JP3718098B2 - 眼底カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼眼底を撮影する眼底カメラに関する。
【0002】
【従来技術】
散瞳剤を使用することなく、無散瞳状態で眼底像を撮影する眼底カメラが知られている。従来、このような無散瞳タイプの眼底カメラにおいては、不可視の赤外光により眼底を観察する観察光学系とフラッシュ光源の点灯による可視光によって眼底を撮影する撮影光学系との光路を、通常のミラーコーティングからなる跳上げミラーを使用して切換えていた。
【0003】
また、無散瞳タイプの眼底カメラでは患者の視線を誘導するための固視灯を眼底カメラの光学系内部に配置することが好ましく、跳上げミラーを使用した構成の場合には跳上げミラーで切換えられる観察光学系の光路側に固視灯の配置が可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、跳上げミラーを使用した機構は、フラッシュ光源と同期駆動させるシーケンスの必要性や駆動機構の複雑化に加え、撮影時の駆動音や振動等が避けられないという欠点がある。
【0005】
近年では、跳上げミラーの代わりにダイクロイックミラーを設け、可視光を撮影光学系へ、赤外光を観察光学系へ導光するものも提案されているが、ダイクロイックミラーによって赤外光が分割される観察光学系側には可視光を出射する固視灯を設けることはなかった。この場合の固視灯の配置は、撮影光学系内に別途ビームスプリッタを配置し、分岐させた光路側へ固視灯を設けることが考えられるが、これは撮影光量の低下を招き、不利である。また、ピント合わせ用のフォーカス指標と同じ位置に固視灯を配置することも考えられるが、視線誘導のために固視灯を移動する場合にはその移動機構の配置が難しい。
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、装置構成を簡略化しつつ、内部固視灯を視線誘導に適した効率の良い配置とした眼底カメラを提供することを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 被検眼の眼底を可視光及び赤外光により照明する照明光学系と、眼底で反射した赤外光により眼底像を光電的に撮像する観察用撮影光学系と、観察用撮影光学系の一部の光学系を共用し、眼底で反射した可視光により眼底像を光電的に撮像する撮影光学系と、を有し、被検眼の眼底を撮影する眼底カメラにおいて、前記観察用撮影光学系及び前記撮影光学系の光路中に両光学系を分岐するために設けられる波長選択性ミラーであって、可視光の一部及び赤外光と可視光の大部分とに分ける第1波長選択性ミラーと、該第1波長選択性ミラーによって分岐された前記観察用撮影光学系の光路をさらに赤外光に感度を持つ撮像素子が配置される光路と固視目標が配置される光路とに分岐する波長選択性ミラーであって、可視光の一部及び赤外光と可視光の大部分とに分ける第2波長選択性ミラーと、被検眼を固視させる固視目標であって、前記第2波長選択性ミラーによって分岐された光路で且つ前記撮像素子の撮像面と略共役な位置に配置された固視目標と、を備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について一実施形態を挙げ、図面に基づいて説明する。図1は実施形態である無散瞳タイプの眼底カメラの光学系概略図である。光学系は照明光学系1、撮影光学系2、観察光学系3、固視目標投影光学系35、フォーカス指標投影光学系45を備える。
【0011】
<照明光学系> 観察用光源であるハロゲンランプ10から出射された光束は、波長750nm以上の赤外光を透過する赤外フィルタ11によって赤外光束とされ、コンデンサレンズ12を介した後、赤外光反射,可視光透過の特性を有するダイクロイックミラー15で反射され、リング状の開口を有するリングスリット16を照明する。また、撮影用光源であるフラッシュランプ13から出射される可視光束は、コンデンサレンズ14を介した後、ダイクロイックミラー15を透過して観察用の赤外光束の場合と同軸に合成され、リングスリット16を照明する。なお、ハロゲンランプ10の代わりに赤外LED等の赤外光源を利用しても良く、この場合は赤外フィルタ11が不要となる。
【0012】
