JP3710945B2 - 多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物および多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板に関するものであり、特に、耐熱性樹脂からなる絶縁層によって層間絶縁された多層プリント配線板を形成するための絶縁性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子技術の進歩に伴い、大型コンピュータなどの電子機器に対する高密度化あるいは演算機能の高速化が進められている。その結果、プリント配線板においても高密度化を目的として、配線回路が多層に形成された多層プリント配線板が脚光を浴びてきた。
【0003】
従来、多層プリント配線板としては例えば内装回路を接続し導通せしめた多層プリント配線板が代表的なものであった。
【0004】
しかしながら、このような多層プリント配線板は、複数の内装回路をスルーホールを介して接続導通させたものであるため、配線回路が複雑になりすぎて高密度化あるいは高速度化を実現することはできなかった。
【0005】
このような問題点を克服できる多層プリント配線板として、最近導体パターンと有機絶縁膜とを交互にビルドアップした多層プリント配線板が開発されている。この多層プリント配線板は、超高密度化と高速化に適合したものである必要がある。各導体層間に設けられる絶縁層には上下間の導通を取るため通常、ビアホールと呼ばれる微少な孔が設けられる。また、各層の導体回路のラインアンドスペースは高密度化を実現するために非常に細かなものとしなければならない。信頼性の高い3次元の配線回路を実現するために問題となるのは細線導体回路の密着性および回路の形状、ビアホールの形状が問題となる。また、高速動作を実現するためには絶縁層の誘電率も問題となる。
【0006】
現在、これらの層間絶縁材料として各種エポキシ系の樹脂が性能面および特に材料コスト面で有望視されていた。しかしながら、エポキシ系の材料を用いることの問題点として材料面での要求特性のみならず、製造上の問題点が生じる。すなわちエポキシ系材料は熱硬化性樹脂であり一般的に多官能エポキシ化合物と各種アミン系化合物類、酸無水物類、カルボン酸類などとの少なくとも二成分系の硬化反応によって樹脂が形成される熱硬化性の樹脂であるため、二液混合後の硬化反応により塗液の可使時間の問題を生じる。つまり、二液混合後に硬化反応が進み、時間ごとの解像性は低下し、一般的には数時間で粘度上昇に伴って絶縁層の塗工ができなくなる。
【0007】
このような材料的な問題点を解決するために種々の反応性の官能基をブロック化する技術が開発されているが、現状の材料でポットライフと特性の問題を同時に解決する材料がないことが問題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のごとき従来の多層プリント配線板の有する問題点を解消し、製造にあたって長時間安定した材料特性を維持し、回路パターンの高密着性、微細パターン形成性、高耐熱性、低熱膨張率などに優れた特性の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物及び多層プリント配線板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、少なくとも光硬化性樹脂としてエポキシ樹脂化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られるポリカルボン酸に、さらに脂肪族ビニルエーテル化合物を反応せしめて得られるを紫外線硬化樹脂(A)と、熱硬化成分として多官能エポキシ樹脂(B)、光重合開始剤(C)を含んでなることを特徴とする希アルカリ溶液に現像可能な光硬化および熱硬化性の絶縁性樹脂組成物としたものである。
【0010】
また、請求項2においては、請求項1で述べる脂肪族ビニルエーテル化合物が、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セカンダリーブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、2エチルヘキシルブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランの中から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物としたものである。
【0011】
さらに、請求項3は請求項1、2に記載の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を絶縁層としたことを特徴とする多層プリント配線板である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の感光性耐熱樹脂成分である、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応させ、さらに脂肪族ビニルエーテル化合物を反応せしめて得られる紫外線硬化樹脂(A)において、エポキシ化合物とはビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂や、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、アリサイクリクジエポキシアセタール、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビニルシクロヘキサンオキシドのアルコール変性物等が挙げられる。
【0013】
また不飽和モノカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
【0014】
