JP3706069B2 - 乗物シート用連接取付具 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗物シートのバックレストに取り付けられて下側取付具部分に対して回転し得る上側取付具部分を有して、バックレストがロック可能なシート位置とテーブル位置および／またはリクライニング位置との間でピボット旋回できるようにした乗物シート用連接取付具、および、この乗物シート用連接取付具を有する乗物シートに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、このような乗物シート用連接取付具を使用すれば、自動車の後部における乗物シートのバックレストは、使用する人のための直立した「シート位置」にロックすることができ、また、積載領域を増大させるために、平坦な「テーブル位置」になるように前方に向かってピボット旋回することもできるようになっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乗物シートのバックレストに取り付けられて下側取付具部分に対して回転し得る上側取付具部分を有して、バックレストがロック可能なシート位置とテーブル位置および／またはリクライニング位置との間でピボット旋回できるようにした乗物シート用連接取付具を改善するものである。
本発明の目的は、上側取付具部分と下側取付具部分のいずれか一方に設けられた制御カムが他方に設けられた制御エレメントと協動して前記ロックを制御するとともに、前記制御エレメントとして設けた制御歯を有する制御爪がピボット旋回可能な戻り止め爪上に固定され、前記制御カムがバックレストの様々なシート位置に対応する係合セクションを有し、前記シート位置において制御歯が制御カムの半径方向で接することなく、制御カムの係合セクション内に位置している乗物シート用連接取付具によって達成することである。
そして、有益な改良点は、前記制御カムが上側取付具部分の回転軸に同心的に配列した制御プレートに設けられていること、前記制御歯が戻り止め爪に対して接続される別体の制御爪上に形成されていること、前記制御カムがバックレストのテーブル位置またはリクライニング位置に対応する固定セクションを有していること、前記戻り止め爪が上側取付具部分の回転軸から離れるような方向に作用する可動自在なクランプ・コンポーネントによって固定されていることである。
さらに、乗物シートが、上述したような乗物シート用連接取付具（１）を有することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
乗物シート用連接取付具による「テーブル位置」の固定とは、バックレスト内の詰め物に生じる圧力などによってバックレストが不都合に後ろ向きにピボット旋回することを防止することであり、搬送される積荷を保護するものである。その固定は、例えば、ストッパによって、或いはロックされた状態の連接取付具によって、少なくとも後ろ向きに案内するピボット旋回運動が防止される。
しかしながら、所定量の遊びが存在する。その固定は、下向きにピボット旋回することを防止する点において、水平かまたは傾いたリクライニング位置の場合でも同様である。
また、その固定は、例えば、バックレストが衝突により前方に向かってピボット旋回することを防止して、ユーザを保護するように設計することもできる。
制御カムが、上側取付具部分と下側取付具部分のいずれか一方に設けられ、他方に設けられた制御エレメントと相互作用して、そのロックが制御できる。
好ましくは、制御カムの所定のセクションに対応するバックレストのピボット旋回機能として、連接取付具のロックは、所定の角度領域において妨げられることなく確実に行なわれ、これらの制御要素が比較的大きい寸法公差を有するときでさえも、他方の角度領域において固定することができ、更なる角度領域においてロックすることなくバックレストのピボット旋回を行うことができる。
この場合、その制御エレメントは、少なくとも所定のセクションにおいて制御カムに当接する。様々な角度領域のストッパとして設計される境界は、不都合な更なるピボット旋回または後ろ向きのピボット旋回を防止することができる。
本発明の乗物シート用連接取付具を使用すれば、設置するための構造的な空間の削減もできる。
【０００５】
構造的に単純且つ費用有効的に製造される１つの好適な実施例では、その制御カムは、上側取付具部分の回転軸に同心的に配列された制御プレート上に設けられ、その制御プレートは、上側取付具部分に一体的に形成されるか、或いは、その上に取り付けられる。
各コンポーネントがその他の点で不変或いは実質的に不変である間における制御プレートの交換は、その乗物シート用連接取付具が様々な用途に適応されることを許容するため、乗物シート用連接取付具の製造が簡略化されて更に費用有効的になる。