リングスリット16の光束は、リレーレンズ17a、ミラー18、中心部に小黒点を有する黒点板19、ビームスプリッタ48、リレーレンズ17bを介して、穴開きミラー21の開口部近傍に中間像を形成した後、撮影光学系2の光軸と同軸になるように反射される。穴開きミラー21で反射したリングスリット光束は、対物レンズ20により被検眼Eの瞳孔付近で一旦収束した後、拡散して被検眼眼底部を一様に照明する。このとき、リングスリット光束が対物レンズ20に入射する際に生じる若干の反射光が眼底像の観察・撮影の有害光となるため、黒点板19の中心部に設けられた小黒点で有害光が吸収されるように構成してある。
【0013】
<撮影光学系> 眼底からの反射光束は、対物レンズ20、穴開きミラー21の開口部、撮影絞り22、光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ23、結像レンズ24を介してダイクロイックミラー(ダイクロイックプリズム)25に入射する。ダイクロイックミラー25は、図2に示す如くの光学特性を有しており、700〜800nm以下の可視域の光に関しては略80〜90%を透過し、残りの20〜10%を反射すると共に、不可視の赤外光の大半を反射(800nm以上では大部分を反射)する。ダイクロイックミラー25を透過した可視光束は、可視域に感度を有する撮影用のカラーCCDカメラ26に入射し、その撮像素子面上に眼底像を結像する。なお、撮影用CCDカメラ26に数百万画素を有する高解像度のデジタルCCDカメラを用いることにより、撮影した眼底画像を電子画像として使用することができる。
【0014】
<観察光学系> 観察光学系3は、撮影光学系2の対物レンズ20からダイクロイックミラー25までを共用し、光分割部材としてのダイクロイックミラー25によって光路が分岐される。ダイクロイックミラー25によって反射された眼底からの赤外反射光束は、リレーレンズ30を透過した後、ダイクロイックミラー25と同じ光学特性を有する光分割部材としてのダイクロイックミラー31により更に反射して、赤外域に感度を有する観察用CCDカメラ32に入射し、その撮像素子面上に眼底像を結像する。
【0015】
なお、フォーカシングレンズ23は撮影光学系2と観察光学系3の共用光路の光軸上を移動可能で、被検眼の屈折力に合せての屈折異常の調節を可能にする。フォーカシングレンズ23はラック42に固設されており、ラック42はステッピングモータ40の回転軸に固設されたピニオン41と噛み合っている。ステッピングモータ40の回転によってピニオン41、ラック42を介して、フォーカシングレンズ23が光軸上を移動し、撮影用CCDカメラ26及び観察用CCDカメラ32の撮像素子面上に被検眼眼底のピントを合わせる。
【0016】
<フォーカス指標投影光学系> フォーカス指標投影光学系45は、指標板47、赤外光を出射する照明用LED46、ビームスプリッタ48を備え、指標板47及びLED46はフォーカシングレンズ23と連動して移動可能に構成されている。指標板47を発した指標投影用の光束は、穴開きミラー21で反射されて眼底共役面(不図示)に一旦結像した後、対物レンズ20を介して被検眼眼底に投影される。被検眼眼底に投影されたフォーカス指標像は赤外光により投影されているため、その反射光はダイクロイックミラー25及び31で反射され、観察用CCDカメラ32に被検眼の眼底像と共に撮像される。
【0017】
<固視目標投影光学系> 固視目標投影光学系35はダイクロイックミラー25で撮影光学系2と光路が分けられる観察光学系3側に配置され、可視光を発する固視灯36を備え、ダイクロイックミラー31を共用する。ダイクロイックミラー31は観察光学系3の光路をさら分割し、観察光学系3と分割された光路側に固視灯36が配置されている。また、固視灯36はツマミ37の先端に設けられ、被検眼眼底及び観察用CCDカメラ32の撮像面と略共役な平面内で位置変更可能な構成とされている。検者がツマミ37を操作することで固視灯36は投影光軸に垂直な平面内で移動され、これにより被検眼に呈示される固視目標の位置が変化して被検眼眼底を所望の撮影部位へ誘導することができるようになっている。
【0018】
