱されたロールを介して熱セットし、エアバッグ用織物を得た。結果を表1に示す。
【0026】
[実施例2〜4、比較例1〜3]
織物を構成している繊維物性、低収縮性繊維の比率、カバーファクターを表1に記載の如く変更する以外は実施例1と同様に行った。結果を表1にまとめて示す。
【0027】
【表1】
Claims (4)
- 180℃の乾熱収縮率が5〜20%であり、繊度が210〜840デニールである高収縮性合成繊維糸条を用いてエアバッグ用織物を製造するに際し、180℃の乾熱収縮率が、該高収縮性糸条のそれよりも5〜15%小さくかつその値が0〜5%である低収縮性糸条を、経糸又は/及び緯糸の構成本数の2〜30%を占めるごとく、交織した織物を乾熱処理することを特徴とするエアバッグ用織物の製造方法。
- 低収縮性糸条の単繊維繊度が0.5〜2.0デニールである請求項1記載のエアバッグ用織物の製造方法。
- 交織織物のカバーファクターが2000〜2300である請求項1記載のエアバッグ用織物の製造方法。
- 合成繊維糸条が実質的にポリエチレンテレフタレートである請求項1記載のエアバッグ用織物の製造方法。
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