【０００６】
制御歯は、制御プレートと相互作用する制御エレメントとして設けられ、戻り止め爪上に配列される。この場合、その戻り止め爪は、好ましくは、下側取付具部分に装着されて、制御カムを有する上側取付具部分をロックする。
その制御歯は、戻り止め爪と一体的に、或いは、別個に形成して、戻り止め爪に固定された制御爪に設けることもできる。制御歯が戻り止め爪と別個に形成される場合には、製造が簡略化されて、より安価に形成される。
【０００７】
不都合なガタ付きを生じる軸受けポイントの公差誘導的な遊びを取り除くために、１つの好適な実施例は、乗物シート用連接取付具をロックする戻り止め爪が、上側取付具部分の回転軸から離れるような方向に作用する可動自在なクランプ・コンポーネントによって固定される。その後、コンポーネントは、戻り止め爪に対して更なる分力を生み出し、その分力が戻り止め爪の軸受けの遊びを取り除く。所望の力の方向は、軸受け表面によって達成される。
【０００８】
衝突の場合、乗物シート用連接取付具をロックする戻り止め爪は、可動的に装着された遮断コンポーネントによる確実な係合によって、ロックされるべき取付具部分上の歯付き配列と係合して保持される。
歯付き配列の間における部分的な重複における損失を削減するための１つの選択肢は、対応する設計の軸受けボルトによって偏心的に装着される遮断コンポーネントに帰する。回転補助手段は、遮断コンポーネントの偏心装着具上に設けられて、戻り止め爪に対する偏心率の位置合わせを設定する。部分的な重複における損失は、その後、製造誘導的な公差にも関わらず、削減できる。
【０００９】
本発明の乗物シート用連接取付具は、「ｖａｎ」のような自動車の後部シート・ベンチに使用されるが、前部乗客席に使用することもできる。その乗物シート用連接取付具は、前記制御カムおよび様々な遊びのない設定手段を個別的に或いは組み合わせることもできる。
【００１０】
【実施例】
本発明は、図面に示される実施例を参照して以下で詳細に説明される。
【００１１】
その実施例は、自動車の後部シート・ベンチ３のための乗物シート用連接取付具１であり、自動車内における後部シート・ベンチの配列、および自動車の標準走行方向が、以下の方向に関する詳細を規定する。
乗物シート用連接取付具１は、ラッチ取付具として設計される。後部シート・ベンチ３の両側に、或いは、１／３−２／３のバックレストを有する場合はバックレスト４の対応する部分の両側に、乗物シート用連接取付具１がそれぞれ設けられるため、バックレスト４は、「シート位置」と呼ばれるシート使用のための種々のバックレスト位置と、「テーブル位置」と呼ばれるテーブル機能のためのバックレスト位置とを採ることができる。
各々の乗物シート用連接取付具１は、後部シート・ベンチ３のシート部分に固定される下側取付具部分５と、バックレスト４に固定される上側取付具部分８とを有する。
上側取付具部分８が、バックレスト・ボルト１０を回転軸として下側取付具部分５に回転可能に装着されるため、後部シート・ベンチ３のバックレスト４は、後部シート・ベンチ３のシート部分に対してピボット旋回可能となる。
【００１２】
上側取付具部分８は、バックレスト４の下側端部でバックレスト・ボルト１０に同心的に歯付きリング１２を支持している。
下側取付具部分５の下部に固定された爪ボルト１３には、戻り止め爪１５がピボット旋回可能に装着されている。
戻り止め爪１５は、バックレスト・ボルト１０に対してほぼ位置合わせされた歯付き配列を有して、同じ平面内に位置する歯付きリング１２と相互作用する。
後部シート・ベンチ３がシート使用のための「シート位置」に配置されるときは、歯付きリング１２が戻り止め爪１５のピボット旋回領域内に位置している。バックレスト４が傾斜すると、バネ装填されている戻り止め爪１５は、その歯付き配列を歯付きリング１２に係合させて乗物シート用連接取付具１をロックする。
歯付きリング１２は、多数のロック可能な「シート位置」、すなわち、バックレスト４が多段階に傾斜できるような大きな角度領域に渡って延在する。
戻り止め爪１５は、衝突の場合にピボット旋回可能な遮断コンポーネント１７によって固定される。
【００１３】
前記爪ボルト１３に装着される制御爪２１は、下側取付具部分５の側面近傍で戻り止め爪１５のピボット旋回平面と平行に配列され、戻り止め爪１５とともに回転するように戻り止め爪１５に固定される。制御爪２１は、戻り止め爪１５の歯付き配列よりもバックレスト・ボルト１０に接近した制御歯２３を有する。
この制御爪２１と同じ平面内で、上側取付具部分８は、バックレスト・ボルト１０上に歯付きリング１２よりも小さな半径の制御プレートを有する。制御プレートは、例えば、エンボス加工によって上側取付具部分８と一体的に形成されるか、或いは、その用途に応じて上側取付具部分８に回転しないように固定される。