また飽和または不飽和多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;その他これに付随する例えば、5 −(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体などが使用できる。また、樹脂への可とう性の付与や熱硬化性を高めるために上述のエポキシ化合物に加えて、種々の多官能エポキシ化合物を添加することができる。
【0015】
ここで用いられる多官能エポキシ化合物とは、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF 型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂や、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、アリサイクリクジエポキシアセタール、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビニルシクロヘキサンオキシドのアルコール変性物などがあげられる。
【0016】
本発明で述べる脂肪族ビニルエーテル化合物とは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セカンダリーブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、2エチルヘキシルブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどの脂肪族ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
【0017】
本発明の紫外線硬化樹脂(A)はエポキシ樹脂化合物と不飽和モノカルボン酸を反応させて感光性を付与した後、エポキシ基とカルボキシル基との反応によって生成した水酸基に酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入し、アルカリ現像性の特性を導入する。一般的にはカルボキシル基は熱硬化させるために多官能エポキシ樹脂(B)と混合されるが、混合直後からエポキシ基とカルボキシル基の硬化反応が室温でも進行するため、経時で特性が変化してしまう。そこで本発明では導入したカルボキシル基をさらに脂肪族ビニルエーテルと反応させることによってヘミアセタールエステルとし、カルボン酸の反応性を完全にブロックした後に、多官能エポキシ樹脂(B)と混合することによって、混合後の粘度上昇を極力低下させた紫外線硬化樹脂成分(A)を完成させるに至った。
【0018】
本発明に用いるビニルエーテルとの反応によるヘミアセタールエステルのブロックカルボン酸は加熱によって容易にビニルエーテルが脱離して元の反応性のカルボン酸に戻る。よって本発明の紫外線硬化樹脂成分(A)を含む絶縁性樹脂組成物は基板に塗工後、溶剤を乾燥させるために行われる通常100℃未満でのプリベーク工程でブロックした脂肪族ビニルエーテルの一部が脱離することによりアルカリ現像性を有する。また現像後の通常150℃以上のポストベークと呼ばれる高温加熱により、完全にビニルエーテルが脱離するとともに、生成したカルボン酸と多官能エポキシ化合物(B)が三次元架橋反応を起こし強靱な絶縁性皮膜を形成する。すなわち本絶縁性樹脂組成物は(A)から(C)の成分を混合後、塗液の状態で従来のような粘度上昇による特性の劣化を生じることなく長期間のポットライフを維持することができ、エポキシ系材料の持つ可使時間の問題を解決し、生産性を高めることができた。
【0019】
なお、各樹脂成分の組成比は、エポキシ樹脂化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られるポリカルボン酸に、脂肪族ビニルエーテル化合物を反応せしめて得られる紫外線硬化樹脂(A)のポリカルボン酸のカルボン酸当量に対し、熱硬化成分として多官能エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の等量を0.8当量〜2.0当量の割合になるように加えるのが望ましい。
【0020】
また、必要に応じて光硬化と熱硬化を補強するため、光硬化性と熱硬化性を合わせ持つエポキシ化合物を添加することができる。このようなエポキシ化合物としてアクリル基もしくはメタクリル基を有するエポキシ化合物は特に感光性に優れており、たとえばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、9,10−エポキシステアリルアクリレート、9,10−エポキシステアリルメタアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカプロラクトンアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカプロラクトンアクリレートなどがあげられる。なかでも3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基を有する系は他の材料と混合したときの安定性に優れより好ましい。
【0021】
この光硬化性と熱硬化性を合わせ持つエポキシ化合物の添加量としては紫外線硬化樹脂(A)のポリカルボン酸のカルボン酸当量に対し、熱硬化成分として多官能エポキシ樹脂(B)とこの光硬化性と熱硬化性を合わせ持つエポキシ化合物のエポキシ基の当量の合計が0.8当量〜2.0当量になるような割合で加えるのが望ましい。
【0022】