固視灯36から出射する可視光束は、その略80〜90%がダイクロイックミラー31を透過し、リレーレンズ30を介してダイクロイックミラー25に入射する。ダイクロイックミラー25に入射した可視の固視標光束は僅か略20〜10%程度が反射されるのであるが、撮影光学系2の光路を辿って被検眼に視認され、被検眼による固視が行われる。ヒトの眼球の視感度は、ダイクロイックミラー25によって僅かに反射される可視の固視目標をも視認することができる。また、被検眼に視認させる固視目標の明るさは、固視灯36の光量調節で容易にアップが可能であり、ダイクロイックミラー31はハーフミラー等の光分割部材に代えても良い。
【0019】
また、固視灯36と観察用CCDカメラ32の撮像素子面が略共役な位置関係で、固視灯36の光束が撮像素子面に結像するように反射光学系を設ければ、観察用CCDカメラ32の出力が接続される後述の液晶ディスプレイ(LCD)53上には眼底像とともに固視灯像が表示され、固視灯の移動をディスプレイ上で観察しながら固視誘導が可能になる。
【0020】
なお、上述ではダイクロイックミラー25の可視光に対する光学特性について、略80〜90%透過し、その残余を反射するものとしたが、反射と透過の割合(比率)に関しては、これに限定されるものではない。通常、ダイクロイックミラーは薄膜の製造上、完全に可視光と赤外光を分光することは難しく、ダイクロイックミラーの一部に可視光反射の波長領域は残存するものであり、可視光と赤外光の分光の比率はダイクロイックミラーの製造が容易なように、被検眼とCCDカメラとの感度や、固視灯の光量の関係で決定すれば良い。
【0021】
以上のように、固視目標投影光学系35はダイクロイックミラーの一部に残存する(又は残存させた)可視光反射波長領域を利用して、赤外光反射側の光路となる観察光学系側の光路に内部固視灯を配置する構成としている。このため、被検者には内部固視灯を視認させつつ、跳上げミラーのように光路切換えのための駆動機構が無く、装置構成を簡略化できる。また、視線誘導を行うために固視灯を移動する機構を採用する場合も、その配置構成が簡単になる。
【0022】
次に、本実施形態の眼底カメラにおける動作について図3の制御系要部概略図を基に説明する。
【0023】
まず、被検眼の撮影準備として、被検眼と光学系とのアライメントを行う。ケーシングに収められた光学系は移動台に載置され、図示なき摺動機構により固定台と相対移動する。固定台側の顎台に被検者を固定した後、ハロゲンランプ10を点灯して被検眼を赤外光により照明する。赤外光の照明による眼底からの反射光束はダイクロイックミラー25で反射され、観察用CCDカメラ32に被検眼像が撮像される。観察用CCDカメラ32からの画像信号はA/D変換された後に画像メモリ・画像処理部51、LCD表示用の画像信号に変換するための画像変換部52を介してカラーの液晶ディスプレイであるLCD53に入力され、被検眼像が表示される。検者はLCD53に映し出された被検眼像(このときはモノクロ画像)を観察すると共に、図示なきアライメント光学系(例えば、撮影絞り22の前に赤外光を発する左右一対の光ファイバの出射端面を配置して構成することができる)により形成されるアライメント輝点を観察して、被検眼と光学系の作動距離及び光軸調整のアライメントを行う。
【0024】
アライメントを完了した後、検者はフォーカススイッチ56を操作し、各CCDカメラ26,32の撮像面が眼底と共役な位置になるようにフォーカシングレンズ23を移動させる。制御部50はフォーカススイッチ56からの操作信号に応じてステッピングモータ40を回転させることでフォーカシングレンズ23を撮影光学系2の光軸上で移動させる。これは、被検眼の屈折異常による焦点位置のズレを補正し、眼底にピントを合わせ、明瞭な眼底撮影像を得るためである。固視灯36から出射する可視光束は前述のように、ダイクロイックミラー25によって反射されて被検眼眼底に投影されるので、被検眼の屈折異常が補正されると明瞭に確認できるようになり、その状態で被検者にはこれを固視させる。
【0025】
フォーカシングレンズ23の移動によるピント合わせには、観察用CCDカメラ32に眼底像とともに撮像されるフォーカス指標像(指標板47の像)が利用される。検者は観察用CCDカメラ32に撮像される赤外眼底像及びフォーカス指標像をLCD53で観察しながら、フォーカス指標像のピントを合わせるようにフォーカススイッチ56を操作することで、被検者の屈折異常による焦点位置のズレを補正する。このとき、制御部50はステッピングモータ40の回転パルス数からフォーカシングレンズ23の移動位置(移動量)を検出し、その移動位置から屈折度数であるディオプターに換算し、LCD53上に表示する。この表示によって検者は被検眼の屈折異常の程度を知る目安となる。また、被検眼の屈折度数が予め分かっている場合には、その値とLCD53上に表示される情報との比較により、フォーカシングレンズの移動方向が認識しやすくなると共に、眼底像のピント合わせを容易にすることができる。且つ、固視灯も最初から被検者に見易く明瞭にして使用できる。