【００１４】
制御歯２３に対向して制御カム２４を構成する制御プレートは、周方向に連続して、半径方向に後退した係合セクション２４’と、この係合セクション２４’に隣接して半径方向に突出した保持セクション２４’’と、前記保持セクション２４’’に隣接して半径方向に後退した固定セクション２４’’’と、前記保持セクション２４’’から固定セクション２４’’’への移行する段差状に形成された第１のストッパ２４’’’’とを有している。
係合セクション２４’を画成して、保持セクション２４’’とは反対側のフランクは、第２のストッパ２４’’’’’として設計され、この第２のストッパ２４’’’’’の外側エッジからバックレスト・ボルト１０までの半径は、保持セクション２４’’からバックレスト・ボルト１０までの半径よりも大きくなっている。
周方向において制御歯２３と反対側に面する制御爪２１のフランクは、軸受け表面２７と呼ばれる。
制御爪２１と戻り止め爪１５をそれぞれ固定するためにバネ装填されたクランプ・コンポーネント２９は、制御爪２１の軸受け表面２７に当接し、且つ、遮断コンポーネント１７と同じ軸受けボルト３１上で遮断コンポーネント１７に対して回転するように装着される。
【００１５】
シート使用のための「シート位置」において、戻り止め爪１５が歯付きリング１２に係合するとき、制御歯２３は、係合セクション２４’内に位置しているが、半径方向で制御プレートと当接していない。制御歯２３と制御プレートの間の間隔によって、戻り止め爪１５と歯付きリング１２とが妨げられることなく係合できる。
係合セクション２４’を画成する半径方向のフランクは、バックレスト４の実行可能な傾斜角度、すなわち、制御爪２１を備えた下側取付具部分５に対する制御プレートを備えた上側取付具部分８の実行可能な傾斜角度を規定している。第２のストッパ２４’’’’’は、バックレスト４の実行可能な最大の後方傾斜角度を決定する。
バックレスト４を水平方向に配列して後部シート・ベンチ３を平坦な「テーブル位置」にする場合は、遮断コンポーネント１７が操作ケーブル（図示略）によって戻り止め爪１５から引き戻され、所定の角度だけ交差した後、クランプ・コンポーネント２９を一緒に運ぶため、乗物シート用連接取付具１のロックが解除されてバックレスト４が前方に向かってピボット旋回する。
戻り止め爪１５に設けられた突起は、端部ストッパとして、遮断コンポーネント１７の実行可能なピボット旋回領域を画成する。戻り止め爪１５は、クランプ・コンポーネント２９のピボット旋回によって歯付きリング１２から解放される。
【００１６】
後部シート・ベンチ３のバックレスト４に対して発揮される運動によって、自動ロック領域の外側に配置される歯フランク角度を根拠として、上側取付具部分８は、歯付きリング１２を介して戻り止め爪１５を押し戻すため、乗物シート用連接取付具１のロックが解除される。
戻り止め爪１５は、遮断コンポーネント１７を更に引き起こすことによって一緒に運ばれて、歯付きリング１２から開放される方向にピボット旋回する。
戻り止め爪１５を歯付きリング１２から開放すると、制御歯２３も同時に、係合セクション２４’から引き戻されて、制御爪２１は、制御プレートから離れるようにピボット旋回するため、バックレストに固定された上側取付具部分８は、前方に向かってピボット旋回することができる。
遮断コンポーネント１７上の操作ケーブルを解放すると、クランプ・コンポーネント２９は、そのバネ装填によって後ろ向きにピボット旋回して、遮断コンポーネント１７を一緒に運び、制御爪２１は、再び制御プレートに向かってピボット旋回可能になるが、制御歯２３は、保持セクション２４’’に当接して、戻り止め爪１５と歯付きリング１２との係合が防止される。
【００１７】
Ｆｉｇ２に示すように、「テーブル位置」に達すると、制御歯２３は、固定セクション２４’’’の中に入り込み、制御爪２１は、制御プレートに向かって幾らか遠くまでピボット旋回する。クランプ・コンポーネント２９は、制御爪２１を固定するために制御爪２１の端部位置に入り込んで当接する。
制御歯２３は、第１のストッパ２４’’’’と当接して、上側取付具部分８がバックレスト４とシート部分の間における詰め物の圧力でバックレスト４と共に後ろ向きにピボット旋回することを防ぎ、バックレスト４は、「テーブル位置」に固定される。
「シート位置」に戻る場合は、クランプ・コンポーネント２９が遮断コンポーネント１７によって制御爪２１から離れるように後ろ向きにピボット旋回して、前記制御爪が制御プレートから離脱し、上側取付具部分８は、後ろ向きにピボット旋回することができる。
制御歯２３が保持セクション２４’’を乗り越えて、再び係合セクション２４’内に復帰して位置すると、戻り止め爪１５は、歯付きリング１２と再び係合することができる。