更に、本発明の樹脂組成物を構成する光重合開始剤(C)としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、等のアセトフェノン類や、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類や、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン等のイオウ化合物や、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類や、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物や、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物等が挙げられる。これらの化合物は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。また、それ自体では、光重合開始剤として作用しないが、上記の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤の能力を増大させるような化合物を添加することもできる。そのような化合物としては、例えば、ベンゾフェノンと組み合わせて使用すると効果のある、トリエタノールアミン等の第三級アミンがある。
【0023】
また光重合開始剤(C)は樹脂固形分に対して0.1重量部〜10重量部の範囲で加えるのが望ましい。
【0024】
上記絶縁性樹脂組成物中には、必要に応じて充填剤として有機もしくは無機のフィラーを配合しても良い。例えば、フッ素樹脂や、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂などの有機質充填剤、あるいはシリカ、タルク、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質充填剤を配合することができる。
【0025】
さらに、上記絶縁性樹脂組成物中には、必要に応じて、エポキシ基硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃化剤等の添加剤や着色用顔料等を添加することが可能である。
【0026】
次に本発明の樹脂組成物を用いた多層プリント配線板の製造方法について具体的に説明する。
【0027】
本発明は、まず導体回路を形成した基板上に、上記の感光性の絶縁層を形成することにより始まる。
【0028】
本発明に使用する基板としては、例えばプラスチック基板、セラミック基板、金属基板、フィルム基板等が使用することができ、具体的にはガラスエポキシ基板、ビスマレイミドートリアジン基板、アルミニウム基板、鉄基板、ポリイミド基板等を使用することができる。
【0029】
導体回路を形成した基板に前記絶縁層を形成する方法としては、例えば上記絶縁性樹脂組成物を、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段により塗布する方法、あるいは前記混合液をフィルム状に加工した、樹脂フィルムを貼付する方法を適用することができる。
【0030】
また、本発明における前記絶縁樹脂層の好適な厚さは、通常20〜100 μm 程度であるが、特に高い絶縁性が要求される場合にはそれ以上に厚くすることもできる。
【0031】
上記絶縁性樹脂組成物を塗布、乾燥させた後、ついで、このようにして得られた皮膜の上にネガフィルムをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更に弱アルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出する。本発明における光による硬化に適したものとしては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等のランプから発振される光が挙げられる。
【0032】
また、本発明で述べるアルカリ性水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、モノエタノールアミン水溶液、ジエタノールアミン水溶液、トリエタノールアミン水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液などの無機または有機のアルカリ水溶液が挙げられ、特に有機アミン系水溶液はアルカリ金属イオンが不純物イオンとして残存しないことから特に望ましい。
【0033】
アルカリ現像後、耐熱性、耐アルカリ性を向上させるために、加熱してエポキシ硬化処理を施すことが望ましい。本発明の樹脂組成物においては、加熱処理を行うことにより、強アルカリ水に対する耐久性が著しく向上するばかりではなく、ガラス、銅等の金属に対する密着性、耐熱性、表面硬度等の諸性質も向上する。
【0034】
多層プリント配線板は、前記樹脂層の表面を酸あるいは酸化剤を用いて粗面化処理した後、無電解めっき及び電解めっきを施すことにより、導体回路を形成することにより製造される。この無電解めっきの方法としては、例えば、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解銀めっき、無電解錫めっきのいずれか少なくとも一種であることが好適である。なお、前記無電解めっきを施した上にさらに異なる種類の無電解あるいは電解めっきを行ったり、はんだをコートすることができる。
【0035】
なお、本発明の絶縁性樹脂組成物を用いて、従来知られたプリント配線板について行われている種々の方法で導体回路を形成することができ、例えば、基板に無電解及び電解めっきを施してから、回路をエッチングする方法や、無電解めっきを施す際に直接回路を形成する方法などを適用することができる。
【0036】
本発明の樹脂組成物による絶縁層を形成することにより、無電解めっき膜を信頼性良く形成させた多層プリント配線板を容易にかつ安価に提供することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の絶縁性樹脂組成物を用いて多層プリント配線板を製造する実施例について説明する。