【0026】
被検眼眼底の撮影部位を移動させたい場合は、ツマミ37を操作して固視灯36を所望の方向に移動させる。固視灯36の像を観察用CCDカメラ32により撮像するように構成した場合は、LCD53に眼底像ともに表示されるため、検者は固視灯36をどの位置に移動させれば良いかを容易に認知することができる。
【0027】
ピント合わせを完了させ、撮影したい眼底像が観察できるようにした状態で、検者は撮影スイッチ55を押してトリガ信号を発生させる。トリガ信号が入力された制御部50はフラッシュランプ13を発光させて被検眼眼底を可視光で照明する。眼底からの可視の反射光は前述の光路を辿って撮影用CCDカメラ26に入射する。撮影用CCDカメラ26からの映像信号は画像メモリ・画像処理部51に入力され、フラッシュランプ13の発光と同期して画像メモリ・画像処理部51に静止画像が記憶される。
【0028】
また、制御部50の制御により、画像メモリ・画像処理部51からの画像信号はCCDカメラ26によって撮影された画像に切換えられ、画像変換部52を介してLCD53に入力され、LCD53にカラーの眼底像が表示される。
【0029】
制御部50には多数の画像データを記憶するためのMO(光磁気ディスク)やメモリカード等の画像記憶部60が接続されており、画像メモリ・画像処理部51に取り込まれた撮影画像を画像記憶部60に記憶することができる。画像メモリ・画像処理部51に取り込まれた画像データや画像記憶部60に記憶した画像データは、通信ケーブルで接続された外部コンピュータ70側に送信出力することができ、外部コンピュータ70側のコンピュータ用ディスプレイ71において眼底画像を自在に表示して観察したり、プリンタ72を介して印刷したりすることができる。例えば、画像記憶部60としてメモリカードを使用した場合は、外部コンピュータ70側でメモリカードのデータを読み込むようにして送信することで、ディスプレイ71に眼底画像を表示させたり、プリンタ72を介して印刷することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置構成を簡略化しつつ、内部固視灯を視線誘導に適した効率のよい位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の眼底カメラの光学系概略図である。
【図2】ダイクロイックミラーの光学特性を示す図である。
【図3】本実施形態の眼底カメラにおける制御系要部概略図である。
【符号の説明】
1 照明光学系
2 撮影光学系
3 観察光学系
25 ダイクロイックミラー
26 CCDカメラ
31 ダイクロイックミラー
32 CCDカメラ
35 固視目標投影光学系
36 固視灯
37 ツマミ
Claims (1)
- 被検眼の眼底を可視光及び赤外光により照明する照明光学系と、眼底で反射した赤外光により眼底像を光電的に撮像する観察用撮影光学系と、観察用撮影光学系の一部の光学系を共用し、眼底で反射した可視光により眼底像を光電的に撮像する撮影光学系と、を有し、被検眼の眼底を撮影する眼底カメラにおいて、前記観察用撮影光学系及び前記撮影光学系の光路中に両光学系を分岐するために設けられる波長選択性ミラーであって、可視光の一部及び赤外光と可視光の大部分とに分ける第1波長選択性ミラーと、該第1波長選択性ミラーによって分岐された前記観察用撮影光学系の光路をさらに赤外光に感度を持つ撮像素子が配置される光路と固視目標が配置される光路とに分岐する波長選択性ミラーであって、可視光の一部及び赤外光と可視光の大部分とに分ける第2波長選択性ミラーと、被検眼を固視させる固視目標であって、前記第2波長選択性ミラーによって分岐された光路で且つ前記撮像素子の撮像面と略共役な位置に配置された固視目標と、を備えることを特徴とする眼底カメラ。
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