その比較的大きな半径によって、第２のストッパ２４’’’’’が制御歯２３と協動し、バックレスト４が激しい揺れで後部に向かって余りに遠くまでピボット旋回することを防止する。
【００１８】
乗物シート用連接取付具１のロック状態において、クランプ・コンポーネント２９は、制御爪２１の軸受け表面２７に当接する。クランプ・コンポーネント２９との接触点における軸受け表面２７上の垂線は、クランプ・コンポーネント２９によって制御爪２１を介して戻り止め爪１５に伝えられる力の方向Ｋと同じになる。
既知の乗物シート用連接取付具の場合には、この力の方向Ｋが、上側取付具部分８の軸受け部となるバックレスト・ボルト１０に向かっており、戻り止め爪１５と歯付きリング１２との間の歯付き配列が遊びのないように設定される。
本発明によると、上側取付具部分８の軸受け部、および、戻り止め爪１５と制御爪２１との軸受け部における製造公差で生じる遊びを取り除くために、軸受け表面２７上の垂線は、バックレスト・ボルト１０との接触を回避するものであり、より詳しく言えば、上側取付具部分８の軸受け部に位置合わせされる場合よりもバックレスト・ボルト１０と爪ボルト１３とを結ぶ接続線から遠く離れるように方向づけされている。
上側取付具部分８の軸受け部方向への分力は、歯付き配列を遊びのないように設定しているが、本発明の位置合わせにおいては、上側取付具部分８の軸受け部に対して半径方向に作用し、前記軸受け部を遊びのないように設定する、更なる分力を生み出すこともできる。
２つの戻り止め爪１５および制御爪２１の軸受け部における遊びも、同様して取り除かれる。
【図面の簡単な説明】
【図１】ロック状態を部分的に示す側面図。
【図２】前方にピボット旋回した状態を部分的に示す側面図。
【図３】本発明の乗物シート用連接取付具を有する乗物シートを示す概略図。
【符号の説明】
１ ・・・ 乗物シート用連結取付具
３ ・・・ 乗車シート
４ ・・・ バックレスト
５ ・・・ 下側取付具部分
８ ・・・ 上側取付具部分
１０ ・・・ バックレスト・ボルト
１２ ・・・ 歯付きリング
１５ ・・・ 戻り止め爪
１７ ・・・ 遮断コンポーネント
２１ ・・・ 制御爪
２３ ・・・ 制御歯
２４ ・・・ 制御カム
２４’ ・・・ 係合セクション
２４’’’・・・ 固定セクション
２９ ・・・ クランプ・コンポーネント

Claims (6)

1. 乗物シート（３）のバックレスト（４）を取り付けるために下側取付具部分（５）に対して回転し得る上側取付具部分（８）を有し、前記バックレスト（４）が直立したシート位置と平坦なテーブル位置および／またはリクライニング位置との間でピボット旋回可能であり、前記テーブル位置および／またはリクライニング位置がロックされるようにした乗物シート用連接取付具（１）であって、
   前記上側取付具部分（８）と下側取付具部分（５）のいずれか一方に設けられた制御カム（２４）が、他方に設けられた制御エレメントと協動して前記ロックを制御するとともに、
   前記制御エレメントとして設けた制御歯（２３）を有する制御爪（２１）が、ピボット旋回可能な戻り止め爪（１５）上に固定され、
   前記制御カム（２４）が、前記バックレスト（４）の様々なシート位置に対応する係合セクション（２４’）を有し、
   前記シート位置において制御歯（２３）が、前記制御カム（２４）の半径方向で接することなく、前記制御カム（２４）の係合セクション（２４’）内に位置していることを特徴とする乗物シート用連接取付具。
2. 前記制御カム（２４）が、前記上側取付具部分（８）の回転軸に同心的に配列した制御プレートに設けられていることを特徴とする請求項１記載の乗物シート用連接取付具。
3. 前記制御歯（２３）が、前記戻り止め爪（１５）に対して接続される別体の制御爪（２１）上に形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２記載の乗物シート用連接取付具。
4. 前記制御カム（２４）が、前記バックレスト（４）のテーブル位置またはリクライニング位置に対応する固定セクション（２４’’’）を有していることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１つに記載の乗物シート用連接取付具。
5. 前記戻り止め爪（１５）が、前記上側取付具部分（８）の回転軸から離れるような方向（Ｋ）に作用する可動自在なクランプ・コンポーネント（２９）によって固定されていることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれか１つに記載の乗物シート用連接取付具。
6. 請求項１乃至請求項５のいずれか１つに記載の乗物シート用連接取付具（１）を有するようにしたことを特徴とする乗物シート。

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