【0038】
[実施例1]
まず、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR−90、昭和高分子社製)と無水フタル酸を反応せしめて得られる酸価約178(mgKOH/g)のポリカルボン酸を固形分換算200重量部にn-プロピルビニルエーテルを82重量部を反応させて得た紫外線硬化樹脂を282重量部にフィラーとして平均粒径約3μmのシリカ微粒子を120重量部加えて3本ロールで十分に混練した。次にこのシリカ含有紫外線硬化樹脂に3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート85重量部、エポキシ樹脂EHPE3150(ダイセル化学社製)74重量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2重量部、光重合開始剤TPO(BASF社製)14重量部を3−メトキシブチルアセテート溶剤を加えて撹拌し感光性絶縁樹脂溶液を得た。
【0039】
上記のように調液された感光性絶縁樹脂溶液の調液後からの粘度変化を回転粘度計にて測定した。この結果、調液20日後までの粘度変化は初期粘度の20%以内であった。
【0040】
さらに、この感光性絶縁樹脂溶液をスロットコーターを用いて、脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約40μm の厚さに塗布して、90℃で約30分の条件でプリベークしたのち、フォトマスクを通して150mJ/cm2 で密着露光し、有機アミン系のアルカリ現像液で30℃、1分間現像し、未露光部を除去し解像度の評価を行った。調液後、3日後と20日経過後のインキも同様に解像度の評価を行った。
【0041】
露光・現像後の基板を、ポストベーク工程として乾燥オーブンを用いて、175℃で1時間加熱硬化処理を行い、樹脂絶縁層を形成した。
【0042】
上記樹脂絶縁層を形成した基板を通常のプリント基板の銅メッキ工程にて厚さ約18μm の銅メッキを施し、プリント配線板を得た。密着強度はJIS−C6481に基づき1cm幅パターンの90度剥離試験によって調べた。その後、約50μm幅の回路パターンを通常のフォトリソ、エッチング方法により形成しパターン形状を観察した。
【0043】
[実施例2]
まず、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR−90、昭和高分子社製)と無水フタル酸を反応せしめて得られる酸価約178(mgKOH/g)のポリカルボン酸を固形分換算200重量部にn-ブチルビニルエーテルを96重量部を反応させて得た紫外線硬化樹脂を296重量部にフィラーとして平均粒径約3μmのシリカ微粒子を120重量部加えて3本ロールで十分に混練した。次にこのシリカ含有紫外線硬化樹脂に3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート85重量部、エポキシ樹脂EHPE3150(ダイセル化学社製)74重量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2重量部、光重合開始剤TPO(BASF社製)14重量部を3−メトキシブチルアセテート溶剤を加えて撹拌し感光性絶縁樹脂溶液を得た。
【0044】
上記のように調液された感光性絶縁樹脂溶液の調液後からの粘度変化を回転粘度計にて測定した。この結果、調液20日後までの粘度変化を測定したところ初期粘度の20%以内であった。
【0045】
さらに、この感光性絶縁樹脂溶液をスロットコーターを用いて、脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約40μm の厚さに塗布して、90℃で約30分の条件でプリベークしたのち、フォトマスクを通して150mJ/cm2 で密着露光し、有機アミン系のアルカリ現像液で30℃、1分間現像し、未露光部を除去し解像度の評価を行った。調液後、3日後と20日経過後のインキも同様に解像度の評価を行った。
【0046】
露光・現像後の基板を、ポストベーク工程として乾燥オーブンを用いて、175℃で1時間加熱硬化処理を行い、樹脂絶縁層を形成した。
【0047】
上記樹脂絶縁層を形成した基板を通常のプリント基板の銅メッキ工程にて厚さ約18μm の銅メッキを施し、プリント配線板を得た。密着強度はJIS−C6481に基づき1cm幅パターンの90度剥離試験によって調べた。その後、約50μm幅の回路パターンを通常のフォトリソ、エッチング方法により形成しパターン形状を観察した。
【0048】
[実施例3]
まず、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR−90、昭和高分子社製)と無水フタル酸を反応せしめて得られる酸価約178(mgKOH/g)のポリカルボン酸を固形分換算200重量部にシクロヘキシルビニルエーテルを121重量部を反応させて得た紫外線硬化樹脂を321重量部にフィラーとして平均粒径約3μmのシリカ微粒子を120重量部加えて3本ロールで十分に混練した。次にこのシリカ含有紫外線硬化樹脂に3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート85重量部、エポキシ樹脂EHPE3150(ダイセル化学社製)74重量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2重量部、光重合開始剤TPO(BASF社製)14重量部を3−メトキシブチルアセテート溶剤を加えて撹拌し感光性絶縁樹脂溶液を得た。
【0049】
上記のように調液された感光性絶縁樹脂溶液の調液後からの粘度変化を回転粘度計にて測定した。この結果、調液20日後までの粘度変化は初期粘度の20%以内であった。
【0050】
さらに、この感光性絶縁樹脂溶液をスロットコーターを用いて、脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約40μm の厚さに塗布して、90℃で約30分の条件でプリベークしたのち、フォトマスクを通して150mJ/cm2 で密着露光し、有機アミン系のアルカリ現像液で30℃、1分間現像し、未露光部を除去し解像度の評価を行った。調液後、3日後と20日経過後のインキも同様に解像度の評価を行った。
【0051】
露光・現像後の基板を、ポストベーク工程として乾燥オーブンを用いて、175℃で1時間加熱硬化処理を行い、樹脂絶縁層を形成した。
【0052】
上記樹脂絶縁層を形成した基板を通常のプリント基板の銅メッキ工程にて厚さ約18μm の銅メッキを施し、プリント配線板を得た。密着強度はJIS−C6481に基づき1cm幅パターンの90度剥離試験によって調べた。その後、約50μm幅の回路パターンを通常のフォトリソ、エッチング方法により形成しパターン形状を観察した。
【0053】
[比較例1]
ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシVR−90、昭和高分子社製)と無水フタル酸を反応せしめて得られる酸価約178(mgKOH/g)の紫外線樹脂を固形分換算200重量部にフィラーとして平均粒径約3μmのシリカ微粒子を120重量部加えて3本ロールで十分に混練した。
【0054】
次にこのシリカ含有紫外線硬化樹脂に3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート85重量部、エポキシ樹脂EHPE3150(ダイセル化学社製)74重量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2重量部、光重合開始剤TPO(BASF社製)14重量部を3−メトキシブチルアセテート溶剤を加えて撹拌し感光性絶縁樹脂溶液を得た。
【0055】
上記のように調液された感光性絶縁樹脂溶液の調液後からの粘度変化を回転粘度計にて測定した。この結果、調液後の粘度の経時変化を回転粘度系で測定したところ、数時間で急速に増粘し、約2日後では完全にゲル化した。
【0056】
さらに、この感光性絶縁樹脂溶液をスロットコーターを用いて、脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約40μm の厚さに塗布して、90℃で約30分の条件でプリベークしたのち、フォトマスクを通して150mJ/cm2 で密着露光し、有機アミン系のアルカリ現像液で30℃、1分間現像し、未露光部を除去し解像度の評価を行った。
【0057】
露光・現像後の基板を、ポストベーク工程として乾燥オーブンを用いて、175℃で1時間加熱硬化処理を行い、樹脂絶縁層を形成した。
【0058】
上記樹脂絶縁層を形成した基板を通常のプリント基板の銅メッキ工程にて厚さ約18μm の銅メッキを施し、プリント配線板を得た。密着強度はJIS−C6481に基づき1cm幅パターンの90度剥離試験によって調べた。その後、約50μm幅の回路パターンを通常のフォトリソ、エッチング方法により形成しパターン形状を観察した。
【0059】
このようにして製造した多層プリント配線板の絶縁層の特性を調べ表1に示した。樹脂のガラス転移温度(Tg)は動的粘弾性測定装置によって調べ、ピール強度はJIS−C−6481の方法によって調べた。絶縁耐性試験(PCBT)はプレッシャークッカー(PCT)にて層間のパターンについて印加電圧25V、120℃、85%、100時間経過の絶縁抵抗値の変化が10%以内であれば合格とした。
【0060】
表1から実施例1〜3、比較例とも調液直後の特性は優れているが、比較例は調液直後に硬化が進行し、3日後以降は完全にゲル化しているため数時間後には実使用に耐えれなくなることがわかった。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】
本発明は以上の如き構成であるから、前記のごとき従来の多層プリント配線板の有する問題点を解消し、超高密度化と高速化に適合した、高感度、高解像度、高耐熱性、低熱膨張率などに優れた特性の多層プリント配線板用絶縁性樹脂材料を安価に提供することができる。
Claims (3)
- 少なくとも光硬化性樹脂としてエポキシ樹脂化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを反応させて得られるポリカルボン酸に、脂肪族ビニルエーテル化合物を反応せしめて得られる紫外線硬化樹脂(A)と、熱硬化成分として多官能エポキシ樹脂(B)、光重合開始剤(C)を含んでなることを特徴とする希アルカリ溶液に現像可能な光硬化および熱硬化性の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物。
- 請求項1で述べる脂肪族ビニルエーテル化合物が、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セカンダリーブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、2エチルヘキシルブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランの中から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物。
- 請求項1、2に記載の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を絶縁層としたことを特徴とする多層プリント配線板。
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